吾輩は、逸見エリカですが、何か?   作:蒼騎亭

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壁]〇ω〇)7 吾輩は、連続投稿を敢行する!


第二話[戦車、炎上中です]

―――副隊長の直談判と大洗生徒会に電話をしてから二日後の放課後。私たちの目の前には、あたり一面が焼け野原…のように騒然としていた。

「―――設備班に怒鳴られちゃうな」

「呑気に言っている場合!? …ガレージが燃えちゃったんだよ!」

 燃え屑だけが散乱している場所…私達【いらん子中隊】のガレージが全焼した場所を見つめて他人行儀の口調でつぶやく私に直下がツッコミを入れる。だが、中にあったはずの戦車は一両も火に巻き込まれておらず、ガレージの外に安置されていた。

「……手分けして臨時ガレージを設営しておいて。私は隊長にこのことを報告してくるから」

 皆に簡易のガレージを作るように頼みながら私は隊長室に向かう。

「隊長、逸見です」

 扉をたたきながら名前を名乗る。

……入れ、ととっても低い隊長の声が中から聞こえた。

「失礼します…」

 そこにはすでに険しい表情を浮かべた隊長と何気に嬉しそうな顔をした副隊長の二人が居た。

「……報告は、ガレージ炎上事件かしら…」

「はい。ガレージ全焼しました。ただ、一両も火に巻き込まれていなかったのが唯一の幸いでした」

「――――――……」

「お前の管理不行届だ!」

 私が淡々と喋る中、無言で私を…心の中を見つめる隊長。そんな重い空気を壊すように元気よく私を指をさしながらそう叫ぶ副隊長。

その行為で…私はある結論にたどり着く。どうやら、ガレージに火を放った真犯人が自分の斜め右前にいることが分かった。……隊長も同様に自分の隣に立つ副隊長を…灰狼の眼差しで睨む。だが、やったという証拠がない限り、易々と捕まえ…軍法会議にかける事ができない。だからだろう、隊長は、迷うことなく私に処分を言い渡す。

「―――逸見エリカ、お前は本日を以て副隊長代理を解任、さらに一か月間の自室での謹慎処分にする。尚、ガレージの修理代も要求されると思っておけ」

「……承知しました」

 隊長の処分を素直に受けれる私。それを見て副隊長は小さくガッツボーズをする。

 

―――それから…とてつもなく暇になった私は、趣味のネットサーフィンを堪能する。そんな部屋は、私のカーソルとマウスのクリック音以外静寂に包まれる。…半年前突如、ルームメイトが居なくなり、一人じゃ広すぎる二人部屋でボクササイズをしながら体型を維持を心掛けていた。

そんな私の部屋に…今朝からいらん子中隊の面々が朝昼晩のごはんを持ち込み、隊長…本来の部隊に戻った皆の愚痴を聞く日々。

もちろん、夜遅くにはまほ隊長も私のマッサージを受けに部屋を訪れてくれる。

「―――中々、尻尾出さないわ。ごめんなさいね、してもないことを押し付けちゃって…あん♪ きもちーいわ…♪」

「いいえ。私は、まほ隊長を信頼しています…。」と、まほ隊長…まほさんの体を自由奔放に撫で…ごほん! 固くなった筋肉を揉みほごす。私が揉むたび、まほさんはトロンとした顔で寛いでいた。

「それじゃ~またよろしくね♪」

 薄紅色に頬を染めながら嬉しそうに部屋から出ていったまほ隊長。再び一人になった私は、自作パソコンを起動、ネットをサーフィンする。

 泳いでいる時、おもむろに見つけたオンラインゲームをダウンロード。……はまってしまった。

「…部屋にいて戦車道ができるのは、体がなまってしまうわね」と、体の危機感を感じながら…ゲームを進める。

そんなネット戦車道をしている中、ねこにゃーというアカウントのベテランタンク者と知り合い。一緒に行動することが増えた。

……そーしている内にももがー、ぴよたんと知り合い、一緒に小隊を組むことが増えた。

 

 

 謹慎25日目の朝方、寮全体が騒然とする。なんと私の部屋の真下でボヤ騒ぎが起きらしい。

「……せんぱーい、こわかったですー」と、そのボヤ騒ぎのあった部屋の主…いらん子中隊の七号車の車長、渡辺美雪と私の虎Ⅱの操縦手を務める…相川さやかの二人が涙目で私に抱きついてきた。その二人を宥めつつボヤ騒ぎを引き起こしたと思われる、すでに騒ぎで聞きつけた別寮に住む生徒達が私達の両の前に集まっていた。その中に…いた。

