今度こそ平成最後の更新です。
本当は一気にマイカゼ戦まで書き上げたかったんですけど。
長くなったので分割、今回はヒナタ回です。
原作とあまり展開が変わらない部分はダイジェストで一気に飛ばす予定でしたが。
ヒナタはナルト、サスケに次いでコトと交流を深めた結果、かなりの魔改造と独自解釈が入ったため原作と展開がやや変化してしまい飛ばすに飛ばせませんでした。
因縁の対決、サクラさんといのさんの戦いは双方一歩も引かない接戦になりました。
マイカゼ曰く「力はサクラ、技はいのに分があるが、総合的にはほぼ互角」とのこと。
互いに決定打を繰り出せず殴りあうこと10分近く。
術でも言葉でも根性でも決着はつかず、最後は互いの顔面に拳を叩き込んでのダブルノックアウトで引き分けに。
熱い………女の戦いでした。
「結局、戦いで最後にものをいうのは体力と腕力と根性よね~」
続く第5回戦も女性同士の対決になりました。
砂の風使いテマリさんと木ノ葉の操具使いテンテン先輩の戦いは遠距離戦を制してテマリさんが勝利。
先のガチンコ勝負とは打って変わって相性が露骨に表れた試合でしたね。
「というか、やっぱり障害物のないフィールドって一部にものすご~く不利なんじゃないですか?」
第6回戦。
音のくのいち、キン・ツチさんと奈良シカマル君の戦いは影真似の術を見事に嵌めたシカマル君の勝利。
相変わらず、術の使い方が柔軟です。
「影真似の術ってあんな使い方もできたんだ………」
「発想の勝利ですね! 私好きですよそういうの」
第7回戦。
ナルト君と犬塚キバ君の対決は接戦の末、ナルト君の逆転勝利。
元悪戯小僧の面目躍如といったところでしょうか。
意表を突いた見事な勝利でした。
「うんうん、五行封印・改(仮)の術式はちゃんと機能しているようで何よりなのですよ。だから傷薬をあげる役回りはヒナタさんに譲ってあげましょう」
「………突っ込まないわよ。私は君子だから危うきには近寄らない!」
「ふむ、私も何か新必殺技を編み出すべきか………マイカゼさん連続切り的な。どう思う?」
「突っ込まない!」
そして第8回戦………
「まさか貴女とやりあうことになるとは………ヒナタ様」
「………ネジ兄さん」
日向ヒナタさんと日向ネジ先輩。
木ノ葉で最も古く優秀な血の流れをくむ名門。
日向一族の宗家と分家の因縁の対決です。
「試合の前に1つ忠告しておく………ヒナタ様、貴女は忍びには向いていない。棄権しろ」
「………………っ!」
ネジ先輩の突然の宣告に息をのむヒナタさん。
「………? これってひょっとして分家として宗家のお嬢様を傷つけたくないとか、そういう遠回しな親切ですか?」
「なるほど、これがいわゆるツンデレか」
「違う」
ちなみに、うちは一族でも宗家と分家の制度を取り入れようとしたことが昔あったそうです。
しかし、情に厚すぎる性質のため取り決めが全く定着せずあっという間に有名無実と化して自然消滅したそうですが。
閑話休題。
「貴女は優しすぎる。調和を望み葛藤を避け、他人の考えに合わせることに抵抗がない」
「………………」
「そして自分に自信がない。いつも劣等感を感じている。だから下忍のままでいいと思っていた。だが中忍試験は3人でなければ登録できない。同チームのキバたちの誘いを断れず、この試験をいやいや受験しているのが事実だ………違うか?」
「ち、違う! ………違うよ。私はただ、そんな自分を変えたくて………自分から………」
「やはり貴女は宗家の甘ちゃんだ。人は決して変わることなどできない」
ネジ先輩の言葉が次々とヒナタさんに突き刺さります。
人は才能や血統、見た目、性格の良し悪し、その他もろもろの生まれ持った要素が全てであり、そしてそれらは決して努力などでは覆すことなどできない。
エリートは最初からエリート、落ちこぼれはどこまで行こうとも所詮落ちこぼれ。
う~ん、言いたいことはわかるんですけど、いくら何でも極論が過ぎるような………ヒナタさんはどうやら呑まれているみたいですね。
大丈夫でしょうか、このままだと戦う前から負けちゃいますよ。
「なあ、ヒナタってそんな言うほど落ちこぼれなのか?」
「そんなわけないじゃない。というか、そんなことはマイカゼが一番わかってるでしょうに。戯言………いやここまでくると茶番かしらね」
