ソードアート・フェイト   作:おぐけい

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岸波白野は第一層ボスに挑む

ゲームが開始されて一か月約2000人のプレイヤーが死んだらしい。だがまだ誰も第一層を突破できずにいた。

 この一か月後何とか自分はこの一層を回って、ほとんどのクエストやイベントをやって何とかいろんな武器やアイテムを手に入れた。

「これで何とか……大丈夫かな?」

 そして今日は第一層のボス攻略会議が行われることになり、そのため会議がある。街に向かった。その途中クラインも参戦するのかメッセージを送ったがまだレベルが足りないと言うことで今回のボス会議には出られないと返事が返ってきた。

「まぁ、しょうがないか」

 溜息しながらボス攻略会議を行う場所についた。

「はーい!それじゃあ、始めさせてもらいまーす」

 何とか間に合ったらしい。会議の中央には青い髪をした男が立っていた。

「今日は俺の呼びかけに集まってもらってありがとう。俺はディアベル。職業は気持ち的にナイトやってます!」

 そう明るい声がすると周りは笑いがこみあげてきた。

「そんなシステムねーだろ」とヤジも飛んでいた。

「……今日俺たちのパーティがあの塔の最上階でボスの部屋を発見した」

 そうディアベルが真剣な声で言うと、周りはざわざわ仕出していた。

「俺たちは、ボスを倒し第二層に到着して、このデスゲームもいつかクリアできるってことを始まりの街で待っているみんなに伝えなきゃならない!それがここにいる俺たちの義務なんだ!」

 そう言うと周りから拍手が沸き上がってきた。自分はこのディアベルという人物はよく知らないがこの先上の層を攻略するにあたって中心になっていくのではないかと思った。

「それじゃ早速だけど6人のパーティを組んでくれ!」

 なん……だと?自分は驚いた。それもその筈、このSAOに来てから交流したのはクラインぐらいで一か月ただこの一層をボスの部屋以外をただ探索&闘って、ただ一人でこのゲームを普通だったら遊んでいたようなもので、つまり自分が言いたいのは、他の所はもう6人のパーティが出来ていたというか、顔見知りみたいな感じで……クライン、あの時お前と別れたことは……どうやら、失敗だったみたいだ。ふっ、懐かしい、あのダサいバンダナが……ってこんなことしている場合ではないな。

周りを見るともうパーティが出来上がっていたが、少し離れた所に自分と同じ一人余っている人を見つけた。

「……えっと、君をあふれたの?」

 そうフードをかぶった人に話しかけてみた

「あふれてない、周りがみんなお仲間どうしだったから遠慮したの」

 あ、自分と同じっすね

「じゃあ、俺と組まないか?一人だときつそうだし」

 そう俺が提案すると無言でこちらを見ていた。

 うん、無言は肯定しているよね、多分。じゃあ、メニューを開いて自分からパーティを申し込んだ。

 ○を押したのか岸波白野と書かれたHPゲージの下にAsunaと書かれたHPゲージが出てきた。

「えっとよろしく、アスナ」

「??……私名前教えたっけ?」

「自分のHPゲージの下に名前が表示されてない?」

 自分がそう言うとアスナは確認したのか自分の方が

「岸波白野?」

「うん、改めてよろしくな」

「うん、岸波白野君……フルネームだと長いから白野って呼ぶから」

 まぁ、別にいいか。

「うん、わかった」

 そう話していると周りはパーティが組み終わったらしい。

「もう組終わったかな?それじゃあ「ちょまってんか!」

 ディアベルがそう話そうとするとどこからもなく怒鳴り声が響いてきた。

「ワイはキバオウってもんや!ボスと闘う前に言わせてもらいたいことがある」

 キバオウはそう前置きすると話しを続けた。

「こん中に死んでいった二千人に、詫び入れなきゃならん奴がおるはずや」

 キバオウはそういい、自分たちに指を指した。

「え!なんで?」

 やば!思ったこと口にしてしまった。

「何や、そこのふざけたカッコしてるガキ、何かワイに文句あんのか!」

 やばい、めんどくさいのに目をつけられてしまった!!

「キバオウさん、君の言う奴らとは元ベータテスターのことかな?」

 流石ティアベル、助けてくれたんやねー!

「決まってるやないか」

 おおー、何とか自分の方から矛先が変わった。

「ベータあがり共はこんクソゲームが始まったその日にビーナを見捨てて消えおった。奴らは狩場やらぼろいクエストを一人締めして、自分らだけつよなって、その後もしらんぷりや!そこの学生服着たガキもそうとちゃうんか!!」

 ああ、まだこちらに矛先は向いていた!

