機動戦士ガンダムSEED DESTINY ZIPANGU   作:後藤陸将

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Fate/grand orderどうなってんでしょ、ホント……

昨日の時点で清姫とエリザベートを撃破したところです。
パーティーはアサ次郎と牛若丸とキャスター兄貴とマシュさんです。
しかし、ワイバーン多くて兄貴が使えねぇ……アサ次郎無双ですよ、ホントに。アサ次郎がフレンド召喚でGETした☆1の癖して我がパーティのダメージディーラーやってるってのが何だかなぁ。

因みに、石で召喚した他サーヴァントも悲惨なもんで、
ティーチ、モーツァルト、シェイクスピア、アンデルセン、ミノタウロス、ショタイスカンダル、緑茶、マタハリとクラスが偏りに偏ってます。
三騎士なんて緑茶さんしかいないっていうね。しかも、作家系サーヴァントがダブる悪夢。
昨日の1100ギリギリの召喚でようやくマルタを迎えるも、そこから48時間メンテって状態です。


PHASE-24 オペレーション・メイス

C.E.79 7月1日 アメノミハシラ

 

 

 日本の有する宇宙での大規模拠点はアメノミハシラと火星、そしてL4コロニー群であるが、その中でアメノミハシラは位置的に大きな意味を持つ。

 アメノミハシラは常に日本の上空を移動しており、宇宙から日本に直接降下を試みる敵を迎撃できる絶好の位置にある。そして日本から宇宙に上げた物資や人員、逆に宇宙から降ろす物資や人員を中継する物流の拠点としての役割も持っている。当然のことながら、戦時には宇宙軍の兵站を支える重要な拠点になるのだ。

 かつて狂信的宗教団体によるテロの標的となったこともあり、常に日本とその交通網を護るべく軽空母1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦8隻がアメノミハシラを母港とする艦隊に配属されている。アメノミハシラは航宙母艦クラスの巨艦が同時に6隻まで桟橋につけられる世界最大の軌道ステーションであるため、これだけの戦力を常駐させることが可能だった。

 また、アメノミハシラ自体にも己を護る強力な防衛システムが存在する。かの海皇(ポセイドン)作戦ではザフトの大量破壊兵器、ジェネシスを崩壊させた特型20口径330cm要塞砲、通称デラック砲だ。この巨砲の一撃を喰らえば、、如何なる国の軍艦であっても撃沈は免れない。

 しかし、戦時体制となるとこの防衛体制でも不安が残る。敵が多数のMAやMS、艦船といった物量で攻めてきた場合、質では上でも防衛戦を支えきれなくなる可能性が十分に考えられるからだ。

 まして、今回の戦争の相手は大西洋連邦ときた。前回の大戦時には5個艦隊を擁していたが、現在はさらに増えて7個艦隊を擁している。数だけで見れば、こちらの宇宙軍聯合艦隊2.5セット分に匹敵するだけの戦力を有しているのである。

 前回の大戦時のザフトと地球連合軍の戦力差に比べると鼻で笑えるくらいの戦力差ではあるが、もはや大西洋連邦軍はかつてのようなザフトに撃墜数(スコア)を献上するヤラレ役ではない。

 戦勝後に接収したマティウス市の技術や、ユーラシア連邦との裏取引で手に入れたセクスティルス市とマイウス市の技術、コーディネーター以上のMS開発の才を発揮する天才開発技術者の出現によって、大西洋連邦は質の面でも前回の大戦よりもはるかに水準を上げているのである。確実に、帝国軍との技術格差を縮めてきている。

 そもそも、大西洋連邦を構成する主要国家であるアメリカとイギリスはかつて、日本との戦争において引き分けている。近代に入ってから、両国と同じ土俵で正面から戦って引き分けた国など、日本だけだ。世界最強最大の国家を自負する彼らにとって、それはとても気に食わないものであった。

 現にほぼ全ての部隊には、数々の伝説を造り上げたGAT-X105ストライク以上の性能を誇るGAT-04ウィンダムが行き渡っており、さらに一部エース部隊には第二期GAT-Xシリーズの改良機や新規に開発されたエース専用機、MA主兵論派の部隊には量産が進みつつある陽電子リフレクター搭載の大型MAまで配備されているのだ。

