闘神都市RPG【魔を滅する転生闘】   作:月乃杜

20 / 23
第20話:覇王の黄金龍 今こそ超越進化の時

.

 久方振りに地獄の攻略をするべく、ユートはラグナード迷宮に訪れていた。

 

 カーツウェルから新しい階層に至る道が見付かったと報告があり、本人は妻とイチャイチャ休息を取っているからユートが行く。

 

 彼が地獄探査で出してきた謂わば契約内容だけど、『妻の精神的な治療』と『妻の肉体の再成』と『地獄の新しい階層を見付けたら一ヶ月のイチャラブ休暇』に+して給金とボーナス。

 

 精神的な治療に関して、ユートも可成り本気で行った訳だが、カーツウェルと思い込んで押し倒してから騎乗位で咥え込んだ事を、フランチェスカはバッチリ覚えており、記憶を消すか訊ねたら頬を朱に染めて、想い出として覚えておきたいと言われてしまう。

 

 逆レ○プ状態でヤってしまったけど、カーツウェルより具合が良くて忘れるのが勿体無いとか何とか。

 

 流石にあれから一度足りとてヤっていないのだが、若しかしたらヤっていても〝想い出〟として取っておくだけだったかも知れないと少し惜しかった。

 

 結構な美女だし。

 

 肉体の再成は彼女自身の肉体情報をコピってから、神器【魔獣創造】の禁手で構成して、積尸気転生波で魂魄を入れ換えた。

 

 当然、処女だったからかカーツウェルも燃え上がったらしい。

 

「さて、折角だから」

 

 ユートが右腕を真横に掲げると、機械っぽい蝙蝠が飛んで来て噛み付く。

 

「ガブ!」

 

 笛みたいな待機音。

 

 ステンドグラスみたいな紋様が浮かび、蝙蝠を腰に鎖が巻き付く様に顕現したベルトの留まり木にセットをする。

 

「変身!」

 

 赤いベルトへと蝙蝠──キバットバット三世をセットする事で全身を波紋が包み込んで、ユートの肉体をキバの鎧が装着された。

 

 仮面ライダーキバ。

 

 平成仮面ライダーシリーズ第九作目に位置している作品で、主人公の紅 渡は引き篭りなヴァイオリン職人という位置付けだ。

 

 モチーフは吸血鬼。

 

 仮面ライダーキバとなったユートは、黄色の複眼でモンスターを睨むと一気に駆け出した。

 

「ハッ!」

 

 ユートは敵対者に一切の容赦をしない。

 

 相手が女の子なら手加減くらいするが……

 

「死ね!」

 

『ギャバァァッ!?』

 

 醜いだけの存在に情けは掛けない。

 

 キバがベルトの左側の笛を手にして、キバットバット三世に吹かせる。

 

「ガルルセイバー!」

 

 何処からともなく飛んで来た青い柄の剣、三日月みたいな湾曲刀となってキバの手に握られた。

 

 手にした次朗が変化したガルルセイバーを手にし、身体の色も青を基調としたものとなり、次々と敵を屠っていくキバ。

 

「愉しいな。随分と久方振りだったし本当に愉しい」

 

 仮面ライダーへの変身、それは子供心に随分と憧れたもので、特にBLACKに成りたいと思っていた。

 

 今なら成れるが、だからといって【てつを】に成れる訳でもない。

 

 永遠の憧憬。

 

 だからこそ姿だけでも、何処ぞの破壊者の様に。

 

「バッシャーマグナム!」

 

 笛──フエッスルを吹いて叫ぶキバット。

 

 緑の銃らしき物が手に納まって、鎖が巻き付く様に腕が変化して体色や複眼が緑へと変化する。

 

 ガルルフォームからバッシャーフォームへ。

 

 トリガーを引くと弾丸が放たれ、モンスターを簡単に討ち砕く。

 

 地獄のモンスターや鬼が相手でも、仮面ライダーは全く遅れを取らない。

 

「ドッガハンマー!」

 

 紫のフエッスルをキバットが鳴り響かせ、その音に導かれる様に飛んで来たのは紫を基調としたオブジェであり、それがハンマーとなってキバの手に握られ、体色が紫基調となった。

 

 ズルズルとハンマーの頭を引き摺りながら、ノッシノッシと歩くキバへと襲い掛かるモンスターだけど、このドッガフォームの場合は防御力が高く、ダメージは全く通ってはいない。

 

「無駄だ……」

 

 ブン! 軽く振るわれたドッガハンマーが当たった瞬間、モンスターは叩き潰されて死んでしまう。

 

 ちょっと大きめなのが現れると、ドッガハンマーをキバットに咬ませる。

 

「ドッガバイト!」

 

 ハンマーの頭は手の様な形をしており、掌が開いたら其処には赤い一つ眼が。

 

 身動きが取れなくなったモンスターに、その一撃を喰らわせて斃した。

 

「仮面ライダーキバだと? そうか、てめえ……優斗だなぁぁあっ!」

 

 振り返れば黒髪に前髪の一部が金メッシュな男。

 

「狼摩優世……」

 

 それはユートが追っていた男──狼摩白夜の兄である狼摩優世だった。

 

「ぐっ、頭がいてーっ! てめえが居ると何時もだ、何時も頭がいてーんだ!」

 

