仮面ライダーEpisode DECADE   作:ホシボシ

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特別クラス編ラストでございます。

残り三話で一部終了って所かな。
ではどうぞ。


第59話 別れる世界

 

 

 

我夢とアキラが泊まった旅館。そこへ再び一同は集まっていた。

ここはその旅館にある宴会場、広い和室に豪華な料理が並びステージ部分では陽が紙を持って緊張した面持ちで立っている。

 

 

「えー、皆さん。今日はお集まり頂いて――」

 

 

ニコニコとしながらも声を震わせる彼。

一方でワイワイ、ガヤガヤ。

 

 

「あのー、ね……! 邪神を倒す事ができたのは皆さんの日ごろの行いの賜物であり――」

 

 

ワアアアアアアアアアアアアアア!!

 

 

「だから……なんと言うか――」

 

 

でさー、マジでー? っていうか――!

 

 

「誰も聞いちゃないねぇ……!」

 

 

涙を流しながら笑みを浮かべる陽、宴会場には多くの妖怪や人間達が集まっていた。

それぞれがそれぞれの話題で盛り上がっているのだから、始まりの挨拶など誰も聞いてない現状である。

要は開始の挨拶前にもう宴会は始まっていた訳で。

 

 

「もういいんじゃねぇの? 皆適当に食えばいいじゃん」

 

「そういうお前さんもかよ!」

 

 

地獄童子は目の前におかれている料理を適当にとっては食べている。

開始の挨拶を陽に任せた子泣き爺なんて、既に良い感じにできあがってる始末だ。

 

 

「はい地獄童子! あーん!」

 

「お、おいおい幽子……は、恥ずかしいっての」

 

 

そう言いながらも地獄童子は幽子に言われた通り口をあけて料理を食べさせてもらう。

みんなそれぞれで盛り上がっているのだから二人の雰囲気に誰も文句は言わないだろう。

 

 

「おいしい?」

 

「あ、ああ……!」

 

 

よかったと笑う幽子、彼女の笑顔はいつも同じだった。

地獄童子は思い出す、あの日もそうだったと。

 

子供は残酷な物だ、それは妖怪とて同じ事。

妖怪達が通っていた学校でも差別の意思は存在していた。

力を隠していた地獄童子は名を童子とだけ名乗りクラスでもあまり目立つ事はなかった。

しかし周りの連中は何かしらの能力を持っているもの、すぐに周りは童子を無能力者と言うレッテルを貼り付けて異端と示す。

 

 

「おい、お前何にもできないんだってな。妖怪のくせに」

 

 

まわりの冷やかしに童子は全く動じなかった。

ただ興味無さそうに――

 

 

「うるせぇな、どうだっていいだろ」

 

 

それだけ、いやそれだけしか本当に言う事が無い。

自分は幽霊族だなんて口が裂けても言ってはいけないタブーであるからだ。

しかしその閉鎖的な態度が周りには気に入らなかったのか、時には殴られもしたもの。

だが幽霊族の防御力もあってか、童子はそれでも反応する事無く差別を受け入れ続けていた。

彼が怒りを覚えなかったのも、いつでも殺せる連中としか見ていなかった部分もある。

しかしある日、彼に差し出された手が一つ。

 

 

「大丈夫? 童子君」

 

「あ? 誰だよ、お前」

 

「はじめまして。今日から同じクラスの幽子だよ」

 

 

地獄童子のすぐ後に転校してきた幽子、彼女は殴られている童子を助けるとハンカチを彼に差し出した。

だが無言でその手を振り払う童子、驚いた様な表情を浮かべる幽子と舌打ちを行う童子。

 

 

「オレに関わるな、目障りなんだよ」

 

「う、うん。ごめんね――」

 

 

シュンとした様に笑みを浮かべ後ずさる幽子。

童子は鼻を鳴らしてその場を離れる。だがそれで幽子が童子から離れる事は無かった。

翌日幽子に与えられた席は童子の隣、幽子は翌日の事があったのに変わらぬ笑顔を浮かべていたのを覚えている。

 

 

「よろしくね!」

 

「………」

 

 

無視。

しかし幽子は次の日もその次の日も童子にあいさつや関わりを求めた。

しかし童子は完全に幽子を無視、それで諦めてくれるかと思ったが――

 

 

「ねぇ、童子君。一緒に食べようよ」

 

 

食事の時は毎回誘われる。

 

 

「童子君って私とお家が近いね、一緒に帰ろうよ! あ、朝も良かったら……」

 

 

学校に行く事、帰ることも。

彼女はどれだけ自分が無視しようが変わらない笑みを浮かべて話しかけてくれた。

だがソレは当然自分だけに与えられる物ではない、彼女はクラスメイトにも同じ様に接している。

優しい性格なのだろう、それは童子にも理解できる事だ。しかしそれでも彼には自分が背負った十字架がある。

 

 

「私の能力って周りの運を上げる事なんだって……よく分からないよね」

 

「……だから、なんなんだよ」

 

「え?」

 

 

そしてある日、いつまでも引かない幽子に対して童子は限界を感じた。

だからつい声をあげてしまう、彼女は何も悪くないと知っているのに。

幽子も久しぶりに話してくれた同時に対して素直に喜んでいいか迷っていた。そしてすぐに童子は言葉を続ける。

 

 

「クソみたいな能力だろうと、無能力のオレよりはマシだって言いたいのか?」

 

「え……あ――! ご、ごめん! ち、違うの私そんなつもりじゃ――」

 

「じゃあなんだ? 能力がヘボいから同じだねって馴れ合うのか」

 

「………ッ」

 

 

涙を浮かべて首を振る幽子、少し童子の心が揺らいだがここで引くわけには行かなかった。

彼の心も加速していく、それは良からぬ方向へと。仕方ない事なんだ、だってこのまま幽子と関わってしまえば――

 

 

「オレに関わるなよ、もうほっといてくれッ!」

 

「ど、どうして……私はただ――童子君と友達になりたいだけなのに……」

 

「オレはなりたくないね、鬱陶しい!」

 

 

その言葉で幽子はうつむいて動かなくなる。

同時に彼女の瞳から零れる涙、幽子は必死にそれを悟られたくないと表情を隠すが無駄だった。

耐えようとすればする程に涙の量は増えていく。

 

 

「………ッ」

 

 

踵を返す童子、ここで突き放したままにしておけば良かったのだろう。

だが彼は余計な事をココでしてしまう。去り際、童子は幽子に声をかけると悲しげな笑みを向けた。

うつむいたままの彼女に童子はたった一言。

 

 

「悪いな、今までありがとよ」

 

「!」

 

「でも駄目なんだよ。お前の事は嫌いじゃないけど……無理なんだ」

 

 

そこからしばらく幽子とは距離を空ける童子、だがその日が来てしまった。

以前言っていた幽子の能力、それは子供心を刺激する物となる、確証の無い幽子の力は残酷な興味を湧き上がらせる。

その日、童子が学校から帰ろうと校門を出た時だ。時計を確認する為学校の方を見ると――

 

 

「アイツ……何やってんだよ――っ」

 

 

屋上に幽子が立っていた。

しかし問題は越えてはいけないフェンスを乗り越えているからだ。

どうして彼女がそんな行動を? 決まってる、童子はすぐに理解できた。それは彼女の意思じゃないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽子ちゃん、本当に幽子ちゃんって運がいいの?」

 

「う、うん……座敷童は幸運をもたらすって――」

 

「じゃあ、飛んでみてよ」

 

「え……」

 

 

幽子の周りを囲む妖怪達、彼らは歪な笑みを浮かべて幽子を見る。

彼らは幽子の幸運がどれだけなのかを試す事にしたのだ。そこに幽子の意思は関係ない、彼女が嫌だと首を振っても彼らは答えを変えなかった。

 

 

「あ、あぶないよ……」

 

「いいじゃん、大丈夫だって。運がいいんでしょ?」

 

「だけど――」

 

「飛べよッッ!!」

 

「!」

 

 

肩を震わせる幽子、下を見れば地面が遠い。

もう一度嫌だといってみる幽子、しかし他の妖怪達は彼女の言う事を聞こうとしない。

むしろ妖怪達は声を揃えて幽子に飛べとコールしていく。それでも嫌だと応える幽子、怖いと必死に訴えたが――

 

 

「いいから飛べって言ってんだろうが!!」

 

「きゃ!!」

 

 

その時だった、妖怪の一人が幽子を何と突き飛ばしたのだ!

バランスを崩してよろける幽子、もともとフェンスを越えていた為にもう彼女に立っていられる余裕は無かった。

 

 

「いや……ッ!」

 

 

体が宙に投げ出される。

フェンスを掴もうと手を伸ばした幽子だが無駄だった、もう体は完全に宙へ。

怖い、幽子は恐怖から声すら出せずに落下していく。

 

 

「幽子ッッ!!」

 

「!!」

 

 

だがその時、自分の体が何かに包まれて固定された。驚きで口を空けたまま固まる幽子、そして同じく妖怪達。

彼女はどこからか伸びてきた白い布に包まれて空中に止まっていた、布はクッションの様な形を形成して幽子をしっかりと支えている。

何だこれは? 一同がそう思うと布が収縮、幽子はそのまま再び屋上へと引き戻されていった。

 

 

「大丈夫か――ッ」

 

「!?」

 

 

布の名は霊毛襟巻き、閻魔大王がお守りの意を込めて彼に与えたもの。

そう、地獄童子へと。

 

 

「童子くん……!」

 

「怪我は……無いみたいだな」

 

 

駆けつけた童子は襟巻きを使って幽子を助けていた。

童子は彼女を安全な場所へ下ろすと、そのまま妖怪達を睨む。彼は言う、何をしたか分かっているのかと。

はじめて見せる童子の反抗態度に怯みと苛立ちを見せる妖怪達、その中の一人が童子に掴みかかって――

 

 

「うるさいんだよお前は! 何の力も無いくせにッッ!!」

 

「………」

 

 

その妖怪は地獄童子を殴りつけた。

 

 

「………!?」

 

「うるさい? お前も十分うるせぇよ――ッ!」

 

 

いつもなら避ける事無く受けていた拳、しかし今回は違った。

地獄童子は殴りつけてきた拳をしっかりと受け止めており、同時に力をかけていく。

それはギリギリと音を立てる様に、思わず殴った妖怪も苦痛の声をあげる。

 

 

「お前……なんで――ッ」

 

「お前らが幽子を急き立てたのか……」

 

「はぁ? 何を言って――」

 

「答えろよ、潰すぞ!」

 

 

ざわつき始める妖怪達、初めて見せる同時の反抗的な行動。

やはりそれが逆に火をつけさせたのか妖怪の数名が童子の周りを囲んだ。

それが限界だったのか、童子はなんと殴りかかってきた妖怪にカウンターの拳を打ち込む。

 

 

「が―――ッッ」

 

 

動きを止めて倒れる妖怪、さらに童子は長髪を振るった。

瞬間発射される無数の黒針、それらは妖怪達の服や靴に突き刺さって壁に貼り付けにしていく。

言葉を止め驚愕の表情を浮かべる一同、何の能力も持たないと思っていた童子が次々に不思議な力を使っていくのだから。

 

 

「幽子……もう帰ろう」

 

「童子くん――……ッ」

 

 

手を差し伸べる童子、それを見て安心したのか涙を零す幽子。

だが同時に声をあげる者が、それは童子が発動した髪の毛針が原因だ。

それを使うのは主に幽霊族だと知っている者がいた。そうすれば当然童子に掛けられるのは――

 

 

「お前……まさか――幽霊族なのか!?」

 

「!」

 

「………」

 

 

ざわつき始める妖怪達、幽霊族はまだ差別の色が強い種族だった事もありすぐに恐怖や異端だと蔑む声が聞こえてくる。

怖い、気持ち悪い、早く消えてくれ。そんな言葉の中で童子は幽子をつれて屋上から飛び降りた。

当然襟巻きをクッションとしたために怪我なく着地する。二人はそのままゆっくりと帰り道を歩いていた。

 

