逆行オイフェ   作:クワトロ体位

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第50話『失恋オイフェ』

 

 グランベル属州領

 エバンス城城下町

 

「いいかアゼル。オイフェはあれが精霊だなんて言ってたが、俺はそうだとは思っていない。あれはエリートの神だ。エリートたるエリートの俺にエリートとは何たるかを示してくれたエリートの女神だ。なので俺はこれからあそこを精霊の森ではなくエリートの森と呼ぶ事にする」

「ごめん後半何言ってるのか全然わかんない」

 

 短期間で驚くべき程発展を遂げたエバンスの城下町。

 オイフェが打ち出した様々な政策は周辺からの人口流入を促しており、それに応じて商売気のある者達もエバンスへ集っている。

 賑わいを見せる露店立ち並ぶ街路を歩くのは、ヴェルトマー公子アゼルとドズルのいい男だった。

 

「はぁ……」

 

 活力ある街の様子とは打って変わり、アゼルの表情は暗い。いい男の軽快なトークを聞いても気分は晴れなかった。

 当然だ。なにせ、彼は人生初の失恋という青々しい苦しみに苛まれているからだ。

 兄へ宛てた手紙では強がっていたものの、想い人が自身を全く眼中に入れていなかった事実は、恋路拙きアゼルにとって強烈な喪失感を味合わせるに十分であり。

 想い人と恋敵がはにかみながらも情熱的な口づけを交わしていたのを目撃した時などは、しこたま嘔吐した後丸一日寝込んでしまった程である。

 

「まあまあアゼルくんよ。ため息ばかりじゃいい男になれないぜ? せっかくの休暇なんだ、パーっと遊んで気分を変えようや」

「そうだねレックス」

 

 ともあれ、持つべきものは親友(いい男)である。

 元気付けようとしてくれるレックスの好意に応えるべく、こうして街に繰り出していたのだ。

 加えて。

 

「この所忙しかったもんね」

 

 アゼルが憔悴していた原因は、なにも失恋のダメージだけではない。

 緊急的に実施されたノディオンエバンス間の街道警備に忙殺されていたのもあった。

 

「クロード神父の件もあるけど、ノディオンのお姫様があんな危ない目に遭ったら、そりゃあ街道の警備も厳重にせにゃなるまいよ」

「フィン、大丈夫かな。すごい責任感じてるって聞いたけど」

「キュアン王子とエスリン妃がいるから大丈夫だろ。御二方に任せておけばいいさ。それにしても、世界ひろしとはいえあんな傭兵がいるとは世界ひろしとはいえ思わなかったぜ」

「うん……なんで二回言ったの?」

 

 先頃エッダの教主クロード神父がエバンスへ訪れたのは、一部の者は事前にオイフェから知らされていた。

 そして、聖地ブラギの塔への船便をも手配しており、クロード神父訪問自体はつつがなく終わっている。

 シグルドへの挨拶もそこそこに、クロードはオイフェが手配していたノディオン港からの船へ搭乗し聖地へ向かっていた。

 陸路を用いずに海路を用いるクロードを、同じ教団出身のパルマーク司祭は少々訝しむも、やけに切迫した様子のクロードを見てそれ以上何も言うことはなく。

 エッダ教主でありエッダ公国公爵としての身分を持つクロード。多忙なのは以前から知っており、此度の巡礼も何か理由があっての事だろうと自得していた。

 

 そして、先のノディオン王妹ラケシスの誘拐未遂事件。エバンスとノディオン間の街道付近で発生したこの事件は、当然関係各位に衝撃を与えていた。

 ノディオン国王エルトシャンなどは、この事件を聞き激怒。自ら騎士団を率い街道警備に乗り出す始末だった。

 また、この事件がノディオン領内で発生した事実が、エルトシャンの怒りをより昂ぶらせるものとなっていた。加えて、ラケシス自身の証言により、護衛として従っていたフィンの責任を咎める事も出来ず(もっとも、本人は自責の念に苛まれ続けているが)

