僕とキリトとSAO   作:MUUK

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僕が明久×優子の二次小説を見ていて思ったことをここに書かせていただきます。
優子の一人称は「私」じゃなくて「アタシ」だよ!

優子さんも出る第六話お楽しみ下さい!


第六話「再会」

僕らは絶句していた。

天文学的な確率で、三人の女の子、霧島翔子、工藤愛子、木下優子と出会ってしまった。

僕がそこまで驚愕する理由としては、同じ学校であること、ゲームなどとは縁の無さそうな三人であること、そして何よりここが、今やデスゲームと化した世界初のVRMMOソフト、『ソードアート・オンライン』の中だということだ。

その静寂を最初に打ち破ったのは、やはりというかなんと言うか……

 

「……雄二……、会いたかった」

 

霧島さんだった。

 

「うわぁぁっ!いきなりひっつくな、翔子!それと、今の俺の名前はユウだ!」

 

本当に、三回ほど殺した方がいいんじゃないかな、この野郎。

 

「……それを言うなら私も翔子じゃない、『tear』」

 

tearって……ええと……確か、涙!そう、涙だったよね!なんで霧島さんはそんな名前にしたんだろ?

その疑問はユウも抱いたようで

 

「なんでそんな名前にしたんだ?」

 

と問いかけていた。

 

「……だって、涙は女の武器だから」

 

ユウは、頭に疑問符を浮かべた後、はっと何かに気づいた顔をして言った。

 

「ああ、涙か!切り裂くの方かと……」

 

切り裂く?どういうことだろう?そう思っていると、ティアがユウの頭に手を延ばしていた。

そしてそのままアイアンクロー……かと思いきや、何とユウはその愛の鞭に反応してみせた。

この一ヶ月の経験がきいてるのかな。

 

「……ユウは私のか弱さを認識すべき」

 

「出会い頭にアイアンクロー決めようとする女をか弱いとは言わねえよ!」

 

正論である。

 

「ところで、木下さんと工藤さんは何て名前にしたの?」

 

僕はユウの方を極力見ないようにしてそう言った。

 

「アタシは普通に優子にしたわよ」

「ボクは愛子の愛を取ってギリシャ語でエロース……」

 

ドサァァァァァァッ!

これは、ユウとティア以外の全員がずっこけた音だ。

 

「って言うのは冗談で、本当は『Liebe』にしたんだ」

 

これでリーベと読むらしい。良かった。女の子にエロースって呼ぶとか……なんの苦行だよ。

リーベは確かドイツ語だったかな?美波が言ってた気がする。

懐かしいなあ。もう、姫路さんと美波に一ヶ月も会って無いのか。

そんな回想に耽る僕の目に信じられない光景が飛びこんで来た。

なんと!ユウとティアが押し合いで拮抗しているのだ!

リアルじゃ有り得ない状況にティアも、戸惑った声を洩らした。

 

「……ユウ、なんでこんなに力が強いの?レベルの差があるから?」

 

動揺した様子のティアをみて、ユウが不敵な笑みを浮かべる。

 

「理由を教えてやろうか?単純なレベル差だけじゃねえんだ。実はなーーー」

 

 

それは、このデスゲームが始まって一週間ほどたった日のこと。

 

「ユウ!お前もちょっとは手伝えよ!」

 

ユウはこの時、明らかに自分の担当のモンスターを僕に押し付けてきたのだ。

 

「あー、勘違いするなよ、ライト。これにはきちんとした訳があるんだ」

 

なんだ、理由があったのか。じゃあしょうがなかったのかな?

 

「疲れた」

「死に晒せ!」

「やめるのじゃ、ライト!」

「止めないで、秀吉!僕の華麗なバーチカルをこの野郎にお見舞いしなきゃいけないんだ!」

「華麗?」

こいつ!ブッコロ!

「ユウも、ライトを挑発するでない!ムッツリーニも手伝ってくれんかの?」

「了解」

 

秀吉とムッツリーニに止められてしまい、僕はユウの虐殺を泣く泣く断念した。

 

「モンスターより先にユウに殺されそうな気がするよ」

「奇遇だな。俺もお前に殺される前に殺さなきゃいけない気がする」

 

カチャ(←剣の柄を握る音)

 

「……落ち着け、二人とも」

「そんなに互いが信用できんのなら、裏切れない状況を作ればいいと思うがのう」

「裏切れない状況って、例えばどんな?」

「うむ、そうじゃな。では、ライトが俊敏に、ユウが筋力にステータスを極振りするというのはどうじゃ?」

 

これには僕も言葉を失った。

確かにそうすれば、ユウと共闘しないとなんていうか、やってられない。

でも、流石にデスゲームで極振りする勇気は僕にはなかった。

それはユウも同じだったようで、決まり悪そうに言った。

 

「いや、秀吉……。それはちょっと……」

「うむ、ではお主らは常に仲間に裏切られる可能性に晒され続けるというわけじゃな」

 

くっ!それはそれでキツイ!

