PARALLEL WHITE ALBUM2(仮題)   作:双葉寛之

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このアクセス数。いったい何が始まるんです?
じゃなくて、いったいどうしたんでしょうか。すごい怖いんですが。
通常の2.5倍のUA数と1ヶ月相当のお気に入り追加数が一日で起こるって……。いやホントに怖い。


差し替え版。先日予告していた通り、後半を追加しています。


※軽く2話分の文字数です。長ったらしくてスミマセン。

前日の文章の修正は殆ど行っていないので、続きを読まれる方は

◇追記

の単語をブラウザで抽出すると読みやすいかと思います。


EPISODE:17 Rev1.0

『小木曽、お前のこと、ずっと好きだったんだ』

 

『ごめんなさい。わたし、あなたのこと嫌いじゃないけど。お付き合いするわけには……』

 

 

『佳美、どうしてわたしの事無視するの!?』

 

『……雪菜、あたしが彼に告白して、フラれたって知ってるでしょ』

 

『う、うん……』

 

『その彼から雪菜。告白されたんだよね?』

 

『で、でもわたしは佳美の事考えて――』

 

『彼が雪菜の事を好きにならなかったら、まだあたしにも……。

 ねぇ、可愛かったから告白されたの?

 愛想よくしてるから告白されたの?

 ぶりっ子してれば告白されるの?

 どうして雪菜ばかり!

 ねぇ、雪菜。あたしのこと考えてって言ったけど、可笑しかったでしょ。

 あたしが空回りしていたことに気付いたなんて笑っちゃうよね。

 

 彼の告白を断ることが出来る身分の雪菜が許せない。

 それに……告白されたことを黙ってるなんて許せない』

 

『佳美っ……』

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁああああ!」

 

 

 跳ねるように起きて目を覚ます雪菜。

 叫んでいたのか、喉が痛い。

 

 嫌な夢を見てしまった。

 3年前の秋の友達の慟哭……そして無視という仲間外れ。

 べったりとした嫌な汗でパジャマが張り付く。

 不快感が先程までの悪夢に加味してさらに雪菜の気持ちを沈ませる。

 

 

――シャワー浴びよう。

 

 この汗も、嫌な気持ちも、すべて流してしまおう。

 

 新しく出来た5人の同好会と、2人の友達とは決して昔みたいにならないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、雪菜ぁ……。お前さ、迎えに来るのがビクスクだってこと、忘れてたのか?」

 

「何よ、拓未くん。知ってるに決まってるじゃない。まだ目が覚めてないの?」

 

「寝惚けてんのはお前だろ。

 ……たかが一泊するのにこんなに荷物いらねぇだろ! 遊びじゃねーんだぞ、合宿は!」

 

「女の子が色々と準備が必要なのは当たり前じゃない!」

 

「合宿に服を何着も持っていく阿呆がどこにいる。なんだこれ、化粧箱?お前は化粧の練習をするのか?」

 

「ひどーい!大事だもん、持っていくの!」

 

「あぁ、もう。秋菜さーん!ちょっとコイツに一言いってくださいって!」

 

 土曜日の朝、迎えに来た拓未の前に現れたのは、大きめのファブリック製のトートバッグにいつものハンドバッグ。そしてキャスター付きのキャリーケースを持って玄関を開けてきた雪菜だった。

 

 

――こいつは……何をしにいくつもりだ?

 

 木曜日の晩、合宿を行うと伝えたその日の夜。拓未らは再び小木曽家を訪れ、渋い顔をする晋を一生懸命説得した。

 もちろん、信用している拓未、それに好感のもてる春希。何もないとは思うが、嫁入り前、しかも未成年の娘を男が混じる所に宿泊に行かせるというのを素直に賛成は出来るはずもない。

 女の子も、一緒に連れてきたかずさに加えて、おそらくあと2人。計4人となれば男女の比率も変わる。安心してほしいと訴えるが、尚も首を縦に振らない晋に許可を出させたのは娘である雪菜だった。

 

 

『お父さん、私はお泊り会に遊びに行くわけじゃないの! これは部活。バンドの練習なの!』

 

 遊びなんて半端な気持ちじゃないんだよ。と、熱く語った雪菜だが、当の本人がどうみても旅行や遊びを前提とした準備で目の前に立っている。

 

 普段は、雪菜第一主義とでもいおうか、自分のことを二の次にしてでも雪菜を優先する拓未ではあるが、さすがにバンドのこととなると話は別だった。

 

 持っていくのは下着とシャツだけでいい。そう言い切る拓未にそれはあんまりだと非難の声をあげる雪菜。

 助け舟を出してくれた秋菜のおかげも手伝ってお互いに妥協点を作り、なんとか30分後には出発することが出来たのだった。

 

 

 

 