「マイカゼ、アカデミー時代に1度ヒナタさんにコテンパンに負けてますもんね。ヒナタさんは強いんです………本人自覚してないだけで」
「ああ………そう、ヒナタもそういうタイプか」
カナタのいつになく辛辣なコメントにマイカゼがどこか遠い目をしました。
なんだか盛大にすれ違っているような………それはそれとしてネジ先輩、表面的な観察眼と洞察眼こそ優れてはいるようですが、内面を見抜くことに関しては節穴もいいところみたいです。
いや、先入観による決めつけと宗家に対する劣等感が本来の瞳力を鈍らせているのでしょうか。
ネジ先輩の言葉はヒナタさんを傷つけると同時に自分自身にも突き刺さっているように思えました。
「貴女………本当はもう自分でも気づいているのではありませんか? 俺には絶対に敵わない。“自分を変えるなんてこと絶対に出来―――”」
「出来る!!!」
そんなネジ先輩の諦観に満ちた言葉をぶった切ったのはナルト君の心からの叫び。
「人の事勝手に決めつけんなバーカ! ンな奴やってやれヒナタ!」
「ナルト君………」
「ヒナタもちょっとは言い返せってばよ! 見てるこっちが腹立つぞ!!」
ヒナタさんの目に力が宿りました。
どうやら完璧に持ち直したようですね。
やっぱりナルト君の言葉には力があります。
「私はもう逃げたくない!」
「棄権しないんだな。いいだろう、どうなっても知らんぞ」
2人はまるで鏡合わせのように全く同じ構えを取って対峙します。
拳を握らず掌底を主体とした柔拳の構え。
木ノ葉で最も強いとされる体術流派。
日向流の宗家と分家が真っ向から激突―――
「ガチンコ勝負か。燃えるな!」
「―――あ、それはダメですヒナタさん」
「意気込みは買う。けどそれは悪手よ」
「えぇ~?」
同じ構え、同じ動き、同じ攻撃。
ヒナタさんとネジ先輩の2人の同門対決は激しいながらも非常に静かなものでした。
日向流は掌から放出されるチャクラを相手の経絡系に流し込むことにより、内面を直接攻撃する柔拳体術。
人が人である以上、内臓はどうしたって鍛えられません。
つまり1度でも受けたらその時点で致命傷、かするだけもアウト。
いえ、チャクラを放出する範囲によっては下手すれば当たらなくてもダメージを受けるでしょう。
回避困難にして防御不能。
相手の体内の経絡系を透視できる日向一族の血継限界、『白眼』があって初めて修めることが可能な体術流派です。
相手の攻撃を受けるのではなく、手の甲で流し、腕で捌く。
力を込めた拳ではなく、チャクラの籠った掌底を繰り出す。
接近戦にありがちな打撃音が一切響かない、ジリジリとした静の攻防を制したのは―――
「やはりこの程度か。宗家の力は」
「っコホ!」
―――ネジ先輩の方でした。
ヒナタさんは内臓に受けたダメージで吐血し崩れそうになりながら苦し紛れの掌底を突き出すものの、簡単に掴み取られてしまいます。
伸ばした人差し指と中指からチャクラを針のように放出し、腕に突き刺すネジ先輩。
ヒナタさんの長袖を捲り上げ、露になった彼女の右腕には所々に針で刺されたかのような赤い痣ができていました。
「ま、まさか……それじゃ、最初から……!」
「そうだ。俺の白眼はもはや“点穴”を見切る」
点穴とは体内を流れるチャクラの通り道である経絡系上に361個存在するとされるチャクラの噴き出す孔のことです。
針の穴ほどの大きさのツボですが、そこをチャクラで刺激すればチャクラの流れを自在に加速させたり逆に塞き止めたりすることが可能………………あくまで理論上はですが。
「ネジ先輩の眼は顕微鏡ですか………」
「凄いな………これが日向一族始まって以来の天才」
確かに経絡系を透視できる白眼なら点穴を見ることだってできるでしょう。
でもだからって戦闘中にそれをピンポイントで突くとか神業ってレベルじゃありません。
こんなのにどうやって対抗すれば………ヒナタさんはまだ諦めていないようですが、点穴を突かれてチャクラを止められた以上もはや柔拳は繰り出せな………
「………いや、これは!?」
「ま、まだ!」
「無駄だ。点穴を突いた以上、もはや柔拳は………カハッ!?」
次の瞬間、吐血したのはネジ先輩の方でした。
「バ、バカな………点穴はすでに閉じていたはず」
「うん、その通りです。でも………」
