本当に、読者の皆様には頭が上がりません!
嬉しいです。すっごい嬉しいですっ!
ダラダラと続くこの駄文ですが、これからも、皆様の暇つぶしになれば最高です!
「えー……じゃあ、第二層ボス攻略を祝して、乾杯!」
「「「乾杯!」」」
僕らは今、毎回恒例の酒屋祝賀会を開催している。
二層のときと違うところといえば、幹事を、キリトではなくユウがしているところと、皆のテンションが一様に高いところだろうか。
きっと景色が綺麗だったからだろうな、と思いつつ、僕は取り敢えずで頼んだ黄金色の液体を、渇いた(ように感じられる)喉へと流し込む。
アットホームな雰囲気があった二層の酒場とは違い、この店は、シックな白と黒のツートーンカラーで統一されている。
店員のNPCの衣装も、ドイツの村娘みたいだった前の酒屋とは違って、むしろかっこいいとさえ思えるようなメイド服だった。
「よし、取り敢えず、ギルド結成クエストの情報を皆に伝えようと思うんだけど、聞いてくれるか」
そのキリトの言葉に、僕らは、真剣な表情で先を促す。
キリトは、僕ら全員の表情を見回した後、小さく頷き、説明を開始した。
「まず、明日の朝一番に、この街から南へ1kmぐらいのとこにある村に行く。で、そので村長の話を聞かなきゃいけないんだけど、それがびっくりするぐらい長いんだ。確か……ええっと、何時間ぐらいだったかな……」
「五時間ぐらいだったと思いますよ。まあ、あの時、キリトさん寝てましたし、覚えてないのも無理ないですよね〜」
思わず笑ってしまった。キリトも結構抜けてるとこあるからなあ。
毒づいたアレックスに、キリトは表情を強張らせながらも、話を続けた。
「……まあ、それでクエストが受注できるから、そっからが本番なんだけど、次が面倒なことに、採取クエなんだ。しかも、十種類ぐらいの、いろんな薬草やら鉱物やらモンスター素材やらを採ってこなきゃいけない。だから、クエスト受注した後、まず五手に分かれて採集に向かってもらおうと思う」
そう言ってキリトがアイテムストーレージから取り出したのは、五つの、何かがメモ書きされた羊皮紙だった。
「納品しなきゃいけないアイテムは、ここに書いてある通りだ。で、次に班わけだけど……」
そこで、キリトの言葉を遮ったのは、以外なことに、優子だった。
「ちょっといいかしら。納品しなきゃいけないアイテムが要求されるのは、一種類ずつなんでしょ?納品でフラグ立てとかしなくていいの?」
なるほど、それはもっともな疑問だ。RPGで先に進むためには、フラグ立てが必要な場合が多い。
例えば、今回の場合、採集する対象がクエスト限定アイテムだったら、一種類目を採集して納品し、フラグを立てないと、次のアイテムがフィールド上に発生しない、なんてこともままある。
だが、その優子の心配は、次のキリトの言葉で杞憂だと解った。
「ああ、このクエストで要求されるアイテムは、クエ限とかじゃなくて、普通にフィールドで取れるアイテムばっかりだからな。極論、先にアイテムを集めておいて、村長の講話を聴き終わった瞬間、一気に納品したっていい」
それは……村長に嫌な顔されないかな……。まあ、NPCだから大丈夫か。
「で、次に班わけだけど、何か意見あるか?」
「……私は、ユウと一緒がいい」
「うん、じゃあ一班決定だな」
「おい、ちょっと待て!俺の意……」
「他に何かあるか?
