機動戦士ガンダムSEED パトリックの野望   作:UMA大佐

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あらすじ
第08隊は、デブリ帯(戦時宙域)に向かうことになりました。

息抜きにアクシズの脅威vの連邦編をプレイしていたんですけど、あれっすね。
ぶっちゃけ、MS縛るよりも通常兵器を縛ったほうが辛いのでは?(トリアーエズを盾にしながら)


第6話「フラグをへし折れ、マウス隊!」

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輸送船”コロンブス”

 

「本当によろしいのですか?」

 

「何がだ?」

 

“コロンブス”の艦橋で、ユージは副官のジョンの質問を聞き返す。

現在、”コロンブス”は3機の”テスター”を載せて、デブリ帯へと向かっていた。”テスター”を用いて、デブリ帯など障害物の多いエリアでのデータを得るために。

 

「プトレマイオス基地の領域外です。これでZAFTに遭遇したら・・・・」

 

「だとしても、だ。ジョン」

 

そう言ってユージは、持論を述べ始める。

 

「私はあくまで中間管理職、技術畑出身ではない。本職が必要だと言ったなら、それを叶えてやるのが仕事でもある」

 

「しかし・・・・」

 

「ジョン、我々は軍人だ。そして、軍人は任務を全うする者だ。もし、我々が提出したOSを用いたMSがデブリ帯で出撃し、そのときに不具合が発生しても遅いだろう?それは我々の怠慢ということになる」

 

「・・・・わかりました」

 

ジョンはあまり食い下がらない。それが、上司である自分への信頼の証であることは、以前の”メビウス”隊の頃からの付き合いでわかっている。

 

「それに、もし我々が行った時に限ってZAFTと遭遇するとしたら、それは・・・・」

 

「それは?」

 

一拍置いて、答えを口にする。

 

「我々がどんな部隊かが、わかるということだ」

 

 

 

 

「しっかし、デブリ帯ねえ。こないだの誰かさんみたいに、デブリや”コロンブス”にぶつかったりしねえといいんだが」

 

「おーおー、”テスター”すっころばしたおっさんが何か言ってら」

 

エドワードとモーガンが軽口をたたき合う。

ここは”コロンブス”の談話スペース。ベンチや自販機が設置されているここで、パイロット達は目的地に到着するまでの暇を潰していた。

開発スタッフや整備兵は、格納庫で限界まで調整を行っている。戦闘という一瞬に全力を注ぐのがパイロットなら、パイロットが一瞬に全力を注げるようにするのが、裏方の仕事だからだ。

 

「ぶっけた後のセシルの顔は、面白かったぜ?あの後、シートからしばらく立ち上がれなかったらしいじゃねえか」

 

「もう二度と、エドさんとは一緒に乗りたくないと思いましたねぇアハハ・・・・」

 

「少しは落ち着きを持って行動するよう、心がけるべきねエド?」

 

「レナ教官まで・・・・アイク、何か言ってやってくれよ」

 

「あれ、カシン。ひょっとして香水を付けたの?」

 

「う、うん。わかる?レナさんとセシルが勧めてくれて・・・・」

 

「せめて会話に入ってくれよ!?」

 

エドが悲鳴を上げるが、雰囲気自体は和やかだ。

お互い、この一ヶ月で理解しあったのだろう。最初の頃のぎこちなさは見られない。全員、公の場以外では愛称やファーストネームで呼び合うようになっていた。

そんな中に1人の闖入者が現れる。

 

「噂の”マウス隊”の皆さんは、仲がいいようだな?なによりだぜ」

 

「ん?・・・・アラドじゃねえか!久しぶりだな!」

 

現れたのは、壮年の男性。見たところモーガンと同じくらいに見える。

 

「お知り合いですか、モーガンさん?」

 

「ああ、アイク。こいつは・・・・」

 

「自己紹介くらい、できるぜ。俺はアラド・バヤル。元ユーラシア連邦の中尉で、モーガンとは同じ戦車隊でドンパチやっていた仲さ。今は”メビウス”隊の隊長なんてやってる。よろしくな」

 

そういって、アイザックに手を差し出す。アイザックが恐る恐る手を差し出すと、力強く握ってくる。親しみを込めた握手だ、とアイザックは感じた。

手を離すと、アラドはモーガンに話始める。

 

「昔は3人1組で戦車乗り回してたのに、今や小隊長だぜ?どうだ」

 

「バーロー、俺は最新兵器のテストパイロットだぜ?」

 