「知るか! だが漸く会ったんだ、お前さえ討てれば戦いも終わる!」

 

「やらせっか! 起きやがれドライグ!」

 

 優世の左腕に赤い籠手、【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】が顕れる。

 

「禁手化!」

 

《Welsh Dragon Balance Breaker!!》

 

 バランスブレイク、神器の力を最大限にまで引き出す謂わば奥義。

 

 然しながら生命体を封じたタイプは更なる先が存在しており、優世はその先を解放する術を得ていた。

 

「我、目覚めるは覇の理を神より奪いし二天龍なり」

「! それは……」

 

《莫迦な、覇龍だと!?》

 

 ユートとアルビオンが驚きの声を上げた。

 

「無限を嗤い、夢幻を憂う 我、赤き龍の覇王となりて 汝を紅蓮の煉獄に沈めよう……」

 

 だが、怨み辛みを叫んだ聲が全く聞こえない。

 

「覇龍!」

 

《Juggernaut Drive!!》

 

 叫ぶ優世とドライグ的な電子音声、世界が染め上げられてこの場には暴力なる化身──覇龍化した優世、小型の二天龍が顕身した。

 

『さあ、やろうか』

 

「自意識を持っている?」

 

 ヴァーリ・ルシファーは覇龍化してもその膨大なる魔力で捩じ伏せ、生命を削らず自意識も持った侭にて戦えていたが、それは彼が嘗ての魔王たるルシファーの曾孫だったが故。

 

 人間に過ぎない優世に、同じ事が可能とは思えないユートだが、答えは他ならない傍らに居た……

 

「白夜!?」

 

 彼の妹から伝えられた。

 

「お久し振りです優斗様」

 

 相変わらず艶やかな黒髪をポニーテールに結わい付けて、黒曜石の如く黒い瞳には憂いを秘め、艶やかな着物にその初雪の如く透明感のある白い肌を隠す姿、一種の完成された美。

 

「バカ兄の力は人間を既に越えています」

 

「どういう事だ?」

 

「天使喰いEXによって、バカ兄は天使を何人も捕らえては犯し、その莫大な力を次々と吸収しました」

 

「っ! そういう事か」

 

「私はそれに目を逸らし、此処まで来てしまいましたから……」

 

 天使を救うには優世との決別を意味し、未だに悩みを抱えていた白夜にそれは選択出来なかった。

 

「優斗様、私はどうすれば良かったんでしょうか?」

 

「判らない。誰にだって、個人個人の悩みは有るから誰かの悩みの解決法なんて思い付かない」

 

「そうですね……」

 

「だけど白夜、僕と共に来いとは言えるよ」

 

 手を差し伸べるユート、白夜は瞳を潤ませて涙を零しと……

 

「はい!」

 

 嬉しそうに頷いた。

 

 振り返り、覇龍化をした優世と対峙した白夜は腰にオルタリングを顕現する。

 

『そいつは……お前が得たのはゲネシスドライバーとピーチエナジーロックシードだった筈』

 

「交換しました」

 

 ゲネシスドライバーなどユートから貰ったオルタリングの万分の一の価値すら無く、白夜にとってユートからの贈り物は本来から視れば何万倍もの価値を秘めている。

 

 ブンブン! 手を振って構えを執る白夜、その構えは津上翔一と同一だ。

 

「変身っ!」

 

 ベルト両サイドのスイッチを押しながら叫ぶ。

 

 オルタリングから光が放たれて、白夜の姿が金の装甲に黒いアンダースーツ、赤い複眼を持つ仮面ライダーアギトへと変化した。

 

 特撮番組で放映をされた【仮面ライダーアギト】に出てくるアギトそのもの、唯一の違いは腰に佩いている巨大な鉄扇。

 

 元より持っていた鉄扇と違い、どうやらアギトの方で再現をしたらしい。

 

『俺を裏切るか?』

 

「元から味方の心算なんてありませんよ」

 

『そうだった。緒方分家の女は皆、そいつの味方だったからな……」

 

 覇龍(ばけもの)仮面ライダー(ばけもの)の対峙、そして唐突にその戦いが始まってしまう。

 

「これが赤龍帝の覇龍か」

 

「御存知なのですか?」

 

「赤龍帝の覇龍は見た事が無い。機会が無かったし、有ったら有ったで拙いし」

 

 白龍皇の覇龍はユートもヴァーリが発動させたし、更にその先までも見ているからよく知っていた。

 

 また、赤龍帝の力は覇龍ではない別種のソレなら見知っている。

 

 だが、流石に純粋な赤龍帝の覇龍そのものまでは見ていない。

 

 結局、覇龍を一誠が発動させなかったからだ。

 

 本来、覇龍を発動させるタイミングはアーシア・アルジェントがシャルバ・ベルゼブブに消された時で、その際に暴発したのは何を隠そうユート本人。

 

 その後は【カンピオーネ!】主体世界に跳ばされ、羅刹王となって帰還した。

 

 それに覇龍化は寿命を削る行為だ。

 

 ヴァーリは魔王級の魔力で制御をしていたのだが、一誠では一万年もの寿命の九九パーセントを削っても二〇分と保たないだろう。

 

 それは兎も角、狼摩優世は小型の赤龍帝とも云うべき姿となって襲撃する。

 

