イザーク「おのれおのれおのれおのれぇ!」
(おらほの弘前さくらまつりが、新型コロナのせいで中止になってしまったはんで)
初投稿だ。んだ。
初投稿だはんで、ダイジェスト形式で今回は行くべ。
ぶっちゃけ”ヘリオポリス”編ってほぼ原作通りだから、描写するのタルイんすよね(ボソッ)
①クルーゼ、襲来
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”ヴェサリウス” 艦橋
「隊長、本当にやるのですか?」
「アデス、何か気に掛かることでもあるのかね?」
「いくら秘密裏に結託しているとはいえ、中立コロニーです。民間人を避難させるために、警告をしておくべきではないでしょうか?」
一般的な軍人のようなアデスからの指摘を、ラウは鼻で笑った。
いまさら何をためらう?何の警告も無しにというなら、既にこちらは10億人を、無警告に殺しているようなものではないか。
「連合軍は我々の敵だ。そして、オーブはその連合軍を受け入れて新兵器を開発している。もしそれが場所を貸すだけだったとしても、協力しているというのに違いはあるまい?ならば、オーブも我々の敵ということだ。軍事拠点の近くに民間人を住ませている方が悪い」
彼らは今、オーブが所有するコロニー”ヘリオポリス”の付近までやって来ていた。その目的は、『”ヘリオポリス内”で開発されている連合の新兵器を破壊、可能であれば鹵獲』というものだ。
それを聞いた時、ラウは感心した。無論、連合のやり方とオーブのしたたかさに、だ。
連合からしたら、ZAFTの目をほとんど気にすること無く、かつ、オーブの技術力を利用出来る。
オーブにしても、連合に技術協力することで、少なからず独自のMS開発技術を高めることが出来る。もしかしたら、秘密裏に技術盗用などもしているかもしれない。
両国とも実にしたたかで、自分の利益を追い求めている。
ZAFTはナチュラルを憎み、連合はコーディネイターを滅ぼそうとしている。中立を謳う国でさえ、独自の戦力を得るために秘密裏に肩入れをしている。
実に、ラウ・ル・クルーゼが好む展開だった。誰もが憎み合い、腹の内に何か隠している。
『人は滅ぶべくして滅ぶ』。人類に対する自身の結論が正しかったということを再認識出来る。自己肯定感に酔うのは、自分のような
「しかし……」
「アデス、いいかね?あそこで造られる兵器が完成したら、ZAFTが敗北してしまうと仮定する。そうなれば、プラントに住む同胞達を守れる者はいなくなるわけだ。あのコロニーに住む『敵国の民間人』と、『プラントの全ての同胞』。釣り合うワケがないのはわかるな?」
その仮定を防ぐための我々、そのための戦力だ。ラウはそう締めくくった。
現在、ラウは
本来”ツィーグラー”はここには同行せず、合流するのは『低軌道会戦』と呼ばれる戦いの時、そのはずだった。
これは連合軍が”テスター”を戦線投入し、ZAFTを押し返しつつある現在の戦況を鑑みた結果だ。最高評議会ではもっと多くの戦力を投入するべきだという意見もあったが、『仮にも中立コロニーに大軍を派遣するのは憚られる』という意見もあり、結果としてMS搭載艦3隻にMS15機という、
本来なら十分過ぎる戦力といえるが、そうとも言い切れないのがZAFTの現状だ。なにせ、”ヘリオポリス”で開発されている新兵器は、先日の『カオシュン攻防戦』で暴れ回った『カオシュンの悪魔』と同型かもしれないのだ。
いわく、単独かつ1回の戦闘で”ジン”や”シグー”を10機以上撃破した。
これまでのMSの常識から逸脱した距離から砲撃を行い、自軍艦6隻を損耗せしめた。
大気圏外から降下して即時に“ディン”を複数機撃破し、あのマルコ・モラシムをも撃退した。
そんな常識外れの能力を持つ機体が生み出されているやもしれないとあれば、この戦力では不安というのもうなずける話だ。
だからこそ『閃光』の異名を持つラウと、『黄昏の魔弾』ミゲル・アイマンを参加させることで、少しでも質的向上を図ったというわけなのだが。