 

「童子くん……」

 

「地獄童子」

 

「え?」

 

「オレ、幽霊族なんだ――……」

 

 

気持ち悪いだろ? 地獄童子はその時はじめて幽子に弱さを見せた。

自らが異端と呼ばれる存在だからこそ拒絶や差別、迫害に恐怖すると。

だが幽子は首を振る。呆気にとられる童子、きっと幽子もまた畏怖や恐怖の表情を浮かべるのだと思っていた。

しかし違ったのだ、彼女はまたいつもの笑みを向けていた。

 

 

「そんな事無いよ。すごいね!」

 

「え?」

 

「だって、童子くんがいなかったら私きっと大怪我してたもん」

 

 

君が助けてくれたんだ、ありがとう。

そう言って笑う幽子、一瞬幽霊族の事が分かってないのではないかと思ったがそう言う事でも無いらしい。

どうして怖がらない? どうして恐怖しない? どうして異端と見なさない? そんな疑問を次々に童子は幽子にぶつけていく。

だが彼女は変わらない笑顔で言った。

 

 

「だって、童子くんは私を助けてくれたから。それだけだよ」

 

「ッ?」

 

「何も変わらないよ……むしろ話してくれて嬉しい!」

 

 

幽霊族は差別、迫害されると教えられていた同時からすればその言葉はなによりも意外なもの。

それと同時に幽子ならば自分を理解してくれるのだろうと言う安心感、暖かな感覚が童子の心に宿る。

その日はそのまま別れた二人、しかし心配な事もある。他の妖怪に自分の存在を知られてしまった。

翌日、不安が身を包みながらも童子は学校へ到着した。きっとより酷い迫害や差別が始まるのだとばかり思っていたが――

 

 

「ッ?」

 

 

何も無かった、まるで昨日のことが何も無かったかの様に。

後から聞けば事態を知った閻魔大王が七天夜の妖狐に頼んで昨日の妖怪達の記憶を改ざんしてくれたらしい。

おかげで童子が幽霊族だと言う事はクラスの誰にも知られる事はなかった様だ。

 

 

「おはよう、童子くん。昨日はありがとう」

 

 

ただ一人を除いて。

 

 

「幽子……」

 

「おはよう」

 

「………」

 

 

彼女なら大丈夫だと判断されたのだろうか、妖狐は彼女の記憶を消す事はなかった。

人と人との関わりを持って欲しいと言う閻魔大王の計らいなのだろうか?

幽子は変わらない笑みを浮かべて童子に挨拶を。

 

 

「―――よう」

 

「え?」

 

「おはよう、幽子」

 

「―――うん!!」

 

 

それが始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽子」

 

「うん?」

 

「ありがとう」

 

「……うん!」

 

 

顔を赤らめながら嬉しそうに笑いあう二人。

なんだい、なんだい、いちゃついて! 陽はうらやましそうに顔を反らす。

だがそんな彼に差し出される料理、陽が視線を移すとそこにはみぞれが。

 

 

「はい、あーん」

 

「え!? えぇ!?」

 

 

いきなりの行動に思わず後ずさる陽。

みぞれはそれが嫌がっているのかと勘違いしてしまった様で少し残念そうに笑みを浮かべる。

 

 

「悪い悪い、嫌だったかな? やっぱり」

 

「い、いやいや! 全然そんな事ないって! むしろ超嬉しいよぉ!」

 

 

じゃあよかった、そう笑ってみぞれは様にもう一度料理を差し出す。

気のせいか頬も少し赤い様な? とにかく陽は差し出された料理を食べさせてもらう事ができた。

味なんてよく分からない、その行為こそが至福――ッ!!

 

 

(うおおおおおおおおおおおおお! 生きててよかったねぇええええい!!)

 

 

なのだが――

 

 

「………」

 

 

よく耳を済ませると。

 

 

 

 

 

 

 

ゴリ――ッ! ガリッ! ボリ……ボリッ!

 

 

「………」

 

 

何も言葉は発さない、無言で陽はキンッキンに冷えている豆腐を噛み砕く。

好意を示してくれる彼女達の行動はとても嬉しい、なんだが……。

 

 

(料理……、冷たいなぁ)

 

 

雪女ゆえの宿命か、陽は複雑な表情を浮かべ湯気を立てる料理をおいしそうに食べさせてもらっている地獄童子を見つめるのだった。

そんなこんなで皆各々で食事を進めている、もちろんそれはライダー側の者達も。

 

 

「ほれでよぉ! ほこで俺がバーン! ズバババーンってキングホームに――」

 

「食いながら喋るな椿! お前は――ッ!」

 

「あはは、いいじゃないか咲夜さん」

 

「もう! 甘いわねクロハは! ちょ、ちょっと椿! 何か飛んでる!」

 

 

データの塊だったクロハ達も今はゼノン達の力で世界を超えてココにいる。

神也達も同じくだ、もちろん元の世界に戻った者も多い。カブト組みでいるのは神也と風島だけ、ホッパー二人は――

 

 

『強いヤツと戦えて満足だ、じゃあな』

 

『貴重な経験でした。また何かあったら呼んでください』

 

 

そう言ってサッサと帰ってしまった。

そしてもう一人、それは鏡治や双護にとっても意外な人物だったろう。

 

 

「なんで……貴方が――」

 

「ココにいる俺は所詮データ、本物は牢屋の中だ」

 

 

鏡治の前には創英が。

以前は敵同士だった訳だが、創英はメッセージを受け取り助けに駆けつけた。

鏡治や双護はそれがたまらなく嬉しかったが理由も知りたいと思う。思わず問いかけた鏡治、創英は目を閉じて二度頷いた。

 

 

「お前達は俺に勝った。そのお前達がこんなつまらない事で死ぬのは納得がいかない――」

 

 

それに――

 

 

「お前たちを見ていたら昔を思い出したよ。俺が、人の為に戦えたあの時を」

 

 

それを思い出させてもらえた、創英は鏡治たちに感謝の言葉を告げるとそのまま消えていった。

笑顔でそれを見送る鏡治と強い眼差しで見送る双護、自分達の戦いは無駄な事ではない。それをより強く感じられて嬉しかった。

そしてイクサやサガも王と言う立場からか元の世界に戻ってしまった。

しかしまた会えると言う事が分かった以上、悲しむ事は無い。

 

 

「じゃあ、またな」

 

「必ずまた会おう」

 

 

亘と里奈は笑顔でその言葉に頷くと、二人と別れたものだ。

通信組みもそれぞれ事情がありこちらには来られず、要はブレイド組みとカブト組み二人以外は元の世界に帰ったと言う事だ。

それぞれは勝利を喜び合う者、生きている事を喜び合う者、互いを称えあう者、様々に時間を過ごしていた。

見れば我夢とアキラにクラスメンバー達が言い寄ってくる、皆まだアキラが戻ってきてから間もない為にいろいろ気になる様だ。

まずはユウスケと薫がやってきた。

 

 

「いやぁ、本当に無事で良かったよ」

 

「心配をかけてごめんなさい」

 

「いいのよ、またバイクで勝負しましょうね」

 

「はい――!」

 

 

だけど、アキラは少し意地悪に笑ってみせる。

 

 

「勝つのは、私ですよ」

 

「あはは! そうじゃないとね」

 

 

同じく挑発的な笑みを見せる薫、さっぱりとした物だが二人ともアキラが無事で顔が綻んでいる。

ユウスケも薫も今回の戦いでいろいろと感じる物があったようだ、戦いの重さと責任。

 

 

「おれも守れたかな?」

 

「はい、ユウスケ先輩――!」

 

 

笑いかけるユウスケにアキラもまた笑顔で返した、そして二人同時にサムズアップをして別れる。

次にやってきたのは翼と葵、二人はユウスケ達と同様にアキラの無事を確かめた後に苦笑する。

 

 

「二人とも随分大きくなった気がするよ、下手をすれば僕も抜かれちゃうかな」

 

 

どうやら翼は暴走してしまった事に責任を感じているらしい。

葵や鏡治たちを傷つける寸での所までいってしまったのだから。

尤もあそこで自分がバーニングフォームに変わらなければ死んでいたのも事実、なかなか厳しいものだ。

 

 

「そんな! 先生がいてくれたから音笛を手に入れる事ができたんですから!」

 

「はは、そう言ってもらえると助かるよ」

 

「でも本当に良かった、アキラちゃん……」

 

 

そう言いながら葵はアキラを軽く抱きしめる。

少し照れくさそうに笑いつつもアキラは葵の肩に手を回した。

一度死んだ身と死ぬ寸前まで進んだアキラ、そんな複雑な感情を葵は抱いているのだろう。

自分とアキラを巡る確かな命の暖かさを感じて二人は微笑みあった。

 

 

「よおアキラ、我夢」

 

「コレめっちゃヤバイよ! 食べてみ! 鬼やばい!」

 

 

翼たちと別れたあとにすぐ真志と美歩がやってくる。

落ち着いた雰囲気の真志と手にカニを持ってアキラに勧める美歩、そのギャップについアキラは吹き出してしまう。

ポカンと口を開けたまま停止する美歩に真志と我夢も笑みを浮かべた。

 

 

「あ、アキラ……さ」

 

「?」

 

 

だがそこで美歩はシュンと元気の無い様子になる。

どうしたのだろうか? 彼女は少し不安そうに、どこか恥ずかしそうに口をもにょもにょと動かしていた。

最初は聞き取れなかったが、彼女はもう一度アキラに聞こえる様にハッキリと言った。

 

 

「メールに書いてあった事って……本当?」

 

 

アキラが美歩に送ったメール、そこには美歩といる時が楽しいと書いてあった。

彼女にとってそれがどれだけ嬉しかった事なのか、それは彼女が抱いていた不安が関係している。

 

 

「じ、実はさ……ちょっと不安だったんだ――」

 

「え?」

 

「アキラはさ、ほら……何ていうか雰囲気が上品じゃん!」

 

 

それは言葉遣いにしても、美しい黒髪にしても、立ち振る舞い一つにしてもだ。咲夜に憧れていると言うだけはある。

そう、咲夜に憧れている。それが美歩の心に少しの不安をもたらしていた。

 

 

「アタシさ……自分で言うのもアレだけど咲夜とは間逆っていうか――」

 

 

髪は明るい茶色、服装は乱れ、生活も乱れきっている。

だから美歩は少し不安だった、咲夜と違いすぎる自分は果たしてアキラからちゃんと先輩として慕われているのだろうかと。

 

 

「だ、だけどメールすげぇ嬉しかったよ……! あの、ありがとう!」

 

「私にとっては美歩さんも憧れる先輩ですよ。ありがとうございます」

 

 

そう笑って抱きしめあう二人、真志もまたアキラに笑みを投げかける。

 

 

「アキラ、何かあったら何でも言えよ。必ず助けてやるから」

 

「はい!」

 

 

命の輝きを守る為に。

その輝きを失わない様に戦い続ける、その力が龍騎なのだと。

 

 

「でも、あのメールは勘弁な」

 

「あはは……ごめんなさい」

 

 

その言葉に疑問を浮かべる美歩、どんなメールなのかと真志に聞くが彼はうやむやにして去っていってしまった。

そしてやって来るのは拓真と友里、やはり確認しにくるのはアキラ達の様子だ。

 

 

「無事でよかったよアキラちゃん! ね? 拓真!」

 

「うん……本当に」

 

 

お礼を言うアキラ、友里もアキラに抱きついて頬ずりである。

しかし若干拓真の様子がおかしい様な気が、気になって聞いてみるアキラ。

しかし拓真はなんでもないから心配しないでと笑みで返した。

 

 

「………」

 

 

拓真は思い出す。

アキラからのメールには自分が優しいと表記されていた、だが同時にゼノンの言葉がフラッシュバックする。

優しすぎるか――……それは、優しさ? 弱さ?

