仮面ライダーEpisode DECADE   作:ホシボシ

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第61話 ???(後編)

 

 

クウガの本、つまりはクウガの世界を指し示すフェザリーヌ。

シャルルは咳払いを一つ、そして説明に入る。

 

 

「お分かりかと思いますが、クウガと言う存在にはそれだけの重さ……つまりページが、歴史があります」

 

 

それは決して小さな物ではない。

クウガと言う存在が出来上がるまでにどれだけの人の想いや苦労や苦悩があったのだろうか?

恐らくそれは想像をはるかに超えるものだろう。同時にそれはアギト、龍騎、それに続いていくライダーにも言える事だ。

しかしそれこそが問題なのだとフェザリーヌは告げる。

 

 

「重過ぎるのだ、存在が」

 

「重過ぎる?」

 

「はい、それが拒絶の原因となるのです」

 

 

新たなクウガを創ろうとし、仮にクウガ分の存在(ページ)が出来上がったとしよう。

では次にアギトをそこに加える、それはアギト分の存在(ページ)を追加すると言う事。

次は龍騎、ファイズ、ブレイドと続いていくのだが――

 

 

「神なる世界においてもクウガ、アギト、龍騎、ファイズ、それ以降は全員主役だ」

 

 

タイトルになっているライダーであると言う事、それはクウガやアギトの存在がそれだけ重要となってくる。

仮面ライダーアギトと言うタイトルなのにアギトと言うライダーが出てこないのはおかしい話だ、だからこそ仮面ライダーアギトはアギトが一番活躍する。

当たり前の話だ。龍騎もまた同じ、目立たない話や最後の問題こそあれど仮面ライダー龍騎に龍騎は絶対に必要なのだ。

 

 

「だが、この試練が進む事によって存在の個々の主張がより強くなっていく」

 

 

なぜならばクウガからキバを全員創ったとして、そこにいるのは全員主役だ。

司が持っているクウガの存在と差の無い存在。

 

 

「神なる世界から見て、世界とはそれすなわち物語」

 

「世界は、イコール物語として生まれるのです」

 

 

二人は言う。そして物語には何が必要か?

それこそがこの試練における重要かつ避けては通れない問題、拒絶の正体だ。

 

 

「クウガからキバを集めた場合、誰を主役にすればいい?」

 

「主役?」

 

 

そう、この試練は主役と呼ばれる存在を作らなければならないのだ。

だが天秤にかけるは皆同じ重さのライダー達、当然簡単には主役は決まらない。

無理やり決めたとして神々はそう簡単に主役を認めないのだ。仮に主役を決めない場合もまた拒絶反応を起こすと言う。

 

 

「まれに全員が主役だと銘打っている作品を見たことは無いか?」

 

「コラボ作品でもいいですよ、VSとかついていたり」

 

 

だがその場合でも主役や主役と呼ばれるポジションの物は存在している筈だ。

例えば順々に主役が代わる作品で、最後に今までの主役が一勢に揃う作品があるとしよう。

その場合は全員が主役と呼べるのだが、それはあくまでもラストに全員が揃うタイプである。

かつ、その中でも活躍の次第によって観測する人間は自分の中でキャラクターに優劣をつけると言う。

 

 

「つまり、全員が等しく主役になれる作品はないのです」

 

 

全員を等しく活躍させる事ができる作者がいるならば、それはロボットだ。

どんなに等しいと思っていてもミリ単位の活躍の差があるかもしれない。

しかもそれを決めるのは作者以外の者、つまり他人だ。

 

 

「まして、それは長期の作品。短編ではない」

 

 

前作の主役が現作の主人公を食うと言う事態もきくが、それであったとしても結局主役は現作の方だ。

要するにどんな作品でも人は主役を作りたがる、それが危険なのだった。

クウガからキバを集め、かつそこから存在を確立する物語を形勢する場合に誰を主役にするか――

 

 

「あえて言うなら……クウガかキバだろ」

 

「確かにどうしても決めなければならないならば、最初と最後、どちらかにする筈だ」

 

 

あとは認知度が高い方とか、ここで言うなれば電王か。

そう言ってシャルルは三人のライダーを例にあげた。

だが笑うフェザリーヌ、それで神は納得してくれるか? 答えはノーだ。

 

 

「クウガの知識が薄い神、キバよりも他作(カブト)が好きな神、単純に電王が合わなかった神、それらが一人でもいた場合歯車は狂うのです」

 

 

仮面ライダーが好きだといえ全て見ている人間や、全てが等しく好きな人間はいない。

それは神も同じだ、どうせなら自分が好きなライダーが活躍してほしい。

つまり主役に、もしくは主役に近い方がいいと思うのは普通だろう。

 

 

「それに先ほど言ったように設定が交じり合えば、それだけややこしくなる」

 

 

一度は個々に独立した設定や概念を纏い、終った世界だ。それを再び呼び覚まし合わさると矛盾が生まれる可能性が高い。

当然複雑なストーリーや設定が生まれ、同時にこれ以外にも何パターンと種類を分ける事ができる。

そうした場合、より活躍の場は限定され、より個々のライダーの主張は大きく滅茶苦茶になる。

 

 

「そうなってしまった場合、拒絶反応がおきます」

 

「具体的にはどうなるんだ?」

 

世界(さくひん)同士がまとまらず、存在(ページ)同士が互いを食い合い、結果ライダーのパワーが滅茶苦茶になります」

 

 

例えばマイティキック十発<キバのパンチ一発、などパワーバランスの崩壊。

さらに互いの存在を重要視しすぎた代償かクロックアップに対抗不可能等、他世界のライダーが同時に存在する事によって発生するパワーバランスの崩壊。

 

 

「かと思えば、それがいきなり逆転。もう滅茶苦茶です」

 

「最後は膨れ上がった存在同士が風船同じく破裂、ライダー全員消滅に! と、言う結果もある」

 

 

こんな事では組織に勝てる訳が無い。

その問題をどう攻略するかが問題だった、だがそんな時に浮かび上がった問題を全て破壊する存在が現れる。

それこそが、仮面ライダーディケイドなのだ。

 

 

「革命の時が来たのです」

 

「神なる世界で2009年1月25日から始まった平成ライダーシリーズ第10作目、それが仮面ライダーディケイドだ」

 

「ディケイドは神なる世界じゃもう放送されてたのか!!」

 

「まあ、そういうことですね」

 

 

司の世界ではキバが放送されてから仮面ライダーシリーズは次に向けての準備期間と称して放送を止めている。

だが神なる世界では自分が変身しているディケイドが作品として存在を確立していたのだ。

思わず司はディケイドのカードを取り出してその姿を凝視する、一体このディケイドにはどんな物語があるのだろうか?

 

 

「ディケイドは凄まじい影響を仮面ライダーと言う存在に与えた」

 

 

いや、仮面ライダーだけではないと魔女は言う。

 

 

「ディケイドは神なる世界で記念作品として創られたものでした。始めは電王2と言う予定、もしくは放送自体が無い予定だったのですがそれを抑えての登場となります」

 

「同時に放送されていたヒーロー物と玩具販促の時期を変えるため、あえて31話と言う珍しい体制をとったのも話題となった」

 

 

そしてその最もたる特徴、それは繋がりが薄かった平成ライダー同士と言う壁を破壊した事にあった。

これがディケイドが破壊者と呼ばれる理由の一つである。

 

 

「ディケイドには劇中でクウガからキバのライダーが登場した」

 

「マジか!?」

 

 

思わずテンションが上がる司。

平成ライダー同士でコラボしたのは龍騎とアギト、キバと電王だけの筈だ、ショーは別として。

クウガとアギトは繋がってこそいるが明確な競演は無かった、なのにディケイドは全てのライダーが同じ作品に出てくる。

ライダーファンには堪らない作品ではないだろうか?

 

 

「だからディケイドはクウガからキバになれるのか!」

 

「そうだ。それが主役(ディケイド)に与えられた能力、カメンライド」

 

 

同時に先ほどの言葉が脳裏に現れる。

主役を決められなかったクウガからキバ、しかし10と言うきりのいい数字と共に現れるのはクウガからキバに変身できるディケイド。

もうここまで完璧な存在がいるだろうか? いるわけが無い、ディケイドこそが――

 

 

「ディケイドはあまりにもクウガからキバを統制するに相応しい」

 

 

さらにディケイドはリ・イマジネーションと言う手法を完成させた。

これにより作品同士の拒絶はさらに薄くなる。クロックアップとアクセルフォームは、本来勝負にならない物だ。

クロックアップは時間操作、けれどもディケイドの力が二つの力を均衡へと導いた。

 

 

「そう、それはまるでページをきっちりと守るブックカバーの様に――」

 

 

シャルルの手に現れるのは――『Episode DECADE』

 

 

「!!」

 

 

ディケイドは様々な世界を巡り各仮面ライダーと共闘していく作品だ。

まさにナルタキが求めていた存在と言ってもいい、そしてディケイドは"破壊者"と呼ばれる力を存分に発揮する。

ディケイドと言う存在が世界の形態を、歴史を破壊して変えていく。

先述の通り時間操作だったクロックアップは高速移動となり、さらにディケイドは自らの能力で不死のアンデッドを殺した。

 

 

「ディケイドの存在は9人のライダーをまとめる大きな役割をもたらした」

 

 

