魔法少女 リリカルなのはStS,EX   作:ラナ・テスタメント

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はい、第四十話後編1をお届けします。
ついに現れる彼、その正体は――?
お楽しみにです。では、どぞー。



第四十話「過去からの刃」(後編1)

 

 アースラ艦内。その通路を、姫野みもりは走っていた。ブリッジに向かう為である。

 先程までは医務室に居たのだが、前代未聞の怪我人大脱走(しかも全員、脱走する直前まで意識不明だった)により、ブリッジに向かっていると言う訳である。

 どうやら皆、シオンが戦ってる敵次元航行艦へと飛んで行ったようであるのだ。医療魔法を専門とするみもりの目からしても、皆戦えるような状態では無かったのだが……。

 

 ……皆さん、大人しくしてて下さい、て言っても聞きませんし……。

 

 通路を走りながら嘆息する。誰も彼も、シオンに負けず劣らずの無茶な方ばかりである。

 目が覚めたら、こうなるのは自明の理であった。……随分なタイミングで目が覚めたものではあるが。

 そうこうしている内にブリッジに着く。みもりは、自動ドアが開くのを待って中に入り『失礼します』と声を掛けようとして。

 

「……あれは、何や?」

 

 そんな声を聞いた。

 アースラ艦長である八神はやての声である。見れば、その隣に居るフェイト・T・ハラオウンも、グリフィス・ロウランも――否、ブリッジに居る全員が硬直していた。

 みもりはその光景にキョトンとしながらも、皆が見ているブリッジ正面のモニターに目を移し。

 ……そのまま目を見開き、硬直した。ブリッジの皆と、同様に。

 その目は真っ直ぐに一点に注がれる。モニターの中央で対峙する少年達に。

 一人は十七、八歳くらいの少年である。手に大剣イクスを持ち、振るおうとした体勢でブリッジの皆と同じように、固まっていた。

 みもりの幼なじみである少年、神庭シオンだ。彼もまた呆然として、その目は信じられ無いものを見たかのように見開かれている。

 対し、その前に居る少年は微笑していた。こちらは、十二、三歳くらいの少年か。固まるシオンを見て、嬉しそうに微笑み続ける。

 その少年を見て、ブリッジの皆は、そして恐らくシオンも硬直したのである。

 少年は、外見年齢以外、対峙する少年、神庭シオンに恐ろしく酷似していたのだ。

 

《ば、かな……》

 

 シオンの念話が響く。少年はそれを聞いて、微笑を深くした。そっと左手を差し延べる。その手には――。

 

《驚いてくれたようだね? 嬉しいよ。オリジナル・シオン》

 

 みもりが、ひっ! と声を詰まらせる。少年の手に握られたモノを見たからだ。その声を聞いて、ブリッジの皆が漸くみもりの存在に気付いた。

 少年が握っていたモノは、刀であった。日本刀である。銀の光と、鮮やかな反りが特徴的であった。

 みもりはそれを見て、震え出す。カスミから声が掛かったようだが、それすら聞こえ無かった。

 刀を握る少年を見て、みもりは過去を思い出す。

 シオンが刀を捨てた、あの一件を。

 ”自分のせいで”シオンが刀を握れ無くなったあの日の事を。

 

「シ、ン、君……」

 

 震えながら、みもりは我知らずに呟いた。

 幼なじみの名を。

 少年はゆっくりと刀を振り上げる。シオンはそれに魅入られたが如く、呆然とし続け。

 

「や、めて……」

 

 それを見て、みもりは首を振る。震えながら、震えながらイヤイヤをするように。

 当然、モニターの中にその声が聞こえる筈も無い。少年は、嬉しそうに笑う。

 

「やめて……。やめて……!」

 

 声は、どこまでも届かない。少年にも、固まり続けるシオンにも。

 

 シン君がシン君に斬られる……!

 

 その光景を、一瞬。みもりは想像してしまう。

 そして、その想像を実現するかのように、銀の光を反射しながら刀が孤を描いて振り落ちて。

 

「シン君!!」

 

 赤が、虚空に散う。

 鮮やかな血の色が、モニターに赤く華のように咲いた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 ――シン君!!

 

《っ――――!?》

 

 固まり続けていたシオンは、自分の名を呼ばれたかのような感覚を受けて、我に返った。

 同時、振り落ちた刀に対して全力で後ろに退がる!

 

    −閃!−

 

 孤を描いた斬撃は、シオンの肩口を浅く斬り裂いただけで終わった。

 血が辺りに飛び散るが、シオンは構わない。イクスを眼前の少年へと横薙ぎに振り放つ!

