雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら   作:ワカメの味噌汁

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第五十五話

雁夜とケイネスの戦いが泥沼化したのと同刻−

未遠川では、セイバーとライダーがキャスターの召喚した大海魔との戦闘を行っていた。

 

斬っても斬ってもキリがない...!!

セイバーは聖剣で大海魔の触手を斬りながら考える。

セイバーと同様に、ライダーも「神威の車輪」による攻撃を確実に大海魔に命中させていたが、大海魔は再生するばかりで、ライダーとセイバーは苛立ちを募らせていた。

 

「セイバー、貴様何かこう、このデカブツを一撃で消しとばせる様な隠し球を持っていないか?」

このまま攻撃を続けても無意味だと考えたライダーはセイバーに尋ねる。

 

勿論、セイバーはにはそれがある。対城宝具のエクスカリバーの真名解放だ。

しかし、それはランサーのゲイ・ボウによって負った治癒不可能の傷によって発動不可能なモノとなっていた。

 

故にセイバーは答える。

「ある事にはあるが...今は使える状況にない。」

セイバーの言葉を聞いたライダーは、落胆し、再び「神威の車輪」による攻撃に移る。

 

 

同刻−

切嗣は未遠川上のクルーザーから、キャスターのマスターである雨生龍之介を詮索し、発見した。

 

「奴が雨生龍之介か。」

切嗣はそう呟きつつも、愛銃ワルサーWA2000を構え、狙撃の準備をする。

「一見、何処にでもいる普通の青年にしか見えない。だが...」

「1」

「2」

「3」

「そんな事は関係がないか。」

切嗣はそう呟きながら、キャスターのマスターと思わしき男を射殺した。

 

しかし、それによってキャスターとその大海魔が消滅する事はない。キャスターは単に魔力元を龍之介から自身の宝具である「螺旋城教本」に移す事によって、現界を保つ。

「新たな魔力元を得たキャスターは現界し続ける。勿論、キャスターが召喚したあの化け物も消えないか...」

切嗣はそう呟き、自身手の甲に刻まれたマスターとしての証を見つめる。

 

「ランサーは対人宝具しか持たない。ライダーの対軍宝軍はあの怪物を一撃で消滅させるには火力不足。バーサーカーとアーチャーの宝具の詳細は不明だが、ここにいないという事はあの化け物と戦闘を行うつもりがないのだろう。」

「キャスターを倒せばもう一角貰えるんだ。令呪四角のアドヴァンテージを失うのは惜しいが、あの化け物に聖杯戦争その物に崩壊されては元も子もない。」

 

そう言い、切嗣は令呪に意識を向けて唱える。

「令呪をもって我が傀儡に命じる。セイバー、聖剣エクスカリバーの真名解放をもってキャスターを大海魔ごと消し飛ばせ。」

 

切嗣のその令呪を用いた命令を受け、セイバーは一時的に左手の怪我を無視して宝剣エクスカリバーの真名解放する。

「エクスッ、カリバー‼」

真名を解放された聖剣エクスカリバーが放った光は、大海魔を包み込み、キャスターもろとも消し飛ばした。

 

 

大海魔とキャスターがエクスカリバーの真名解放によって消しとばされたとのとほぼ同刻。

ケイネスと雁夜(人形)の戦いも決着の時に近づいていた。

 

「scalp!!」

ケイネスがそう唱えると、月霊髄液が飛行中の蟲たちを切り裂く。もう半時間以上にも及ぶケイネスのこの地道な努力は、やっと実を結び始めた。

 

残りの蟲も銃弾ももう少ない...

雁夜は心の中で呟く。

そろそろ潮時か。

 

雁夜のそんな心中を察したのか、ケイネスは攻撃の手を強め始めた。

 

「仕方が無い。」

雁夜はそう言うと、人形に残っていた魔力を全て込めて、人形の胴体に炎のルーンを刻み、言う。

「素晴らしい戦いであった。ロード=エルメロイ。

「さらばだ。」

それを言い終えた雁夜は人形との意識のシンクロを解いた。

 




第五十五話です。

原作で唯一納得出来ないのがここなんですよね。
幾らなんでも流石に宝具の破棄はないだろうって感じてしまって.,.

今日も駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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