ドラゴンクエストⅡ.ⅴ~勇気の足跡~《完結》   作:暇犬

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天昇篇 07

 

 

 ドラッケンが立っていたのは、全く見覚えのない古ぼけた宮殿前だった。

 激しい戦闘の最中、これまでと同じように生命の気配がしないその場所に突然放り出され、彼は大きく戸惑った。ふと背後に気配を覚え、振り返ったその場所には、正体不明の怪しげな聖女の姿がある。

 

「一体、どうなったんだ……」

「おそらくバシルーラ……ではないかと」

 

 聞いた事のない呪文の効果を説明するブリスの姿を訝しみながらも、ドラッケンは自身のおかれた状況を冷静に分析する。全く知らぬ場所にぽつりと放り出されたという衝撃よりも、取り残された頼りない相棒と生意気な顔なじみの事が心配された。

 

 ――大丈夫。オレがいなくてもアイツらならなんとか切り抜けるはずだ。

 

 元の場所に戻る手段がない以上、凶悪な魔王の姿を思い浮かべつつ、ドラッケンは自身をそう、納得させるしかなかった。

 

「……で、ブリスさん、アンタにはここがどこだが分かるのかい?」

 

 眼前の正体不明の聖女は、人間の姿をしているが、おそらく人間ではない。その正体に何となく心当たりはあるものの、それを指摘したところで、物事の核心をついて事態を急展開させられるとは思えなかった。世界中に散らばる台座を復活させて、オーブを嵌めて歩くことこそがおそらく問題解決の最短距離なのだろう。

 己よりはるかに勘のいいゾーニャも、おそらくその事に気付いているはず。その彼女が何も言わない以上、黙って状況を見守る以外に手はなかった。

 

「ここは、名もなき宮殿。そして貴方方が次に訪れることになるはずだった場所です」

「つまり……、俺達は先回りしたってことか?」

 

 ドラッケンの答えにブリスは一つ首肯する。彼の胸に小さな安堵が生まれた。ここにいれば、おそらくユーノ達はラーミアと共にやってくるだろう。

 

「元の場所には戻れねえ、んだよな?」

「ラーミアを呼び寄せれば不可能ではありませんが。おそらく数日かかる事でしょう。しかし、その間に……」

 

 ブリスが口ごもる。彼女が言わんとすることはなんとなく想像ができた。

 

「だったら、しかたねえな。ここら辺りを先に探索して、次なる台座って奴を探しておくか……」

 

 一つ伸びをしたドラッケンの言葉にブリスが僅かに眉を潜めた。

 

「竜王。貴方は連れの勇者や魔王達が心配ではないのですか?」

「心配? 心配ならしてるさ……。だが、帰る手がないならじたばたしても仕方ないだろう」

「それでも今は、一刻も早くあの者たちと合流しようと考えるのが、貴方達のやり方なのでは?」

 

 ドラッケンがニヤリと笑う。

 

「あんた、アイツらを少し甘く見過ぎだぜ。一見、頼りない漫才コンビだが、ここ一番ってときにはトンデモない爆発力を見せるからな、特にユーノは。決して間に合わない援護にオレがかけつけるよりも、アイツらがここにやってくる前に次の台座を探しだしておくことのほうが建設的ってモンだろ?」

「竜王、貴方は種族を越えて彼らを信頼しているのですね?」

 

 ドラッケンが首を横に振る。

 

「信頼? 違うな。この状況でオレがぼんやりと時間を過ごしていれば、きっとやってきたゾーニャの奴の態度がさらに大きくなるからな。『主がおらんでも妾達だけで十分じゃ、去ね去ね』とかいってな……」

 

 手を振ってゾーニャのモノマネをするドラッケンの姿にブリスが戸惑いの表情を浮かべる。いつもポーカーフェイスを保つ彼女の人間臭いその姿は、少しばかり痛快だった。

 

「そういう訳でオレはこれからこの場所の探索を開始する。アンタの援護を期待していいのかな?」

 