 

ある程度じゃれ合った後に友里は満足したのか、アキラから離れる。

その後やってきたのは双護、鏡治、真由だ。

 

 

「アキラちゃん! アキラちゃんが危なくなったら俺がすぐに駆けつけるからよッ! ああ、そうさ! 任せてくれ!!」

 

「うん…! ボクも助ける……!」

 

 

二人の熱い視線に汗を浮かべて答えるアキラ、双護は両手で二人を落ち着けると静かに微笑む。

 

 

「アキラ」

 

「はい?」

 

「家族の為にも……死ぬなよ」

 

「!」

 

「お前の帰りを待っているヤツが絶対にいるんだ」

 

 

その言葉をあえて言う。それでも双護はその言葉を伝えたかった。

アキラがどう思うかは分からないが絶対に伝えなければ後悔すると思って。

アキラもそれを分かってくれたのかコクリと頷いた、双護の真剣な表情を読み取ってくれたのだろう。

だがすぐに双護も緩んだ笑みを浮かべて二人を引きずって行った。入れ替わるようにして現れたのはハナと良太郎だ。

 

 

「アキラちゃん!」

 

「ハナさん!」

 

 

二人はすぐに小声でささやきあう。

どうやら何か二人だけの秘密の会話と言うものがあるらしい、良太郎はそれを温かい目で見守っている。

どうやらハナとアキラは以前夜の屋上で話した事を話題にしているらしい。

 

 

「ど、どうだった……?」

 

「はい、あの――……我夢君とお付き合いする事に」

 

「本当!?」

 

 

ハナは二度三度頷いてアキラから離れる。

しかし今度はアキラからハナに近づいていく。彼女は耳元で囁く、自分は自分の気持ちと向き合い答えを出した。

その言葉を聞いて複雑そうな表情を浮かべるハナ、何か彼女も感じる物があったのだろう。ハナはアキラにお礼を言って下がっていく。

 

 

「もういいの?」

 

「う、うん……」

 

 

とにかく無事で良かった。

そう笑う良太郎と彼を見つめるハナ、どうやら彼女も彼女で答えを探す事になりそうだ。

ハナとアキラは目で合図しあうとそのまま別れて行く、次にやってきたのは椿と咲夜だ。

 

 

「よぉ、アキラ……」

 

「あ、椿先輩――」

 

「助かったぜ、ありがとうな」

 

「え?」

 

 

どうしていきなりお礼を?

疑問に思うアキラ、むしろお礼を言うのはコチラのほうなのに。

しかし椿は気にしなくていいと笑って首を振った、どうやら彼にはアキラに礼を言う理由があったようだ。

尤も、その理由を彼が言う事は無いが。

 

 

「アキラ……」

 

「咲夜先輩――ッ」

 

 

咲夜に抱きしめられるアキラ、そして優しい笑みを向けられる。

それはアキラとて始めて見る咲夜の表情かもしれない、心配と安堵、愛が混ざった様な。

咲夜はアキラの肩に手を置いたまま改めて彼女を見る。無事な姿を見て咲夜は少し声を抑えて言葉を放った。

 

 

「必ず……助けると自らに誓った――」

 

「え?」

 

「でも……最悪のイメージを思い浮かべてしまった事もあった――」

 

 

目を見開く椿と我夢、なぜならば咲夜の目から涙が零れたからだ。

いつも凛とした表情を浮かべている彼女が、今は眉毛を八の字に下ろしている。

それはアキラはおろか我夢や椿ですら珍しく感じるもの。

 

 

「君が死んでしまうんじゃないかと……思ってしまった時もあった――っ」

 

 

ボロボロと咲夜の目から涙が。

 

 

「とにかく……無事で本当に良かったよ――っ」

 

「咲夜先輩……!」

 

 

アキラもまた咲夜を強く抱きしめる。

しかし今は宴会中だ、しんみりした空気にしてはいけない。

椿は咲夜を引き剥がすと奥の方へ退場していく、それを見ながら近づくのは司と夏美。

 

 

「アキラちゃん!」

 

「夏美先輩!」

 

 

無事を確かめあう両者の横で司は我夢に話しかける。

 

 

「お前のおかげで響鬼のカードが覚醒できた。感謝するぜ」

 

「いえっ! 僕は無我夢中で――」

 

「ふぅん、無"我夢"中ね。案外名を現す言葉かもな。でも現にお前は響鬼に変身できた、それは事実だぜ」

 

 

それにコンプリートカードを受け止められたのも我夢の強い思いがあったからだと司は言う。

ユウスケ、翼、真志、拓真、椿、双護、良太郎、亘、司の力を我夢に収束させたのだから。

その9人の力を一つに纏め上げたのは彼の力だろう。

 

 

「これで……全ての試練が終わったんですね――」

 

「恐らくな」

 

 

その先に何があるのか、何が待っているのか、何が――それは分からない。

しかし全ての試練が終わった事は少なからず元の世界に戻る、または救う手立てになる筈だ。

そうすればもしかしたら元の世界に帰る事ができるかもしれない、司は夏美を呼ぶと手を振って戻っていった。

 

 

「アキラちゃん!」

 

「里奈!」

 

 

最後に亘と里奈が。

手を取り合って笑いあう二人、そして亘と我夢はしばらく沈黙していたが急にニヤリと笑みを。

亘と我夢は同時に手を叩き合わせる!

 

 

「「うっしゃあッ!!」」

 

 

それは勝利を喜び合う中学生らしい行動。

自分達は戦いに勝利した、世界をアキラを守る事ができたんだ。

それを達成できた事が嬉しくて二人は笑いあう。何もないと、何もできずに終わる人生に焦りを感じて。

でも普段どおりがいいと確信、そして今この状態である。何が起こるか分からない、だが一つだけ分かる事があるならば自分達はやったと言う事だ。

それから皆はそれぞれの時間を過ごした。中には人目をはばからず愛を確かめ合う者も。

 

 

「やっぱり君はさいっこうだよフルーラ」

 

「ええ、貴方もよゼノン!」

 

 

二人は抱き合いながら笑みを浮かべている。

そのスキンシップに興味を示す助手とシェリー、そう言えばとゼノンは彼女達の隣にいる博士とクロークを見る。

一応彼らと司は軽い自己紹介を済ませたが、詳しい事は全くと言っていい程話していない。

フォーゼとウィザード、共にゼノンですら把握しきれていなかったライダーだ。

 

 

「まあ詳しい紹介は後でいいか」

 

「………」

 

 

適当に切り上げて再びベタベタと二人だけの世界を構成するゼノン達。

博士はそんな彼等を見て含みのある笑みを浮かべる。世界を超えてみたが、やはりその先にある景色は絶景そのものだ。

なるほど、コレは止められないかもしれない。

 

 

「おいしいお酒ですね」

 

「ああ、日本酒って物らしいね。僕らの世界じゃ一部の地域しか作られていないけど、この世界じゃ一般的なものらしい」

 

 

クロークとシェリーは二人ともお酒を楽しめる年齢のようだ。

そうしていると二人の前にやってくる者が。

 

 

「ああ、君は確か」

 

「天王路双護です。ほら、真由」

 

 

双護の後ろでは、彼に隠れる様にしてモジモジしている真由が。

なんだかソワソワしている様で、少し頬を赤らめて期待が表情には強く浮かんでいた。

 

 

「クロー…ク…さん。魔法が…使えるの?」

 

 

自己紹介時、彼は自分を魔法使いと称した。

真由としてはそれが引っかかっている様だ。魔女っ娘だの魔法少女だののアニメを真由は楽しそうに見ていたもの。

つまり彼女は魔法が存在している事にテンションが上がっているのである。

クロークも彼女の様子から何となくだがソレを読み取った。

 

 

「うん、そうだよ。君は魔法が好きなのかな?」

 

「う、うん……ボク、魔法…みたい」

 

 

真由はニンマリと笑みを浮かべて期待の眼差しでクロークを見る。

両手の拳を軽く握り締め、ピョンピョンと身体を上下に動かす彼女。

 

 

「お願い…しま…す。見せて…!」

 

「ほうほう是非ボクも見たいな。お願いしてもいいか? ミスタークローク」

 

 

ニヤリと笑って身を乗り出す博士。

隣にいる助手は料理を貪り食っているので興味が無い様だが、博士にとっては大変興味深いところである。

彼の世界は科学が全てと言われ、魔法があると言えば子供にも馬鹿にされると言ってもいい。

しかし彼は魔法が使えるという。コレが世界の可能性、それを是非この目で見たいと。

 

 

「妹の我がままだ。クロークさん、無理なら無理と――」

 

「ああ、いや、まあ大丈夫だよ。ちょっと待ってくれ」

 

 

指輪を探るクローク。

なんだか緊張するな、彼はそう笑いながら一つの指輪をはめる。

そしてベルトにあった黒い手形、ハンドオーサーに指輪をかざそうと――……。

 

 

(待てよ、ここは呪文も入れたほうが雰囲気でるのかな?)

 

 

見たところ魔法には縁の無い世界の人たちだ。

雰囲気があった方が盛り上がるのかもしれない。サービスと言うヤツだろう、よし! 彼は笑みを浮かべて咳払いを一つ。

 

 

「行くよ真由、結弦。よく見ておいてくれ」

 

「うん…!」

 

「ほう!」

 

 

クロークは適当に手を振るってみせる。

おお、と司達も興味が湧いて視線を彼に。

 

呪文はどうする?

まあ、ありがちなアレでいいか。クロークは笑顔を浮かべながら魔法を発動した!

 

 

「ちちんぷいぷぃぇア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!」『エキサイト・プリーズ』

 

「「―――」」

 

 

ボン! クロークの上着が消し飛んで、中からムッキムキのバッキバキの肉体が晒される。

野太い声になってポーズを決めるクローク! どう? すごくね? 彼はドヤ顔で真由と博士を見るが――

あれ? なんか二人とも白くなって固まっている様な。ポーズがいけなかったか? クロークはすぐにマッスルポーズを変更してその壮大な肉体を――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法って……なんだっけ?」

 

 

同じく白目になっている司の声が虚しく響く。

クロークの隣では顔を両手で覆い隠してガックリと俯いているシェリーが。

 

 

(なんで、よりによってその魔法を……)

 

 

後で色々な人に謝ろう。

シェリーは静かに心の中でそう誓うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君達、お風呂にでも入ってきなよ」

 

「何だ、突然」

 

 

確かに当然すぎる提案。

しかしゼノンとフルーラはマイペースに語ってみせる、ここのお風呂は素晴らしいのだと!

