僕とキリトとSAO   作:MUUK

17 / 101
テスト終わった!いろんな意味で!

そして春休み!なので、連日投稿していきたいと思います!

久しぶりの攻略会議、むしろそれしかしてない第十七話、始まり始まり〜


第十七話「儚き剣のロンドーX」

冬独特の、寒冷な凩が肌を刺す。喉に侵入し、水分を根こそぎ奪い去っていく空気が、最前線攻略組プレイヤー達の周囲を、まるで責め立てるように囲んでいた。

その渦中のど真ん中に、二つの大集団があった。

一つは、第一層でキリトを糾弾したシミター使い、リンドが率いる、総勢十八名、三パーティの、鎧の下布を青で統一した集団。もう三層のクエストで解放されるギルドのギルド名も『ドラゴンナイツ』に決定しているらしい。

そして、ドラゴンナイツに対抗するかの如く、同数の十八名、三パーティを揃える、キバオウ率いる、緑集団。

こちらも、ギルド名は決定しているらしく、『アインクラッド解放隊』だそうだ。

その、二部隊を中心とし、周りに、浅黒い肌が特徴の偉丈夫、エギルとその仲間達の四人、更に、ギルド名未決定の僕ら七人にキリトとアスナ。そして、ソロプレイヤーが一人と、問題のレジェンドブレイブスの五人の、計五十五名が、ボス部屋前の安全地帯で待機している。

慎重を期した第一層と違い、この第二層は、大胆にも、攻略会議自体は、迷宮区で、しかも、現地集合で行われたのだ。

 

「よう、久しぶりだな」

 

という、超いい声が僕らの肩に投げかけられた。

半ば、声の主を予期しながら後ろを振り返ると、そこに立っていたのは、僕の予想通り、優しいおじさんこと、エギルだった。

軽く挨拶をしておく。

 

「こんにちは、エギルさん」

「おう、それはそうと、別に敬語使ってくれなくてもいいんだぜ?名前だって呼び捨てで構わないしな」

「え、ああ、じゃ、そうさせてもらうね」

「ああ、どんとこいだ」

 

やっぱ、エギルってめちゃくちゃ親しみやすい。距離の詰め方もすごく自然で、相手に全く不快感を抱かせない。

リアルでは、対人関係の仕事でもしていたのだろうか。

 

「それじゃ、時間になったのでレイドの編成を始めたいと思う!いちおう、自己紹介をしておくと、オレは今回のリーダーに選ばれたリンドだ、みんな、よろしく!」

 

突然、そんな声が上げられたので、振り向くと、そこには、一層の時とは打って変わって、髪を蒼く染め、全身を騎士のような甲冑に包んだリンドの姿があった。

そう、それは、騎士ディアベルそのままの格好だった。

そう、彼は模倣している。ディアベルになり切ろうとしているのだ。それがどんな意味を持つのかは、僕には言葉に出来なかったが、彼の中ではきっと、その決断は大きなものだったに違いない。

第一声を終えると、リンドは周りを見渡し、小さく頷いた。

しかし、灯台もと暗しとはこのことだろうか。リンドの真横から、荒々しい関西弁による野次が入った。

 

「選ばれたゆうてもコイントスやけどな」

 

その言葉に、真逆の反応を見せる両陣営。

しかし、リンド自身は、さして気にも止めず、一瞥をくれただけで続けた。

 

「よし、じゃあ、レイドを組もう!今回は、レイドの最大人数を超えてるから、レイドを二つに分けようと思う!一つのレイドがボスを相手にして、もう一つのレイドが取り巻きの中ボスを相手してもらう!」

 

そう、第二層のボス『バラン・ザ・ジェネラルトーラス』の取り巻きは一層のコボルト王とは違い、一匹だけ。しかし、その一匹が中ボスクラスの強さを誇っているのだ。

言うまでもないが、これらは全て、アルゴの攻略本からの情報だ。

 

「まず、ボス相手のレイド1から決定しよう!A・B・C隊は、俺達の『ドラゴンナイツ』、D・E・F隊をキバオウさんの『解放隊』、G隊が今回から参戦してくれるオルランドさんの『ブレイブス』。そして、レイド2が…………残りの人達だ。というわけで、レイド1の役割分担を決めよう!レイド2は、リーダーを立てて、決めてくれ」

 

なんか、レイド分けが露骨な気がするが、あえて突っ込まないでおく。突っ込んだら面倒くさいことになるぐらい、僕にだってわかる。

でもなあ、ギスギスしすぎじゃない?まあ、いいんだけどさ。

 

「おし、じゃあ、誰がリーダーをする?」

 

とユウ。自分がリーダーするぜ、オーラをバンバン出してやがる。

それをキリトも察知したのか、ユウに言った。

 

「ユウがリーダーでいいんじゃないか。いいよな、エギル?」

「おう、俺達はそれで構わないぞ」

 