「ちょっと待てコラァ!」
キリトの素無視も、板についてきたな。こういう時のユウの扱い方が分かってきたのだろう。
「はいはーいっ!私、ライトさんと一緒がいいですっ!」
「え?ええーっ!?僕?」
「はい。何かおかしいことでも?」
「いや、まあアレックスがいいならいいんだけどさ……」
「じゃあ、そこも決定だな」
「いや、ちょっ!ちょっと待ちなさい!」
焦ったような声でそう言ったのは、優子だった。
どうしたんだろ。優子の気に障るようなことでもあったんだろうか。
「いや……あの、その二人に任せたら、ロクなことにならないでしょ?だ、だから……ア、アタシもその班に入るわ!」
何故か、意を決したような優子のセリフ。そんなに僕達、信用ないかなあ……。
「えっと……じゃあ、そこは三人班な。で、次は……」
「それなら、わたしはあなたと組むわ。あなたとペアだと、いろいろと楽そうだし」
そんな理由を、アスナは早口でまくし立てた。
なんで、皆そんなに焦ってるんだろう。
「じゃあ、消去法でボクらがペアだね、ムッツリーニ君」
「……このペアを却下する!」
「我儘言っちゃダメだよ、ボクらがペアなのは決定事項なんだから」
「……くっ!何処で、何処で選択を間違えたんだ!」
強いて言うなら、このゲームにログインしたところだろう。
「えーっと……わしは、どうすればいいんじゃろうか……」
意外なことに、最後まで残ってしまった秀吉が、悲しそうな声でそう言った。
「ほんとは優子と組んでもらおうかと思ってたんだけどな……。じゃあ、五班じゃなくて、四班にしようか。どっかで、秀吉を入れてやってくれないか?」
入れてあげたいのはやまやまだけど、この班がもう既に三人班だしな。
と、思っていると、ムッツリーニが前に進み出て、言った。
「……俺達の班に入るといい」
「ヒューヒュー!両手に花だね、ムッツリーニ君!」
テンション高く、そう言ってるにも関わらず、リーベはどこか不満そうだ。
しかし今度は、そんなリーベの言葉に秀吉が不満を漏らした。
「……リーベよ……。わしは男じゃと、何度も言っておろうが……」
「「「えええええぇぇぇぇっ!」」」
「待て、ライト!キリトとアスナとアレックスが驚くのは解る!いや、解りたくないが、まあ解る!じゃが、何でお主まで驚いておるのじゃ!?」
「う、嘘だ!秀吉が男だなんて、絶対に嘘だ!」
「ライト……もうお主に解らせるのは、一生無理な気がしてきたぞい……」
「…………結局、どっちなんだ?」
「男じゃ!」
何故秀吉は、そこまで頑なに男と言い続けるのだろう……。
うーん……やっぱり乙女心は解らないな……。
「うん、じゃあまあ……それぞれで採集する感じで……」
「チッ!まあ、こうなることは大体予想してたしな……。取り敢えず、今は楽しもうぜ!」
自分の悩みを吹き飛ばそうとするかのようにユウが言った。
よく、こんな班分けになることが予想できるもんだなあと、感嘆してしまう。
結局、その宴は、日を跨ぐまで続いた。
☆
「ついに明日、僕らのギルドができるんだね!」
宿屋のベッドに寝転びながら、僕は少し興奮気味に言った。
ベッドがギシギシと音を立てた。
少し間が空いたので、同室の男連中は全員寝てしまったのかと思ったが、少しして応答がかえってきた。
それに真っ先に応えたのは、キリトだった。
「明日中に出来るかどうかは、解らないけどな」
「そんなに時間かかるもんなのか?」
「ああ、ベータの時は、人数が少なかったせいもあるけど、三日かかったな」
「……でも、今回は情報も最初から揃っている」
「ああ、そうなんだよ。だから俺は、一日か二日で終わると思ってる」
少しづつ、目が暗順応する中、キリトがそう言った。
まあ、キリトがそう言うのだから、間違いないだろう。
秀吉の声は聞こえないが、おそらく、例によって寝ているのだろう。
ああ、そうだ。ギルドといえば、一応僕も、名前を考えてるんだけど、どうしよう。発表しようかな。
「そういえば、皆はギルドの名前ってもう考えてるの?」
取り敢えず、わざと回りくどく言ってみた。
まずは、皆のアイデアを聞き出してからにしよう。
「お前がそう言うってことは、もうお前は考えてあるんだろ?お前が最初に言えよ」
なんで
「うん……。えーっとね。僕は『ザ・サーバンツ』にしようかと思ってるんだけど……」
「ライト、お前その綴りかけんのか?」
「バカにしないで欲しいな!自分で考えた名前ぐらい、自分で英語に直せるよ!」
「ほーう、じゃあ書いてみろよ」
僕は、ザ・サーバンツを英語に直し、三人にインスタントメッセージとして送った。
『Za・Servents』
何故だろう。視線なんて解らないはずなのに、ユウとキリトの視線が、妙に優しい気がする。
「お、おう……いいんじゃないか?」
「えっと……じゃあ、おやすみ、ライト」
「え?ちょっと待って!僕何か間違えてたの!?ねえ二人とも?おーい!」
「……大丈夫だ、ライト。俺にも、解らない」
「ああ、良かった。仲間がいた……いや、全然良くないよ!?まあいいか……明日の朝に聞こう……おやすみ、みんな」
そう言って、僕達は、ボス戦の疲れを癒すため、深いまどろみの中へと落ちていった。
やっぱりギルド結成クエストに入ってくれない!
でもまあ、流石に次は、入れ込む話もありませんからね!次こそは、クエストに入れると思います!