組織概要
我々は天才による集団であります。その存在意義は天才を発掘し、伸ばすことです。
その最終目的は、我々が開発した演算コンピューター『ゼロ』が予測したガンプラによる世界の終末『アリアンショック』を回避することです。
東京都 某大学
「馬鹿な……馬鹿なッ!」
「もう帰っていい? 7時にアニメ始まっちゃうから」
東京のとある有名大学。そこではある実験が行われていた。辺りに紙が散乱し、多数の学生がうなだれる。教授は満足げに様子を見ている。
一人の幼い女の子が部屋を出ようとする。その手に握られた紙には、複雑な計算式がプリントされていた。そして、答えだけがポツリと書かれている。
「これほど複雑な計算式を暗算でこのスピード……。天才か?」
女の子は部屋を出てしまう。教授はしばらく思案する。そして、報告書を書き上げる。
「星影(ほしかげ)雪菜(ゆきな)。ジーニアスレギオンのメンバーに相応しい天才を見つけました」
「教授……本気ですか?」
生徒の一人が教授に詰め寄る。ジーニアスレギオンの名前を聞いて、生徒は顔色を変えていた。
「私ですら入れない天才集団に何故、あんな子供が……」
「だから天才なのだよ、彼女は」
教授は生徒を諭す。天才集団『ジーニアスレギオン』。彼らには特別な意味があるのだろうか。
「特殊演算実験でわかったろう? 彼女は大学入試レベルの計算問題を、やり方を1回教えただけで飲み込み、暗算したんだ。天才だよ」
「ですが……」
「君もしつこいな。だから君は凡才なのだ。ジーニアスレギオンの四天王である私には君のしつこさが理解出来ない」
教授は生徒をいなし、研究室を出た。ここまでの天才を手にいれた功績に満足しながら。
3日後
「馬鹿な……馬鹿なッ!」
しかしそのわずか3日後、教授は路頭に迷っていた。自らが推薦した少女をジーニアスレギオンなる組織に招いたら、その少女に重要なメインサーバーを破壊されて組織が壊滅した。何が起きたのか教授には解らなかった。
「何が……起きてる?」
自分は何処で間違えたのかも解らず、教授は路上にうずくまる。
星影雪菜という女の子の才能を伸ばすため、彼はあらゆる知識を彼女に与えた。しかし、雪菜はホームシックから与えられた知識を悪用、メインサーバーをハッキングし、破壊してしまった。
何重にも重ねたセキュリティも破壊されていた。何故才能を伸ばすことを拒絶するのか、解らない。
「こんなのでは世界は終わる! 演算コンピューター『ゼロ』が予測したガンプラによる世界の終わり、『アリアンショック』は防げない!」
教授の絶望は、行き交う人々に聞こえない。ガンプラを買い求め、喜ぶ人々の群れが彼には恐怖の光景にしか見えなかった。
アリアンからの侵略軍が世界を焼く日が、近づいているというのに。
演算コンピューター『ゼロ』
ジーニアスレギオンの精鋭が開発したコンピューターです。あらゆる情報を入力することで、未来予知に等しい予測が可能です。
(ジーニアスレギオン紹介パンフレットより)