「あー、くそ。10時に岩津町に集合、10時半には合宿入りだったんだぞ。もう既に10時過ぎてるじゃないか」

 

「拓未くんが文句を言うから遅くなったんじゃない」

 

「どうやっても入りきらない荷物を見ればそりゃ文句だって――」

 

「ねぇ拓未くん、風で髪が暴れて痛いんだけど」

 

「――あぁ、ほら、これ使えよ」

 

 道の脇に一旦停車した拓未は、ハンドルしたの収納パネルから髪留めゴムを取り、タンデムシートに座る雪菜に渡す。

 

 それを受け取りながら女の子に常備している髪留めゴム渡すなんて……。等といってくるが、勿論長髪時代の拓未を知ってての軽口だ。

 

 留め直し、ヘルメットを被る雪菜をみて再び拓未はアクセルを握りスロットルを開く。

 

 夏休みも始まってもうすっかり暑いが一度走りだせばそれなりに快適だ。風の心地よさからか雪菜は上半身を動かし歌い始める。

 

 歩行者や他の車からみたら明らかな変人――そしてそれを連れて運転している拓未。さすがに恥ずかしい。

 

 

「雪菜ー。えらく気分がいいみたいだな。通りすぎる人達が変な目で見てるぞ」

 

「え……。うわぁっ。もう拓未くん、もっと早く言ってよ」

 

「あはは、やっぱ気付いてなかったか。でもそんな楽しそうにして、遊びにいくんじゃねーんだぞ?」

 

「わかってるよ。でも、楽しみなのは楽しみなの。合宿、うまくいくといいね」

 

 運転している拓未の肩に手を乗せる雪菜。頻繁に姿勢を変えられるのは危なくて仕方がないんだが、そこは雪菜も後ろに乗り慣れているのだろう。平然と身体を動かすのは、拓未の運転を信頼している現れだった。

 

「あぁ……うまくいくといいな。大丈夫、お前が気持ち良く歌う為の土壌は作り上げた」

 

 あの日、雪菜が同好会に入るといった日から。

 そして自分もそれに加わることとなった日から、

 

 雪菜につらい思いをさせないようにとバンドの掛け持ちも全て断ってひたすら注いできたこの2週間。

 全ては雪菜が楽しく歌えるように。雪菜が柳原朋に負けないように。

 雪菜が選んだのなら仕方がない。

 ならば自分の気持を殺してでも俺は最高のバンドを作り上げてやろう。それがきっと――

 

 

「うん! 目指せHOTLIVE! だね!」

 

 

 それがきっと、音楽しか能が無い自分にとって、してあげられることだから。

 

 

 

 

 

「うわぁ……、ここ、何……え、冬馬さんの家?」

 

「あー、すっかり遅れちまった。怒ってるかな、皆」

 

「ねぇ拓未くん。ここに来たことあるの?」

「そりゃあ、それくらいあるさ。すげぇだろ。かずさの家。

 そういや雪菜は、かずさが冬馬曜子の娘って知ってたんだよな。

 この家、地下に練習用のリハーサルスタジオがあるんだよ」

 

「え、ウソ!? スタジオって、音楽室だよね!?」

 

 呆然と冬馬邸を見上げる雪菜。それはそうだろう。自宅に音楽室さえ備える豪邸。

 左横にはクルマが3台は入るんじゃないかというシャッターが見える程の家。

 

 雪菜の偶像としてのお嬢様じゃない。本物のお嬢様が、まさかあの暴れ馬のかずさだなんてな。

 そんな皮肉に思わず笑いが出てくる拓未。

 

 

「そっか。――ここが、ここがあの女のハウスね」

 

 拓未の背中を冷や汗が流れる。

 英語の教科書の一節から引用した雪菜。

 だが、拓未にはそれが冗談でも何でもない。というか現実になりそうな……

 何気ない一言はとても恐ろしく聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 集合時間より30分も過ぎて拓未と雪菜が冬馬邸にやってきた。

 格好がつかなくて、この家で練習していることを雪菜に言えなかった春希だが、拓未が直接バイクでやってくると知った時ホッとしたし。遅れることになったと聞いて、一緒に門をくぐって自分も初めて来たと知らない振りをしなくて済んだのは助かった。

 

 

「遅いぞ浅倉。何してたんだ」

 

 合宿を言い出した浅倉が遅れるなんてどういう了見だ。と文句を付ける春希。

 先程まで思っていた気持ちも確かにあるが、それはそれ、これはこれ、だ。

 遅刻など言語道断。たまには日頃の仕返しをしてやりたかった。

 

 

「あぁ、北原。悪い。この阿呆が2泊3日の旅行にでも行くのかっていう荷物持ってきてな……」

 

「阿呆ってなによ阿呆って! わたしは女の子としてちゃんとした準備をしただけじゃない」

 

