ミスティル家二女「この紋所が目に入らぬかぁ!」
リアルが立て込んできてるので、あんだけ期待させること言っときながらビクトリア攻防戦書くの遅れそう……。
わいの人生が掛かってるンや、勘弁してくれ。
2/12
『セフィロト』 艦艇ドック
「ついに、帰ってきたな……」
「久しぶりの我が家ならぬ、我らが居城だな!」
「ナイトがいない『セフィロト』に未来はにい。黄金の鉄の塊で出来た俺はナイトで引っ張りだこなんだが?」
(俺がいない間に、彼らはどう過ごしていただろうか。”アストレイ”の件といい、研究者としてやることは多そうだ)
以上、上からユージ、アキラ、ブロームのセリフである。
彼らは無事、『セフィロト』にたどり着いていた。
ユージはここまでの旅路で、原作でハルバートンが死亡した『低軌道会戦』が発生しないかどうかで気を揉んでいたのだが、結局戦いが起きることはなかった。
なんということはない、そもそもハルバートンは救援に駆けつけなかったのだ。既にユージ達“マウス隊”が救援に向かっていることを報告されていたハルバートンは、既に連合宇宙軍でもトップクラスの戦力を持っている第8艦隊を動かさずに、補給物資を積んだ先遣艦隊を送るだけでなんとかなるだろうと踏んでいたのだ。
結果としてあの戦闘(後にユージが取った作戦を元に『エンジェルラッシュ会戦』と呼ばれるようになった)が発生したが、あれは誰にも予想できない戦闘であったため、ハルバートンを責めることは誰にも出来ないであろう。
実際、”ネオショー”が運んできた物資のおかげでユージ達は物資不足に悩まされることはなかったし、あの戦い以降は精々敵の哨戒艦と遭遇したくらいしか戦闘は起きなかった。しかも、その哨戒も早々に撤退しているため、実際は戦闘など無いようなものだった。
「ようやく肩の荷を下ろせる……などと思っていられる時間があればよかったんだがな」
「隊長はこの後、ハルバートン提督に事の詳細を報告する仕事が待っていますからね。その後には、『セフィロト』を留守にしていた間に貯まった書類を捌かなければいけません」
「ここは地獄の1丁目……か。それにしても」
ジョンはいつも通り、隊長に現実を突きつける。ユージはこの後もしばらくは仕事漬けという事実に憂鬱になりかけるが、自分の目に映る異変について指摘する。
「なんだか、基地全体が騒がしくないか?」
「そうですね……たしかに、我々の知っている普段の『セフィロト』よりも、大分騒がしい気がします」
そう、騒がしいのだ。それも、尋常ではない。
あちらこちらを兵士や整備兵、研究者が荷物を抱えて走り回り、怒号を飛ばしている。
まるで、ZAFTの大規模攻勢が始まったかのようだ。実際、ユージはこの雰囲気に覚えがある。───あの忌まわしき、グリマルディ戦役の時と同じような雰囲気を感じるのだ。
「なあ、そこの君。良ければ話を───」
「んな暇あるか!」
近くを通り過ぎようとした兵士を呼び止めようとするが、怒号だけを返される。
ユージの階級章が目に入らないほどに忙しかったようだ。そのまま、どこかへ走り去ってしまった。
ユージはこの異常な雰囲気から、佐官である自分への配慮を怠っても仕方ないと結論づけた。”マウス隊”が上下関係の比較的緩い部隊だということもあるが。
「早く、ハルバートン提督に会いにいった方が良さそうだな。ジョン、そこのバカ共を連れて研究スペースに向かってくれ。話はマヤ君からでも」
「了解しました、隊長」
「おつとめご苦労だ、隊長!待っていろ、ウィルソン、アリア!今、お宝を持って行くぞ!」
「すごいぞー憧れちゃうぞー。堅い結束の絆で結ばれている俺達でバラバラに引き裂いてやろうか?」
(尊敬するよ、隊長。”アストレイ”の解析や戦闘データの整理はこちらでやっておくから、安心してくれ)
見張り役のジョンを含め、変態達を”マウス隊”用にもうけられた専用の研究スペースに向かわせる。
彼らはあれで、意外と周囲への配慮が出来る人間である。”ヘリオポリス”では探究心から少しばかり暴走したが、自分達の拠点にいる時は拠点の中でおとなしくしている。
訂正。『拠点の中で滅茶苦茶に騒ぐが、拠点の外には持ち出さない』が正しい表現である。
つまるところ、
「”アストレイ”を見て暴走しないといいんだが……」
「あの……」
「ん?」
変態共をジョンに任せてハルバートンのもとへ向かおうとしたユージだったが、後ろから声を掛けられる。
振り向いてみれば、そこにはキラが立っていた。
既に除隊許可証を渡されているはずだが、何故か、連合軍の制服のままである。