『オラァァァッ!』

 

 巨体でありながら素早い速度は、ユートが識らない暴走した一誠の未完成に過ぎなかった覇龍なんて比べ物にはならない。

 

「チッ!」

 

 この世界では小宇宙が使えない為に、どうしたっていつもより力不足となる。

 

『ガァァッ!』

 

 強大なブレス。

 

「避けろ!」

 

「くっ!」

 

 キバとアギト――ユートと白夜は覇龍の赤龍帝が吐くブレスを散開して躱す。

 

 仮面ライダーとはいえ、流石に赤龍帝の覇龍ともなれば、迂闊には攻撃は喰らえないのである。

 

 聖魔獣だがスペック的には一応、本物の仮面ライダーと変わり無い訳だが……

 

「くっ、何て威力ですか! バカ兄の癖に!」

 

 防御力も低くはないし、多少なら攻撃を受けたとしてもダメージを減らすが、今はダメージを受けたくない状況である。

 

「こうなったら!」

 

 燃える。

 

 燃え盛る。

 

 その名は業火。

 

 そうとしか表現が出来ない現象が起きていた。

 

 煌々と燃えるボディに、オルタリングも紫色となっており、常時展開されている赤いクロスホーン。

 

 複眼は黄色くなった。

 

「バーニングフォームか」

 

 アーマーは煮え滾る熔岩の如くで、まるでプロミネンスが溢れているみたいに熱く熱く業火の戦士となる白夜――仮面ライダーアギト・バーニングフォーム。

 

「僅か一年か其処らで至る辺り、やっぱり資質は高かったって訳か」

 

 まあ、津上翔一も似たり寄ったりな感じだったし、やはり彼も成るべくして成った仮面ライダーアギト。

 

 オルタリングを預けてから約一年間、白夜とは何度か会っていたけどアギトについては話してない。

 

 そもそも、会うのは情を交わす為だから無粋な会話は萎えてしまう。

 

「僕もキバの侭じゃあな」

 

 優世は決して弱い訳ではなく、少なくとも素の一誠では相手にならないレベルで強かったのが、此方側へ転生してから明確なレベルが数値化され、強さを弥増していた上に天使喰いEXなどというスキルを使い、天使を犯し続けてきたのが力になっている。

 

 本来の優世の限界レベルは九九――通常のカンストらしいが、天使喰いEXの効果で限界レベルは千倍、天使を犯せば犯す程に少しずつレベルが、身体能力が上がっていったらしい。

 

 唯一の救いはセ○クスが下手くそな上、全く上達をしていないから犯した天使を取り込んでも大して上がっていない点。

 

 上達しないのはユートと違って、相手の事など顧みず快楽に従って腰を振っているだけだからだ。

 

 早い話が射精する事しか頭に無い。

 

 普通の天使喰いならば、それでも良かった。

 

 けど、優世のスキルとは特殊な天使喰いEXな為、射精をするだけでは実の処は意味が余り無い。

 

 つまり使い熟せてはいないのである。

 

 今の優世のレベルは未だに本来の限界レベルにすら達しておらず、その程度では元来の天使喰いシードがデラス・ゲータを斃したとされるレベルにさえ追い付いてはいない。

 

 とはいえ、赤龍帝となったのがそれを覆す。

 

 神滅具の力を使って足りないレベルを補えた。

 

 だから仮面ライダーキバとなったユートが苦戦し、白夜もバーニングフォームを白日の下に晒す。

 

 ユートはキバットバット三世を退避させ、キバへの変身を解除して新たに腰へベルトを装着。

 

 ブレイバックル――

 

「変身!」

 

《TURN UP》

 

 オリハルコン・エレメントを潜り抜けると、ユートは【デート・ア・ライブ】主体世界の精霊と呼ばれた存在――夜刀神十香が纏う神威霊装・十番(アドナイ・メレク)をスカートではなくズボンにした姿へ変化せしめていた。

 

 きちんと調整をしていたからこうだが、未調整な侭の五河琴理――イフリートの神威霊装・五番(エロヒム・ギボール)は琴理が使っていた侭の状態だから、精神的ダメージを負う姿になってしまう。

 

 それをJのカードにしたから、ジャックフォームは女装全開となる。

 

 まあ、今回は使わない。

 

 使うのは……

 

《ABSORB QUEEN!》

 

《EVORUTION KING!》

 

 キングのカードだ。

 

 ラウズアブソーバにQのカードを装填し、Kのカードをスラッシュする事により変身する上級フォーム。

 

《Vanishing Dragon Balgnce Breaker!!》

 

 ユートが設定したキングフォーム――それは白龍皇の鎧だった。

 

『貴様……何故、それを持っている!?』

 

「この世界に現れた転生者の一人が持っていたのを、うちの義妹が手に入れて来てくれたのさ」

 

『オノレ、オノレ!』

 

 ユートは更に白地に禍々しいまでの、まるで地塗られた紅で描かれた紋様を持つカードをスラッシュ。

 

《JOKER!》

 

 アルビノジョーカー。

 

 トランプには五四枚ものカードが封入される。

 

 各スートに一三枚セットで五二枚、それにジョーカーがプラスされて五三枚。

 

 これに無地の予備カードが一枚で合計が五四枚。

 