クウガからディケイドをヒーローとして作品をつくる場合、主役を一人だけ決めろと言われればほぼ間違いなく誰もがディケイドを選択するだろう。

何故ならばディケイドの存在が他のライダーを一段階下げるからだ。クウガからキバに変身でき、さらに変形させて武器として使用できる。

そんな存在を差し置いて他のライダーが主役になったとしてもディケイドの存在が浮いてしまう。

 

尤も、ストーリーや場面を考えればディケイド以外が主役になる可能性は十分にある。

ディケイドに拒絶反応を示す神や、他のライダーを優先させたい者もまたディケイドを認めようとはしないだろう。

しかしそうであったとしてもディケイドが異様の存在感を持っていると言う事は確実、他のライダーとはコンセプトそのものが違うからだ。

 

 

「ディケイドの存在が拒絶を無くしました。他世界の融合と言う違和感を消したのです」

 

「さらにディケイドは神なる世界に大きな影響を与えます」

 

 

それは、存在を交えるクロスの可能性。

 

 

「ディケイドの存在は神々に大きな影響を与え、世界を創作する意欲ときっかけを与えました」

 

「ディケイドが神々に認知されてから生み出される世界が急激に増えた」

 

 

その影響は凄まじく、神なる世界はディケイドを燃料として世界生成を加速させていく。

ついにはディケイドその物に影響を与える程に、フェザリーヌはそう言って笑う。

 

 

「ディケイドは31話と言う最終話で完結する事は無かった」

 

「最終話で終わらない?」

 

「完結しない物語に価値は出ない、だから神は完結を求める」

 

 

さらに加速していく創作意欲、比例して生み出されていく多種多様な世界。

そしてディケイドは完結の場を映画へと移動させた、放送では終わらなかったディケイド――

 

 

「だが、神なる世界はディケイドの完結を拒んだ」

 

「どういう事だ?」

 

「完結しない物語は存在を確立できない、同時にそれは完結するまで物語が終わらないと言う事」

 

 

いつまでも終わりを求め、新たな展開を求めて世界を生み出し続ける。

神なる世界は世界繁栄の為にディケイドを終わらせる事を良しとしなかった。

結果、ディケイドは自らの物語さえ破壊したのだ。

 

 

「ディケイドは完結編の予告とは全く違う展開を完結編で見せた」

 

「だ、だから?」

 

「結果、ディケイドの物語は完結編で終わる事は無かった」

 

 

数多くの謎を残し終了した仮面ライダーディケイド。

だがそれは表向きでしかない、ディケイドの真の狙いは神々を刺激させて世界を創らせる事にあったのだ。

神々はディケイドの終わりに不満を持ち、だから思う様になる。自らの手で終わらせると、自らの手でディケイドを、世界を作り直すのだと!

 

 

「それを人は、神々は二次創作と呼称した。お前たちもまた同じ存在が生み出した産物でしかない」

 

 

結果、ディケイドを起爆剤として神なる世界はより多くの世界を生み出してきた。

フェザリーヌが言うにはディケイドの様なエネルギーをもった存在が現れるのは珍しい事ではないという。

しかし仮面ライダーと限定して考えるのならばやはりディケイドの存在は何よりも大きいと言えるだろう。

ディケイドは作品同士の壁を破壊し、かつ融合させる事に成功した。

 

 

「創造は破壊があってこそ生まれるものだ」

 

 

だからこそ、彼は破壊者と呼ばれる。

 

 

「とにかく、ディケイドの存在が神なる世界に認知された事で、私達が危険視していた拒絶の問題がなくなりました」

 

 

それだけでなくディケイドの存在が様々な経緯を経てコチラ側にもたらされた、これほどナルタキにとって都合のいい事は無かっただろう。

クウガからキバを生み出す試練、その開始前ににオリジナルの電王が参加し、かつディケイドまでもが参加してきた。

結果的に神の、世界の意思はディケイドをライダー達の中心としてページがバラバラにならない強力なブックカバーを、表紙を作った。

表紙には当然タイトルがつけられる。それがディケイドとなるのは当然の事、彼が主役のエピソードディケイドと。

 

 

「先ほども言ったが、世界と言うのは一冊の本として捉える事ができる」

 

 

司が持っているクウガの本、それはクウガの世界でもあるのだ。

もちろん今まで巡ってきた世界も同じだと言う、クウガの試練やアギトの試練、最後の試練もまた同じ。

具現化するならば一冊の本として現れるだろう。そして完成されたEpisode DECADEも同じ本、つまり一つの世界なのだ。

 

 

「正確に言うならばEpisode DECADEは世界もどき。だからこそそなた等は制約無しに活動する事ができる」

 

「ちょ、ちょっと待て! 混乱してきた」

 

 

世界もどき?

そもそもEpisode DECADEが一つの世界として認識されると言われたが自分達には元々いた世界が、つまり本があった筈だ。

それはどうなる? それに世界を創って何になる? まだそこの疑問が残る。

 

 

「世界もどきの意味は、文字通り擬似的な世界だ」

 

「私達は世界を移動し戦える存在が欲しかった、敵組織も世界を移動できますからね」

 

 

だがそれは単純な事ではなかった、世界は司達が考えている異常に複雑なものだ。

例えば仮面ライダー龍騎の世界から城戸真司を引っ張って来て戦ってくれと、長時間別世界に拘束したとしよう。

すると何が起こるのか?

 

 

「龍騎の世界に、城戸真司(しゅやく)が不在と言う事態がおこります」

 

「先ほども言ったが、世界は拒絶反応を起こすものだ。これも例外ではない」

 

「考えてみてください、鮭弁当と書いてあるのに鮭が入って無かったらおかしいでしょ?」

 

 

そうなると、世界は早急に事態を解決する手立てを行なう。

複数あるのだが、この場合は新しい龍騎を加える等が考えられる。城戸真司の存在を消して新しい龍騎となる登場人物を加えるのだ。

そうなれば当然龍騎と言う作品の形態も変わってくる、龍騎の世界が異変を来たすのだ。

 

 

「それはできれば避けたい――」

 

「待てよ……!」

 

「?」

 

 

震える司、今の例は例ではない。

主役がいなくなった世界を自分は知っている、いや皆知ってる。

一同は彼に、彼女に視線を移す。そうだったと頷くフェザリーヌ、分かりやすい例がこの場にいるじゃないか。

 

 

「そう、野上良太郎とハナ。そなたの事だ」

 

「―――!」

 

「………」

 

 

電王の世界に戻らず、コチラ側についてずっと協力してくれた電王。

やはりと双護はため息をついた、フェザリーヌが言っていた事を自分も考えた事があると。

電王(りょうたろう)は、つまりもう元の世界にいない事にされている。長くコチラに止まり過ぎたせいで彼が元々いた電王の世界が彼の存在を消したのだと。

 

 

「今はもう野上良太郎もハナも存在を消された。そして新しい電王が主役として活躍している」

 

「NEW電王と言った所ですね」

 

 

なんて事だ、コチラ側に協力してくれたのが原因で良太郎達は故郷となる世界を失った。

電王の世界は良太郎達の存在を全て末梢してしまったと言う、自分達はどんな償いを良太郎達にすればいいんだ……

と、司達は考えたが良太郎とハナ自身が首を振る。これは自分達が選んだ道なのだと、だから司達が気にする事はないといった。

 

 

「お、俺はどうなる?」

 

 

声をあげたのは鏡治、しかし彼は問題ないらしい。

元々主役のポジションでもなかった彼、確かに協力を続けていれば彼もまた存在を消されるかもしれない。

だがその前にEpisode DECADEは完成を向かえた。以後どれだけ司達に協力しようが有美子達の記憶から存在が消される事は無い。

それがEpisode DECADEの力。まして鏡治達の世界はそれほどの存在でもなし、観測者が圧倒的に少ない世界だからこそだと言う。

 

 

「そなたと良太郎では存在の重さが違う」

 

「あ、ああそうだぜ。結構グサッとくるな……!」

 

「まあこの様に主役を使うと言うのはいろいろ大変なものだ」

 

「ですから、私達はその拒絶反応が起きない為にする必要があった」

 

 

それが『世界を移動しながら旅をする』と言う今回の狙いに都合のいい単純な設定を、単純なストーリーを、存在を創る事だった。

そこにクウガからキバを登場させる。その世界は船の役割を果たし、世界を移動して他世界に自らの存在を干渉させる事の違和感を消す狙いがあった。

移動できる拠点となる大きな役割、船の役割を果たす世界。

 

 

「仮面ライダーが達が世界を移動しながら戦う話を創る。それが試練の狙いだったのだ」

 

「残念な話ですが、その過程で電王は犠牲になった訳です」

 

 

しかしそれがEpisode DECADEに登場する電王の存在を確立する結果となり、良太郎とハナをコチラの物とする事ができた。

彼が最後まで抜ける事無く協力してくれたおかげで、一人分の余裕ができるばかりか最強の力を持つ電王を永続的に仲間にする事ができた。

そして結果、クウガからディケイドが揃ってくれたのだ。おかげで彼らは試練をクリアできたと言ってもいい、すばらしい奇跡だ。

 

 

「最後の問題はEpisode DECADEと言う存在の重さをオリジナル達と近づける事でした」

 

「………?」

 

「司様が持っているクウガの世界。それは神なる世界で一年間放送された仮面ライダークウガの重さでもあります」

 

「そなたの世界でもクウガの放送期間は一年、かつ内容もほぼ同じだった筈だ」

 

 

司はクウガの世界であろう『Masked Rider KUUGA』をもう一度見てみる。

確かに自分が見たクウガとほとんど同じである。純粋にドラマのノベライズ版と言えばいいか。

 

 

「時間は大切だ、それだけ人の印象にクウガをより強く残す事ができる」

 

「次作仮面ライダーアギトにクウガが出てくると言う企画があがった事があります」

 

 

内容、過程は無視してもしアギトとクウガが戦う事になれば神々はどちらの勝利を望むだろうか?