「はいはい。荷物置いたな。水は持ってけよ。それとほら、のど飴。声少しおかしいぞ」

 

「あ、ありがとう……。なんで判ったの、拓未くん」

 

「そりゃ何度もお前のヒトカラに付き合わされるくらいだからな。調子が悪いのなんてすぐに判るさ」

 

「浅倉、その場合ヒトカラじゃないだろ」

 

 ヒトカラの女王、雪菜の王国である、ヒトカラ王国に領民が1人いた! 春希はそんな妙な感動を抱きつつも拓未と雪菜を連れて地下への階段を降りる。

 何度も来たけど、相変わらず自宅に地下スタジオとかやっぱありえないなーと思うのは春希がやはり庶民だからだろうか。そんなことを考えながら、既に待っている皆のもとに通じるドアを開けた。

 

 

「うわぁ……。すごい。ホントにスタジオなんだ……」

 

 趣味やお父さんの夢でもなんでもない、プロが作曲や自身の練習をするためを前提として作られたその部屋(スタジオ)をみて思わず雪菜は感嘆の声をあげる。

 

 ピアノを弾いていたかずさ、指の調子を確かめるために運指の練習をしていた武也。遊びに来ている依緒。そして春希のギターもすでに準備を整えてプラグ接続してある。

 

 

「遅いぞ拓未、あんたにしては珍しい」

 

「あー、いや。すまん、この阿呆――いやなんでもないごめん」

 

「ごめんなさい、冬馬さん。そしてお邪魔します。すごいねこの家……、びっくりしちゃった」

 

「小木曽、怪我や事故じゃなくて良かったよ。……ちょっと声の調子悪い?」

 

「あ、やっぱりバレるんだね。大丈夫、風邪とかじゃなくてちょっと寝方が悪かったみたい。

 のど飴もらったから少しずつ慣らしていくね」

 

「ん、ならいいけど。無理のないようにね。ボーカルの喉ってのは一番デリケートなんだから」

 

「おいかずさ、ボーカルマイクの準備してやってくれ。あと打ち込み用のケーブルも繋いで」

 

「あぁ、わかった。――小木曽、ミキサーの使い方わからないよね。教えてあげる。こっちに来て」

 

 このメンバーの中で一番準備が大変なのが拓未である。

 自身のベースの準備に加えて、ノートブックの打ち込み音源のセットアップまでしなくてはならない。

 ミキサーとケーブル周りのセッティングをかずさに頼むと拓未はノートブックを立ち上げる。

 

 

「よう、水沢、こんな暇な夏休みってのも珍しいんじゃねーの?」

 

「ホント。久々だから時間の使い方がわかんないよ。

 引退が早かったのは残念だけど、まさか武也と春希のバンドとしての練習を見ることが出来るなんてねぇ。

 案外こういう夏休みも悪くはないよ」

 

 依緒と拓未のわだかまりもこの2週間ですっかり取れた。もともと武也と似て人付き合いのいい性格をしている彼女だ。

 こうやって何の気兼ねもなく話している2人を見て春希はもう心配することなど無い。

 自身の周りが和やかに過ごせる。そんな幸せな感覚が心地よかった。

 

 

「千晶は? あいつも来るって言ってなかったっけ」

 

「瀬能は部活。夕方に来るんだって。ったくあいつはあたしんちにご飯をたかりにくるわ何度も泊まりにくるわ……」

 

 文句を垂れるかずさだが、嬉しそうな声が隠せていない。なんせ中学時代までははそれなりにいたのであろう友達付き合いが付属にはいってからは一気にゼロだ。

 それを3年生まで続けるんだから寂しさはかなりのものだったはずだ。だから気軽に泊まったりご飯を食べたりする女友達というのはかずさにとって有り難かったのだろう。

 

 

「よし、出来た。悪かったな遅くなって。

 ……それじゃ、合宿1日目。始めようか!」

 

 

 高校生活最後の夏休み。軽音楽同好会の、夏のライブに向けた合宿が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……」

 

「はぁ……」

 

「えぇ、ウソ……。あんた、春希、よね?」

 

 

 ”Routes”と“夢想歌”2曲を弾き終える。

 皆が自分を奇異なものを見るような目を向ける。

 特に依緒のセリフがひどい。ギターを弾く俺のどこが悪い。

 

 確かに春希自身、不安はあった。

 昨日の夜、なんとか原曲のテンポでソロは弾ききれた。

 が、それはあくまで自分一人での練習の話。

 皆と合わせた時にうまくいくとは思ってなかった。

 木曜日はそれなりに出来たらしいが、自分は夢うつつで実感していなかったし。

 

