ソードアート・フェイト   作:おぐけい

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岸波白野は目覚める

自分は目の前のモンスターを装備している剣で斬り、防御して闘っていった。幸いこの半分人トカゲのようなモンスターとは何度も闘って、もうこのモンスターの行動パターンは覚えている。

 徐々にモンスターを追い詰めて、ロングソードで斬った。

「ふぅ……終わりかな?」

 モンスターの頭上のHPバーを全て消し去りガラスが砕くような音と共に消え去った。

「さて、帰るか」

 周りを見渡して、他にモンスターがいないことを確認すると、来た道を引き返した。何故ここにいるか、わからないけど発端は約2年前だった。

 

 

ここは何処かわからない。どうやら町の様だ

「ここは?」

 自分は目の前の町を歩いている。覚えているのは学校でとある戦争に巻き込まれて、赤い英雄と一緒に闘い抜いた記憶が薄らと残っているがそれ以外は覚えていない。

 どうやらここは、どこかの町らしい、数人の商人らしき人や剣を持って同じような格好をしている人物はいるが自分の知っている人物は誰もいなかった。

「珍しいアバターしてんなー」

 ん?誰かが話しかけてきたので振り向くと、悪趣味なバンダナをしている人が立っていた。確かに周りを見渡すとダガーや剣と薄い茶色の軽い鎧をしている。自分は確かに剣と鎧みたいなのをしているが、他のみんなと違う点があった。自分は黒い学生服を着ていた。

「えっと?」

「俺の名はクライン、お前さんは?」

「俺は……フラン……いや、岸波白野です」

「キシナミハクノ?それ本名かよ?」

「そうだけど……多分」

「変わってんな、こう言うゲームで本名を使ってんのはあんまりいねーぞ」

 ゲーム?本名?

「まぁ、俺もこのソードアート・オンラインのようなフルダイブは初めてなんだけどな」

「えっと悪いけど、ゲーム、ソードアート・オンライン、フルダイブって何のこと?」

 俺がそう聞いてみるとクラインは不思議そうな顔をしていた。

「それっておめぇーこれはゲームだろ?おめぇどうやってこのゲームにフルダイブしたんだ?」

 ??

「えっと……思い出せない」

 そう、自分が何故このゲームにいるのかがわからない、とう言うよりも全く記憶がない。生まれた記憶も、何故ここにいるのか。覚えているのは、赤い英雄と一緒に闘い抜いた記憶だけ、自分が何者なのか……わからない

「おめぇ、一回ログアウトした方がいいんじゃねーのか?」

 流石に心配そうに見つめているクラインが提案してきた。

「どうやって?」

「おめぇ、そんなことも忘れたのか?」

 そう言って、基本的なことを教えてもらった。だけどログアウトが見つからなかった。

「ログアウトが見つからないんだけど?」

「なに?……ちっと待ってろ」

 クラインがそう言うと、自分のメニューを開いてログアウトを探しているが見つからないらしい。

「どうやらバグか見てーだな……初日に不具合が出るってのはなー」

 クラインは考えているが自分も探してみる。そしてアイテムを見てみると、持っているものを確認してみると装備されている、旧男子学生服、剣を除けば、麒麟のマント、オシリスの砂塵、そして???と名前が表示されない物が2つあった。

「でも、そのうち帰ると思うから何とかなると思う……」

「おめぇー記憶なくなっている割には前向きだな?」

「じゃあクライン教えてくれ、このゲームのこと」

 とりあえず帰れないのなら、このゲームを楽しむか。

「わかったぜ……つっても、俺も初めてだから、わからねーけどな」

 そうして、自分とクラインは町から出て猪みたいな敵を倒して行った。

「いやー、こいつら強ぇーな」

 いや、クライン。どう見ても雑魚だと思うけど……まぁ、言わなくてもいいか

「そういや、結構時間もたったしログアウトできるかもしれねーぞ、岸波」

 そう言って二人でログアウトを探してみるがなかった。

「マジかよー!そろそろ落ちねえと飯にピザ予約してんだけどなー」

 確かに自分もログアウトを探しているがなかった。

「全く、サービス初日とはいえ今頃GMコールが殺到してんだろうなー」

 クラインはそう呟いて居る。

「ああ、俺のアンチョビピザとジンジャーエールがー」

 喚いているクラインを見ながら考えていると、いきなり鐘が鳴り響く。自分とクラインは二人でいきなり目が覚めた場所、つまり《はじまりの街》に立っていた。

「おい、どういう事だ!」「ログアウトできねーじゃねーか!」という声が響いていた。

「おい、上見てみろよ!」

 その声に反応した 自分とクラインは上を見てみると深紅のフードがついているロープを纏った巨大な人だった。

「プレイヤーの諸君……私の世界にようこそ」

 ……いや、だれ?