「……わかりました。確実に仕留めねばならないとあれば、目をつむる必要があるということでしょう」
「わかってもらえて嬉しいよ、アデス」
ラウは、存外このアデスという副官が気に入っていた。上官に物申す場合はほとんど無く、あっても今のようにあっさり引いてくる。”ヴェサリウス”の艦長としての能力も十分。
扱いやすい駒というのは、いくらあっても困る物ではない。
「時間だ。作戦開始」
「作戦開始!MS隊、全機発進せよ!」
アデスの号令に合わせて、MS隊が発進していく。
既に小型のステルス輸送機が”ヘリオポリス”付近に到着し、原作通りにアスラン達を含む陸戦隊が潜入を開始している時間だ。彼らを支援するために、MS隊は飛び立っていく。
”ヴェサリウス”の望遠モニターが、”ヘリオポリス”から発進してくるMS隊の姿を捉える。やはり重要拠点だけあって防衛戦力を忍ばせていたようだが、極秘裏というだけあってその数は多くない。10に満たない程度といったところか。
(このままでは連合の一人勝ちに終わる、それは余りにも面白くないのでな。せっせと造っていた所を悪いが、台無しにさせてもらおう)
原作との相違点
①クルーゼ隊の戦力が強化された、しかし連合も秘密裏に防衛戦力を配置していたために、結果的にキラが相対する敵戦力は『質的に』原作とそう変わらないことになる。
②ブリッツ「これで何もかも終わりだ。任務、完了……」
”ヘリオポリス” 道路
「よし、これで制圧は完了だな?ならば……」
「お、おいイザーク?」
慌ててMSを運び出してきた輸送部隊を襲撃したイザーク達は、難なく制圧に成功していた。
曲がりなりにも中立コロニー内にMSを持ち込むワケにもいかなかったのだろう。護衛戦力はミサイル車両の”ブルドッグ”と歩兵くらいであり、”ヘリオポリス”侵入に成功した”ジン”からすればそれは容易くねじ伏せることが出来るものだった。
真正面から、しかも少数で立ち向かわざるを得なかった連合の通常兵器達は蹴散らされ、輸送部隊は完全に制圧されたのだった。
そして一人、横たわる連合のMSに走って行く兵がいた。
そう、イザーク・ジュールである。彼は、「連合の新兵器を奪取してみせた」という栄光を手に入れるために、自らそのMSを操ろうとしていたのだった。
「どんな機体かは知らんが、『カオシュンの悪魔』と同型ならば、相当なものなはずだ。これを手に入れれば、ナチュラルどもなぞ……!」
そのナチュラルが開発した機体というのは気に入らなかったが、この際細かいことは気にしない。
初出撃で軽度のPTSDを患ってしまったイザークは、ここに至って屈辱に耐えきれなくなった。
尊敬する母に心配をかけてしまったこと、初出撃で瞬殺されたこと、そのことで周りから密かに陰口がたたかれるようになったこと(普段から尊大だったイザークは、何人かの同僚からのウケが悪かった)。
ここで何か戦果を出さなくては、真性の笑いものだ。
イザークは灰色のMSのコクピットを開くことに成功し、その中に乗り込んだ。
「コクピット内確認、よし。トラップの類いは無いな。起動スイッチは……これか!」
イザークはそのMSの起動スイッチを探り当て、押し込んだ。
───
スイッチを押した瞬間、コクピット内がいきなり赤く点滅し始める。
「な、なんだ?」
何が起きたのかと思い、正面モニターを見るイザーク。
そこに映し出されていたのは、簡潔な一文。
『本機の自爆まで、残り10秒』
「……は?いや、待て、なにぃ!?」
そこは流石に、アカデミー第2位の成績を誇ったザフトレッド。モニターに浮かんだ文字を見た瞬間にコクピットから飛び出す。
「おい、いったいどうし──」
「逃げろディアッカ!こいつは自爆する!」
「はぁ!?」
とにかく、叫ぶ。そして、呼びかける。
───このMSから離れろ、と。
そして、10秒が経った時。
───ドゴオオオオオオオオオンっっっっっ!!!!!