 が、実際はどうだろう。

 打ち込み音源こそ鳴っていないものの、拓未のドラムをはじめ――皆の演奏と共に弾いてみれば多少もたつくところはあったが完全に喰らいついたまま弾ききった。

 ソロパートでは雪菜が口に手を当てて此方を見ていたくらいだ。

 

 春希は自分自身でさえ、今2曲とも完奏出来たのが信じきれてない。

 まさか、2週間前までポロロンと弾くくらいしか出来なかった自分が。

 こうやって一端のギタリストっぽく演奏しきれた。

 1ヶ月前にはレギュラー入りさえ諦めかけていた自分が、だ。

 

 

「す、すごいよ北原くん。木曜日もびっくりしたけど、今日はそれ以上……」

 

「春希、お前……。もう普通に弾けてるぞ。俺と遜色ないんじゃないのか?」

 

「あたしが知ってる春希は、下手くそな”WHITE ALBUM”しか弾けない春希なんだけど」

 

 やっぱり依緒のセリフが一番酷い。

 

 だが、皆の反応をみて。春希はやっぱりこれは現実なんだ。自分はちゃんと出来たのだと実感することが出来た。

 

 

「……やった? 俺、ちゃんと出来た?」

 

「あぁ、出来た出来た、春希。お前は頑張ったよ」

 

「うんうん、北原くん。ギタリストだよ」

 

 うおおお、やったぁぁ! 見た、小木曽。俺出来たよ! と、やいのやいのと騒ぐ周囲を見ながらかずさは対称的に落ち着いていた。

 彼女にとっては出来て当然だし、今2曲とも弾けたのは拓未のおかげ。その理由はおそらく次でわかる。そう思っていた。

 

 

 一方、こちらも落ち着いて春希らを見ていた拓未だが、こちらは少し違った。

 正直いって、彼らより驚いていた……という意味でだが。

 

 そりゃ確かに初めてから3ヶ月くらいか? それにしちゃ出来は良くない。はっきりいって音楽の神様から全く相手にされていないやつだと思っていた。

 だがたった2週間でここまで伸びるか? 今の春希は普通にやって1年ちょいは優に超えるであろう相当の腕前を持っている。

 確かに、3週間のかずさとのトレーニングの時は1日6時間。この2週間はおそらく12時間を超える時間ギターと向き合っている。確かに頑張っていたではあろう。

 しかしそれより前の時間を加味しても延べ時間を500時間を満たすことはない筈だ。

 楽器であれなんであれ、普通の人間がある程度のレベルに達するには1000時間は大体必要である。

 

 拓未は自分は凡人だと思っているが、ガキの頃は周りのことに見向きもせずにひたすら楽器を触っていた経歴があるし、すこしは音楽の神様にも期待はされているのだろう。伸びも良かった。

 かずさは明らかに素質がある。自分が見た限りじゃ曜子さんと同じかそれ以上――それにもまして本当に物心付く前からピアノに触れてきたサラブレッドだ。才能が伸びて当たり前である。

 

 だが、全く才能がないと思っていた春希がここまでの成長を成し遂げるとは……。

 学年10位以内(3年の1学期中間までは)という秀才っぷりは伊達ではないのだろうか。

 理屈として体感しているだけに春希の成長が信じられなかった。

 

 

――ま、次はその生まれたての自信もへし折られることになるんだろうがな。

 

 

「なぁ、拓未……。」

 

「あぁ、わかってる。かずさ、クリック要る?」

 

「要らない。拓未のベースを信じてる」

「そこまで評価してもらえるのはありがたいな。

 ――おい、お前らいつまで騒いんでんだよ。北原を育てたのは俺らなんだからまずは俺らを称えるべきだろ?

 ま、軽口はこのくらいで。次は、打ち込み交えてやるぞ。本番さながらに、だ」

 

 

 ベースを担ぎながら拓未は不敵に笑った。

 

 

 

 

◇追記

 

 

 

 

 エレキギターとエレキベース。この2つは似たような見た目であるし、フレット間隔の音階も6弦と4弦という違いとオクターブの差があれども同じ音階であるといえる。

 しかしそのルーツは全く異なり、ギターはリュート系から発展した楽器であり、ベースはコントラバスから派生した楽器である。

 気軽に即興的に楽しむ事から発展したリュートと違って、コントラバスはオーケストラの元で発展してきた系譜がある。

 中世においては、指で弾くリュートは悪く言えば野蛮な、良く言えばPOPS的な存在であり、コントラバスはそもそもバイオリンのように運弓法(ボウイング)が基本であった。

 

 そんなどうでも良い知識をギター始めたての時に漁った書籍で覚えていた春希。

 何故こんなことを思い出しているのかというと、目の前の拓未を見ているからである。

 殆どのバンドで扱う楽器は弾けると豪語していた拓未。

 自分にギターのお手本として何のことはないように披露した拓未。

 かずさに信頼されるほど安定したリズムをドラムで叩いていた拓未。

 そして同好会で担当するパートとして挙げていたベースを弾いている拓未。

 

