雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
ライダーとギルガメッシュがそれぞれ杯を投げ、決闘を開始した直後。ライダーは自身の元マスター(ギルガメッシュとの決闘の前に令呪を三角使用したため、マスター権限を失った)ウェイバーに尋ねる。
「怖いか?坊主。」
ライダーのその問いかけを聞いたウェイバーは答える。
「ああ...怖いさ。」
「それとも、お前風に言うと胸が踊るな。」
「フハハハハッ」
「言うようになったではないか、坊主。」
ライダーは豪快に笑うと、ウェイバーの回答に感心しつつも言う。
しかし本当に成長したものだな...
ライダーはそう心の中で呟くと、
ギルガメッシュに意識を戻し、宣言する。
「さあ、始めようでは無いか英雄王!」
「来るがよい‼」
ライダーとギルガメッシュの戦闘が始まる数時間前。日が落ち始めて間もない冬木にて、ケイネスの彼の新たなサーヴァント、セイバーは未完成の冬木市民会館に来ていた。
勿論、聖杯降臨の儀式の工程の一つを行うためである。
ケイネスは魔術で意識を失わせている聖杯の器、アイリスフィールを壇上に寝かせると、彼女を安楽死させる為の魔術をかけた。
「マスター、どうにかしてアイリスフィールを殺さずに聖杯を取り出す方法は無いのですか?」
まだマスターが切嗣であった頃に、アイリスフィールと親密な関係になったセイバーは尋ねる。
「セイバー、お前の気持ちは良く分かる。だが、それは出来ない。」
「それにもしそれが出来たとしても、一時的とは言えランサー、アサシン、そしてキャスターの三騎のサーヴァントを一時的に留めていたんだ...身体への負担を考えると長くはないだろう。」
ケイネスがそう言うと、セイバーは悲しそうに答えた。
「そうですか...」
そんなセイバーを見たケイネスはせめてもの慰めとして安楽死させる旨を伝えると、術の最終工程に入る。
そして、遂に寝かされていたアイリスフィールがその息を引きとった。
「さて、セイバーよ。此処からの戦いはより厳しいものとなる。」
アイリスフィールを安楽死させたケイネスは、セイバーに言う。
「我々はただ単に敵サーヴァントを倒すだけでなく、聖杯を奪われぬようにせねばならないからな。」
「気を引き締めて行くぞ。」
「集えよ我が同朋。今宵我らは、最強の伝説に勇姿を記す。」
ライダーは号令すると、自身の誇る「王の軍勢」の固有結界を発動させる。
辺り一帯が砂漠になり、ライダーの戦友達が姿を現すと、ライダーは宣言する。
「敵は英雄王。」
「相手に取って不足なし。」
「いざ強者達よ、原初の英霊に我らが覇道を示そうぞ‼」
その宣言に英霊達は答え、雄叫びをあげる。
そして「王の軍勢」はライダーに先導され、ギルガメッシュに向かって駆け出した。
「来るがよい。覇軍の主よ。」
ライダーが「王の軍勢」を引き連れ自身に向かって来るのを見ながらギルガメッシュは呟く。
「今こそお前は真の王の姿を知るのだ。」
「夢を束ねて覇道を志す。」
「その意気込みは感服に値する。」
ギルガメッシュは穏やかな口調で呟き、宝物庫の鍵を出現させる。
「だが強者共よ、わきまえていたか?」
「夢とはやがてことごとく、覚めて消えるのが道理だと。」
そして、その鍵を起動し、自身を自身たらしめる最強宝具、「乘離剣エア」を取り出した。
「なればこそ、お前の行く先に我が立ちはだかるのは必然であったな、征服王。」
「さあ、その夢の結末を知るが良い。」
「この我が理を示そう。」
ギルガメッシュが「乘離剣エア」を起動させ始めたのを見たライダーは軍勢に警告する。
「来るぞ‼」
「さあ、目覚めよエアよ‼」
「お前に相応しい舞台が整った‼」
「いざ仰げ‼」
そして、ギルガメッシュは遂に乘離剣の真名を謳う。
「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!!」
第六十八話です。
着々と終わりが近づいて来ていますね。
あと十話あるかないかぐらいだと思います。
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。