「どうした、キラ君?たしか、もう少しでオーブまでの連絡船が出発する時間だろう。急いだ方がいい」
「……お願いが、あります」
そういって、キラはユージに頭を下げる。
そして、その次にキラが発した言葉に、ユージは驚愕する。
「僕を、連合軍に入れてください」
『セフィロト』 ハルバートン執務室
「コープマン大佐、ムラマツ中佐、そしてラミアス大尉。君たちのおかげで”アークエンジェル”と”ストライク”は守られた。これで我々は、ZAFTへの大反抗作戦を実行するための足がかりを手に入れたことになる。君たちは、まさしく英雄だよ」
「自分は、たまたま”ヘリオポリス”に近い場所にいただけです。加えて、本来の任務である新兵達を伴う遠征訓練任務を放棄してです。賞賛されるべきは、”ヘリオポリス”からここに至るまで”アークエンジェル”の指揮を執ったラミアス大尉です」
この場所には、6人の軍人が存在していた。
この部屋の主であるハルバートンと、その横に彼の副官であるホフマン。彼らの前に立っているのは、ユージとコープマン、マリューとムウである。
彼らは1時間ほど前にこの場に集い、ハルバートンにここに至るまでの出来事について報告していたのだった。
ちなみに、セシルの指揮権掌握の事実改竄については、ハルバートンの一存で成立した。
良くも悪くも実力主義のハルバートン、むしろ優秀な指揮官適正を持つ人物が発掘されたことを喜びさえした。アラスカの上層部に近い思考を持つ、いわゆる保守派であるホフマンは納得はしていないようだったが、今回の1件で済むのであれば、という結論に落ち着いたようだ。
もともと、自分に不利益が無いならどうでもいい、というある種のステレオタイプの軍人であるホフマンにとって、面倒事はもみ消すに限るということなのだろう。
「私も、同意ですな。私の場合は提督から預かった”ロー”を始め、多くの被害を出してしまった無能です」
「わ、私はここまでお二方に頼りっぱなしでした。むしろ、及ばず”イージス”と”ブリッツ”を失った身です」
ユージとコープマン、二人の賞賛を受けたマリューは謙遜する。
このままでは名誉の譲り合いが始まると考えたハルバートンは、手で制する。
「君たちも、苦しい戦いをくぐり抜けてきたのだろう。そのことへの賞賛は、素直に受け取るべきだ。フラガ大尉も、ありがとう。君が”ヘリオポリス”にいなければ、どうなっていたことか」
「自分に出来たことは少ないですよ。もっと力があれば、とこの数日間に何度考えたことか」
「ふふ、どうやらこの場には謙虚な人間が集ったらしい。まあ、君たちへの評価についてはまた後でじっくりと行なわせてもらう。肝心なのは、これからだ」
「と、言いますと?」
ユージが聞き返すと、ハルバートンは姿勢を正し、説明を始める。
「ここに到着したことで、君たちの任務は達成された。であれば、君たちは何をすべきか。一人一人、説明させてもらおう」
そういってハルバートンが目を向けたのは、コープマン。どうやら、彼からのようだ。
「コープマン大佐、君と“モントゴメリ”には通常任務に復帰してもらう。以前と同じように、『セフィロト』周辺での哨戒や衛星軌道上の敵部隊撃破が主となる。よろしく頼むぞ」
「拝命しました」
コープマンは、先遣艦隊として編成される前と同様の任務に復帰するようだ。
彼はけして目立つ部分はないが、これといった欠点もない人物だ。彼ならば、つつがなく任務をこなしてくれるだろう。
「次に、ムラマツ中佐。君と”第08機械化試験部隊”には、新たに遊撃部隊として『セフィロト』と月基地周辺での哨戒任務を与える。試作装備・MSが開発された時には試験を行なってもらうことになるが、基本は遊撃任務だな」
「……もう、試験部隊の領分を超えていませんか?」
「ふっ、優秀な部隊には働いてもらわねばな。『G』を既に2機も保有しているのだから、なおさらだ」
「それはたしかに。了解しました、ユージ・ムラマツと”第08機械化試験部隊”、粉骨砕身の意気で任務に励みます」
ユージには、これまで以上の仕事量が舞い込む。といっても、拠点がしっかりとしているだけで”ヘリオポリス”からの逃避行の時よりはマシ。
むしろ異常な仕事量から解放されるので、内心「それくらいの仕事、なんてことはない」とガッツポーズをしていた。
「ラミアス大尉。君には、引き続き”アークエンジェル”のクルーとして働いてもらう。元から副長として配属されることになっていたらしいが、艦長としての適正も十分あると報告書から判断した。正式ではないが、艦長に配属されるだろう。後日、正式に任命されるだろう」