 マルチタレント過ぎる。

 ベースを弾くところを今日はじめて見せたのに、かずさは少しも不安に思うこと無くそのリズムに身を任せている。

 音楽を嗜む女の子はやっぱり楽器が上手な男が好きなのだろうか。

 勉強と生真面目さしか取り柄がない自分では到底敵わないのだろうか。

 

 陰鬱とした気分がギターに伝わったのだろうか、打ち込み音源を用いた本番バージョン。

 それに春希は付いていくことが出来なかった。

 

 

 

「ほら、春希。また1人だけずれてるぞ」

 

「うっ……。わかってる、武也」

 

「ふぅ……ま、そうなるよね。一日で完璧に出来るとは思っていないし」

 

 もう何度目だろうか、途中で演奏を中断する原因の殆どは春希だった。

 髪をかきあげながらかずさは無理もないと擁護する。

 

 確かにさっきまで、拓未がドラムの時は春希は完奏出来た。今までの春希の程度を考えればすごい進歩だといってよかった。

 しかしそれは、他の人間が――主に拓未やかずさが春希のリズムのズレを細かく修正したり合わせてあげたりした結果だったのだ。

 

 さっきまで出来ていたのは自分の腕前ではなく、他の人間が補佐に回れるだけのレベルだったから……そう気付いた春希は先程までの浮かれていた自分が恥ずかしくて仕方がなかった。

 

 ベースに持ち替えてから拓未は特に口を出すこともなく寡黙に徹している。

 春希が何度ミスをして演奏を中断されても決して文句を言ったり声を荒げることもない。

 表情さえ少しも苛つきを見せることは無かった。

 

 きっかけを掴むことが大事だとは教えてある。あとはそのきっかけというトリガーを自分の手で掴み取るかどうか。

 それがこのバンドがHOTLIVEを成功に導くためには、必要不可欠な要素であると拓未は考えていた。

 ぶっちゃけていうと大きな博打ではあった。

 

 少し不満気にズレを指摘する武也。

 今度こそ大丈夫だよと励ます雪菜。

 繰り返すことには慣れているといった顔のかずさ。

 さっきまでとは打って変わって和やかな雰囲気とはいえなくなったことに不安を覚える依緒。

 皆に迷惑を掛けてしまうことにぶつけようのない気持ちを抱き始める春希。 

 

 

 ここで口を挟めば確かに改善するが、後のためにはならない。しかし潮時か……。

 

 諦めにも似た間隔を拓未が覚え始めていた時、予想外の――ある意味では博打に負け、だが結果的には勝った事になる、という不思議な事態が起った。

 

 

「浅倉、打ち込み音源って今ココでパラメータの微調整は出来るか?」

 

「飯塚? ……簡単な調整ならすぐに出来るが、どうした」

 

「なら、まずドラムの音、特にシンバルとスネアのベロシティを強調して、春希側のスピーカーに音量を割り振ってくれ」

 

「……っ。いいぜ、すぐにやってやる」

 

「それと、通しで1曲練習しないで、イントロやサビとか各パートごとに区切ってやってみないか」

 

 

 まさかの結果だが、武也がトリガーを引いてきた。

 部長という肩書だけでそれらしい事、実績といえばサークルクラッシャーを招き入れた事や空回りしたメンバー集めしかなかった武也だが、ここにきてリーダーシップを発揮してきた。

 パートごとにやるなら少し待ってろ。別プロジェクトで保存して音頭のカウントを入れる。と拓未はノートブックの作業を開始する。

 

 

「武也……?」

 

「焦んなよ、春希。打ち込みだってドラムはドラム。浅倉の音を思い出しながらやれば大丈夫だって」

 

「あ、あぁ……」

 

「冬馬、春希と俺と。気をつけたい所があるんだが教えてくれないか……サビ終わりの間奏から――」

 

 自分も、ドラム相手に合わせるの苦労したからな。春希が今悩んでいるポイント、何となくわかるんだぜ?