 

 

「恐らく、大半はクウガかと」

 

「クウガには一年間の重さがありますからね、おまけに完結済みときた」

 

 

それは本の重さ、ページに刻まれた文字の量だ。

さらに完結した物語にはそれだけの補正が入るとシャルルは言う。

所謂神格化と言うヤツなのだろう、完結した物語と完結していない物語では発生するエネルギーが違うらしい。

 

 

「完結していない物語には落とし穴が待っている可能性がありますからね」

 

「最終回以外は良かったなどと言われるのは厳しいものだな、ククク!」

 

 

Episode DECADEを創る点でもまたこの重さが問題となった。

要するにEpisode DECADEの重さをクウガの本と同じに、もしくは限りなく近くにしなければならない。

ナルタキ達は早急に戦力が欲しかった、だがクウガ程の力を得るには約一年間の活躍を神々に記さないといけない。

それが10個分、つまり本人(オリジナル)と同等の実力を確立させる為には最低でも10年間を要する事になる。

 

 

「それは長すぎる。10人の仮面ライダーを育成する期間はあまりにも冗長」

 

「だからこそ、今回の試練には女性陣をお呼びしました。夏美様達にはもう一つ重要な役割があったのです」

 

 

表情を変える女性陣。

自分達の本当の役割とは? 先ほどは男性陣を覚醒させる起爆剤だと言われた。

しかしソチラはおまけ、真の狙いはコチラだった。

 

 

「一つ一つ、個別して世界(ストーリー)を完成させる為です」

 

「また世界かい!」

 

 

吼える友里を見て魔女は目を細める。

では言い方を変えよう、フェザリーヌは女性陣を見て指を鳴らす。

 

 

「"ヒロイン"を創るためだ」

 

「!!」

 

 

その時、女性陣の服が一瞬でドレスに変わる。

驚きに声をあげる女性陣、いきなりなんだ!? 驚きで固まる女性陣と引きつった笑みを浮かべる男性陣。

一体何の意図があってコスプレを?

 

 

「意味ないですね、この人そういう性格なんで」

 

「ククク、たまには女性陣の違った一面を見るのも大切だろう?」

 

 

ややこしくなるだけですよ、そう魔女を諭すシャルル。

先ほど司達には世界の最小構成人数を伝えた。その数は2、観測を行なう者、そして影響を与えるもの。

物語は一人では紡げない、世界は一人じゃ創れない。

 

 

「最も簡単に世界を完成させ、安定させる方法を知っているか?」

 

 

大地を呼ぶ? 水を作る? 火を起こす? 風を出す? 空を現そうか?

金を作る? それとも生命を誕生させようか? 国家をつくる? 文明を発展させようか?

戦争でも起こすか? すぐれた統率者を呼んでくるのもありか?

 

 

「どれも違う――」

 

 

そこで言葉を止めるフェザリーヌ。

ドレスに変わった女性陣だが男性陣はそのいきなりの変化に戸惑うばかり、誰も女性陣を見ようとはしなかった。

ふむ、それでは少しつまらない。もっと直接的にいくか、フェザリーヌは再び指を鳴らすと――

 

 

「へ……?」

 

「は?」

 

 

固まる一同。

意味が分からないと沈黙する男性陣、己の変化に沈黙する女性陣。

そのまま時間は停止する、クスクスと笑うフェザリーヌに頭を抱えてため息を漏らすシャルル。彼は小さな声で呟く。

 

 

「本当に申し訳ありません……」

 

「き―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「おあああああああああああああああああああああああああああ!」

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

数人が一勢に叫び声をあげる。

それはその筈、フェザリーヌが指を鳴らすとドレスがビリビリに破けて女性陣が一瞬で下着姿に。

真っ赤になって体を隠す女性たちと同じく赤面して顔を反らす男性陣、だがそこで再びフェザリーヌは指を鳴らした。

世界を最も簡単に完成させるにはある元素をぶち込めばいいと。それは――

 

 

「愛さ、フフフ」

 

「やれやれ……」

 

 

フェザリーヌが再び指を鳴らすと女性陣が男性陣に引きよせらるように移動。

双方体が独りでに動き、結果抱きしめる形となって停止する。ピッタリとひっつく両者、ますますパニックになる双方。

離れようとしても離れられない、体が何故か固まってしまって動かない!!

 

 

「ちょちょちょ!!」

 

「―――ち、近いってッ!」

 

 

司と夏美、司が夏美を抱きしめる形となるがとにかく顔が近い。

もう少しで触れそうになるその距離に二人ともどうする事もできずに立ちつくしていた。

他の場所に目を向けようとも彼女の肌しか見えない。

 

 

「ひ、ひぃいぃいッ!」

 

「ま、待て薫! 動くと!!」

 

 

同じ様なユウスケと薫、ポニーテールは解けてシャンプーの匂いがユウスケを刺激する。

薫はパニックと恥ずかしさで暴れているが、その分ユウスケの顔が胸に近づいていく。

 

 

「ど………どう?」

 

「ど、どうって――」

 

 

年長者の余裕なのか、まだ落ち着いている葵と翼。

しかし葵のスタイル状思い切り胸が当たっている。流石にこれは恥ずかしいのか翼は見せたことのない様な赤面っぷりである。

 

 

「マジやばいっしょこれ――! これマジ……!」

 

「あ……ああ、なんつーか……いろんな意味で――」

 

 

腕を組むようにして引っ付いている美歩と真志。

なんだかんだ言って純情な美歩にとってコレはかなりキツイらしく顔を真っ赤にして涙を浮かべていた。

当然真志の腕に胸を押し当てる体勢、真志もまた赤面して仮面の様な笑みを浮かべている。

 

 

「ごめん拓真! なんていうかいろんな意味でゴメン!!」

 

「き、きき――ッ! 気にしないで、ゆ…友里ちゃ……」

 

 

拓真を後ろから抱きしめる様になっている友里、ご丁寧に顔は向かい合う様になっており体が密着する部分も多い。

だが残念、彼女のまな板では当ててる意味が――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すいませんでした。

 

 

 

 

 

「目を開けたら殺すぞ……ッ!!」

 

「む、無理無理ッ! 固まって動けねぇ――……ッ!」

 

 

言葉にするのが厳しいくらい危うい体制になっている椿と咲夜。

どちらかと言うと椿がパニックになっているのか――

 

 

『こここれ、ぜぜっ絶対入ってるよね!?』

 

 

だとか

 

 

『ああああ頭がフットーしちゃ――』

 

 

だとか意味不明な事を連呼していた。

 

 

「あああああにやしゃん落ち着いてくらふぁひぃ!」

 

「落ち着いてください我夢君……」

 

 

バランスを崩して倒れたおかげでコチラも危うい体制になっている我夢とアキラ。

アキラの吐息が耳や頬に当たって我夢の理性がバイバイしそうに、しかし何とかこらえる我夢さん。

 

 

「うわぁ……離れないねぇ…鏡治君…」

 

「ん! あ、ああそうだな真由ちゃん! 離れないな! ははは……」

 

 

楽しそうに笑う真由と困ったように笑う鏡治。

可愛らしい真由の下着だが熊さんのプリントがしてあるパンツを凝視してしまった。

罪悪感で歯を食いしばる鏡治、そんな事を気にする事無く引っ付いてくる真由。

 

 

「りょ、りょうたろぉ……」

 

「―――――」

 

 

美歩と同じく赤面して涙を浮かべているハナ、しかし強く抱きしめる力は緩む事は無い。

良太郎も恥ずかしさの中何とか言葉を放たなければならないと思考をめぐらせる。

こんな時ウラタロスなら何を言えと言うだろうか? 試行錯誤の末良太郎が放った言葉は――

 

 

「ハナさんって……柔らかくて暖かいね――」

 

「な! なななな!!」

 

 

完全に変態である。無念、良太郎。

 

 

「「………」」

 

 

一方の亘と里奈、互いに何を言っていいか分からず沈黙したまま見詰め合って抱きしめあう。

感じる体温と伝わる肌の感触、ここで亘の頭の中をのぞいてみよう。

彼は今何を思うのか――

 

 

(フェザリーヌさんアザァァァッッッッス!!!)

