僕とキリトとSAO   作:MUUK

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ガハッ!書き終え……たぜ……。
やりたい下りを削りまくったことによって、どうにか一万三千文字ぐらいに抑えることができました!
にしても、ここまで遅くなったのは、活動報告にも書きましたが、パソコンが壊れたことに起因するんですが……。
シリアス?な第五話始まり始まり〜。


第五話「第一層ボス戦」

あの会議が皆の気持ちに発破をかけたのか、二十階は途轍もない早さでマッピングされていった。

そして、またディアベル達のパーティがボス部屋を発見した。

その時、同時にちょっとボス部屋を覗いてきたらしい。その日の夕方に第二回ボス攻略会議が行われ、その始まりはディアベルの報告からだった。

 

ボスは、二メートル程の大きなコボルトで、名は『イルファング・ザ・コボルトロード』。武器は曲刀を持っており、王の従者は武器を装備した普通の大きさのコボルトが三匹。

 

そしていつものように、アルゴの攻略本・第一層ボス編が発売(というか、配られて)いた。

当然そこには、ボスのみならず、取り巻きのコボルトの攻撃パターンなんかも事細かに記されていた。

しかし、本を読み終えて見えた裏表紙には、見慣れない一文があった。

 

『情報はSAOベータテスト時のものです。現行版では変更されている可能性があります』

 

「これで、ベータテスターからの情報だと確定したな。まあ、俺にはどっちでもいいんだが」

 

ユウはさも興味なさげにそう言った。

それをどう受け止めればいいのか、広場にいる全員がディアベルの答えを待った。

 

「ーみんな、今は、この情報に感謝しよう!」

 

それは、ベータテスターとの和親を望むものだった。

何故か今回はキバオウもディアベルの言葉に噛みつかなかった。

 

「出所はともかく、このガイドの、お陰で、二、三日はかかるはずだった偵察を省略出来るんだ。正直、すっげー有り難いってオレは思ってる。だって、一番死人がでる可能性があるのか偵察戦だったからさ」

 

その言葉には、誰もが納得出来たようで、皆が皆うんうんと頷いていた。

 

「……これが正しければ、ボスの数値的なステータスは、そこまでヤバイ感じじゃない。もしSAOが普通のMMOなら、みんなの平均レベルが三……いや五低くても十分倒せたと思う。だから、きっちり戦略を練って、回復薬をいっぱい持って挑めば、死人なしで倒すのも不可能じゃない。や、悪い、違うな。絶対に死人をゼロにする。それは、オレが騎士の誇りに賭けて約束する!」

 

惜しみない拍手と共に、会場のボルテージが一気に上昇する。

そして、ディアベルから実務的な指令が下される。

 

「ーそれじゃ、早速だけど、これから実際の攻略作戦会議を始めたいと思う!何はともあれ、レイドの形を作らないと役割分担も出来ないからね。みんな、まずは仲間や近くにいる人と、パーティを組んでみてくれ!」

 

SAOのボス攻略に、一度に参加出来るのは六人パーティを八個作った計四十八人だ。そして、この広場にいる人数はちょうど四十八人。僕達の四人は他に二人を見つけてパーティを組まなくちゃいけない。

 

「絶対に二人余るはずだから、そいつらに入って貰えばいいんじゃないか?」

 

そんなユウの提案で、他のパーティが出来上がるのを待った。

そして、他のパーティが出来上った後、綺麗に二人だけ残った人達がいた。

 

「ネトゲでボッチって相当だよね…」

「リアルが気になるところじゃな」

 

そう言って近付いていくと、まさかの見知った顔だった。

最初に声を掛けたのは、ユウだった。

 

「よお!キリト!こっちはお前の連れか?」

 

そうして顔を上げた、キリトの横の…………女の…子だと!?

成る程、この会場で最も注意すべきはディアベルだと、そう思い込んでいた……。だがそれは誤りだった。そう!真に注意すべきは……

 

「死に晒せ!キリト!」

 

僕の剣の刀身が蒼く光る。片手剣用スキル『バーチカル・アーク』が正常に作動した証拠だ。

しかし、システムの障壁によりその攻撃は阻まれてしまう。

圏内じゃPKも出来ないなんて、不便な世界だな。SAOって。文月学園じゃ、学校内でPK出来るのに……。

 

「いきなり、何するんだ!」

 

……?ああ、そうか。一般人は普通この反応なのか。

 

「……異端者には、死の鉄槌を!」

 

ムッツリーニの言葉で僕達の思想を悟ったらしく、キリトは弁明を始めた。

「いや〜、これには深い訳がありまして……」

「貴方が嫌なら、パーティを解除してもいいのよ?わたしは一人でやるから」

 

おお〜。クール!

