模型戦士ガンプラビルダーズビギニングR   作:級長

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 主役ガンダムのビルドファイターズにおけるバリエーション
 初代:???
 Z:Zガンダム炎
 ZZ:???
 逆襲:νガンダムブレイヴ
 F91:ガンダムF91イマジン
 クロスボーン:クロスボーンガンダム魔王
 V:???
 W:ウイングガンダムフェニーチェ
 X:ガンダムX魔王
 G:???
 ∀:???
 SEED:ビルドストライクガンダム
 SEED運命:???
 00:ガンダムアメイジングエクシア
 AGE:???


レポート8 ゼータのZはジオンのZ?

 前夜祭 ガンプラバトル大会

 

 ガンプラバトル選手権世界大会の決勝戦前夜祭では、連日ガンプラバトル大会が行われていた。システムの調整を兼ねて、大型バトルシステムでのロワイヤル戦が今日の目玉だ。

 「ガンプラマイスターだかなんだか知らないが!」

 ガンダムF91とセイバーガンダムの合いの子みたいな機体、セイバーガンダムF91がベースジャバーから降りて雪山を滑降するネクストカラミティに対し、ライフルでビームを放つ。カラミティはビームを回避し、サーベル二刀流のためにセイバーガンダムF91がビームシールドを解除したところをロングバレルのライフルで撃ち抜いた。

 「つ、強い!」

 スマルトロンのバーニアとブシドー専用機のサーベルを装備したアヘッドが爆煙を呆然と眺めていると、煙からカラミティが現れてナイフでアヘッドの頭を突き刺し、ライフルでトドメを刺す。

 「クソッ!」

 2機が瞬殺されたことで焦ったベースジャバーに乗るアデルがドッズライフルのバレルをパージして接近戦に移ろうとすると、そこをすぐさまライフルで撃ち抜かれた。

 「ま、こんなもんかな?」

 『目標沈黙。甲子園の出場選手に比べると木っ端ばかりね』

 ネクストカラミティのファイター、坂井秀一はナビゲートを受けながら戦闘していた。最近、急に現れて坂井の家のパソコンに住み着いた、謎のAI『オメガブレイン』。彼女にナビゲートを任せていた。

 『ラスト1! 敵は色変えただけのZZ! 所詮は宇宙世紀史上主義の懐古厨!』

 オメガブレインの外見は青いパーカーを着た青髪の少女。本人曰く『ネットでAIっぽい外見拾って来た』らしいが、なんか最も面倒臭い厨房を敵に回しそうな気がしていた。

 オメガブレインという名前では呼びにくいため、長篠高校の仲間達で『ユウナ』という名前を与えた。

 「ユウナ、ただの懐古厨ならあんな機体チョイスするか? ガンダムの懐古厨はジオニストを併発している場合が多い」

 『緑一色のカラー、調色はザクと同じ。目がモノアイね』

 坂井は敵の機体に違和感を感じた。ただのZZではない。目はネクストカラミティと同じモノアイだ。とにかく、先程乗り捨てたベースジャバーに乗って接近してみる。

 『ミサイル確認! ミサイルの雨くらいでビビるな!』

 「この程度なら!」

 ユウナがミサイルを確認する。坂井はバインダーからサブマシンガンを取り出し、それを両手に持ってミサイルを叩き落とした。ベースジャバーの粒子砲や胸部のスキュラ砲も使い、撃ち漏らしはない。

 『敵接近!』

 「させるか!」

 ハイパービームサーベルで接近戦を試みるZZに対し、坂井はベースジャバーを乗り捨てて距離を取る。まだ抜いていないサーベルを拾ったライフルで破壊し、手にしたサーベルは切り掛かって来たところを叩き落とす。

 ツインビームライフルを、二つのビームの間に入り込んで回避し、カラミティはライフルで射撃する。だが、相手もただ者ではない。正確な射撃を最小の動きで避け、カラミティに蹴りを放つ。カラミティはそれを屈んでかわし、バーニアを蒸して一気に距離を離した。

 『あのマニューバ!』

 「ああ、イオリ・タケシに似てるな」

 ある程度進んだところでターンし、射撃戦が始まる。互いの攻撃はまるで当たらず、遂に弾切れ。

 『もう弾が無いよー! ん? いいもの発見!』

 そこで坂井のカラミティが向かったのは、タクティカルアームズを装備したレッドフレームの残骸。無事だったタクティカルアームズを拾い、ガトリングに変形させて相手に撃つ。