顔を見合わせる一同、確かに興味はあったが。

 

 

「じゃあ後で皆で入る?」

 

 

美歩の何気ない一言。

これが、あんな悲劇を巻き起こすなんて誰が想像できただろうか。

 

 

それから少し時間も経ち、辺りは暗くなり夜と変わる。

宴会は大人たちのターンとなり、司達はゼノンが言った通り風呂に入ろうかと話題を変えた。

せっかくなのだから皆でと盛り上がる美歩達、今日は貸切だ。タオルを巻いてもいいと言われたので恥ずかしさも少ない。

そのせいもあってか寝子やみぞれ達も一緒にと言う事になった。

 

 

「助手さんやシェリーさんもどうですか?」

 

「わ、私ですか?」

 

「ッ!」

 

 

夏美が声をかけた二人は驚いた表情を浮かべる。

誘ってもらえるとは思っていなかったのだろう。しかし何か思う所があるのか助手は博士を、シェリーはクロークを同時に見つめていた。

 

 

「はかせぇ」

 

「あ? なんだ? 別に入ってくればいい」

 

「で、でも――……」

 

「……ああ。何も問題はない、長時間でもな」

 

「は、はい! じゃあ!!」

 

 

パッと明るい表情を浮かべる助手、彼女は強く頷くと夏美の手をとって同意の意を示す。

次はシェリーだ、彼女はメイドと言う立場があるのか自身の行動をクロークに決めてもらう方針を取っているらしい。

尤もクロークはその制度に疑問を持っている為、シェリーの好きなようにさせるのだが。

 

 

「みんなの前で肌を出すのは恥ずかしいかい?」

 

「いえ! そんな事は――」

 

「じゃあ、ご一緒させてもらいなよ」

 

「はい。ありがとうございますクローク様!」

 

 

シェリーも嬉しそうに夏美に同意を示した。

実は彼女も大きなお風呂には興味があったとか。その後博士とクロークも司に誘われて一同は大浴場に向かう事にした。

ちなみに――

 

 

「ねえねえ翼くん、これおいしいよ! 飲んでみない?」

 

「へぇー、じゃあちょっともらおうかな」

 

「あ! え!? それ――ッッ!!」

 

 

麓子が思わず止めに入るがもう遅い、翼は葵からグラスを受け取ると中に入っている液体を一口飲んだ。

そう、たった一口だ。いやむしろ少し口に含んだ程度なのに――

 

 

「――――」

 

「つ、翼さああああああああああああああんッッッ!!」

 

「あれ~?」

 

 

翼は真っ赤になるとその場に倒れて動かなくなる。

不思議そうに首をかしげる葵と駆け寄る麓子、それもそうだと彼女は言う。

なぜならば葵が現在飲んでいる酒は通称『鬼殺し』と呼ばれる名酒――と言えば聞こえはいいか?

その酒は名前の通り鬼をも殺す程の強さであると言う事、本来妖怪が飲むものであって人間が飲むものじゃない。

現に翼は倒れてしまっているではないか、しかし上機嫌にグビグビと進む葵を見て麓子は冷や汗をかくのだった。

 

 

 

と、まあこんな事もあり保護者たる保護者がいない状況。

それでも司達はただ風呂に入るだけだと自分達で行く事に。

多くの妖怪達は皆帰ったくらいの時間、司達は知り合いに声をかけて大浴場へと向かう。

 

 

「あれ? ゼノン達は?」

 

「なんか用事があるって帰っていきました」

 

 

男湯と女湯の前、彼らの姿が見えないから気になってみればコレだ。

我夢としては改めて礼を言いたかったものの、彼らのきまぐれな性格を考えてもうそれ以上は考える事はしなかった。

一同はそれぞれ男湯と女湯に別れていくのだが――

 

 

「おい」

 

「あん?」

 

 

咲夜に声をかけられて振り返る椿、そこには腕を組んでいる彼女が。

 

 

「何? コッチがいいの?」

 

「死ね」

 

 

待て蹴るな! これから湯につかるんだから! 椿が必死にそう請うと彼女は鼻を鳴らして踵を変えす。

そしてたった一言。

 

 

「覗くなよ」

 

「ブッ! そんな事する訳ねぇだろうが!!」

 

 

そう言って別れていく男女。

 

 

「………」

 

 

ニヤリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タイガさん!」

 

「おや、相原様」

 

 

脱衣所にやってきた男性陣。

やはりいくつになっても童心を忘れない性格なのか司や真志、ユウスケ達はすぐにはしゃぎながら露天風呂に向かって行った。

対してゆっくりと着替えている鬼太郎や我夢、その中で我夢は同じく着替えているタイガに話しかけた。

 

 

「これ、約束の――」

 

「なるほど、確かに間違いありませんね」

 

 

ディエンド達が仲間になったのはゼノンの狙いでもあった。

しかしそもそもディエンド達が妖怪城に、司達に興味を示した根本的な原因はタイガにあると言ってもいい。

彼がアマミと言うお宝の情報を流したからこそディエンド達は妖怪城にやってきたのだから。

 

 

「僕達だけじゃ勝てませんでした……本当に感謝してます」

 

「いえ、いいんですよ。こちらも助かりましたから」

 

 

タイガが何故ディエンドに情報を流したのか、それは我夢が頼んだからに他ならない。

彼はあくまでも雹から我夢達を助けはしたが、そこからはノータッチで行く方針だった。

たしかに幽子達の事は気になったがあくまでも気になっただけ、マリンを待たせているからと彼はもう切り上げて帰ったのを覚えているだろうか?

しかし一応世界を移動しあう者同士として我夢とタイガは連絡先を交換してはいた。

その後アキラを救う事を決めた我夢、妖怪横丁で作戦を立てていた彼はふとタイガに連絡をとっていたのだ。

 

事情を全て聞くタイガ、彼は会話の最後に質問を一つ。

それは簡単なもの、我夢の仲間の中に友里と呼ばれる少女、もしくは拓真と呼ばれる少年がいるのかどうかだ。

いきなり出てきた仲間の名前に少し怯みながらも二人が確かに自分の仲間だといってみる我夢、するとタイガは協力してもいいと言ってくれた。

ある一つの交換条件を元に。

 

 

「ええ、間違いありません。確かに受け取りました」

 

 

タイガは我夢からソレを受け取る。

ソレとは我夢がアキラにプレゼントしたブレスレット、元々は友里達が射的でゲットした景品である。

タイガはたまたま射的の場に居合わせていたのだ。そしてそのブレスレットが欲しかったと言う、しかし結果は拓真達に先を越される終わりに。

 

 

「あの時は嫉妬したものです。このブレスレットはお嬢様によく似合う事でしょう」

 

「結構高級感ありますよね」

 

「ええ、しかしすいません。彼女へのプレゼントだったんでしょう?」

 

 

首を振る我夢、アキラにも事情を話して承諾してもらった。

それに彼女とてタイガ達の助け無しでは勝利が無かった事を理解している、これくらいのお礼ならばと笑顔で許してくれた。

 

 

「では行きましょうか。どうやら話している間に私達だけになってしまった様です」

 

 

タイガが言う通り脱衣所にはもう二人しかいない。

大浴場からははしゃぎ回る声が聞こえてくる、そんな様子に二人は静かに笑みを浮かべるのだった。

だがふと立ち止まる我夢、どうしたのか? タイガは不思議そうに視線を送る。

 

 

「ちょっと……嫌な予感が――」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

「うひょー! すごーい!!」

 

 

女湯、友里はパタパタと動き回り辺りを見回す。

露天風呂が有名であるが、中にある浴場も種類が豊富で始めて見るものもあった。

温泉なんて久しぶりだ、思わず友里のテンションも加速していく。友里は少し遅れて来た為にもう入っている者も。

 

 

「うーん! やっぱ広いお風呂は気持ちいいね」

 

「本当、本当!」

 

 

みぞれ姉妹はわいわいと盛り上がっている。

それに反応する友里、彼女はニヤリと笑みを浮かべる。

今日は貸しきりと言う事でココは一つ驚かせようと飛び込んでみる事にした。

 

 

「とうッ!!」

 

「わ!!」

 

 

ダバーンと飛沫が上がる。

笑いながら顔を上げる友里、みぞれ達も友里の様子に笑ってくれた。

なのだが――

 

 

「友里、ココ水風呂だぜ」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひょえああああああああああああああああああああああ!!!

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

男子側の露天風呂、向こう側から聞こえてきたのは友里の悲鳴である。

何だ? 敵か!? 一部の者は構えるが――

 

 

「いや、気にしなくてもいいと思う」

 

「あ、そう……」

 

 

拓真が静止して一同は何事も無かったかのように戻った。

他の女性陣達の声が聞こえない所を考えると、どうせ足でも滑らせて水風呂に落ちたのだろうと拓真は言う。

多少の誤りはあれど結果正解であるその説明、皆は納得して再び息をついた。

 

 

「しかし話には聞いてたけどすごい広いなココ」

 

 

ユウスケは辺りを見回す。

一番遠くにいる双護が小さく見える程だ、しかも彼は泳いでいる始末。

いや! 泳いでるなんてレベルじゃねぇ! 何故か他の妖怪数名とシンクロを決めているじゃないか! マジでアイツ何者なんだよ!?

 

 

「はい、混浴の時はもっと広かったんですけどね」

 

「へぇ。……ん?」

 

 

混浴? ユウスケは不思議そうに我夢にその言葉を聞いてみる。

 

 

「って! い、言う……話を――その、き、聞いたんですよ!!」

 

「ふぅん、そうなんだ」

 

 

流石にアキラと一緒に入った事までは言っていない我夢。

どういう原理かは知らないが今は男湯と女湯を隔てる壁があった、今は椿がよじ登ろうとしている所だ。

しかしそれでも温泉は大きい、掃除とかいったい何人がかりでするのだろう? そんな疑問が浮かぶ程だ。

そして少し離れた所、そこには――

 

 

「くっ……何も見えん!」

 

「め、メガネを取ればいいんじゃないかなぁ?」

 

 

曇りきったメガネを取ろうとせずに辺りを見回すディス、リラの忠告を受けてやっと美しい景色を見る事ができた様だ。

結局コイツも馬鹿である。そんな中でタイガは隣にいる海東に視線を向けた、自分はともかく彼は結局お宝を得る事は無かった。

今回は無駄足だったか? タイガはそんな事を言ってみる。

 

 

「ふふ――!」

 

「?」

 

 

海東は不満そうな表情を浮かべる事は無い。

代わりに浮かべたのは笑み、それはつまり彼がこの世界で何かを得たと言う事に他ならなかった。

しかし少なくとも妖怪城で何かを盗った形跡は無い。ならばどこで? ディスが聞くと海東はニヤリと自慢の表情を浮かべた。

 

 

「邪神くんが落としてくれたよ」

 

「えぇ! 邪神が!?」

 

 

驚くリラ、まさか邪神から盗んでいたなんて。

いつのまに――

 

 

「何を盗ったんだよ。あんなのから」

 

「刀さ。僕もあの図体に刀を隠しているとは思わなかったけど、確かに邪神が爆発した瞬間に空中に舞っていた」

 

 

となれば体内にあったと思うのが当然だろう。

 

 

「とにかく報酬としては十分な物が手に入ったし、僕は満足だよ」

 

「それならばいいんですが……」

 

 

どうやら海東は納得していた様だ。

そしてまた離れた所では気になる二人と司が――

 

 

「世界移動を繰り返して旅をしているなんて凄い話だな」

 

「そういう君だって他世界から来たんだろ?」

 

 

どこからどう見ても亘くらい、もしくはそれよりも下、ゼノンくらいの年齢に思える博士。

しかし実際は助手の上に立つ人物、かつフォーゼドライバーの開発に加え変身を行う程の人物。

態度も完全に子供のものとは思えない、そもそもドライバーを開発する時点で天才と呼べるのではないだろうか。

 

 

「どうして君はこの世界に?」

 

「たまたまだ。世界移動の実験をしていたらココに来た」

 

「か、帰れるのか? それに自力で世界移動って――!」

 

「それも、たまたまさ」

 

 

ゼノンが彼らの世界に帰れる様手配してくれたみたいだ、尤も博士はこれからも実験を続けていくらしいが。

そこで気になるのは何故彼が他世界に興味を持っているのかと言う事、たしかに研究者視点で面白いテーマではあるのだろうが危険も多い筈だ。

それでも続ける理由があるのだろうか?

 

 

「一番の理由は探しているヤツがいてな。僕はソイツが他世界に逃げたんだと確信している」

 

 

苦い表情で博士は呟く。

どうやら彼には彼の事情があるらしい。

司としても博士には助けられた身だ、できれば協力したいと申し出た。

 

 

「助かるぜ。だが気持ちだけ受け取っておこう、悪いがこの問題は個人で決着をつけたいんでな」

 

「そ、そうか」

 

 

ならば仕方ない、司は次にクロークに話しかけた。

ウィザードの電子音が無ければ邪神の方向を防ぐ事はできなかったろう。

ある意味一番の助っ人だったのかもしれない。しかし疑問もあった、少なくとも自分達はクロークと関わりを持った事は無かった筈だ。

他世界の住人であるクロークとどこかで知り合えた機会も無い。なのに何故彼らは自分達に協力してくれたのだろうか?

