僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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放送部へ

デイジーは終始、シアと楽しそうに遊んでいた

その時、明久の近くにユーストマが現れて

 

「デイジーか……」

 

とデイジーを見た

その目には、複雑な感情が見て取れた

 

「神王陛下……」

 

「最近、義姉貴が変な動きをしているのは知っているがな……どうだ?」

 

デイジーを見たまま、ユーストマはそう明久に問い掛けた

 

「今のところ、危険な動きや魔道具は確認出来ません……監視は怠らずに行います」

 

「ああ、頼む」

 

明久の言葉に、ユーストマは頷いた

そして時は過ぎて、夕方

明久達は、帰途に着いた

その途中のことだった

デイジーが

 

「あ、あの、シア樣!」

 

とシアに声をかけた

 

「んー? なあに?」

 

とシアが小首を傾げると、デイジーは緊張した様子で

 

「放送部に……放送部に入ってくださいませんか!?」

 

と言った

その後、デイジーはそう言った理由を語った

今デイジーは放送部の部長なのだが、今年は新入部員は無し

更に、三年生が引退したために部員がデイジー一人だけらしい

だが、一人では部としての存続は実質不可能

今年中に、最低で三人にならないと廃部になることが決まったのだ

そしてシアは、部活には入っていない

確かに、人材としてはうってつけだろう

シアはその容姿と性格から、幅広く好かれている

 

「うーん……どうしよう」

 

とシアが悩んでいると、ユーストマが

 

「悩む必要はねえよ、シア」

 

と言いながら、シアの頭に手を置いた

 

「お父さん……」

 

「今のお前は、王女であると同時に学生なんだ。だったら、学生らしく部活にも参加しろや」

 

シアが視線を向けると、ユーストマはそう言った

それは、神王としてではなく、シアの父親としての言葉だった

それを聞いたからか、シアは

 

「えっと、何処に行けばいいのかな?」

 

とデイジーに問い掛けた

すると、デイジーは嬉しそうに

 

「来てくださるんですか!?」

 

とシアに問い掛けた

 

「うん。部活には、参加してみたかったの」

 

「ありがとうございます! 明日の11時に、学園二階の放送室に来てください」

 

シアの言葉にデイジーはそう言った

そこで一行は別れて、帰宅した

翌日、明久達は言われた時間に学園に来ていた

そして、シアが放送室のドアをノックすると、少ししてから

 

「お待ちしてました! どうぞ」

 

と明久達を中に招き入れた

中はかなり広く、設備もかなりのものだった

 

「これは……もはや、ラジオ放送局の設備並だな」

 

と言ったのは、設備を一瞥した明久である

どうやら、非常時に使うことも考慮されているらしく、広域放送システムがあったからだ

 

「しかし、これだけの設備……一人で回すのは厳しいだろ?」

 

という明久の言葉に、デイジーは頷いて

 

「はい、そうなんです……」

 

と認めた

すると、シアが

 

「それで、今日はどうすればいいのかな?」

 

とデイジーに問い掛けた

すると、デイジーが

 

「今日は、シア樣と剣神さんにゲストとして出てもらうという形を考えてます」

 

と答えた

そして、傍らの机の上に置いてあった箱を取ると

 

「実は、少し前からお二人への質問を集めてたんです」

 

と言って、中から紙の束を出した

明久は、その片方を取ると中を見て

 

「なるほど……まあ、答えられる範囲でなら答えよう」

 

と言った

すると、同じようにシアが

 

「そうだね……流石に、答え難いのがあるなぁ」

 

と言った

すると、デイジーが

 

「ああ、それは構いません! 私も、応募された中から選んだつもりですが、最初からこれは言えないというのが幾つかあったので……」

 

と言った

一体、どういう質問内容だったのか

 

「では、いいですか?」

 

「ああ、構わん」

 

「OKっす!」

 

二人が頷くと、デイジーは立ち上がって

 

「では、中に入って待っていてください。私は、ちょっとやることがあるので」

 

と言って、奥に続くドアを開けた

二人が中に入ってイスに座ると、デイジーは何やら設備を操作した

そして稟を手招きすると、何やら指を指して喋っている

そして稟が頷くと、入ってきた

そして二人と対面する形で座ると

 

「では、準備はいいですか?」

 

と二人に問い掛けた

 

「大丈夫だ」

 

「OKっす!」

 

明久とシアがそう返すと、デイジーは稟の方に向いて手を振った

すると、机の上のランプが光った

それを確認してか、デイジーが天井から吊られる形であったマイクに顔を近付けて

 

「皆さん、お昼の放送の時間です! 食事中の補習の皆さんも、部活の皆さん。今日もお疲れ樣です!」

 

と喋りだした

そして、二人を見ると

 

「今日はなんと、スペシャルゲストをお呼びしています! 神王ユーストマ樣のご息女、リシアンサス樣と神界魔界合同近衛部隊総隊長の吉井明久さんです!」

 

「ど、どうも! リシアンサスっす! 長いから、シアって呼んでください!」

 

「吉井明久だ。好きに呼んでくれ」

 

と二人が軽く自己紹介すると、学園中から歓声が上がった

 

「おっと、放送室まで歓声が聞こえましたよ! やはり、お二人は有名ですね?」

 

「いわゆる、有名税とやらだな」

 

「明久君、人気っすよね♪」

 

「シア樣も人気じゃないですか。では、以前から皆さんに応募してもらった質問の中から幾つか選んで、お二人に聞いていきたいと思います!」

 

とデイジーは言うと、明久と書かれた束を持った

こうして、放送は始まった


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