ヒナタさんは左手の指からチャクラを針のように放出し、右腕に突き刺しました。
それは、つい先ほどネジ先輩が点穴を突いた時と同じ要領で。
「閉じたなら、また開ければいい」
「!?」
点穴は針の穴ほどの大きさのツボですが、そこをチャクラで刺激すればチャクラの流れを自在に加速させたり逆に塞き止めたりすることが可能。
閉じることができるなら、開けることができるのもまた道理です………これもあくまで理論上の話ですけどね。
「私はネジ兄さんみたいに相手の点穴を見切ったりはできないけど………自分の点穴がどこにあるかなら知ってるから」
「よし! よし! 白眼でずっとずっとチャクラの観察観測解析を手伝ってもらってた経験がここにきて活きた! あの地味で不毛な作業は無駄じゃなかったんですよ!」
「アンタ、そんなことにつき合わせてたのね………」
「ヒナタ、憐れ………いやでも結果オーライだ!」
「うおっしゃあああ!! いいぞヒナター!」
天才、日向ネジに一矢報いたヒナタさんに誰もが驚愕と称賛の意を示しました。
正しくそれは快挙でした。
「なるほど………少しばかり見縊っていたようだ。だが結果は変わらん!」
「いいえ変えます。変えて見せます! ネジ兄さん、勝負です!」
結果から言えば、ヒナタさんが盛り返したのは後にも先にもその一瞬だけでした。
「残念ながら、これが現実だ。少々の工夫や機転では決して覆ることのない、エリートと落ちこぼれを分ける差だ」
すでにヒナタさんの両腕の点穴は閉じられてしまっています。
こうなってしまってはもはや点穴を再び開けることも不可能、印を結ぶこともできません。
「これでもダメなの………」
「技の冴え、動きのキレ、実力の差がありすぎる………点穴とか白眼がどうこう以前の問題だ」
「もういい、これで十分だろう。貴女の健闘も努力も認める。だが決着は着いた。これ以上は無意味だ。棄権しろ」
「………ま、まっすぐ、自分の……言葉は………曲げない……」
覆しようのない絶望的な差を実感して尚、ヒナタさんは立ち上がります。
「―――私も、それが忍道だから………!」
「………!」
見るからにふらふらで余力など欠片も無く、咳き込む毎に吐血する満身創痍の身なれども、それでも心は折れていません。
「ヒナタ頑張れぇー!」
ナルト君の声援がヒナタさんに再び活力を与えました。
ヒナタは一歩大きく後退し、残された力を振り絞って白眼を発動させて再び構え―――
私はずっと見てきた………何年間もずっと貴方を見てきた………なんでかな。
ナルト君を見てると、だんだん勇気が湧いてくる。
私でも頑張れば、何かできそうな気がしてくる。
自分にも価値があるんだと、そう思えてくる。
今まではずっと私が見てるだけだった。
でも今はやっと………やっと私を。
ナルト君だけじゃない、皆が私を見てくれてる。
そういえばコトちゃんだっけ。
最初に私を必要としてくれたのは。
カナタちゃんは覚えてるかなぁ。
貴女のアドバイスのおかげで、私はマイカゼさんに勝てたんだよ。
他にも紅先生が、シノ君が、サクラさんが、いのさんが………皆が私に注目してる。
憧れの人たちが、やっと私を見てくれた。
だから、だから………
格好悪いところは、見せられないもの。
その後、ヒナタさんは審判のハヤテさんに試合が止められるまで立ち上がり続けました。
血みどろになっても諦めず、立ち向かい続けるその様子はナルト君にとてもよく似ていました。
「ヒナタ! 大丈夫かオイ!?」
試合が止められ、崩れ落ちるヒナタさんに真っ先に駆け寄ったのはナルト君です。
「わ、たしも………すこしは………かわ……れた、かなぁ」
「うぇ!? 意識あるの!?」
「なんという………いや今はとにかく喋っちゃダメです!」
「ヤバいわよこの顔色………治療できる!?」
「正直、難しいです………むぅ、点穴が閉じてて掌仙術が上手く通らない………ですが、何とかやってみます」
幸い、点穴を開放するコツはヒナタさんが教えてくれました。
指先からチャクラを針のように放出、そして問題の点穴の位置ですが………これは大丈夫です。
「フッフッフ………実は私、ヒナタさんとカナタとマイカゼとナルト君とサクラさんとサスケ君とカカシ先生とヤマト先生の経絡系と点穴の凡その位置は全て熟知しているのですよ!」
戦闘中に点穴の位置は見切れない?