 彼女の回復魔法の力は心強いが、無条件で背中を任せる程に心が許せている訳ではない。色々と隠しごとの多そうな謎の聖女に少しばかり鋭い眼差しをドラッケンは向ける。いつものポーカーフェイスに戻ったブリスは一つ首肯した。

 

「そうか、じゃあ、後衛を頼む。ユーノ、ゾーニャ、行くぞ!」

 

 振り返り前に進もうとしてふと思い出す。呼びかけたはずの信頼する仲間達が今、そこにいない事に……。

 

 ――やれやれ、オレもずいぶん甘くなっちまったもんだな。

 

 王として常に孤独な決断をしながら竜族を引っ張ってきたはずの己が、いつの間にか仲間たちとの共闘を前提に行動している事に気づき、苦笑する。

 正体不明の聖女とはそんな戸惑いを上手くフォローしあえる程、分かり合えてはいないようだった。

 

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 無人の宮殿に二人の足音だけが響き渡る。

 宮殿内には人間どころか、魔物の気配すらない。どこか清涼とした空気が保たれたその場所には、おそらく魔物よけの聖なる結界が張られているのだろう。

 あちらこちらの扉を開けて幾つもの小部屋を覗き込むものの、さして特別な発見はない。ユーノを真似して、箪笥や壺の中を覗き込んでみたが、都合よくアイテムを見つける事はなかった。あれはきっと、勇者だけの才能なのだろう。

 ふと背後を歩いていたブリスが足を止める。振り返ったドラッケンの前で彼女は眼を閉じていた。

 

「どうした、ブリスさん。どこか調子が悪いのか?」

 

 ドラッケンに問われ彼女は眼を開く。

 

「今、世界は『風の理』とともに繋がりました」

 

 それはユーノ達が魔王《バラモス》を倒し、《グリーンオーブ》を台座に嵌めこんだ事を意味する。

 

 ――さすがだな。

 

 友の活躍を我がことのように喜ぶ。彼らの前に立ちはだかった《バラモス》の力は決して侮れるものではない。おそらく黒き勇者のそれに匹敵するかもしれなかった。それを二人だけで倒したのだから、相当に追い詰められたのだろう。

 

「……ったく、追い詰められないと本気にならないのは悪い癖だぜ、お前……」

 

 今、そこにいない少しばかり頼りない友人の顔を思い浮かべながら小さく呟く。

 再び前を向いた彼は、顔を上げてさらに先へと足を進める。このまま収穫なしでは、本当にゾーニャ辺りに厄介払いされかねない。

 迷いの晴れた彼はいつもと同じ荒々しい足取りで、宮殿内で最も大きな扉に手をかける。

 その先に何か特別なものがある事を直感しながら、彼は気を引き締め直して、扉を押し開いた。

 

 飛び込んできたその光景に思わず言葉を失う。その場所は彼の良く知るものだった。

 己が城の地下深くに眠る神殿跡。寸分たがわぬその光景が彼の眼前に広かった。

 

「ウソだろ、おい……」

 

 振り返ったその場所は確かに探索中の謎の宮殿跡。その場所は確かに実在していた。

 

「なあ、コレってどういう事か、分かるか?」

 

 ドラッケンの問いに聖女は静かに答えた。

 

「前へ。答えはそこにあるはずです」

 

 己がここに来たのは偶然ではなく必然であったようだ。そのように理解した彼は堂々と中へと入っていく。ブリスがその後に続いた。

 

 ――懐かしいな。

 

 遥か世界を越えた先にある故郷。

 その場所を友と共に歩いたのがずいぶんと昔のように思えた。思えば彼の冒険はあの時から始まったのだろう。竜王の立場をひとまず忘れ、只の竜族の若者ドラッケンとして故郷を飛び出したつもりだったが、常に竜族の長であるという無意識の自覚は彼について回る。