 

 

「実は事情をある人から聞いてね。多分君達も会う事になる人に」

 

「?」

 

「ごめん、あまり詳しくは話せないんだ。それに僕も詳しくは知らない」

 

 

しかし恐らくこれからも助けられる時は助けに来ると告げるクローク。

司は感謝の言葉を述べると少し食い込んだ質問をしてみる。博士と助手はたまたまこの世界に来た、普段は普通に生活している。

しかしクロークは意図的にこの世界へ。邪神の事を告げた人物はまだよく分からないが、そうなってくると――

 

 

「もしかして貴方も世界移動を繰り返すライダーですか?」

 

「いや、違う。そもそも僕は仮面ライダーと言う単語を今回始めて知ったからね……ごめん」

 

「ああ、いや――」

 

 

ベルトを使い変身するライダー、そういわれると自分も似たような存在なのだと自覚できる。

尤もウィザードは魔法使いだと昔から認識していたクロークにとっては、まだ仮面ライダーなどピンと来ない存在ではある。

正義の為に戦う特撮ヒーローと言われれば司達は通用するのかもしれないが、クロークの世界には特撮ヒーローと言うジャンルは無い。

正直クローク自身もまだ他世界に慣れない状況であった。

 

 

「しかし魔法にメイドとは随分現実離れした世界だな」

 

「ハハ、僕には君達の世界がそう感じるものだけど」

 

 

クロークは今までの生活が当たり前だと感じていた。

だが司や博士にとっては巨大な屋敷でメイドと二人暮らしなんて絶対に無いシチュエーションである。

尤もソレはクローク自身が感じている部分もある様だが。

 

 

「まあ世界は広いからな」

 

 

それが結論である。

クロークも博士もその通りだと納得して終わった。

頷く司、しかしまあ――

 

 

「さっきから何やってる」

 

「う゛ッ!」

 

 

ライドブッカーガンを向けた先には守輪椿。

誰しもが華麗にスルーしていたが彼は先ほどから女湯と男湯を隔てる壁に張り付いていた。

何かよからぬ事をしようとしているのではないか? なんて質問をする事すら愚かに思える程、彼は迷い無くよからぬ事をしようと思っている。

 

 

「何だ何だ?」

 

「おう、どうした」

 

 

散らばっていた男性陣も興味を持ったのか椿の元に集まっていく。

彼は先ほどから何をしようとしていたのか、正直分かりきっている事ではあるが司は問いかける。

温泉、そして露天風呂、かつ壁の向こうにいる女性陣。もう確定みたいなものであるが――

 

 

「これっ、もうちょい近づけば向こうの声が聞こえて来るんだよ」

 

「ッ?」

 

 

椿は指で司を招く様な仕草を取る。

戸惑いながらも少しだけ彼に従う事に。近づいた司が耳を澄ませると――、なるほど確かにはしゃぐ女性陣の声が聞こえてくるではないか。

所詮は薄い板で仕切っただけの事はある。ましてアキラの様に普通のテンションで話す声も頑張れば聞こえそうだ。

 

 

「と言う訳でだ。俺はあいつ等がどんな会話をしているのかが気になる訳なのよ」

 

「どんな会話って………」

 

 

そこで首を振る椿、今の時代温泉イベントなんて珍しくない代物だと彼は言う。

と言うよりももはや鉄板、お約束、流れは完全に出来上がっているのだと。

妙に自信に満ちた椿に息を呑む一同、女性陣が何の会話をしているのかなど考えるまでも無いと彼は言った。

 

 

「あいつらは今回はじめて集団で入浴した筈だ」

 

「まあ確かに。いつもの風呂は個別だからな」

 

「そう、ならば考えられる話はほぼ一つ――」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふひょぉー! 気持ちいいー!!」

 

「うひゃひゃ! 水風呂に突っ込んだ友里さんじゃないっすか!」

 

 

ニヤニヤと笑う美歩、隣では先ほど酷い目にあった友里が。

女性陣は皆大体集まっており里奈も周りの助けを借りてみんなと一緒にいた。

普段髪を結んでいる友里や薫も今は解いた姿を見せている、なかなか新鮮なものだと美歩達は笑ってみせた。

 

 

「本当に広くて気持ちいいですよね、最高です!」

 

「ふふ、気に入ってもらえてよかった」

 

 

夏美の言葉に寝子と幽子も満足そうに笑っていた。

しかしアイドルと一緒に温泉なんてこの世界の人が聞いたら死ぬほどうらやましい事なのだろう。

二人とも見れば見るほど引き込まれる美しさだ。

 

 

「でも幽子は地獄童子と付き合ってるんっしょ? やっぱファンとかには隠れて?」

 

 

美歩は興味津々と言ったばかりに笑みを浮かべる。

やはりそこは他のメンバーも気になるのか無言で幽子の返事を待った。

美歩だけでなくやはり他のメンバーもそう言う話には少なからず興味があると言うもの。

しかし意外にも幽子は淡々と当たり前の様に首を振って――

 

 

「ううん、皆知ってるよ」

 

「うえっ!? マジで?」

 

 

どうやらこの世界でのアイドルは自分達の世界のソレとは違うらしい。

幽子は何の問題も無く仕事を続けている様だ。加速する興味、美歩の率先もあってか話は次第に恋愛方面へ。

 

 

「幽子と地獄童子は幼馴染なんだって?」

 

「うん、私と童子と鬼太郎くんはね」

 

 

前総大将である閻魔大王は幽霊族の生き残りが鬼太郎だけでない事を把握していた。

鬼太郎とは違い両親が二人とも亡くなっていた彼は、結果として閻魔大王自らが育てる事となる。

人間側の総大将(リーダー)だった一刻堂もそれを承認、幽霊族というデリケートな問題の為しばらく童子は身分を隠す様にして強いられてきた。

しかし二人だけの生き残りと言う事もあって、鬼太郎と地獄童子は共に近い位置に住む事に。

その時たまたまその地域にいたのが幽子だったのだ。

 

 

「でも鬼太郎君はしばらくその地域を離れてて、だから一番最初に知り合ったのが童子って事なの」

 

 

最初は妖怪だけの学校で知り合った二人。

それからしばらく経ったある日、鬼太郎とも知り合いになり以後は三人で行動していた。

鬼太郎と地獄童子は自らが幽霊族であると言う事を互いに理解し、そして相対の答えを示したのだ。

様々な事があったのだろう、巡り巡って三人は寝子の学校へ転校したと言う事。

 

 

「寝子ちゃんは鬼太郎くんとどうなの?」

 

「え!? あ……そ、それは――」

 

 

どうやらコレといった進展は無かった様で寝子は少し複雑に笑ってみせる。

残念な様な関係が悪くならなかっただけ良かった様な、またこれが複雑な所である。

もともと恋愛面に関して鬼太郎は考え方がよく分からない。地獄童子が聞いてもうやむやな返事だけである。

 

 

「でも今回は男の子達皆頑張ってたからね、かっこよかったよ」

 

 

友里の言葉に照れながらも同意する一同。

ここで少し気になる事が、それは自分達の近くにいる朱雀達やシェリー達。

まず美歩は助手に目をつけた、温泉が気持ちいいのか真由と一緒に歌を歌っている。

 

彼女と一緒にいる博士はどうみても彼女よりはるかに年下。

身長差も凄まじい、だが愛に年齢は関係ないという。

早速美歩は助手に博士をどう思っているのかをリサーチする事に。

 

 

「んー、博士は怒りんぼなんですわぁ」

 

「男としてはどう?」

 

「どうだろうかなー? まあ博士は私の事をいやらしい目で見ているから~! ま、どうしても付き合ってって言われたら付き合っちゃってもいいかなぁって感じです! ぶははははは!!」

 

 

愉快に笑う助手。あ、一生ねぇな。そんな事を友里は察する。

次んい美歩目に付けたのはシェリーだ。メイドと主人なんて萌えるシチュエーションじゃないかと美歩のテンションも上がる。

シェリーはそれを聞くと少しだけ顔を赤らめたがすぐに首をふって咳払いを一つ。

 

 

「私はクローク様に対してそう言う思いを持ってはいけないと思っていますので」

 

「えー? なんで?」

 

「そ、それがメイドとご主人様との決まりなんです。恐れ多い恐れ多い……」

 

 

なんだかよく分からないが彼女は彼女なりに何かを決めているのだろう。

朱雀、マリン、巳麗もまたコチラの会話を聞いていたみたいで笑みを浮かべている。

向こうはどうなっているのか、美歩は早速突撃――! ってなもんだ。

 

 

「ちゅうかさ、ソッチってどうなってんの?」

 

「あ? どういう意味だよ」

 

「男女間の関係に決まってるっしょ? 女3で男4でしょ?」

 

 

その言葉にため息をつく巳麗。

どうやら中々難しい問題がある様で朱雀、マリン、巳麗、彼女達は口を揃えて――

 

 

「「「まず海東(アイツ)だけはない」」」

 

「――――」

 

 

かわいそうに、さよなら海東。

リーダーとしては認識されている様だが男としては全く視覚外らしい。

巳麗なんてアイツはお宝に欲情している変態だと皆に言って回るほどである。

美歩はまずマリンに各男性の感想を聞いてみる事に。恐らく一番関わりが深いのは執事であり身の回りの世話を任せているタイガだろう。

 

 

「タイガはよくやってくれますわ」

 

「お、男としては?」

 

「どうでしょう? 殿方として点数が高いのでしょうが、お付き合いと言うのは面倒で考えにくいものですわ」

 

 

流石は怠惰と言った所なのか、恋愛が面倒だとマリンは言ってみせる。

残りの二人も同じ感想であった。リラの常識力、ディスの実力は評価しているらしいが男としては微妙らしい。

湧き上がる情熱も無いほどに彼女は面倒くさがり、との事だ。

 

 

「リラは男性と見るにはあまりにも可憐、ディスはあの性格に難ありですわね」

 

 

なるほど、なるほど、一応はタイガ寄りだが中々難しいものか。

美歩は次に朱雀へと対象を変える、よく分からないが彼らは年齢が少し複雑なものとなっているらしい。

一応単純に考えるならば朱雀とリラは最年少組みだ、ならばとリラをどう思っているか聴いてみるが――

 

 

「リラか、食べ物くれるから好きだぜ。でもアイツ自身は食べられないしな……」

 

「は?」

 

 

じゃ、じゃあディスは?

 

 

「アイツは堅物だからな、食べられないし駄目だ」

 

「は? え?」

 

 

だ、だったらタイガは――

 

 

「タイガは美味い飯を作るから嫌いじゃないぜ、でも食べられないしな」

 

「は? え? ん?」

 

 

どうやら彼女には食欲以外はさしてどうだっていい物らしい。

最後は巳麗だ、一応は色欲を称していると言う事もあってか期待も高まるが――

 

 

「そうね、ディスは●●●が――」

 

「やめてください」

 

 

強制終了を受けて不満そうに巳麗は口を閉じる。

とんでもない事を言い出す女だぜ、美歩は薄ら寒いものを感じながらゴクリと息を飲んだ。

 

しかしエグイ事を言う割には……と、美歩は巳麗の事を観察してみる。

やはり色欲と言う事と関係あるのかは知らないが彼女はかなり綺麗だ。

むしろこの女性陣の中で一番綺麗と言ってもいいかもしれない。いや、それは雰囲気であったり体つきであったり――

 

 

「………」

 

 

巳麗の胸をジッと見る美歩。

今は皆タオルを巻いているがそれでも何かこう来るものが。

次に美歩は友里の胸を――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フッ」

 

「おいいいいいいいいい!!」

 

 

最悪縮んでいるハナや元々小さい真由よりも薄い可能性がある友里、というか山が無いよ山が。

そうニヤけながら美歩は自分の胸を見せ付ける様に振舞った。対して悔しそうに歯を食いしばる友里、ぐぬぬぬと美歩を睨む。

ってか最悪フルーラよりも……?

