できればALO編は今年中に終わらせたいなー、とか考えてた理想が遠のいていきますね。
────果たして、魔剣グラムは弾かれた。
伝説級武器は一度は短剣を通り抜けたのだ。見誤ったのは使い手の技量。
魔剣をすり抜けた後、少女は短剣を逆手に持ち直し、自分の側に引き寄せた。無銘の短剣が実体を得たグラムを捉えたのは道理だろう。必殺であるはずの魔剣は軌道を逸らされ、虚空を斬ることしか叶わなかった。
「強いな、あの子……」
リーファとともに滞空するキリトが呟く。
黒衣の少年は一瞥してヘラの実力を感じ取ったらしい。
ユージーンが強いことは誰の目から見ても明白だ。戦士としての総合力なら、現在の対戦カードは勝負にならない。
白猫の少女の特筆すべきは類稀なる戦闘技術だ。彼我の実力をしかと見極め、最適な位置に適切な速度で剣を振るう。少女の攻撃はAIによる自動操作だ、と言われた方がまだ納得いくほどの正確無比さ。歴戦の戦士であるキリトだからこそ、一合の打ち合いで少女の強みを見抜いてみせたのだろう。
キリトの審美眼に感嘆しつつも、リーファはほくそ笑んで口を開く。
「そりゃそうだよ。だってあの子──ヘラちゃんはALO内で最高の……」
「ヘラちゃんだって!?」
いきなりのキリトの大声に、リーファは思わず身体を震わせた。
出し抜けに叫ばれたこと以上にリーファを驚かせたのは、悪霊に憑依されたかのようなキリトの表情だった。端的に言えば血走っている。いつもは泰然自若とした少年剣士が焦燥に駆られる様子は、リーファの心胆を揺さぶるに値する衝撃だった。
ヘラちゃん、という言葉にキリトは何を見出したのか。ヘラちゃんがキリトにとって、どんな意味を持つ人物なのか。
疑問がリーファを惑わせる。戸惑いの原因は単純な興味だけでなく、ヘラという女性にキリトが強い関心を示していたからでもあった。つまり、リーファは……
続きを考えそうになった頭を慌てて振って、思考から言葉を追い出す。
リーファが呆気に取られている間に、影妖精の剣士は平静を取り戻していた。キリトは口を開きかけてから言い淀み、断ち切るように目線を上空へ向ける。
リーファも気後れから追及することができず、キリトに倣って上を見た。
上空を舞台にした活劇は、白熱至極の剣豪勝負。抜刀した剣士達の間隙に、飛び散る火花を幻視した。
一撃を外せば速さに分がある少女が有利だ。狼狽えること無き戦術眼で、ユージーンは後方5メートルに平行移動した。間合いをとった最強剣士を、白猫は無理に追うことはしない。
追撃しようものなら押し負けると、ヘラはしたたかに弁えていたのだ。膂力も武装も圧倒的に格下の彼女が、懐に飛び込んで生還できる確率は奇跡的だろう。見極めて凌いだ寸前の斬り結びも、一歩間違えば即死だったのだから。
剣を構え直したユージーンがこめかみを浮かせ、唾棄するように言葉を放つ。
「白猫め……まさか貴様が帰っていたとはな」
「んー、ヒトの留守に空き巣しようだなんて、中々セコいのだね、トカゲくん?」
激しい抵抗を見せる獲物を前にした肉食獣のように、白猫の竜騎士は目を細めた。
対するユージーンはあくまで冷徹。顔色一つ変えずに、むしろ焚付け返してみせる。
「挑発には乗らんぞ、ヘラクレス。さっさと《レーバティン》を抜け。そんなオモチャでは勝負にならんだろう?」
「余計なお世話なのだよ。そっちこそ手加減しなくてよいよ? さっきの切り込み、呆れるほどにヘナチョコだったのだね」
ヘラの指摘を受けて、リーファは直前のやり取りを思い出す。ユージーンには翅の推力、体重、魔法等、まだまだ剣速を上げる余地があった。