 

「ごめん……。キリト……」

「分かってくれたならいいんだ……」

 

痺れを切らして、ユウがこう言った。

 

「そろそろ、パーティ申請送ってもいいか?」

「ああ。いい…よな?」

 

キリトの、この疑問の矛先はキリトの横の女の子だ。

 

「別に…。貴方の好きにすればいいじゃない」

「うん。じゃ送ってくれ」

 

それを聞いてユウはメインメニューを操作する。

そして、キリトと女の子は送られてきた通知に対して○ボタンを押す。

名前は……、アスナって言うのか。

その時、久しぶりにナイトの爽やかな声が響いた。

 

「次は、それぞれのパーティの役割を決めようか!」

 

 

結果、僕達F隊はボスの取り巻きのコボルトをE隊と共に狩り、モンスターのポップが終われば、ボスとの戦闘に参加する、という手筈になった。

ええっと、E隊のリーダーは、げっ、キバオウさんじゃん。

その時、キバオウさんと目が合ってしまった。

萎縮する僕に、キバオウさんは鼻を鳴らすだけで、後は何もしてこなかった。

 

 

その後、二人と別れた僕達は日が暮れるまでレベリングをした後、街の宿屋に泊まった。

 

「ついに明日、ボス戦だね。」

 

ベッドに潜りながら、僕はそう呟いた。興奮して眠れないのだ。

 

「何だ?お前緊張してるのか?大丈夫だ。明日はお前に活躍の場はないからな」

 

暗闇でユウの声が響く。

 

「失礼なっ!もしかしたら僕がLA取っちゃうかもよ?」

「……ライトには雑魚狩りがお似合い」

 

なんでこいつらは、常に僕を貶しにかかるんだろう?

ちなみに秀吉は、早々に眠りについている。

 

「フン!見とけよ、ユウ、ムッツリーニ!絶対に僕がLAを取ってやる!」

「じゃあ、賭けでもするか?」

 

賭けか……。ユウの考えそうな事だな。

 

「どんな賭けをするの?」

「LA取れなかったら、二層を素手で攻略な。当然、取れれば、俺達が素手になる。それでいいよな、ムッツリーニ?」

「……ああ。どうせ取れない」

「ふっふっふ、そのムカつく顔を地面に擦り付けて、泣いて謝らせてやる!」

「はっ!言ってろ!」

 

そして、僕達は眠りの沼へと浸かっていった。

 

あれ?この賭け、頑張るの僕だけじゃない!?

 

 

翌日、僕達は総勢四十八人、八パーティが、広場に集まるのを待っている。

誰もが殺気立つ中、不意に後ろから声を掛けられた。

 

「おい」

 

キバオウさんだ。昨日失礼なことを言ったせいか、声に攻撃色が含まれている。

 

「ええか、今日はずっと後ろに引っ込んどれよ。自分らは、わいのパーティのサポ役なんやからな」

「おいおい、キバオウさんよ、誰が俺たちがあんたらのサポ役だ、なんて決めたんだ?」

 

ここぞとばかりにユウがキバオウに反撃する。

 

「はぁ?そんなことはどうでもいいんじ……」

「どうでもよくねぇよ。あんた、不特定多数の人間の前で同じ論通せんのか?」

 

ユウが意地の悪い顔でニヤニヤしてる。

楽しそうに人を責める奴だなあ。

 

「そもそも、わいはお前に言っとらんのや。関係ない奴はすっこんどけ!」

 

「関係ある!俺はこのバカとリアルで友達だからな」

 

友達?いつから僕達はそんな崇高な関係になったんだろう?

 

「う、うっさいんじゃ!自分らは大人しくわいらが狩り残したコボルトの相手だけしとったらええんや!」

 

おお!キバオウさん、キョドってるキョドってる。

何か、むしろキバオウさんが可哀想に思えてきたな……。

 

「だからなあ、あんたは……」

「そこらへんにしとけ」

 

そこでキリトがユウを制した。

キリトもキバオウさんが可哀想になったんだろうか?

いや、こいつ顔下に向けて笑いこらえてるな……。

ユウはまだ言い足りないような顔をしながらも、しぶしぶ口論をやめた。

キバオウさんはその隙に後ろの方へ下がっていった。

 

「……ぷっ!ふふふ」

 

わ、笑ってる!?あの絶対零度の細剣(レイピア)使い、アスナさんが笑ってる!