なら戦闘時以外に見切ってしまえばいいだけの話です。
「そうかそれなら………って俺もぉ!?」
「い、いつの間に………」
忍びたるもの裏の裏を読むべし、これぞ逆転の発想! アイディアの勝利!
創意工夫こそ凡人の特権、王道を歩めない持たざる者の発想力を思い知るがいいのですよ!
「全部で361個ある点穴全部記憶するってそっちの方がヤバいでしょうが」
「気持ち悪い、普通に気持ち悪い………」
「さっきから酷くないですか!?」
こんなに頑張ってるのに!
少しは褒めてくれたっていいじゃないですか………………まあ、事前に調べられる場合に限る上、見切ったところで私じゃ戦闘中は的確に狙えないのですが。
そもそも、接近戦で勝ったことなどないですし。
とにかく、点穴を全部こじ開けて内臓は………ひどい有様です、けど、どうにかなりそうです。
特に心室細動を起こしかけている心臓は以前の私ならお手上げでしたね。
ヒナタさんに応急処置を施す私の周りにナルト君、サクラさん、マイカゼ、カナタ、担当常任の紅先生が続々と………ヒナタさん、実はまだ意識失ってませんよね?
見てくださいよこの光景。
私やナルト君はもちろんのこと、皆が貴女の頑張りを認めてますよ。
「所詮落ちこぼれは落ちこぼれだ。変われなどしない………これが運命だ」
1人を除いて。
本当は認めたいけど認めるわけにはいかない、認めることができないというような葛藤。
まるで自分に言い聞かせているようです。
柔拳は体内に直接ダメージを与えるというその特性上、手加減が利きません。
ネジ先輩も本心ではこんなことしたくなかったけど、せざるを得なかった………のでしょうか。
まるで悲鳴です。
ネジ先輩のそんな辛辣ともいえるこの一言に、ナルト君がとうとう怒って………それより前にカナタがキレました。
「運命? ………日向の天才はずいぶんとどうでもいいことに固執するんですね」
そりゃもう盛大に。
ナルト君が大人に化け物呼ばわりされた時以来でしょうか。
カナタって普段こそ冷めてはいますけど、決して沸点が高いわけではないんですよね。
「どうでもいいだと? フン、何も知らないからそんなことが言える」
「何も見えていないのは貴方の方です。人は変われない? そんなわけあるか、型にはめた人形じゃないんですから変わるに決まってるでしょうが。バカじゃないの?」
「………………っ!」
「大体、ネジ先輩ってヒナタより1つ年上じゃない。経験の差が出るのは当たり前です。それを何? 才能の差? 落ちこぼれ? 挙句の果てには運命? 頭おかしいんじゃないですか?」
カ、カナタ………さすがにそれは言い過ぎでは?
悪意に鈍感と言われる私にもネジ先輩の怒りが伝わってきます。
白眼の眼力がヤバい………
止めたいけど、ヒナタさんを治療するのに手一杯で止められません。
「大体ヒナタもヒナタよ、なんで自他ともに認める接近戦のスペシャリストに真っ向勝負挑むのよ」
しかもこっちに飛び火するんですか!?
いや、確かにそれは私も感じたことですけど。
私だったら絶対にそんなことしない、というか出来ません。
ヤマト先生曰く、忍びの戦いは『如何にして相手の有利を奪い、自分の有利を押し付けるか』
ヒナタさんが本当の意味で勝利を目指すなら、ネジ先輩から意地でも距離を取って遠距離戦に持ち込むべきでした。
というか、そうしていれば普通に勝機はあったはずなんです。
「い、いやでもそれは仕方がなくないか? ヒナタにはそれしか選択肢がなかったんだから………」
「いや、あったのよ」
「………え?」
マイカゼのとりなしをバッサリと切り捨てるカナタ。
「というかね、そもそもね………
ヒナタさんって………まるっきり体術タイプじゃないのよ」
ああ、言っちゃった………
「………そうなのか?」
特に隠してたことでもないのでマイカゼの質問に私は正直に答えます。
「………幻術タイプですね。カナタやサクラさんと同じ………女子には典型的なタイプです」
「だから私は茶番だって言ったのよ。もうとっくに変わってるのに自分も変わりたいとか変われはしないとか押し問答。バカバカしいったらありゃしないわ」
「な、なんで………お前たちがそんなこと知っている!?」
「ヒナタさんのお父さん、日向ヒアシさんから直接聞きました。3年くらい前でしょうか。風邪を引いたヒナタさんをお見舞いした時に会ったんですよ」
「なん…っ!?」
ネジ先輩、再び絶句。
いや友達のお父さんと面識あることがそこまで驚くことですか?