もうなんか、秀吉の案に乗るのもいいような気がしてきたな……。

 

 

「ーーと、まあそんなことがあったから、俺の筋力ステータスは異常に高いんだ」

 

ユウが歩きながら話を終えたころには、僕らは転移門から程近いバーに雑談の会場を移していた。

 

「何て言うか……、呆れたわ……」

 

優子が頭に手を当てて首を振った。

 

「本当に裏切る可能性があるところがまたすごいよね」

 

そこで始めて、彼女達に一番聞かなければいけなかったことに思い至った。

 

「何で、三人はSAOに入ってるの?」

 

そう、この場で最も不自然な事象はコレなのだ。

 

「……私が優子とリーベを誘った」

 

これまた意外だった。

何と無く、リーベが最初に誘ったものだと想像していたのだ。

 

「何でSAOなんてやろうと思ったんだ?」

 

ユウにとってもティアのその行動は不可解らしかった。

 

「……なんでって、ユウがやるからに決まってる」

「俺はお前にそんなこと一言も言ってないはずなんだが!?」

「……これが愛の力」

「そんな陰湿な愛は嫌だ!」

 

もう!ユウはティアといるといつもうるさいな。

 

「じゃあ三人もゲームショップに並んだの?」

「……ううん。お父さんがアーガスの人と知り合いだったから」

 

あれ?おかしいな……。目から汗が……。

僕達の三日間の努力はなんだったんだろう……。

 

「……ユウがティアに頼めば、俺達は並ぶ必要なかった」

「「あっ!」」

 

僕と秀吉は思わず声を出してしまった。

 

「何でティアに頼まなかったんだよ!」

「こいつに借りを作りたくないからに決まってんだろ!」

「……私はユウの頼みなら何でもする」

「見返りは?」

「プロポーズ」

「それが嫌なんだよ!」

「いや、どっちにしろ人生の墓場行きは確定してるんだしいいじゃないか」

「てめえは他人事だからそんなこと言えんだよ!」

 

だって実際、他人事だしなあ。

 

「まあいい。じゃあ次の質問だ。この一ヶ月、お前らはなにしてたんだ?」

 

この、確実に予想できたであろう質問に三人共渋い顔をし、口を噤んだ。

バーに響く時計の音が、いやに大きく聞こえた。

回答を静かに待つ僕らに対し、最初に口を開いたのは優子だった。

 

「……ずっと、始まりの街にいたのよ」

 

僕は、忘れていた。

始まりの街に残り、このデスゲームがいつの日かクリアされるのを待つ人がいることを。

それを自覚した途端、僕の中にどうしようもない焦燥感が浮き上がる。

時計の針は、定期的に音を立て続けているはずなのに、僕には次第に早くなっているように思えた。

 

「……ユウ達はどうしてたの?」

「分かってるだろ、最前線にいたんだよ」

 

ユウの一言で、場の空気がさらに重く僕にのしかかる。

 

「……なら、私もユウ達に着いて行く。」

 

そんな陰湿な空気をものともせず、ティアが凛とした声で空を振るわせた。

一瞬、言葉の意味が理解できなかった。

優子とリーベもポカンとした表情でティアを見つめている。

ティアの言葉に真っ先に反応したのはユウだった。

「バカ言うな!レベルも装備も二層で戦うには危険すぎる!」

これが僕に素手で戦えと言った男のセリフだろうか?

まあ、いいんだけどね……。

 

「……なら、今日中にレベルを十にする。それが出来たら認めてくれる?」

「ああ、できるもんならやってみろ」

 

あれ?こいつティアがレベルをそこそこ上げている可能性を考慮してないな。

 

「……よかった。こつこつモンスターをを狩ってたから、あと二レベル上げるだけ」

 

あーあ、やっぱり。

やってしまった感満載のユウの表情に笑みをこぼした後、ティアは言葉を続けた。

 

「……優子とリーベはどうする?」

 

また頭を押さえて、優子は嘆息しながら言った。

 

「どうするもこうするも、一ヶ月一緒に生活した友達に、いきなり行ってらっしゃいなんて言えないわよ……」

「うーん。流石にボクも一人で始まりの街に残ろうとは思わないかな」

「……じゃあ、頑張ろう」

 

ティアのその簡潔な言葉を最後に、僕らは転移門に五時間後で待ち合わせをして別れた。

この五時間という数字は、おそらく二レベル上げるにはこれぐらいかかるだろうという予想に元ずいたものだった。

だが、たった三時間後に僕らにティアからダイレクトメールが届いた。

その内容は、届いた時点で予測していたが、全員が十レベになったというものだった。

なんでも、ティアが鬼神の如き速度でmobを狩り続けたとか……。

 

「いくらなんでも、早過ぎるだろ……」

 

ユウが溜息まじりに呟いた。

いやあ、愛の力って凄いなあ。

 

「……じゃあ、パーティ申請送るぞ」

 

不承不承という顔をして、緩慢な動作でユウがパーティ申請の画面に三人の名前を打ち込んだ。

即座に三人の前に通知窓が現れ、当然三人共○ボタンを押す。

そして、僕の視界に新しいパーティメンバーの名前とHPゲージ、そしてレベルが現れる。

 

ティア:レベル七

 

優子:レベル五

 

リーベ:レベル六

 

 

…………ハッタリじゃないか!

 




前回が長過ぎましたからね。今回は短くまとめました!
そしてまた、話が進まない状況に逆戻り!
ラスボスを倒す日はいつになるのか!
それは筆者にもわかりません!

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