 日本人に大和魂があるように、大西洋連邦にもフロンティアスピリッツやジョンブル魂がある。彼らは、一度差をつけられたらどんな手をつかってでも追い越すという執念があり、世界に君臨する最大の統治国家にして地球圏最強国家である自負を数世紀の間持ち続けてきた。

 ここにきての日本人の台頭と明確な差を見せつけられた屈辱が、大西洋連邦国民の眠れる誇りと執念に火をつけたのだろう。日本人に追いつけ追い越せとばかりに研究に没頭する科学者たちの中で、横浜の魔女ほどではなくとも間違いなく『天才』と呼ばれる逸材が台頭し始めた。

 自然循環保護システム・エントを開発した『森の救世主』キャサリン・ライアン、ウィンダムに次ぐ主力MSになることが内定している新型MSを開発した『MSの鬼』、フランク・ハイネマン。学生時代には極東の魔女と一対一で激論を繰り広げ、最後まで彼女に勝利宣言をさせなかった『西の鬼才』ダニエル・マクフィー。新たな理論で構築された集積回路を開発し、量子コンピューターの性能を数段引き上げた『星の叡智』クラウス・エッカルト。

 メディアは斜陽の大西洋連邦を救う能力を持った彼らに敬意を払って『アルケミースターズ』と呼んだ。『アルケミースターズ』の貢献があったからこそ、大西洋連邦は日本から遅れること2年でマキシマオーバードライブの開発、量産に成功できた。そして、勝機を見出して国家総力戦を挑むことが可能となったのである。

 日本も、大西洋連邦が侮れない敵であることは理解している。現在のところ、MSや艦船など各種兵器の性能で言えば間違いなく優位に立っているし、前回の大戦での人的損耗が僅かだったために実戦経験もある優秀な軍人が多数いるため、人的な面でも優位に立っていることも明白だ。しかし、それは現時点での話に過ぎない。

 大西洋連邦軍の恐ろしいところは、その学習能力の高さである。彼らは一度痛い目を見ると、そこまでするかと思うほどに徹底した対策を打ってくる。密林に潜むゲリラの襲撃で大損害を被れば密林を徹底した爆撃で焼き払い、航空機でフルボッコにされたならば、月刊正規空母や週間護衛空母と言わしめるほどに空母を量産するのだ。

 序盤に勝利していたところで全く安心できない。大西洋連邦の本当の恐ろしさは、戦争の中盤以降に顕になるのである。それを知るが故に、日本は大西洋連邦とことを構えることは可能な限り避けてきたのだ。

 しかし、大西洋連邦が日本に対して手交したウィルソン・ノートの回答期限を迎えたこの日、大日本帝国と大西洋連邦は交戦状態に入った。既に開戦は九分九厘避けられないものと判断していたそれぞれの国では交換船の準備が整っており、一週間以内に全ての交換船が出発する手筈になっている。

 前回の戦争から僅か8年で再び戦時体制に入ったことに対して国民からは戸惑いの声も上がっているが、大西洋連邦の要求の傲慢さについては既に国民の知るところとなっているため、戦争に反対を唱える声は小さい。

 企業家達は戦時特需を見込んで精力的に動きだし、マスコミ関係者は自分の利得の為にどのようにして戦争を報道して世論の熱を高めるかを画策し始めている。財務省や外務省も戦争によって生じるであろうマイナス面に頭を抱えながら対策を始めていた。

 そして、陸・海・空・宙の4軍の軍人たちも、自分たちの役割を果たす時を迎えていた。祖国を護るために、彼らはこれから戦場へと旅立つのである。

 

 

 

 『安土』に停泊していた航宙母艦『雲龍』は、発着艦訓練を完了後に命令を受けてアメノミハシラに移動していた。

 桟橋に船体を接続した『雲龍』の食堂では、コーヒーを片手に持ったシンが怒りの眼差しを食堂に備え付けられたテレビに、正確に言えばそこに写っている壮年の男に向けていた。

