魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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仮面ライダーシード&仮面ライダーW ミックスワールド・クライシス【第十二章】

「ぐっ!?」

 

アクセルがエンジンブレードで斬りかかるが、その凄まじい斬撃を、ホルダードーパントは意図も容易く刀身を素手で受け止めてしまう。

 

「その手を離せ!」

 

そこにE2がESM01を乱射しながら、接近するが、ホルダードーパントは、一片の戸惑いすら見せる事無く、エンジンブレードと一緒に、アクセルまでをも巻き込んで放り投げる。

 

ホルダードーパントの狙いは的確であり、E2は放り投げられたアクセルと、正面衝突を起こしてしまった。

 

「何て強さだ!?」

 

「何時ものホルダーとは格が違う……」

 

立ち上がり態勢を整えながら、アクセルとE2は、ホルダードーパントの強さに驚愕しながら言葉を零す。

 

だが相手は、そんな二人に対して、立て直す時間を惜しんでか、更なる追撃を開始する。

 

このホルダードーパントの最も恐ろしい部分は、単純ではあるが、純粋に高められたその力だった。

 

人の身体を素体とした、ホルダーを使っていたとしたのであれば、また結果は違っていたかもしれないが、実際は抜け殻とも言える、ホルダーモドキである。

 

しかしだからこそ、余分な思考を一切せずに、常に全力で、目的を果たすまで標的と戦い続ける、脅威の存在となっていた。

 

「気に入ってもらえたみたいで僕も嬉しいよ!」

 

「私達からの心ばかりの贈り物だ。精々頑張ってくれ」

 

ホルダードーパントと戦うアクセルとE2に対して、オーバーとメルトは、そう捨て台詞を一つ残すと、この場から立ち去って行く。

 

「でも良いの?メルト。折角ここまで実験を進めたのに、途中で放置しちゃってさ」

 

「ふん。確かに惜しくはあるが、これはあくまで実験だ。全てを円滑に行えるとは、最初から思ってはいないさ」

 

「まあ、僕は面白ければどっちでも良いんだけどね」

 

「それにもう片方にも、置き土産を置かせてもらったからな。それが上手く行けば、まだこの実験が成功する可能性も残っているだろう」

 

「そっか。メルトは色々考えていて偉いな~」

 

「お前が全く考えないで行動するからだろうが……」

 

戦いの場を去りながら交わされる、怪人達の会話を耳にする者は、誰も居なかった。

 

この場から二体の怪人の姿が消えたとしても、激しい戦いは尚も続いている。

 

「は!」

 

「たあ!」

 

アクセルとE2は果敢に、ホルダードーパントへの攻撃を何度も試みるが、その攻撃は中々届かない。

 

「なんてタフな奴なんだ」

 

「こっちの攻撃にこれだけ耐えるなんて……」

 

二人の仮面ライダーは、一旦ホルダードーパントから距離を取り、呼吸を整える。

 

「あの、一つ僕から提案があるんですけど、良いですか?」

 

不意にE2が、アクセルに言葉を投げかけた。

 

「何だ?良い案があるなら、早く言ってくれ」

 

アクセルの同意を得たE2は、自身の考えを述べ始める。

 

「僕達が単体で向かっていっても、あまり効果的なダメージが与えられませんでした。それなら……」

 

そこまで言った所で、アクセルもE2が言おうとしていた真意に気付く。

 

「つまり俺達で連携攻撃を仕掛けようという事か」

 

「はい!」

 

二人は互いに頷きながら、今までとは明らかに違う戦い方を実践する。

 

まずはアクセルがエンジンブレードで、ホルダーゴーパントに対して前衛を勤めながら、E2は後方からESM01で援護射撃を行う。

 

しかしこの戦法では、先程とさほどの違いは無い。

 

違うのはここからだ。

 

アクセルは、再びエンジンブレードを、ホルダードーパントに掴まれると同時にその手を離して、バックステップで距離を取る。

 

その隙にE2はアクセルの援護射撃を続けながらも、マシンドレッサーにまで近寄り、マシンドレッサーの収納スペースから、新たな専用装備を取り出す。

 

「お願いします!」

 

「任せろ!」

 

E2の声に呼応する様に、アクセルが返事を返しながら、アクセルドライバーを外してから、自身をバイクフォームへと変形させた後、一気にE2の元へと駆けつける。

 

「乗れ!」

 

「分かりました!」

 

アクセルの声に、E2は頷きながら、素早く跨ると、アクセルはE2を乗せた状態で、ホルダードーパントの周りを一定の距離を保ちつつ、走り続ける。

 

「これでも喰らえ!」

 

バイクフォームのアクセルに跨った状態のままE2は、マシンドレッサーから取り出した装備をホルダードーパントに向けて発射する。

 