 少年は、それにも笑い続けながら一歩を踏み込む。刀が優雅に下方から上へと孤を描いた。横にイクスと、縦に刀は交差して。

 

   −つぃん−

 

 シオンが愕然とする。横薙ぎに放ったイクスが縦に斬り流されたのだ。あまりにも、鮮やかに。

 シオンの斬撃をそのまま刀の反りで滑らせ、流したのである。

 直刃である”剣”には決して出来ない芸当だ。曲刃である”刀”でもってしか出来ない”業(わざ)”。

 シオンのイクスは縦に斬り流された斬撃の勢いを殺せず、少年の刀は逆に斬り流した勢いを利用して刀を翻(ひるがえ)した。その業を、シオンは知っている。

 乱剣の型――相手の武器を乱す事により、絶対の隙を生む業の名であった。

 ”正統・神覇ノ太刀”の型の一つ!

 

 ま、ず……!

 

 刹那に、シオンは胸中叫ぶ。体は不様に乱れ、イクスは頭上に跳ね上げられた。瞬動で回避出来るようなタイミングでは既に無い。後、出来る事と言えば。

 

【プロテクション】

 

 跳ね上げられたイクスから念声が響く。同時、シオンの身体を白のフィールドが覆った。回避も迎撃も出来ないのならば、後は防御しか無い。耐えられるかどうかは賭けである。

 シオンは今にも振り落とされんとした、刃に苦い顔となり。

 

《単一固有技能、『神空零無』発動。壱ノ太刀、絶影》

 

 な――!?

 

 信じられ無い言葉を聞く。絶対に有り得ない筈の言葉を。

 シオンが驚愕する中で、刀は迅雷の如く振り落ちた。視認すらも霞む速度で、”フィールドを何の抵抗も無く突き抜けながら!”

 

    −斬!−

 

 シオンの身体を袈裟に刀は斬り裂き、通り過ぎる。直後、少年はおや? と一瞬だけ疑問符を浮かべた。シオンは、斬られながら後ろに流され、しかし足場を展開。その場に留まる……が、すぐに片膝を足場に着く。傷口から、血が噴き出した。

 

《あ、ぐ……!》

【シオン……! シオン!】

 

 喘ぐように、息を荒げるシオンにイクスが叫ぶ。シオンはそれに少しだけ頷き、少年へと目を向け、睨み付けた。

 少年はそれすらも楽し気に見て微笑む。

 

《まさかあの一瞬で、無理矢理身体を”後ろに倒す”なんてね。お見それしたよ》

《……黙れ……!》

 

 痛みに喘ぎながらシオンは少年に念話で叫ぶ。そう、あの刃が迫る刹那、シオンは身体を後ろに倒す事で、無理矢理傷を浅くしたのだった。

 直感があるとは言え、驚異的な反射速度と言える。

 素直にシオンを褒めた少年は、その叫びに肩を竦めた。シオンはそれを苛立たし気に見る。

 

《おまえは、一体何モンだ……!?》

《見ての通りだよ。僕は僕さ。神庭”紫苑”だよ》

《んなワケあるか! 俺が神庭”シオン”だ!》

 

 少年の言葉にシオンは頭を振り、親指で己を指しながら吠える。少年、紫苑はそれに微笑み続けた。シオンは更に叫ぶ。

 

《大体、何故お前が神覇ノ太刀を使える……! アレは一子相伝の技だぞ! しかも俺より数段上のレベルでだ……!》

《その表現はあまり適切じゃ無いなぁ……》

 

 余裕のある口調でシオンの言葉を紫苑が否定する。どう言う意味かとシオンが訝しむ前に、紫苑は続けた。

 

《”貴方が、僕より弱いんだよ”。順番を間違えたら変な事になる》

《……?》

 

 言葉の意味が分からずシオンは眉根を寄せる。その反応も楽しいのか、紫苑は笑い続けた。

 訳が分からないシオンは、そのままの体勢でいる訳にもいかず、立ち上がる。いくら浅くしたとは言え、相応に深い斬痕からは血が噴き出し、無重力故に玉となって辺りに浮かんだ。

 相当痛むのだろう。顔に苦渋を張り付けるながらもシオンはイクスを構える。

 ……質問したい事は、まだあった。

 

《『神空零無』……なんでお前が使える……?》

 

 息を荒げながらも、ゆっくりとシオンは聞く。だが、紫苑は答えない。不透明な紅の眼差しで、余裕の笑いを浮かべながらシオンを見て押し黙っている。

 シオンが、かっとなり叫ぶ!