 

 

彼は純粋な中学生である。

戸惑いながらも心ではガッツポーズってなもんだ、仕方ないね。

 

 

「おいフェザリーヌ、これは何の罰ゲームだ?」

 

 

暇なのか手ぶらで激しいダンスを踊っている双護。

しかし視線は鏡治に向けられ、刺し殺す様な眼光である。その殺気に拍手を送るフェザリーヌ。

野郎ですが私でも抱きますか? とシャルル。分かったと双護、暖かいなと双護、ゴロゴロと喉を鳴らすシャルル――

 

 

「さて、もういいでしょう。愛と肉欲は似て非なるものですよフェザリーヌ」

 

「これは失礼、おふざけが過ぎた……クククッ!」

 

 

指を鳴らすフェザリーヌ、すると男性陣と女性陣は引き剥がされ女性陣は元々着ていた服に戻る。

ホッと安心した様に胸を撫で下ろす女性陣、全く酷い目にあったものだ。

あれ? 何か男性陣が残念そ――

 

 

「本題に戻りましょうか。先ほどの通り、女性陣の皆様にはヒロインとして機能していただく狙いがありました」

 

「どうだったかな男性諸君、何ならもっと凄い物を――」

 

「や、やめてください!!」

 

 

夏美の言葉に申し訳ないとフェザリーヌ。

シャルルが言ったヒロインとは何なのか、それは先ほどの拒絶問題と関係がある事だった。

Episode DECADEが登場した事によって、主役はディケイドとなりライダー同士が己の主張暴走で破裂する事は無くなった。

だが、今度は各ライダーの歴史が浅すぎると言う問題が起こる。

 

例えば『Masked Rider KUUGA』が全500ページだとする。

それはクウガの歴史の重さであり、存在の強さだ。

オリジナルの主人公である五代雄介が一年間かけてクウガとしての存在を神々に認めさせた訳だ。

それはアギトからのライダーも同じ、500ページを文字で埋めた事で仮面ライダーとしての存在感が増すのだ。

 

そして司達をライダーにする以上、この500ページ分の重さに近づける事が大切だった。

しかしディケイドと言う強力なブックカバーがいてもこの問題は中々厳しいものがある。

 

 

「お前たちは所詮オリジナルのレプリカでしかない」

 

 

いや、レプリカのレプリカか。魔女はユウスケを見る。

 

 

「五代雄介」

 

 

次に翼を見る。

 

 

「津上翔一」

 

 

次に真志を。

 

 

「城戸真司」

 

 

次は拓真。

 

 

「乾巧」

 

 

次は椿。

 

 

「剣崎一真」

 

 

次は我夢。

 

 

「そうだな、まあヒビキでいいか」

 

 

次は双護。

 

 

「天道総司」

 

 

次は良太郎。

 

 

「そなたは問題ない」

 

 

次は亘。

 

 

「紅渡」

 

 

最後は司だ。

 

 

「そして……門矢士か」

 

 

そのオリジナルと司達を比べれば、司達はカスみたいな物だとフェザリーヌは言う。

少し悔しいが何となくそれは司達にも分かる事、彼らに比べれば圧倒的に自分達は経験や実力差は大きい筈だ。

まして、神々に認められた差も。

 

 

「要するに無理だった、不可能だったのだ。一人を500ページの重さに近づけるのは」

 

 

レベルの低いコスプレライダー集団が生まれるしかない?

だがそこでナルタキは考えた、作品は終われば重さが上がる。

仮面ライダーだってそう、終了したライダーは存在が大きくなり先輩ライダーとしての地位を確立できる。

たとえそれがどんな作品だったとしてもシリーズ物ならば終了した時点で存在は大きくなると――

 

 

「ナルタキさんはソレを考慮し、女性陣を加えました」

 

「世界の最小構成人数は2、さらにヒロインが加われば、ヒロインの為に戦う主役と言う簡単なストーリーが出来上がる」

 

「今の時代、ヒロインが出てこない物語の方が珍しいでしょう?」

 

 

ストーリーは世界へと昇華できる事は椿のラノベのくだりで説明した。

物語を作ろうと思ったら主人公とヒロインさえいれば問題は無い。

 

 

「男しか出てこない物語でも、ヒロインは誰々等と言ったりするものだ」

 

 

だが何故そうなる?

それはヒロインの枠がしっかりと存在しているからだ。

それだけ大事な要素と言う事。

 

 

 

「当初私達はEpisode DECADEを一本の長編の様に創り上げるつもりでした――」

 

 

ユウスケから司を一つの試練に巻き込み、そこで10人同時に仮面ライダーとして覚醒させる。

あとは別の世界を巡りながらライダーを育成してページに文字を追加させていくと言ったものだ。

だがそれでは時間が掛かりすぎると、ナルタキは女性陣を加えた。

 

 

「結果、あえて主役を移動させる手をとりました」

 

 

ディケイドを主役としながらもスポットライトを当てるのは別のライダーとする。

だがそれを一つの世界でやると拒絶反応がおきてしまう、だからこそ試練に多くの世界を用意したのだ。

そしてそこで主役となるライダーとヒロインを入れる事により一つのストーリーを発展させる。

ヒロインは主役をライダーに覚醒させる起爆剤となるだけでなく、ヒロインと言う存在のおかげで一つのお話が完成される。

それは世界移動、つまり試練終了と共に変更していく形式に。

 

 

「五代クウガの重さが500ページなら、どんなに頑張っても小野寺クウガは100ページすらいかないかもしれない」

 

 

ならばと、ナルタキはあえて試練を個別にすると言うリスクの高い方法を選ぶ。

10人分の試練は失敗して全滅とまではいかないもののメンバーが欠ける確立が非常に高い。

だが個々のストーリーを作りそれを終わらせていく事で存在を強引に大きくしていった。

 

 

「ナルタキさんは10人で500ページにする作戦をとったのです」

 

「分かりやすく言えば、漫画雑誌だ」

 

 

あれは個別の作者が一話一話を掲載してその姿を巨大にしていく、つまりそれと同じ。

まずクウガの試練で一つのお話を、つまり小さな世界を創る。必要なのは主役とヒロイン、つまりユウスケと薫だった。

二人は戦いの果てに大いなる闇、つまりラストボスを倒す。ラスボスを倒せば話は終わる。

 

クウガに変身できたユウスケ、それを見てナルタキは世界を移動させた。

この時点でクウガが主役の話は終わり、小さな世界は完結を迎えたのだ。

完結を迎えた世界には補正が入る、それを繰り返していき強引なボーナスを上乗せしていった。

 

 

「ショートエピソードのクウガ終わり、次はショートエピソードのキバが始まる」

 

 

一番最初はEpisode DECADEは巨大なストーリー、つまり一つの大長編としての存在を創るつもりだった。

だが最終的な結果は違う、小さなエピソードを一つの本にする。短い複数の世界を固めて一つにするオムニバス形式をとった。

そして遂に今、それが完成した。それこそが――

 

 

「短編集・Episode DECADEなのだ」

 

「………ッ!」

 

 

一つの長編の中で一人一人を輝かせ、同じ程度の大活躍を与える事は長い時間を要してしまう。

だがスポットライトを当てる順番を決め、かつその行為自体をとる事で一人一人が主役になれる事実を作った。

それで神々を騙す。それぞれのライダーとしての存在を少しでも大きく見せる事になった。

世界を一つ一つ巡り、その物語を終わらせていく事で力を増幅させていった。その成果が司達だ。

 

 

「とにかくコレでそなた達の実力はある程度平衡した物にでき、かつ敵組織に敵うレベルにもなっただろう」

 

「つまり、貴方達が一人一人主役となる話を強引に創る事が目的だったのです」

 

 

ヒロインと言うのは大体が主役に好意を寄せるものだ、逆に言えばそれを多数用意すれば主役が増えると錯覚させられる。

まだ何か質問は? フェザリーヌの言葉に悩む司、正直まだ彼女が説明してくれた世界形態には理解できていない点が多々あった。

しかしそれはあくまでもナルタキ達の問題であり、つまりのところ自分達は今現在試練を無事に終わらせた。

そして仮面ライダーの力を安定化させたと言う事だ。

 

 

「ただこの事は司様達は、あまり気にしすぎない方がいいかと」

 

「今言ったことはそなた等にとってはほとんど関係無い事であろうからな」

 

 

しかしこの世には見えないながらも存在しているルールがある。

それに逸脱しない範囲で準備を整えなければ色々破綻してしまうもの。

 

とにかく司達は気にせず戦えばいい。魔女もシャルルもそう言っている。

だがそこで椿が口を開いた、どうやら彼は最初に言われた言葉が引っかかっていた様だ。

そしてその単語は最初の他にも出てきたと彼は言う、その言葉は――

 

 

「数回"二次創作"がどうのこうの言ってたよな、その意味って――?」

 

「それは、椿様達には特別関わりは無い事です」

 

「と、言う訳でもないがな」

 

 

止めておいた方がいい、意味も無く混乱するだけだとシャルルは言うが、フェザリーヌは話してみるのも面白いと言う。

椿や司達とて隠し事をされるのはあまり好きではない、ここは多少の混乱や理解できない事はあるかもしれないがとフェザリーヌに答えを求めた。

 

 

「よろしいのですか? 知る事は時として毒になりますよ?」

 

「そ、それでも……いろいろ知りたいって思う」

 

 

司の言葉に頷く一同。

ならば仕方ないとシャルルは口を閉じた。代わりに口を開くフェザリーヌ。

 

 

「そもそも、二次創作と言う言葉を知っているか? そのままの意味でいい」

 

「元々ある作品を使って作者以外の人間が創作を行なう……的なヤツだろ?」

 

 

主にネットとかコミケだのなんだのと、どちらかと言えば椿向けの話である。

 

 

「……っ!」

 

 

ふと固まる椿、ちょっと待て。

世界を創る過程、内容を言えばいい? 神への認知……。

仮面ライダーを使う、仮面ライダーは神なる世界でも放送されてきた。ならば仮面ライダーはどの世界を中心とする?

魔女は言った、アマゾンを知っているか? ゼクロスを知っているかと! そして司は知らなかった――!!

 

 

「せ、世界は……! ど、ど……どこを中心としている?」

 

 

思えばソレは聞かない方が良かったのかもしれない。

しかし魔女はより深く笑みを濃くしていた、深みにはまって行くのが面白いようだ。

 

 

「気がつきましたか。そうです、数多に存在する世界の中心は、全て神なる世界へと収束します」

 

「神なる世界は世界全体を統べるコア、所謂心臓だ」

 

 

ゾッとする、それは誰もが気がついた事だった。

神なる世界はもちろん自分達の世界ではない、そして椿に説明した世界の創り方。

多くの世界はそうやって創られてきたと言う、そもそも椿が読んでいたのはラノベじゃないか!

