模型戦士ガンプラビルダーズビギニングR   作:級長

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 ヴェイガンとは?
 ヴェイガンとは、AG(アドバンスドジェネレーション)世界の地球連邦が推進した火星移住計画の失敗により、火星圏に取り残された人々が作り出した、新たなる国家である。
 連邦が14年間太刀打ち出来ないほどのモビルスーツを作るほど高度な技術を持つ。
 厳しい環境で生きることを強いられた彼らは、指導者イゼルカントの下、大いなる計画を企てたのだ。
 というか、ヴェイガンも強いられていたんですね。ていうかヴェイガンって、携帯だと打ちにくい(ヴが出しにくい)から書く方も不便を強いられているんだ!

 ヴェイガンのモビルスーツ一覧

 〇ガフラン
 ヴェイガンのモビルスーツで作品に初めて登場したモビルスーツ。アセム編では『天使の落日』から14年、『コウモリ退治戦役』から25年と実践投入から実に39年経っているが今だ現役。そしてキオ編ではセカンドムーンの警備でまだまだ現役。その後もマーズレイ対策の無人機として現役。
 ガンダム史上、一番息の長いモビルスーツである。
 〇バクト
 重装甲を備えたモビルスーツ。しかし、自慢の装甲もフリット編終盤になると、最初は防いでいたガンダムのビームサーベルでスパスパ斬られて、軍事的に産廃と化した。そのせいか、あまり量産されていない。
 ファーデーンで見せた小キックが後のゼイドラキックのヒントとなる、はず。
 〇ゼタス
 高速機動を得意とするモビルスーツ。ただし、毎回出る度にバラバラにされる。ゼハートのゼタスRではそんなことなかったし、パイロットのデシルがダメなのだと思われる。マジシャンズ8もあっという間に全滅だし。
 〇ファルシア
 AG世界で初めてファンネルを実用化した機体。バンダイはガンプラ化を強いられるべき。というのもアセム編開始直後の話。フリット編終了からしばらく後、ガンプラ化。次はフォーンファルシアだ……。
 〇デファース
 腕なんて飾りの機体。ネタ的にあれだし、書くことないや。キオ編では念願の地球に降り立ったぞ!
 〇ドラド
 特徴的なドラゴンモードへの変型を排した機体。実戦投入数が少ないせいで、一世代前の機体が負担を強いられているんだ!
 〇ゼイドラ
 赤くて三倍に仮面とお約束を注ぎ込んだ機体。アステロイドを駆け抜けるシーンは印象的だが、シャアのオマージュと思われるキックのシーンは派手にやり過ぎである。このキックは後継機のギラーガに引き継がれる。
 〇クロノス
 ゼイドラと同系統の機体。パイロットが機体を壊すことで有名なデシル兄さんだったため、半壊。改造材料のAGが品薄なため、HGでプラモ化強いられ要員。
 〇ギラーガ
 ゼイドラの後継機。槍を持っており、ビットも飛ばせる。後にゼハートの部下、レイルにキック共々譲られる
 〇ダナジン
 「この恐竜野郎がッ!」
 〇ゴメル・ウロッゾ
 ズゴック的な何か。AGEは地球のシーンが少ないため、出番が少ないことを強いられる。
 〇グルドリン
 レモン。一応、パイロットは絶賛して持ってったらしい。パワーは伊達ではなく、少数が完成型のゴールデングルドリンパーフェクトとして量産され、戦後は作業に使われた。
 〇ガンダムレギルス
 ヴェイガンダム。敵が作ったガンダムとしては、敵の量産機のフォルムが入れられるなどデザインが評価される。のにゼハートは最終戦で約1分足らずでアセムにボコられる。OVAでは赤く塗られ、ゼハートがちゃんと強いせいであの2人だけ異次元レベルの強さに。アセムが強すぎなんや……。
 〇ヴェイガンギア
 久しぶりの非ガンダムでラスボス。なのに扱いが悪い。プラモ化出来そうに無いデザインなどが原因か。ガンダム以外のラスボスはテレビシリーズだとVガンダムのゴトラタン以来で、間に00ファーストシーズンの金ジムがいるくらいで、シリーズ全体のラスボスとしては実に久しぶりなのだ。ターンXはガンダムって呼ばれてないけど、ターン∀のお兄さんなら多分ガンダムだろうが、これをガンダムに入れなくても久しぶりには変わらない。


8.養護教諭からの挑戦状

 天上高校 保健室前

 