 

 

「なんだなんだ! 胸がでかい事がそんなに良い事なのかーっ!」

 

 

そう吼える友里、彼女はギョロリと目を見開いて周囲のメンバーを確認。

どこぞの戦闘力を測るが如く、彼女は各メンバーの分析を始める。

寝子や幽子は除外するとして、まず取るに足らないメンバーを選出し始めた。なんだろう? 彼女の目からピピピピと分析音すら聞こえる気が。

 

 

「やっぱ一番はお前かーッ!!」

 

 

友里はガルルルと吼えながら咲夜に飛び掛っていく。

わきわきと手を動かして友里は咲夜に飛びついた!

 

 

「ちくしょー! 無駄にでかいメロン付けやがってー! 天下御免だ! 揉んでやるー!」

 

「おい何でそうな――! ひゃ!!」

 

 

ちなみに、だ。

友里が今日に至るまでに自前の『乳力』スカウターで分析した結果がこれである。

 

無→(ゆり)

 

牛乳いっぱい飲めば勝てそう→真由、フルーラ。

 

まあまあ→アキラ、薫、ハナ(小)

 

普通(友里談、ここまでは今後成長する予定)→巳麗、朱雀、里奈、シェリー。

 

普通よりはそら中々やで→美歩、夏美、マリン。

 

メロン→咲夜、助手。

 

しゅごい→葵、ハナ(大)

 

 

と、大雑把に分けるとこうなるらしい。

何に使う表なのかは謎だが、是非覚えておくと何かしらの役に立つことは――……まあ無いか。

そしてついに暴走を始める友里。同時に一枚の壁を隔ててそれを待っていた人物が。

 

 

「フッ、笑わせるぜ。テンプレみたいな流れだな」

 

 

そう言って笑みを浮かべる椿、彼はまわりにいる男達に向かってハッキリと宣言した。

自信と希望に満ちた瞳、強い意思がそこに感じられる。

 

 

「覗くぞ」

 

「ブッ! マジか!? おいおい、咲夜に……だけじゃなくて女性陣にぶっ殺されるぞッ!?」

 

 

鼻を鳴らす椿、そんな事は百も承知だと言ってみせる。

ならば何故? バレたら今までのおふざけとは比べ物にならないおしおきが待っているのに!?

その事を彼は分かっているのだろうか? 司は椿に念を押す様に問いかける。しかしこれもまた椿にとっては予想していた言葉のようだ。

 

 

「わかってるぜ司ちゃん。もしかしたら俺は終わるかもしれねぇ(いろんな意味で)」

 

「だったら何で――」

 

「それを俺たちは強いられてるんだ!!」

 

「!?」

 

 

椿は咳払い一つ。

確かに彼のとろうとしている行動は今までのおふざけ、茶番と呼べるだろう中で最もハイリスクかつ低俗な事。

それは椿自身よく理解していた。そもそも言ってしまえばさほど覗きの行為自体に椿は興味が無い。

 

 

「い、意味が分からん! だったらしなきゃ――」

 

「言っただろ、こんなイベントのお膳立てしてもらってやらない方が失礼だ!」

 

「???」

 

「そう、何故かそれをしなきゃいけない気がしてならない! つか――」

 

 

温泉イベントで覗きという行為は必須とされている事じゃないのか。

壁の向こうに女性陣がいる時点で覗いてくださいって言ってるみたいなもんじゃね?

あと咲夜は覗くなよ、なんて念を押す様に言っていた。

 

 

「あの言葉は覗けと言う意味でもある」

 

「ちょっと意味分かんないな」

 

 

司のそんな言葉を無視する様に椿は壁を見つめる。

この高い牙城の先に目的の物は、勝利はあるのだ、厳しい戦いになるだろう。

椿として覗きを成功させる事が咲夜に勝つ事だと思っているのだろうか?

 

 

「とにかく行くぞ。温泉イベントの一つもこなせない様じゃ温泉に失礼だ」

 

「おいちょっと待て! 何で俺らも行くみたいな空気になってんだ!?」

 

「俺だけ行ったらただの変態じゃねーか!」

 

「複数でも十分ヤベェよ!!」

 

 

やんややんやともめ始める男性陣。

何やってんだコイツら……

 

 

「覗くなんて最低っすよ!」

 

「そうだって、何かいろいろなモン失う――」

 

「ほーん。じゃあお前ら見たくないの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「え?」」

 

 

亘とユウスケが完全に停止、おいおいまさかと息をのむ司。これは、この流れはまさか?

椿はさらに続ける。要するに普段見れない里奈と薫を見ることができるのだと、特に薫なんて髪型も違う状態になっているんだ。

これはまさに激レアの姿、かつ恐らく女性陣はタオルを巻いている。ド直球ストレートな覗きと言う事でもないと椿はマシンガンの様に彼らを攻め立てていく。

 

 

「べ、別に見たくないとは言ってないじゃないですか。ねぇユウスケさん」

 

「えッ!? あ、ああ!」

 

「おいこれ! コレやばいパターンじゃねぇか! コレ絶対やばいって!!」

 

「うるせーな、お前は」

 

 

じゃあ分かったと椿は強く頷く。

こうなったらもうつべこべ言わずに行くだけだ、何故か気合に満ちた表情で椿は壁を見上げる。

この向こうに女性陣がいるのだろう、湯煙巻き起こるこのフィールドに椿はしっかりと立ち向かう。

 

 

「おいおい誰か止めてくれよ!」

 

 

双護か真志、クロークか博士あたりならと思ったが――

 

 

「はは、いいじゃんかよ。面白そうだ」

 

「フッ、一度はやってみたいシチュエーションだな」

 

「マジか! いいのかよ双護、真由のも見られちゃうんだぞ」

 

 

シスコ……妹思いの彼ならばと思ったがどうやら乗り気の様だ。

何故かと理由を聞いてみれば双護は既にこの事態が起きる事を予想していたらしい。

だから真由にタオルをしっかり巻いて置けと言っておいたのだった。

と言うより先ほど椿が言った通り皆ほとんどがタオルを巻いているだろう。

ましてココのお湯は強いにごり湯、湯煙も凄いしほとんど見えない筈だ。だから今回は大目に見ると言う事なのだろう。

 

 

「博士ぇ、クロークさん!」

 

「いいじゃないか、別に減るもんじゃない」

 

「止めるって言っても、彼やる気みたいだし……あはは」

 

 

そう言って困った表情を浮かべるクローク、そんな事をしている内に椿は壁に手をかける。

そしてぐいぐいと上っていくのだが、その姿はまさに一言で言うなれば。

 

 

「虫みたいだな」

 

「うるせーっ! ほらもうちょっとだ!」

 

 

案外簡単に登れるものだ、椿が頂点に向かおうと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『トルネイド』

 

 

ウワァァァァァァァァァァアアアアアアアアア

 

 

「……まあ、そんな気はしてたけどね」

 

 

空に巻き上げられた椿は徐々に小さくなって見えなくなっていく。さよなら椿、君はよくやったよ。

しかしだ、司は何度が頷いて冷静さを取り戻す。トルネイド? 文字通り風に包まれて椿は見えなくなってしまった。

落ち着け、トルネイドと聞こえた電子音。それを考えると――

 

 

(え? アイツ変身してんの?)

 

 

変身しなくてもカリスラウザーは取り出せるが、ラウズさせるには変身しなければならない筈だ。

って事はつまりそういう事である。ただ今咲夜さんは変身して入浴してんのか!?

 

 

「………うーん、もうやめとく――」

 

「面白い」

 

「え?」

 

 

止めておこうかと言おうとした途端にこれである。

誰だ? その馬鹿……ではなく勇者は? そう思った司が振り返るとそこには海東が。

同じく静止させようとするリラの声を振り切って彼はディエンドライバーを出現させる。

 

 

「な、なに取り出してんだよ」

 

「出来ないと思うこと程やりたくなる。変身」『カメンライド・ディエンド!』

 

 

シアンのプレートが装着されていき最後に発砲音、それでディエンドの変身は完了する。

何やってんだコイツ、そんな視線の中で彼は一枚のカードを発動させた。

ご存知、彼の十八番であるアタックライド・インビジブル。

 

 

「お、おぉ!?」

 

「フッ、これならバレる心配も無い」

 

「ちょ、ちょっと待て! お前まさか――」

 

 

頷くディエンド。そう、彼もまた椿に感化された負の男であった。

もちろん彼も別に女性陣の裸が見たいとかそういう目的ではない、瞬殺された椿を見て彼も挑戦心が感化されたのだ。

 

 

「何かっこよく言ってんだ! 止めとけ、全裸で飛ばされるアホの姿を見てなかったのか!」

 

「ああ、見ていたとも。だが僕のインビジブルを破るなんて不可能!」

 

 

そう、ぬらりひょんや七天夜ですらインビジブルを見破る事はできなかった。

それは邪神の使いでさえもだ。つまるところ無敵の透明化、それが椿や司と同等の実力である咲夜に敗れる筈が無い!

それがディエンドの思いだった。

 

 

「見ていたまえ、これがディエンドの力だと言う事を」

 

「あ! お、おい!!」

 

 

そう言って透明のディエンドは一気に跳躍で壁を超えていく。

大丈夫か!? 一同に不安が過ぎる。だが彼の言っている通りインビジブルの効果が本物なのも事実。

これは普通に大丈夫なんじゃないだろうかと。むしろこれでバレたら七天夜とは一体なんだったのか!?

 

 

「………」

 

 

壁に耳を当てる司達、するとやはり女性陣の声は聞こえてくる訳で。

 

 

『そう言えば今日のお料理おいしかったよね』

 

『っていうか部屋結構広くない?』

 

『ねぇねぇダイアナぁ、クロハとはどうなのよぉ?』

 

『なななな! なんにも無いわよ!!』

 

 

あ、あれ? 普通じゃないか。

その後も少し時間が経ったが女性陣の会話は至って普通のものだった。

と言う事はバレてない? 向こうは気がついていない? おお、と少し賞賛の声が。

なんだかよく分からないが行けたらしい。

 

 

「え!?」

 

 

しかしその時だった。

インビジブルの解除音が一同の"背後"から聞こえてきたのだ。背後? ディエンドは女湯に飛び込んでいった筈なのに!?

おそるおそる一同は後ろを振り向く。そこにいたのは――

 

 

「海東ぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

先ほどまで自分達が入っていた温泉、そこに脚だけが生えている。

いや違う! ディエンドは既に海東に戻っており、かつどこぞの犬●家みたくお湯の水面から海東の足だけが見えている状況である。

すぐに海東を引き上げる司達、だが時は遅かった。

 

 

「だめだ……気絶している」

 

「何か恐ろしい物を見た様な表情だな」

 

 

冷や汗を浮かべて向かい合う司とディス。

おかしいだろ! いつ女性陣は海東に気がつき、かつボコボコにしてこちらに投げ返した?

おそらく海東は失敗した、だが女性陣普通に会話してたじゃねーか! と司は叫びたい。

 

 

「壁に向こうにいるのは化け物じゃないのか!?」

 

「おいおい、マジかよ! 七天夜でも気がつかないんじゃねーのかよ!!」

 

 

本格的にヤバイ、向こうは完全にコチラに気がついている。

ココは逃げたほうがいいんじゃないか!? 司がそれを皆に伝えようとすると――

 

 

「ふ……ふふ――」

 

「!?」

 

 

海東の変わり果てた姿を見て笑みを浮かべるのはディス。

何笑ってんだ? ま、まさか!!

 

 

「でぃ……ディス?」

 

「ふははははははは!!」

 

「!?」

 

 

笑い始めるディス、コイツ間違いない!