「最新兵器、ねえ・・・・」

 

アラドはニヤニヤしながら、メンバーを見渡す。

 

「あんだよ?」

 

「いやなに、輸送船にぶつかったり、平らな床でこけたり、ローリングしたりするようなのが、最新兵器とはなってさ!デブリにぶつかんなよ?」

 

「喧嘩なら高く買うぜ?」

 

一瞬、雰囲気が剣呑とするが、アラドはすぐに次の言葉を発する。

 

「すまん、言い過ぎたな。そうならないように、データを取るのが任務だもんな。悪かったよ」

 

それを聞いて、08隊メンバーもアラドへの認識を確かなものとする。彼は、悪い人間ではない。

 

「ったく・・・・こんなやつだが、腕は確かだ。そこだけは保証するぜ?」

 

「おう、俺達がいるんだ、ZAFTが来たって追っ払ってやるさ!だからテスト、頑張れよ!」

 

その後、アラドを交えて会話が再開する。話が弾んでいる中、アナウンスが響く。

 

『あと15分で、目標地点に到着します。パイロットの皆さんは、準備を済ませておいてくださいねー』

 

『・・・・ルー軍曹、もう少しキリッとだな・・・・』

 

『ごめんなさーい、少佐ー』

 

『・・・・』

 

そんな会話が聞こえてきて、パイロット達は動き始める。ここからは、気が抜けない時間。いつ、敵とランデブーしてもおかしくないのだ。キビキビと動き始めたパイロット達だったが、過度な緊張はそこに無かった。

 

 

 

 

 

 

『それでは、ミッション内容を伝える。我々は現在、デブリ帯の中にいる。君たちの仕事は、とにかくこの中を動き回り、デブリ帯でのMS稼働データを取ることだ。30分後、今度は模擬戦形式でやってみよう。このデータが取れれば、OS完成まであと少しだ。万一の場合は、バヤル中尉の第15メビウス小隊と連携してことに当たってくれ。以上』

 

ユージからの通信が、”テスター”と”メビウス”全機に伝わる。

ここは自分達の領域ではなく、いつ敵とこんにちはしてもおかしくないデブリ帯。細心の注意を払いながら、”テスター”3機は動き始めた。それぞれの搭乗者は、このようになっている。

 

1号機 アイザック主座 セシル副座

2号機 カシン主座 モーガン副座

3号機 エドワード主座 レナ副座

 

それぞれ、自分の思うように動かそうとはしているが、デブリにジャマされて中々上手くはいってないようだ。

 

「思った以上に、動かしづらいな・・・・」

「ですねぇ・・・・あ、右40メートルにデブリありますよアイザックさん」

「あ、危ない・・・・ありがとうセシル」

「いえ、それほどでも~」

 

「よいしょ、よいしょっと・・・・」

「おいおい、もっとばあっと動かせねえか?」

「デブリにぶつかっちゃいます。そうなったらエドさんをからかえませんよ?」

「そりゃ嫌だ、慎重に頼むぜ。アラドも見てるしな」

 

「よっ、ほっ、と。どうだ、これならモーガンのおっさんもぎゃふんと言わせてやれるぜ」

「ちょっ、エド!今デブリにかすったわよ?もっと安全にお願い!」

「この後、模擬戦なんだぜ?なにごとも経験経験!」

「ま、やめ・・・・ああもう、私と代わりなさい!」

 

それぞれ四苦八苦しながら行動していたが、しばらくするとぎこちなさが取れ、30分もするころには皆不自由なく動けるようになっていた。

 

「すごいもんですね、隊長。さっきまであんなにわちゃくちゃしてたのに」

 

「まあ、連中もテストパイロットに選ばれるような奴らの集まりだ。あれくらいはできるんだろう」

 

アラドは乗機の中で、部下からの言葉に返事をする。

そう、昔からモーガンはそうだった。自分達では思いつかないような奇策を発案し、次々に成功させていく。あまりの戦術眼に、化け物をみるような目で見る人間もいた。

だが自分は知っている。あいつの戦略は、仲間との絆あってのことだと。エル・アラメインでの戦いが良い例だ。あいつの策と、自分達の絆があったからあそこまでできたのだ。そして敗れはしたが、今、新たな力を得るために努力している。

あいつは、戦車乗りの誇りだ。そう思ったところで、”テスター”が集結し始める。どうやら、模擬戦を始めるようだ。

 

『よし、位置についたな?ライフルに装填してあるのは、ペイント弾になっているな?』

 