「私のような、技術士官がですか?」
「……如何せん、士官の数が不足していてな」
ハルバートンが苦い顔を見せたことから、未だ大戦初期における人的資源の大量喪失から立ち直りきれていないことがわかる。
マリューは、尊敬するハルバートンからの信頼に応えるために、戸惑いながらも正式な”アークエンジェル”艦長への任命を受け入れた。
「最後に、フラガ大尉。君の元の所属である第7艦隊なのだが……」
「何か、問題が起きているのですか?」
「うむ。実は地上本部では『来たる宇宙決戦に向けた宇宙艦艇の増産と艦隊の再編成』を目的とした計画が決定されてね。比較的損害の少ない第4艦隊と第8艦隊を除いて、艦隊を再編することになったのだ。そして、その間優秀な士官である君を遊ばせておくわけにもいかなくてな。第7艦隊から第8艦隊への、転属指令が君宛てに届けられている」
「ということは、今後は第8艦隊で戦うことになるのですか?」
「うむ。あらためて、よろしく頼む大尉」
「はっ、了解しました。これより、第8艦隊に世話になります」
新たな上司に敬礼をするムウ。
それを見ていたユージだが、内心の戸惑いを隠せなかった。
自分の記憶には、連合全体での宇宙艦隊の再編、しかもここまでの規模のものは記憶に無かったからだ。宇宙世紀における『ビンソン計画』に通じるものはあるが、C.Eでも似たような計画が行なわれていたのだろうか?
まあ、ムウという優秀な人材が第8艦隊にやってきてくれたのは、掛け値無しに朗報なのだが。
「では、48時間内に正式な辞令が下されるだろう。それまでは休息とする。では、解散してくれたまえ」
ハルバートンはそう言うと、敬礼する。
ユージ達も敬礼を返し、あとは解散するだけとなった。
しかし、ユージだけは部屋から出ていこうとしない。
「提督、よろしいでしょうか?」
「ん、何かなムラマツ中佐」
「提督に、会っていただきたい人物がいるのです」
「提督はこれより重大な会議に出席なさられる。火急の用件か?」
ホフマンの言葉に、ユージはわずかに目をそらす。
それもそのはず、彼がハルバートンと会わせたい人物とは、一人の少年でしかないのだから。
「火急でないのなら───」
「ホフマン、よい。まだ少しは猶予がある。君が私と会わせたい人物とは、誰だね?」
「……この部屋の近くに待たせております。こちらに呼んでもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わん」
ハルバートンから許可を得たユージは、端末を操作してある人物と連絡を取る。
しばらく待っていると、ドアをノックする音が聞こえてくる。
「入りたまえ」
「し、失礼します……」
ドアの向こうからの声は、若い男性のものだった。
ギクシャクしながら入ってくるのは、声の主として違和感のない少年。
ハルバートンは、彼の顔に見覚えがあった。
「たしか君は、キラ・ヤマト君だったか。”ストライク”に乗り込んだという……」
「は、はい。キラ・ヤマトです」
「彼の話を聞いて欲しいのです、提督」
ホフマンはますます顔をしかめる。
彼はブルーコスモスではないが、それでもコーディネイターがいるというのは気になるものなのだろう。
普通に考えれば、上司にコーディネイターの少年をいきなり会わせようとするなどあり得ない。
いったい、どういうことなのか。
「……お願いします、僕を連合軍に入れてください!」
「君を……?ふむ……」
キラの言葉を聞き、ハルバートンはチラリとユージを見る。ユージは自身に向けられた視線に対し、首肯を以て返す。
なるほど。
ユージの言いたいことをハルバートンは理解した。
「たしかに私と話しておく必要があることではあるな。君のことは聞いているよ、キラ・ヤマト君。ここまで、”ストライク”と”アークエンジェル”を守るために戦ってくれたとね。申し訳ない、我々の不手際のせいで君たちを戦争に巻き込んでしまった」
「ぼ、僕は出来ることをやっただけで……」
「その御陰で、我々は戦争を終わらせる『きっかけ』を手に出来たのだ。君が正式な兵士であるなら、勲章が授与されていただろう。そんな君が連合軍に入隊してくれるというのは、願ったりではあるが……」
「……」
キラは、ハルバートンの言葉を黙って聞いている。その姿を観察し、ハルバートンは思う。───向いていない、と。
細身の体というのもあるが、それ以前に、キラは兵士として向いていない。
戦争をやる人間には見えないのだ。
