魔法少女リリカルなのは~ヘタレ転生者は仮面ライダー?~   作:G-3X

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ライダー戦記編 2

襲い掛かるドーパント達。

 

それに対して、俺達も全力で迎え撃つ。

 

まずその中でも最初に動いたのはモモさんだった。

 

「行くぜ良太郎!」

 

「えっ!?」

 

モモさんは良太郎君の許可を得る前に、良太郎君の身体に憑依する。

 

すると普段の優しい風貌の良太郎君の雰囲気がガラリと変わり、髪の毛は逆立ち赤いメッシュが入る上に、瞳の色までが赤く染まってしまう。

 

「丁度、退屈してたんだ! 派手に行かせてもらうぜ!」

 

モモさんは良太郎君の身体を操り、周囲のドーパント達を蹴散らしていく。

 

それに続き、翔太朗さんも迫り来るドーパント達の攻撃を掻い潜り、蹴飛ばし拳を繰り出す。

 

これだけでも無双に近い勢いではあるけれど、それでもドーパント達の数は多い。

 

当然ながら、俺やメカ犬の前にもドーパント達はやって来る。

 

『この!』

 

そんな中で、一番先頭に居たドーパントに対して、メカ犬が飛び掛かる。

 

「俺も行くか!」

 

この状況下で、俺だけが見学している訳にはいかない。

 

メカ犬が視界を遮ったドーパントに対して、俺は一気に駆け寄り、腕を掴み、そのまま一気に飛び乗って両足で肩を固定して一気に捻り強引に引き倒す。

 

俺の場合は他の皆とは違って、元々の身長差がある分、まともに殴る、蹴るをしてもダメージを与える事は出来そうにない。

 

だが関節等は、話が別だ。

 

これも夏休み中に古武術を学んで知ったことなのだが、例え自身の力が弱くても相手の力の動きを利用すれば、それはそのまま大きな武器となる。

 

続けて俺を挟む様に、二体のドーパントが拳を繰り出してきた。

 

俺は先程、無理矢理に捻り倒したドーパントを踏み台にして飛び上り、繰り出してきたドーパントの拳に手を添えて軌道を修正して、自滅を誘う。

 

そしてバランスを崩したところを、思い切り回し蹴りで吹き飛ばす。

 

「やるじゃねえかよ純!」

 

「俺達も負けてられないな」

 

何時の間にか、モモさんが憑依した良太郎君と、翔太朗さんが俺の近くまで来ていた。

 

良く見てみれば、既に二人は腹部に変身する為のベルトを巻いている。

 

『マスター!』

 

メカ犬が俺に呼びかける。

 

「ああ!」

 

その意味は言わずとも理解できる。

 

俺は二つ返事に答えて、タッチノートを開きボタンを押す。

 

『バックルモード』

 

タッチノートから音声が響き、メカ犬はベルトへ変形すると、自動的に俺の腹部へと巻き付く。

 

その間に、モモさんの憑依した良太郎君は、ライダーパスを持ちながら身構え、翔太朗さんもジョーカーのガイアメモリのボタンを押している。

 

俺達三人は、お互いに目で合図を送り、同じ言葉を紡ぐ。

 

「「「変身!」」」

 

三人同時に叫び、俺はタッチノートをバックルに差し込み、翔太朗さんはジョーカーとサイクロンのガイアメモリの差し込まれたドライバーを外側へと展開させ、良太郎君はライダーパスを特徴的なメロディーが流れる中、ベルトにセタッチする。

 

『アップロード』

 

『サイクロン・ジョーカー』

 

『ソードフォーム』

 

ベルトからは、其々の音声が鳴り響き、俺達三人の姿を戦士の姿に変貌させる。

 

メタルブラックのボディーの特徴的なシード。

 

赤を基調としたソードフォームの電王。

 

緑と黒のボディーが、左右で別れているのが印象的なW。

 

今ここに、正義の為に戦う、三人の仮面ライダーが揃う。

 

「こんな悪夢はここで終わらせる」

 

「「さあ、お前の罪を数えろ!」」

 

「俺、参上!」

 

俺を筆頭にWと電王もお決まりの常套句を口にして、再び戦いを再開させる。

 