 要は、獅子王の面子を潰されたようなものだ。自身の膝下で、自身の妹を誘拐されかけるという事は、エルトシャンにとって屈辱的な情念を滾らせる結果となった。無論、その情念の奥底には、禁断の恋情が燻っていたのは言うまでもない。

 

 苛烈な治安維持活動はクロード神父がノディオン港を出発してからも継続しており、一時はノディオンとエバンス間の物流を停滞させる程だった。

 文字通り国境封鎖にまでエスカレートしたこの件は、レンスター王子キュアンと属州総督シグルドが直接エルトシャンを止めに入る事で一応の決着を見せる。

 

 その後、三者の調整により、属州領側からも街道警備の兵を出す事となり。その煽りを最も多く受けたのが、過酷な訓練の合間を縫って街道警備に従事する羽目となったアゼルといい男だった。

 

「つーか忙しかったのは仕方ないだろ。そもそも街道警備に志願したのお前じゃんアゼルバイジャン?」

「まあそうなんだけど……バイジャン……?」

 

 アゼルが街道警備に志願した理由は至極単純。要は失恋を忘れたかったから。忙しない環境に身を置くことで、エーディンの事を少しでも忘れたかったからだ。

 いい男がそれに付き合うのはいい男なので特に理由はない。

 

「なんだよ、まだ引きずってんのか」

「……」

 

 とはいえ、そのような任務をこなした後でも、アゼルの失情は晴れる事はなく。

 悶々とした感情を籠もらせるアゼルは、ふと言葉を吐露する。

 

「僕さ。思ったより嫉妬深い人間だったみたい」

 

 アゼルの言葉を黙って聞くレックス。

 無言の親友に促されるように、アゼルは滔々と己の心情を語り始めた。

 

「エーディン様とミデェールが仲良くしているのを見てたらさ、僕はなんでヴェルトマーの公子なんだろうって思うようになって」

 

 エーディンがミデェールに明確な恋心を抱いたのは、恐らく先のヴェルダン戦での一件だろう。

 最後までエーディンを守るべく奮戦したミデェール。その姿は、元よりそこはかとない好意を抱いていたユングヴィ公女にとって、好意が恋情に変わるに十分な程、悲壮で、勇壮な姿だったのだろう。

 また、身分の差も、二人を燃え上がらせる要因となったのは想像に難くなく。

 隠れて逢瀬を重ねるエーディンとミデェールを目撃したアゼルは、何故自分がユングヴィに生まれ、ユングヴィの騎士としてエーディンの側に居られなかったのだろうかと。

 そう益体もない事を考える始末。

 

「僕がミデェールの立場だったら、エーディン様と結ばれていたんじゃないかって」

 

 悲痛な想いを浮かべながら感情を吐露するアゼル。

 初めて失恋を味わう若者特有の、どうしようもなく切ない感情。

 アゼルは認めたくなかったのだ。ミデェールに、自身が男として劣っているという事実を。

 

「……」

 

 ずっと黙って聞いていたレックス。

 やがて真摯な表情を浮かべ、親友へ真正面に顔を向けた。

 レックスの真摯な瞳を受け、アゼルもまた潤んだ瞳を返す。

 

 そして。

 

「なんだそれ! くだらねえな!」

「口悪っ!? もう少し言い方考えてよ!」

「なんですかそれは。くだらないですね」

「言い方改めろとは言ってないよ! そこはなんかこう、建設的な意見を言うとかさあ!」

「じゃあ俺、失恋したアゼルくんの為に一軒家建てるから……」

「建設しろとは言ってないしそもそも余計なお世話な上に意味不明だよ!!!」

 

 身も蓋もないいい男の直球。

 ヴェルトマー公子は自身の赤い髪の如く顔を赤くするのみ。

 

「じゃあ真面目に言うけど、お前が抱えているのはただのコンプレックスだぞ」

「う……」

 