 

《あれは……! 神覇ノ太刀の中でも最秘奥の業だぞ! 神覇ノ太刀を極める段階で漸く会得出来る業……奥義に匹敵する業だ! よしんば神覇ノ太刀を見様見真似で使えたとしてもアレだけは絶対に使える筈が無い……! そう言った業なんだ!》

 

 苦々しく紫苑の刀を見ながら、シオンは吠える。認められる筈が無かった。

 『神空零無』とは、……否、単一固有技能とはそう言った能力なのだ。シオンの苛立ちながら放たれる殺気と叫びを、紫苑は軽い顔で受け流しながら微笑み続ける。

 

《……そう。単一固有技能『神空零無』。神覇ノ太刀を極める段階で得られる業、魔力放出の一つの異常変化形だね。”虚数魔力”を放出する事により、純魔力系魔法術式を擦り抜け、あるいは斬り裂いて無効とする業だ》

《っ――――!》

 

 淀み無く説明した紫苑に、シオンが驚きと声無き悲鳴を上げる。それはまごう事が無い神空零無の正しい説明であったからだ。

 ――虚数空間、と言うものがある。次元断層により発生する異常空間であり、その中では術式を完全に虚数に分解されてしまう為に、一切の魔法が発動しなくなると言う空間だ。この中に落ちれば、一切の魔法が使えずに重力に従い永遠に落ち続けると言う。

 これを限定的に再現したのが神空零無であった。異常魔力変化により、虚数へと変化した魔力を用いて、術式を”直接”斬り裂く事により、魔法効果を無効としてしまうのである。

 当然、全ての魔法を無効果出来る訳では無く。許容量を超える大魔法術式は無効果するのに時間が掛かる為、完全に無効とする事は出来ず、物質系魔法も同様に無効とするのに時間が掛かる。

 だがそれでも尚、強力――否、”強力過ぎる”能力であった。何せ、これを使用した場合、純魔力系防御は何の役にも立たないのだから。

 そして、これは教えられたから、見たからと言って再現出来る能力では決して無い。神覇ノ太刀を極める段階で漸く発現出来る能力なのだから。

 驚きに固まるシオンに、紫苑が微笑む。

 

《五年前の貴方も使えたんだよね。奥義よりアレを先に使えたのは貴方以外前例が無いらしいけど》

 

 言うなり、紫苑は刀の先端をシオンに差し向けた。剣先から魔力が陽炎のように沸き立つ。

 

《まぁ、今の貴方には――”刀を使わない”貴方には発動出来ないんだし、比べようは無いけどね。例え今の貴方が使えたとしても、貴方よりは上手と思うよ? ……あ、僕が間違えちゃったな。”貴方が僕より下手”なんだ》

《訳の分からん事をさっきから……!》

 

 いい加減、紫苑の言葉に苛立ちが限界に達していたのだろう、シオンが激昂する。だが紫苑は、やはり微笑むばかり。

 

《うん。つまらないこだわりだよ。大切な事だけどね。……それより、もう一つやらなきゃいけない事があったんだ》

《何、を……っ!?》

 

 紫苑の台詞に、シオンが疑問の声を上げた瞬間、辺りにミッド式の魔法陣が複数程展開した。それらはシオンの周りでは無い。

 こちらへと翔け寄ろうとしていたコルト、ハヤトを先頭としたグノーシス・メンバーと、炎壁が消えた為に悠一と共に翔けていたシグナム、ヴィータの周りに展開したのだ。その数は、三十程。

 そして、魔法陣から読み取れる術式は……!

 

《転移魔法……! 増援か!?》

《折角の貴方との対決だしね、邪魔は欲しく無いんだよ》

 

 楽し気な紫苑の言葉に、シオンは歯噛みする。

 グノーシス・メンバーやシグナム、ヴィータは全員怪我人である。先程はあっさり敵騎を落としていたように見えたが、実際の所は余裕が無い為に、切り札を使いダメージを喰らわないように戦ったに過ぎないのだ。

 つまり、余裕が無い。そんな状態で増援と言う事態は最悪過ぎる展開であった。

 シオンは視線を紫苑からコルトに向けた。コルトはシオンの元に向かう事を諦め、既に停止し、ガバメントを構えている所であった。

 魔法陣から見慣れたフォルムが現れる。先の第77武装隊が着ていた新型DAである。それを着込んだ魔導師と思しき者達がおよそ三十。シオンは、コルトに念話で叫ぶ。

 

《コルト教官!》

《うるせぇ! 分かってる! 手前ぇはよそ見してんな! 手前ぇもどきから視線逸らしてんじゃねぇ!》

 

 シオンの叫びに、コルトは間髪入れずに吠えた。そのまま続ける。

 

《自分の面倒くらい自分で見れる。……手前は自分の相手にだけ集中してろ!》

《っ……! はい!》

 

 コルトの怒号に、シオンは少しだけ躊躇い。しかし、紫苑へと視線を戻した。紫苑はそれに微笑むと、右手を振り上げる。

 

《じゃあ、第2ラウンドと行こうか?》

《上等だ……!》

 

 シオンの叫びに紫苑はクスリと笑い、一気に右手を振り下ろす!