「ヒナタさんの友達だって言ったら歓迎されてね、その時にいろいろ話を聞かせてもらったのよ………あ~コホン、『あ奴は体術に向いておらぬ。このまま日向流を修めるより他の道を進ませた方がまだ芽があろう。幸い、幻術の使い手には伝手がある』だって。直に聞いたから間違いないわ」
ご丁寧に声真似までしてその時の会話を説明するカナタ。
この発言には、ヒナタさんもネジ先輩も………それどころかヒナタさんの担当上忍である夕日紅先生も驚愕。
(………『好きにせい。
ちなみに、後日この話を聞いた猿飛アスマ先生は「言葉足りなすぎるだろそれ」と突っ込んだそうな。
「だからこそ、ヒナタさんの健闘は快挙なんですよ。体術の素養もないのによくもまあここまで………」
ただ、もったいないなと感じるのも否定できません。
素直に自分の得意分野で戦っていたら下手にガチンコ挑むよりはまだ勝機はあったかもしれないのですから。
あ、ヒナタさんが目を見開いて固まってます。
ネジ先輩も同じように呆然として………まさか本当に気付いてなかったんですか?
こういうのって大体、己の感覚でわかるものでしょうに………
ヒナタさんは目を見開いたままコホっと血を吐いて………
「ナニ………ソレ………」
「あ、気絶しました」
「ショックだったのかなぁ」
「誰のせいだと思ってる!?」
「ヒナター!? しっかりしろってばよぉおおお!!」
気を失ったヒナタさんはそのまま本職の医療班さんに担架に乗せられ運ばれて行きました。
シリアスだったはずなのに………ただ、ヒナタを救済したかっただけなのに、気付いたらとどめさしてた………どうしてこうなった。
主観ですけど、どう見てもヒナタは接近戦タイプじゃないだろと。
真実は不明ですが。
そもそも白眼なんて便利な眼を体術だけに使うこと自体が相当もったいないと思うんですよ。
遠距離忍術を学べば望遠眼で狙撃ができるし。
医療忍術使いからすれば透視眼は喉から手が出るほど欲しい代物でしょう。
原作に登場した青という霧隠れの忍びは白眼と感知忍術を駆使し幻術を暴いていましたし。
つまりコトやカナタの価値観からすれば、あくまで体術に固執するヒナタは相当もどかしかったわけです。
ヒナタ、ごめんなさい。
彼女たちに悪気はなかったんです………いや日向流は十二分に強いいんですけど。
あまりに強すぎたせいか、第二部後半では誰一人として彼らに接近戦を挑む敵は現れず。大規模な地形変動忍術とか斥力とかで吹っ飛ばされ、インフレしすぎた遠距離超火力忍術の前に柔拳の出番はなかった………
あと日向ヒアシさんの思惑はもちろん捏造なわけですが、一応根拠はあります。
原作12巻にてヒアシはネジにヒザシの最期を語ることによって和解するのですが、それはそれとしてヒナタとの確執はどうなったと疑問に思った人はいないでしょうか。
ヒナタとヒアシが揃って再登場するのは原作27巻、第一部の最後の最後の後日譚みたいな場面です。
その時の2人はネジも含めて確執なんてなかったかのようにふるまっています。
これはどういうことか。
原作で描写されていないところで和解した、と考えるのが自然です。
才能ではなく、性格面で忍びに向いていないからあえて突き放した結果とも(しかしこれだと紅先生に預けた理由が説明できない)
今作ではすべては言葉足らずが原因の勘違いで最初から確執などなかった、という風に解釈しました。
最初から気難しいだけで悪い人ではなかったみたいなのは事実なので、別段不自然ではないはず。
次回こそ、マイカゼ回です。