つまりそれは、既に創作されていた世界。

 

 

「まさか――ッ」

 

「小説は、本は世界だ」

 

「ドラマや映画も脚本と言う本を介して映像となります」

 

 

 

そうだ! 何故気がつかなかったのだろう!?

仮面ライダーは神なる世界で放送されていた特撮番組、つまりフィクションだ。

そして仮面ライダーが関わる世界に自分達は行った。それはつまりフィクション、他人が創った世界に足を踏み入れた事。

 

 

「我らの計画通りならば、お前達は今現在仮面ライダーの二次創作が一つとして神なる世界の神々に観測されている

 

「!!」

 

 

やはりそうか!

神々に世界を認知させなければ世界は創れないとフェザリーヌは言った、しかしEpisode DECADEは完成されている。

それはつまり神々が自分達の事を確認したと言う事だ。誰かが創った仮面ライダーと言う作品を題材にした二次創作――!

仮面ライダーEpisode DECADEを!!

 

 

「神々に、そなた等はどう見られているのだろうな?」

 

 

深く笑うフェザリーヌ。

認知されるのは小説、ならばそれはどこで? 誰が書いたとして?

 

 

「今はフェイクの作者を用意して神々を騙している状況のはずです」

 

「筈?」

 

「私達も神々の世界の場所は分かりませんので、うまくいっているのかどうか……?」

 

「まあしかし、こうしてEpisode DECADEは完成している。おそらくはうまく行っているのだろう」

 

 

フェザリーヌの力でEpisode DECADEは神なる世界の神々の目に触れられる様に配置したと言う。

神なる世界が司達の世界と大差ない作りならば、二次創作と言う形態を考えるにネット小説サイトや掲示板等、それに近い形で神々に認知されているのだろうとシャルルは言う。

ますます近づいていく神なる世界と自分達の世界、神と言うのは限りなく自分達と近いものの筈だ。

メタ世界を名乗る通り、かなり観測的なジレンマを感じるが――

 

 

「お、俺達の今まではフィクション……! ぁあ、えっと! つまり、他人が作った小説として神々に読まれてるって事か!?」

 

 

頷くシャルル。

彼らは魔女の力でEpisode DECADE神なる世界へ干渉させる。

そこで神々に一つの二次創作として世界を観測させているのだ、世界を創る為には神々に一人以上観測してもらう事が絶対条件である。

 

 

「本当にうまくいったのか……?」

 

「私を誰だと思っている? そう言えばシャルル、作者の名前は何にしていたか?」

 

「確かゼノン達が決めたはずです。この星の図書館の名前から星々? ああいやホシボシでしたか?」

 

 

その作者は実際には存在しないと言う。

擬似的な存在を許されたフェイク、ナルタキ達が創り上げた上辺だけの人形だ。

その人形が作者として神なる世界の神々へ対応しているという。

実際は司達の行動を後からEpisode DECADEが自動的に記録していくというものなのだが。

 

一方で神なる世界の神々はホシボシと言うニックネームを使った人間がこの物語を書いているのだと錯覚している。

もっと言えば騙されている筈だ。作者なんていないのに、誰か作者がいると錯覚しているのだ。

 

 

「まあ……いや! だけど問題はそこじゃねぇ!」

 

 

Episode DECADEの事は何となく分かった。

複雑だが自分たちには確かにあまり関係ないことともいえる。

要は免疫の船と考えればいい。世界と言う体内に侵入する自分達が、異物扱いされないように取り繕ってくれる移動式の世界。

そして自分達の力を安定化させる装置、それがEpisode DECADEだ。

 

だからもういいとして、今までの会話を考えるとどうしても気になった事があった。

強く、しかし怯えた眼差しで椿はフェザリーヌを見る。仮面ライダーの二次創作としてEpisode DECADEは神々に認知された、それは小説として。

 

 

「神なる世界で書いた小説が世界になるんだよな」

 

「間違いではない、そう捉えてもらって結構だ。ただその小説もチラシの裏に書くのでは意味が無い。必ず一人以上誰かに認知させる事だ」

 

 

正確には神なる世界でフィクションとされているものは大体世界になっていると言う。

ドラマ、漫画、映画、作品と言うものは全て世界に変わっていく。尤も、それを神々が意図しているかと言われればノーだ。

彼らは無意識に世界をつくり、かつその世界が生まれたことを知る事も無いと言う。

 

 

神々とて要は自分達と同じ様な物。

今日も神なる世界では新たな物語が紡がれて、そして創造されていくのだろう。

それは脚本、それはドラマ、小説、あるいは誰かが妄想しただけの存在かもしれない。

しかしそれが人の目に触れれば世界が生まれる。だが、だったら――!

 

 

「俺達は……! 俺達の元々の世界はどうやって生まれたんだよ――ッ!!」

 

「!!」

 

 

そうか! ほとんどの人間が椿の言った事の意味を理解する。

自分達の世界は神なる世界ではない。それは心臓(コア)ではなく、そのコアから生み出された世界だと言う可能性が非常に高い。

そして世界の創り方、人の書いた物語が世界として具現する。ならば元々の自分達の世界は?

 

 

「誰がつくった……! 小説って事かよ!!」

 

「クククッ! 気がついたか、人の子よ!」

 

 

フェザリーヌは今回の試練に司達を選んだ理由として特別な理由は無いと言った。

それはそうだ、試練は何度も行なわれる。そして世界は膨大、失敗すれば次の者を探せば良いと。

しかし強いて言うのであればちょっとした理由もあるとは言っていた、あの時はスルーしたが特別な者が何人かいたと。

 

 

「なんだ……その特別な者って?」

 

「全く異なる理由だが、二名が二組」

 

 

指を鳴らす音と共にスポットライトが照らされる。そのライトに当たるのは計四人、まず最初の二人だ。

だがその前に魔女は補足の説明を加える、司に聞くのは前世と言う物を信じるか? と言う質問だ。

 

 

「べ、別に無いとは思わないけど――」

 

「そうだな、前世とは少し違うが似た様な物は世界を超えて存在する」

 

 

だから、とシャルルはそのライトが当たった二人を指差した。

 

 

「お、おれとアキラちゃん!?」

 

「―――ッ」

 

 

小野寺ユウスケ、そして天美アキラ。

 

 

「そなたらは同名の存在がディケイドに登場している」

 

 

始まりと終わり、その存在は仮面ライダーの世界を色濃く象徴するとフェザリーヌは告げた。

司達の世界は仮面ライダーとは関係無い。何故ならば司達の世界では仮面ライダーはフィクション、つまり偽物なのだ。

だが小野寺ユウスケと天美アキラの名前は仮面ライダーそのものだと魔女は言う。

 

 

「ややこしい話に聞こえるかもしれません、ですが簡単です」

 

 

要するにユウスケとアキラがメンバーにいる事で、"これは仮面ライダーの物語なんだ"と言う事を象徴させるのだ。

しかもその名前はディケイドで始まりと終わりを意味するらしい、それはより強力な存在の証明になるとシャルルは言った。

 

 

「今の話を踏まえると――」

 

「っ?」

 

 

フェザリーヌは我夢と亘、アキラ、里奈を指差す。

 

 

「そなた等の過去の話は他に比べて非常に長く記され、そしてその内容も特別ファンタジーなものではなかった」

 

「な、何を言って……」

 

「私は何度となく眠気を抑え思ったものだ、これは本当に仮面ライダーの作品なのかと」

 

 

あの時はアキラが死ぬ予定であり、彼女の存在を少しでも強調させようとEpisode DECADEは内容を取り上げた。

しかし怪人は出てこない、変身はしない、何か伏線がある様にも思えず、まして主役とみなされたディケイドも出番は少ない。

だがそれは当然といえばそう。元々彼らの世界は仮面ライダーなど一切関係の無いストーリーで構築されていたのだから。

 

 

「どこにでもありそうな、ただの青春恋愛小説の一端だった」

 

 

あの部分だけを切り取って他の一次創作専門のサイトに乗っけても違和感の無いような。

おそらくどこぞの誰かが作った短編が世界として取り込まれたのだろうと魔女は言う。

だがしかし先ほども魔女が言ったとおり、そこに小野寺ユウスケと天美アキラが存在していれば、いかな内容の物語が紡がれ様とも首の皮一枚でつながる事ができると言う訳だ。

それはライダーのエネルギーを上げる良い環境である。

 

 

「そして残りはお前らだ」

 

「オレと双護?」

 

「………」

 

 

スポットライトは最後に真志と双護を照らす。

この二人に何の意味があっての事なのか、照らされた二人はもちろん分かっていない。

そこでシャルルは先ほどの言葉を思い出してくれと司達に告げた、司達がいた世界は神々の創作で生まれたもの。

創作と言うのはつまり物語だ。誰かが小説を書いて、それを世界へ昇華させたと――

 

 

「お前達が試練に巻き込まれなかった場合、どんな話が待っているのか?」

 

「お、おい……どういう意味――」

 

「どんな物語にも、主役は……それに近い存在は絶対にいます」

 

 

Episode DECADEはあくまでも擬似的な世界。

司はディケイドのおかげで主役として見られているが、それはEpisode DECADEの中の話でしかない。

元々司達の世界では司が主役ではない。世界とは物語であって……つまり――

 

 

「うっ!!」

 

「!?」

 

 

椿は理解した様だ、この手の話は理解力が早いのだろう。

彼はまたも顔を真っ青にして口を押さえた

 

 

「こいつら……か?」

 

「その通り」

 

「ど、どういう事だよ椿!」

 

 

椿は呼吸を落ち着けてゆっくりと口にする。

簡単な話だ、自分達の世界もまた何かしらの物語だったと言う事。

そしてその物語には当然主役は存在している。フェザリーヌは言った、特別が人間がいると!