 ZZもスローネツヴァイの残骸からGNバスターソードを回収し、カラミティへ向かっていた。

 ガトリングを避けたZZはバスターソードで切り掛かる。カラミティはタクティカルアームズを大剣モードに変形させ、それを受け止めた。

 ガンプラの残骸から武器を回収する戦いがしばらく続き、その日はタイムアップとなってしまった。

 

 『いやー、白熱した戦いでしたねー』

 「全くだ。甲子園にもいないぞ、あんなハイレベルな選手」

 「ありがとうございます!」

 激闘の後、坂井とユウナは件のファイターと打ち解けていた。ファイターは茶髪の女の子で、名前はイオリ・ジュウカという。10歳くらいの少女であるが、なかなかの腕前だ。

 「イオリ? 世界大会の決勝に出る、イオリ・セイと同じ苗字だな」

 「私、公式審判員のお父さんに会いに来たんです」

 『へー、なるほど。イオリで公式審判員となると、イオリ・タケシが父親か』

 ユウナの力で、ジュウカが探している父親の居場所はすぐにわかった。公式審判員のライセンスがネットに接続出来るため、GPSで場所が特定出来る。

 『いたいた』

 「あそこか」

 ユウナの案内で辿り着いたのは、『ガンダム料理コンテスト』の会場。今まさに、決勝戦が行われている最中であった。

 『白熱してきました決勝戦! 優勝候補の一角、コウサカ・チナ選手のベアッガイⅢオムライスを下した直江遊人選手! 「テーマがテーマならやられていたのはこちらだ」と語っていましたが、はたして今回のダークホース、イオリ・リン子選手を倒せるのか?』

 「なんだこれ」

 まるでよくわからない大会に、坂井が困惑する。ユウナは検索し、何の大会かを突き止めた。

 『ガンダムをテーマにした料理大会みたいだね。準決勝でコウサカ・チナ選手がベアッガイⅢオムライスを出したけど、遊人はどうやったのかヨーグルトソースとチリソースが選べるケバブを繰り出して勝ったみたい。イオリ・リン子選手は普通の野菜炒めだったけど、なんと塩が使われてなかった』

 つまり純粋な料理以上に、いかにガンダムネタをぶっこむかの勝負である。

 「待っててねチナちゃん! 今、お義母さんが仇討ってあげるからね!」

 「ナンセンスだな!」

 決勝戦に出て来た料理は、スープである。どちらも似た様な料理で、審査員も困惑していた。

 「これは……」

 「そうか! イオリ選手のスープはパラオでギルボアさんの家族が食べていたもの、直江選手のスープはセカンドムーンでアノン兄弟が食べていたものだ!」

 「おお、さすがメイジン!」

 審査員が困る中、メイジン・カワグチはスープの元ネタを言い当てる。カワグチは特別審査員として参加していた。

 「今回はレベルが高いぞ。逆に言えば、決勝でこれしかネタが残らなかったということだからな」

 「では早速いただきましょう」

 試食した審査員が出した答えは、当然の結果だった。

 「直江選手のスープは味が薄いですね」

 「逆にいえば再現率は完璧、ということですが」

 「ネタ性が互角だと味が決め手になります」

 「パラオのスープは味が濃いですが、設定通りでも美味しくいただけます」

 「あのガンプラ一家にネタ勝負は無謀でしたかね?」

 「準決勝は塩無し野菜炒めでしたが、あれはネタ性で上回ってましたからね」

 優勝は満場一致でイオリ・リン子に決まった。遊人はネタの選択ミスで敗北したのだ。料理の腕自体は互角だったはずだ。

 「この俺が……負けた? だが、まだ終わらんよ! 明日にはガンダム弁当対決がある! 明日が本当の決着だ!」

 遊人は捨て台詞を吐いてステージを去る。だが、舞台裏に行っただけでこの場を離れたわけではない。

 「凄いよ母さん!」

 「やったなママさん」

 「チナも惜しかったね」

 セイ、レイジ、アイラがステージに残るリン子とチナに駆け寄る。タケシは誇らしげに言った。

 「さすが、僕の奥さんだ!」

 「もう、あなたったら」

 微笑ましい家族の様子であるが、そこにアイラが混ざっている辺りタケシも彼女を引き取ることに賛同したのだろう。あまり細かいことは気にしない一家である。

 「お父さん!」

 『今はマズイ!』

 「ま、待てよ!」

 ジュウカが堪らず走り出したのを、坂井は止められなかった。ジュウカはタケシに飛び付いた。

 「え?」

 「あなた、どういうこと?」

 そのワンアクションで夫婦の間に不和が生じた。レイジとチナはいろいろ察したみたいだが、セイとアイラはよくわかっていなかった。

 「まぁ、アリアンじゃよくあることかな」

 「アリアン怖い……」

 王族であるレイジにとって、修羅場は見慣れたものである。セイは生粋のガノタであるため、あまりこういう状況に馴染みが無い。30年続くガンダムシリーズでも修羅場は珍しい。

