雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら   作:ワカメの味噌汁

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第七十話

ウェイバーを臣下にした直後、ライダーは聖杯戦争最後の疾走を始めるべく、愛馬ブケファロスに語りかける。

「さあ、いざ行こうぞブケファロス‼」

ライダーのその合図にブケファロスも鳴き声をあげる事で同意すると、駆け出した。

 

彼方にこそ栄えあり。

届かぬからこそ挑むのだ。

覇道を謳い、覇道を示す。

この背中を見守る臣下の為に。

 

ライダーの勇姿を確認したギルガメッシュは、ライダーへの敬意を確信すると、微笑み、「王の財宝」を展開し、宝具を射出する。

しかしライダーは臆さない。

愛馬ブケファロスが宝具の嵐に倒れても、自身の身体を宝剣が貫いても。

 

遂にライダーがギルガメッシュに攻撃可能な距離まで迫る。そして、最後の力を振り絞り、キュプリオトを振り下ろす−

いや、ライダーの最後の攻撃は、ギルガメッシュが「天の鎖(エルキドゥ)」でライダーを拘束した事によって未遂に終わった。

 

「フンッ」

ギルガメッシュは満足気に鼻を鳴らす。

 

「全く貴様...次から次へと珍妙な物を...」

あと一歩のところで最後の攻撃が防がれたライダーは、悔しそうに言う。

 

そんなライダーにギルガメッシュは乘離剣エアを突き刺し、尋ねる。

「夢より覚めたか?征服王。」

 

「ああ...うむ、そうさな...此度の遠征も心踊ったのう...」

ギルガメッシュの問いにライダーがそう答えると、ギルガメッシュはライダーに言う。

 

「また幾度でも挑むと良いぞ、征服王。」

ギルガメッシュはそう言いながら、乘離剣エアを引き抜く。

「時の果てまで、この世は我の庭だ。故に我が保証しよう。ここは決して其方を飽きさせる事はないとな。」

 

ギルガメッシュのその言葉を聞いたライダーは呟きながら、最期の時を迎えた。

「ああ...そりゃ、いいのう...」

そうか...この胸の高鳴りこそ、オケアヌスの...

 

 

そしてライダーが消えたその場には、ウェイバーとギルガメッシュだけが残された。

ギルガメッシュはウェイバーに歩み寄りながら尋ねる。

「小僧、お前がライダーのマスターか?」

 

ギルガメッシュに怯え、声を震わせながらもウェイバーは答える。

「違う...僕はあの人の臣下だ。」

 

「そうか。」

「だが小僧、お前が真に忠臣であるのなら、亡き王の仇を討つべきでは?」

ギルガメッシュは尋ねる。

 

「お前に挑めば...僕は死ぬ。」

ウェイバーが当たり前の事を言うと、ギルガメッシュも同意した。

「当然だな。」

 

「それは出来ない...!」

「僕は生きろと命じられた!」

ウェイバーがそう言ったのを聞いたギルガメッシュは踵を返し言う。

「忠道大義である。 そのあり方を損ねるな。」

言い終えたギルガメッシュは、金色の粒子となってその場から消えた。

 

ウェイバーが一人残された冬木大橋には、彼の嗚咽だけが響き渡った。

 




第七十話です。

ORTさんのリクエストがあったので、明日の話のおまけ程度のつもりで書き始めたライダーの敗退シーンが思ったより全然長かったので、個別に投稿してみました。

明日はいよいよ最終決戦です。最終決戦はライダー敗退の少し前から始まるので、留意してくれると嬉しいです。

今日も駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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