そも、それらの技術を万全に活用することは至難の技なのだが、仮想世界のトップに立つ剣士達とあっては出来て当然であるのだろう。ならば、ヘラの目から見て手を抜いていたと思えても無理はない。
「フン。あれは試し切りだ。半端な心持ちで俺の前に立つのなら、次はその性根ごと叩き切る」
苛立ちを隠しもせぬ語調で最強剣士は威嚇を向ける。
火龍に牙を剥かれた白猫は、笑顔の裏にほんの僅かな焦りをみせた。戦闘が続けば少女が敗北する。それは見識ある剣士ならば誰でも予測できる未来であり、ヘラ自信が誰より確信している真実だ。
「まずい……このままヘラちゃんが負けたら、サラマンダー軍を止める抑止力が無くなっちゃう……」
リーファはか細く唇を震わせる。
この場にはヘラ以外に、ユージーンと拮抗する者はいない。悉くが必殺の果し合いに名乗りを上げる物好きなど皆無だろう。だからこそ膠着が保たれている。
だが一度趨勢が傾けば、それが種族そのものの敗北に直結する。至高の剣豪同士が演じる決闘は、代理戦争の様相を呈していた。
だが、リーファが祈ったところで動き出した果し合いは止まらない。
「いざッ!」
ユージーンが放った鬨の声は、連なる岩山を削るかと思えるほどの圧力だった。気勢に宿る勢いのまま、火龍の剣士は竜騎士へと突進を繰り出す。
リーファは手を組んで祈祷を捧げる。どうか猫妖精の少女に勝利の女神が味方しますように、と。
────その瞬間、脱領者たる少女の真横でボンッという爆発音にも似た音が立ち、天誅かとも思える暴風が巻き起こった。
風にあおられながらも何とかリーファが目を開くと、さっきまで並立していたはずのスプリガン少年が、跡形もなく消えている。
「え!? ちょっと、キリトくん!?」
首を回しながら相棒の名を反射的に叫ぶ。
キリトは既に漆黒の弾丸と化していた。照準はヘラとユージーンの間に合わせられ、際限なく速度を上げていく。
空を裂く砲弾は、剣士2人の間で勢いを殺し尽くす。静止の瞬間、キリトに追いつけぬ大気はミキサーじみた乱気流を生みだした、
突然の乱入者に呆気にとられ、不自然な静寂が作られる。
その静けさこそがスプリガンの剣士が狙いだったのか。上体を仰け反らせ、肺いっぱいに息を吸い込んだキリトが、
「────双方、剣を収めよ!!」
それ自体が攻撃判定を持つのではと錯覚するほどの大音量で、両の剣士を制止させた。
☆
「ヘラちゃんに会った!?」
電話口で聞かされた和人の報告に、意に沿わず上ずった声を出してしまう。
やっとの思いで邪神型モンスターから逃げて数時間後、現実からの
僕が言えたことでは無いが、和人も相当変な動きをしてるっぽい。
「そもそも、どんな流れでヘラちゃんと会ったのさ?」
『まず、なんでか家に帰ってまた混線したんだ』
「え? また? キリトの家にもALOしていた人がいるってこと?」
『あ……いや、そんなはずは……。ん? でもちょっと待てよ……? んー……この話は一旦置いとこう』
また和人が思わせ振りなこと言ってる……。
まあいいや。いつものことだし。
「うん。それで?」
『そこで知り合った女の子が、色々あって領地を抜けて俺を案内してくれることになったんだ』
「えぇ……」
『それからなんやかんやあって同盟会議に割り込んだらヘラちゃんがいた』
「ちょっと待って!? 端折り過ぎじゃない?」
『正直、説明するのが面倒くさい』
「もうちょっとぐらい頑張ろうよ!?」
『まあそんな感じだ。もう電話切っていいか?』
「面倒くささが滲み出てる!?」
どうした和人……。在りし日の君はもっと