『これより私は、全世界の皆様に非常に重大かつ残念な事態をお伝えせねばなりません』

 画面に映る男の名は、ジョゼフ・コープランド。前回の大戦後に就任した、現職の大西洋連邦大統領その人である。

『我が大西洋連邦と日本は、まだ大西洋連邦がアメリカやイギリスなどといった形でバラバラだった時、第二次世界大戦の終結からずっと多くの国民にとってライバルであり、友である国でした。先のプラントとの戦いにおいても、日本は我々と共に戦い、ナチュラルの絶滅を画策した悪の巣窟を多大な犠牲を払いながらも討ち果たしました。政府にとっても、経済的、軍事的にも最も頼りになる盟友であり、戦友であったと言っても過言ではありません。国民の皆様も、この頼りになる盟友との関係がこれからもずっと続いていくものであるとつい最近まで信じていたのです。私自身も盟友である日本と国交を断絶するなどということは夢にも思っていませんでした。しかし、太平洋を挟んだ数世紀にも及ぶ長い蜜月もついに終焉の時を迎えてしまいました。永遠の友情は、幻想だったのです』

 コープランドは誰かを悼むように淡々と話を続ける。

『火星圏開拓共同体が、日本と交戦して不幸にも敗北したことは皆様もご存知でしょう。終戦交渉の際に彼らはステルス機能を持つMSの襲撃を受けました。しかし、あろうことか日本はそのMSが大西洋連邦のものであるという言いがかりをつけてきたのです。勿論、政府は一切そのようなことを命じておりませんし、我が軍も全く関与していません。これは謂れなき誹謗中傷であり、我が国の名誉を著しく貶めるものにほかならないのです。我々は幾度となく対話の機会を用意し、可能な限り自分達の潔白を主張しましたが、未だに彼らは納得せず、私達が卑怯な襲撃者だと決め付けることを止めません。数世紀に及ぶ友誼を信じることもせず、我が国を卑怯な陰謀家呼ばわりされれば我々とて黙ってはいられません。我々を不当に貶める日本の現政権は、我々にとって看過できない存在なのです』

 画面の中の男は、苦渋の決断であったとでも思わせぶりな表情をしているが、シンにはそれが白々しく思えてならなかった。

 日本政府の言い分を鵜呑みしているわけではないが、少なくとも講和会議を襲撃したMSが拿捕されたということは確かなのだろう。しかし、大西洋連邦が日本に敵対している火星圏開拓共同体に肩入れしていたことも、傲岸不遜としか言いようのない要求を日本に突きつけてきたことも事実だ。それでいてこれまでの友誼を信じてくれなどというのは虫のいい話だとシンは思う。

『よって、先の最後通牒の通り、本日をもって大西洋連邦が武力によって日本の現政権を排除することを日本政府に通告いたしました』

「開き直っただけじゃねぇか」

 シンは毒づき、左手に持ったコーヒーを飲み干して食堂を後にした。

「戦争がしたければ、地獄の鬼とでもやっていろ。死んでいくのはあんたら政治家じゃなくて、日々を普通に暮らしてる国民なんだ」

 脳裏に過ぎるのはあの日のオーブの姿だ。東アジアから謂れのない罪を着せられて開戦を余儀なくされたあの日のオーブと今の日本の姿が、とても似ているとシンは感じていた。そして大西洋連邦の居直り強盗のような態度に対して、父を奪った傲慢で強欲な東アジア共和国と同じような怒りと憎しみを抱かずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

「……ラミアス艦長や坊主とやりあうってこともあるのかねぇ」

 オーブ生まれの戦争を憎む青年があらん限りに怒りを大西洋連邦に向けながら自室に向かっていた頃、デブリベルトを移動中の強襲機動特装艦『ドミニオン』の展望室で一人の男がボソリと呟いた。

 男の名前はムウ・ラ・フラガ。大西洋連邦一の撃墜王(エースパイロット)である。落とした女性の数は3桁に及び、落としたMSやMAの数もそれに並ぶという色々な意味ですごい撃墜数(スコア)で知られている。それ故に男からは尊敬と嫉妬を、女性からは恋慕と軽蔑の何れかの念を持って接されることが非常に多い。