 しかし、レックスのずばりな物言いに、アゼルは言葉を詰まらせる。

 ヴェルトマーの大貴族の子弟が、平民とさして変わらぬユングヴィの騎士階級身分に劣等感を抱くのもおかしな話ではあるが、多感な思春期ともいえるアゼルにとって、それは自身もどこかで認める事実であった。

 

「仕方ねえ、俺様がひと肌脱いでやるか」

「え」

 

 そのような劣等感を解消するには、アゼル自身が何かしらの自信を身につければ良い。

 そう結論付けたレックス。

 ずいと近寄るいい男に、アゼルは思わず一歩後ずさる。

 

「な、なんだよレックス」

「アゼル。お前が自信をつける手っ取り早い方法を教えてやる」

 

 気付けば至近距離にまで接近を許したアゼル。

 いい男のエリートオーラに押されたのか、アゼルは蛇に睨まれた蛙の如く身を竦ませるばかりである。

 それから、いい男はアゼルの肩をがっしりと掴み、こう言った。

 

「おし、じゃあ童貞捨てにいくぞー」

「ちょっと待って?」

「その前に俺と練習しよう、な!」

「ちょっと待てよ!?」

 

 アゼルを拘束し、その柔い唇を奪おうとするいい男。

 当然その異様な様子は衆目を集める事となるが、「いい男がまたなんかやってらっしゃる」とエバンス住民はそれ以上気にする事はなかった。

 

「暴れんな……暴れんな……!」

「やめろォ!!!」

 

 じたばたと抗うアゼルであったが、力の差は歴然。

 為す術もなく、ファーストキスを略奪されようとしていた。

 

 

「おーっすアンタ達! 元気にしてたヴォオオオオッッ!?」

 

 突として聞こえる雷撃乙女の声。

 いきなり汚い嬌声が聞こえたのを受け、レックスとアゼルは行為を中断しその声の主へと振り向く。

 

「ティ、ティルテュ!?」

 

 フリージ公女ティルテュ。

 久方ぶりに再会した幼馴染達へ挨拶した彼女は、挨拶そうそう鼻血を噴出させその場に蹲っていた。

 

「や、やっべェ~……! そういうのはロンモチで大好物だけど、知り合い同士がやってると破壊力が桁違いだわ……!」

「姫さま、気持ち悪い」

 

 貴人らしからぬ醜悪な笑みを浮かべながらそう独りごちるティルテュ。

 既に鉄血の女将軍の片鱗を見せ始めたお付きの幼女アマルダに冷然とした視線を向けられるも、フリージ乙女はめくるめく妄想を昂ぶらせていた。

 

「お、ティルテュじゃん。お久しぶりぶりぶり」

「む、お久しぶりぶりぶりねレックス」

「何その挨拶……」

 

 しかし、いい男の声を受け、流れる鼻血を拭いながらそう挨拶を交わすティルテュ。

 突然現れた幼馴染の公女に戸惑うアゼルであったが、いい男の拘束が緩んだのを受け素早くその射程距離から逃れていた。

 レックスはぺこりと可愛らしく両公子へお辞儀するアマルダへ、いい笑顔を向けていた。

 

「んで、何してんのよこんな往来で」

「いやこっちのセリフだよ。どうしてティルテュがエバンスにいるのさ」

 

 やっと普通の会話が出来たことで落ち着きを取り戻したアゼルは、ティルテュが何故エバンスにいるのかを問い質していた。

 

「そりゃあもちろん神父様に会いに来たのよ! いるんでしょエバンスに」

 

 そう言って慎ましい胸を張るティルテュ。

 曰く、辻馬車を乗り継いでエッダからエバンスへ至ったのはいいが、迂闊にエバンス城へ向かうと諸々を心配したシグルドによりフリージへ強制送還されかねない。

 さてどうしたものかと思案を巡らせながらエバンス城下町を観光していると、見知った幼馴染達の姿を見留めたという次第であった。

 

「クロード神父はもういないぞ」

「は?」

 

 しかし、そのようないい男の言葉に固まるティルテュ。

 既にクロードは船便にて聖地へ向かっており、どうあがいてもティルテュが追いつける道理はない。

 無慈悲な事実に、フリージ乙女は再度その場に蹲る。

 