「何故、兵士になりたいのかね?君がここに至るまで経験してきたことが苦しいものであったのは、想像するに難くない。それでも兵士になりたいというのは、どういう理由でかね」
ハルバートンの問いに、キラは言葉を詰まらせてしまう。
ユージはその姿をじっと見つめている。彼の目は、キラに向けてこう語りかけていた。
そう聞かれた時、どう答えればいいかは教えている筈だ、と。
時は、キラがユージに嘆願し、ハルバートンのところに向かうのを決めた時点まで巻き戻る。
『……なるほど、な。たしかに、面と向かって言うのが難しい理由ではあるな』
『やっぱり、ダメですか?』
『いや、正直に話すべきだね。ハルバートン提督は、嘘で取り繕って納得する人じゃない』
『でも……』
『一つ、アドバイスをしよう、キラ君。───シンプルイズベスト、だ。提督には素直な言葉をぶつけるのがベストなんだよ』
「……3年前に別れた友達が、ZAFTにいました。連合軍から奪った”イージス”に乗って、何度か戦いもしました」
キラは正直に話すことにした。取り繕った言葉などより、そっちの方がこの軍人の心に届く気がしたのだ。
「友がいると知ってなお、敵になることを望むか。その友とは、仲違いでもしたのかね?」
「今でも、親友だと思ってます。たぶん、彼も。……僕は、彼を止めたい」
「なるほどな……」
つまり、間違った道を進んでいる友を正すために、ということだろうか。
ハルバートンは確信した。キラは兵士としては優しすぎるということを。
このような少年を戦争に巻き込んでしまったことを、再び後悔する。そして同時に、キラを兵士にするための思考を始める。
個人としてのハルバートンは優しい少年を巻き込んだことに罪悪感を感じているが、軍人としてのハルバートンは、キラという戦力を引き込むべきだと考えている。
そのためには、キラの心をくじくことなく、かつ兵士としての覚悟を持たせる必要がある。
キラは更に言葉を続ける。
「それだけじゃないんです。僕は“ストライク”に乗ってから、”ジン”を何機か倒しました。人を、殺してるんです。……ここで自分だけ平和なところに逃げてしまったら、僕はきっと、自分を許せなくなる」
「それはしょうが無いことだ。正当防衛という言葉は、そういう時のためにあるのだからな。……軍隊に入る、兵士になるということは、個人の感情で動くことは許されなくなるということでもある。たとえ君の目の前に件の友人が現れたとしても、接触を試みてはいけないと命令する可能性もある。それでも、兵士になりたいのかね?」
「───はい。ここで逃げたら、彼と向き合うことが出来なくなる。そんな気がするんです」
その言葉を聞き、ハルバートンは目を閉じる。
先ほど感じた印象とは逆に、目の前の少年からは力強さを感じられた。
覚悟については、どうやら杞憂だったようだ。
「いいだろう。キラ・ヤマトの正式な入隊を認める。正式な書類は後日渡すので、それまでは待機しておくように。……ムラマツ中佐、少し、残りたまえ」
「はっ。キラ君、悪いがすぐそこの休憩スペースで待っていてくれ」
「はっ、はい。えと、失礼しました」
キラが部屋から出たのを見計らって、ハルバートンはため息をつく。
「面倒な仕事を持ってきてくれたものだな、ん?」
「申し訳ありません……」
「なに、彼を私に会わせた理由はわかる。兵士短期養成プラン、特別コースへの割り込みをさせたいのだろう?」
ハルバートンの言う短期養成プランとは、文字通り兵士を短期間に、かつ大量に養成するためのプランである。
当初は半年での養成を目的としていたのだが、それでは遅すぎるとして、現在は3ヶ月で養成することが常となっている。
ヒルデガルダ達はこのプランの「MSパイロット養成コース」出身であり、このコースの修了者は基本的に伍長などの下士官として配属される。
ユージがキラに参加させたがっているのは、更に特別なコース。
軍において即戦力となり得る人物を、
修了すればすぐに少尉階級が与えられて実戦に投入されることになるコースだが、既に次回の参加受付は終了している。
そこで、ハルバートンから推薦を受けるという形でキラをそのコースにねじ込もう、とユージは考えたのだ。
「それだけではない、オーブへの事情説明も私に任せたい、というわけだ。他国の国民を兵士にするのだから、君の独断でことを進めるわけにもいかないからな」
「……おっしゃる通りです」
SEED原作においては『低軌道会戦』で命を散らした彼だが、やはり少将まで上り詰めただけのことはある。この程度のことは見抜けて当然といえば当然だ。