 

 

「だから……だからよ、つまりお前らなんじゃないの?」

 

「な、何が?」

 

「主人公――……っ」

 

「「!?」」

 

 

椿と双護の顔色が変わる。

何? 自分が主役!? 反射的に二人はフェザリーヌを見る。

そこには歪な笑みを浮かべた彼女が、そこで双護も真志も最悪な思い出が頭を過ぎった。

お話、神なる世界から見ればフィクション。現実離れしたありえない事も起きるだろう、フェザリーヌはその瞬間二人の脳に直接言葉をぶち込んだ。

 

 

『神なる世界、神々は思っただろう――』

 

 

真志の脳に打ち込まれていく文字の羅列。

思い出すのはわずかな両親の記憶、だが今は暗い檻の刑務所の中にいる両親。

それだけならまだしも――

 

 

『お前の両親の作ったミラーワールド、どんなパソコンもソフトがあればすぐに最強のハッキングマシンとして機能するなんて――』

 

 

普通に考えて、ありえない。

 

 

「ッッ!!」

 

 

次は双護だ。

殺したいと願った真由香、両親は彼女の父親に殺されて妹は目の前で死んだ。

そこから真由香が記憶喪失となり自分は真由香の父親に選ばれたと養子にされた。

 

 

『驚く程に急激で強引な展開だ、そんな事は――』

 

 

普通に考えて、ありえない。

 

 

「普通に……だとッ?」

 

 

普通とは何か? 常識は破壊された筈だ。

ではその"普通"とはどの普通を言っている? 決まっている、神なる世界だ。

コアの世界からしてみれば真志と双護の思い出話はドラマみたいに嘘くさいと、ありえないと!

だってそうさ、ありえない物だった。彼らの世界は創り話として創生されたのだから! 所詮はフィクション、多少ぶっ飛んでたほうが面白い。

 

 

「お前たちの世界は、復讐の物語だった――」

 

 

ある神はどういう経緯か、どこに記載するかは知らないが、とにかく話を作った。

"家族と妹を殺された兄が、その犯人である男に復讐する為養子になる"と言うもの。

記憶を無くした義妹を利用し、同じく男の裏切りによって両親を逮捕された少年と共に巨大な権力に復讐していくと言う重い話なのだ。

それが司達がいた世界に用意されたストーリー。司や椿、我夢達は皆その物語の登場人物、亘や里奈辺りはもしかするとモブキャラで終わったかもしれない。

名前を考えるのが面倒だったか? 神は一部の人物を仮面ライダーの登場人物から引用してしまう。

いけないな、丸丸同じ名前にするなんて。おかげで彼らの世界はいち早く組織に狙われてしまったのだから。

 

 

「話に戻ろう。当然、主役の少年は両親と妹を失う訳だ」

 

 

フィクションなのだから、インパクトのある方法で。

魔女は笑う、目の前で妹がプレスされるなんて見ている人間には大きな衝撃を与えるだろうなと。

沈黙して立ち尽くす真志と双護、分かるだろう? フェザリーヌは言う。

 

 

「この復讐の物語の主人公と、その仲間である準主人公ポジションはそなた等だ。天王路双護、条戸真志」

 

「「………」」

 

 

ダンッ! と双護は思い切り壁を殴りつけた。

しかし司達は何も言わない、いや動いていない。どうやらコレは双護と真志だけに向けた情報らしい。

フェザリーヌは二人以外の時を止めていた。

 

 

「だったら……俺の妹と――ッ! 俺の両親は――ッッ!!」

 

 

どこの誰かも分からない人間(かみ)が話を面白くする為に、話を盛り上げる為だけに死んだのか!?

双護は珍しく声を張り上げる。そんな馬鹿な事があっていい訳が無い、そんなふざけた事が許されていい訳が無い。

必死に生きて自分達を守ってくれていた両親、そして毎日を頑張って生きてきた妹。

それがただ神なる世界の住人なんて意味不明な存在に殺されたとでも? ソイツのつくる話の為に人生を奪われたと!?

 

 

「ふざけるな! 誰だ、その神はッ! 俺がぶっ殺してやるッ!!」『HENSHIN』

 

 

カブトとなり変身を完了させた双護、だが落ち着けと真志は叫ぶ。

ここで暴れたってどうにもならない、そんな事を言った彼だが内心は双護と同じ気持ちだった。

両親はどうやら双護の義父と関係があったようだ、天王路グループに言われハッキングソフトを作っていた?

なんだよソレ! 煮えくり返る想いだがやはりフェザリーヌの雰囲気は微塵も変わる事は無かった、変わらないニヤけ顔を見せている。

 

 

「確かにそうだ、勝手な話だ。だがココに来る事がなければソレを知る事も無かった。お前達は何の疑いも無く事実を受け止めていただろう」

 

「貴方達にとって、それは真実なのですから」

 

 

ここはメタ世界。

すべての物語を観測者の視点で見られると魔女は言う。

 

 

「ここで説明した事もあくまで神の視点から見ての事だ。世界は簡単に創られるが、お前たち視点でみればそうではない」

 

 

長い時間を要して文明を発展させサルが人に進化、様々な命がそこで育っていく。

尤も神々からみればそれは箱庭の事なのだろうが、そこに住む者達にとっては自分達がいる箱庭こそ全ての世界だ。

もしもEpisode DECADEに彼らが巻き込まれなければ双護と真志は復讐の為に出会い、そこから物語を発展させていく。それは全て彼らの意思で動く事。

 

双護は最初真由を利用するだけ利用して最期は剛の目の前で殺すつもりだった。

だが情に諭されてソレを止める。彼女の対して恋愛とは全く違う愛を持つようになる。

そのまま真志と双護、途中から加わる美歩の四人がメインキャラクター。復讐と日常の狭間に迷いながらも双護と真志は闇に堕ちていく。

 

 

「最期はどうなると思う?」

 

 

フェザリーヌはもしその物語が続いていたらどうなったかを知っている。

ラストを観測したのだ、ネタバレは嫌われるがこの場合は仕方ないと笑って見せた。

もし試練に巻き込まれなければ、真由は双護を守る為に撃たれて死ぬ。

 

 

「………は?」

 

「そしてお前も最期は剛と刺し違えてボン!」

 

 

残された真志が一連の出来事を世の中に伝え、天王路グループの闇を暴く。そんな物語が待っていたとフェザリーヌは言った。

だが今はもう違う。Episode DECADEが、ディケイドが介入した事によってその物語は破壊された。

仮面ライダーの存在に呑まれたのだ。

 

 

「良かったな、ディケイドとディエンドに感謝しておくがいい。ククク!」

 

「……クソッ!」

 

 

なんともいえない、変身を解除した双護と真志は複雑な感情で爆発しそうな気分だった。

フェザリーヌが言うには一つの世界に物語りは一つではないと言う、複数の物語が次第に引き合い合成して世界は構成されていく。

双護達以外にも主役と呼ばれる存在はまだいるのだろう、つまり司のグループが全滅すれば次はそいつ等を試練に巻き込むと。

 

 

「Episode DECADEの世界は、そなたらの切り離された学校だ」

 

 

ここで時間が動き出す。

司達の学校が今現在はEpisode DECADEの存在そのものである。

文字通りそれは『船』として様々な世界を行き来して彼らの拠点として活動している訳。

それは世界を融合すると言う事でもあり、同時に言えば別の世界が一つの本に入り込むと言う事。

 

 

「いわば学校だけは別世界として処理されている。だから他の世界は学校の存在に気がつかない」

 

「あの学校は別の世界、つまり侵入した世界には全く記載されていないイレギュラーなのです」

 

 

だから誰も学校の存在に気がつかず、また学校が他世界に影響される事も無いと言う。

絶対安全の拠点くらいは確保してやろうとナルタキ側のサービスなのらしい、資金や回復装置など最低限の物はそろえたと。

 

 

「我らも鬼ではない。命を賭けているんだ、他の面では何不自由ない暮らしを約束しよう」

 

「どうですか? 皆さん、休憩いたしますか?」

 

「いや……どうだ? 皆」

 

 

司は一同の顔をうかがう。

確かにこの話は混乱するだけでなく世界そのものの構造まで関わってくる大規模な物だ。

だがそれはあくまでも世界形態やこの試練の連続、つまりEpisode DECADEの正体等の情報でしかない。

自分達にとってEpisode DECADEは要するに自分達を仮面ライダーとして覚醒させる為に行なった今までの試練の記録。

 

後は少しの日常を記載した日記帳みたいな物だろう。そしてそれが完成した事で敵組織と戦わせる為に必要な物が揃ったと言うだけの話。

足りないページや重さを近づけるなどはもう終わった話に加えて、自分達側からすればあまり関係ない話だ。

そこらへんの問題はフェザリーヌ達にまかせるしか方法が無い、世界の事を知らない自分達が吼えても無意味なのだから。

 

最初に聞きたい事も全部分かった。

仮面ライダーが関係している理由は、仮面ライダーに出てくる敵が自分達の世界を滅ぼす為。

根本的に仮面ライダーが出てくる謎は今までの世界を巡れば分かる。

本当に仮面ライダーが存在している世界で何らかの出来事があり、敵が世界を移動できる様になった。

結果、敵が自分達の世界に現れて――

 

 

「だろ? シャルル」

 

「はい、そう思ってもらって問題ありません」

 

 

次に自分達はどうすればいいのか?