「仕方がないな。それが戦争ってやつだ」

 これから、ムウは大西洋連邦の軍人として日本帝国軍に戦いを挑むことになる。

 作戦名は『オペレーション・メイス』。作戦の戦術的な目的は日本にとって重要な兵站拠点であるアメノミハシラを守護する艦隊を撃滅し、周辺の制宙権を奪取することにある。敢えてアメノミハシラそのものではなく、そこに駐留する艦隊の壊滅を狙っている。

 流石にデラック砲の射程に入って狙い撃ちにされては分が悪いことは分かっているので、敢えてアメノミハシラを積極的に狙わない。しかし、上手く駐留する艦隊を壊滅させることができればアメノミハシラを拠点とした日本軍の宇宙交通網の大動脈を断絶することが可能であるし、航路を護るためにL4に引篭もっている艦隊の一部も出撃せざるをえなくなる。L4の守護もあるので、出せる艦隊は全艦艇の半分といったところだろう。

 艦隊をつり出すというこちらの意図に気づいてL4からの援軍が到着するまで要塞砲の射程内に篭ることも考えられるが、その場合はL4からの援軍が到着するまでに随伴している機雷敷設艦が悠々と機雷を設置するだけだ。さらに、随伴している特殊砲艦が断続的に要塞に砲撃を叩きつける手筈となっている。 

 この特殊砲艦は、大西洋連邦で試作されたデラック砲を搭載しており、しかも口径と砲身長ではアメノミハシラに設置されているデラック砲を上回る代物であった。当然射程距離ではアメノミハシラのデラック砲のそれを上回っている。尚、大西洋連邦ではモニター艦として建造された2隻の特殊砲艦の両方を投入する予定となっている。何時の時代も、要塞崩しには巨砲による弾丸で耕すことが有効なのだと彼らは判断していたのである。

 ただし、モニター艦ということで通常の戦艦に比べて高性能な観測機器が多数搭載されているが、それでもこのレベルの巨砲の命中精度を高めることは困難を極めるらしく、計算上アメノミハシラに直撃弾を当てられる確率は0.1%となっており、1000発撃ってようやく1発の命中弾を得られる計算となる。

 日本軍にとって戦力分散は愚の骨頂であるが、打って出なければ交通網が断絶され、経済的に日本は大打撃を受けてしまう。そんな状態に追い込むことがこの作戦の戦略的な目標であった。

 因みに、作戦名であるメイスとは柄の先に重量のある柄頭を有することにより通常の棍棒より高い打撃力を生みだす殴打武器であり、日本語に直すと鎚矛という意味を持つ。艦艇を叩き、その後交易網を叩き、日本の経済を叩く。何度も致命傷になりうる殴打を連続的に加えるという意味を籠めた作戦名なのである。

 

 ムウは、胸元から一枚の写真を取り出す。ヘリオポリスからの逃避行の末にたどり着いたアラスカにて、アークエンジェルの艦橋をバックにクルーたちと撮った記念写真だ。フレイとナタル、そして自分が艦を去ることになったのでここまで生き延びてきたという記念と再会の願いを籠めて撮られた一枚であった。

 共に命を預けあった信頼できる戦友たちと戦うことに戸惑いがないわけがないが、それでもムウは軍人だ。感傷で戦争はしないだけの分別はあった。それに、自分が迷えば部下達が、そして今の自分を信じてくれる戦友たちの命を危険に照らす。

 彼にとって大事なのは今の仲間であり、戦友だった。ムウは前回の大戦で何度もザフト相手に負け戦を経験し、その度に殆どの戦友を失ってきたが故に、隣に立つ戦友には特別な思いを抱いていた。

「覚悟してくれよ、ラミアス艦長、それに坊主たち。俺も、部下達を死なせるわけにはいかないんでね」

 時計を見て出撃の時間が近づいていることに気がついたムウは、展望室を後にする。その顔は、任務を忠実に遂行する軍人のそれである。そしてその後ろ姿からは、立ちはだかるものを薙ぎ払って戦友を守ろうとする撃墜王(エースパイロット)の風格が滲んでいた。


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