 同時に、シオンと紫苑は同じタイミングで弾かれたように飛び出し、増援として現れた敵騎達とコルト達も動き出した。

 

    −撃!−

 

 各所で激突の魔力がぶつかり合い、それが第2ラウンド、新たな局面に変わった事を告げる合図となった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 シオンは真っ正面から迫る紫苑に対し、イクスを肩越しに振りかぶる。

 魔力放出。その身体から轟、と白の魔力が放たれ、イクスの剣先に走る! 対し紫苑は横、腰溜めに刀を構えた。

 

《《神覇、壱ノ太刀――》》

 

 異口同音に、技の名を呼ぶ念話が響く。シオンはそれを憎々し気に、紫苑は楽しそうに聞きながら互いの刃を放った。

 

《絶!》

 

    −閃!−

 

 シオンが絶影を放つ前に、紫苑の刀はその身体を斬っていた。居合の要領で放たれた刀は、シオンを胴を薙ぐ――が、これもシオンが無理矢理後退した事により皮一枚を斬るだけで済んだ。紫苑が感心したような表情で笑う。

 

《今のも、か。直感はかなりのレベルだよね》

《――絶影!》

 

    −閃!−

 

 紫苑の言葉を黙殺し、シオンは振り上げていたイクスを放つ! 轟速で放たれたイクスは、容赦無く紫苑に迫り。

 

《――遅いね。あまりにも》

 

   −しゃん−

 

 更に一歩を踏み込み、イクスを自分に引き寄せるようにして紫苑は刀を縦に当て、再び斬り流した。シオンには既に驚きは無い。この自分もどきは、明らかに自分より強いのだから。

 無理に踏み留まらずに斬り流された方向に、シオンも身を踊らせた。

 

    −裂−

 

 シオンが居た位置を刀が通り過ぎる。今ので踏み留まってしまえば、それだけで首が跳ねられていた所であった。

 

 ……ノーマルじゃ、速度で勝てない!

 

 シオンはそれだけを悟る。慣性に任せて体勢を整えざまに吠える!

 

《セレクト・ブレイズ!》

【トランスファー!】

 

 シオンの叫びにイクスは忠実に従う。ブレイズフォームになり、双剣を構えた。紫苑はそれを見ても笑う。

 

 ……余裕かましてろ!

 

 心の中で叫びながら、シオンはイクス・ブレイズを振り上げた。

 

《壱ノ太刀、絶影・連牙!》

 

    −閃!−

 

    −裂!−

 

 一気にシオンの身体が加速し、紫苑に踊り掛かる。縦横無尽に、イクス・ブレイズは踊り。

 

    −閃−

 

 刀が孤を描き、一閃。ただそれだけで、シオンが放った絶影・連牙は反らされ、弾かれ、斬り流された。

 

 ――馬鹿な!

 

 その結果に目を見開き、驚愕するシオンに、紫苑はさっきとは打って変わり詰まらなそうな瞳を向けた。

 

《正統の神覇ノ太刀に近い形である剣ならともかく、付け焼き刃の双剣なんて通じると思ったのかい? 舐められたものだね》

 

    −斬−

 

 シオンがイクス・ブレイズを戻す前に刀が更に一閃する。ブレイズ・フォーム故の速度で、どうにか身体を反らしものの、今度は左の二の腕を斬られた。

 

《ぐっ……!》

 

 血飛沫が再び噴き出す。新たな痛みに、シオンは歯噛みしながら瞬動で後退。そのままの動きでイクス・ブレイズを構えて、虚空に身を踊らせた。

 

《神覇弐ノ太刀……! 剣牙・連牙!》

《神覇弐ノ太刀、剣牙》

 

 −裂・裂・裂・裂・裂−

 

    −閃!−

 

 シオンから無数に魔力斬撃が放たれ、紫苑はそれに合わせるかのように刀を横に薙ぎ、一閃のみ、魔力斬撃を飛ばす。

 二つの魔力斬撃は真っ直ぐにぶつかり合い、あっさりと無数の魔力斬撃の方が霧散した。つまり、剣牙・連牙の方が。

 

《忘れたかい? 僕は神空零無を発動してるんだよ?》

《っ――! しまっ!》

 

 紫苑の念話に、シオンが失策を悟る。そのシオンに、剣牙が容赦無く名前の通りに剣の牙を剥いた。

 

    −撃!−

 

《が、あ……!》

 

 オートで展開したフィールドも時間稼ぎにすらならない。何も無かったかのように突き抜け、シオンに剣牙が叩き込まれる。直撃を受けたシオンは先に受けた斬痕と同じ箇所に魔力斬撃を受けた。

 ただでさえ、噴き出していた血が更に溢れ出る。口からも血を吐き出しながら、シオンはぐっと朦朧とする意識を繋ぎ止めた。足場を虚空に形成して、踏み止まる。

 

【シオン! 気持ちは分かるが、これ以上は……!】

《ぐ、っう……! まだ、だ! セレクト、ウィズダム!》

【シオン……! くっ! トランスファー!】

 