 哀しく辛い事を乗り越えて成長する友と、厄介な事態に巻き込まれた古い顔なじみとともに歩いてきた道のりは、けっして楽しいものばかりではなかった。ただ、もっとこの時間が続けばいいという思いが、時折胸をよぎる事が、こそばゆく思えた。

 

 奥へ奥へと二人は歩を進め、やがて神殿の最奥部へと到達する。

 かつての師に別れを告げ、死闘を繰り広げたその場所に、ふと何者かの気配を感じた。

 玉座に座る人影が一つ。

 その者の正面に立ったドラッケンは、その顔をしっかりと見据えた。過酷な生涯の中で、少しばかり歪んだ表情を浮かべるその男に記憶の彼方の父祖の姿が重なる。

 

 ――成程、そういうことか……。

 

 眼前の男が口を開いた。

 

『よくぞ来た。若者よ。わしが王の中の王、竜王である。わしは待っておった。そなたのような若者が現れる事を。もしわしの味方になれば、世界の半分をそなたにやろう。どうじゃ? わしの味方になるか?』

 

 ドラッケンは小さく口元に笑みを浮かべ、答えなかった。

 

『どうした?世界の半分をほしくはないのか? 悪い話ではあるまい』

「せこいな、ご先祖さまよ……」

 

 遥か古の時代に生きた竜王の表情が曇る。

 

「命を奪いに来た者に、世界の半分なんてケチな事、言ってるから負けるんだよ! どうしてもオレに味方になってほしけりゃ、世界の全てをよこしてアンタはとっとと退場しろ! 後はこのオレが引き受けてやる!」

『ほう、では どうしてもこのわしを倒すというのだな! 愚か者め! 思い知るがよいっ!』

 

《古の竜王》が竜化する。ドラッケンも速やかに竜化した。

 神殿内の大広間で二体のドラゴンが睨み合う。少し離れた場所からブリスはそれを見守った。

 先手を取ったのは《古の竜王》だった。

 激しい炎を勢いよくドラッケンに吐きつける。ドラッケンはそれをものともせずに凍える吹雪を吐きつけた。凍りついた全身を大きく震わせ《古の竜王》が咆哮する。神殿内を大きく震わせた咆哮と同時に竜王が鋭い爪を叩きつける。

 素早くそれをかわしたドラッケンが反撃する。さらなる反撃をものともせずに二撃、三撃と容赦なく叩きつける。傷つく身体をブリスの援護に任せ、ドラッケンは怒涛の勢いで《古の竜王》を圧倒した。

 勝負はあっけなくつき、敗北した《古の竜王》の竜化が解ける。だが、再び竜人の姿をとった彼に消耗の様子は見えない。

 

「見事なり。我が子孫よ。ひとまずは褒めておこう」

 

 同じく竜化を解いたドラッケンは眉を潜める。

 

「何の真似だ! 手抜きをしてオレを舐めてるのか?」

「ふっ、そういうな、我が子孫よ。まさか己が子孫が、世界の為にこうしてわしの前に立ちはだかることになるなどとは、夢にも思わなかったぞ。精霊ルビスも憎い演出をするものだ……」

「あんた……」

 

 絶句するドラッケンに《古の竜王》は笑った。

 

「では、次は本気でいこう。今度は少しばかり手ごわいぞ。偉大なる父祖の力を軽んじた報い、その身に刻み込むがよい」

 

 互いに再び竜化する。だが、その姿は先程の物とは全く異なるものだった。巨大な翼を背に広げてどこか神聖さすら感じさせるその姿に驚愕する。

 異なっていたのは姿形だけではない。灼熱の炎を連続で吐きつけられ、強烈なダメージを与えられた。回避し損ねたところにさらに連続攻撃が叩きつけられる。あっという間に窮地に追い込まれたドラッケンを、すかさずブリスがベホマをかけて回復した。

 いきなり次元の違う強力すぎる攻撃に大きな衝撃を受ける。《古の竜王》が笑った。

 

「どうした、どうした、我が子孫よ。先ほどまでの威勢の良さはどこへ行った? そなたごときには世界の半分すらも惜しいな」

 