 

 

「まるで絶対に覗く事は不可能と言わんばかりだな! なるほど、大した傲慢だ!」

 

「いや違――ッ」

 

「次は僕が行く!」

 

 

マジで何言ってんだコイツ!?

しかし一人でもヒートアップしていくディス、どうやら椿と海東の成れの果てを見てディスの傲慢センサーに火がついたらしい。

マジか、司はリラとタイガに視線を移す。

 

 

「!!」

 

 

ダバーン!!

そう大きな水しぶきが男湯に巻き起こった。

 

何だ? 今度は何が起こったんだ!? 混乱する一同だが司は見ていた。

その正体が何かはまだ分からないが、少なくともソレは女湯側から飛び出してきたと言う事に。

いや、もうなんとなく分かる! その正体は――ッッ!!!

 

 

「はぁい! こ・ん・に・ち・わ!!」

 

「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!」」」

 

 

男湯に現れたのは巳麗ッ!

ギラギラした視線に思わず叫び声をあげる男性陣、タオルで大切な部分を隠して恥ずかしそうに顔を真っ赤に染める。

覗きだの何だの言っていた割りに向こうから来られた途端コレである。いやむしろ向こうから仕掛けてくるなんて誰が予想できただろうか。

 

 

「――げろ」

 

「え!?」

 

 

復活した海東が立ち上がり叫ぶ。

 

 

「逃げろぉおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「「「「「う、うわああああああああああああああああああ!!」」」」」

 

「逃がすかあああああああああああッッ!!」

 

「早くしたまえッ! 痴女が来るぞぉおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

逃げろと言われた故の反射なのかお湯から一勢に出て出口を目指す男性陣。

対して何故か四速歩行で追いかけてくる巳麗、まさにホラーである。目を光らせて彼女は品定めをしている様だ。

 

 

「鍵かけろ! 鍵ッ!!」

 

 

温泉から脱出した男共は浴場の入り口についていた鍵をかける。だが――

 

 

「馬鹿が! 僕がまだいるだろうが!!」

 

 

ディスは必死に扉を開け様とするが時は既に遅し、彼以外は脱出していると言う事もあって皆ディスに構わず逃げていく。

おい! 逃げるな!! 僕がまだ残ってるって言ってんだ!! 焦りからかガチャガチャと音を立てて扉を開け様ともがくディス。

それを扉越しに海東が見ていた。

 

 

「おい海東ッ! 今すぐ扉を開けろ!! マジで! おい! 助けて!!」

 

「………」『カメンライド・ディエンド!』

 

「おい! 何変身してんだ! そうか! このビッ●を倒すんだな! でもその前に鍵を――」

 

「………」『アタックライド・インビジブル!』

 

「おいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 

透明になって消えるディエンド、もう脱衣所を見ても誰もいない。

と言う事は……ディスは先ほどまで入浴していたと言うのに全身に汗をかいて振り向いた。

ペタペタと近づいてくる足音――

 

 

「正直さぁ、顔で見れば結構タイプなんだよね」

 

「やめろ……やめてくれ――ッ」

 

 

一歩

 

 

「大丈夫大丈夫、痛くしないからさ。お姉さんに任せなさいって」

 

「ぼ、僕の純潔はいちごちゃんにあげると――」

 

 

また一歩

 

 

「アイドル? ハッ! アンタが付き合える訳ないじゃないの」

 

「く、来るな……!」

 

 

さらに一歩

 

 

「来るなぁあああああああああああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「………」」

 

 

休憩所、マッサージチェアに身を委ねながら鬼太郎と陽は無言でディスの断末魔を聞いていた。

しばらくはディスと巳麗の聞いてはいけない様な音声が流れていたが、やがてディスの声が聞こえなくなって――

 

 

「女ってのは怖いねぇ……」

 

「いや、本当に」

 

 

無表情で言葉を放つ二人、その場にはマッサージチェアが可動する音だけが響くのだった。

ふと陽は休憩所に置かれているテレビに視線を移す、どうやら今はニュース番組の様だ。

リポーターが少し慌てながら臨時のニュースを伝えていた。

 

 

『街中に突然として裸の男が墜落してきたニュースですが、犯人の男は俺が悪いんじゃない、咲夜が悪いんだなどと意味不明な事を言っており、警察は猥褻物陳列罪の方向で処理を――』

 

「こわい世の中だねぇ」

 

「いや……本当に」

 

 

ブブブブブブブとマッサージチェアは動き続ける。

 

 

 

 

 

 

 

いや、それにしても何故彼らの行動が筒抜けだったのだろうか?

いくらなんでも女性陣の対応が早すぎやしないかって話である。

それはそう、なぜならば――

 

 

「うまくいきましたね」

 

「ええ」

 

 

ガコンっと音と共に落ちてくるジュース、二人はそれを取って互いに差し出した。

乾杯の言葉は何にしようか? ああそうだ、アレがいい。

 

 

「「正義の裏切りに――」」

 

 

相原我夢とタイガは笑いあい缶をぶつけ合う。

アキラの、マリンの肌を他の男に見られるのはNGである。

だからこそ、彼らは仲間(?)を売った。向こうに誰がどうやって除きに行くかを知らせていたのだ。

 

 

「「乾杯」」

 

 

この二人、案外いい友人になれそうなものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ夜も遅くなりメンバーは寝る為の準備を始める。

だがどうやら博士とクローク達は元の世界に帰る時間となったらしく、司達とは別れの時となった。

旅館の外にはオーロラが、どうやらココを通ればそれぞれは元の世界へと戻れるらしい。

最後に一同はもう一度お礼と、また合える様にと自己紹介を行う。

 

 

「悪い悪い! 少し遅れちまった!」

 

 

宴会の後片付けを手伝っていた鏡治は遅れて登場、急いでクロークや博士に自己紹介を行った。

だがそこで博士と助手の表情が変わった、疑問に思う一同。

どうしたというのか?

 

 

「新意鏡治だと? お前まさか有美子の知り合いか!?」

 

「え! お、おばさんを知ってんのか!?」

 

「叔母さん? となると――……」

 

「!!」

 

 

その瞬間、助手は表情を変えて走り去るようにオーロラへ。

なんだ? 驚く鏡治と複雑そうな表情を浮かべる博士、彼は戸惑っている鏡治へ事情を説明した。

それは簡単な事、博士と助手が来た世界。

 

 

「ミスター鏡治、どうやらボクは君と同じ世界から来たらしい」

 

「そ、そうなのか!!」

 

「ああ、ボクの親は科学者でな。有美子の事を評価していたもんだ」

 

 

天才が多く故に科学が発達した世界、それが鏡治の世界でありカブトの試練が行われた場所だ。

まさかそこにもう一人別のライダーがいたとは。博士が言うには自分達はフォーゼの研究に熱心だった為、創英の事件はまるで知らなかったらしい。

そんな事が起きていたとはだ、博士も苦笑交じりにそう行ってみる。鏡治としては思わぬ出会いに少し嬉しさを覚えるが、同時に先ほどの助手の様子が気になるところでもある。

 

 

「で、でも何であの娘は俺を見て逃げたんだ?」

 

「………」

 

 

博士は少し迷ったようなそぶりを見せたが後は迷わず発言を行う。

助手が何故鏡治を見て逃げたのか、それは鏡治の両親が原因だと。

さらに戸惑う鏡治、自分は両親の事をあまり知らない。と言うのもまだ自分が幼い時に事件の失敗が原因で亡くなったからだ。

 

 

「それが原因だな」

 

「え?」

 

「助手の両親も、君の両親の研究チームの一員でね」

 

「!」

 

 

その実験は鏡治の両親がリーダーだった。つまり――

 

 

「君の両親の実験のせいで、自分の親が死んだと言う事実に彼女は戸惑っていたんだろうさ」

 

「!!」

 

 

もちろん鏡治とて被害者だ、ましてそれは鏡治のせいじゃないし鏡治を恨む事でもない。

当然博士はそれを理解している、だから博士自身は鏡治に対しては何の思いも無い。

だが――

 

 

「助手はまだ少し割り切れていないんだろう」

 

「そ、そっか……何か――俺の親が悪い事を」

 

「いや、君が悪いんじゃない。気にする事はないぜ」

 

 

だがすくなからず鏡治の両親側に問題がある事は博士も、まして鏡治も知っている事。

それは鏡治の両親が死んだ理由、死につながった事件の内容。博士は思い切ってソレを鏡治に聞いてみる。

あふれんばかりの知的欲求に博士は残酷な興味を示したのだ。

 

 

「君の両親の研究は政府から禁止されていた」

 

「ああ、そうだな。おばさんから後で聞いたよ」

 

 

それでも鏡治の両親は研究を止めなかった。

政府に黙って行われた極秘実験、だがその代償は参加研究員全員の死と言う重すぎる物に終わった。

世間にはその事件はただ実験で失敗した際に発生した爆発で全員が亡くなったとしか伝えなかったが、本当に注目するべきは何の実験を行っていたかだ。

鏡治は博士を信じて自分が知っている情報を告げた。

 

 

「人工的な生命をつくる――」

 

「やはり、そうか……」

 

 

鏡治の両親は神の領域に足を踏み入れようとした。

ゼクターなんて比ではない程の完成された超生命、それを作ろうとしていたのだ。

命の仕組みその物を創造しようとした行為は流石に政府も生態系をバラバラにしかねると思ったのか研究を禁止。

だが加速した研究を鏡治の両親が止める事は無かった。もはやソレは報酬や研究の先にある結果を求めていたのか、それとも純粋な興味だったのか。

 

 

「ネオ生命体の研究、話では2種類の生命体を作る事に成功したとの記述があったが?」

 

「何でも知ってるんだな。ああ、そうだぜ。名前は……なんだったかな? カタカナで2種類ともラ行が入ってた気がする」

 

 

尤もその生命体達も完成し意思を持つ事無く爆発で消し飛んだのだろう。

命を創ろうとした代償なのか、神の怒りに触れたとでも? とにかく結果は結果だ。

鏡治の両親も助手の両親も発生した爆発で亡くなった、鏡治は有美子達がいたが助手はどうだったのだろうか?