これはEpisode DECADEを創る事、簡単に言えばただ自分達が変身できる様になればいいだけだ。

その為の試練をクリアして、世界を苛む悪を破壊していく事。

 

そしてコレを仕組んだ、もしくは空間転移を行なっている者の正体。

これはナルタキとフェザリーヌ、そしてゼノンとフルーラ、シャルルのグループだ。

そう言えばゼノン達は自分達の事を『眼』と言っていた。あれはどういう意味なのだろう?

 

 

「眼は文字通り眼です。彼らが貴方達と同じ世界にいる事で神々への干渉を行なう、つまりEpisode DECADEに文字を刻めるのです」

 

 

それはシャルルも可能だと言う。

まだ何か意味がありそうだが、それを彼がここで言う事は無かった。

 

そして、なぜ司達が選ばれたのか?

試練は自分達が初と言う訳ではなく、今回は学生を選ぶ事が決まっていたらしい。

そしてそこから"存在力"が強かった双護と真志を、仮面ライダーの二次創作であると言う事を色濃く示すユウスケとアキラを選択。

彼らを見て仲のいい人物や、友好関係がこじれそうに無い人物を選んでいったと言う事。

 

 

「新しい単語が出たね。存在力が強いってどういう事なんだい?」

 

「ふむ、翼……だったな。お前は主人公補正と言う言葉をしっているか?」

 

 

パニック映画やサスペンスで主人公が死ぬ事は珍しい、何故ならば主人公だからだ。

フェザリーヌはそう言って笑う、要は真志と双護は死ににくい体質らしい。

まあ、と言っても元々の話で双護は死んだし真志も死ぬときはアッサリと死ぬらしいが。

 

 

「それでもご都合主義を引きやすい体質だ、まあ言い方を変えれば運が良いというべきか」

 

 

こうなってくると気になる事はあと二つ。

一つはナルタキのことだ、彼は何者なのだろう? それを聞いてみるが、今は話せないと言われた。

その内彼自らが話すと言う。だから残る疑問はあと一つ、司達は表情に疲労を浮かべながらも会話を続ける。

 

 

「試練は……全て終わったのか?」

 

「ああ、Episode DECADEは完成を迎えたからな」

 

「それで……ッ! 今、俺たちの世界はッ!?」

 

 

首を振るフェザリーヌ。

どうやら司が期待している事が分かった様だ、彼はきっと淡い期待を抱いているのだろう。

試練を終えた事で自分達の世界は救われたのではないかと、破滅の未来を変えられたのではないかと!

 

 

「延命はされた。だが残念な話ではあるが、今でもそなた達の世界が滅ぶ運命は変わっていない」

 

「そ、そんな……ッ!」

 

 

へたりこむ司。

これだけ試練を行なっても何一つ状況は変わっていないと言う事実、これは司だけでなく一同の心に重いダメージを与えた。

一体いつになったら自分達は元の世界へ帰れるのだろうか? いつになれば戦いから開放されるのだろうか?

 

 

「申し訳ありません、強引に巻き込みこの様な戦いを強要するのは……なんと言えばいいか――」

 

 

申し訳なさそうに頭を下げるシャルルと、むしろ笑みを浮かべているフェザリーヌ。

いいではないかと彼女は言う、もしあのままゼノン達が何もせずに司達の世界をスルーしていたならば――

 

 

「あの世界は約10日後に滅んでいた」

 

「!!」

 

 

そんな簡単に!? いや、簡単に滅ぶのだろう。

10日後には以前フルーラに見せてもらった世界になる。何も無いさら地に変わるのだ。

だが疑問が浮かぶ、何故フェザリーヌはそれが分かる?

 

 

「見たからだ」

 

「え?」

 

「私は観劇の魔女、世界の観測者なのだから」

 

 

その言葉に頷くシャルル、簡単に言えば彼女は未来を見る事ができる。

そしてそれは純粋な未来だけではなく、複数に分岐する未来の先もだと。

つまり司達が巻き込まれなかった未来を魔女は観測したと言う事、魔女は何なら観測してみるかと笑う。

 

 

「最も、精神に異常を来たす可能性が高いがな」

 

 

友人が、知り合いが、家族が、想い人が惨たらしく殺される所は見たくないだろ?

その言葉に司達は汗を浮かべて頷いた、どうやら敵組織の中には危険なヤツもいるらしい。

 

 

「どうして敵組織は俺達の世界を狙ったんだ……?」

 

「敵の狙いは神なる世界への到達だ」

 

 

敵は世界を生み出す世界を支配して、文字通り神の頂点に立つつもりでいる。

そこで世界の全てを手に入れ、同時に全てを支配する。

だが神なる世界がどういう物なのか、どこにあるのか、どんな世界なのかはコチラ陣営を含めて敵陣営にも分からぬ事。

だから敵は世界を見分ける手段として世界を滅ぼすのだ。

 

 

「世界を移動、そしてその世界を滅ぼす種をまく」

 

 

巨大爆弾やジョーカーウイルス、邪神もその一つ。

 

 

「ちょっと待て、いいのか? 神なる世界を滅ぼす事もあるんだろ?」

 

「神なる世界は唯一物語では無い世界だ。主人公もいなければヒロインもいない」

 

 

だからこそ、神なる世界は通常の方法では滅びないらしい。

神なる世界は物語ではない。そして敵組織が行なう世界を滅ぼす行為はその世界、つまりは物語を終わらせる事だ。

爆弾を使って世界を吹っ飛ばすと言う事でも、神なる世界では少し違った結果となる。

 

 

「神なる世界は、神なる世界で起こる現象以外では滅びない。今はな」

 

 

『今はな』、フェザリーヌはその言葉を強調する。

とにかく敵が世界を把握する方法は一つ、単純に世界を滅ぼす行動を取ればいい。

たとえ重火器やミサイルで世界をさら地に変えようとも神なる世界では滅ぼしきる事はできないと言う。

いや、正確にはその前に神なる世界だと言う事が分かると。

 

 

「さらに、他の世界でも滅ぼす事ができれば敵はパワーアップします」

 

「世界を喰うと言ったら分かりやすいか」

 

 

世界を滅ぼした存在と言う肩書きがつけば、それだけ存在も大きく見えるのは当然。

 

 

「ただのディケイドと、世界の破壊者ディケイド。どっちが強そうかなんて明白であろう?」

 

 

事実強くなる。

だから敵は様々な世界を巡り滅ぼそうと企む。その為にも司達は戦わなければならない。

司達が自分の世界を守る、救う方法はただ一つ。これも簡単で分かりやすいものだと――

 

 

「敵組織が神なる世界に辿りつく前に、敵を全滅させればいい」

 

「嘘だろ……」

 

「て、敵ってどれくらいいるんですか?」

 

 

さあな、そう笑うフェザリーヌ。

もしくは世界移動を行なっている敵と統率者あたりを殺せばいいと。

しかし敵の詳細も分からぬ現状、司達にとって今からが本当のスタートなのだと言う事実。

 

 

「勘弁してくれよ……っ! そんなの途方も無い!!」

 

「頭を潰せば良いだけだ」

 

「それでも! 当然敵だって頭は隠すか、全力で守ってくるだろ!!」

 

「なら、リタイアも構わぬぞ」

 

 

他の世界に移動させ、そこで一生を過ごさせるリタイア。

元の世界には戻せないルールがあるらしく、適当な世界へ司達を永住させる。

もちろんその場合は仮面ライダーの力を剥奪してしまう訳だが――

 

 

「ディケイドライバーさえ置いてくれれば、お前達に固執する意味も無い」

 

「冗談だろ……! ここまで来て終われるかよ!」

 

「ならば戦う事だ。世界を救う為にな」

 

「……ッ!」

 

 

皆苦悶の表情を浮かべながらも、魔女の言葉が抗えない事実だと言う事を理解していた。

シャルルもできる限りのサポートや定期的に休息の世界を入れてくれるとは言う、要するに今までどおりと言えばそれだけだった。

つまり司達のやる事はこれから敵を全滅させる事にシフトチェンジするだけ、これからも様々な世界に行き力を磨いていくと。

 

 

「少しくらい話が続きますね。でも気を落とさないでください、皆様には仲間も増えます」

 

「どういう事だ……?」

 

「チームディエンドや各世界で知り合ったライダー達の事です」

 

 

そう言えばそうだ。

お宝……なんだったか?

 

 

「チームディエンドでよろしいかと」

 

「ああ、そう。じゃあチームディエンドは一体どういう役割なんだ?」

 

「あれも一応試練をすべてクリアした集団と思ってくれて構わない」

 

 

少し試練形態や状況は違ったらしいが、彼らも一応仲間である事は変わりない。

最も素直に協力してくれるかは微妙だと言うが。あとはダイアナ達やイクサ達他の世界で知り合った仲間。

最後に――

 

 

(いや、これはまだいいか……)

 

 

いろいろ複雑に舞台裏を説明したが、つまり要するに司たちは組織を滅ぼす為に戦えばいいと言うだけ。

二人は口を閉じてアイコンタクト、とりあえず最初はこんな物かと。フェザリーヌはもう一度司達に聞きたいことはあるかと問う。

しかし何も無いのか、それとも混乱で何も浮かんでこないのか、誰も何も言う事は無かった。

異常に疲れた、誰もがそんな表情である。

 

 

「とにかく、少しまとめるならば――」

 

 

仮面ライダーが関係している理由は?