ユージからの注意喚起が伝わる。

きちんと、ライフルの銃倉には模擬戦用のペイント弾が装填されてあるのを確認し、”テスター”に姿勢を取らせる。いつでも、戦闘機動を行えるように、盾を構えて備えた姿勢だ。

 

『よし、それじゃあ『待ってください!』・・・・!?』

 

オペレーターの声が、ユージの声に割り込む。尋常な様子ではない。

 

『どうした、トルーマン軍曹!?』

 

『レーダーに感あり!3時の方向、数は・・・・3!』

 

『その方角には?』

 

『他の部隊の航行スケジュールに、該当するものはありません!』

 

『・・・・総員、3時の方向に警戒態勢!姿を隠せ!』

 

『望遠映像・・・・出ます!』

 

コロンブスの艦橋に映し出された映像が、”テスター”と”メビウス”のモニターにも共有される。

はっと息を飲んだのは、誰だろうか。そこに映っているものを、理解できてしまったが故に。

 

『”ジン”が3、内1機は偵察型だと思われます!』

 

ユージは努めて冷静に、状況を分析する。

なぜ気づかれた?偶然?それとも、罠?内通者か何かが居て、ばれていた?ならたった3機ではなく、少なくとも倍の数で来るべきだ。そうではないなら、本当に、たまたま奴らの偵察任務と時間が被ってしまったというのか?偶然にしても、最悪すぎる!いや、奴らがまだ気づいていないなら、まだ勝機はある。だが、奴らの母艦は?まだ近くに伏兵がいるのでは?

考えを巡らせていると、アラドから通信が入る。

 

『少佐殿よお、覚悟を決める時みたいだぜ?』

 

「アラド中尉・・・・そうだな、どのみち、彼らはこっちに向かってきている。ならば・・・・」

 

『思い切りがいいじゃねえか、気に入ったぜ。良い作戦があるんだが、聞くかい?』

 

「・・・・一応、聞かせてくれ」

 

アラドの言葉に、耳を傾ける。

 

『俺らがおとりになる。”テスター”のライフルってのは、”ジン”を確実に撃破できるんだろう?』

 

「な、バカをいうな!確かにシミュレーションではそうだが、実際にはどうだかわからない!それに、君たちが撃破されたら・・・・!」

 

『やらせてやってくれ、隊長』

 

「シュバリエ中尉、あなたまで・・・・」

 

『こいつがこう言うからには、なにか考えがあるんだろう。それに、いきなりの実戦で真正面からいくってのは俺でも怖い』

 

『らしくねえな、モーガン』

 

『言うな・・・・それに、俺達がバッチリ決めりゃ良いだけだ』

 

『モーガンさん・・・・でも・・・・』

 

『自信を持て、カシン。お前の射撃の腕はよく知ってる』

 

『・・・・はい』

 

カシンだけでなく、他のメンバーも覚悟を決めたようだ。腰部に『万が一に備えて』懸架していた、実弾の弾倉をライフルにセットしていく。

 

「・・・・わかった、その案でいこう。但し、条件がある」

 

『なんだい?』

 

「全員、生きて帰れ。以上。作戦開始!」

 

『『『了解!』』』

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かい、セシル?」

 

「ぜ、全然だいじょばないです。けど、やるしかないんですよね?」

 

「・・・・うん」

 

1号機は、デブリに隠れながら目標の”ジン”に近づいていく。見たところ、マシンガン装備の普通のジンだ。それが、何より恐ろしい。

”敵”が、目の前にいるのだ。

 

「あたし、ここで戦うのも怖いですけど、逃げ出して、私以外が皆死んじゃうのは、もっと怖くて・・・・だから、はい。頑張ります」

 

「・・・・わかった。補正を、お願い」

 

「はいっ」

 

しばらくデブリに隠れながら、”ジン”の様子を窺う。デブリをよけながら進む”ジン”だったが、何かに気づいたように動き始める。

 

「気づかれた!?」

 

「いや、あっちです!」

 

すると、”メビウス”が2機、デブリの陰から飛び出す。”ジン”はそちらに気を取られているようだ。”メビウス”は”ジン”に近寄らず、”ジン”のライフルをよけながら周囲を旋回する。

やれ、と言っているようにも見える。

 

「セシル!」

 

「タ-ゲットとの距離算出、誤差修正完了・・・・」

 

そうしている間にも、”ジン”が”メビウス”の動きになれ始めたようだ。弾が”メビウス”をかすったのが見えた。

 