「……私の名前は茅場昌彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。諸君は、すでにメインメニューにログアウトボタンが無いことに気づいていると思う。しかしそれはゲームの不具合ではない。これは《ソードアート・オンライン》本来の仕様だ」

「し……仕様だと?」

 どこからもなく声が漏れた。

「諸君は、この城の頂を極めるまで、このゲームからはログアウトすることができない。……また、外部からナーヴギアを停止、または解除もできない。もしそう試みた場合諸君の脳を破壊し生命活動が停止させる」

 な!?それはすなわち……死と言うことか!?

 周りもそのことに気づいたのかざわざわしてきた。

「すでにプレイヤー家族友人が警告を無視し試みたことにより、その結果すでに204名のプレイヤーがアインクラッド及び現実世界からも退場している」

 どこかで悲鳴が聞こえた。俺はどこかで似たようなことがあった気がした。これは自分の記憶なのか?いや今はこの茅場昌彦の話しを聞かなければ。

「諸君が、向こう側に置いた肉体は心配する必要はない。現在、あらゆるメディアが繰り返し流している。ナーヴギアが強制的に外される危険性は低くなった。安心してゲーム攻略に励んでほしい。しかし気を付けてほしい。今後このゲームに置いて、あらゆる蘇生手段は機能しない。HPゲージが0になった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、諸君らの脳は破壊される。

諸君らがこのゲームから解放される条件はただ一つこのゲームを100層までクリアすれば、自動的にログアウトすることができる」

 100層……それはどれだけ時間がかかるんだ?

「さて、最後に私からのプレゼントがある。アイテムストレージを確認してくれたまえ」

 そう言うと、アイテムストレージを確認してみると《手鏡》と書かれたアイテムがあった。それを出してみると、鏡から光が出た。周りのプレイヤーもからも同じように光に包まれていた。光が収まり、クラインを見てみると悪趣味なバンダナ以外が変わっていた

「クライン大丈夫か?」

「ああ、岸波は大丈夫か?」

 何とか無事みたいで安心したが

「どうした、アバター変えたのか?」

 そう言うとクラインは不思議そうな顔をして持っていた鏡を見直した。

「って!俺じゃねか!!」

 何と、その顔が本来の顔だったのか!?

「岸波は変わってねーことは本来の顔だがそれなのか」

「ん……たぶん」

「なんか、アバターの初期顔だと思ったら本来の顔がそれか……」

 そう呟いて自分とクラインは茅場昌彦の方を見た。

「……私からは以上だ。これで《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。諸君の検討を祈る」

 そう言って、茅場と名乗った巨大な映像が消えた。しばらくすると周りから悲鳴、怒りなどの怒鳴り声が響いていた。

「おい、岸波!!どうする!」

 急にクラインに話しかけられると

「……俺は、取り敢えずレベル?を上げて100層まで頑張ってみるけど」

「はは……お前前向きだな。とりあえず俺は他のゲームであった奴らに会わなきゃなんねー……岸波もどうだ?」

 クラインはそう言い自分を誘ってきたが悩んだ

「いや……俺は……」

 記憶がないし、そんな自分がいたら、もしかしたら迷惑になるかもしれない……

「悪い、クライン。俺は一人で向かう」

「だけど……わかった。けどよ、フレンド登録してくれよ……そうすれば、メッセージだってすぐ送れる」

 それにはすぐ頷き、クラインとフレンド登録すると、自分はすぐにはじまりの街から出ようとした。

「岸波!!」

 その時後ろからクラインの声がした。

「またな」

「ああ、また……」

 

 


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