 

「なんか、スッキリしたわ。なんて言うか、ありがとう」

「いやいや、俺がやりたくてやった事だからな。実際俺も楽しんでたし」

 

そんなアスナの貴重な雪解けに見向きもせずに、キリトは何かを考え込んでいる。

 

「どうしたの、キリト?」

「いや、なんでもないよ」

 

あんまり気にして欲しくないみたいなので、それ以上は触れないことにした。

 

「いきなりだけどみんな、ありがとう!たった今、全パーティ四十八人が、一人も欠けずに集まった!」

 

瞬間、広場を歓声が包みこむ。

僕も精一杯手を叩き、中央のナイトに賛辞を送った。

 

「今だから言うけど、オレ、実は一人でも欠けたら今日の作戦を中止にしようと思ってた!でも……そんな心配、みんなへの侮辱だったな!オレ、すげー嬉しいよ……こんな、最高のレイドが組めて……」

 

皆のテンションが最高潮に達したとき、

 

「みんな……もう、オレから言うことはたった一つだ!」

 

ディアベルが大きく息を吸い、一言。

 

「………勝とうぜ!」

 

全員の鬨の声が一つの塊となって轟いた。

 

 

僕らは今、唯ひたすら迷宮区を登っている。

 

「………ねぇ、あなたたちは、ここに来る前も他のエ……、MMOゲーム?っていうの、やってたんでしょう?」

 

その質問に最初に口を開いたのは、秀吉だった。

 

「わしとムッツリーニはこのSAOが初めてじゃぞ」

 

それに続いて、僕も経験をそのまま答えた。

 

「僕とユウは、よく一緒にやってたよ」

「キリトはどうなんだ」

 

おそらく、聞くまでもないことを、ユウが尋ねる。

 

「ん……ああ、俺もやってたよ」

 

さも、当然とばかりにキリトはそう言った。

それを聞いて、アスナはさらに質問を続けた。

 

「他のゲームも、こんな感じなの?……なんか、遠足みたいな…」

 

遠足かぁー。小学校以来行ってないなぁ。

でも、生死がかかっている戦いの前でも、遠足って考えると楽しくなるね。

 

「……ははっ、遠足か。そりゃいいな。でも、他のゲームじゃこうはならなかったよ」

 

そう答えたのはキリトだった。

 

「……なぜ?」

 

まあ、そう聞き返すのは当然だよね。

 

「フルダイブ型しゃなかったら、移動するのにキーボードなり、マウスなり、コントローラーを操作しなきゃならないからさ。チャット窓に発言を打ち込む余裕はなかなかない」

「……ああ、なるほど……」

「まあ、ボイスチャット搭載のゲームはその限りじゃないだろうけど、俺はそういうのやってなかったからな」

「僕とユウは前までFPSを一緒にやってたから、ボイスチャットはした事あるよ」

 

まあ、SAOが発売されるって聞いて満足出来なくなっちゃったんだけど。

 

「……FPS?何それ?」

 

うーん、会話の内容から、あんまりゲームしないってのは分かってたけど、まさかFPSも知らないとは……。

あれ?FPSって何の略だっけ?

そう思ってユウにアイコンタクトを送ると、ユウはバカを見るような顔をしてこう言った。

 

「FPSってのは、First-person shooterの略で、まあ、簡単に言えば、銃を使って撃ち合うんだ」

「ふーん……。そんなゲームもあるのね」

 

そんな取り止めのない話をしながら、僕達は最上階を目指して歩いた。

 

 

そして今、僕達は巨大な門の前に立っている。

 

「……ちょっといいか」

 

僕らにだけ聞こえるくらいの音量でキリトがそう言った。

 

「今日の戦闘で俺たちが相手する『ルインコボルト・センチネル』は、ボスの取り巻きの雑魚扱いだけど充分に強力だ。昨日もアスナには説明したけど、頭と胴体の大部分を金属鎧でがっちり守ってるから、唯闇雲にソードスキルを発動しただけじゃ徹らない。喉元の一点を狙わなきゃ貫けないんだ」

 

僕達はキリトに頷き、続きを促した。

 

「俺と……ライトが奴らの長柄斧(ポールアックス)をソードスキルで跳ね上げさせるから、すかさずスイッチで飛び込んでくれ」

 

おそらく、キリトの人選は、斧を跳ね上げさせる技術と、相手の懐に潜り込む速度、そして、斧に対抗するためのパワーによるものだろう。

アスナは技術に問題があるし、ユウと秀吉はスピードがない、ムッツリーニの短刀では、斧を跳ね上げさせるには無理がある、というわけだ。

 

「三人一組で一体のコボルトの相手をするとして、俺、アスナ、秀吉チームと、ライト、ユウ、ムッツリーニチームに分かれようと思う」

「俺は、それで問題ないぞ」

「わしもじゃ」

「……私もそれでいいわよ」

 

ふむふむ、なるほど。

どうやら、キリトはよっぽど死にたいらしい。

 

「リーダーの権限を利用して両手に花かい?さあ、今すぐパーティを組み直せ!」

「……ふざけるのも大概にしろ、キリト」

「待て!言い訳をさせてくれ!」

 

なるほど、神への懺悔か……。それなら聞いてやらないこともない。

その僕らの沈黙を肯定と受け取ったのか、キリトが汗を垂らしながら喋り始めた。

 

「まず、チームバランスを考えて、ステータス面でライトとユウ、技術面で俺とアスナは同じパーティなのは納得できるか?」

 

アスナが少し怪訝な顔をしたが、僕らは構わず先を促す。

 

「さらに、こちらのチームは、どちらかと言うと俊敏形だからな。バランスを取るためには、俊敏形のムッツリーニより、攻撃形の秀吉の方がいいと思うんだ……」

 

キリトがこちらの顔色を伺うように見ている。

懺悔は終わったのかな?ということは、もう殺っていいんだよね?