E2がマシンドレッサーの収納スペースから持ち出した武器はESM04。

 

この武器には先端にマシンアームが取り付けられており、発射すると同時に特殊合金製のワイヤーが射出される仕組みとなっている。

 

そのマシンアームは見事に、ホルダードーパントの腕を掴む。

 

「今です!」

 

E2の声を合図に、バイクフォームのアクセルは、ホルダードーパントを中心に周囲を回る様に走り続ける。

 

それに伴い、ESM04から伸びるワイヤーが、複雑にホルダードーパントの全身へと巻き付き、その動きを大きく阻害していく。

 

ホルダードーパントが身動き出来なくなった事を確認したE2は、装備していた用済みとなったESM04を手放して、アクセルから飛び降りると、アクセルもほぼ同時に、バイクフォームを解除する。

 

「これで終わりにしましょう!」

 

「ああ!」

 

二人の仮面ライダーはこの戦いを終わらせる、最後の一撃を放つ為に準備を開始する。

 

『ブレイクチャージ』

 

E2は左腰に取り付けたマガジンをESM01に装填して、標準をホルダードーパントに合わせて、引き金を引いた。

 

射出された黄色い光弾は、網目状に広がりながら、ホルダードーパントに覆い被さる事で、全身に絡まるワイヤーに伴い、更に身体の動きを束縛する。

 

それを確認したE2が、ESM01を右腰のホルスターに収めると、黄色い光が右足へと集約していく。

 

『アクセルマキシマムドライブ』

 

アクセルはドライバーの右側のグリップ部分、パワースロットルを捻ることで、メモリの力を、極限まで引き出す。

 

「振り切るぜ!」

 

その言葉を合図にして、二人の仮面ライダーは、一気に駆け出した。

 

ホルダードーパントの目前まで走ってきたアクセルとE2は大きく跳躍する。

 

アクセルは、炎を纏い、タイヤの跡の様な軌跡を描きながら、後ろ回し蹴りを、同じくE2も右足に黄色い光を纏いながら、同時に回し蹴りを繰り出す。

 

「「はあああああああああああ!!!!!!」」

 

同時に放たれた必殺の一撃は、ホルダードーパントに直撃して、大きな爆発を引き起こした。

 

塵となって跡形も無く消え去った、ホルダードーパントを確認したアクセルとE2は、お互いの右拳を軽く打ち合わせながら、この戦いで自分達が勝利を収めた事を、改めて確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風都タワーに着いた俺とWは、すぐに急いでバイクから降りると、目的の物を探し始めていた。

 

前回は謎の杭が地面に突き立てられていた訳なのだが、地球の本棚で検索をしたフィリップ君の話によると、今回は違う形で、エネルギーの放射を行うのだそうだ。

 

だから俺達は、この風都タワーで見慣れないものが無いかを重点的に探し始める。

 

『妙だな……』

 

「何が妙なんだよ?」

 

探している最中にそんな呟きを漏らしたメカ犬に、俺は意味が理解出来ず質問した。

 

『気付かないかマスター。この建物の付近に来てから、周囲に人の気配を全く感じないのだぞ』

 

「……確かに。ここは風都のシンボルとも言える場所だからね。常に誰かが居たとしてもおかしくない筈だ」

 

「寧ろ誰も居ない今が、異常だって事か?フィリップ」

 

メカ犬が口にした疑問に、翔太郎さんと、フィリップ君も、頭を悩ませる。

 

『マスター上だ!!!』

 

突如としてメカ犬が声を上げる。

 

その声に逸早く反応した俺とWが上空を見上げると、空を飛ぶ一体の異形が此方に、凄まじいスピードで急降下しながら、突っ込んできたのだ。

 

俺達はそれをどうにかギリギリのところで、回避する事に成功した。

 

「一体なんだっていうんだよ!?」

 

あまりにも唐突な事態に戸惑いながらも、俺は前を見据える。

 

その異形は俺の見た事の無い容姿をしていた。

 

太古の時代を生きた翼竜、プテラノドンに良く似た姿をした人型である。

 

何かしら怪人だという事は分かるのだが、俺は今までこんな怪人は今まで視聴してきた仮面ライダーのどのシリーズでも、見た事が無いのだ。

 

もしかしたらホルダーという可能性もあるが、それにしては、ホルダーの存在を感知出来る筈のメカ犬の反応が遅過ぎた。

 

だからその可能性は限り無く低いだろう。

 

そして何よりも、今問題とすべき事は、目の前の怪人が、明らかに俺達への敵意を持っている事だ。

 

「こいつを倒さないと、先に進めないって事か……」

 