「他にもいるはずやろ!ベータ上がりの奴らが!そいつらに土下座させて!!」

 まずキバオウは左の方を指さし

「ため込んだアイテムや金を吐き出さんと!」

 次に右の方を指さした。

「パーティメンバーとして、命を預けられんし、預かれん!まずそこのクソガキ!!お前からや!」

 いやー別にベータではないんだけど

「いや、俺ビータじゃなんだけど」

「証拠はあんのか!!」

 困った、記憶がない状態だし、もしかしたら元ベータテスターかもしれないし。断言できんなー

「発言いいか?」

 その時、肌の焼けたスキンヘッドで体格もいい男が立ち上がった。

「俺の名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、もとベータテスターが面倒みなかったから、ビギナーがたくさん死んだ。その責任をとって謝罪、賠償しろってことだろ?」

 そういうと後ろからガイドブックみたいなのを出したエギルは続けた。

「このガイドブック貰っただろ?これは無料配布してるからな」

「もろったで、それがなんや?」

 だんだんキバオウは最初の勢いがなくなって行った。

「これを配っていたのは元ベータテスターたちだ」

そう言うと周りがザワザワしだした。そのことは知らなかったらしい。エギルは続けてこちらの方を向いた。

「いいか、情報は誰にでも手に入れたんだ。なのに沢山のプレイヤーたちが死んだ。その失敗を踏まえて俺はどうボスに立ち向かうべきなのか、それを俺はこの場で論議されると思ったんだけどな」

「……」

 キバオウは黙って、座った。

「よし、再開していいかな?……ボスの情報だが、例のガイドブックの最新盤が配布された。」

 ディアベルはそういいボスの情報を言いだした。そして最後に経験値はパーティ、アイテムは手に入れた人の物となった。

「それでは明日の朝10時に出発する!では解散!」

 そういい攻略会議は終わった。終わるとすぐにこの場だけど終わると思うが、パーティメンバーのアスナはすぐにこの場から立ち去った。

 

街に行くと、会議では衝突しそうだったが何とか雰囲気は良くなっていると思う。あの衝突しそうだったキバオウですらよくやっているのに。まぁしょうがないか、キバオウはどうやら、他のビギナーが言いたいこと、溜まっていたことを言ったおかげなのか、割と慕われているみたいだ。

 自分はそうやって周りを歩いていると、フードを被っているアスナを見つけた。

「それ、これつけると美味しくなるぞ」

 そういい、クエストで手に入れたクリームを渡してパンを食べているアスナの隣に座った。隣に座るとアスナは少し離れたけど

「美味しいと思ってるの?」

「まぁ、思ってるよ」

「私は美味しいもの食べるためにこの街に来たわけじゃない」

「じゃあなんで?」

「……私が私でいるため、はじまりの街でゆっくり腐っていくくらいなら、最後の瞬間まで私のままでいたい。例え怪物に負けて死んでしまっても、この世界、このゲームには負けたくない。どうしても」

「アスナは強いな」

 自分はそう思った。

「何で?白野君は違うの?」

「死ぬのは恐いよ……でも前に進めるうちは、体がまだ動くうちは、自分から止まることだけはしたくない。多分それが自分のたった一つ誇りだったと思うんだ」

「……それなら死は恐くないんじゃないの?」

「違うよ、自分は、ただ「死にたくない」という本能に衝き動かされて行動しているだけなんだ……だから、アスナは強いと思う……でも俺はアスナに死んでほしくないな」

「……そう……」

 そういい夜は更けて行った。そして自分たちは別々の泊っている宿に戻った。

 

そして次の日、自分たちはボスの部屋の前まで来ていた。

「俺が言いたいことはたった一つ勝とうぜ!」

 ボスの部屋の前でディアベルがそう言うと皆が構えて部屋に入って行った。ゆっくり部屋に入ると、部屋の中も徐々に明るくなっていった。そして一気に明るくなったと思えばいきなりこの層のボスと思われる赤い肌に右手には斧、そして左手には盾を持ったイルファング・ザ・コボルトが叫び声を上げながら此方に来た。

「グルルラアア!」

 そうして取り巻きのルインボルト・センチネルが数体現れた。

「攻撃開始!!」

 ディアベルのその声と同時に自分たちと他のパーティも戦闘体制を取りいくつかのパーティが突っこんで行った。自分とアスナの二人だけではボスに太刀打ちできないためその取り巻きであるルインボルト・センチネルを中心に闘って行った。その最中、自分は隙あればボスであるイルファング・ザ・コボルトを観ていた。

「来るぞ!B隊ブロック!センチネルを近づかせるな!」

 部屋内にディアベルの声が響き、着実にボスを追い込んで行っているがどことなく不安を感じる。何故と聞かれるとわからないが、そう感じている。気は抜けない。だが今は

「アスナ!スイッチ!」

 目の前のルインボルト・センチネルをやらなければ!!