ああ、そうか。
『あ、そうだ。ヘラちゃんからの伝言があったんだ』
「え、なになに?」
『ライトくん、今どこにいるのだよ?、だってさ』
「あ! ヘラちゃんに悪いことしちゃったな……ヨツンヘイム落ちてからもう一回落ちたんだ。すぐ戻るって伝えといて!」
『うーん、さすがライトだ。意味わからん』
「キリトに言われたくないよ!」
なぜ僕らは普通に冒険できないのか。SAOでも、よく周りから呆れられてたなあ……。もはや宿命を感じるレベルだ。
『まあ伝えよくよ。じゃあまたな、ライ……じゃなくて明久。明日には会えるように祈ってるぜ』
「そだね。次は世界樹で! おやすみ、和人」
『ああ、おやすみ』
携帯電話を耳から離す。通話を切ると、夜特有の軋むような静けさが訪れた。
掛け時計は午前3時32分を示している。音楽妖精コンビと取り決めた約束では、休憩は2時間としている。僕の制限時間は残り約1時間20分。
ローテーションは、ケビンとサマンサが2人揃ってまずログアウトを行った。2人がゲーム内に帰ってきたと同時に、僕も暇をもらった、という流れだ。
戻ればまた邪神型モンスターに追いかけ回されることを考えれば気が滅入るが、運が悪かったと諦めるしかないだろう。今は思考力の回復に努め、少しでも良いパフォーマンスをできるようにすべきだ。自分に言い聞かせて、仮眠をとるべくソファーで横になって目をつぶった。
暗室の中、1人で思いを巡らす。古きSAOでの情景にぼんやりと思索する。
孤独を感じると、未だに仲間たちとの冒険が色鮮やかに蘇ってくるのだ。その中でも飛び切り輝くのは優子の笑顔。
「会いたいな……」
病室で目を覚まさない優子にではない。仮想世界でも良いから、会って話がしたいのだ。
今は眠るべきだってわかってるのに、はやる気持ちは止められない。
優子を思い出せば出すほど、心臓が鎖に縛られていくような心持ちになる。締め付けられた胸があまりにも痛くって、ほおに水滴が流れているのに気づいてしまった。
ああ、もう僕って想像以上にイカれてるみたいだ。自分でもどうしようもないくらいに、優子が好きになっている。
鈍感だとは思ってたけど、まさか自分の心にまで疎いとは。
「泣くほど好きだったのか、僕」
だったら、良かった。
そうであるからこそ、僕は何に代えても優子を助けに行きたいと願うんだ。
ベッドの中で高揚と焦燥をないまぜにしながら、囚われの彼女を想って瞳を閉じた。
午前5時。
重い瞼をこじ開けてログインしてみると、ミュージシャンカップルが満面の笑みと仁王立ちで僕を待ち受けていた。
「朝だ!」
「朝だね!」
地下迷宮は薄暗く、朝感は全く無い。
「気持ちが良いな!」
「気持ちが良いね!」
邪神の呻き声とか聞こえてるけど、それでも気持ち良いんだろうか?
「つまり、こういうときは……」
「こういうときは……?」
「朝一番のセッションだー!!」
「わーい!!」
「それで昨夜は失敗したんじゃないのかよ!!」
「おいおいライト! 大きい声だすなって! モンスターどもに聞かれたら、また鬼ごっこが始まっちまうぜ?」
「とりあえずケビンは自分の言葉を100回くらい復唱しようか?」
僕が言えた義理じゃないが、脳みそどうなってるんだろ?
「それぞれの休息は済んだことだし、そろそろ出口を探そうよ。逃げてばっかりじゃ埒があかないって」
「休息つっても、オレは現実帰ってエフェクターを改造してただけだけどな!」
「わたしも歌ってただけだよ!」
「もう意味わかんない……」
2人ともなんでこんなに元気なんだ……?
