真剣で最強の弟子に恋しなさい!   作:TE

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BATTLE.4 闇を払う光

「さすが風林寺殿。そこまでお見通しとは・・・・・・」

 

ふぅとため息を吐く鉄心。

 

「百代の眼の光。わしが戦った闇の奴らと同じものじゃった。そんな状態の百代に闇と出会いでもしたらどうなるかわかったものじゃないからのう」

 

「なるほどのう。安心なされ川神殿。お主の孫娘はしっかりと守ってみせようぞ」

 

「おおっ!では風林寺殿が・・・」

 

「うちの一番弟子が」

 

がん、と頭を机に打ち付けてしまう鉄心。その光景に兼一も呆然としてしまう。

 

「何が不満なのかのう?仮にも兼ちゃんは梁山泊の一番弟子。闇の奴らと戦ったこともある」

 

「・・・・・・。風林寺殿や白浜君に悪いと思って言わなかったがここは孫娘のためはっきりと言わせてもらうぞい」

 

「・・・・・・」

 

ごくりと唾を飲む兼一。

 

「正直、白浜君が闇と戦えるような豪傑に見えん!!」

 

「!?」

 

「どう見ても学校で虐められてそうな顔をしとるし!」

 

「!?」

 

「わしの目から見ても武術の才能は百代と比べて天と地の差じゃし!!」

 

「!?」

 

「ぶっちゃけ、弱そう!!」

 

「ぐはっ!?」

 

今度は兼一が机に頭を打ち付けた。両手は胸に当てながら

 

「ほっほっほっ。川神殿の心配も同感じゃがこの一番弟子はわしと同じ領域に足を踏み入れておる。実力は折り紙つきじゃよ」

 

「同感って・・・・・・」

 

「ふむ。風林寺殿が言うからには本当じゃとは思うのじゃが・・・・・・。どれほどの実力・・・なのかのう!!」

 

「!」

 

ぶわっ、と座っていたはずの鉄心が飛び上がる。そしてそのまま拳を兼一へと放った。

しかし、鉄心の拳は兼一の顔の寸前で止まる。兼一は微動だにしていない。

 

「どうして避けようとせん?」

 

「拳に殺気が感じられませんでしたから」

 

「ふむ。いきなりすまんかったのう」

 

「いえいえ。鉄心さんが百代さんを想う気持ちを考えれば当然ですよ。」

 

謝る鉄心に兼一は手を振ってそう答える。

 

「・・・・・・白浜君。お主はどうして百代のために戦ってくれるのじゃ?まだ会って話したこともないのに」

 

「・・・・・・鉄心さんの言うとおり僕には武術の才能はありません。そんな僕が武術の世界に入ったのは理由があります。」

 

「理由?」

 

「誰もが見て見ぬ振りするような悪を、片っ端からやっつける力を手に入れるためだったからです!」

 

「!」

 

「だから闇に狙われた百代さんを放っておけません。それに闇に堕ちようとしてしまっているならなんとかして助けてあげたいんです!」

 

鉄心は兼一の目を見て光を感じた。何故かはわからないが信じてみたくなる、そんな気持ちになってしまう

 

「白浜君の気持ちはよくわかったぞい。では一つその実力を見せてもらおう。着いてきてくれんか」

 

                                              

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・・・・」 

 

 

百代は現在、授業の真っ最中なのだがどこか上の空で授業を聞かす窓の外をぼんやりと眺めていた

 

(最近、歯ごたえのある挑戦者がいなくなってきたな……。さっきの不良たちは論外だし、やっぱりちゃんと拳をまじ合うことができる奴とやりたい)

 

先ほどの不良たちの戦闘は逆に百代の欲求不満を増加させてしまっただけなようだ

 

(そういえば大和の話では転校生来るとか言っていたな。授業が終わったら聞いてみよう。もし、美少女ならばキープしとかないとな。ふふふ)

 

もの思いにふけるその顔はまさに美少女なのだが考えていることはやっぱりオヤジな百代である

 

(そうと決まれば英姿を養うため一眠りするか……ん!?)

 

居眠りしようと顔を腕枕の上に乗せようとした百代だったが途中で止まり、逆に席から立ち上がって先ほどまで見ていた窓の外を見る。

百代が立ち上がったことで回りの生徒達がざわめき出す。しかし百代はそんなことは気にもとめていない

 

(今のはジジイの気だ!しかも本気で戦う時の!!)

 

自分の祖父が真剣で戦っている。そう判断した百代は居ても立ってもいられず窓から飛び出した。

 

その顔には満面の笑みを浮かべて……

 

 

 

 

 

 

「まさかここまでとは……」

 

鉄心は今、目の前に映る光景に唖然としていた。

 

それは自分の門下生で師範代クラスの実力を持つ強者達が一人の青年に数分もかからず倒されてしまった光景である。

その青年が兼一であるのだがこれにはちゃんとした理由があった。

 

鉄心は兼一に護衛を任せることに条件を出した。それが「師範代クラスの門下生50人との試合」であった。

 

「ありがとうございました」

 

礼で始まり礼で終わる、そこのところはちゃんとしている兼一は相手をしてくれた門下生の人たちに頭を下げていた

 

「どうかの川神殿?これで兼ちゃんが護衛をすることに納得してくれたかのう」

 

「・・・・・・」

 

長老の言葉に鉄心はただ黙って兼一を見ている。そしてなにを思ったか兼一の元へと歩きだす

 

「顕現の参・毘沙門天!」

 

一瞬だった。兼一の頭上から巨大な足が現れ、兼一を押しつぶす。

これは川神流奥義がひとつ「顕現の参・毘沙門天」。0.001秒の一瞬で、闘気によって具現化した毘沙門天の巨大な足によって対象を踏み潰す神速の奥義。

 

それを背後から不意打ちという形で繰り出した鉄心。流石にやりすぎたかと思ったがそれは杞憂に終わった。

 

「い、いきなり何をするんですか!?」

 

足を受け止める兼一の姿がそこにあった。

 

「これが最後の試練じゃ。この状況を打破してみせよ!」

 

だんだんと足の力が強まっていく。このままでは兼一が潰されてしまうがそう簡単にはいかない

 

「だらっしゃい!!」

 

「なんと!?」

 

兼一は足を上に持ち上げて宙へと浮かす。鉄心はすぐに足を再び兼一に向かわせるが、それよりも早く兼一の動作が速かった

 

「チェストぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

兼一の右正拳が足へと直撃する。その瞬間、轟音と共に光が溢れだし周りを包み込んだ。

 

「・・・・・・この強さ。確かに百代を安心して任せられるの」

 

光が晴れたとき、そこには兼一が無傷で立っていた。それは決して兼一の武術の力としてだけではない。

鉄心は光が晴れ、姿を見たとき兼一の目には光を感じた。百代に宿った闇を振り払ってくれるのではないか、そう感じたのだ。

 

「梁山泊の弟子はなかなか面白い存在のようじゃな」

 

「それが兼一君じゃからのう・・・・・・と今の激しい気の流れで元気な若者が吸い寄られてきおったわい」

 

「!?」

 

どーん!、と空から何からなにか降ってくる。それはミサイルでも隕石でもなかった。

 

「美少女参上!」

 

鉄心の孫娘、川神百代が登場した




第4話を投稿時点でお気に入り130件、感想は12件と嬉しい限りです。
その感想も内容が自分のはるか上の濃いものでよく考えさせられました。
それなのにこの内容で申し訳ありませんが、それでも応援していただければ幸いです。
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