 私が見ていることに気づいたのか、ニヤリと笑い誇らしい顔で校舎に登校していった。

「……等々、人の理性の領域を超えたようですね。相川、渡辺、今日は私の部屋に泊まっていきなさい。」

「は、はい…」

「お邪魔します」

 小さく頷きながら一度部屋に戻り制服を持ち出した二人。その二人に私の手料理を出し、朝食を済ました二人を見送る。

その背中を見送りながら携帯を取り出し、この謹慎でいろいろコネが増えた私は、あまり後を考えないでその人に相談する。

「……さん? 逸見です。忙しい時間にすいません。実は…」

 今起きている事件の内容を話す。それを聞いたその人はにやりと笑うように言う。

『私に任せて! なんとするわ!』

「お、お願いします」

 満面の回答をしたその人に圧倒されるようにお願いする私。そしてその人は、さっそく……自分の師範に相談、それを聞いた師範は、普段以上に殺気混ざった表情でその人とお手伝いさんの二人とともにC—2改で…E75に乗り込んで黒森峰の校庭に投下してきた。

そして…

「汚い花火だわ…」

「まったく、心まで汚れている者が操作する戦車の炎上は、私は嫌いです」

 すべての事件の主犯格と思われる者たちと一対一のバトル。そのバトルで、一方的すぎる122ミリの砲撃で、赤色と橙色の炎を纏って炎上する副隊長の乗り込むティーガーⅡ。それを見つめながら淡々と答える西住流師範西住しほさんと富士学校富士教導団戦車教導隊所属蝶野亜美一等陸尉の二人。

そしてその二人の足もとでは、苦笑いを浮かべる西住家のお手伝いの菊代さんが操縦手席の窓から顔を出していた。

「…お母様…」

 突然乱入してきた実の母の後ろ姿を居て困惑する隊長と自分が相談した人が不味かったと頭を抱える私であった。

 その後、蝶野一等陸尉直々に問い詰めたところ、副隊長を中心にティーガーⅡに乗車していた全員がガレージの放火と部屋のボヤ騒ぎ、さらに報告が上がっていなかった数件の連続放火を認めた。

 それを聞いたしほさんは、学園長ら各機関に報告。それを認めた五人は、停学…退学され、翌日には黒森峰を立ち去っていた。

 そしてその後釜のように通常運行となった私逸見エリカが副隊長の就任…いや、元から副隊長兼隊長代理を兼用しろ、とあの戦いを見た「いろいろ粗削りだけど…西住流にあった行為だわ」と実の娘のみほよりも見込みがあると西住しほさんからそう言われていた私。だが、私はそれを断った。

「私は…まほさんように人の上に立つ技能はありません。それに私はみほを倒していません。だからそのお話をお断りいたします」と、きっぱりした言葉で言ったらしほさんの逆鱗に触れ、

「私の言うことを聞かない子は、こうしてやるー!」と、私の知っている鬼神西住しほではなく、少し頭のネジが数本抜けた頬をトラフグのように膨らませつつ涙目で私を睨む西住しほさんがいた。

―――後日、しほさんからみほ派と呼ばれる子たちを集めたいらん子中隊を無理やり渡され、隊長業務を強制的にやらされていた。

 しほさんたちの乱入事件の二日後、私の謹慎も正式に解除され、改めて副隊長として隊長室に挨拶に向かう。

隊長室の扉を二回たたく。

……はい、どうぞ。と中から隊長の声で入室が許可された。

「失礼します」と、告げながら扉を開けて閉じる。そして一礼をするように隊長の目を見て敬礼する。

「……本日より副隊長の任を拝命いたしました逸見エリカであります。―――その隊長。改めてよろしくお願いします」

「拝命を許可する。………さっそくだが、逸見。これらを…頼めるか?」

 隊長の座る机の上には大量の書類が山のようにつみあがっていた。どうやら私が謹慎中に溜まるに溜まった書類たちのようだ。

「……お供します。」

 小さなため息をこぼしながらこうして晴れて《黒森峰の副隊長逸見エリカ》に戻った私であった。

 




今回は、副隊長になるまでの…流れと何故、こんなにも融通が利けるかの両面を物語る話をしたと思っています。

何度も言いますが、アタイの文力が一切ありません!
そこは目を瞑ってください。いいえ、目を背けるくらい瞑ってください! お願いします!!


それでは、次回に向かって パンツァーカイル!

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