「セシル!」

 

「ターゲット、ロックオン!いけます!」

 

「いけえええええええええええっ!」

 

デブリから飛び出した”テスター”が構えたライフルから、弾が3発発射される。

3点バーストによって放たれた弾丸の一つが、”ジン”の脇腹に命中した。まだぎこちなく動いていることから、とどめは刺せていないようだ。おそらく、何が起きたかもわかっていないだろう。

 

「うああああああああああああ!」

 

アイザックは、何度もトリガーを引く。何度も、何度も何度も何度も。

そっと、セシルの手がアイザックの手の上に置かれる。

 

「せ、セシル・・・・?」

 

「もう、大丈夫ですよ・・・・もう、いいんですよぉ」

 

そう言われてモニターを見ると、既に”ジン”は蜂の巣のようになり、動き出す様子はなかった。

 

「僕たち、生きてる・・・・?」

 

「生きてる、生きてるんですよ私達・・・・」

 

アイザックとセシルは、そのまましばらく動けなかった。初めて人を殺したとか、そんな考えは浮かばず、ただ安堵だけがそこにあった。

 

 

 

 

 

 

「カシン、タイミングは俺が指示する。そのとき、撃て」

 

「は、はい」

 

2号機は、長距離偵察型の”ジン”に向かっていく。”メビウス”達は、既に隠れているようだ。カシンは、”テスター”を慎重に進ませていく。やがて、モニターに一つの機影が映る。

間違いない、ターゲットの”ジン”だ。長距離偵察用に、様々なセンサーや狙撃用のライフルを持っているのが見える。

 

「そこだ、そこのデブリに隠れろ」

 

モーガンの指示に従って、デブリに機体を隠す。

準備はできた。あとは、始めるだけだ。

 

「そろそろ・・・・来たっ」

 

モーガンの言葉通り、”メビウス”が2機飛び出す。こちらも、”ジン”との距離を一定保ちながら回避行動を行っている。

モーガンは、じっと見ている。少しの隙も見逃さないように。

 

「モーガンさん・・・・」

 

「まだだ、もう少し、もう少し・・・・」

 

そして、時が訪れる。”ジン”が、完全に背中を向けた。

 

「今だ!」

 

カシンは、トリガーを引いた。

放たれた弾丸は、寸分過たずにジンの胴体を撃ち抜く。

 

「やったか!?」

 

「命中・・・・しましたけど・・・・」

 

モニターを操作して、“ジン”を拡大して映す。”ジン”は、ピクリとも動かない。間違いない、直撃だ。

 

「いよっし、やったぜ!カシン、ナイスだ!よくやって・・・・カシン?」

 

モーガンの目に、かすかに震えるカシンの姿が映った。

 

「もー、がん、さん。私、私・・・・」

 

「・・・・おう、お前はよくやったよ。だから、今は休め」

 

無理もない、ことだ。彼女は、ほんの1年前までただの学生だった。アイザックと違い、覚悟すらできずに軍に入れられたのだ。

殺す覚悟も、殺される覚悟も。

そのことを知っているモーガンは、ただ、休めという。それは、体か。それとも・・・・。

 

 

 

 

 

「そこに待機よ、エド」

 

「オーケイ、っと」

 

3号機は、いたって自然に所定の位置まで機体を進めていた。彼らは元からの軍人、覚悟はできている2人だった。

 

「しっかし、MSでの初陣がまさかの試験中の遭遇戦になるなんてな・・・・」

 

「あら、どこかのバカは戦闘機で近接戦を仕掛けにいったそうよ?なら、今回は大丈夫よ」

 

「おいおい、戦闘機とMSは別だぜ・・・・っと、始まったか」

 

モニターには、”メビウス”2機が”ジン”の周りを飛んでいるのが見える。”ジン”も、”メビウス”に気を取られて意識がそちらに掛かり切りになっているようだ。

 

「エド、落ち着いて狙って」

 

「わかってるよ・・・・」

 

誤差修正、よし。ターゲットロック。あとは撃つだけ。

”ジン”の背中が見える。チャンス到来だ。

 

「今!」

 

「食らえ!」

 

エドワードは、トリガーを引く。

しかしほかの2機と違い、弾が2発出た後に、ライフルがうんともすんとも言わなくなってしまう。モニターからは、『異常発生』の字が表示される。

 

「なんだこりゃ!弾が出ねえ!」

 

「落ち着いて、今状況を・・・・!?」

 

”ジン”が、こちらを向く。完全に、気づかれた。

 