 イクスを振り上げると同時に戦技変換。ウィズダム・フォームへと変化する。同時、足場に対して身を低く体勢を取った。

 クロスレンジもミドルレンジも、技量や能力に差があり過ぎて勝負にすらならない。ならば、シオンが出来るのは後一つしか無かった。つまり、シオンが今放てる最大威力での突撃。それを見て、紫苑が薄く笑った。

 

《今度は神風? 芸が多いね?》

《るせぇ!》

 

 紫苑の念話に、叫びながらシオンは魔力を一気に放出。イクス・ウィズダムの石突きが弾け、展開した足場に突き立つ。その反発力を利用して、イクス・ウィズダムを構えるシオンは矢となり弾けた。

 

《神覇、伍ノ太刀! 剣魔・裂!》

 

    −轟!−

 

 シオンの身体を魔力が包み込み、同時にイクス・ウィズダムの刃が展開する。進行上の全ての存在を砕くようにして、シオンは迷う事無く紫苑へと疾り――紫苑が、刀を突き出す構えを取るのを見た。

 

 あれ、は……!?

 

《――神覇伍ノ太刀、剣魔》

 

    −破−

 

 紫苑の身体が魔力を纏い、矢となって弾ける。真っ向から剣魔・裂と剣魔がぶつかり合い。

 

《――バカだね。神空零無で放った剣魔だよ? 威力の上下に意味なんて無い。そして、攻撃と防御は同時には出来ないんだ》

《っ――まずっ!》

 

    −斬!−

 

 シオンがそれに気付いた時、全ては遅かった。剣魔・裂は剣魔によりあっさりと引き裂かれ、紫苑の剣魔は、向かい来るイクスを容赦無く弾く。後は、防御も回避も何も出来ないまま、愕然とするシオンしかいない。無防備な状態で剣魔・裂を放った勢いのまま、シオンは自分から剣魔に飛び込む形になり。

 

    −閃−

 

 それでも身を無理矢理反らせたシオンの中心を離れ、刀はシオンの腹に突き刺さった。刀は腹部、正確には左脇腹を貫通。更にシオンを剣魔の魔力衝撃が襲い掛かる!

 

    −轟!−

 

 身体中に衝撃が叩き込まれ、身体の致る所が破裂、一瞬で全身をスタボロに変えた。紫苑はそのまま、ゆっくりと止まり、刀に貫かれたシオンを見つめながら吊り上げる。

 

【シオン? シオン!】

 

 イクスがシオンに呼び掛けると、シオンはそれに反応。左手に持つイクスを持ち上げ、紫苑に向けようとして。

 

《しぶといね》

 

 紫苑はそれだけを言うと、刀を下に振り下ろす。

 シオンも一緒に振り下ろされて、刀が下に落ちると同時に刃から身体が抜けた。そのまま、シオンの身体は慣性に従い突き進み、進行方向にあった『シュバイン』の艦壁に叩き付けられて停止する。

 シオンの身体は艦壁に転がり、その身体からは血が激しく噴き出し続けた。

 転がるシオンを追って紫苑が艦壁に着地する。ゆっくりとシオンに歩みよりながら肩を竦めた。

 血を噴き出し続けながら転がるシオンを見下ろし、意外そうな顔で告げる。

 

《驚いたね。こんなに差があるなんて思って無かったよ。……”あの人”の頼みだったんだけど。こりゃ更正には苦労しそうだね》

《っあ……ごぶっ……!》

 

 艦壁に転げたままシオンは何かを話そうとして口を開き、だが血を大量に吐き出す。紫苑はそれを見て、少し顔を引き攣らせた。

 

《やり過ぎちゃったかな? 殺しちゃったら意味無いし》

《せ、……くと……》

《うん?》

 

 シオンが呟く念話に興味を引かれたか、紫苑が顔を寄せる。そんな事で聞こえる筈は無いが、気分の問題なのだろう。

 そして、シオンがぎょろりと紫苑に目を剥いた。

 

《ゼ、レグド! ガリバァ!》

《っ!?》

 

 始めて紫苑の顔に驚愕が張り付く。シオンは構わずに、最初からカリバーンとなったイクスを倒れたまま振り放った。

 

    −戟!−

 

 紫苑の刀は間一髪の所で放たれたカリバーンを防いだ。そのまま、刃を絡め取り弾く。イクス・カリバーンはあっさりと虚空に舞った。紫苑はそれに口元を緩め――。

 

    −激!−

 

《か……!》

 

 ――油断したその顔に、跳ね起きたシオンから勢いのままに頭突きを顔面に叩き込まれた。

 痛みと言うよりは、驚きに身を引く紫苑にシオンは更に蹴りを腹に叩き込み、その小さい身体を撥ね飛ばす。自分もその勢いを利用して、紫苑から間合いを取った。

 

《イ、クス……》

 