 そしてこの無地カード、その役割は予備だけに全てのカードに成り得るというジョーカーみたいなモノ、故に白いジョーカー。

 

《OVER EVOLUTION KINGDOM!!》

 

 一三枚のスペードスートが全て融合し、変じるその姿は白龍皇の覇龍だった。

 

 キングダムフォーム――仮面ライダーブレイドに於けるキングフォーム。

 

「さあ、待たせたな優世」

 

「コロシテヤルぞ!」

 

 此処に、世界は違えども白龍皇と赤龍帝がぶつかり合う運命が成立した。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 五人のサイヤ人から力を受けて、一人のサイヤ人が赤きオーラを放ちながらも気を感じさせない存在――超サイヤ人ゴッドとなる。

 

 魔人ブウとの戦いを終えた孫悟空、ブルマの誕生日に新たに現れた存在とは、破壊神ビルスとその付き人たるウィス。

 

 孫悟空はビルスとの戦いに興味を持ち、界王星での戦闘に発展した。

 

『見せてやるよ、こいつが最強の……超サイヤ人3だぁぁぁぁっっ!』

 

 だけど超サイヤ人3さえビルスには敵わず、そして求められたのだ――『さあなりなさい、超サイヤ人ゴッドとやらに』……と。

 

 とはいえ、孫悟空はその超サイヤ人ゴッドというのを識りさえしない。

 

『超サイヤ人ゴッド……? 何だそりゃ?』

 

『なれないのか!?』

 

『これがオラの最終形態、これ以上の変身なんてもうねぇ!』

 

 その後、あっさり倒された孫悟空だった。

 

 だけど孫悟空はドラゴンボールにより、神龍から願いを叶えて貰う形で超サイヤ人ゴッドをどうやって呼び出すか、それを知った。

 

『五つの正しい心を持ったサイヤ人が手をつないで、もう一人のサイヤ人に心を注ぎ込めば神になります』

 

 これにより赤い髪の毛に赤い瞳を持った孫悟空――超サイヤ人ゴッド孫悟空に変身をした。

 

 神の力を持った氣である神氣、それは常人たる他のZ戦士には感じられない。

 

 だが然し、この世界線の彼らはその例題を既に識っていたのだ。

 

 即ち、小宇宙の持ち主であるユートとルーシェ――ビーデルだ。

 

 この二人の氣は小宇宙と呼ばれる【神に近い氣】であり、川に例えるなら氣や魔力や霊力やPSYON、これを支流として更に上流の源流を小宇宙とした。

 

 そして更に上流が最源流――つまり神そのものたる神氣、神力(デュナミス)に当たるのだとか。

 

 ユートは孫悟空や未来人トランクスの超化を視て、そのシステムを理解した上で自らも超化して魅せて、それが氣を全く感じさせない〝青いオーラに青い髪の毛に青い瞳〟の闘士という凄まじい圧力だけは感じる存在であった。

 

 後の超サイヤ人ブルー、超サイヤ人ゴッド超サイヤ人という形態。

 

 ユートは残念ながら死んだのが西暦二〇一三年で、超サイヤ人ゴッドが登場するのを待たずにこの世を去っており、あの世界に於いて実際に孫悟空が超サイヤ人ゴッド化したりベジータと共に超サイヤ人ブルーに成るまで、ユートは超化の名前すら判らなかったり。

 

 尚、ユートもルーシェも地球人だから超化したとしても超サイヤ人と呼べず、とはいっても超地球人とはちょっとアレだし……

 

 超ナメック人と名乗ったピッコロは未だしも。

 

 なので、【ウルトラマン超闘士激伝】に似た存在が在った為、そちらに倣って【超闘士】と呼ぶ事になり超サイヤ人ゴッドやブルーは【超闘神】とした。

 

 ユートは氣の方で超化、普通に黄金の【超闘士】に成る事も出来たから。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 覇龍とは小さな二天龍となる姿、白と赤がマーブルを描きながら闘う。

 

 白い覇龍と赤い覇龍――その戦闘は正に熾烈。

 

「くっ、あのバカ兄があんなに力を持ってるなんて? どうやって……」

 

 明らかにユートと同格、白夜は優世があそこまでのパワーアップを果たしているとは思わずに、いまいち手を出しあぐねていた。

 

 バーニングフォームでも足りない。

 

 否、自身が飛べないのだからどんな形態も無意味。

 

「悔しい……」

 

 戦いに付いて往けないのが悔しくて仕方がない。

 

 何よりも、あのバカ兄が愛しいユートを独占しているのが悔しかった。

 

「もっと強く……なりたい……です」

 

 半減と倍加が繰り返されていき、反射と貫通がぶつかり合う完全な互角。

 

「くそっ、白夜の想像以上に強くなっている!」

 

 明らかに互角なのは優世の戦闘力が高いから。

 

「いったいどれだけの天使を犠牲にした!?」

 

『クックッ、さてなぁ?』

 

 天使喰いEXなるスキルを手に入れて、この世界に於ける天使を性的に喰う。

 

 だけど優世は白夜が曰く前世で彼女などは居らず、謂わば右手が恋人な状態であった訳で、ユートと違って射精の経験はあったにしても性テクニックが有った筈もなく、しかも漏れ聞く気色の悪い優世の喘ぎ声からして早漏だった。

 