その時、ディアベルから八つのパーティに綺麗に並ぶよう指示が出された。

チッ!まあいい。ここはともかくキリトに従っておいて、後で処刑しよう。

それを終えるとナイトは左手を巨大な門の中央に当て、短く一言。

 

「勝つぞ!」

 

僕達が入った瞬間、黒く塗り潰されていた、ボス部屋を左右の壁に備え付けられていた無数の松明に火が灯り、その全貌を表していく。

感想としては、広かった。思っていたよりも、ずっと。

目測だけど、横に二十メートル、縦に百メートルくらいあるだろうか。

そんな光景に圧倒されながらも、ディアベルが高く掲げていた剣を振り下ろすという合図と共に、僕達、総勢四十八人のボス攻略部隊が雄叫びをあげながら、その巨大な部屋へとなだれ込んだ。

 

まず最初に突進したのは、鉄板としか形容のしようがないシールドを持つハンマー使いとその仲間のA隊。

それに続く、斧戦士エギルが率いるB隊と、ディアベルのパーティであるC隊。さらに巨躯の両手剣使いがリーダーのD隊。更にその後ろをキバオウ率いるE隊と、我らがF隊の雑魚狩り隊。そして最後尾に長柄武器(ポールアーム)使いで構成されているG&H隊。

 

A隊がコボルト王の巨影に近づいたとき、唐突に王の座に掛けるその巨体が中へ翔び、着地と同時に咆哮を響かせる。

 

「グルルラアアアアッ!」

 

その青灰色の毛色は悪寒を、その巨大な体躯は威圧感を抱かせ、その赤金色の視線が僕達を貫く。

そして、右手に斧、左手にバックラーを装備し、『アルゴの攻略本』によると、四つの体力ゲージが残り一本になると装備するという湾刀(タルワール)の鞘が見て取れる。

そして、コボルトロードはA隊のリーダーに向かって、力いっぱい逞しい右腕に握られる骨斧を振り下ろす。

それを、危なげなくシールドで受け止め、同時にライトエフェクトと言う名の閃光が辺りを包む。

その音を聞き着けたのか、左右の壁の穴から雑魚と言うのが憚られるほどの重装備モンスター、『ルインコボルト・センチネル』が現れる。

それを見たキバオウ率いるE隊と僕らF隊が先を競うようにコボルト達に襲い掛かった。

 

数分後には(タンク)攻撃役(アタッカー)のPOTローテも安定し、こっちも……

 

「お前ら!絶対にE隊に負けるな!」

「自分ら!絶対にF隊より多く雑魚を殺すんや!」

 

…………順調だった。

僕も僕とて、最大限皆の力になれるようにキリトの真似をし、相手の得物を打ち上げる。

そうして、キリトの様子を観察して単純に思ったのは、「強い」その一言だった。当然、ベータテストを経験したことも要因だろうが、それだけでは説明出来ない強さだった。動きに全く無駄がなく、かつ、的確に相手の急所を狙い、クリーンヒットさせる。その技量たるや、華麗以外に形容することが出来ないほどだ。

一瞬でコボルトを狩り終わった後、E隊と共にボスのローテに加わり、ディアベルが「二本目!」と叫ぶのを聞いて雑魚コボルトと相対するために壁に戻る。

そして、穴から飛び出てきたコボルトをまず、僕が片手剣スキル『バーチカル』で即座にノックバックさせ、ユウが両手剣スキル『アバランシュ』でHPをがくっと減らし、ムッツリーニが短剣スキル『ファッドエッジ』でポリゴンの破片へと昇華させた。

 

ボス攻略は予定より順調に進んでいた。

E隊とF隊が競って取り巻きを倒すので、実質八パーティをフルに使って、ボスに攻撃出来たのだ。

そして、あっと言う間にボスの体力ゲージは残り一本になろうとしていた。

あれ?何か、キリトとキバオウさんが喋ってるな。

 

「ライト、よそ見してないでボスに集中しやがれ」

「へーい」

 

僕がそう言ってボスに向き直った時、ついに、ボスの体力ゲージが残り一本になった。

 

「残り一本!」

 

そう声を上げ、ディアベル率いるC隊がローテーションでボスに突撃する。

 

「ウグゥオオオォォォォーーーーッッ!」

 

コボルトロードが今迄で最大の咆哮を上げ、それと同時に壁から三体のコボルトが出現する。

それを見て、僕らはボスから離れ、コボルトの群れに移動する。

キリトも当然、僕らと同じようにコボルトを相手にしようとする。

しかし、途中で何故かボスの方に振り返り、顔を固めていた。

何してるんだろう?