 チッと舌打ちしてすかさず灼熱の炎を吐きつける。だが、防御力が格段に上がった《古の竜王》には大きなダメージとはなりえない。

 圧倒的に不利なドラッケンにブリスが防御呪文かける。スクルト、フバーハを重ねがけされたドラッケンは容赦ない連続攻撃を放つ《古の竜王》に真っ向から勝負を挑んだ。前足に引っ掛けた《破壊の鉄球》を振り回し叩きつける。《破壊の鉄球》を顔面に叩きつけられ、さすがの《古の竜王》もわずかに怯んだ、と思ったのもつかの間、容赦ない反撃が繰り出される。

 その巨体でドラッケンの身体にのしかかり、噛みつくや否や容赦なく噛み砕く。悲鳴に似た咆哮を上げたドラッケンだったが素早く態勢を入れ替え、逆に噛み砕いた。

 再び互いに距離を取る。ブリスのベホマで回復するドラッケンの前で、《古の竜王》は瞑想し、身体を回復させる。

 ちっと舌打ちし、今度は先手を取る。

 尻尾を振り回して叩きつけ、ケリ飛ばす。《破壊の鉄球》を叩きつけ、怯んだ所にのしかかる。《古の竜王》の戦い方を一つ一つ真似ながら、ドラッケンは粘り強く相手にくらいついた。

 不意に大きく飛び下がった《古の竜王》が力を溜めた。本能的に危険を感じたドラッケンは防御する。不意にその全身をふわりと暖かい加護の力が包んだ。おそらくブリスが何かしたのだろう。

 大きく息を吸い込んだ《古の竜王》が灼熱の炎を吐きつける。

 

 一度、二度、そして、三度。

 

 力を溜めた分だけその威力は絶大だった。全身をクロコゲにしながらもどうにか耐えきり、再びブリスの回復呪文に身を委ねる。

 

 ――やりやがったな。

 

 度重なるダメージにもその闘志は衰えない。それどころかますます加速していく己の心の赴くままに、ドラッケンは全身を大きく震わせた。

 吐き出された圧倒的な冷気が冷たく輝き、《古の竜王》に襲いかかる。

 全身を氷漬けにされた《古の竜王》にさらに冷たく輝く息を吐きつける。《古の竜王》は完全に氷の中に閉じ込められた。

 

「どんなもんだ!」

 

 ドラッケンの咆哮に氷の中の《古の竜王》が笑みを浮かべた。閉じ込められた氷の中で灼熱の炎を吐きだし、己が傷つくのにも構わず、爆発と共に氷の牢獄を粉砕する。

 さすがに無傷という訳にもいかず、《古の竜王》はすかさず瞑想で治癒を試みた。

 

 戦いは続く。

 

 一進一退の攻防が続き、互いの全身が傷だらけになる。

 攻撃と回復を同時に行う《古の竜王》に対してそれを分担するドラッケン達。実力は圧倒的に《古の竜王》の方が上なのだろう。

 

「やってくれるじゃねえか、ご先祖さまよ!」

 

 たった一人の勇者によって討ちとられ、敗北者として歴史に名を刻んでしまった遥かなる古の先達が見せる圧倒的な力に、いつしか魅了されていた。まだまだ強くなれる余地がある。その事実がドラッケンをさらなる高みへと引き上げる。

《古の竜王》の技を己が身体に刻みつけ、それをもって反撃する。

 もしも傍らからその姿を見ていた者がいたのなら、竜化したドラッケンの身体の色が、徐々に変わっていく事に驚いたことだろう。神々しく輝き始めたドラッケンの攻撃力が、素早さが、防御力が、それまでとは比べ物にならぬ勢いで跳ね上がっていく。

 強く、速く、しなやかに。

 洗練された強靱な一撃を連続で叩き込み、ドラッケンはかつての父祖の力を凌駕せんと挑みかかる。

 

 そして、ついに勝負は決着する。

 