「くっ、こうなったら一度下がって合流「いや、このままいく」・・・・!?」

 

エドワードはライフルを捨てさせ、代わりに盾を構えさせる。

 

「何を考えているの!?」

 

「なに、元戦闘機乗りのなんちゃらを、見せてやるのさ!」

 

”ジン”が敵MSの存在に驚愕しながらも、ライフルを放ってくる。そのうちの何発かは盾に被弾するが、もとよりカウンターウェイト目的の盾。これ以上は持ちそうにない。

”ジン”が腰から重斬刀を引き抜く。こちらを、たたき切るつもりだ。

 

「うおおおおおおおおおっ!」

 

エドワードは突っ込む。そして、”テスター”と”ジン”が激突する。

 

 

 

”ジン”の攻撃は、”テスター”の左腕をシールドごと破壊、しかし、左腕の半ばまでで止まり。

”テスター”は、盾に隠しながらその盾から引き抜いたアーマーシュナイダーを、”ジン”の胴体に突き立てることに成功していた。

ジンの動きは、ない。

 

 

 

「いいいいいいいいよっしゃあああああああああああっ!やったぜ!」

 

「・・・・あなた、ねえ・・・・」

 

喜ぶエドワードとは対照に、レナは安堵やら怒りやら呆れやら・・・・。いろいろな感情に襲われているのだった。

 

 

 

 

 

 

奇跡的に、”テスター”も”メビウス”も、全員が生還することに成功した。機体から降りたメンバーは、すぐさま駆け寄る。

 

「レナさん、大丈夫でした!?」

 

「ご無事ですかー!」

 

「カシン、セシル・・・・あなた達こそ、よく無事で・・・・」

 

「へへっ、どうよ!この俺のナイフ捌き!」

 

「どうよ、じゃないですよ!左腕部が取れかけてるじゃないですか、エドさんの”テスター”!」

 

「派手に傷こしらえたもんだ・・・・こりゃ、コジロー達大忙しだぜ」

 

そんなことを話し合いながらお互いの安否を確認しあっていると、マヤがこちらに駆け寄ってくる。

 

「あの、エドワード少尉、レナ中尉・・・・」

 

「ん?どうかしたかい?」

 

「・・・・すみませんでした!」

 

そういって、マヤは頭を下げる。近くにいる研究員達も、どこか申し訳なさそうにしている。

 

「・・・・ライフルの異常のことね?」

 

「はい・・・・原因は、不発弾の排莢に失敗したことです」

 

「あん?」

 

「あのライフルには、イーゲルシュテルンの弾薬規格を流用した弾薬が装填されていました。とにかく、”ジン”のものよりも威力・精度を上げようとして、私たちがライフルと一緒に設計したものです。だけど、もとからあった規格に威力向上のために火薬を増やした結果、威力はともかくとして今回起きてしまったような不発・暴発の可能性を高めてしまっていたことが、さっき異常を起こしたライフルからわかったんです」

 

「おいおい、今までのテストでは・・・・」

 

「はい、うまくいってました。でも今回、初の事故が起きたんです。なので、本当に・・・・」

 

「あー・・・・」

 

異常の原因はわかったが、今度は格納庫がお通夜ムードになる。誰か、どうにかしてくれ。

 

「話は、聞かせてもらったよ」

 

「・・・・少佐」

 

そこにユージが現れる。エドワードは、なんとかしてくれ、というアイコンタクトを送る。

 

「マヤ中尉、弾薬の改良に関しては私も聞いていた。そのうえで許可を出したのは私だ。つまり、責任は私にもある」

 

「そんな・・・・」

 

「他にも、色々あるだろう。弾薬の異常、機体の破損、今回の戦闘で洗い出せた”テスター”の修正箇所・・・・」

 

ユージは、周りを見渡す。誰もが、疲れ切っていた。

 

「今は、ただ喜ぼう。全員、生きて帰れたことを。あとでいいんだ、あとで・・・・」

 

 

 

 

 

船は、まっすぐにプトレマイオス基地へ向かう。疲れ切った戦士たちを、乗せて。




と、いうわけで。初の戦闘回です。初めて書くから緊張した・・・・。
ここまでくればos完成もあと一歩です。ようやく、野望っぽくできる・・・・。

ちなみに、偵察型ジンのステータスです。

偵察型ジン
移動:7
索敵:Å
限界:150%
耐久:50
運動:13

武装
狙撃ライフル:60 間接攻撃可能





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