 それは今生も同様。

 

 当たり前だが女性を感じさせるなど殆んど出来ず、性感帯に触れるから感じる程度のものらしい。

 

 イカせるなどまず無理。

 

 だから、自らがイク事でのみ天使を喰えた。

 

 これだと余りに非効率、数を熟さなければならないから簡単に強くなれない。

 

 それで尚、優世はユートに匹敵する力を示す。

 

 ならば優世はそれだけの人数の天使を犠牲として、性的に喰い散らかしてきたと云う事になる。

 

「やるしかない……か」

 

 今のユートはエネルギー関連を全く使っていない、素の状態で龍のオーラのみでの戦闘をしている。

 

 小宇宙が使えないから、だからといって魔力や闘氣すらOFF状態だ。

 

 辛うじてアルビオンが持つ龍のオーラが有るけど、元よりこれだけでは条件としては優世も同じ事。

 

「余り好ましくはないが、仕方が無いかな?」

 

 一旦、離れて地上に降りたユートを見て優世もまた地上へと降下をした。

 

『どうした? 諦めたのか優斗!』

 

 いつの間にか落ち着きを取り戻している。

 

「まさか。今まである意味で封印していた力の解放を決めただけさ」

 

『な、んだと?』

 

「お前は僕と違って彼方の世界――【ハイスクールD×D】を識っているな?」

 

『……ああ』

 

「それなら識っている筈。覇龍は確かに強力だが……一誠もヴァーリも覇龍すら越えて、自分に合わせての力を身に付けていったと。一誠は王道による龍神化、ヴァーリは魔王化だ」

 

「それがどうした!?」

 

 狼摩優世は【ハイスクールD×D】が最終回を迎えた後に死んだ為、そこら辺もちゃんと見知っている。

 

「ならば、僕にも可能だと思わないか? 白龍皇による独自の進化……神化が」

 

「まさか!?」

 

 信じ難いという叫び。

 

 話の通りならばユートが【白龍皇の光翼】を手にしたのは去年、つまりたったの一年間で自分すら出来ない進化をする心算なのだ。

 

「さあ、始めよう」

 

 ぐっと力を籠める。

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!」

 

 ゴワッ! 龍のオーラと異なる金色のオーラが身体を纏い覆うと、そのオーラがバチバチとスパーク。

 

 それに伴い世界が鳴動をするかの如く震え出して、大地のあちこちで大岩が浮かんでは粉砕される。

 

「な、何だ? いったい、これは何なんだ!?」

 

 優世は右を見て左を見てキョロキョロと、異常を起こす世界に驚愕をした。

 

 大空すら震えて渦巻き、雲が中心に向かって流動を引き起こす。

 

 ユートは中腰となって、両腕を腰に据えて力を更に籠めており、金色のオーラも激しさを増していた。

 

 更なるパワー。

 

「ば、莫迦な!?」

 

 黄金のオーラに白い鎧は染まるかの様に金色を湛えており、鋭利さを端々に持った形に変化せしめる。

 

「貴様、何なんだ!?」

 

「超サイヤ人とか?」

 

「巫山戯ろ! 貴様は地球人の筈だろうが!」

 

「そう、だからこう名乗る――【超闘士】と」

 

「ちょ、超闘士だとぉ? 確か【ウルトラマン超闘士激伝】の宇宙伝説に名を残す最強の闘士の事か!?」

 

 ユート――緒方優斗と同じかそれ以上にサブカルチャーを視聴、それが故にかユートより詳しい時があったりする優世。

 

 【ウルトラマン超闘士激伝】――あの漫画はあらゆる意味でDBをしていた。

 

 特にメフィラス大魔王が闘士ウルトラマンに敗れ、新たな敵たるヤプール人による侵略でウルトラマンが死んだ後、タロウを鍛える辺りは悟空の死後に悟飯を鍛えるピッコロの如く。

 

「何故だ、ウルトラ一族でもサイヤ人でも無い優斗が何故、超化なんて真似が出来るんだ!?」

 

「僕の転生特典(ギフト)、それは魔法に対する親和性と流れを視る目。だけど、この目に【ゼロの使い魔】の魔法の探知(ディテクト・マジック)を使い続け、その結果として疑似魔眼と成った。そして改めて転生した事で、魔眼は確固たる存在として進化をした……結果、僕は孫悟空やトランクスの超化を視て、それが充分に可能だと理解したって訳だ」

 

「!?」

 

 この世界に来るより前、精霊が空間震と共に現界をする世界より後、ユートは【絶望の未来】とも呼ばれたDB世界に往く。

 

 そんな世界でビーデルを救出したり、人造人間18号を倒して抱いたりなど、はっちゃけた後でトランクスの時空転移に着いて行く形で過去――第二三回天下一武道会の時期にまで跳んだユート、大会にヤムチャの代わりに参戦をした。

 

「小宇宙が使えればこれを更に神化、ブルーってのにも成れるんだが……な」

 

 残念ながら今は小宇宙が使えないから無理。

 

「名乗ろう。覇皇の黄金龍――覇皇龍(スペリオル・ドラゴン)だ!」

 

 水晶の如く煌めきを放つ黄金を基調に、端々に白い縁取りを持つ鋭角的な龍の鎧となり、小さな二天龍たる覇龍の姿より普通の禁手――【白龍皇の鎧】に近い姿形を取る姿。

 

