魔導変移リリカルプラネット【更新停止】   作:共沈

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お久し……って何回俺はこれ言えばいいんだ。五飛教えてくれ。仕事もあるけど消火したいゲームが山積みなんだ。

 さて、本編は英語で書くとボロが出て大変な事になりそうなので日本語訳でお送りします。但しデバイスについては演出重視とイメージ損なわないように英語のままで(ただし今回ヒトコトも喋ってない。ベルカ式はどうすっかな……。


Surprise attack!

『Hey!レディ&ガイズ! 元気にしてたかい!? 俺はもちろんお通じもいいくらい最高の気分さ! なんてったって今日はゲストにあの日本から、フライングサムライガールがやってきてくれたんだからな! 喜ぶ準備は出来たかてめぇら、ミス・ナノハタカマチの登場だぁ~ッ!!』

 

 ドパッ! という炸裂音を伴って空砲が鳴り、間を置かずに数回連続する。豪快な音に続き複数の火柱も立ち上り、舞台の上はやりすぎたヘビメタライブのような様相を表す。その中央の階段上から、堂々と手を振りながら高町なのはが現れた。だがスキップをするかのようにトントンと跳ねて階段を降りる姿が未だ子供らしさを保っており、キュートだ……! と危ない男たちが倒れる姿が続出する。この時、アメリカ人は初めて萌えの原初を覚えた気がした。男だけでなく女も、子供も、そして老人も、全てを魅了する天使を見たように感じたのは間違いないであろう。

 

『皆ぁー、こんにちはー! 日本からやってきた高町なのはでーす! 今日はここに来てくれたあなた達のためだけにステキな空の映像を届けちゃうよ―!』

『YeaAAAAh!!!』

 

 少女の挨拶を皮切りに当初のざわめきは一斉に轟音へと変化した。今ここに、日本を代表するスターのデビュー舞台の幕があがる。

 

 

 

 

 このイベント、エアライブの注目どころはいくつかある。まずは巡航による上空からの街並みの撮影、高町なのはによるアクロバット飛行、同様にグリフィスパークの木々を駆け抜けるように飛行するトリックなど。特に普段カメラを持っているため映ることが少ないなのは自身が飛んでいる映像は貴重なものとなる。情報通は事前のリークに従い、フライパスされる予定のマウント・シナイ記念公園にカメラ片手に朝早くから陣取っていた。勿論リハの映像も記録済み。また会場では巨大スクリーンに加え、酔い対策のための球体映像装置、スフィアスクリーンも用意されている。これはフライトする3人の中心座標を捉えて対象を立体的に映し出す装置であり、こちらは通常のカメラを介さずにサーチャーを用いた直接中継となっている。そのため三人の位置取りが非常にわかりやすく見ることが出来た。

 

 会場から飛び立ったなのはは、レイジングライザーの青いスラスターカバーを開口させ桜色の魔力光をなびかせながら飛んでいた。ノズルが奏で続けるフィィ……という高音が心地よさを与えてくれる。カメラはバックパックから伸びるサブアームに接続されており、なのはの思考制御に合わせて首をキョロキョロとあちこちに振っている。くるりと体を仰向けに半回転させると、そこには二人の若い魔導師がいる。金髪のニヒルな笑顔が似合う男性と栗毛のパーマがかかった背の高い女性、どちらも付き合いを持って短いものだが、彼らの持つ憧れと尊敬の念がなのはへの追従と確かなチームワークを組み上げるのに役に立った。二人と、そしてカメラに向かって手を振ると、彼らも笑顔で返し会場側からも中継される音声が熱気を伝えてくる。ちょこちょこと上空からの説明を加えるとまた様々な反応が飛び交う。そんな中、なのははマルチタスクで違うことも同時に考えていた。

 

(忙しくてもうひとりの私についてのこと聞けなかったなぁ……。あの人なら何か知ってると思うんだけど……)

 

 あの人とは勿論ジョニー・スリカエッティのことである。かつてドッペルゲンガーと勘違いしたもう一人の自分――案外本当にそうなのかもしれないが――から渡されたデバイスを持って病院に行った時、待ち構えているかのように彼はいた。当時は気にしていなかったが、今考えれば二人に何らかのつながりがあったことはまるわかりだろう。聞けば何かわかったのだろうが、イベントのメインキャストとなっているなのはは時間が確保できず、結局それを聞くに至らなかった。もうひとりの自分はなのは自身しか見てないこともあり、その存在は周りからも懐疑的であるため両親に聞いてもらうというのも違う気がする。ので、自分で聞きたかったという事もまた遠回りの要因になっていた。世の中なかなかうまく行かないものである。

 

(よし、後でちゃんと聞こうっと!それに、まずはこっちを楽しまないとね!)