それは仮面ライダーに関係を持つ組織が世界を移動する手段を手に入れ、それを悪用しようとしているから。

 

司達はどうすればいいのか?

それは仮面ライダーとして覚醒する為に試練を繰り返し、そして次はその組織を潰す事。

 

コレを仕組んだ、もしくは空間転移を行なっている者の正体

それはナルタキ。彼は魔女を召喚して自分も世界を移動する手段と、それを利用したメタ的なルールを設けて仮面ライダーを量産しようとした。

 

なぜ司達が選ばれたのか?

それはライダーになれ為に適した者達だったから。

しかしその適した者達は少ないわけではない。司達が死ねば、別の人間達が選ばれて同じ様な事になっていた。

 

Episode DECADEとは何なのか。

それは神なる世界に干渉し、量産された仮面ライダーの力を安定化させ、かつそのライダー達の拠点となる小さな世界。

 

 

「そして世界とは、神が生んだ創作物だ」

 

「神が世界を作る。ええ、何もおかしな事はありません」

 

「……ッ」

 

 

そういう事なのか?

神なる世界の神は、自分達と同じなのに?

 

 

「ククク! いい顔だ。ではそろそろ今日は終わりとするか。学校にそなた等を戻そう」

 

「また何かあったら、恐らくこの場に招く事をご了承ください」

 

 

そこで思い出した様に口を開く司、そう言えば大切な事を聞いていなかった。

 

 

「敵組織の名前は? どう見分ければいい?」

 

「はい、彼らは必ず体や武器に黄金の大鷲を刻んでいます」

 

 

ペンダントやブローチであったり種類は様々、中には服の裏に隠している物もいると言う。

だからこれだけで判断するのは無理かもしれない、だからシャルルは司達にその敵組織の名を告げる。

 

 

「あ、そう言えば……」

 

 

美歩と真志が以前戦ったカガミトカゲ、そこに大鷲がいた様な気が……?

あと組織名も言っていた様な気が――

 

 

「そう言えばどっかで見たことあったな……どこだったか――」

 

 

記憶の探るメンバー、ここで時間切れフェザリーヌは指を鳴らして一同を強制的に学校へ転送する。

しかし一人だけ残る者が――

 

 

「何だ?」

 

「質問が……」

 

 

残ったのは条戸真志、彼は最後の疑問を二人にぶつけた。

自分と双護が聞いた話、それは神のシナリオによって家族を壊されたと言う物。

だが魔女が言った通りそれは普通に生きていたら何も気がつかずに流れてた訳だ。それは自分達の意思として受け止めていた事でもある。

 

 

「オレ達の辿る未来(これから)も……誰かが決めるのかッ!」

 

「………」

 

 

この試練は人形が書いた小説として神に認知されていると言う。

だがそれは本当なのか? もしかしたらホシボシと言う存在は確かにいて、そいつが自分の行動を操作しているのではないかと――

 

 

「オレ達は……結局ソイツの駒じゃねぇかッ!」

 

 

自分達は命が、心がある生命なんかじゃない! ただ小説に記載された文どおりに動く人形だ!!

もしもこの作品に本当に作者がいて、話を盛り上げる為に条戸真志と言う駒を殺そうと思えばすぐに実効は出来るんじゃないかと。

全てさじ加減で決まる人生、決められる運命、どこぞの誰とも知らないヤツに。

 

 

「オレ達がどれだけ頑張っても、逆に何もしなくても要はソイツが決める事なんじゃねぇのかよ!」

 

 

"真志たちは世界を無事救えました"

"真志たちは残念ですが全員世界を救う事無く全滅しました"

つまり、このどちらかの文を記載するのかで運命が簡単に決まる。それは自分達の意思なんて全く関係ない――?

 

 

「くふっ! ククク!」

 

「何笑ってんだよ!」

 

 

拳を握り締める真志、今にも殴りかかりそうな勢いだった。

それを抑えたのはシャルル、彼は目を細めて優しげな笑みを向ける。

 

 

「真志様……」

 

「ッ?」

 

「美歩様の事を、どう思っていますか?」

 

「な、なんだよ……今はそんな事関係――」

 

 

シャルルは首を振る。

彼は言った、もし美歩が敵に襲われていたらどうするのかと。

 

 

「それは……助けるさ――」

 

「何故です?」

 

「どうしてって、仲間だからに決まってるじゃねぇか」

 

「つまり、大切だからでしょう?」

 

 

複雑な表情で沈黙する真志、確かに美歩は大切な存在だ。

だがその大切だと思う気持ちも神によって決められたのではないか?

もし神が美歩を嫌いになっていくストーリーをつくれば自分にそれに従っていくと、もちろんそこに何の違和感を持たず。

 

 

「それは違いますよ真志様」

 

「どうしてそう言えるんだ。最悪、お前らだって神のシナリオ通りに動いてるかもしれないんだぞ」

 

 

その言葉にフェザリーヌは再び吹き出す様に笑った。

さっきから何がおかしいんだ、真志はつい睨むような視線で魔女を見る。

 

 

「そなたは今、どんな感情を心に秘めている?」

 

「ッ?」

 

「言わなくていい、だがそれは複雑で面倒なものだ」

 

 

しかし真志は現に今その感情を抱えている。

文字通り、言葉にできない程複雑な感情を。それを見ている神は理解できるだろうか?

その言葉にできない感情を書いていると言っていた作者は理解して文にできるだろうか?

 

 

「無理だな、何故ならお前は生きているからだ。条戸真志として」

 

「……!」

 

「たとえ神が美歩さんを嫌いになると言うシナリオ構成したとしても、貴方はそれを跳ね除けられる筈です」

 

 

シナリオを、変える事ができる筈だと。

 

 

「貴方が歩んできた軌跡が、シナリオを変えていくのです」

 

「現に一度そなた等はアキラが死ぬシナリオを壊した」

 

 

確かに最初は神が創りし物語から生まれただろう彼ら、しかし真志もクラスメイトの誰もが最初は赤ん坊から育ってきた。

もちろん真志には今まで自分が歩んできた人生の記憶がある。真志だけが知っている思いもある。

 

 

「それは偽りではない、お前と言う人間がシナリオを決めていくのだ」

 

「仮に作者がいたとしても、作者が書いたシナリオに貴方達が従うのではありません。貴方達を見て作者がシナリオを決めるのです」

 

「………」

 

 

納得したのか不満なのか、真志は口を閉じてうつむいた。

自分が今思っている事は神が決めたシナリオ通り? それとも自分が思っている心?

 

 

「これからも、そなたと言う存在を信じて戦うがいい」

 

「そうすれば、物語は変わっていきます」

 

 

それがいい方向にか、悪い方向にかは分からない。だが動かなければ何も始まらない。

それは真志の意思で、歩くという事は彼が足を動かさなければ不可能だ。 

 

 

「神を否定しろ、存在を信じるなら自らの手で作者を殺せ。シナリオは世界の融合によって崩れ行くものだ」

 

「そして貴方達には破壊者がついています」

 

 

全てを破壊し、全てを繋ぐ。

 

 

「だが、その道を誤ったとき、お前が疑問に縛られ続けた時、お前は世界に喰われるぞ」

 

「――ッ!」

 

 

さらばだ、その言葉で書斎にはシャルルと魔女以外誰もいない状態へ。

魔女はそれを確認するとゆっくり椅子に深く腰掛けた。さてと、ディケイドの存在に関しては少し記憶をあやふやにしておいた方がいいか。

何故ならば、ナルタキにすら話していない事も多いからな。そう思い魔女は杖で地面を叩く。

 

 

「しかし条戸真志は面白いな。勘がいいヤツは嫌いでは無いぞ」

 

「一番厄介な落とし穴に落ちましたね。心配です」

 

 

これだけ長々とややこしい話をしたが、要するに彼等は今まで通りで良いのに。

それを知識が邪魔をする。一度知ってしまった事は、中々脳からは離れてくれない物だ。

意識すれば、意識するほど深みへ堕ちてしまう。

 

 

「壊れてもらっては困るのだがな、壊れるのも見てみたいと思ってしまう」

 

「やれやれ……」

 

 

しかし答えは彼自身が見つけなければならない物。

シャルルは複雑な表情ながらもそれ以上何も言う事は無かった。

 

 

「ゼノン達は?」

 

「はい、集会へ」

 

 

フェザリーヌは頷くと紅茶に手を伸ばすのだった。

コチラの集会が始まったか、では恐らくアチラも――

まあいい、退屈しのぎに覗いてみるか。フェザリーヌはまたもニヤリと笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

しかし『敵組織』の名とは――?

 

 

 

 

 




はい、と言うわけでの後半でした。
まああんまり作者の名前は気にしないでw

色々説明はしましたが、何のことは無く、二部からはその組織との戦いになります。
名前はもう正直分かってる人がほとんどかもしれませんが、一応次まで秘密と言うことで。

と言う訳で次が一部最終回でございます。
予定としては水曜かなと。ただ二部はちょっとだけリアルの都合で遅れます。
一週間くらいかな? まあなるべく早くします。

ではでは

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