「まじかー……じゃああたしはどうすりゃいいのよ?」

「どうもこうもねえよ!」

「うざ! あんたいい男なのにそういう所は昔から変わらないわね!」

 

 歯に衣着せぬ物言いを交わすフリージ公女とドズルのいい男。

 とはいえ、昔からこのような関係だった事を思い出したアゼルは、二人のやり取りを見て微笑みを漏らしていた。

 

「なに笑ってんのよ」

「え、いや、笑っているわけじゃ」

 

 ポカリとアゼルを肩パンしながらそう言ったティルテュ。

 そのような幼馴染二人の姿を見て、レックスは何やら考えるように顎に手を当てていた。

 

「ティルテュはフリージへ帰りたくないのか?」

「当たり前よ! せっかく神父様に会いに来たのにこのままフリージへ帰ったら何の為にここまで来たのかわかったもんじゃないわ!」

「そうかそうか。じゃ、クロード神父が帰ってくるまでこのままエバンスにいたらいいじゃんアゼルバイジャン?」

「うーん……じゃあそうするわ」

「レックスはその言い方気に入ったの……? ていうかそんなの無理だよティルテュ」

 

 気さくな物言いでそう提案するレックスに、ひどく軽い調子で応えるティルテュ。

 しかし、政治的なあれこれを抜きにしたそれは、アゼルですら危ういものを感じる。

 水面下で敵対しているフリージ公爵の娘をエバンスに留めるには、シグルドの立場を微妙なものにしかねなかった。

 

「黙ってればいいじゃん」

「そうよね。黙ってればいいわ」

「えぇ……」

 

 どの道クロードは巡礼の帰りにまたエバンスへ立ち寄る。

 それを考えれば、このままエバンスへ留まるのも悪くない。

 既に事後承諾的に父レプトールへクロードを追いかけエッダを出立していた事を伝えていたティルテュは、そのままなし崩し的にエバンスへ滞在するのもさして変わらぬだろうと、浅薄な考えを持っていた。

 当然、シグルドを始め、ティルテュを知る属州領の者達へもそのような強引な論理を押し通すつもりであり。レックスやアゼルが協力すれば、その無茶も押し通せると確信していた。

 なんだかんだで、二人はヴェルトマーとドズルの公子なのだ。彼らの口添えがあれば、無茶も道理に変わるというもの。特に、いい男の発言力が説明の付かない説得力を備えていたのは、もはや説明不要である。

 

「姫さま……」

 

 そのようなティルテュに、はあと深い溜息をひとつ吐くアマルダ。

 このお転婆姫に振り回され続けていた幼女は、もう何も言う気力は残されていなかった。

 

「じゃあアゼル、後は任せた」

「え?」

 

 しかし、レックスはいい笑顔でそう言って、その場からスタスタと立ち去ろうとする。

 言うだけ言って直接の面倒事は全てアゼルに被せようとするレックスであったが、いい男なのでその辺りは許されるのだ。

 

「お、そうだ。ティルテュよ」

「なによ」

 

 去り際にティルテュの肩を叩きながら、レックスは小声で呟いた。

 

「アゼル、失恋したんだ。お前さんからも慰めてやってくれよな」

「はあ?」

 

 じゃ、よろしくぅ! と、いい笑顔で親指を立てながらその場を去るレックス。

 いい男の背中は、いい男だった。

 

「……あんた、失恋したんだって?」

「えっ? いや、失恋っていうか、なんというか……」

「ふーん……」

 

 いい男が去った後、失恋した事実を問い詰めるティルテュ。

 アゼルは戸惑いながらも、もじもじと身を竦ませる事で暗に肯定していた。

 

「ふん!」

「痛っ!? な、なんだよ急に!?」

 

 そのようなアゼルを見て、ティルテュはその脛へ蹴りを一発入れる。

 急に蹴られた事を抗議するアゼルを無視し、フリージ乙女はそのまま踵を返した。

 