 

 今考えても詮無いとなのはは思考を中止し空中でスピンを入れ、頭を地面に向けてフリーフォールを始める。魔力保護をカットしたため轟々と空気を切り裂く音を耳が捉え、激しくなる。感覚だけで危険域に入る前に再びスラスターに魔力光を灯し急ターン、細かくフィンを動かし大きなGを受けながら上昇、元の位置に戻る。これだけでもワッと大きな歓声が届いた。その姿は見る人によってはツバメのようだ、と表現するほどの美しさを持っている。目の前で見た新米魔導師カメラマンの二人は、未だ自分達には不可能な華麗な動きに見惚れていた。彼らの高度も追い越し、さらに上昇し太陽の光を浴びるなのははツバメどころか、天使以上の感動を生み出しているのかもしれない。

 

 

 カメラはなのはを追って低空から、丸々とした太陽を映した。その時、不思議なことになのはが背負った太陽にポツリ、と黒い点が浮かび上がったのだ。そのまま黒点のようだと感想を持ったが、普通それが肉眼で見えることはありえないだろう。その上何故かそれはムクムクと大きくなっていくではないか。いや、徐々に拡大されていくそれは黒点などでは決して無い。肥大するそれに遅れて耳を裂くような甲高い風切音を伴っている。つまりそれは隕石のような落下物、いや――!

 

「ミス・なのは!後ろ!」

 

 金髪の男性が慌てて叫んだのとほぼ同時、レイジングハートも警告を告げる。背筋をつきぬけるような寒気を感じたなのはは、反射的に分割したレイジングハートの柄を使いディバインセイバーを振るった。瞬間、ガチっと噛みあうような鋭い音の後、ビームと本物の刃が拮抗し合いジジジ、とショート寸前の電気のような音をひびかせる。それすなわち、奇襲――

 

「ふ、殺気を放てばさすがに気づくか。期待通り、やるものだな」

「あなたは――!?」

 

 互いに押し切るように剣を振るって弾き、距離を取る。太陽を背にした者の影に目が慣れ、やっとその姿を確認できるようになり強襲者の姿は女性、と判断できるようになる。風になびくポニーテール状の髪型とともに、全体の配色が紫寄りの薄いピンクで統一されたスタイルのいい女性。しかしただの女性ではないであろう切れるように鋭い目は強い威圧感を伴っており、何より手に持つ武器が、否デバイスが尋常ではない。それは女性の身長の半分くらいはありそうな寸長の実直剣。ひどく鋭利なそれは、間違いなく血を浴びているであろうという直感がなのはを襲う。こんなモノは父士郎の刀以外では見たことがない。初めて対峙する家族以外の剣士になのはの手はわずかに震えた。

 しかし同時に違和感、そういった人物たちがおそらく持つであろう闇を映すような表情が、彼女にはない。どこかすっきりと晴れきった、そのまま真後ろの太陽と同化してしまいそうなほどの熱意を宿している。果たしてこの人物は本当に殺しを行ってきた人間なのか?と疑念がよぎる。そうして勘ぐっていると、なのはの背後、低空から再び声が上がった。

 

「って、ミス・シグナムじゃない!? いきなり何斬りかかってるの!」

「……え、知り合い?」

 

 目が丸くなる、とはこのことだろうか。どうやら女性は栗毛のカメラマンの方と知り合いらしい。暗殺者かと思ったらご近所のお隣さんでした☆レベルの肩透かしを食らった気分になのははなった。

 

「えぇ、そうよ。彼女が私達に飛行指導を行ってくれたのだけれど……あなたいつも主がどーのこーのってミス・はやてに侍ってるじゃない。なんで今日はこんなところに一人でいるのよ?」

「何、地球でも有数の魔法剣の使い手がここにいるのだ。ならば、騎士としては寄って斬……腕試しをしたくなってもおかしくはあるまい」

「なんだか今聞き捨てならない事を言ったような気がするの……」

「それにしたって本番中にやる必要無いでしょ!? それくらい後でだって出来るでしょうに!」

 