 「果たして、噂は本当なのか……!」

 「なあ雪菜……、帰らないか?」

 天上高校の保健室前、雪菜のテンションに対して灰音のテンションは低かった。

 「今日、黒い犬を見たんだ。これはきっと、死亡フラグだ!」

 「ガイアガンダムは保健室にいないよ?」

 灰音は今日の朝、黒い犬を見かけたのだ。そういう日は決まって、良くないことが起きる。

 「さあ入りましょう」

 雪菜は灰音を置いて図書室へ入る。雪菜が確かめたかった噂とは、保健室にガンプラが展示されているというものだ。

 最近、養護教諭の先生が変わっていろいろ保健室に改造が加えられているのだとか。

 「さあ、行くよ。灰音くん」

 保健室に入った雪菜は、そこで噂通りの光景を目にした。棚などにガンプラが飾られている。主に00系キットばかりなのは、養護教諭の趣味なのだろうか。

 「凄いな。素組だけど、部分塗装にシール貼り、墨入れが的確だ」

 「ベースまで用意してる」

 灰音も死亡フラグを忘れて見入る。雪菜はアクションベースまで用意して飾ってあることに注目した。

 「あなた達は……、模型部の人?」

 ガンプラに見入る二人に、後ろから声をかける女性がいた。この人が今の養護教諭だ。かなりの美人で、生徒から人気がある。

 「このガンプラを作った人ですか?」

 「そう。集会で挨拶したけど会うのは初めてよね。私はリディア」

 雪菜に聞かれ、養護教諭は自己紹介する。金髪の西洋美女で、白衣がやたら似合っている。日本語が流暢だから、育ちは日本なのだろうか。スタイルも良く、男子から人気な理由がわかる。

 「なんでこんな大改造を?」

 「趣味よ。私、子供の頃イギリスから引越して来て日本語がわからなかったの。でも、ガンダムのおかげで日本語がわかるようになったってわけ」

 よくある海外オタクにありがちなパターンで日本語を学んだ様だ。ガンプラバトル世界大会に出る様なファイターは大体日本語が話せるらしい。

 「そうそう、模型部なら頼みがあるんだよね」

 「へ?」

 「こっちこっち」

 リディアはそう言うと、物陰から一人の少年を引っ張り出した。小学生くらいの、金髪の少年だ。

 「この子は駿河改。わけあって私が預かってるの。身体が弱いからあまり友達とも遊べなくてね、この子にガンプラを教えて欲しいんだ」

 駿河改という少年は、表情も暗い。身体も痩せていて、病弱というのも確かなのだろう。

 「ガンプラを?」

 「うん。作り方は万全だから、バトルの方をね」

 模型部がリディアに頼みたいのは、ガンプラバトルのレクチャー。それくらいならと、雪菜と灰音も引き受けた。

 「頼もう! 模型部!」

 「な、なんだ?」

 その瞬間、保健室の扉がバーンと開かれた。保健室に入ってきたのは三人の女子生徒。

 「生徒会会計の鷹野ルナと、その仲間である山茶花シホにステラか!」

 「会長の指示で、模型部覚悟なさい!」

 「あっちも三人。練習相手にはちょうどいいや」

 灰音はちょうど三人いる敵を見て、駿河のレクチャー相手にちょうどいいと判断した。

 「練習相手って! ま、まあ、体育館にバトルシステムあるからとりあえずそっち行きましょう」

 「バトルシステム買ったんだ……」

 雪菜と灰音、駿河はルナに連れられて体育館に向かう。天上高校の体育館は2階建てで、道場など多数施設が併設されている。

 その中でも、一際小さい部屋があった。冷暖房完備ながら、単に設計上のデッドスペースを潰すためだけに用意された部屋のため、今まで使われてなかったのだ。

 小さい部屋とはいえ、バトルシステムはいくつかのものを繋げた、所謂中型のバトルシステム。世界大会の地区予選で用いられるタイプのものだ。

 「バトルを始めるわよ」

 相手のガンプラは、ルナがソードインパルス、シホがシグーディープアームズ、ステラがガイアガンダムだ。模型部はいつものダブルオーとジルスペイン、駿河はエクシアを使う。