そんなキリトとエギルの声を聞き、満足そうに大きく頷いた後、再度ユウが口を開いた。

 

「じゃあ、この場は俺が仕切らせてもらう!まず、壁役だが、エギル達四人と、俺、そして、ライトの六人で組もうと思う」

 

ユウが、リーダーシップを存分に放ちながら言うと、エギルが手を挙げ、ユウに言った。

 

「ちょい質問だ。重装備のアンタが壁なのは解るが、何故、スピードタイプのライトも壁なんだ?」

 

まあ、事情を知らなければ、これは当然の質問だろう。

この質問は予想していたのか、ユウはエギル達四人に向き合いながら言った。

 

「それは、俺がここで説明するよりも、こいつの戦闘を見てもらった方が早いだろう」

「OKだ。じゃあここは、アンタの言葉を信じよう」

「えー、じゃあ次に後衛のアタッカー……」

「あ、あ、あのっ!」

 

ユウが言いかけた時、それに割り込むように、鈴の音のような女の子の声が響いた。

 

「あの、えーと、わ、わ、私も、その、パーティい入れてもらっても……いや、あの嫌ならいいんですよ!嫌なら、私が一人でやればいいだけですし……」

 

なんだろう、この子?なんか、礼儀正しいっていうより、慇懃過ぎて、むしろ卑屈だ。

ユウも、その子の様子に戸惑っていたが、やがて、意を決して、一人言で負の悪循環に勝手にはまっていっている女の子に声をかけた。

 

「えーと……まず、名前を聞かせてもらえるか?」

「え、あ!すいません!私ったらとんだ粗相を!名前も名乗らずにパーティに入れてくれなんて傲慢にも程がありますよね……。最低ですね、私……。すいません……ごめんなさい……」

「えーと、だから、名前……」

 

ユウがここまでたじろぐとは珍しいな。というか、何でこの子はこんなにネガティブなのだろうか。

 

「は、はい!私は『Alex』って言います!よ、よろしくお願いします!」

「おう、解った。じゃあ、パーティ申請を送るぞ」

「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」

「解った!解ったから腰を十度まで折り曲げるな!お前は足の筋でも伸ばしてるのか!?」

 

大体この子のキャラが解ってきた。所謂、テンションが高いネガティブだ。

だが、外見からは、大人しさしか感じられない。肩口から伸びた二対の三つ編みと、何処か昭和の香りが漂う顔立ち。うーん、何か、何か一つ足りないんだけど……なんだろう?

 

「あっ!メガネか!」

「えっ!すごいですね!そうなんです!私、リアルじゃ、メガネかけてるんですよ!」

 

おっと……、正解してしまった。何のクイズかはわからないけど。

 

「そういえば、アレックスって、アレクサンドロスの愛称だよね?」

「す、すごいですね!そうです、その通りです!ライトさんって博識なんですね!」

 

どうしよう。すごい勘違いをされてしまった。実際は、アレクサンドロスっていう名前が、嫌な思い出と一緒に脳裏に焼きついてるだけなんだけどな。まあ、見ず知らずだとしても、女の子に尊敬されるのは、純粋に気分がいい。

その時、談笑する僕とアレックスを含むメンバー全員にに、ユウからの無粋な声が投げかけられた。

 

「話を元に戻すが、アタッカーを編成しようと思う。アレックス、お前の武器は何だ?」

「い、一応メイサーをさせて頂いております!」

「よし、じゃあ、B隊を、キリト、C隊をムッツリーニがそれぞれ率いてくれ。内訳は、Bが、キリト、アスナ、リーベ、ティア。C隊が、ムッツリーニ、秀吉、優子、アレックスでいいか?」

 

成る程、確かにステータスや技量のバランス、それぞれの相性が良く考えられているチーム分けだ。アレックスという不確定要素がどう転んだとしても、この分け方なら充分に対応できる。

流石にこれには、誰も反論するものがおらず、全員で首肯する。

 

「おう!」

 

そうして、全員の役割分担が終了したところで、完璧のタイミングでリンドから声がかけられた。

 

「こっちの役割分担は終了したが、そっちはどうだい?」

「ああ、こっちも、いつでも出撃出来るぜ」

 

そのユウの言葉を聞いて、リンドは小さくため息をつき、目を数回瞬かせると、僕らを、ボス部屋の前に呼び寄せた。

見ると、時計の針は、攻略開始予定時間である二時の二分前を指していた。

「じゃあ、ちょっと早いけど……第二層ボス、倒すぞ!」

リンドの煽りを筆頭に、全員の鬨の声が、薄暗い通路に響き渡った。




はい、文章の書き方をちょっと変えてみました。
はい、オリキャラをだしてみました。というか彼女、僕の想像では、もうちょっとお淑やかな子だったんですけど、何故こんな性格に……。
そして、今、超絶的に眠いので、文章が多少雑かも知れません。直したいところがあれば、明日の朝にもなおすかと思いますので、今は大目に見て欲しいです!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。