まずは俺とWが素早く対応して周囲のドーパントに対して肉弾戦を仕掛け、その間に電王が腰に装着した四つに別れたデンガッシャーを組み上げて、ソード状にしてからドーパントへと斬り掛かって行く。

 

だが、俺達の快進撃は其処までだった。

 

俺とWが少し離れた位置で戦っている間に、電王に対して今まで静観していたエターナルがコンバットナイフ型の専用武器である、エターナルエッジを片手に猛威を振るう。

 

「のわっ!?」

 

その攻撃を何とか、デンガッシャーの刃先で防御するが、エターナルの猛攻は止まらない。

 

「良太郎君! モモさん!」

 

怒涛の連続攻撃に押され気味の電王を助ける為に、俺は急いで近くのドーパントを殴り倒して、救援に向かう。

 

「うをおおおおおおおお!」

 

俺は横から、今も電王に対して猛攻を仕掛け続けているエターナルに対して、蹴り掛かるが、寸でのところでバックステップで避けられてしまう。

 

「ありがとう純君」

 

「お礼は良いです。それよりも次が来ますよ!」

 

手助けに礼を言う良太郎君には悪いけれど、あのエターナルがオリジナルと同等の能力を持っているとしたら、一筋縄ではいかないだろう。

 

あのナイフの連撃は脅威だ。

 

このまま無手で相手をするのは、かなりきつい。

 

「それならこっちは連携で勝負だ!」

 

俺はエターナルに対して、電王と共に身構えながら、ベルトの右側をスライドさせて赤いボタンと黄色いボタンを連続押していく。

 

『パワーフォルム』

 

『パワーブレード』

 

音声と共に、メタルブラックのボディーがクリムゾンレッドへと染まり、ベルトから溢れ出した光が赤い刀身の剣、パワーフォルムの専用武器、パワーブレードとなって俺の右手に収まる。

 

「行くぜ純!」

 

「はい!」

 

俺は電王から聞こえるモモさんの合図に応え、共にエターナル目掛けて駆け出す。

 

電王の素早い斬撃と、俺の重い斬撃を重ね合わせたコンビネーションでエターナルを攻めるが、素早い動きと巧みなナイフ捌きによって、尽く攻撃は避けられてしまう。

 

「このっ! てっぶわ!?」

 

「危ない! がっ!?」

 

それどころか、逆に反撃されれば、ナイフという小回りが利く武器に対して、こちらは剣という大きい獲物の為に、対処が間に合わず、手痛い一撃を見舞われ、俺と電王は吹き飛ばされてしまった。

 

そんな俺達に、更に追撃を仕掛けようと駆け寄るエターナル。

 

俺と電王は急いで、態勢を立て直そうとするが、思った以上にダメージを受けたらしく、身体が咄嗟に動かない。

 

だが俺と電王に迫るエターナルの間に、一つの影が割り込む。

 

「させるかっ!」

 

赤と銀で半々に分かれたボディーのW、既にヒートメタルにフォームチェンジを終え、専用武器であるメタルシャフトを片手に、エターナルに対して牽制の一撃を放つ。

 

流石にこれは想定していなかったらしく、エターナルはWの一撃を肩口に受けて、後方へと吹き飛ぶ。

 

「大丈夫かい?」

 

すぐさま振り向き俺達に声を掛けたWから、フィリップ君の声が聞こえる。

 

「おかげで助かりました」

 

間に入ってもらったおかげで、何とか態勢を立て直す事に成功し、俺は感謝の言葉と共に隣でも立ち上がった電王に並び、既に起き上がろうとしているエターナルを見据えて身構える。

 

あのエターナルが、本物以上の力を持っているかどうかは、正直なところ分からない。

 

それが分かるのは、直接対峙した事がある翔太朗さんとフィリップ君だけだろう。

 

だが少なくても、俺と電王の二人掛かりでも手こずる相手だという事に、違いは無い。

 

つまり、かなりの強敵だという事だ。

 

「今度は三人同時に、一気に攻め切るぞ!」

 

「言われなくたって分かってるぜ。俺は何時だってクライマックスだからな!」

 