 たしかにそうだ、とばかりにシグナムが頷くが

 

「と、いってもだな。プロデューサー直々にOKを貰ったのだからやるしかあるまい。いわゆるサプライズ、というものだそうだ」

「やけにアドリブの時間が多いっていうのはそういうこと……?」

(えーっと、実況の方は……)

 

『おーっとこれは驚きだ! ミスの動きに触発された謎のサムライが突然乱入してきたぞー! 果たして少女はこれをどう躱すのか! あるいは打ち倒すことが出来るのか!』

 

(えぇー……ノリノリで実況しちゃってるの……)

 

 通信をつないだスタジオは一切の動揺を見せること無くハイテンションで実況を続けていた。ということはシグナムという女性の言うとおり、予定通りということだったのだろう。つくづく演者泣かせのプロデューサーだ、と心のなかで愚痴る。というか、彼らにかかればなんでもかんでも侍なの?……だからといって文句を言ってどうにかなるものでもないか、とさっと切り替えて目の前の騎士に向き直る。

 

「いきなり斬りかかっておいて今更だが、私と一手手合わせ願おう。自然を壊したくない故本気ではないが、全力を所望する」

「あはは、まぁそのくらいは別に。……というか、あのくらい躱せないと今度どんなハードトレーニングが課せられるかわかったものじゃ……」

「む?何か言ったか?」

「い、いぇなんでも!」

 

 互いに切っ先を向けあい鍔を鳴らす。決して油断できる相手ではない、剣士としての気迫からしておそらくこちらが挑戦者。果断に飛び込む覚悟を持って望まねばならない。

 

「永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術、剣士見習い高町なのは!」

「守護騎士ヴォルケンリッターが烈火の将、シグナム」

「いざ」

「推して参る!!」

 

 

 

 

 正面衝突を起こすようにぶつかり合う二人の剣士に、スタジオ中が湧く。スクリーンに映し出される本格的な殺劇に観客たちは大盛り上がりだ。シグナムのほうはその長剣を活かし、苛烈にそれを振りぬく。しかし単純な大振りなどでは無くその一刀々々にメリハリがあり、鋭い切り返しに少女は攻めあぐねる。かと思えばなのはのほうもその小柄さと技術を使って騎士の剣技を受け流しつつ、細かく相手の隙を突こうとしていた。とはいえその場にいない観客たちにはわからないだろう。彼女たちが呼吸を忘れたかのように目の前の相手に集中しあっていることを。一手どこか悪手を打てばそれが致命傷になりかねないことを。

 

 そしてそれが彼女たち以外にわかるのは、仕合、あるいは死合を経験した者達のみだろう。

 

「ドコに行ったかと思ったら、シグナムのやつあんな楽しそうにしやがって」

「おちゃめさんやなぁシグナムは。なんかやらかすのはスカさんやろうとは思っとったけど」

 

 ちょっとだけ羨ましそうなヴィータを横に、はやては手前の席のジョニーを見つめる。だが彼は画面を見ながら何か興味深そうに微笑みを浮かべているだけだ。その状態こそが彼のポーカーフェイスであるため、無表情以上に読みにくいのは確かだし案外特に何も考えてないのかもしれないが、何にせよ全く信用されていない。

 

「それなりに拮抗してるじゃん。あたしとユニゾンすれば楽に勝てるだろーに」

 

 クルリクルリ、立ち代わり入れ替わり攻撃しあう彼女らを見ながらヴィータの肩で寝そべっているアギトもぼやく。二人の心境をわかるにはまだ剣士というものに理解が足りてないらしい。

 

「アギトがユニゾンしたらパークが焼け野原になってまうで。それやと私と変わらん広域殲滅型や、そやのうて、シグナムは自身の実力だけで勝負したいんやろ」

「実際に戦争をしてたあたし達からすりゃぬりー空気だけどさ。あんなふうに命のやりとり無しに純粋に武勇を競えるってのは嬉しい事だからな。見ろ、その証拠に高町にゃの……なのはも砲撃を使用しねーで剣士として戦ってるだろ」

「ふぅん、そういうことか」

「それにしてもにゃのって、ぷふ」

「う、うるせー。あいつの名前言いにくいんだよ」

 

 恥ずかしげにそらした顔を見ながらクスリとはやてが笑う。釣られてシャマルも笑い、ザフィーラはニヒルな笑みで返す。咳払いで気を取り直して視線を戻したヴィータの目には、五分の状況を優勢に引き込んだシグナムが映っていた。