「あたし、疲れちゃった。アマルダと一緒にしばらくあんたの所に世話になるから、はやく案内して」

「え、いやちょっと待ってよティルテュ!」

 

 そう言いながらエバンス城へと向かうティルテュ。

 慌てて追いかけるアゼルだったが、その表情は先程の失恋の悲しみに苛まれていた切なさは、綺麗さっぱり消え去っていた。

 

「姫さまも素直じゃないですね……」

 

 振り向いたティルテュの表情を見ていたアマルダは、そう呟きつつ、フリージとヴェルトマーの若者達を追いかけていった。

 少しばかり朱を浮かべた頬を膨らます主に、やれやれと嘆息する幼女らしからぬ様子を見せながら。

 

 

 

 

「あれはティルテュ公女……ここまで付いてきてしまったのか……」

 

 若者達の甘酸っぱい様子を、遠くから見留める一人の僧侶。

 薄くなった前髪を撫でつつ、訝しげな表情を浮かべるは、エッダの僧侶であり、破戒僧ともいえる傲慢な男、アウグストだ。

 

「まああのお転婆はどうでも良いが……」

 

 ともあれ、アウグストにとってティルテュがエバンスにいようがいまいが関係なく。

 クロード神父よりも前に属州領へ至っていたアウグストは、これまで見聞した領内の様子を思考する。

 

(やはり戦に備えているとしか思えん)

 

 アウグストはエッダを出立してから、そのまま真っ直ぐエバンスへ向かったわけではなく。

 属州領へ入った際、そのままヴェルダン領にまで足を伸ばし、シグルドの施政下をつぶさに観察していた。

 そして、アウグストは属州領が異様なまでに軍備を拡張している事を看破していた。

 

(ヴェルダンに対する施策も臭う。あれでは、ジャムカ王はいざとなれば属州領を守る為に必死になるだろうな)

 

 ジャムカが治めるヴェルダンでも、属州領の内政干渉が行われていた。

 既に街道整備や湖の水運開発等の巨額のインフラ投資を受けていたのもあり、ジャムカは特にそれに反発する事なく、むしろ積極的に属州領の施策を受け入れていた。

 無論、それが領内を豊かにする事を理解していたからだ。敗戦国の義務であるグランベル王国への朝貢も、属州領が実質肩代わりしている現状もあり、またシグルドと形式的ではあるが縁戚関係となっている以上、ジャムカがシグルドと一蓮托生な関係なのは言うまでもない。

 

「さて、どのような思惑なのやら」

 

 アウグストは領内の経済政策により、平民(シビリアン)の権利を拡張している事も気付いていた。無論、グランベルによる封建制を崩さないギリギリの所ではあるが、平民に領内の移動の自由、そして楽市楽座ともいえる商売の自由も許している事は、富国強兵の一環であるのは疑いようもなく。

 更に、その先にある事実も、アウグストは看破していた。

 降って湧いた権利を守る為、平民達はいざとなれば属州領の為に必死になって戦うだろうと。

 

「クロード神父の巡礼も気になるが……まあ、オイフェ殿を待つしか無いか。さしあたって、パルマークめに当分世話になるとするか」

 

 そう嘯き、アウグストもまたティルテュ達に続きエバンス城に向かう。

 旧知であるパルマーク司祭の元へ向かい、属州領の中枢にも入り込もうとしていた。

 

「果たしてシグルド公子……いや、シグルド総督はどのような御仁なのかな……フフフ……」

 

 当然、己が一目置くオイフェが、絶大的な忠誠を誓うシグルドの人柄も見定めようとする。

 にやりと歪に口角を歪める破戒僧は、様々な思惑を秘め、エバンス城へと向かっていった。

 

 果たして、それがオイフェの大望の一助になるのか。

 それとも、致命的な足かせとなるのか。

 

 僧侶から軍師へ変貌を遂げたアウグスト。

 ユグドラルを渦巻く陰謀へと、足を踏み入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




色んなキャラ描きたいなってなると話が進まねえ~(ジレンマ)

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