 シオンがぽつりと呼ぶと、イクス・カリバーンはすぐにその手に戻った。紫苑に真っ直ぐ差し向ける。蹴られた紫苑も体勢を整え、艦壁に足を着いた。その顔には、苦笑が張り付いている。

 

《貴方はゾンビか何かかい? 普通、死んでるよその傷》

《死、んで、たまる、か……!》

 

 息も絶え絶えに、シオンが唸るようにして念話を放つ。紫苑をギロリと見据えた。

 

《……結局、お前はなんなんだ……どうにも、他人じゃ、無いみたいだしよ》

《だから僕は僕だって。神庭紫苑さ。……貴方と違う、ね》

《な、に……?》

《そうだなぁ、なら一つ面白い話しをしてあげるよ。……プロジェクトFって言うのを聞いた事はある?》

《プロジェクト、F……?》

 

 一切の油断無く、紫苑の隙を探りながらシオンはその言葉を繰り返す。紫苑はそれにゆっくりと微笑んだ。

 

《詳しくは貴方の仲間であるフェイト・T・ハラオウンや、エリオ・モンデアルに聞くといいよ。……ぶっちゃけると記憶転写クローニング技術の事なんだけどね。これを使えば、被験者の記憶を持ったクローン体が出来上がるって寸法だよ》

《それが、お前だってか……!》

 

 シオンが顔を歪めながら紫苑を睨み付ける。それならば、紫苑の言葉も腑に落ちる。自分の記憶を有したクローン体。ならば、確かに目の前に居る奴も”シオン”だと言う事になる。だが、紫苑は浅く笑い、それに首を振った。

 

《さて、ね。ところで魂学は流石に知ってるよね?》

《……ああ》

 

 はぐらかすような紫苑の言葉に内心、更に怒りながらシオンは頷く。紫苑はそれを見て、鷹揚に笑った。

 

《そう、魂学。あれによれば人の魂は二十六次元以上で波動として、その形を表すのだそうだね。つまり、その精神を”波紋”として検出する訳なんだけど――もし、”ある特定の人物の魂の波紋を完全に複写出来た”としたら、果たしてどうなるかな?》

《な、に……?》

 

 シオンは、その説明に目を見開き呆然とする。紫苑は構わず続ける。

 

《例えば、”貴方の十二歳時の魂の波紋データを完全に複写して魂の複製データを作り上げて、貴方の記憶転写クローンにその複製魂を内装したなら”果たしてどうなるかな……?》

《お、ま、え……!》

《そう、それはプロジェクトFの完成形さ。まぁ、僕が”ソレ”だとは言わないけどね》

 

 愕然となるシオンに、紫苑は微笑む。

 魂も記憶も遺伝子的な意味でも一緒。それは、もう一人の自分で無くて果たして何だと言うのか。シオンは漸く、紫苑の謎のこだわりを悟った。つまりは――。

 

《お前は、俺の五年前の……!》

《そう、貴方がかつて誇っていたレベルで僕は貴方の技を振るえる。……貴方のように殺人の忌避も無く、ね》

《な……?》

 

 今、こいつは何と言った?

 

 紫苑の言葉に、シオンは目を見開き、呆然とそう思う。そんなシオンに紫苑は微笑んだ。

 

《そう、僕は人を殺す事を忌避したりしないよ。貴方と違ってね。この次元航行艦、やたらと静かだと思わないかい……?》

《……殺、したの、か……!? 俺の技で……!》

《うん。この艦の乗員全員をね。なかなか苦労したよ》

《っ――!》

 

 ぎりっと、シオンが奥歯を噛み締める。このシオンは刀を振るい、自分の技で人を殺したのだと言う。

 シオンの脳裏に、ある光景が浮かび上がった。血溜まりの、赤の光景が。

 こいつは、あれを再現したのだ。シオンは怒りに震える。憤怒に彩られた瞳で紫苑を見据えた。

 身体から溢れ出る血を指に塗れさせ、虚空に文字を描く。雷、と。

 紫苑の目尻がピクリと動いた。

 

《まさか……使う気?》

【シオン! 止めろ! これ以上は……!】

《やかましい! あいつは……! あいつだけは許しておけるかぁぁぁぁ!》

 

 シオンが吠えると同時に拳を握りしめる。左手を突き上げた。

 

《来い……! ヴォルトォ!》

【く……! シオン!】

 

 イクスの声もシオンは構わない、その背後に雷が疾り、ソレは顕れた。雷の精霊、ヴォルトが。シオンはそのまま叫ぶ!

