少年少女の戦極時代   作:あんだるしあ(活動終了)

15 / 85
第15話 初陣の戦果

 月花はグリドンに向かって駆け出した。

 

 ブドウ龍砲の射線上をまっすぐ行っても、月花は体格が小さいので、頭上を弾が行くだけで当たることはない。

 

 月花はグリドンの両足にタックルして、グリドンを後ろに押し倒した。そして、ぐわしと、グリドンの両足を抱え持ち、ジャイアントスイングの姿勢に入る。変身したおかげで腕力はパワーアップしている。

 

 5対1で勝つ? 一番イヤな奴に退場願う? そもそもこのグリドンは前提から間違えている。

 

『あたしは元々、龍玄の助っ人に来たのよ!! えい、やああああああああ!!』

『え、ちょ、それありぃいいいいあああああ!!??』

 

 月花はグリドンをぶん回した。ぶん回した。ぶん回した。

 

『飛んでっ……けぇー!』

 

 月花が手を離す。グリドンが飛ばされた先には――階段の上でブドウ龍砲をチャージした龍玄。

 顔が露出していたなら、おそらくにやっと笑う光実が見られただろう。

 

 龍玄がトリガーを引いた。龍の息吹のようなエネルギー砲がグリドンに命中した。

 

 グリドンは階段に落ちて、転がって、止まる頃には変身が解けていた。

 

「き、今日はたまたまっ、調子悪かっただけだからな!」

 

 城之内はドライバーを拾うと、一昔前の小悪党のようにぴゅーっと逃げていった。

 

 鎧武のほうは鎧武で、黒影の撃退に成功したらしい。いつのまにか初瀬が消えていた。

 

 

 

 何とか勝てた。

 安心感から月花はその場にへたり込んだ。その拍子に変身も解けた。

 

「咲~~~~っ!」

「へ……ひゃあ!?」

 

 トモとナッツが左右から咲に抱きついた。全員がフェンスを乗り越えて駆けつけてくれたらしい。

 

「すごかったよぉ。メッチャかっこよかった!」

「やっぱあんたサイコーだわ!」

 

 モン太もチューやんもヘキサも、興奮した様子で咲を褒め称える。こうはしゃがれると、まんざらでもない気分になってくる。咲はえへへ、と笑った。

 

 すると、咲たちのちょうど前を、変身を解いた光実が走って行った。

 

「紘汰さん!」

 

 行き先は葛葉紘汰とチーム鎧武のもと。光実は紘汰と握手し、仲間たちと健闘を讃え合っている。

 

「あたしたちも行こう。これ以上はおじゃま虫みたいだし」

「だね」

「立てる?」

 

 両側からヘキサとトモが咲を支える。モン太とチューやんが先導し、ナッツが後ろに付いた。

 仲間の肩を借りて、咲はその場から去った。

 

 

 

 

 

「そうだ、ミッチ! さっきの子たちは」

「あれ? さっきまで向こうにいたんですけど」

「まだ礼も言ってねえのに……」

「ピンチに颯爽と現れて人知れず去る、ですか――まるでスーパーマンですね」

「だな。今度会えたら、ちゃんと話してみてえな」




 これにて紘汰復活&オリライダーおひろめ編、終了でございます。
 せっかく子供なんだから体型は生かさなくっちゃ(*^_^*)……といいつつ自分で「龍玄の肩くらい」と表現したので、まあアレです、キバみたいに腰を低くして突っ込んだんだと思ってください。
 技名、大車輪でよかったのかな……正しい技名知ってる人切実に募集です。

 次からはクリスマスゲーム編です。

 2014/1/22 すみません、クリスマスゲーム編より先にブラーボ編でした<(_ _)>
 2014/1/30 たびたびすみません。読者様のご指摘により文を一部修正しました。「大車輪」→「ジャイアントスイング」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。