その疑問を抱いた直後、今度はキリトの顔がどんどんと青ざめていく。

 

「だ……だめだ、下がれ!全力で後ろに跳べーーーッ!」

 

フロア全体に、キリトの絶叫が響く。

その声を聞き、僕も思わずボスの方へ振り返る。

コボルト王が床を蹴って垂直に跳び、その曲刀に全身全霊を込めて、落下と同時に旋風が放たれる。

後に知ったことだが、この技の名は……

()()()専用ソードスキル『旋車(ツムジグルマ)

C隊全員のHPゲージがイエローゾーンに突入する。

それと同時に隊員達の頭上に黄色の光が瞬きながら回転している。

間違いなく、スタンのバッドステータスだ。

前線がスタンした場合、普通は後衛がスイッチして入れ替わり、前衛を後ろに下げさせねばならないのだが……

その場の全員の足が、セメントで固定されたように固まり、スイッチはおろか、声を上げられる者もいなかった。

ボス攻略がずっと楽勝のペースだったことや、今迄、的確な指示を飛ばし続けていたディアベル自身が窮地に立たされていることが振り子となって、皆の心を縛ってしまったのだ。

そして、コボルト王が大技の後の硬直から解放された。

そこで、真っ先に動き出したのは、エギルを筆頭とした数人だった。

しかし、それでも遅すぎた。

 

「グルゥゥッ!」

 

僕らをあざ笑うかのように喉を鳴らして、コボルトロードはカタナを高く切り上げた。

その刃の標的は、騎士ディアベルだった。

カタナの動きに沿って、ナイトは中空へと飛ばされる。

そこでもまだ、王の連撃は止まらない。

ディアベルもそれに逆おうとするも、中に浮いたままの状態ではソードスキルの発動もままならなかった。

頭、足、そして突きの三連撃がディアベルにクリティカルヒットする。

その蒼い髪を揺らしながら、ナイトは後方のキリトの足下まで飛ばされて行った。

そこで、騎士は剣士と一言二言、言葉を交わし、ポリゴンの破片となって爆散した。

 

思えば、僕はここで初めて仮想世界での本物(リアル)の生命の死を体験した。

ショックはあった。だけど、思っていたほどじゃなかった。

その理由は恐らく、ポリゴンという無機質で簡素なものに死の形が変容したからではないだろうか。

ショックが少なかったからこそ、僕の心は別の感情に支配されていた。

紅い感情が後から後からふつふつと溢れあがる。

人の死は、簡単にしていいものではない。

人生の集大成が死なのだ。それを簡素にするということは、その人間の人生を否定することに他ならない。

だがそんな僕の気持ちとは裏腹に、ボス攻略部隊の誰もが恐れている。自分の順番が来ることを。

 

「…………何で……何でや……。ディアベルはん、リーダーのあんたが、何で最初に……」

 

そう呟いたのはキバオウだった。しかし、その声にはかつての覇気が微塵もこもっていない。

すると、キバオウとの接触をあんなに嫌がっていたキリトが、キバオウの左肩を掴み、無理矢理立たせて言った。

 

「へたってる場合か!」

 

その声には、今迄キリトに感じたことのなかった凄味が込められていた。

 

「……な……なんやと?」

「E隊リーダーのあんたが腑抜けてたら、仲間が死ぬぞ!いいか、センチネルはまだ追加で湧く可能性が……いや、きっと湧く。そいつらの処理はあんたがするんだ!」

「……なら、ジブンらはどうすんねん。尻尾巻いて逃げようちゅうんか?」

「そんな訳あるか。決まってるだろ……」

 

攻撃的な目線でボスを貫き、シニカルな笑みを浮かべて、キリトは言った。

 

「ボスのLA、取りに行くんだよ」

 

キリトの顔を見て思い出した。

いくらデスゲームと言ってもゲームはゲームだ。

ゲームを楽しんじゃいけない理由が何処にある!

