少年少女の戦極時代   作:あんだるしあ(活動終了)

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第22話 鎧武×リトルスターマイン ~On Stage~

 

 

 合同練習の日々はあっというまに過ぎ、ついにリトルスターマインが鎧武のステージに立つ日が来た。

 

 

「あー、ヤバ。キンチョーしてきたぁ」

「……」

「チューやん、顔青いぜ、だいじょうぶか?」

「……へいきだ」

 

 トモやチューやんだけではない。モン太は普通通りだが服の前後が逆だし(今直しに行った)、ナッツは貧乏ゆすり。

 目を輝かせてチーム鎧武のダンスを観る余裕を見せるのはヘキサだけだ。さすがの咲も今回ばかりはブから始まるコンプレックスを口にしてやろうかと思ってしまった。

 

 ステージの曲が停まった。沸き起こる拍手。チーム鎧武のダンスが終わったのだ。咲の心臓はさらに速くビートを打ち始める。

 

「今回は特別にスペシャルゲストを呼んでるよ! カモン!」

 

 舞の声にヘキサ以外の5人は肩を跳ねさせた。

 

「――ここまで来たら腹くくるしかないわよ」

 

 咲たちはメンバーを集め、円陣を組み、中心で手を重ねた。

 

「さあ、行っくわよー、みんなっ」

『おー!』

 

 そして、咲たちリトルスターマインは、初めての正規ステージに上がった。

 

 

 

 

 

 ――1日限りの祭典が幕を開ける。

 

 最初観客は未知なる招待客に訝しんだが、誰かがリトルスターマインという特別なチームだと言い、舞がそれに応えるように咲たちを紹介したことで、咲たちは拍手で迎えられた。

 

 

 まずはリトルスターマイン単独のダンス。

 今日はいつも以上に、ゆらゆら揺らめく動きを強調し、抒情的(とヘキサが表現した)に踊った。

 これについては、拍手はまばら。残念だが構わない。これは観客にリトルスターマインを紹介するためのダンスだから。

 

 

 続いてはメインプログラム、チーム鎧武とのコラボレーション・ダンスだ。

 ポップコーンのように飛び跳ねるチーム鎧武のメンバーの間を縫って、リトルスターマインは水草のように踊る。

 緩と急をそれぞれのチームに割り振り、舞台の上で融合させる新ダンス。

 

 

 そして振りつけはついに咲提案の「鎧武の男子がリトルスターマインの女子をリフトする」ところまで来た。

 

 さあいざ、ヘキサと光実の兄妹コンボ――

 という寸前、プレイヤーズパスが何者かに抜き取られて音楽が中途半端に停まった。

 

 

「こういう物で公共のステージを使わせるのなら、もっと厳正な審査の上で発行するべきよね」

 

 観客がどよめく。咲にはイヤというほど見覚えがあった。プレイヤーズパスを奪ったのは、凰蓮・ピエール・アルフォンゾだった。

 

「あたしたちのダンスの良し悪しを、何であんたに決められなきゃなんないのよっ」

「誰も決めようとしないからよ!」

 

 果敢にもチーム鎧武のリカが声を上げたが、凰蓮はそれを上回る大声と気勢で言い返してきた。

 さらに凰蓮は「ニセモノ」だの「文化が廃れる」だの言い連ねたが、咲の耳には届かなかった。

 

 咲が想っていたのは一つ。

 

 

 ビートライダーズ始まって以降初の試みだった。

 ヘキサを光実と踊らせてあげられる初めての舞台だった。

 

 それを、潰された。

 それを、邪魔された。

 

 

(絶対、ゆるしてなんかあげない)

 

 咲の手は吸い込まれるように戦極ドライバーに伸び、ドライバーを取り出していた。




 鎧武の子たちは男子がラットだけかと思いきやあと2人ほどいたりいなかったりするので困ります(^_^;)

 怒りに任せてすぐドライバーに手を伸ばしちゃう辺りはヒロイン①もまだまだ子供です。でもそれがいい。子供の子供らしい部分を書くのが今作の目標なのです。
 凰蓮の割り込むタイミングをさらに悪くしてみました。
 ここ実はプロット段階ではなかったんですよね。読者様方のブラーボへの反響を考えて作者なりに作ったオリジナルだったりします。感想をくださった皆様のお声あってこそ生まれたストーリーですので、楽しんでいただけると幸いです。

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