MSは大爆発した。コロニーに穴を開けるというという程ではないが、その爆発は、イザークの呼びかけに対応できなかったZAFT兵を巻き込んで、ついでに近くに待機していた”ジン”に爆風を浴びせた。
「お前、イザーク!いったい何したんだよ!自爆装置の解除に失敗したか!?」
「違う、起動スイッチを押しただけでああなったんだ!何かする間もなかった!」
「落ち着いてください、二人とも!今は原因追及より、被害把握と救助です!」
ニコルにそう言われて周りを見てみれば、とっさに爆発から身を隠せる場所まで逃げられた自分達と違い、爆風から逃げられなかった兵士達が倒れているのが見える。
「そ、そんな……」
「イザーク、今は行動です!」
「あ、ああ。わかっている……」
イザークは、自分の行動によって生まれた被害に、呆然とした。
───なぜ、こんなことになってしまったのだ?
イザークを擁護するなら、けして彼だけが悪いワケではない。
彼らはMSを奪取するための訓練として、自爆装置を解除するための訓練も受けている。普通なら、原作通りに”ブリッツ”を奪取出来ていたはずなのだ。
原因はただ一つ。「連合が”ブリッツ”に対して、過剰とすら言えるセキュリティをかけていた」、ただ一点に尽きる。
”ブリッツ”の情報を目にした『とあるMS部隊の隊長』が、上司であるハルバートンを通じて、”ブリッツ”が奪取された時の危険性をヘリオポリス側に伝えたのだ。
その結果、現場の判断で、3つのセキュリティキーが用意された。それら全てを解除しなければ。
───何かコクピットのスイッチを押しただけで自爆。
───荷台から引き離しても自爆。
───装甲やパーツを剥がしても自爆。
───どうあがいても、自爆。
するようになっていたのだった。しかもそのセキュリティキーは、それぞれ離れた場所に勤務する技術士官が所持している。
つまり、イザーク達が”ブリッツ”の奪取に成功するには。
遠く離れた場所に存在する3つのセキュリティキーを使用して、それから行動しなければならなかった。
たとえ運搬していた荷台ごと持ち帰っても、その前提条件をクリアしていない以上、自爆する場所が母艦のいずれかになっていただけだったということだ。
しかし、そんなことをZAFTが知るわけがない。これは、完成直前になって現場の判断で導入したものなのだから。情報収集する間などない。
今回は、イザークが貧乏くじを引いてしまっただけのこと。しかし、失敗は失敗である。
斯くしてイザークには、「連合のMSの自爆装置解除に失敗し、味方に被害を出したアホ」という新たな汚名が追加されたのだった。
「この、イカレナチュラル共がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
原作との相違点②”ブリッツガンダム”、爆殺!
③変わらなかった筋書き
所変わって。
「くぅ、いくらPS装甲でも、このままじゃ……!」
「うわ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
”ストライク”は現在、マリュー・ラミアスの手によって動かされていた。”ブリッツ”のセキュリティが異常だっただけであり、こちらと”イージス”のセキュリティは通常通りのものとなっている。
連合軍にとって残念なことに、原作通り”イージス”は奪取され、現在はオレンジに近い色をした”ジン”と戦っている最中だった。
否、戦いというにはそれは余りにもお粗末な物だった。
「”ストライク”、なんで!?なんでもっと動けないの!?」
「……ああ、もう!どいてください!」
「あっ、君!」
「こんなところで、死にたいんですか!?早く!」
その剣幕に押され、マリューはシートからズレ、そこに少年、キラ・ヤマトが収まる。
「……!なんですか、これ!完成したプログラムに、まったく別の未完成なプログラムが干渉してる!ストライカーシステムってなんです!?」
「ストライカー……まさか!?」
本来なら”ストライク”も他の4機と同様のOSを積まれているので、ナチュラルのマリューでも十分に動かせる物になるはずだった。しかし、ここで問題が発生する。
”ストライク”に積まれたストライカーシステムは、当然だが使用すれば機体の重心が狂う。機体の外側にパーツを取り付けるのだから当たり前だが、“ストライク”はつい先日完成したばかりで、その重心調整プログラムの調整が完了していなかった。結果、元々完成していた『GUNDAM』OSのプログラムとストライカーシステム用のプログラムが干渉し合い、満足に動いていなかったというわけだ。
「問題点の洗い出しが間に合わない……!くそっ、こうなったら!」
干渉し合っているプログラム同士を調整している暇は、このMSに詳しくないキラにはなかった。よってキラは、決断した。
───今だけでいい!目の前のMSを倒せるだけの動きが出来れば!