 

《精霊……! 融合!》

【くそ……! シオン、死ぬなよ! スピリット・ユニゾン!】

 

 もはやシオンは止まらぬ事を察してイクスもシオンの命に従う。ヴォルトがシオンの身体に溶け込むように、像をシオンへと重ね、やがて完全に一体化した。

 シオンの身体から紫電か走る。精霊融合が完了したのだ。

 そのまま律儀にも融合完了するまで待っていたシオンを怒りのままに、見据えた。紫苑はそれを見て微笑む。刀を八相に構えた。

 

《漸く、切り札のお出ましか。どのくらいのものなのか、拝ませてもらうよ》

《ほざいてろ……! お前はここで潰す!》

 

    −轟!−

 

 叫ぶなり、シオンが一気に紫苑へと向かい飛び出す。カリバーンを左手一本で腰溜めに構えた。

 それを見て、紫苑も構えを変える。シオンと同様に、刀を腰溜めに構える!

 そして、シオンと紫苑、二つの姿が交差する――。

 

《神覇壱ノ太刀! 絶影・雷刃!》

《神覇壱ノ太刀! 絶影!》

 

    −閃!−

 

    −裂!−

 

    −斬!−

 

 雷纏う斬撃がシオンより放たれ、神空零無を纏う斬撃が紫苑より放たれる!

 二つの刃が擦れ合い、互いの身体を求めて火花を散らして。

 シオンのカリバーンは、紫苑の身体を掠め。

 紫苑の刀は、シオンの左腕を肘から斬り捨てた。

 

《――残念、だったね》

 

 刀を放ち、残心した状態で紫苑は笑う。シオンは目を見開いていた。

 二人のちょうど中間に、斬り飛ばされたシオンの左腕がカリバーンを握ったままくるくると舞う。そして――。

 笑う、”シオン”が! 獣じみた表情で!

 それを見て、紫苑が訝しむように眉を寄せ、シオンはそれにも関わらず動いた。”斬り飛ばされた左腕に噛み付く!”

 そのままの勢いで紫苑に体当たりをブチかまし、首を反らして紫苑に刃を振り放つ!

 

    −撃!−

 

 驚いたのは、紫苑である。まさかそんな行動に出るとは思っていなかったのだ。

 技後硬直と驚きで無防備となった紫苑にその一撃を躱す事など出来よう筈も無い。立ち尽くす紫苑にカリバーンは、深々と突き立った。

 

《が、ぐ……貴方は……! 最初から、コレを……!》

《神覇九ノ太刀、奥義》

 

 シオンは紫苑の言葉を完全に黙殺する。その目は爛々と紫苑を見据えながら輝いていた。怒りに、憎しみに。

 そして、シオンは密着しながらソレを放つ!

 ”自爆覚悟”の大技を!

 

《青龍》

 

    −轟!−

 

 シオンがぽつりと呟くと同時に、カリバーンから暴虐たる雷龍が生まれ落ちた。密着している二人を青龍は区別なく喰らい――次の瞬間、”制御されなかった”青龍は問答無用に暴走した。つまり――!

 

    −轟!−

 

    −雷!−

 

    −爆!−

 

 青龍がその形を瞬時に失い、激烈な威力となって爆裂する!

 二人を飲み込んだままに、その雷爆発は引き起こり、シオンはカリバーンごと左腕をくわえたまま吹き飛ぶ。紫苑も逆側へと盛大に弾け飛んだ。

 

《お前にだけは負けるかよぉ! バカタレェェェェェェェェェェ!》

 

 シオンが全身を焼かれて、艦壁を盛大に転げながらも叫ぶ。やがて、雷爆発は収まり虚空に静寂が戻った。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

《……は、あ、う……》

【シオン! シオン! 生きてるか!? シオン!】

 

 イクスからの声を虚空に浮かびながらシオンは聞く。出血と、全身の火傷で身体の中は恐ろしく寒く、しかし身体の外は異様な程に熱い。もう、痛みなんて感じていなかった。そんなもの、とうに超越してしまっている。

 

 寒いなぁ……。熱いなぁ……。

 

 朦朧とした意識でシオンはぼんやりと思う。シオンはあまりにも酷い状態だった。

 身体中を裂傷が走り、腹には大穴、片腕は斬り落とされ、全身は大火傷。今も息をしているのが不思議な状態であった。

 もう、指一本も動かせずにシオンは虚空をさ迷う。

 

 眠いなぁ……。

 

 意識は途切れ途切れになり、いつ失ってもおかしく無い状態で、シオンはそう思う。ここで寝たら、恐らくは死ぬ。それが分かっていながら、その睡魔に抗え無い。

 そして、瞼(まぶた)がゆっくりと閉じて行き。

 

《《シオン!》》

 

 二人分の叫び声に、無理矢理叩き起こされた。閉じかけた瞼を開ける。

 正面にウィンドウが展開していた。そして映るのは、二人の少女の顔。

 スバル・ナカジマ。

 ティアナ・ランスター。

 その二人の顔であった。

 二人は顔をくしゃくしゃにして、スバルは泣きながら、ティアナは泣きこそしないまでも顔を歪ませてシオンを見ていた。

 

《シオン……! シオン……!》

《アンタ……! また、こんな……!》

 

 二人の声に、シオンは思わず微笑する。大丈夫と言おうとするが、上手く念話が使え無い。そんなシオンに、二人はすぐさま叫ぶ。

 

《今すぐ行くから……! だからシオン! 頑張って! 死なないでっ!》

《アンタ死ぬんじゃないわよ! もし死んでみなさい……! 絶対許さないから……っ!》

 

 二人の声に、シオンは僅かに頷く。シオンもこんな所で死ぬ積もりは無い。やらなければならない事、成さねばならない事がある。こんな所で死んでいるような暇は、無い。帰るのだ、アースラに! だから――。

 

《そうだね、貴方に今死なれると僕も困るしね》

 

 ……!?