 

 

「ふっ!」

「せいっ!」

 

 ぶつかり合う二人の姿を撮影するカメラマン二人は、自分達にとって埒外の高速戦闘に理解が出来ないまま息を呑んでいた。必死に撮影しようとするも唐突にブレる、消える、現れるの3拍子でカメラがまるで追いつく気がしない。それでもプロとしての矜持を持つ以上出来ないなどとは言えない。己が腕と勘を頼りに食らい付こうとする。見え―ー。

 

「ワオ!あぶねえ!」

「気合で避けろ!当たっても知らんぞ!」

「広いんだからわざわざ横切る必要はないだろ!?」

 

 剣戟に速度を上乗せするために横切るシグナムの理不尽な言葉が飛ぶ。風圧だけで飛ばされそうになるのを堪えカメラをグンッと振る。その先では二刀を十字に構えたなのはがシグナムの上段斬りを防いでいた。この勝負、振りまく魔力を回収し密度を上げるディバインセイバーがある以上時間をかければかけるほど有利になるのはなのはのように思える。しかしシグナムは短期決着を目論見、徐々にカートリッジを使い始めているため瞬間的な威力では完全に上回っていた。物理剣でない以上、セイバーはそのたびにはじけ飛び再構成を繰り返している。

 

「ふ、やるようだな。しかしそのような魔力剣では物理剣は貫けまい。設定が仇となったな」

「ご丁寧にどうも!でもまだ負けたわけじゃない!」

「たしかにな。とはいえ、剣士ではなく魔導師としての全力でなければ今は私と同等には戦えまい。悪いが、ここで終わらせてもらおう。時間に制限がある今では難しいが、いずれ全力で戦いたいものだな!レヴァンティン!」

 

 自らなのはの剣撃を受けて弾き飛んだシグナムが命令し、レヴァンティンがカートリッジをロードし排出。ガチャコンと音がしたと同時、常と違う何かを感じ取ったなのはは焦るように空を駆けた。しかしそれは、シグナムにとって好機であり、なのはにとって蟻地獄に絡め取られるような悪手であった。

 

 なのはが剣の間合いに入るよりも明らかに早くにシグナムが剣を振るった。遠心力に従いその刀身はペキペキと離れ内部に組み込まれていたワイヤーが露出を始め、細かくブレードが分かれ始める。瞬く間にレヴァンティンは伸びに伸び、魔法の力も借りたそれは元のものよりも明らかにブレードが増えていた。

 

「じゃ、蛇腹剣!?」

 

 動揺した時にはもう遅い。伸びきった刀身が完全に自分達を囲っておりがんじがらめで逃げ場がない。これは完全に初見殺しではないか――!振り回される刀身はシグナムの意志を反映し、読んで字のごとく蛇のようになのはに絡みつき襲う。少しずつ退路を狭められながらもセイバーで反撃するが、圧倒的な物量の前になのはの剣はその勢いを殺されていった。そして――

 

「ふ、一本だ。今回は私の勝ちだな」

「うぅ、負けちゃった……」

 

 ギリギリの回避を続けていたが、背後を鞭のように打たれることでとうとうなのはに有効打が入ってしまった。それを確認したシグナムは剣を元に戻し、冷静であるが家族には分かる程度に満足気な顔をしていた。

 

 しかしこれはなのはがメインのショーであり、見る人からすれば「大人気無ェ……!」と怒涛のツッコミが入るところである。見ればカメラマン達は「この後の進行どうすんだよ……普通に続けられねぇ」とあきらめの境地に入っており空気が完全に死んでいる。だがシグナム、悲しいかなそれに気づかない。逆にスタジオの方はハイレベルな戦闘に絶叫と感動の嵐で司会ともども盛り上がっており、熱意を糧に先の戦闘プレビューを流しながら説明に勤しんでいる。そんな時、

 

『おーっほっほっほっほ!!』

 

と甲高い声と共に地中から、ドラム缶型の巨大ロボットが湧いて出た。

 




ちな現在積んでいるのはアサクリ4にバトルブロックシアター、ゴートシミュにスクリブルノーツ、Magic2015にスペースエンジニア、トライアルFusion、Banished、ダークソ2……アホのようにSteamで買いすぎたなうん。クリアしたのはスプセルだけ……。

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