 背中の光翼も黄金。

 

 それは狂える暴龍の力に因んだ名前だったと云う。

 

 ユートと優世……謂わば二匹のドラゴンが幾度と無くぶつかり合う。

 

 片や赤いオーラを纏った赤龍帝の覇龍、片や黄金のオーラを迸らせているクリスタルの如く透明感を持つオーラと同じ色の鎧を纏う白龍皇の覇皇龍(スペリオル・ドラゴン)

 

 原作では兵藤一誠が赤龍帝としての活躍をしていた〝らしい〟のだが、ユートが識る兵藤一誠とは少しだけ異なるとか。

 

「何がスペリオルドラゴンだ! 騎士ガンダムにでもなった心算か?」

 

「好きに言え!」

 

 スペリオルドラゴン――SDガンダム外伝 騎士ガンダム物語に登場する神、黄金の竜神でありガンダム一族の姿に似ている為に、ガンダムの神ともされる。

 

 モチーフはスペリオルガンダム、新騎士ガンダム物語が終了後に次元の彼方へ旅立って、スダ・ドアカ・ワールドには白銀の新たな神であるザンボーンが就いたのだと云う。

 

 ユートが名乗る覇皇龍、優世が言う通り其処から取られた名前だ。

 

「クソが!」

 

《Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! 》

 

 優世が倍加を発動。

 

「させるか!」

 

《Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide! Divide!》

 

 だがそうはさせじと半減するユート。

 

 実際、さっきから大方はこれの繰り返し。

 

 赤龍帝と白龍皇の力とは謂わば、同じ能力の流れが正反対に位置するモノ。

 

 倍加と半減は正にだし、透過と反射もそうだ。

 

「……優世、聞きたい事がある!」

 

「あ? んだよ!?」

 

「何故、頑ななまでに僕を嫌う? 白亜がどうという以前からだったろう」

 

 他の分家連中は優世に引っ張られた形であったが、狼摩優世に限れば白亜が生まれるより前から、ユートの事を嫌っていた筈。

 

 つまり、ユートの妹であった白亜は実の処だと直接的には無関係なのである。

 

「てめえが居ると頭が痛ーんだよ!」

 

「? それだけか?」

 

「その通りだ!」

 

《Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! 》

 

 再び倍加をしてきたが、咄嗟に反応が出来ない。

 

「チィッ!」

 

「死ね、優斗!」

 

 ガパッと開く赤龍帝の胸パーツ、大きな緑色の宝玉が露わとなる。

 

《Longinus smasher》

 

「っ! ならば、ギャリック砲っっっ!」

 

 両手で構えた状態からの圧縮闘氣放出。

 

 ベジータの技だ。

 

 ロンギヌススマッシャーとギャリック砲が二人の中央で激しくぶつかり合い、スパークを迸らせてユート側に優世側にと一進一退をしている。

 

「チッ、まるでアテナ・エクスクラメーションをぶつけ合ったみたいな感じか」

 

 冥王十二宮戦で六人もの黄金聖闘士がやらかした、アテナ・エクスクラメーションとアテナ・エクスクラメーションのぶつけ合い、あの時には紫龍が加わったから均衡は崩れたが……

 

 とはいえ、ロンギヌススマッシャーを相手にするにはギャリック砲は如何にも頼り無く、少しずつだけどユートの方にエネルギーが移動を始める。

 

《FINAL VENT》

 

「な、なにぃ!?」

 

 それは青い疾風。

 

 機械っぽい蝙蝠にも似たナニかがバイクと化して、それに跨がるは青に金の混じる騎士。

 

 FINAL VENTの言葉通り、騎士が持つ最大限の力――【疾風断】が放たれた。

 

 騎士の名は仮面ライダーナイトサバイブ、漆黒と銀の騎士たる仮面ライダーナイトが【SURVIVE -疾風-】のアドベントカードで変身する強化形態。

 

 最高速に達した時ナイトのマントが槍の如く変化、二つの押し合うエネルギーに特効を仕掛ける。

 

「って、何で仮面ライダーナイトのサバイブが?」

 

 手も出せず観ているしか無かった白夜が首を傾げ、仮面ライダーナイトサバイブの方を見つめる。

 

 全攻撃エネルギーを使い切ったナイトサバイブは、地上に降りて白夜の方へと駆け寄った。

 

「何してるのさ?」

 

「その声、ユーキ様?」

 

「そ、ボクだよ」

 

「ど、どうして……?」

 

 白夜が知るのはユーキが仮面ライダーカリスとなれる事で、まさか龍騎系ライダーにもなれるとは思わなかったのだ。

 

「ちょっとボク、今は龍騎系の方の調整や試験をしていたんだよ」

 

 その手には幾つかの龍騎系仮面ライダーの変身アイテム――カードデッキが。

 

「それで、貴女はいったい何をしてるのさ?」

 

「何をって……」

 

「兄貴の手伝いしないの? 寵愛を受けたいなら何か役に立ちなよ」

 

「私は飛べないから」

 

「シャイニングになりな」

 

「――え?」

 

「兄貴が聖魔獣に与えている能力で、仮面ライダーは最強形態になると飛べる。原典では飛べなくてもね」

 

「最強形態……」

 