 SEEDのキラとサイ、フレイの関係にしても、0083のコウとガトーを翻弄した宇宙世紀三大悪女の一人、ニナでも、夫の隠し子が発覚するパターンはシリーズでも前例が無い。

 中学生くらいを対象に作るアニメ故、そんなドロドロした昼ドラみたいなシーンはやらないものだ。

 「よし、ニルスくんを呼ぼう」

 セイはニルスを呼び、ニルスにタケシとジュウカの髪の毛を採取させてDNA検査をしてもらうことにした。ニルスは催眠療法の件でセイに借りがあるため、快く引き受けてくれた。

 

 「DNA鑑定とやらを待つ間に、状況を整理しようか」

 「レイジ、なんだか手慣れてるね」

 ニルスの鑑定を待つ間、レイジがこの状況を纏めた。セイも普段とは違うレイジの様子に戸惑った。案外、アリアンの王子という話も嘘ではないのかもしれない。

 「訴訟の仲裁は王族の仕事だからな」

 『で、まずジュウカとタケシに面識があるのかって話だ』

 ユウナが話を切り出した。ジュウカとタケシは互いに首を横に振る。

 『とりあえず、本当に親子か、似ているところを探してみようか。並んで並んでー』

 スマートフォンからのアナウンスに従い、ジュウカ含むイオリ家が整列する。アイラは物珍しそうにユウナ、というかスマートフォンを見る。

 「日本の家電って凄いのね」

 「これは市販品じゃないぞ」

 坂井はユウナの特殊さを嫌というほど理解していた。突然現れたプログラムがすんなり市販のスマホに入るなどということがあるのだろうか。

 『写真取って顔調べたけど、結構タケシとジュウカは似てるよね』

 「うーん、じゃあ他に似ているところ探そうか」

 坂井はフリップを出した。それはアニメ『機動戦士ガンダム』のワンシーン。ホワイトベースのオペレーター席だ。

 今でこそオペレーターは注目されているが、ホワイトベースのオペレーター、オスカーとマーカーを区別するのは至難の業だ。これが出来たらガノタでもトップクラスの実力者だ。

 「うん、こっちがオスカーであっちがマーカーだね」

 「完璧だ……!」

 ジュウカはそれに答えてみせた。坂井には解らなかったが、セイの反応から正解であることが伺える。

 『じゃあ、次はガンプラアピールタイムだ。セイとジュウカは自分のガンプラを解説して』

 ユウナが次に示した課題はガンプラのアピール。何を見るつもりなのだろうか。

 「じゃあまず僕から。ビルドガンダムMkⅡは幻のガンダムMkⅡ5号機で、これもエゥーゴに奪取されたんだ。元々はジオンの残党狩りを目的に設立したティターンズの機体で、ビルドブースターMkⅡはギャプランの構造が参考になっていてね、ガンダムMkⅡは従来の素材を装甲に使っていたけど僕のは違う! ほらここ、新しい素材が使われているんだ」

 セイは所謂『目がしいたけ』状態でビルドガンダムMkⅡの解説をした。次に、ジュウカによるダブルゼータガンダムの解説だ。

 「このダブルゼータガンダムはジュドーがハマーンの誘いに乗ってネオジオンに行った際、識別の為に塗装し直したものなんだ。頭部はネェルアーガマを抜け出す際、かつての仲間と戦闘になって破損したのをネオジオンのパーツで直したからモノアイなの」

 ジュウカの解説もセイ同様に『目がしいたけ』状態で行われた。ここまで来ると、他人の空似では済まない。

 「一体どうしたら……」

 「大変です!」

 坂井達がすっかりお手上げになっていると、そこにニルスが戻って来た。

 「ジュウカさんとタケシさんの間にDNAの一致が認められませんでした」

 「え?」

 「僕の推測ですが、恐らくジュウカさんは何者かに騙されているのでしょう」

 ニルスがDNA検査の結果を持って来た。ジュウカとタケシはDNAが一致しないらしい。

 (僕の準々決勝の時、どうやらPPSEはプラフスキー粒子の秘密を知るセイくんかレイジくんを大会から排除したがっているらしいことがわかった。つまり、ジュウカさんを騙したのはマシタ会長だろうか)