結論から述べると、キラ達は勝利した。
キラは、素の状態のストライクを動かす、
ストライカーシステムも、ビームライフルも、サーベルも知ったことかと言わんばかりの代物であったが、なんとか”ジン”を退けることに成功した。
結果として、原作通りにキラは「瞬時にMSを動かすOSをくみ上げる能力」を示したり、「”ストライク”をキラ以外動かせない仕様にしてしまった」。
運命からは逃れられないということなのだろうか?
結局キラは、”ストライク”という『ガンダム』に乗って戦うことになったのだった。
ちなみにこの世界では、ムウはキラを見るなりコーディネイターかと指摘はしなかった。ナチュラルにも使えるOSが普及しており、”ストライク”を動かしただけで断定することは出来ないからだ。
その後”ストライク”のOSを瞬時にくみ上げたことをマリューから聞いて、それから指摘したというだけだが。
原作との相違点③”ストライク”はある意味原作よりもむちゃくちゃな方法で初戦をくぐり抜けた。悲しいことに、ただそれだけ。
④それは知っているよ、ムウ
”ヘリオポリス”付近 ”メビウス・ゼロ”コクピット
「持ちこたえてくれよ、”アークエンジェル”!」
ムウは一人、敵旗艦を奇襲する役目を果たすためにデブリの間をくぐり抜けていた。
現在、”ストライク”が敵MS隊を引きつけるために単独で”アークエンジェル”を守っている。自分の活躍次第で、あの艦の運命が変わってしまうのだ。責任重大である。
こそこそと、しかし先を急ぐムウ。まだか?まだだ。まだなのか……!
そして、時は来た。
「よーし、あれか!」
モニターには、水色の艦体が映し出されていた。間違いなく、敵旗艦の”ナスカ”級である。確認出来る敵艦の中で唯一の”ナスカ”級とくれば、旗艦と断定するに足る。
「早く戻んねーと坊主がやばいんだ!速攻で……!?」
瞬間、ムウは機体に回避運動を取らせる。つい先ほどまで”メビウス・ゼロ”があった空間を、銃撃が通過していく。
「この感覚は間違いない、クルーゼ!まさか、バレていたのか!?」
当然、銃撃を放ったのは”シグ-”を駆るラウだった。
原作では完璧に成功した奇襲が、なぜ失敗したのか?その理由は、単純である。
───誰しも、経験のあることへの対応力は高いということだ。
「まさか、君たちに感謝することになるとはね、”マウス隊”」
そう、モーガンがかつて実行した奇襲攻撃。あの経験がラウに、この奇襲攻撃を気づかせたのだった。
まさかZAFTと連合とのパワーバランスを、現在進行形でひっくり返しつつあるZAFTの仇敵に感謝する日が来るとは、ラウ自身も想像できなかった。
とにかく、これで奇襲攻撃は失敗に終わった。
「次はどうするのかね、ムウ?早く私をなんとかしなければ、『足つき』が沈むぞ?」
「なんでこのタイミングで、どんでん返してきますかね!失せろクルーゼ!」
この後ムウは、ガンバレル2機を失いながらもクルーゼの妨害をくぐり抜け、”ヴェサリウス”に痛打を浴びせることに成功した。
だがこの後、原作通りにキラを連れて帰ろうとするアスランを妨害した際に、残りの2機も破壊されてしまった。ガンバレルのない”メビウス・ゼロ”の修理は1日では終わらず、その結果、キラは次の戦いでアイク達が駆けつけてくるまで孤軍奮闘することになってしまったのだった。
原作との相違点④モーガンが奇襲攻撃をクルーゼさんに経験させていたせいで、ムウさん痛打。それ以外は概ね原作通り。(※イザーク達は”ジン”で出撃したけど、なんとか生き残った)
⑤????(連合側がまったく確認出来なかったが、確実に原作から変化したことがある。詳細不明)
ということで、色々すっ飛ばした”ヘリオポリス”編でした!
すっ飛ばした部分を見せろ?原作見ろ(無慈悲)。
あと、最後の変化点。これはいずれ明かすつもりですので、聞かれても答えられません。ご了承ください。
雑だし短いしで申し訳ないが、今回はここまで。次回から本編に戻ります。
まずは、ヘリオポリス待機組との合流ですね。
首を長くしてお待ちください!
誤字・記述ミス指摘は随時受け付けております。