「空を飛ぶ敵に対応する為には必要だったし、仮面ライダーを得たからって貴女みたいに飛べない人間だって居るからさ」

 

「でも、私は未だアギトのシャイニングフォームには成れません」

 

「兄貴、黄金の白龍皇――覇皇龍になってる。ならば貴女は兄貴が超化したのを見ている筈さ」

 

「え? はい」

 

「あれは……超闘士はそもそもが超サイヤ人の模倣。そしてその超サイヤ人は、穏やかな精神状態から激しい感情の揺さぶりで変化をするもの。主に激しいまでの激怒……怒りで」

 

「それは知ってますが」

 

 怒りは敵意に通ずる。

 

 故に成り易い。

 

「アギトは基本的にツールじゃなく感情が変身の鍵。そして聖魔獣は神器だよ。元より、仮面ライダー型の聖魔獣は他者に神器を使わせる為のもの。そして神器は使い手の強い想いに反応をする」

 

「強い想い……」

 

「本気で兄貴のモノになりたいなら、兄貴の力になりたいのなら……成れる筈、シャイニングにだって!」

 

 手にしたのは龍のエンブレムが入ったデッキ。

 

「折角だ、白龍皇に合わせて龍モチーフで往こうか。確か、アギトも龍がモチーフだったよね?」

 

「っ!」

 

 手鏡を取り出して放るとプカプカと浮かぶ。

 

 魔法で浮かせたのだ。

 

 カードデッキを鏡に写すと顕れたVバックルが回転しながらユーキに装着――城戸真司の如くポーズを執りながら……

 

「変身!」

 

 叫んでからカードデッキをバックルに装填。

 

 仮面ライダー龍騎に。

 

「ま、そういう意味じゃあ少しずっこいかな?」

 

 その右手にはカード。

 

 翼の紋様が描かれているそれは力を発し、ユーキの左手にはドラグバイザーツヴァイが握られる。

 

《SURVIVE》

 

 真紅の炎を纏い姿が新生されていく。

 

 生き残る事を意味してるサバイブのカードであり、【SURVIVE -烈火-】という三枚の内の一枚。

 

 仮面ライダーナイトで使った【SURVIVE -疾風-】、オーディンが常に使っている【SURVIVE -無限-】。

 

 龍騎系の仮面ライダーはこれで最強形態と成る。

 

「ふっ!」

 

 空に浮く龍騎サバイブ。

 

「ほ、本当に飛んだ?」

 

 今のユーキはフライなどの魔法ではなく、仮面ライダー龍騎サバイブに与えられた飛翔能力で飛んでいる状態、つまりユーキの言葉は紛れもない事実。

 

「先に行く。兄貴は無茶するし」

 

「強い……想い……負けてません、私の想いは貴女にも白亜様にも他の誰にも、決して負けてませんから! 仮面ライダーアギト……貴方が神器なら応えて! 私の想いにぃぃっ!」

 

 ユートが前々世に於いて事故死しなければ、本当ならば婚約者となれていたのは知っている。

 

 白亜は気付いていた……緒方優斗が、自分の兄が、狼摩白夜に惹かれていたという事実を。

 

 だけど叶わなかった。

 

 ユートが死んだから。

 

 それでも――肉体的には別人だが、魂は間違いなく本人な来世のユートが還って来たから、他の分家筋も同じくだったにしても処女を捧げる事が出来た。

 

 今生でもユートに再会をして抱かれる事が出来て、再び初めての痛みを刻んで貰えたのだ。

 

 嬉しい。

 

 本当に嬉しかった。

 

 前世では子を授かりこそしなかったが、白亜は別にしてきっと分家筋では一番愛して貰えた自信がある。

 

 悦んで貰えたと思う。

 

 豊満とはいい難いけど、スタイルだって舞いの修業を欠かさなかったのだし、充分に出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいた。

 

 足腰も鍛えられており、ユートの分身へ与えた圧力はによる締まり具合は間違いなく、自分の内部で更に膨張した程だ。

 

「応えて、アギト!」

 

 ピキッ!

 

 ピキピキッ!

 

 カシャーン!

 

 紅いボディに罅が入り、マッシブだった中から白銀のスマートな肉体が顕れ、その姿はバーニングフォームからシャイニングフォームへと変化した。

 

 だが、想いに応えたからであろうか? 今までならどのフォームも原典と変わらない姿だったが、今現在のシャイニングフォームは女性的なラインのボディ、胸が出て腰にくびれがあって腕や脚も細め、お尻の方も丸みを帯びていた。

 

「優斗様の為にもバカ兄は私が止めます!」

 

 翼を持たないアギトが、然し確かに空を舞った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「参ったね。ユーキが加勢してくれてなきゃ押し切られていた。どんだけの天使を喰ったんだあいつは?」

 

 天使喰いEXという能力は本来、通常の天使喰いより力を獲られるものだが、性に関わるが故に相手へと絶頂を味あわせなければ、獲られる力も半端となる。

 

 優世は質を獲られる程にテクニックは無かったし、耐久力は並以上だったにしても早漏だったから相手は絶頂まで至らない。

 

 だから数を熟した。

 

 ユート並とまではいかないにせよ、回数だけは熟せる耐久力を以て天使を犯して犯して犯しまくった。

 

 自分だけが絶頂を迎え、天使は中途半端な快楽のみによる補食。

 

 だが、数はそれこそ数百は喰ったからだろうか? 力も相応に獲られた。

 

 天使喰いEXのスキル、効果は喰った天使の生体的エネルギーを蓄えて、自らの力として加算をする機能が通常の天使喰いより高くなっており、更により数を熟す為に精力の活性化と、精子製造能力の遥かな上昇が成され、天使の持っているスキルを一人につき一つ好きに奪えるという。

 

 早漏や性技は流石にフォローされていないけど。

 

 正しく喰えば喰う程に溢れるパワー!