「グルルラアア!!!!」

 イルファング・ザ・コボルトが唸り声を上げると、持っていた斧、そして盾を投げ捨てた。確か情報だと鋳鉄のテクスチャなはず。だが全く読めない、情報があるなら多少読めていたのに、つまりそれは情報が違うってことだ!

「下がれ!俺が出る!」

 ディアベルがそう言い、イルファング・ザ・コボルトに突っ込んだ。だがそれと同時に自分。つまりこの岸波白野もディアベルの所に突っこんだ。ディアベルはソードスキルを出そうとしていたが、敵は柱を使い飛び回っていた。

間に合え、間に合え!間に合え!!

 

 

「!?君は!?」

 何とか間に合ったのか、イルファング・ザ・コボルトが攻撃する瞬間ディアベルに突っこみ柱の方へ二人で体ごと飛び、ギリギリで攻撃を避けることに成功した。だが敵はまだこちらを見ている!!こちらを攻撃するつもりなのか、カタナが光り出した。

「だけどその前に!」

 相手がモーションに入ったがそのスキルを使う前に!!だけどこのままじゃあ間に合わない!!

「でぇえい!!」

「グルルラ!」

 こちらのソードスキルと相手ソードスキルがぶつかり何とか相撃ちにしたが、まだだ、まだくる

「ディアベル!はやく立て直してくれ!」

「あ、ああ」

 だが、周りも一瞬のことだったせいもあって即座に動けない。だが一人だけ、そうたった一人即座に動いていた人物がいた。

「白野君!!」

 そう、パートナーのアスナだった。

「二人なら、何とか時間稼げるかもしれない」

 アスナにそう言うとアスナは頷いた。

「それじゃあ、俺の言うこと聞いてくれ!」

「わかった!」

 敵に突っこみながら自分はアスナに指揮した。

「まず、さっきみたいに俺が奴のソードスキルと相撃ちにさせるから、アスナはそのすきに攻撃を!」

 そういい、先ほどと同じようにソードスキル同士で相殺させた。そして奴がよろけた隙にアスナとスイッチした。あと少しのダメージを与えれば勝てるが、アスナの攻撃よりも奴が先に攻撃をしてきた。

「アスナ!!危ない!」

 アスナも声に気づいたのか、それとも相手をよく見ていたのかが、わからなかったが、アスナは紙一重で躱し(だが着ていたフードには当たったが)アスナが装備しているレイピアで奴の体に当て奴を吹き飛ばした。

 自分はそれを見て呑気にアスナの素顔とレイピアの使い方を見て、素直にきれいだと見惚れていた。

「……次来るぞ!!」

 そして、自分とアスナは攻撃をした。自分が相手のカタナに攻撃し、隙を見せた瞬間アスナとスイッチし、アスナが奴にダメージを喰らわした。言葉にすれば対したことはなかったが、一瞬でも間違えたら死ぬ。それでももう何回も“観た”。

「アスナ!」

「了解!!」

 ここからは一方的に攻撃をしていった。相手の隙が大きくなって行き、アスナと二人で倒した。奴を真っ二つにして。

 倒した瞬間歓声が沸き上がった。そうこのボス攻略で誰も死人は出なかった。

「疲れた……」

 この世界で疲れがでるのかはわからないが、安心しその場に座っていると目の間に“You got the last attacking bonus”の表示が出てきた。

「お疲れ様」

「見事なコンビネーションだった。コングラチュレーション。この勝利はあんたのものだ。それに死人も出なかった」

 アスナとエギルの二人が話かけてきた。

「疲れたー」

 そう言うと二人はクスクスと笑っていが気にしてなかった。

そして歓声も自分の所に向いているのか皆が拍手や賞賛の声が上がっていた。

「そういや、俺はエギル。あんたは?」

「白野……岸波白野」

 そうエギルと話てるとディアベルがこちらに来た。

「……君は」

「岸波……白野」

「そうか、よく俺を助けてくれた。ありがとう、礼を言う」

「そう言えば、なんで突っこんで行ったの?」

 気になったので聞いてみた。

「LAが欲しかったからさ……俺は」

大体言いたいことはわかった気がする。でもまぁいいか

「ディアベル、勝鬨あげないのか?」

 ディアベルにそう言うと不思議そうな、驚いたような顔をした

「!?君は……わかった……皆!ここにいる全員のおかげで何とか勝てた!!そして今日のMVPはこの岸波白野さんだ!!」

 ディアベルが先ほどの暗い表情はなく、会議の時のような声で明るく言うと周りも、うおおおと言う声を上げ自分をたたえているのか、歓声を上げていた。例えディアベルがビータだったとしても、いずれはその垣根もなくなるだろう。

 

だが安心できない。まだあと99層残っている。

 

 

 

 

 

 

そして今回の教訓、たった一回の英雄になっても友達はあんまりできない。一週間たったがまだ自分はソロプレイヤーだ。

 


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