「じゃあ頑張って出口探しちゃうよ〜」
サマンサは胸の前で握り拳を作って意気込んだ。
なにか良い方法があるんだろうか?
上半身を仰け反らせて
胸を膨らませて
思いっきり息を吸って
「ちょっと待って! 確実に声出す準……もが!?」
「お口チャックだぜ、ライト」
ケビンはあすなろ抱きっぽく、後ろから手を回して僕の口を塞いできた。うへえ、気持ち悪い!
そうこうしてるうちに、サマンサは肩まで伸びる金髪をなびかせて、跳ね起きるようにブレスを放つ。
もうだめだぁ……おしまいだぁ……。また邪神とクトゥルフ鬼ごっこする羽目になるんだぁ……。
そうしてサマンサが放った声音は──
「──────!!」
超高音! いや、これはもう人の耳じゃ聞き取れないくらいの音域だ。聞き耳スキルがあるからギリギリ発声していることは分かるが、一体なんの意味があるのかまでは読み取れない。
「これは……」
「サマンサの《歌唱》スキルから派生したエクストラスキル、《超音波》だ」
「それでなにが……?」
「まあ待っとけって」
ケビンは両耳に手を添えて目を閉じた。まるでサマンサの発した音に寄り添うように、我慢強く聞き耳を立てる。
やがてサマンサが可聴域外の音波を打ち止め、吐いた空気の分だけ大きく深呼吸をした。ピリピリとした鼓膜の刺激が止む。
「オリムラグ山が前だから……左が北か」
「ケビン? ブツブツ言ってどうしたの?」
「んー、ちょい待ち……よし。3時の方角に2キロくらい進めば上の階まで続く坂があるな」
「大丈夫? 熱でもあるの?」
「幻覚見てるわけじゃないぜ!? オレの自慢の耳で聴いてたのが目に入らなかったかよ?」
「それは見てたけど、なにしてたのさ?」
「反射音を聴いて地形を把握してたのさ!」
ドヤァ、と擬音が飛び出しそうなほどのケビンの表情に辟易していると、息を整え終えたサマンサが補足してくれた。
「コウモリとかと一緒の原理だよ!」
ごめん……コウモリの例からして分からない……。よ、よし。ここは知った風を装っておこうか。
「なるほど、コウモリと同じなわけだね」
「ライト、お前よく分かってないだろ?」
「な、なんでそう思うのさ!?」
「バカはバカの匂いがわかるのさ!」
説得力があり過ぎる……!
「まあともかく音が聞こえて地形がわかったんだね? 良かった! ところで、なんで最初からやらなかったの?」
「…………」
「…………」
プーカカップルは2人して、目を泳がせながら口笛を吹き始めた。え、なに、怖い……。
背後からブォンブォンと、大きなうちわで空をかき分けるような音が鳴る。もう嫌な予感しかしない。
振り返って謎の物体Xを目視する。それは、昨日さんざん僕を追いかけ回してくれた、コウモリの翼を持つ巨大蜘蛛だった。
「なにか弁明は?」
「ほら! さっき伏線張っただろ? コウモリと同じ原理だって。つまりコウモリなら聞こえるってわけさ!」
「伏線回収が早過ぎる! ああもう! とにかく逃げよう!」
「ほいきた!」
「はいな〜!」
軽妙ここに極まれりといった返答にはそろそろ慣れてきたところだが、ケビンとサマンサが笑顔を崩さぬ理由は解せない。モンスターに追われて逃げる時すら、状況を歓待しているようにすら窺える。
「もしかしてさ、わざとやってない?」
「あははは! バレちまったか!」
「バレちまったね〜!」
勘が当たってしまった。
いやそうだよね……薄々感づいてはいたよ? けど……
「なんでそんなこと……」
動機が全く分からない。僕の道程を妨害して、彼らにどんな得があるというのか。もしかしてただの愉快犯なのか?
