魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダークウガ 繋がる絆【第十章】

ESM05は、近接格闘戦と防御力の強化を図った特殊装備である。

 

素手による攻撃よりも、打撃力を増す為の、トンファーとしての形状。

 

そしてそのトンファーの取っ手の部分に、設けられているスイッチを押す事で、棒状の部分を展開させる事により、形状は盾へと変わり相手の攻撃を防ぐ防御壁となる。

 

「……凄い装備ですね……これ」

 

ESM05を使用して、爆発を防ぎ切ったE2本人が、驚きの声を上げた。

 

[「そうでしょう!私の自信作なんだから当然よ!」]

 

E2の言葉に対して、恵美は自信満々に言い放つ。

 

「……また、面倒なものを出してきたね!」

 

爆発の衝撃を防ぎ切ったE2の姿に対して、ボマーは仮面の下で苦笑いを浮かべながら、先程以上の数の爆弾の生成を開始する。

 

[「次が来るわよ!長谷川君!」]

 

「はい!!!」

 

爆弾を生成し始めたボマーの姿を、カメラ越しに捉えた恵美が、通信機から注意を促す。

 

E2は恵美の声に返事を返しながら、ESM05を構えて、ボマー目指して駆け出した。

 

「近付かせない!」

 

駆け出したE2に目掛けて、ボマーが叫びと共に、自らが生成した爆弾を放る。

 

[「長谷川君!!!」]

 

「分かってます!!!」

 

恵美の言わんとする理由を逸早く察したE2は、すぐさま楯状のESM05を、爆弾の投げられた方向に構えると、走る速度を緩める事無く、寧ろその速さを上げて、自ら突っ込んで行く。

 

盾に触れた爆弾が、その衝撃により、小規模の爆発を引き起こすが、E2はその爆風を盾で遮りながら走り続け、ボマーの眼前へと辿り着いた。

 

「あの爆風を、掻い潜った!?」

 

爆煙の中から現れたE2に対して、ボマーは驚愕の声を上げる。

 

そして爆弾の嵐を駆け抜けて、敵であるボマーの眼前へと辿り着いたE2は、もう一度、取っ手部分のボタンを押す事で、ESM05の盾状に広がっていた部分が、元の棒状に戻り、トンファー形態へと戻る。

 

「はああああああああああ!!!」

 

更にE2は、トンファー状になったESM05を振り被り、強烈な一撃をボマーの顔面へと繰り出す。

 

その攻撃を回避しようと試みるボマーではあったが、自身が生成した爆弾の爆発によって発生した、爆煙によりE2の接近を知る事が遅れた為に、行動がワンテンポ遅れてしまう。

 

「ぐわっ!?」

 

トンファータイプのESM05により、素手の一撃よりも多少だがリーチの伸びた一撃が、ボマーの顔面を捉えて、後方へと吹き飛ばす。

 

[「さっきのは、中々良い一撃だったわよ!」]

 

ESM05と共に、拳を振り抜いたE2に、恵美が賞賛の言葉を送る。

 

「畳み掛けます!!!」

 

恵美の賞賛に対して、E2は答える間も惜しんで、ボマーへと追撃を仕掛ける為に、再び駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で攻撃が効かないのよ!?」

 

E2とボマーが戦っている一方で、ガンナーがタイタンフォームとなったクウガに対して、光弾の嵐を浴びせ掛けながら叫ぶ。

 

ガンナーの叫び通り、クウガは大地を踏締めるが如く、ゆっくりではあるが、確実に一歩一歩、その足を進めていく。

 

「小手先の技が駄目なら……これでどうかしら!!!」

 

今のクウガに対して、多少の威力では足止めにすらならないと判断ガンナーは、遠距離戦から格闘戦へと切り替える為に、射撃を止めてクウガへと急接近する。

 

「私のパンチは凄いわよ!!!」

 

「ん!!!」

 

そう宣言すると同時に、手甲を装備して威力を増しているガンナーの右拳が、クウガの胸部へと叩き込まれるが、クウガは、その一撃をノーガードで迎え撃つ。

 

「まだまだ終わりじゃないわよ!!!」

 

クウガの対応に気分を良くしたガンナーは、更に二撃、三撃と拳を容赦無く叩き込んで行くが、それが彼女の驕りだったという事に、未だ気付いていない。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

クウガはガンナーの拳の連打を浴びせ掛けられながらも、これから繰り出す一撃の為に、全身の力を上段に構えた、ESM02を変換して作り出した、タイタンソードへと注ぎ込む。

 

「さっさと倒れなさいよねええええ!!!」

 

自身の繰り出す連続攻撃に対しても、退く様子を見せない事に、業を煮やしたガンナーは、今まで以上に大降りに腕を振り被り、大きな威力を誇る一撃を繰り出そうとする。

 

