真剣で最強の弟子に恋しなさい!   作:TE

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こんにちは、TEと申します。
結構前ですが、まじこいのアニメと漫画を見てこんなの書いてみたいなと思って書いてみました。
楽しく読んでいただけたら幸いです。


BATTLE.1 初任務!

梁山泊

 

そこは武術を極めた最強の豪傑達が集う場所

 

その道場で日夜地獄の修行を耐え抜き、幾人もの強者を倒し己の信念を貫き通して、ようやく達人の領域へと踏み込んだ少年・白浜兼一

 

達人へとなった彼はそこで満足せず、更なる高みへと修行を続けている

 

「戦略的撤退!!」

 

「弟子が逃げたぞ! 捕まえろ!」

 

「くっ! 今日こそは逃げ切って見せる!!」

 

「甘い!」

 

「げえっ、岬越寺師匠!? ぎゃああああああああああっ!!??」

 

・・・・・・・・修行を続けているのであった

 

 

 

 

 

********************************

 

 

 

 

「今回は結構もった方ね。けれど、まだまだおいちゃん達を出し抜くのは50年早いね」

 

「まったくだ」

 

「アパパパパパ!」

 

「ううう・・・・・・・・」

 

暫くして道場の中、鎖で縛られボロボロになった兼一が正座で座っていた。そしてその周りを囲むようにして座っているのは兼一の師匠たちである

 

「ほっほっほっ! 兼ちゃんや何故逃げる? まだ話の内容を全て話しておらんのじゃがのう」

 

兼一の目の前で笑う金髪で身長が2m近くある老人。この老人こそ梁山泊の長老・風林寺隼人

どうやら長老の話が原因で逃走(戦略的撤退)を行おうとしていたようだ

 

「あ、当たり前です! 『裏社会・実践・1人』その3つの単語を聞けば逃げたくもなりますよ!!」

 

裏社会、政府や警察では手に負えない事件のことである。そんな事件に兼一は裏社会科見学として何度も(強制的に)経験している。その裏社会科見学で兼一は酷い目にあっていることがほとんどである

 

「兼ちゃんもようやく達人への道へと入ったのじゃからそろそろ良いかと思ったのじゃが?」

 

「そろそろって、まだ僕には早いですよ! つか、達人への道って言っても片足が入っただけって師匠方全員がそういってるんですよ?」

 

「じゃが、達人になったことに変わりはあるまい。それにわしの孫娘美羽も今裏社会で任務を1人で行っておるし、兼ちゃんが早いってことはあるまいて」

 

「うっ・・・・・・・・」

 

「それに今回の依頼は政府からではない。そして兼ちゃんに一番適しておるのじゃよ」

 

「? 政府からの依頼じゃなくて、僕に一番適してるってどういうことです?」

 

今までの裏社会とは異形なパターンに疑問を持った兼一。長老は一息入れた後、話し出す

 

「依頼者はわしの友人でのう。内容はその孫娘の護衛なのじゃ」

 

「長老の友人で、その孫娘の護衛が任務ですか・・・・・・・・。その孫娘さんはどうして狙われているのですか? 一体誰に?」

 

「正体は不明じゃが、狙われている理由は『世界最強』の肩書きじゃろう」

 

それを聞いた兼一は首を傾げた。『世界最強』その肩書きが欲しいなら自分の目の前にいる梁山泊の長老・無敵超人風鈴寺隼人を狙うのではないのかと

 

「そ奴らの狙いは『表世界』での世界最強、という訳じゃ」

 

「ああ、裏世界じゃ通用しねえから表世界で名を挙げて金儲けしようつうことだな? 弱え奴が考えそうなことだぜ」

 

「で、でもその川神さんも強いんですよね? 表世界最強って呼ばれているんですから。護衛が必要なんですか?」

 

「わしは一度その孫娘にあったが達人級(マスタークラス)には程遠いのう。兼ちゃんより数百倍の才能なだけにもったいない」

 

「うぐっ!」

 

長老の言葉に心を痛める兼一。確かに兼一は武術の才能は全くと師匠たち全員が口を揃えるほどないのだ

 

「アパパ! 大丈夫よケンイチ! 才能がこれっぽっちも無くても達人になれるってケンイチがショーメーしてるよ」

 

「うぐぐっ!?」

 

「という訳で兼ちゃんには川神百代の護衛の任務に就いてもらう。良いかの?」

 

「・・・・・・・・わかりました。その任務お受けいたします!」

 