 そういって笑う武也。先程まで、自分は有頂天になりかけていたようだと春希は自身を戒める。

 

 

「北原くん、大丈夫……?」

 

 バンドなんだから自分もわからないとこや疑問に思った所は挙げていかないと。

 

 

「小木曽、ありがとう。……大丈夫、皆で頑張らないといけないんだよな」

 

 いい演奏をすること。

 それが結果であり目標ではあるが、そのためには良いバンドを作り上げていかなくてはいけない。

 

 

「そうだね……うん! 皆で作っていこうね!」

 

  その意味や大切さを実感する春希。それに気付かせてくれた親友に心の中で感謝していた。

 

 

 

 

 普段クールな雰囲気を作っている武也が、熱心にギターを弾く。

 空調が効いたこの部屋で汗を浮かばせ、春希にわかりやすいように身体を動かしてリズムを伝える。

 躓いたポイントをクリアするたびにまるで自分のことのように――子供のように喜ぶ武也。

 

「武也って……こんな良い表情(かお)していたっけ……」

 

「依緒ー。どうしたの? 飯塚くんをずっと見続けて。

 そうだよね。今日の飯塚くん、なんか今までと違ってカッコイイもんねぇ?」

 

 依緒が武也に向ける視線に目ざとく気付く雪菜。

 雪菜も、武也と依緒が互いに好意を持っていることをわかっている。

 何が問題で今のような状態になったのかは知らないが、今の武也を見る依緒の顔だとそれを乗り越える日も近いのではないだろうか。

 そんな気持ちを抱きながら雪菜は依緒にからかい混じりに話しかける。

 

 

「べ、別に。客観的に容姿が整っているのは否定しないし。

 あたしはアイツの軟派な部分が嫌いなだけ!

 ――けど……幼なじみ続けていた中で、あんな顔見るのは何年ぶりかなぁ……」

 

 懐かしそうに武也の表情を見る依緒。

 だけどその顔はまるで寂しさや後悔混じりのそれじゃないの。

 そう雪菜は問うことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、休憩にしよう。雪菜、喉の調子はどうだ?」

 

「ふぅ……。大丈夫だよ、拓未くん、ヒトカラと大して変わんない」

 

「……お前の喉はプロ顔負けだな……。うがいしてから水分補給して、のど飴舐めてろ」

 

 ヒトカラご利益ありすぎだろ……と呟く拓未。

 確かに以前、かずさに”勝負”を仕掛けてきた時は2時間近く歌い続けていたのを春希は思い出す。

 確かにアレは化け物級のタフさだな、よくよく考えたらとんでもないと思わず苦笑してしまう。

 

「ほらよ、北原。汗拭けよ」

 

「あ、あぁ……。浅倉、ありがと」

 

 拓未は几帳面に用意していたタオルをメンバーそれぞれに渡す。

 全体で行う演奏というのは思った以上にエネルギーを消費するのだ。

 キンキンに冷えた冷房の下でも汗だくになるのは別に普通のことであり、拓未には十分予想のついたことだった。

 

 受け取りながら浅倉に対してあまり使い慣れない感謝の言葉を述べる春希。

 おそらく自分の恋敵……そう思う相手にはやはり少し身構えてしまう。

 しかし自分のそんな警戒を含めた態度なぞどこ吹く風といわんばかりに拓未は気にせず話しかける。

 

「北原、お前頑張ったな」

 

「……へ?」

 

「すごいぞって褒めてんだよ。

 ソロの成功率は半分を軽く超えてるしな……。正直、予想外だった」

 

「あ、ありがとう」

 

 お前のおかげだ。とは口に出せない春希。

 ここで素直に感謝しては何かよくわからないが、負けを認めるような気がしてしまう。

 強がりと照れ隠しから出た言葉が、後で春希を後悔させてしまうとも知らずに。

 

「あ、浅倉はさ、楽器扱うの確かに上手いけどさ。

 実際ギターの腕前はどうなんだ? お手本は見せるけど、実際そこまで実力あるのか?」

 

 俺素人だからなー。お前がどの程度なのかよくわからないし。と口走る春希。

 

 

「……あぁ? お前随分強気な態度だな。

 ――いいぜ、ちょっとだけ見せてやるよ。ほら、ギター寄越せ」

 

 

――そういや、こいつ素行不良の問題児だった。

 

 睨みつけられ、危うく喧嘩沙汰になりそうだったのを想像し顔を青くする春希。

 いわゆる”メンチを切る”状態になる春希と拓未。

 周りも一瞬にして静まり、緊迫した雰囲気を醸し出すが拓未は一転、皮肉めいた笑みを浮かべるとギターを貸せと催促してきた。

 

 

「かずさ、ちょっと付き合ってくれ。こないだの”SOUND OF DESTINY”のコード進行でいいや」

 

「あ、あぁ。どういう進行にする?」

 

「ラストのソロ前、間奏の部分だな」

 

「ん、どうしたの? 拓未くん”SOUND OF DESTINY”やるの? わたしも歌いたい!」

 

「あぁ、おかえり雪菜。んー、わかった。

 ま、気晴らしな。かずさ、頭から頼む」

 

 流れ始める”SOUND OF DESTINY”

 所謂”AOR”系と言われるジャンルの中でも、ディスコ調なこの曲の主役は、ピアノだ。

 拓未の手で、自分のギターがその邪魔をしないように軽快なカッティングを奏でる。

 原曲とはちょっと違う、彼のアレンジが多分に入っているが、雰囲気はどう聞いても”SOUND OF DESTINY”