しかしその一撃が、クウガに届く事は無かった。

 

「うをおおおおおおりゃあああああああ!!!」

 

クウガが最大級に溜め込んだ力を乗せて、タイタンソードを振り下ろしたのである。

 

「甘いわよ!」

 

しかしガンナーも、この攻撃は予め予測しており、笑い混じりに言いながら、繰り出した拳止めると同時に、もう片方の拳を交差させて、下半身の重心を低く構え見事な防御姿勢を取った。

 

ガンナーの考えとしては、クウガの一撃を防ぎ切り、その隙にカウンターとなる一撃を叩き込む手筈でいた。

 

そして予想通り、頭上から振り下ろされたタイタンソードが、ガンナーの構えた手甲へと吸い込まれて行く。

 

「これを防げば私の勝ちよ!!!」

 

その瞬間に勝利を確信したガンナーが宣言するが、ここで彼女にとって予想外の事態が発生する。

 

「な、何なのよ!?この力!?」

 

クウガの一撃を受け止めたガンナーに対して、その一撃を直接受け止めた手甲部分を伝い、予想していた以上の衝撃が全身へと駆け抜けたのだ。

 

ガンナーはクウガの攻撃を、決して軽んじていた訳ではない。

 

それなりの高い威力と、自身の防御に自信を持っていたからこそ、この作戦に踏み切ったのだ。

 

ただクウガの繰り出した一撃が、その予想を大きく上回っていた。

 

それだけなのである。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおりゃあああああああああああ!!!!!!!」

 

そしてクウガは、ガンナーの防御に構う事無く、無心で更なる力を、その叫びと共に、己の信じる一撃へと込める。

 

「……もう……これ以上は……きゃあああああ!?」

 

その攻撃は、ガンナーの耐えられる限界を超えて弾き飛ばし、渾身の力で振り下ろされたタイタンソードは、コンクリートで固められた地面に突き刺さり、新たに大きな亀裂を生み出した。

 

「……な、なんて馬鹿力よ……ちょっと、嘘でしょ!?」

 

クウガの放った予想外の威力を持つ一撃で弾き飛ばされたガンナーが、クウガに対して驚愕の言葉を口にするが、その途中である異変に気付き、更なる驚愕に、その声色を染める。

 

タイタンソードによる一撃を受け止めたガンナーの手甲に、大きな亀裂が走っており、その亀裂は加速度的に広がって、終には手甲そのものが、粉々に砕け散ってしまったのだ。

 

「……嘘でしょ……」

 

その瞬間にガンナーは、放心気味に呟くのと同時に、自身が現在戦っている相手が、己よりも格上の戦士である事を思い知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クウガとE2が其々の戦いを優位に進める最中、車椅子を壊されて、移動手段を失ってしまったはやては、その戦いの推移を見守っていた。

 

「五代さん!!!長谷川さん!!!負けたらあかんよお!!!」

 

はやては自分を守る為に戦ってくれている、二人の仮面ライダーへと、精一杯の声援を送る。

 

五代が目の前で変身した事に、心から驚いたはやてではあったが、はやてにとっては、ただそれだけの話だった。

 

確かに五代が、普通の人間とは言えない存在なのかも知れないという事を、はやても理解はしているが、五代とはやての出会いの経緯を考えれば、今更という感想しか抱くだけだったのである。

 

何よりもはやては、この一週間という時間の中で、五代が優しい心の持ち主だという事を知っていた。

 

その五代が、自分を守ると言ってくれたのである。

 

だからはやては、自分の為に戦ってくれている五代、仮面ライダークウガに、そして後から駆け着けてくれた、もう一人のライダー、仮面ライダーE2に、精一杯の応援をするのが今の自分が出来る事だと信じて、声を張り上げ続ける。

 

「頑張ってええええ!!!って……きゃああああああああああ!?」

 

しかしはやての声援は、次の瞬間には悲鳴へと変わってしまう。

 

それはクウガとE2が劣勢に追い込まれたからという訳ではない。

 

「は、離して……」

 

声援を送り続けるはやてを、後ろから羽交い絞めにした、ガンナーとボマーに続く、第三のはやてを狙う者の仕業であった。

 

その者は、灰色の包帯を全身に巻き付けており、ミイラを彷彿とさせた姿で、頭部の瞳は血の様な、真紅の色で輝いているホルダーである。

 

更に付け加えて、このホルダーが唯一ミイラと、決定的に違う部分を挙げるとすれば、それは背中から生えた二枚のコウモリに近い黒い翼ぐらいのものだ。

 

しかもその翼は、はやてを羽交い絞めにすると同時に、大きく羽ばたかせて、その身体を闇が支配する空へと浮ばせ始める。

 

「あれは……ホルダー!?」

 