 ドラッケンのトドメの一撃を受けた《古の竜王》は竜化を解き、元の竜人の姿を取り戻した。大きく息をつきながら、再び玉座に腰かける。全身傷だらけになりながらも勝利を収めたドラッケンは、大きな咆哮と共に竜化を解いた。

 

「見事なり。我が子孫よ。汝に問おう。最強の力をもって何を求むるや?」

 

《古の竜王》の問いに僅かに黙考する。それは竜王の名を継いだその日から彼自身が幾度も己に問いかけてきた問いでもある。

 彼の答えは決まっていた。

 

「オレの求めるものは唯一つ。正しい奴に味方する事だ!」

「ほう、面白い。そなたは世界の危機を乗り越えたその先を見るか、我が子孫よ。だが、そなたの言う正しさとはなんだ。正義の数は星の数に等しいぞ!」

 

 ドラッケンはその言葉を鼻で笑う。

 

「そんなのは己の行動に責任を持たず、いつも誰かの顔色を窺って生きるガキの戯言だ。正義とはこのオレの胸の中に只一つあるもの。オレが正しいと信じるに足る理に従う者こそ、オレが共闘する価値のある者。世界に住む者達が常にそれぞれ安定を望む以上、生まれ出るあふれんばかりの矛盾に気づき、正しさを訴える者の立場は常に弱い。それでも正しさを実現しようとする勇気ある者にこそ、最強の力はふさわしい。それこそがこれからのオレ達竜族の存在意義となる! 身勝手な征服の時代はとっくに終わってんだ、ご先祖様よ!」

 

 玉座に座る《古の竜王》が破顔する。

 

「はっはっはっ。そなた、なかなか面白いのう。よかろう、そなたに竜王を超えた竜王の力を授けようぞ!」

 

《古の竜王》の姿が少しずつ薄らぎ、ドラッケンの身体の中に何かがあふれ始める。その存在を消滅させながら、《古の竜王》は語り始めた。

 

「遥か古の時代、ワシはこの地で一人生まれ、そなたたちの世界に堕ちた。何故かということは、もはや遥か過去の出来事故、ワシも覚えておらぬ。そこでワシは闇の世界の住人であった数多の眷族達に出会い、彼らを率いてひとつの道しるべを示した」

「待て、じゃあアンタはもともとこの世界の……」

「そう、ワシも又、かつては勇者と同じく光の世界の住人。世界の理を飛び越え、勇者の一族とは違った形で世界の理を作ろうとした者の一人だ。結果はそなたも知るところであろうがな……」

 

 それは竜族の敗北の歴史――。

 そして長い時間をかけて竜族は今、《アレフガルド》の地に根付こうとしている。

 

「我が子孫よ。どうやら世界はワシらが思っている以上の早さと異なるやり方で変わっていくようだ。そして、これはそんな世界に生きるであろうそなたへのワシからの手向けじゃ!」

 

 薄れゆく《古の竜王》の姿が輝く光の玉となって、ドラッケンを包み込む。

 

「世界を……、未来を……、頼んだぞ、若人よ!」

 

 玉座が輝き深紅に輝く台座へと変貌する。神殿がそして、宮殿跡が徐々に消え去り、草原と化す。

 

「おーい、ドラッケン、無事かい?」

 

 振り返れば、ラーミアの背から下りてきた二人の旅の道連れが、彼のもとへと駆け寄ろうとしていた。

 

「すごいじゃないか、一人で台座を見つけるなんて……」

「主、一体、何があった?」

 

 驚く友人の傍らで古い顔なじみが眉を潜めている。そんな彼らの前で、堂々と胸を張りドラッケンは高らかに宣言した。

 

「ふん、こんなことくらい、竜王を超えた竜王――《天竜王》ドラッケン様にかかれば朝飯前さ!」

 

《竜神王の槍》、《竜神王の盾》《ドラゴンローブ》、《グレートヘルム》を装備したドラッケンの高笑いが、草原に盛大に響き渡った。

 

 

 

2014/07/06 初稿

 

 

 


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