「まあいい、彼の力はたしかに魅力的だ。君の……いや、彼の望み通りにしてやろう」
「ありがとうございます、提督」
「よいのですか、提督?下手をすれば国際問題になりかねませんぞ?」
「どうにかしてみせるさ」
ホフマンからの釘刺しも軽く受け流すハルバートン。それを見たホフマンはかすかにため息をつき、今度こそ沈黙する。こうなった上司がテコでも動かないのは、既に理解していることだ。
「彼のような優しい若者が、戦争に出なければならない……自分で認めておきながら、心苦しいものだ」
「しかたありません、それが、戦争というものですから」
ここでユージは、あるセリフを思い出す。
「機動戦士ガンダム」の中でも、印象的だった言葉の一つであった。
やはり転生などしても、自分は『ガンダム』が好きだということなのだろう。
「大人の都合に子供達が振り回され、命が散っていく。───寒い時代だとは思いませんか?」
「まったくだ。……はやく戦争を終わらせ、良き時代を築かねばな」
”マウス隊” 専用オフィス
ハルバートンの部屋から出たユージは、なつかしのオフィスへと向かっていた。
まさかキラが自分から軍に入隊することを決めるのは予想外だったが、これでキラという最強クラスのパイロットを自陣に引き入れることに成功したのだ。
あとはキラを、連合内部の闇から守るために何をするかだが……。
そこまで考えたところで、オフィスの入り口に到着していたことに気付く。
「まずは、こっちだな……」
実はユージ、一つの
まあ、ここで部下達から聞けばいいだろう、と考えて入室する。
「いぇぇえぇぇぇぇあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ここがそう楽園さぁぁぁぁぁぁ!」
「チェエエエエエエエエエンジ!うるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「追撃のグランドヴァイパー!相手は死ぬ!」
ドアを閉める。
この付近の壁は防音素材で出来ているため、室内の音がシャットダウンされる。
落ち着いて、深呼吸。
さあ、マヤ君から話を───。
「ここか!ここがいいんだな!?ここに付けるぞぉぉぉぉぉぉ!?入ったぁ!」
「レッツパーリイ!ここが我らの、魂の場所だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
夢であってほしかった。
「隊長、あなたの帰還を心からお待ちしておりました……」
「マヤ君!……大丈夫かね?」
「有給休暇を使います。絶対使います」
目をかっぴらいて話しかけてくる、頼れる技術者は間違いなくマヤ・ノズウェル。
肩ほどまで伸びた茶髪はボサボサだし、コンディションが最悪なのは間違いない。
「アキラとブロントさんが持ってきた、”アストレイ”とやらのデータを見てから、あんな感じですよ……。ただでさえ忙しいっていうのに」
「あー……。っと、それだそれだ。マヤ君、いったいこの基地に何が起きているんだ?誰も忙しそうで教えてくれなかったものでね」
「ええ!?まだ知らなかったんですか隊長!?」
ユージから質問を受けたマヤは、まさかと言わんばかりに驚く。
それほど、重大な事態なのだろうか?
「……我々がいない間に、何があったんだ?」
恐る恐る聞くユージに、マヤは一瞬ためらい、そして口に出す。
「現在、地上のビクトリア基地にZAFTから2度目の大規模攻撃をしかけられています。問題は、攻撃に参加している敵軍の規模が、想定していた2倍以上で……。持ちこたえるのも限界に近いそうです。また、軌道上からの降下部隊の迎撃に向かった艦隊が大打撃を受け、現在はその再編と撤退してきた艦艇の修理などで忙しいんですよ」
1週間、待たせたなぁ!
リアルが立て込んでいるので、更新が中々進まんぞ……。
今回は結構駆け足気味でしたが、いちおう、これでキラの正式加入が確定しました。
サイ達は、どうしようかな状態ですね。
ていうか今回は適当過ぎる……。
ひょっとしたら、いつか大きく修正するかもしれません。
いよいよビクトリア攻防戦編が近づいてきましたが、いったいZAFTはどんな戦略で挑んできたのか?何故迎撃艦隊が逆に撃退されたのか?などは次回から説明していきたいと思います。
それと、小話をいくつかですね。
次回も1週間以内には更新したいですね。
それでは!
誤字・記述ミス指摘は随時受け付けております。
カウント、2
もう待ちきれん。