 

「さあ行くか、キリト!」

 

ユウがそう言って、キリトの肩に手を置いたとき、アスナは、もう既にボスに向かって跳び出していた。

彼女の手に握られているレイピアの剣先が光の帯を描きながらボスに詰め寄っていく。

その流麗な流れ星が、混乱していたプレイヤー達の目を奪う。

その一瞬の静謐の中、キリトの声が響き渡った。

 

「全員、出口方向に十歩下がれ!ボスを囲まなければ、範囲攻撃はこない!」

 

まだ最前線にいたC隊が、僕らの横をすり抜けて、後方へと走って行く。

 

「皆、手順はセンチネルと同じだ!……行くぞ!」

 

そのキリトの指示が、僕らと、第一層ボス《イルファング・ザ・コボルトロード》との開戦の合図だった。

 

先行して走っていたアスナが、ボスのカタナを側面から突き、軌道を逸らす。

そこで僕が「スイッチ!」と大声で叫び、ボスの懐へ入って、ボスのソードスキルを誘発する。

コボルト王が、スキルを発動するタイミングを読み、片手剣でガードする。

ボスはスキルの硬直を科せられており、動けないボスの首もとをアスナの細剣用ソードスキル《リニアー》が襲う。

その一撃でボスの体力ゲージが、一割程減少する。

そこで、ムッツリーニとキリトが前線に到着し、ノックバックしたコボルト王を、渾身の《ホリゾンタル》と《ラピットバイト》が撃ち抜く。

 

「範囲攻撃が来るぞ!皆下がれ!」

 

キリトの声で僕らは一斉に後ろに下がる。

しかし、僕の手のこうを少しだけカタナがかすめ、たったそれだけの傷で僕のHPゲージは二割の損失を受けた。

そしてまた、ボスに技後硬直が与えられる。

そこで秀吉が僕らに追いつき、曲刀スキル《リーバー》でボスの横腹を切り払う。

それを皮切りに、各々がソードスキルをボスに当て続け、さらに、ユウが到着し、両手剣スキル《アバランシュ》で縦にボスの腹を切り結んだ。

 

どのくらい戦っていたのだろう。

一瞬だった気もするし、何時間も戦っていた気もする。

だが、その時は唐突に訪れた。

ボスが何度目か知れない範囲攻撃をするために空高く跳んだとき、キリトが空中でその巨体に片手剣スキル《ソニックリープ》を命中させた。

 

切られたコボルト王は、バランスを崩して床に叩きつけられた。

 

「グルゥゥッ!」

 

そう唸り、仰向けに倒れて、間抜けな様子で手足をバタつかせる。人型モンスターにのみ起こるバッドステータス《転倒(タンブル)》だ。

 

「全員ー全力攻撃(フルアタック)!囲んていい!」

 

キリトのその言葉を待っていた、とでも言うように僕らは鬨の声を上げる。

 

「ウオオォォォッッ!」

 

僕ら四人にアスナ、そして途中から前線に戻ってきたエギル率いるB隊が各々最大威力のソードスキルを発動する。

しかし、それでもまだボスの体力は一割程を残している。

いち早く技後硬直から脱したのは、細剣という元から軽い武器で、単発技の《リニアー》しか発動しなかったアスナだった。

そのアスナに、キリトが指示を飛ばす。

 

「アスナ、最後の《リニアー》、頼む!」

「了解!」

 

コンマ一秒もかからない即答で、アスナはボスに突っ込んでいく。

そして、リニアーがコボルト王の左脇腹を打ち据え、HPゲージが10ドットだけ残る。

そこで、キリトが最初にやっとボスを撃ち落としために使った《ソニックリープ》の技後硬直から解放された。

それとほぼ同時に転倒から脱したボスは、もう一度範囲攻撃をするべく飛翔の体制をとっている。

王の片頬がニヤリとつり上がった気がした。

ここでボスの技が決まれば、硬直している僕らは間違いなくゲームオーバーだろう。だけど、そんな理屈は考えず僕はただ叫んだ。

 

「行っけぇぇぇぇっっ!キリトォォォォーーーッッ!」

 

その僕の声と呼応するかの様に、キリトが咆哮を上げる。

 

「おおおおおおッ!」

 

片手剣二連撃技《バーチカル・アーク》。

それが飛翔寸前の《イルファング・ザ・コボルトロード》の腹を切り裂いた技だった。

コボルトロードの巨躯にピシッ、ピシッと亀裂がはしる。

 

「ウオォォーン!」

 

最後に狼の様に吠え、第一層ボス《イルファング・ザ・コボルトロード》は青く光るポリゴンの欠片へとその姿を変え、儚く、だけども盛大に飛び散った。

 

 

「「「「よっしゃぁぁーーっ!」」」」

 

まず部屋いっぱいに轟いたのは、僕ら四人の歓喜の声だった。

そして、唖然としていた他のプレイヤー達も、大きく歓声を上げた。

そこでようやく、獲得経験値、取得したコルの額、獲得アイテムが通知される。

先程よりもさらに大きな歓声がボス部屋を包む。

誰もが歓喜し、仲間と各々の健闘を称える。

 