 その証拠に、なんら違和感なく。むしろ楽しげに雪菜は歌う。

 

 シングルピックアップで拾った弦振幅をJ○-120が増幅する。

 chorus混じりのクリーントーンがなおさら軽やかなイメージを強く与える。

 

 自分のギターはこんな音を出せるのか。ショックを受ける春希。

 武也と依緒も、思わず身体が動いて俗にいう”ノっている”状態となっていた。

 

 

『歌いながら行こう いつまでも~』

 

 最後のサビを歌い終わり、賑やかな曲調から一転して静かになる。

 この後、この後だ、春希や武也にとっては超絶ソロの部分は間奏20小節後に始まる。

 

 スタッカートで印象を強くした5拍がソロの始まりを告げる。

 

 荒々しく蹴り飛ばすかのようにエフェクターのペダルスイッチを踏み込む拓未、それまでの軽やかな音から一転して歪みの効いたロックサウンドに変わる。

 

 伸びのあるチョーキングで始まるギターソロ。ペンタトニック・スケールで低音弦に向けてトリルしながら上っていく指。

 出だしから強烈過ぎた。

 身体全体を使って音に含まれる感情を表現する拓未。

 合間合間のビブラート奏法の揺らぎは次の音の間隔が短いのに余裕をもったうねりを見せる。

 チョーキング前にわざといれるチョッピングノイズがエレキギターらしさを強調する。

 一切の乱れを見せないレガートも鮮やかだった。

 全然違う。自分とは格が違う。

 拓未に魅せつけられた春希は打ちのめされるよりも先に圧倒された。

 

 

 ギターソロ終わりの静寂を打ち破るかのように周囲がわぁっと盛り上がった。

 

「拓未くん、かっこいい~!」

 

「浅倉、あんたすごいじゃん。

 伊達に豪語してないね。見直したよ」

 

「だろう依緒。浅倉はすげぇんだよ」

 

「いやーこの曲ギターで弾くのは久しぶりでだいぶ間違ったけどな」

 

「え、何処を間違えたの? わかんなかったんだけど」

 

「わかんないように間違えるんだよ」

 

「3点ミスしたな」

 

「いや、かずさ。4点だ」

 

「そう? まぁ、上手いことは確かだけど。随分とCD通りで、大したことはなかったね」

 

 ショックを受けている春希をよそにかずさが期待はずれだと挑発する。

 

 

「んだと? 言ってくれるじゃんかずさ。いいぜ。ならジャムセッションするか?」

 

「良いね、見せつけてくれる?」

 

「あー、いやいや。待って待って、2人ともちょっと待って。今はバンドの練習中、な?」

 

 皆を他所にセッションを始めようとする拓未とかずさを慌てて止める武也。

 

 あんな軽口、叩かなければ良かった。

 

 一生懸命練習してきた自分が彼の足元にも及ばない。その事実をまざまざと見せつけられた春希は、先ほどの照れ隠しからの発言を後悔していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『LaLa 星が今――』

 

 口ずさみながら服を脱ぐ雪菜。

 

 冬馬邸の豪邸っぷりは見た目だけじゃなく、スタジオだけじゃなく、シャワールームもすごかった。

 脱衣所と繋がるそのシャワールームはガラス製の壁で、まるでどこかの高級ホテルかと見間違うほどの作りである。

 合わせると雪菜の部屋よりも遥かに広いその面積に似合うように浴槽もまた、広かった。

 普通二人がゆったり入れるくらいだと大きいといっていい日本の一般的な浴槽だが、ここにあるのは3人入ってもまだ余裕がありそうなほど……。

 風呂好きの雪菜としてはココに通いつめようかしら。冬馬さんと一緒にお風呂に入るのも悪くないな。あーでもあのスタイル見たらへこむかも。そんな厚かましい考えを抱きつつ脱ぎ終え、シャワールームに入る。

 

 カランの弁をシャワーに切り替え、暖かいお湯を頭から浴び、汗を流す雪菜。

 

 あの後も練習を続け、夕方になって千晶もやってきた。

 

 

「せっかくやって来たのにカレー? でもカレーが好きな私は強く文句を言えないぃ」

 

 と、拓未の作るカレーにイチャモンのような、そうでないような謎のセリフを吐きつつも、人一倍食べていたのは彼女だ。

 ちなみにかずさの手元には、練乳が置いてあった。

 カレーに練乳って……。とおぞましさを感じたのは雪菜だけではあるまい。

 

 食後の練習に千晶も交えてボーカルについてトレーニングを受けたりもした。

 

 ”Feeling Heart”を全くといっていいほど手を付けていなかった春希を拓未が楽譜のプリントで頭を文字通り叩いていたのを思い出し笑い出す雪菜。

 