はやての悲鳴に反応したE2が、ボマーに追撃する手を止めて視線を上に向けながら叫ぶ。

 

「はやてちゃん!?」

 

それに続き、クウガも振り向き様に叫ぶと同時に、はやてを助ける為にこの場を離れて、はやてとホルダーの後を追おうとするのだが……

 

「私が簡単に、ここを通すと思ってるのかしら?」

 

クウガの一瞬の隙を突いて、劣勢となっていたガンナーが、クウガの進行方向に回り込み、行く手を塞いでしまう。

 

「……この先は通さない!」

 

E2の方も同様に、ボマーがはやてとの間に回り込んで、ガンナーとほぼ同じ内容の言葉を言いながら、その進路を遮る。

 

「五代さーん!長谷川さーん!」

 

二人のライダーが、はやての元に辿り着けないで居る間にも、はやての助けを求める声が段々と遠く、小さくなっていく。

 

このままでは、はやてを連れ去られてしまう。

 

クウガとE2の脳裏に同じ考えがよぎったその時、夜の闇を一迅の光が駆け抜けて、はやてとホルダーの元へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

港での戦いを終えて、俺達がハンターと同様の二つの反応が確認された地点に、急ぎ向かっていたその時である。

 

『マスター!現在向かってる地点に、新たなホルダー反応だ!』

 

ベルトの形状をしているメカ犬から、更なる混乱をもたらす報告をされてしまう。

 

「本当かメカ犬!?」

 

『うむ!間違い無い!更にこの反応は少しずつ遠ざかっている……この周囲の建築物を無視した移動方法は……恐らくだが空を飛んで移動しているな』

 

「空を飛んで……」

 

はやてちゃんが狙われているという事実を考慮すると、この状況はかなり拙いかも知れない。

 

『それでマスター、このまま目的地を目指すの?それとも、新しいホルダー反応を追った方が良いのかしら?』

 

俺とメカ犬の話を聞いていたチェイサーさんが、俺にこの先の行動指針を求めて来た。

 

チェイサーさんの言う通り、俺はどちらに向かうかを、今すぐに選ばなければ行けない。

 

恐らくは、どちらに向かったとしても、戦いになる事に変わりは無いだろうが、現状の流れによって、この選択はかなり大きな意味をもたらす事になるかもしれないのである。

 

「なあ、メカ犬」

 

『どうした?マスター』

 

俺はメカ犬に一つだけ、確認を取る事にした。

 

「ホルダー反応が、俺達の向かっていた方向から離れて行ってるって言っていたけど、最初にあったハンターと同質の反応は、二つともまだその場所に残っているのか?」

 

『……うむ。マスターの言った通りだ。離脱して行くのは、ホルダー反応が一つのみで、残りの二つは今も同じ場所に留まり続けているぞ』

 

メカ犬は、俺の質問に淀み無く、事実を俺にも分かり易く説明してくれた。

 

「それなら……俺達が追うべきなのは、多分だけど移動を続けているホルダー反応の方だ」

 

『あら、何でそう思うのマスター?』

 

『うむ……』

 

俺の決断に対して、チェイサーさんが、質問を投げ掛け、メカ犬はその場で考え込む。

 

「確信がある訳じゃないんだけど、多分今も動かずに居る二つの反応は、足止めだと思うんだ」

 

メカ犬の言っている事が、全て正しいのであれば、あの二つの反応は、ハンターと一緒に居た仮面ライダーに違い無い筈である。

 

はやてちゃんには、全力で戦えない状態かもしれないとは言え、クウガに変身出来る五代さんが付いているのだ。

 

更に其処へ、E2が駆け着けて居れば、並みのホルダーではどうにもならないだろう。

 

足止め出来る力量があるとすれば、余程強力な能力を秘めたホルダーでない限り、オーバーとメルト位の筈である。

 

その二人が出て来ていないという事は、その役目をハンターと一緒に居た二人の仮面ライダーが勤めていると考えるのが最も合理的な判断だと言える。

 

「奴らがあの場に留まって、足止めをしているとしたら、その場所を離れて行くホルダーは、重要な役目を担っている可能性が高いと思うんだ」

 

『……そうか。マスターの読みが正しいとすれば、今ワタシ達が追わなければならないのは、確かにホルダーの方で間違い無いな』

 

俺の言葉から全ての考えを察したのであろう。

 

メカ犬が俺の意見に賛同する。

 

『目的地が決まったなら、飛ばすわよん?』

 

「お願いしますチェイサーさん!!!」

 

急遽として目的地を変更した、俺達は夜の海鳴市を駆け抜けて行く。

 

そして俺の予測は……

 

夜空を飛ぶホルダーを、目視で確認出来る場所にまで辿り着く事で、正しかったのだと証明されたのである。


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