「……見事な指揮だったぞ。そしてそれ以上に見事な剣技だった。コングラチュレーション、この勝利はあんたのものだ」

 

キリトにそう言ったのは、腰に両手斧が光る偉丈夫、エギルだった。

確かにエギルの言うとおり、今回のボス戦のMVPを決めるとすれば、間違いなくキリトだろう。

 

「ふう、終わったと思うと、いきなり疲れが押し寄せてきたのう」

「このままここで眠れちゃいそうだね」

「そして、お前はモンスターに殺される、と」

「ものの例えだよ!本気で寝るわけないじゃないか!」

「お前クラスのバカだと本気で寝るのか、と思ってな」

 

こいつは僕をなんだと思ってるんだろう?

 

「……とりあえず、みんないい戦いぶりだった」

 

そんな談笑を一人の男の声が断ち切った。

 

「ーーーなんでだよ!」

 

広場の歓声が静まり返った。

僕はその男の顔を覚えていなかった。

男の糾弾は続く。

 

「ーーーなんで、ディアベルさんを見殺しにしたんだ!」

 

バカな僕でも、この言葉を聞けば察するしかなかった。

この男はC隊、つまりディアベルの仲間なのだ。

その男の後ろにも、悲壮に顔を歪めたC隊のメンバーがいた。

 

「見殺し……?」

 

キリトは何を言ってるのか理解出来ないとばかりにそう言った。

 

「そうだろ!だって……だってアンタは、ボスの使う技を知ってたじゃないか!アンタが最初からあの情報を伝えていれば、ディアベルさんは死なずに済んだんだ!」

 

その叫びに触発され、広場に疑問が広がる。

そして、また違うところで申告が行われる。

 

「オレ……オレ知ってる!こいつは、元ベータテスターだ!だから、ボスの攻撃パターンとか、旨いクエとか狩場とか、全部知ってるんだ!知ってて隠してるんだ!」

 

何だ、この流れは?

僕はあいつを一発殴らないと気が済まなくなってきた。

そう思い、歩き出そうとした寸前、ユウが僕の腕を掴み、僕を踏みとどまらせた。

 

「でもさ、昨日配布された攻略本に、ボスの攻撃パターンはベータ時代の情報だ、って書いてあったろ?彼が本当にテスターなら、むしろ知識はあの攻略本と同じなんじゃないのか?」

 

エギルと共に壁役を務めたメイス使いがそう言った。

 

「そ、それは…………」

 

それ以上何も反論できなくなった男の代わりに、最初に叫んだ男が言葉の攻撃を連鎖させた。

 

「あの攻略本が、ウソだったんだ。アルゴって情報屋がウソを売りつけたんだ。あいつだって元ベータテスターなんだから、タダで本当のこと教えるわけなかったんだ」

 

本当に何を言ってるのかわからなかった。

ただただ胸糞悪くなって、この気持ちを吐き出したかった。

だが、僕のそんな感情も、視界の端に映ったキリトの表情に、全てかき消された。

キリトは何か大きな決意をしたようだった。

ここで止めなければ取り返しのつかないことになる気がした。

しかし、怒りが僕の喉を塞ぐ。

 

「おい、お前……」「あなたね……」「まて、キリト……」

 

僕と同じ結論に達したのか、それとも、僕より先の思考をしているのか、エギル、アスナ、ユウの三人がキリトを制止させようとした。

しかし、逆にキリトが両手で三人を制止させ、演技満点のふてぶてしさと冷酷さが篭った声でこう告げた。

 

「元ベータテスター、だって?……俺を、あんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」

 

ここにきてようやく僕はキリトの意図を悟った。

そう、キリトは自ら的になろうとしているのだ。

他のベータテスター達に敵意が向かぬように……。

 

「な……なんだと……?」

「いいか、よく思いだせよ。SAOのCBTとんでもない倍率の抽選だったんだぜ。受かった千人のうち、本物のMMOゲーマーが何人いたと思う。ほとんどはレベリングのやりかたも知らない素人だったよ。今のあんたらの方がまだましさ」

 

さっきとは違う感情で僕の喉は塞がれ、脚が竦んだ。

キリトを取り巻く空気の変化が痛いほど伝わってくる。

僕はどうすべきなんだ?どうしたいんだ?

ここで僕がキリトを止めれば、キリトの覚悟を無にすることになるし、ベータテスターと新規参加者の確執が決定的になる。でも……僕は…………!