 時計の短針も頂点を指し、日付が変わろうかという時間帯になって。今日はここまで、と練習を打ち切り。かずさは雪菜にシャワーを勧め、今に至る。

 

 楽しかった。まるで中学時代の仲良しグループだった時を思い出したようだった。

 そういえば昔もわたしの部屋でパジャマパーティとかしてたなぁ……。

 

 秋から辛い想い出に変わってしまったあの頃とは違う。

 皆で、1つの目標に向かって一生懸命打ち込む今のメンバーならあの時のようにはならない。

 

 どのくらい時間がたったのだろうか。シャワーを浴び終わり、バスタオルを手に取る。

 柔軟剤のいい香りが漂うそれは、しっかりと日光の下で干されていたとすぐにわかった。

 かずさがそんなマメなことはしない。

 ということはお手伝いさんか。ますますお嬢様だなぁと実感する。

 

 

――お嬢様……かぁ。

 

 

 あんな経験、二度としたくないと反省して他人と距離を置いていた付属の2年間の日々。

 自分が変われば。周りと距離を置けば傷つくこともないから。

 しかし不幸なことにミスコンに選出され優勝を飾り、彼女はお嬢様としてのイメージを持たれる事になる。

 ただでさえ、人間関係に距離を置いていたのに、その不名誉なタイトルはますます彼女と周りとの間に壁を作ってしまうことになった。

  自分が望んだこととはいえ、あまりにも虚無過ぎた2年間。

 

 けど、やっぱりそれを貫き通すことは無理だった。

 拓未の言葉に押されるように同好会のメンバーに加えてもらった今回は、楽しいことばかりであって欲しい。

 どうか、幸せな高校生活が送れますように……。

 

 揺れる思いがあるのは確かだけど、今の状態を満喫していたい。

 

 

 バスタオルを巻いて洗面所の前に立つ雪菜。

 肌水を取ろうとポーチを手にするが誤って化粧台に手をぶつけてしまう。

 

「っつぅ~……」

 

 したたかに打った手を撫でる。余程強く打ったのか棚の戸が開いてしまった。

 

「――っ」

 

 見るつもりは無かった。偶然空いてしまったその戸棚の中には……。

 歯ブラシが3本。ピンクに、青に、緑色。

 

 ……そして男物の髭剃りが2本、入ってあった。

 

 

――どういうことだろう。きっと、ご家族が帰国した時の物だよね……?

 

 いつも、私の事を一番に考えてくれていた拓未くん。

 

 皆で作っていこうと。お昼に笑いながら言ってくれた北原くん。

 

 

――皆、なんだよね? 5人揃ってはじめて同好会なんだよね?

 

 

 脱衣所を出てすぐ右手にある地下スタジオの入り口にフラフラと降りていく雪菜。

 

 スタジオのドアに手を掛けた時に微かに中の会話が聞こえた。

 

 

「――拓未がね、本当にすごいって褒めていたよ。北原のこと」

 

「――大丈夫、お前が劣等感を恥じる必要なんてないんだから」

 

「――北原は、北原の出来る事、それを精一杯やればいいんだよ」

 

「――”Feeling Heart”が出来てなくて怒られたのは気にしなくていいから」

 

「――来週からも泊まりに来な。あたしも、拓未も。あんたをきっちりしごいてやるから」

 

「――そう、悔しいなら見返せばいいんだよ。大丈夫」

 

 

 ドアを、開けることが出来ない。

 

 よろよろと、壁に寄り添うように階段を登る雪菜。

 

 なんとか誰に会うこともなく、脱衣所に戻る。

 

 開いたままの戸棚の歯ブラシと髭剃りが目に入る。

 

 途端に、晩に食べた食事が込み上げて来そうな感覚を覚える。

 

 慌てて蛇口をひねり顔を洗う雪菜。

 

 2週間、2週間で驚異的な成長を遂げた春希を、すごいすごいと思いながらも何か理由があるとは勘付いていた。

 

 そういう理由があったからか……。

 

 乾いた笑いが自然と出てくる。

 

 

『皆で頑張らないといけないんだよな』

 

 春希のセリフが頭の中で反芻する。

 

『うん! 皆で作っていこうね!』

 

 裏切ることはないと思ったメンバー。

 

 裏切られることはないと思ったメンバー。

 

 雪菜にもう一度勇気を与えてくれた人達のいう”皆”の中にわたしは……。

 

――ふふ……あはは。皆、で……。

 

 顔を洗い流す水の中に、たくさんの涙が混じるのに気付く余裕さえ、今の雪菜には無かった。

 

 

 

 




長くてすみません。しかしここは1つの枠に収めたかったんです。
文章力の無さを痛感する……。最後は公式ノベルとほぼ似たような展開だし。

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