少年少女の戦極時代   作:あんだるしあ(活動終了)

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第49話 新世代ライダー

 

 

 “それ”に先に気づいたのは鎧武だった。

 

『! 咲ちゃん!』

 

 金色の矢が咲たちを狙い撃った。

 

 鎧武が咲を抱え込んで光矢に背を向けた。

 矢は鎧武の背中に刺さり、爆ぜた。衝撃で鎧武の変身は解け、紘汰は水路の段差を濡れながら転がり落ちて行った。

 

「紘汰くんッ! ――だれ!?」

 

 咲は矢が飛んできたほうを見上げ、――戦慄した。

 

 白いアーマードライダーだけでも脅威だというのに、そこに立っていたのは、白いアーマードライダーと同じ型と思しき3人のアーマードライダー。チェリー、レモン、ピーチの意匠。全員がアーチェリーの弓を持っている。

 

(この人たちの中のだれかが、あれで、紘汰くんを撃ったんだ)

 

『お前の悪ふざけが招いた結果だ。後始末くらいしたらどうだ』

『はいはい、っと』

 

 4人の内、チェリーの鎧をまとった銀のアーマードライダーが降り立った。

 

 銀のアーマードライダーは、向かって来たヘキジャインベスに弓で斬りつけた。

 倒れたヘキジャインベスを踏みつける。踏みつけ、立たせ、斬りつける。そのくり返し。

 

 ブラーボが黒影とグリドンを痛めつけた時はひたすら気分が悪かったが、この銀のアーマードライダーは違う。大きく違っている。

 これは暴力ですらない、ただの「始末」だ。

 

「やめろ! やめてくれ! そいつは人間だ、俺たちの仲間なんだッ!!」

 

 銀のアーマードライダーが逃亡しようとしたヘキジャインベスにソニックアローを放った。光の矢はヘキジャインベスに着弾するや爆発した。

 

「やめてぇぇぇぇ!!」

 

 これ以上は見たくない。傷つく初瀬も、初瀬を見て叫ぶ紘汰も。

 

 

 咲はドライバーとロックシードをセットして、銀のアーマードライダーに向かって駆け出した。

 

《カモン! ドラゴンフルーツ!》

 

 かけ声も惜しみ、アームズ装着の間も惜しみ、月花は変身しながら銀のアーマードライダーに殴りかかった。

 

 しかし銀のアーマードライダーはひらりと月花を躱すと、腹に一閃、月花が屈んだところで背中に一閃、弓で斬りつけた。

 月花は膝を屈したが、せめてもの抵抗にDFボムを投げつけた。

 だがそれさえも、銀のアーマードライダーは弓から放った一矢だけで誘爆させ、続く矢を月花に向けて放った。鎧武の時同様、矢は着弾するや爆ぜた。

 

『きゃああっ!』

 

 月花もまた噴水に飛ばされ、水面にぶつかったところで変身が解けた。

 

 銀のアーマードライダーは何事もなかったかのように、ヘキジャインベスの“後始末”に戻って行く。

 咲より下の段にいる紘汰が何か叫んでいる。

 

(紘汰くん、初瀬くん……ごめ、ん……)

 

 手を上げても銀のアーマードライダーを止められるはずもなく、落ちた手が水面を叩いた――咲は気を失った。




 ヘキジャ退治を見た咲はどうなるかを感想でたくさん頂きましたが、ま さ か の
 咲、初瀬がやられる前に退場!!デス!!(>_<)
 いやこれちゃんと理由があるんですよ? 「初瀬が死んだ」という「悲しみ」の部分を背負うのは紘汰で、咲は「人間がインベスになり、同じ人間の手で殺さなければならない」という「業」の部分を担ってほしかったのです。せっかく(一応)主人公クラスとして描写するので、14話の成分を分担させてみました。

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