雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら   作:ワカメの味噌汁

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第四話

走る、走る。雁夜は走る。

 

あの日-雁夜が橙子と出会い魔術を教えてもらう変わりに肉体強化を自分ですると約束したあの日-から二ヶ月間が経とうとしていた。

 

この二ヶ月間、毎日15Kmのコースを走っている。

 

最初の数日間はとても辛かった。

辛くて投げ出そうと思ったことも何度かあった。

しかしその度、蔵硯を斃すという目標を思い出し、自分を鼓舞してきた。

 

タイムも二ヶ月前と比べると随分と早くなった。

そろそろ距離を15kmから20kmまでに延ばしてもいいかな?とも考えることができる様になるほど、雁夜はランニングに慣れてきたのである。

 

ランニングが終わった後は、筋トレである。

これも二ヶ月間、一日として欠かさずにやっている。

内容は

腹筋50回、腕立て50回、スクワット50回、懸垂50回

これら全てを5セットずつやる。

 

これらもやはり最初は辛かった。

特に懸垂が大変で、10回するのですら一苦労であった。

だが、今は違う。

 

これらを二ヶ月間続けてきたお陰で、雁夜は二ヶ月間と比べものにならない程逞しくなっていた。

まさに「継続は力なり」である。

 

身体トレーニングが終わり、シャワーを浴びて休憩したあと、雁夜は橙子から魔術の手ほどきを受ける。

 

二ヶ月前は魔術回路を起動させるので精一杯だった雁夜

も、根気強く努力した結果、目に見えて進歩した。

 

まだ一人前には程遠いが、

基本的な治癒魔術、肉体強化魔術を使えるようになった。

師匠が橙子ということもあり、簡単なルーン、人形魔術を教わり始めている。もっともまだまだ使いこなせてはいないが。

 

魔術の手ほどきが終わったあとは橙子の仕事の手伝いをする。基本的には茶くみや書類整理であるが、何か力になれれば、程度の意気込みでやっているし、橙子も助かっていると言っているので、問題ないだろう。

 

こんな生活に雁夜は充実感を感じていた。

冬木に、あの家にいた頃では考えられない程充実している。

日に日に肉体的にも魔術的にも強くなってくるのを実感できるし、強くなれば成る程あの妖怪-間桐蔵硯-を殺すという目標に近づいている。

「あと少ししたら、基礎魔術の習得が終わるって師匠が言っていたな」

一日を終え、さあ寝ようかという時、雁夜はふと思い出した様に呟いた。

 

「でも、基礎魔術が終わったら何を習うんだろう。ルーンは便利だけど、ルーンだけで蔵硯を倒せるとは思えないし、俺は師匠の様に圧倒的な人形魔術の才があるわけでもない。魔眼の修行使い方も練習しているけど、それだけじゃ足りないかもしれない。どちらかと言えば筋力強化魔術とかの肉体改造魔術の方が向いてるって言われたしな。」

 

その様なことを考えながら、雁夜は眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




第四話です

前に書いた大きな進展は次になりそうです。
楽しみにしてくれてたら幸いです。

今日も駄文に付き合ってくれてありがとうございました。

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