 

 聞こえた声に、シオンは鈍く反応する。この念話は……!

 見ればウィンドウの後ろに、いつの間にか彼が居た。

 紫苑が、”ほとんど傷一つ無く”。

 

 な、んで……!?

 

 そう問いたいが、シオンは今、上手く念話を飛ばせない。そんなシオンに、彼は笑ってみせた。

 

《それは秘密だよ。にしてもまぁ、貴方も恐ろしい真似をするね。死ぬかと思ったよ》

 

 紫苑はひょいと肩を竦めて見せる。そして、シオンを楽し気に見つめた。

 

《まぁ、今後気をつけてね? ”あの人”は貴方の死を望んじゃいないんだ。……僕に取っては甚だ不愉快だけどね》

 

 また、”あの人”か……!

 

 再び紫苑から漏れた単語に、シオンは朦朧とした意識で胸中叫ぶ。その”あの人”とやらが、この紫苑を作った存在だとでも言うのか。

 

 それにこいつは……!

 

《――そう、貴方が僕を許せないように、僕も貴方を許せないんだ。この手で殺してやりたいと思ってる。……でもあの人を怒らせる訳にも行かないからね。……誰にも邪魔出来ないようにして貴方を殺すつもりなんだ。けど、今は殺せない》

 

 それが本当に悔しいと、紫苑はシオンを見据えながら告げる。その目は、凄まじいまでの憎悪と殺意に彩られていた。

 一瞬だけソレを見せた後、紫苑は肩を竦める。ソレは、あっさりと紫苑の瞳から消えた。

 そのまま、紫苑は虚空に目を向ける。そして、ぽつりと呟いた。

 

《だから、今日の所は貴方の大切な人を殺して溜飲を下げておくよ。スバル・ナカジマと、ティアナ・ランスター、て言ったかな? あの二人がちょうどいいね》

 

 ……今、こいつは何と言った?

 

 シオンは真っ白になった頭で、そう思う。そんなシオンを見て、紫苑は笑う。

 

《貴方の大切な人を、かつての貴方の技で殺す。……うん。なかなかいいね。楽しそうだ》

 

 にこにこと笑いながら、紫苑は告げる。

 

 ……俺の技で、スバルとティアナを、殺す?

 

 呆然とし続けるシオンに、紫苑は背を向けた。刀を握り、歩を進める。

 

《それじゃあね。そこであの二人が斬り裂かれる姿を見てるといいよ。……楽しみだなぁ》

 

 そうシオンに告げ、紫苑はその場から離れようとして。

 

《……今、何つった?》

 

 −お前、ムカつくなぁ−

 

 声が聞こえた。二重に響く声が。空間に、世界に響く。

 

《……今ぁ、何つった?》

 

 −カカカカカカカカカカ……! お前、本当にムカつくな。楽しくなってきたよ。なぁ、兄弟?−

 

 声が響く、響く。その場から離れようとしていた紫苑は、しかし動けず、ゆっくりと振り向く。

 ――そこにシオンが居た。”身体中から因子を溢れさせて”!

 目が煌々と朱を照らし、紫苑を見据える。

 紫苑は漸く悟った。自分が彼の逆鱗に触れた事を。凄まじいまでの怖気と共に!

 

【シ、オン……! ぐ……! コード、アンラ・マンユ確認。だ、め、だ。抑えきれ……!】

《今ぁ……! 何つったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!》

 

 −カカカカカカカカカカカカカ! 刺殺、絞殺、斬殺、圧殺! 何がいい? 何がいい? 何がいい!? 全部か!? なんなら滅殺ってのはどうだ!? なぁ、兄弟! カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ!−

 

    −轟!−

 

 直後、シオンの身体から因子が柱のように宇宙空間に突き立つ!

 アンラマンユが、再びシオンの身体を持って、その力を振るわんと、顕現せしめた。

 憎しみに、喜悦して。

 怒りに、愉悦して。

 

 

(後編2に続く)

 




はい、第四十話後編1でした。紫苑が使ってる刀術は、こう刀でしか出来ない技。みたいな感じで書いてみたり(笑)
あ、いくつか名称変更してますが、お気になさらずー(笑)
では、後編2でお会いしましょう。
ではではー。

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