 「何を言っている! そいつはお前の父親だ!」

 ニルスが推理を巡らせていると、物陰から企業連ワークスチームのイワサキが出て来た。

 「お前は……誰だっけ?」

 「企業連ワークスチームのイワサキだ!」

 坂井は旅館の一件でイワサキと面識があるのだが、すっかり忘れていた。

 「あ、私に父親のこと教えてくれたのも企業連だったよ」

 「では、第二回大会チャンピオンのスキャンダルでガンプラバトルのイメージ低下を狙う企業連の犯行で決まりですね」

 ニルスはジュウカの話を聞いて、大体の事実を理解した。企業連はジュウカをタケシの隠し子扱いして、スキャンダルを作ろうとしていたのだ。

 「これはどういうことだ!」

 「スキャンダルじゃなかったのか?」

 イワサキの後ろに週刊誌の記者が待ち構えていた辺り、ニルスの推理は当たっていた。

 「お前達、嘘でも書くんだよ! 全員で書いちまえば嘘も本当になる!」

 『録音録音っと』

 イワサキは勇ましく指示を出したが、ユウナに全て録音されていた。

 「親を想う子供の心を踏みにじるなど、許せませんね」

 「全く、語るに落ちるな企業連」

 『企業連絶対ぇ許さねぇ!』

 ニルス、坂井、ユウナが怒りをあらわにし、イワサキを睨む。

 「許せないのはこちらの方だ、ニルス・ニールセン! 天才でありながらガンプラバトルに現を抜かすなど、言語道断! 最高峰の頭脳を持つなら、科学者の模範であるべきだ!」

 「言いたいことはそれだけですか。ならば、ガンプラバトルで勝負です」

 ニルスはイワサキにガンプラバトルを仕掛けた。そこに、どこから来たのか駿河改がバトルシステムを持って駆け付けた。

 「話は聞かせて貰った。企業連は殲滅する!」

 「バトルシステムってキャスター付いているですね」

 こうして、ニルス&駿河VSイワサキ達企業連ワークスチームの戦いが始まった。

 『Please set your GP-Base』

 「待て、俺もやる!」

 「よくも騙してくれたね! 私もやる!」

 『やめときなよ。あんたらのガンプラ、ボロボロじゃん』

 坂井とジュウカが名乗りを挙げたが、二人のガンプラは先程の戦いでかなり破損していた。

 『Beginning [Plavsky particle] dispersal. Field5,City』

 選ばれたのはコロニーだった。企業連も二人チーム。2対2の戦いだ。

 『Please set your GUNPLA. BATTLE START』

 「戦国アストレイ、参ります!」

 「エクシアパラディン(仮)、目標を駆逐する!」

 ニルスの戦国アストレイと駿河のエクシアがコロニーに降り立った。エクシアはディープスペック改というだけあり、既存のディープスペックにアヴァランチユニットをいくらか装備した姿だ。

 ユニットの内、腕のパーツを外すことによってGNソードを取り回し易くしたのだ。

 「来ます!」

 「ヘッ、所詮雑魚だろ!」

 イワサキのストライクストライカーと、初めて見る機体がいた。ユニコーンガンダムの改造機らしい。ユニコーンは早速、デストロイモードに変形した。

 黒いカラーに赤いサイコフレーム。バンシィのキットはユニコーンにパーツを追加したものなので、本体用のバンシィとサイコフレーム用のユニコーンを揃えれば塗装無しでこの姿を作ることは可能だ。