 

「ーーでも、俺はあんな奴らとは違う」

 

僕が自問自答している間にも、キリトの挑発は続く。

 

「俺はベータテスト中に、他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスのカタナスキルを知ってたのは、ずっと上の層でカタナを使うMobと散々戦ったからだ。他にもいろいろ知ってるぜ、アルゴなんか問題にならないくらいな」

 

ダメだ……、これはダメだ…………。このままじゃ、僕は、きっと後悔する。

 

「…………なんだよ、それ……」

「そんなの……ベータテスターどころじゃねぇじゃんか……もうチートだろ、チーターだろそんなの!」

「…………っ!」

声を出そうとした僕の口を、ムッツリーニが抑える。

何処からかチーターとベータテスターを掛けたと思われる『ビーター』なんていう単語が浮かぶ。

 

「……《ビーター》、いい呼び方だなそれ」

 

その声を遮ろうとしても、僕の声はムッツリーニに閉ざされてしまう。

いや、ムッツリーニの所為にするのは甘えだろう。

僕が本気で抵抗すれば、いくらでも発言できるはずだ。

何故そんなこともできないんだ?やれることはなんでも考えずにするのが僕の取り柄じゃないのか?

 

「そうだ、俺は《ビーター》だ。これからは、元テスター如きと一緒にしないでくれ」

 

僕は……弱い…………。友達一人も救え無い程に……。

僕の頬を、ポリゴンの涙が伝う。だけど、その液体は、今まで感じた、どんなものよりも、熱かった。

キリトはボス戦でドロップしたのであろう漆黒の装備をその場で身に纏い、歩き出す。

 

「この上の出口から主街区まで少しフィールドを歩くから、ついてくるなら初見のMobに殺される覚悟しとけよ」

 

キリトは嫌味たっぷりにそう言い、最奥の二層へ続く階段へと進む。

ここで、僕は僕に今なんの拘束もかかってないことに気づいた。

そして、一心不乱にキリトへ向かってダッシュした。まるで、自分でも嫌いになりそうな、さっきまでの僕から逃げるように。

その僕の姿を見て、キリトはメインメニューを操作する。

数秒後、僕の前に現れたのは、パーティ解消の申請だった。

成る程、そういう気か。

 

「交換条件だ、キリト。パーティは解消解消していい。その代わり、僕とフレンドになれ!」

 

長い長い沈黙。

キリトは僕の目を十秒くらい見た後、投げやりに

 

「……勝手にしろ」

 

と言った。

キリトは踵を返し、階段を上って行った。

その後、フレンド申請成功の知らせが僕の前に現れる。

アスナはキリトの後を追って行った。

そして、僕はその場にうずくまった。

何の感情に起因するかも解らない涙が、頬を伝った。

 

「お前にしちゃ、いい交渉だったんじゃねえか?完全に力業だったけどな」

 

少し茶化したふうにユウがそう言った。

 

「…………」

 

僕は何も答えない。いや答えられない。熱感が喉を覆い、まともに声も出せない。嗚咽は、どうにも引きそうにない。

 

「ああ、そうだ。忘れてないとは思うが……」

 

なんだろう?

 

「二層の攻略、素手な」

 

…………忘れてた。

そして、嗚咽が引いた。

 

 

それぞれの層には、主街区が設定されており、そこには転移門というものが存在する。

その機能は、転移門をくぐることによって他の層の転移門にワープすることができる、というものだ。

だが、当然まだ到達していない層にはワープできないし、到達している層でも、誰かが門を有効化(アクティベート)しないと、到達してから二時間の間は開通されない。

僕らは、今まさにその有効化(アクティベート)をするために第二層主街区《ウルバス》に向かっているのだ。

三人に守ってもらいながらなんとか僕らはウルバスに到着した。

 

「てめえ、ライト!足手まといになってんじゃねぇ!」

「僕を足手まとい化させたのはユウとムッツリーニじゃないか!」

「……ライト、お前は元から足手まとい」

「ぐはっ!地味に傷つく!」

「大丈夫じゃ、ライト。お主は足手まといなどではないからの」

 

うん……。やっぱり秀吉は僕のオアシスだな……。

 

「秀吉も下手な嘘をついたもんだな」

 

あれ?秀吉?

 

「別に嘘では……ライト!?子犬のような目でわしをみるでない!」

 

そんなこんなで僕らは転移門の前に着いた。

アーチの中で水面が揺れているようなその光景は、さながらシャボン玉のようだった。

そして、僕が右手でアーチの中を触ると急に青い光が辺りを包みこんだ。

 

「ヤッホー!一番乗り!」

「……やっと開門された」

「ホント、待ちくたびれたわよ」

 

どうやら早速転移門から人が出て……

 

「「「「…………あっ!」」」」

 

「「「…………あっ!」」」

 

僕らが開門するのとほぼ同時に現れたのは、文月学園Aクラスが誇る才色兼備の女の子三人。

すなわち、霧島翔子、工藤愛子、そして木下優子だった。

 




でましたよ!優子さん!
二言しか言ってませんが!
そんなわけで、次回は本格的に喋らせます!

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