もうあまり時間にも余裕が無いというのに、ここまで来て足止めを食うのは、かなり不味いかもしれない。

 

「ん?最近あれと似た様な奴を見た気が……」

 

戦闘態勢を整える最中に翔太郎さんが、何かを言おうとしたその時である。

 

横から黒いカラーリングが施された一台のバイクが突然飛び出してきて、謎の怪人を跳ね飛ばした。

 

しかも跳ね飛ばされた怪人は何枚もの銀色に輝くメダルを辺りに撒き散らす。

 

その光景を見て、俺は一つの答えに辿り着いた。

 

メダルの怪人……それを俺は、知っている。

 

怪人を跳ね飛ばしたバイクは急停車して、バイクから降りると、すぐさまヘルメットを外した。

 

その人物は、何処かの民族衣装を彷彿とさせる服を身に纏っている青年。

 

忘れよう筈も無い。

 

間違い無くあの人だ。

 

「よう。また会ったなオーズ」

 

翔太郎さんは、青年を見て、軽く挨拶を交わす。

 

「ええ、俺達って何気に縁があるのかもしれませんね」

 

それに対して、オーズと呼ばれた青年は、朗らかに挨拶を返す。

 

「ところで何か急いでるみたいですけど、この先に何かあるんですか?」

 

「ああ。何処かの馬鹿な連中が、とんでもないものを置いていったらしくてな」

 

「そういう事なら、ここは俺に任せて先に行ってください」

 

「良いのか?」

 

「ええ。俺は元々あいつに用があって来ましたから」

 

翔太郎さんとの会話を最後にそう言って締め括ると、オーズと呼ばれた青年は、怪人と俺達の間を遮る様に立ち塞がった。

 

「悪いな」

 

翔太郎さんはそう言った後、俺達に先に行こうと促してくる。

 

「前にも言ったでしょ。ライダーは助け合いだって」

 

急ぎこの場を離れる俺達の耳に、青年の言葉は俺の脳裏に、深く印象的に残り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シードとWが、この場から離れるのと、時をほぼ同じくして、先程の青年が乗っていたのと同型のバイクがやって来た。

 

「映司!勝手に先に行くな!」

 

バイクから降りた柄の悪い金髪の青年は、着いて早々怒鳴り声を上げる。

 

その怒りの矛先である青年の名は火野映司《ひのえいじ》。

 

元々は世界各国を旅していたのだが、ある理由から暫くの間、一時的に旅を中断して、日本に残り続けている。

 

そしてもう一人、映司に怒りをぶつけていた、柄の悪い青年の名はアンク。

 

明らかに日本人な顔立ちをしているが、これには色々と複雑な事情がある。

 

右手だけが人外な形状をしているのも、その複雑な事情の一つと言えるだろう。

 

「悪かったって。それよりもメダル!早くしないとヤミーが何処かに行っちゃうって!」

 

アンクが怒鳴るのは既に日常茶飯事となっている為か、映司は飄々とした態度で受け流す。

 

一瞬だけヤミーに視線を向けて、何かを考えるアンクだったが、すぐに舌打ちをして、映司に三枚のメダルを投げ渡した。

 

その間に丸い窪みが三つ設けられた物体、オーズドライバーを腹部に巻き付け、ベルト状にしており、アンクが投げ渡した三枚のメダルを受け取ると、そのオーズドライバーの窪みの部分に、一枚ずつ差し込んでいく。

 

向かって左側から順番に、赤、黄、緑と全てのメダルを差し込み終わって、平行だったそれを斜めにずらしてから、映司は次に、腹部に巻きつけたオーズドライバーの、右腰部に取り付けられている丸い物体、オースキャナーを手に取る。

 

その先端を先程メダルを入れて斜めにずらしたオーズドライバーに、上からスライドさせていくと、淡い光を発した。

 

最後に映司は、両腕を斜めにクロスさせて力ある言葉を口にする。

 

「変身」

 

映司がその言葉を口にした次の瞬間、通常ではありえない現象が巻き起こる。

 

幾重にも出現した、様々な色のメダルを模した光が、映司を覆い、最後に上から順に三つの一際大きなメダルを模した光が正面に映し出される。

 

それと同時に、謎の声も聞こえてきた。

 

『タカ・トラ・バッタ』

 

そうすると、映司の全身が光に包まれてその肉体を変化させていく上に、何処からか不思議な歌と音楽が流れ出す。

 

鷹を彷彿とさせる頭部に、虎に類似した腕部と、飛蝗をモチーフとしているのであろう脚部。

 

様々な姿がそこには内包されている。

 

いまここに立っているのは一人の戦う戦士。

 

仮面ライダーオーズ。

 

それがこの戦士の名前である


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