 

 その分だけ天使は捕縛、喰われて消えたのだが……

 

 美しい天使達だったが、優世からすれば快楽と力を獲る為の〝餌〟だった。

 

「さて、どうするかな? 待てよ……試してみるか」

 

 一計を案じたユートは、雄叫びを上げながら優世に突っ込んで往く。

 

「舐めるな!」

 

 先のユーキの攻撃によりロンギヌススマッシャーとギャリック砲を浴びて負傷したが、天使喰いEXにより天使から奪ったスキルで回復をしていた。

 

 ヒーリング。

 

 EXヒール。

 

 リジェネーション

 

 リカバー。

 

 リザレクション。

 

 リバイブ。

 

 凡そ回復系だと思われるスキルを取り込んだ。

 

「うりゃぁぁっ!」

 

「ぐおっ!?」

 

 殴り付けられた優世が、後ろへと吹き飛ばされた。

 

 飛び散る赤い破片の中に混じる緑の欠片、その中でも特に大きめな欠片を手に取り握り締め、そして左手の甲の空の様に青い宝玉へと押し付ける。

 

「ぐ、ううっ!」

 

 痛みが襲った。

 

 元々が相反する存在で、こんな真似をすれば赤龍帝の一誠が、ヴァーリから奪った宝玉を取り込んだ際と同じ現象が起きる。

 

 つまり、拒絶反応。

 

 だが然し――

 

「こちとら、戦闘経験だきゃあ豊富なんだよ! 相反する? 極大消滅呪文やら咸卦法やら既に通った道、この程度がどうしたっ!」

 

《Welsh Dragon power is token!》

 

 左腕だけが赤く染まり、電子音声が赤龍帝の籠手の力を取り込んだ事を示す。

 

「き、貴様!?」

 

 驚愕の優世。

 

 其処へ駆け付けたのは、仮面ライダー龍騎サバイブと仮面ライダーアギト・シャイニングフォーム。

 

「兄貴!」

 

「優斗様!」

 

「二人共、来たのか!」

 

 飽く迄も独りな優世と、後ろには最後の一線で仲間を持つユート。

 

 ユートも一人で闘うきらいはあるが、決して独りでは無いと云う事だ。

 

「また無茶をして」

 

 仮面が無ければプクーッと膨れっ面なユーキが観賞出来るが、残念な事に今は龍騎の仮面で観れない。

 

「この程度、今までを鑑みりゃ無茶なものか」

 

「……それはねぇ」

 

 今も片目が見えていないユート、これは先の羽純の願いを聞いた結果だ。

 

 話している間に倍加による電子音声が響く。

 

「さて、此方も」

 

《Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! Boost! 》

 

 赤龍帝の力を発現。

 

《Transfer》

 

 倍加した力をユーキ達に譲渡をした。

 

「やるぞ!」

 

「応っ!」

 

「はい!」

 

《FINAL VENT》

 

「はぁぁぁっ!」

 

 ユーキはドラグバイザーツヴァイにファイナルベントのカードを装填すると、顕現したドラグランザーがバイク化したのに跨がる。

 

 白夜は【アギトの紋章】を空中に発現させた。

 

「ドラゴンファイヤーストーム!」

 

「シャイニング・ライダーキック!」

 

《SPADE TEN JACK QUEEN KING ACE》

 

 展開されていくスペードスート。

 

《ROYAL STRAIGHT FLASH》

 

 現在は【白龍皇の鎧】も仮面ライダーの一部な為、必殺技はロイヤルストレートフラッシュだ。

 

 鏖殺公でそれを放つ。

 

「ち、くしょ!」

 

 必殺技の波に呑まれて、狼摩優世の覇龍は消えた。

 

「逃げたか」

 

「だね。恐らく例の脱出用のアイテムだよ」

 

 大会の参加者の一人を殺して、パートナーを犯した上で奪った代物だ。

 

「優斗様、バカ兄は独りになってもきっと諦めないでしよう」

 

「そう……だな……」

 

 思い出す。

 

 死ぬ前に狼摩家で白夜の稽古を受けた際、優世とも会っていた時に確かに言っていたのだ。

 

『頭が痛ぇーと思ったら、やっぱりてめえかよ』

 

 頭が痛いと言っていたのも聞いている。

 

「どういう事なんだ?」

 

 狼摩優世――未だに謎が残る相手であった。

 

 

.




 ユートが得た力を簡単に使い熟している様に見えるのは、単純に原典の主人公とかとは違って経験値が高いのと、力の流れを視るという【叡智の瞳】の副産物として制御に長けるから。それでも制御が難しかった暴龍神の力も、白龍皇の光翼と超化の力を融合させてある意味で完成しました。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。