「おや、兼一君? いつもならもう少し駄々をこねると思ったが今回はやけに素直だね?」

 

「ええ。いつもならもう少し抵抗したかもしれません。ですが、いつまでもその調子では駄目だと前々から思っていました」

 

兼一は何かあるたびに戦略的撤退(逃走)を繰り返していた自分を思い浮かべ後悔を語りだす。周りから聞こえる「今さらかよ?」という声は軽く聞き流す

 

「ですから! これを機に自分を変えようと思います。それに・・・・・・・・お金や名誉のためだけに川神さんを襲うなんて絶対に許せない!!」

 

「ふっ・・・・・・・・」

 

最初の戦略的撤退時の表情とはまるで違う真剣な表情と目をしている

 

「流石は俺達の弟子だ」

 

「うん。兼ちゃんの真っ直ぐな心意気は称賛に値するね」

 

「アパパ! 兼一偉いよ! とってもとっても偉いよ!」

 

「う・・・・ん。偉・・・・・・い」

 

「えっ? そ、そうですか? えへへっ」

 

予想以上に褒めてくる師匠たちに思わず照れてしまう兼一

 

「うむ。今まで過ごしてきたこの街を出る覚悟を即断で決めたのだからのう」

 

「・・・・・・・・えっ?」

 

「さて、では兼一君が正式にOKを出したと親と学校には私から伝えておきましょう」

 

「・・・・・・・・えっ?」

 

「いや~助かったぜ! つまんねえ任務やらされなくて済んでよぅ」

 

「・・・・・・・えっ?」

 

「まったくね。それにおいちゃんや秋雨どんが長期の任務に出てたら病院が大変なことになるね」

 

「アパパパパ!」

 

「・・・・・・・・えっ?」

 

師匠たちがぞろぞろと部屋から退出していく。しかし、退出する際に出てきた『街を出る』、『長期の任務』という単語に兼一は唖然としてしまっている

 

「あ、あのそれって一体・・・・・・・?」

 

「そういえば任務についての詳細を言っておらんかったのう。川神百代の護衛じゃが、刺客の奴らがいつ狙ってくるのか正直わからんのじゃよ。じゃから24時間体制で護衛しなければならん。ちゅう訳じゃから兼ちゃんはこの街を出て川神市に引っ越してもらう。そして、川神百代が通っておる川神学院に転校するのじゃ!」

 

「え、えええっ!? な、なぜそこまで・・・・・・・・? はっ! 僕に一番適しているってまさかこのことだったのか!?」

 

確かに兼一は梁山泊のメンバーの中で最年少である。転校して川神学園に潜入することが一番不自然ではなく怪しまれる可能性は低い

 

「だからって急にこんな・・・・・・・・それに準備も何も」

 

「おい兼一。お前の荷物はここにまとめておいたからな」

 

「準備良すぎ!? というか初めから僕に行かせるつもりでしたね!?」

 

「ほっほっほっ! では兼ちゃんやさっそくわしの友人である依頼人の元へといくとするかの」

 

「あっー、やっぱり僕お花の手入れや本の片付けで忙しいんでした! ですからこの依頼は別の人に────」

 

「さて、よいしょっと。ほう? また筋力が増えたみたいじゃのう。前より重くなっておる」

 

「そりゃあ、いつもしごかれてますからって何普通に人を荷物みたいに持ち上げてんですか!?」

 

じたばたと抵抗する兼一だが微動だにしない。達人の域に達した兼一でも無敵超人にはかなわないのだ

 

「往生際が悪いからじゃ。安心せい、兼ちゃんが育てておる花達はアパチャイ君やしぐれに任せておる」

 

「全然安心出来ません!? なんで寄りによってその組み合わせ!?」

 

「それでは皆の衆行ってくる」

 

「待って、長老! せめて、岬越寺師匠か馬師父にいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!??」

 

こうして、兼一は初めての一人で裏社会を経験(強制的に)する事となった。

 

 

 

 

 

************************

 

場所は変わって川神市。川神院と呼ばれる場所で黒髪で長髪の美少女がお茶を飲んでいた。

 

「んっ?茶柱が立ってる‥‥‥。可愛い子ちゃんに会えるような気がするな!」

 

少しオヤジ臭い顔をした美少女はそのままお茶を一飲みし、ご機嫌で部屋を飛び出した。しかし、彼女は気付かなかった。その湯呑に亀裂が入っていたことに・・・・・・

 

 

 




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