自然と眉をひそめてしまう。一刻も早く優子を助けに行かなくちゃいけないのに。こんなところで燻ってる暇なんて無いのに。
ハラワタが炙られたような僕の心中を知ってか知らずか、ケビンはあっけらかんと笑う。
「なんでってそりゃ、ライトが笑わないからさ!」
「………は?」
ちょっとよく分かんない。
僕が笑わない? だから何なんだ。そもそも……
「笑えるわけないだろ……だって優子が今も苦しんでるかもしれないのに……」
「それはお前が笑っちゃいけない理由にならないだろ?」
そう……なのか?
優子が苦しんでいるのなら、僕も苦心すべきじゃないのか? 僕だけ安穏と生きることが許されるのか?
良いことなのか悪いことなのかも分からない。僕は、優子の気持ちに寄り添うべきなんじゃ……。
逡巡する僕の背中に、ケビンは張り手を打った。突然のことに目を白黒させていると、ケビンは豪快な笑顔を見せた。
「なあ、ライト! 笑おうぜ! めいいっぱいALOを楽しんで、笑顔で優子……だっけ? その子を救ってやれば良いじゃないか!」
「それは……」
「ALOはゲームだよ! だったら楽しまなくちゃ嘘だよね!」
2人の音楽妖精は、ニカッと笑って僕の腕を取った。
そっか……もうここはデスゲームじゃないんだ。命のやり取りも無く、ただ、娯楽として楽しめるゲーム。
優子を救うという大目的は、僕にSAOの影を落とし続けていた。でも、ここでは振り払って良いんだろうか? 僕は、楽しんで良いのか?
「さあ、闘おうぜ!」
「わたしは歌って、ケビンは弾いて、ライトは攻撃よろしくね!」
「良いこと言うなあサマンサ! 応とも! それぞれが選んだロールプレイ、その上での適材適所がMMORPGの醍醐味だもんなあ!」
ギターとマイクをそれぞれ持ち出すケビンとサマンサ。興奮と期待が昇華された面持ちは、見ているだけで楽しくなってくる。
そうか……そうだよね。ゲームは楽しむためにあるんだよね。デスゲームを生き抜いた2年間で、ゲームは遊びじゃないって植え付けられていた。
そんな考えクソ食らえだ。同じ優子を助けるという道のりだって、辛気臭いより呵々と駆け抜けた方が良いに決まってる!
「ありがとう……ケビン、サマンサ。ところで、わざわざ邪神モンスターを呼ぶ必要は無かったよね!?」
「ほら、ゲームってピンチの方が楽しいだろ?」
「コアゲーマー特有の変態プレイやめて!!」
軽口の応酬の最中にも、僕らは各々に構えをとった。
敵性体との距離は既に10メートルを切っている。さあ開戦だ! 思う存分戦って、負けそうになったら笑顔で逃げてやる!
青灰色の岩床を蹴った。同時にケビンが弦に指をかける。
「いくぜサマンサ! 怪物たちを惹きつけ過ぎないようにデチューンしとけよ!」
「あいあいさー!」
聞こえてきたのは低音の効いたマーチ。どうやったらギターでこんな音出るんだ……。あ、そうか。ギターっぽいだけでギターじゃないのか。
始まった演奏に身を任せれば、身体の奥からどんどん力が湧いてくる。湧出した気力に任せて、大蜘蛛に向かって最大射程で飛び跳ねた。蜘蛛邪神の頭上ギリギリを狙い撃つ。
このまま目玉を蹴り抜いて────
「ゴブパッ!??」
邪神を今にも飛び越えようとした瞬間、超高速の何かが僕の顔面を痛打した。
ほ、星が……目の前を星が回ってる……。
「きゃあ!? ライトくんを引いちゃったのだよ!?」
薄れゆく意識の中、ヘラちゃんの素っ頓狂な声だけがフェードアウトしていった。