 

 

「まあいい、過ぎた話だ。そろそろボクは帰るとしよう」

 

 

同じ世界とならば、そう言って神也や風島もついていく事に。

 

 

「じゃあな鏡治。またいつか助けに行くよ」

 

「フッ、じゃあな」

 

「ああ、そうだな! また会おうぜ!」

 

 

先にオーロラへ消えていく二人。

博士はもう一度辺りを見回してニヤリと笑う。ゼノンは言った、この面子は長い付き合いになるだろうと。

小野寺ユウスケ、小野寺翼、条戸真志、犬養拓真、守輪椿、相原我夢、天王路双護、野上良太郎、聖亘、聖司。

ゼノンとフルーラ、チームディエンド、自分、クローク。このメンバーか。

 

 

「また会ったらよろしく頼むぜ仮面ライダー諸君」

 

 

そう言って博士がオーロラの中に。

それを見てクロークとシェリーも頷いて一同に別れを告げる。

 

 

「それでは皆様、またいつか」

 

「どんな時にも希望を忘れないでくれ」

 

 

そう言って二人もオーロラへ。

どうやら他の他世界組みもココで帰るらしい、ダイアナとクロハ達も椿達にお礼と別れを告げて帰る事になった。

 

 

「じゃあまたね」

 

「ええ、またね」

 

 

カードがめぐり合わせる絆、きっとまたクロハ達とは会える。

ディエンドのカードはそれを可能にするからだ、海東はそう言っていた。

一通り別れをすませて一同はまた旅館へ。もう本格的に夜も遅い、一同は各々の部屋に戻っていく。

 

 

「………」

 

 

真志もまた自分の部屋に戻ろうとしたのだが――

 

 

「ね、ねえ真志さ……」

 

「おう美歩か。どうした?」

 

 

自分の部屋に戻ろうとした真志だったが、そこで美歩に呼び止められる。

どうしたのかを聞く真志、すると美歩は少し恥ずかしそうな表情を浮かべて口を開く。

少し時間いい? そんな事を言う彼女、時間も時間だから一瞬どうするか迷う真志だが断るのも悪い。

 

 

「ああ、いいぜ」

 

「さ、サンキュー!」

 

 

と言う事で二人は近くの休憩場へ。

真志は何か飲むかと美歩に言うが、彼女はすぐに終わるからと断った。

内容は我夢とアキラの事、二人は一応恋愛相談に乗っていた身だ。美歩はアキラから結果を聞いたが真志はどうか分からない。

それを聞きに来たとの事だった。

 

 

「ああ、聞いたぜ我夢からな」

 

「へー、じゃあアタシが言う必要なかったか……」

 

「それだけか?」

 

「え? あ……あー、微妙」

 

 

微妙? どう言う事なんだ一体。

真志は気になって詳細を求めた、まだ何かあるのなら言ってみろと。

すると美歩はおもむろに立ち上がり真志に近づいていく、そしてたった一言彼に告げた。

 

 

「ちょ、ちょっとさ……悪いんだけど目、閉じてくんね?」

 

「は?」

 

「いいから、いいから!」

 

 

何なんだ? 真志は戸惑いながらも言われた通り目を閉じる。

聞こえるのは美歩の息遣いだけ、その気配も近づいてきて――

ふわりと、頬に柔らかい物が触れた。

 

 

「え?」

 

 

思わず目を開けてしまう真志。

だがもう美歩は離れている様で、悪戯な笑みを浮かべている所だった。

訳が分からずに棒立ちする真志と、赤面して笑う美歩。

 

 

「まあ、それだけ」

 

 

そう行って美歩はそそくさと戻っていってしまう。

真志はソレを追いかける訳でもなくただ頬を押さえて立ち尽くすのみ、目は点である。

まあそれだけと美歩は言っていた、だが――

 

 

「どれだけなんだよ……」

 

 

難しいな、真志は首を振って部屋に戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、いよいよ自分達も別れの時となる。

旅館の前に現れたオーロラ、シャルルが現れて説明を行う。

珍しいものだ、ゼノンやフルーラは何やら今忙しい様で代わりに彼がきたとの事。

 

 

「今回は学校で無く、皆さんにココを通ってもらう事で移動を行います」

 

 

つまり昨日の博士達と同じ。

世界移動の事は知らされていたのだが、やはり寂しさがこみ上げる物だ。

別れを惜しむ様にみぞれとアキラは話し込んでいる、しかし淡白な様子の海東たち。

 

 

「会おうと思えば簡単に会えるとも。僕達は先に行く、次は邪魔しないでくれたまえよ」

 

 

そう行ってさっさと海東はオーロラを潜り抜ける。

それに続くお宝(以下略)もといチームディエンドのメンバーたち。

 

 

「ではさようなら」

 

「失礼します」

 

 

海東の次はマリンとタイガが。

 

 

「じゃーなー」

 

「ま、待ってよ朱雀ちゃん!」

 

 

朱雀とリラが。

 

 

「中々刺激的だったわ。じゃあね」

 

「………」

 

 

最後に巳麗と干物みたいになっているディスが、それで彼らは全員消えていく。

今言った海東の言葉を信じるのならまた会える日は来ると言う事か、それを聞いてみぞれや寝子は安心した様に笑った。

しかしもう一つになる事が。

 

 

「シャルル」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「この先には……何がある?」

 

「………」

 

 

ニヤリとだけ笑う彼。

それを見て彼もまたゼノン達の仲間だという事をつくづく実感させられるものだ。

そうしていると一同の前には鬼太郎が、彼は司達にお礼を言うと我夢に視線を移した。

 

 

「君のおかげなのかな」

 

「あはは、いやそんな――」

 

 

そう言えばと鬼太郎は我夢に何かを差し出す。

受け取った我夢がそれを見てみると、何やらコイン状の装飾品が。

 

 

「これは?」

 

「お土産さ、受け取って欲しい」

 

 

我夢がアキラから受け取ったコインはバースに変身する為に失ってしまった。

ならばと鬼太郎はコインの代わりになるその装飾品を我夢にプレゼントするとの事だった。

コインと言う訳ではない不思議な何かだが、しいて言うのなら小さな鏡の様な物。

 

 

「ありがとうございます!」

 

「いやいいんだ。お礼を言うのはこっちだからね」

 

 

そう小さく笑って横を見る鬼太郎、そこにはぬらりひょんと七天夜が。

彼らもまた静かに頷いて我夢達に感謝の意を示した。結果論ではあるが世界は救われ、邪神も倒す事ができた。

それは危険な賭けとは言え勝利した報酬である。

 

 

「これも運命か……」

 

「かもしれません」

 

 

さあ、そろそろ時間だ。

メンバーたちは順々にオーロラへと向かっていく。もう一度それぞれは礼と別れを言ってそれぞれの道を歩んだ。

そして最後は我夢とアキラである。鬼の力を二つも持ち去ってしまう事に謝罪する我夢、だが鴉天狗は問題ないと笑ってみせる。

 

 

「これからは皆が一丸となって問題と向き合える筈だ、鬼は轟鬼だけで十分だよ」

 

 

それに強力な仲間がついている。鬼太郎、地獄童子、陽は手をあげてアピールを行った。

我夢とアキラはその言葉に頷くと踵を返してオーロラへ、そしてしばらくして完全に鬼太郎達の世界から姿を消すのだった。

 

 

「……行ってしまったわね」

 

「ああ、彼らにはまだやるべき事があるんだ。止めるのは悪いよ」

 

 

寂しいのか目に涙を浮かべて頷いている寝子、鬼太郎はそんな彼女をジッと見て何かを考えている様だった。

そしてしばらく二人は並んで歩いた後、ふと鬼太郎が口を開く。

 

 

「寝子……」

 

「はい?」

 

「君の事が好きだ」

 

「………」

 

 

ええええええええええええええええええええ!? 寝子は言葉を失い鬼太郎を凝視する。

この人は一体何を言っているのだろうか? そんな事を思いつつも冷静さを取り戻していくと分かる事態。

これはつまり告白!? そんないきなり。

 

 

「君は、どうかな」

 

「は……はいっ! そ、その……好きです――ッ! 私も……!」

 

「そう――」

 

 

瞬間、鬼太郎は寝子にキスをする。

 

 

「―――」

 

「それはよかった」

 

 

そう言って笑う鬼太郎、しかし寝子は完全にフリーズしてその場に停止ってなもんである。

事態を知らない陽や地獄童子がアレは何かと聞いてくるが鬼太郎はただ笑うだけで自分が何をしたのか言う事は無かった。

そんな彼に話しかけるのは目玉の親父、彼は見てられないと手で顔を覆っていた。

 

 

『大胆になったのぉ鬼太郎。やれやれ、誰に似たのやら』

 

「父さんかもね」

 

 

冷静に考えてみれば自分でも確かに大胆なものだったと鬼太郎は笑う。

顔を見合わせる地獄童子と陽、何の事なのかさっぱりだ。

とりあえず二人は固まっている寝子を何とかしようとソチラへ走っていった。

 

 

「封印されてんじゃないのかぃ?」

 

「何をやったんだよアイツは……」

 

 

鬼太郎は笑みを浮かべながら親しい仲間に礼を言っていく。

砂かけ婆、子泣き爺、一反木綿にぬりかべ、幽子、みぞれやあまびえ達。

そして最後に――

 

 

「今回は助けられた……のかな?」

 

「そらもちろんよ鬼太郎ちゃん! 報酬は弾んでもいいのよ」

 

 

軽い調子で笑うねずみ男。

鬼太郎と彼は普通の友人と言う訳でも無ければ仲間と言うものでもない。

しかし何か不思議な縁で繋がっているのは事実だろう、二人はもう互いにそんな関係だと理解している様だ。

 

 

「今回は逃げなかったんだな」

 

「あったりまえよぉ、俺ァいつでも世界平和を望んでいるからな」

 

「うそくせー……」

 

 

軽く、静かに笑いあう二人。

しかし向こうに手を振っている人物が見えた、彼女を見て表情を変えるねずみ男。

今日も今日とて変わらない美しさだ、あの百合の花は。

 

 

「彼女もあぶなかったね、陽がいなかったら――」

 

「ま……なんだ。結果は結果よ」

 

 

"小百合"、今は妖怪旅館で仲居として働いている。

どうやら過去にいろいろあったみたいだが、今はああやって元気に働いている物である。

陽がいなければ、鬼太郎がいなければ、つまり仲間がいなければ彼女はあそこには立っていなかったらしい。

 

 

「ま、それにしてもあれだねぇ……」

 

 

気恥ずかしさを紛らわせる為か、ねずみ男は咳払いを一つ。

邪神は完全に倒せたがそれでこの世界が完全に平和になったのかと聞かれればどうなのだろうか?

もしかしたらまた今回の様な事が起きないとも限らない。その時は果たしてまた最良の結果を出すことができるのだろうか?

考えは尽きる事は無い、その無限とも言える議題についねずみ男は苦悩の声を漏らした。

 

 

「人間世界で生きていくのも、楽じゃねぇなぁ」

 

「ああ。でも、退屈はしないさ」

 

「だな……っていうか、前にもこんな会話したっけか」

 

 

まあいいや、そう言って鬼太郎とねずみ男は二人肩をならべて歩いていくのだった。

この面倒で、大変で、鬱陶しくて、汚くて、醜くて――

 

 

 

 

 

だが、大切な仲間がいる素晴らしい世界へと。

 

 

 

 





改めて新技の説明を。
一応ライダーの紹介も二部始まったくらいに掲載しようかなと思っています。


・FFR デンオウライナー

デュアルKゼクター同じく3種類の効果を選んで使用できます。
今回使ったのは、イマジン達がそれぞれ対応するデンライナーに変身すると言うもの。
時を超える力は無く、オリジナルよりも幾分小さいが武装は変わらない。


・FFR ヒビキアニマル

三種類のディスクアニマルの巨大版に変身します。
さらにディケイドとの複合必殺技の時には巨大な音撃鼓に変身して、相手に音撃を与える事ができます。



はい、それでキャラをお借りした作品の紹介も。


・ゲゲゲの鬼太郎

今回は妖怪編と言う事でやっぱり妖怪と言えばな方達を個人的な趣味で使わせてもらいました。
第5シリーズはダブルの脚本を担当していた人も参加していたらしいですね。
シリーズによって作風が結構変わりますが、作者は鬼太郎が落ち着いている四期が一番好きです。


とまあ注意書きや響鬼編のはじめの方にも書いたと思うんですが、今回は鬼太郎と言う風にライダーとは別の作品のキャラを使用させていただきましたが、今後もこういう事が頻繁では無いかもしれませんが結構予定してます。

なるべくその作品を知らなくとも良いように設定は変える予定ですが、中には正式な作品同士のクロスと言う作品もある予定です。要するに今回の様なリイマジ風だったり、軽いクロスだったりと程度はまちまちですね。

本当はタグとかにも記載するといいんでしょうが、なにぶん作品的にネタバレになってしまうのと一つ一つ書いているとタグ数がとんでもない事になるかなと思い、一応タグには記載しない方向をとるつもりです。

出てくるほか作品のキャラクターは作者の趣味になるので、読んでる人はいきなり他の作品のキャラクターが出てきて戸惑う事もあるかもしれませんが、どうかその点はご了承いただければなと。
一部のキャラクターはレギュラー化もあります。その点は次回に説明が入りますが。

あと今回は初と言う事で一番最初に作品名を書きましたが、今後はおそらくその編が終わるあとがきにでも書く予定です。


はい、長々とすいません。
次回は未定ですが、一応休日にでも更新できればなと思ってます。

ではでは

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