 『Please set your GP-Base』

 全員がGPベースをセット、バトルにはこれが必須だ。

 『Beginning [Plavsky particle] dispersal. Field1,Space』

 フィールドはスタンダードな宇宙。ガンプラをセットしたらバトル開始だ。

 『Please set your GUNPLA』

 「星影雪菜、ダブルオーガンダムセブンソード/G! 目標を駆逐する!」

 「荒屋灰音、ジルスペイン! 出るぞ!」

 「駿河改、ガンダムエクシア! 目標を駆逐する!」

 『BATTLE START』

 雪菜と駿河は機体が同じパイロットのものであるため、発進シークエンスがどうしても似通る。

 宇宙空間に出るとまず、相手のシグーが駿河のエクシアを狙う。初心者を狙って手数を減らす作戦か。

 「来たぞ! 落ち着いて相手をよく見るんだ」

 「落ち着いて……相手をよく見て……」

 灰音のアドバイスで駿河はシホのシグーと交戦を開始する。ビームをシールドで防ぎ、冷却時間の間に接近する。

 「しまった!」

 「よし!」

 GNソードでシグーを切り裂き、出だしは好調。だが、灰音の背後に影が迫っていた。

 「邪魔だー!」

 「ぬおぉっ!」

 「灰音くん!」

 ガイアガンダムが灰音のジルスペインを背後から切り裂いた。だが、弾薬を大量に積んだジルスペインは誘爆で通常より大きな爆発をもたらす。

 「そこっ!」

 爆風で周りが見えなくなったガイアガンダムを雪菜が撃ち抜く。灰音は無駄死にではなかったのだ。

 「シホ! ステラ!」

 ルナはあっという間に孤立無援。初心者がいると侮ったのがまずかったか。

 「よくも!」

 ルナはソードインパルスで駿河のエクシアに切り掛かる。だが、どれも綺麗にかわされていた。

 「相手をよく見て……」

 「わぁ、改くん凄い!」

 相手をよく見ただけでここまで攻撃を回避できるのは、駿河が稀有なセンスの持ち主だからなのだろうか。ほぼ素組み故に機体性能の低さがネックとなるエクシアだが、それを逆手に最小の動きで回避する選択をしたのだ。

 「見える!」

 駿河はGNソードを捨て、ビームサーベルを刀の様に両手で持ち、インパルスを真っ二つに切り裂いた。インパルスは断面が綺麗だからか、すぐ切れずにエクシアが離れてからようやく切れた。

 「しょ、初心者相手なのに……」

 「なるほど、ローテンション故に落ち着いて対処出来たのね」

 雪菜は駿河の強さを分析する。ガンプラバトルはどうしても熱くなりがち。だが駿河はテンションの低さからか冷静にバトルを進められる。初めてのバトルでも緊張しないほどで、駿河の冷静さは目を見張るものがある。

 この圧勝の影には、ルナ達がまだバトル慣れしていないというのもあるだろう。インパルスなどは素組みで、駿河みたいに墨入れをしていない。組み立て技術の差も出ていた。

 勝利とは複数の要因が積み重なって発生する現象だ。雪菜もそれを知っていた。

 『BATTLE END』

 バトルが終了した。真っ二つにされたインパルスはビームサーベルで切られたおかげか、倒れているくらいで目立った破損は無い。ガンプラバトルは凄い勢いでブンドドしているようなもので、ビーム兵器の方が相手のガンプラに与える損傷が少ない。

 実体剣はプラスチックがぶつかっているが、ビームサーベルはプラスフキー粒子が変容したエフェクトに過ぎない。

 「も、もう一度よ! 負けたままじゃ終われない!」

 「はは、すっかりガンプラバトルに夢中だな」

 ルナはインパルスを拾い、再びセットする。駿河もエクシアをセットした。

 「何だかんだ、みんなガンプラが好きなのね」

 雪菜も、敵対していた生徒会がガンプラの魅力に気付いてくれたので嬉しそうだ。ルナも生徒会長の命令で戦ったに過ぎず、ガンプラを憎んでいるわけではないのだ。

 

 生徒会室

 

 「そうか、ここにいたのか」

 生徒会長は生徒の名簿を見て、ある名前に辿り着いた。その名前は『星影雪菜』。

 「私の将来の成功を約束したジーニアスレギオン崩壊の主犯がこんなところに……ふふ、これは運命だ」

 生徒会長はかつて、天才としてジーニアスレギオンに所属していた。神童と持て囃された生徒会長だが、当時はジーニアスレギオン崩壊の意味がよくわかっていなかった。

 ただ、こうして数年生きただけで大きな損失であったという事実に彼は気付いた。天才計算少年であった生徒会長は当然の様に小学校をお受験。しかし彼が優れていたのは計算だけだった。協調性に欠けるとして、全てのお受験に失敗した。

 次に中学を受験したが、自身の能力を過信した生徒会長はこれにも失敗。得意なのは計算だけで、それ以外の教科は平均点までしかいなかいのだ。

 今度こそはと高校を受験したが、有名進学校に全て不合格。そこでようやく、ジーニアスレギオンの大きさに気付いた。天才の種であった自分が適切に育成されていれば。そればかりを考えて過ごした。

 そして、ジーニアスレギオンが回避しようとしたガンプラによる世界の滅亡、『アリアンショック』への対応に全てを注ぐことを決意した。その第一段階が模型部の取り潰しだ。

 「星影雪菜! 貴様は私が倒す!」

 生徒会長は逆恨みに近い理由でガンプラと雪菜を憎んでいた。果たして、アリアンショックは本当に訪れるのだろうか。それは誰にもわからない。




 解説
 アリアンショック
 ジーニアスレギオンが予見したガンプラによる世界の滅亡。その実体は非常に胡散臭いものであった。
 「こんな才能の無い人間がここまで会社を興せるわけない」と、半ば言い掛かり的にマシタ会長を疑ったジーニアスレギオンは彼の部屋に盗聴器をセットした。これは即座にベイカーが撤去したが、彼らはその短時間に頻出した『アリアン』という言葉に注目した。
 量子コンピューターでアリアンショックが発覚したなどというのはハッキリ言うと嘘である。単にPPSE社へのやっかみに過ぎない。ただ、この事実を知るのはジーニアスレギオンでもごく一部である。

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