 「オラッ!」

 駿河がストライクストライカーをGNソードで攻撃したが、それは弾かれてしまった。ニルスが斬っても結果は同じだった。

 「貴様らが近接主体なのは織り込み済みだ! このユニコーンはハッキングチップとの組み合わせで周りの近接攻撃を無効化出来る!」

 「そんなのありかよ!」

 ニルスがありとあらゆる技を試しても効き目無し。システムそのものに干渉するハッキングチップは効果絶大だ。

 「ライフルくらいあるよ!」

 駿河はGNソードをライフルモードにして応戦。だが、申し訳程度のライフルではシールドに防がれてしまう。

 「手の打ちようがありませんね。システムに細工されると」

 ニルスも戦国アストレイの角を外し、頭部バルカンで戦う。だが、近接主体のガンプラにこれは厳しい。

 「フーハハハハ! 死ねぇ!」

 ユニコーンのパイロットは調子に乗り、ビームマグナムを構えた。その時、何処からか飛んで来たビームに射抜かれた。

 「グオッ! だが一発では……」

 何とかユニコーンは持ち直したが、次に二本のビームが同時に飛んで来て、ユニコーンは撃墜された。

 「ウギャアア!」

 「あれは!」

 ユニコーンを落とした機体をイワサキは見付けた。なんと、ベースジャバーとZZのツインビームライフルが飛んで来たではないか。

 「ベースジャバーが無事だったのを忘れていた」

 「ライフルにもコクピットあるんだよね」

 坂井とジュウカがそれを操縦していた。意外過ぎる解決策だった。ベースジャバーにも操縦席があり、航空機として使える。ZZのライフルにコクピットがあるのは有名な話だろう。

 「クソ! 乱入とは卑怯な!」

 「お前が言うな!」

 イワサキのストライクストライカーはエクシアの攻撃を受けてしまう。GNソードでビームスピアを切られ、武器を失った。

 「ハッキングシステムが無いと、こんなものですか」

 ニルスのアストレイが刀でストライクストライカーをバラバラに切り刻んでいく。手足を斬られ、胴体を両断された。

 『BATTLE END』

 「チッ、覚えていろ! お前達がデカイ顔出来なくなる日はもうすぐだ!」

 負けたイワサキはストライクストライカーを回収し、捨て台詞を吐きながら逃亡した。ユニコーンを操縦していたメンバーはユニコーンを回収せずに逃げた。

 「ハッキングですか、調べる必要がありそうですね」

 ニルスがそのユニコーンを拾い、ハッキングチップについて調査することにした。

 

 「本当に大丈夫なの?」

 「はい。元々、美杉さんのところへ行く途中に寄るだけのつもりだったので」

 リン子が心配していたが、ジュウカは特に問題なさそうだった。彼女は母の死後、母親の知り合いである心理学者の美杉義彦に引き取られることになった。

 「困ったらいつでも来てね」

 「ママさんもこう言ってるし、いつでも頼れよ」

 リン子とレイジはジュウカにこう言った。そんな発言を聞くと、やはりレイジは王族なのだと再確認させられる。

 「また会おう! ガンプラを続けていれば、もっと沢山の出会いがあるさ!」

 「ガンプラしてなかったら、結局騙されたとはいえ、こうして会うことは無かったんだしね」

 タケシとセイも、ジュウカを見送った。

 「うん! お父さん、私もっとガンプラ作る! お兄ちゃんも世界大会頑張って!」

 企業連の陰謀により引き合わされた家族であったが、ガンプラはそれを乗り越える力をくれる。

 「企業連、尚更叩かないとな」

 『今ハッキングで株価操作してる』

 坂井とユウナは打倒企業連を誓った。駿河やニルスも、その思いは一緒だった。

 「完成させるさ、エクシアパラディンをな」

 「戦国アストレイにも改良を加えたいですね。今回は危なかった」

 「ニルス! こんなところにいましたの?」

 そこへニルスを探していたキャロラインが現れた。ニルスは心底驚いたという。

 「き、キャロライン?」

 「あ、キャロちゃん!」

 「キャロラインよ! それより行きますわよ」

 チナといつものやり取りをして、キャロラインはニルスを連れていく。みんな、ガンプラが繋げた仲間達だ。

 

 企業連からガンプラを守る戦いは、ある事件をきっかけに決戦へ向かおうとしていた。




 『アリスタ暴走! どうなるガンプラバトル』
 先日行われた第7回ガンプラバトル選手権世界大会の決勝戦後、プラフスキー粒子の元になる鉱石『アリスタ』が暴走。会場が破壊される事故が起きた。
 事故自体はファイター達の活躍により大惨事とならず収束した。マシタ会長とその秘書が行方不明となったが、単に雲隠れしただけではないかと役員は会見で発表した。この事故に反応したのはヤジマ商事と企業連である。
 ヤジマ商事はPPSEを取り込み、ガンプラバトルの存続に向けてニルス・ニールセン氏を中心としたプロジェクトを立ち上げると発表した。企業連は事故により『アリスタ』を危険物質と認定、残るバトルシステム内のプラフスキー粒子を回収、処分する準備を進めている。
 正反対の対応を見せた二つの組織、果たして民衆の賛同を得るのはどちらか。

 OREジャーナル配信記事より

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