雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら   作:ワカメの味噌汁

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第五十七話

大海魔戦後の静寂の中、切嗣のターゲット選定は続いていた。

「今回の戦いで全く消耗していないバーサーカー陣営とアーチャー陣営には攻撃を仕掛けない方が良いだろう。」

切嗣は呟く。

 

「よってバーサーカー陣営とアーチャー陣営、そして既に脱落済みのアサシン陣営とキャスター陣営を六陣営から除くと、ターゲットとなり得る陣営はランサー陣営かライダー陣営の二つに絞られる。」

 

更に切嗣は考察を続ける。

「ランサー陣営は、時計塔講師で更に実戦経験も豊富なケイネス・エルメロイ・アーチボルトが率いる強力な陣営だ。サーヴァントのランサー、ディルムッド・オディナは対人宝具を二本を主軸として闘う。一見、サーヴァントの方は簡単な相手に見えるが、中々強力だ。」

「ランサー陣営と闘うメリットは、ランサーを倒すことによってセイバーの左手の呪いが解消され、本来の宝具であるエクスカリバーの真名解放が可能になることだ。」

 

そう、ランサーを倒すことさえ出来ればゲイ・ボウによって負わされられた治癒不可能の傷を癒すことができ、今後の戦いに更なるアドヴァンテージが付け加わる。

 

「もう一つの陣営はライダー陣営だ。」

「魔術師としての才能に恵まれず、実戦経験も無に等しいマスター、ウェイバー・ベルベットが率いるこの陣営は、サーヴァントであるライダーの強力さに助けられている。」

「ライダーは現在確認できているだけでも二つの対軍宝具を持ち、そのうちの一つはランクEXだ。」

「また、ライダーは『神威の車輪』を使ってマスターごと移動するため、意外にも隙がない。」

 

二つの陣営の考察を終えた切嗣は、長考し、決断する。

「どちらも鬼門だが....アドヴァンテージを考えるとランサー陣営だろう。」

 

決断した切嗣の行動は早かった。

アイリスフィールにケイネスとランサーの潜伏先を伝え、そこにセイバーと共に向かうように指示し、自身も出発した。

 

一方その頃、ケイネスは魔術協会のコネを使って手に入れた切嗣に関する情報を洗っていた。

「ふむ...衛宮切嗣は封印指定の父から二割程度の魔術刻印を受け継いでおり、『固有時制御』を用いるのか。」

「それに付け加えて数々の現代兵器を用いる。」

現代兵器の使用は把握済みの情報であったため、驚きはしないが、資料には一つ気になることが記載されていた。

「起源弾。衛宮切嗣の魔術礼装で、魔術を使って防ぐと対象の魔術回路をズタズタに切り裂いて繋ぎなおすのか。」

 

厄介だな...

銃弾の威力も通常のモノとは比べものにならないため、魔術を使わない防御も難しいか...

 

「ランサー、どう見る?」

ケイネスとランサーは起源弾対策のための議論を始める−

その衛宮切嗣に狙いを定められたことを知らずに。




第五十七話です。

ランサー陣営vsセイバー陣営が次話から始まります。
舞弥もソラウもいない上にケイネス先生がチートな状況での戦いは、原作の物と百八十度異なる物となります。
楽しみにしてくれると嬉しいです。

今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。

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