「この三人なら絶対に勝てますよ!」

 

翔太朗さんが発破を掛け、モモさんが強気に返して、そんなやり取りを聞きながら俺は軽口を叩きながら、タイミングを見計らい、三人揃って走り出す。

 

まず一番にエターナルへと攻撃を仕掛けたのは、やはりこの中では現状では最も俊敏なソードフォームの電王だ。

 

「おりゃっ!」

 

エターナルが電王と斬り結んでいる内に、両側から俺とWが攻め立てる。

 

既に俺達の動きはエターナルに読まれていたらしく、正面の電王と切結ぶのをやめて、勢いに任せて蹴り倒すと、若干だが先に攻撃を仕掛けていたWのメタルシャフトにナイフを這わせて、攻撃の流れを変えてしまう。

 

俺はその隙に、重い一撃を叩き込もうとするが、エターナルは素早く身を翻して、パワーブレードの一撃を受け止めてしまう。

 

この三人の連携すらも防いでしまうエターナルの強さは驚異的ではあるが、それでも俺達だって負けてはいない。

 

「「今だ!」」

 

俺の攻撃受け止められたと同時に、俺と翔太朗さんが叫ぶ。

 

「おうりゃあああああああああああ!」

 

その声を合図に、横から電王が気合の掛け声と共に、デンガッシャーで一閃。

 

見事な一撃を、エターナルへと与える事に成功する。

 

たまらず後ろに下がるエターナルだったが、その手にはナイフとは別に、一本のガイアメモリが握られていた。

 

『ユニコーンマキシマムドライブ』

 

ガイアメモリをスロットに装填すると、そんな音声が響き、エターナルの右拳に螺旋状のオーラが纏わり付く。

 

これは非常に不味い!

 

あの一撃をまともに喰らえば、ただでは済まないだろう。

 

それを瞬時に察知したWが、メタルシャフトにガイアメモリを差し込む。

 

『メタルマキシマムドライブ!』

 

先程のエターナルと同様に、音声が響くとメタルシャフトの先端に激しい炎が灯る。

 

「僕達も行くよモモタロス!」

 

『遅れを取るなマスター!』

 

逸早く身構えたWに続き、良太郎君とメカ犬が、其々に俺とモモさんに言うが言われるまでも無く、俺達は準備を始めていた。

 

既にタッチノートをベルトから引き抜き、パワーブレードの溝にスライドさせた俺は、再びタッチノートをベルトへと差し込み、その間に電王もライダーパスをベルトの中央へセタッチさせている。

 

『アタックチャージ』

 

『フルチャージ』

 

其々にパワーブレードとソード状のデンガッシャーへと、光が集約される。

 

既に臨戦態勢となっていたエターナル、此方へと駆け出す。

 

「「メタルブランディング!」」

 

それに合わせてWが必殺の一撃を放つ。

 

メタルシャフトの炎と、エターナルの拳が纏う螺旋のオーラが激しい火花を散らす。

 

威力はほぼ互角だ。

 

だがこれで終わりじゃない。

 

Wの後ろには、まだ俺達が居るのだから!

 

「「うをおおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

俺とモモさんの叫びが重なり、振り上げた二本の剣が光の軌跡を描き、エターナルへと強烈な一撃を叩き込む。

 

その一撃によってバランスを崩したエターナルとWの拮抗は崩れ、最後の駄目押しとして、メタルブランディングの一撃がエターナルの身に降り注ぐ。

 

流石にこの攻撃を受けて、無事に済む筈が無い。

 

エターナルはよろけながら、その身が崩壊させていく。

 

中から出て来たのは、ひびの入った宙に浮く全長一メートル程の黒い球体。

 

その球体のひび割れた部分からは、ドーパント達を倒した際にも出ていた黒い霧が出ている事から、これがおそらくコアで間違い無いのだろう。

 

つまりこれを完全に壊せば、もうこの時間に手出しは出来なくなる筈だ。

 

だけどそれを実行に移す前に、事態は急変する。

 

先程までに黒い霧は漏れ出す感じに出ていた筈なのに、いきなり凄い勢いで吹き出し、その霧が次々とドーパントの姿になってしまったのである。


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