僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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待たせたな(土下座)


終結

須川と横溝の二人が戦い始めて、約十数分が経過

なんと二人は、約四十人相手に善戦

数人を補習室送りにしていた

しかし、やはり人数差はどうにも出来なかった

人数に押されて、二人の点数が五十点を切りそうになった

 

(これ以上は、保たないかっ!)

 

と二人が諦めかけた

その時だった

 

『お前達、よく保たせた』

 

と待ち望んだ声が、聞こえた

その声を聞いて、二人は笑みを浮かべ

 

「お待ちしてました! 総隊長!」

 

と声を挙げた

その直後

 

「神速!」

 

「そぉい!」

 

「いっしゃあ!」

 

という声が聞こえて、それとほぼ同時に数人が0点になった

そして、戦場に新たに三人の名前と点数が表示された

 

魔法理論

 

Aクラス 吉井明久 689点

Aクラス 土見稟 385点

Aクラス 皇興平 398点

 

現れたのは、たった三名

しかし、精鋭の三名

しかも一人は、学園最強の生徒

合同近衛部隊総隊長、吉井明久

二人が尊敬して止まない、頂点に立つ一人の猛者

その明久の姿を見て、生き残っていたFクラス男子達は

 

「見ろ! 憎き吉井明久だ!」

 

「裏切り者の土見稟と皇興平も居るぞ!」

 

「ぶっ殺せぇぇぇぇ!」

 

と、まるで獣のように飛び掛かった

その光景を見て、須川と横溝の二人は思わず

 

「ああ……俺達も前は、ああだったか……」

 

「そりゃあ、モテないわなぁ……」

 

と呟いた

第三者視点から見たから、ようやく気付いた

自分達のやっていたことの、何とも醜いことか

モテない男達の嫉妬からくる、憂さ晴らし(八つ当たり)

そんなことをやっていたら、それは嫌われる

それだったら、自分達の尊敬している明久と同じように誰かのために戦った方がカッコいいに決まっている

二人はそう意気込むと、互いの顔を見て

 

「横溝、あと何点残ってる? 俺、60点」

 

「俺、55点だ……狙うは?」

 

「人間と同じように弱点に設定されてる、頭と胸部!」

 

と確認しあった

そして、眼前で明久達に群がっている以前の友人達(烏合の衆)を見て

 

「んじゃあ、行きますか………戦場へ!」

 

「ああ………総隊長ばかりに任せたら、近衛部隊の名が泣くわ!」

 

と言って、武器を構えた

狙うわ、護衛対象

土見稟を背後から奇襲しようとしている、数人の男子!

 

「行っくぜぇぇぇぇ!」

 

須川は雄叫びを上げると、魔力杖を横に持ちながら突撃した

稟が背後からの奇襲に気付いて振り向いたが、既に武器を振り上げていた

 

(間に合わないかっ!)

 

と稟は点数が削れるのを、覚悟した

だが

 

「せぇのっ!」

 

横合いから須川が、その男子達を魔力杖で押し出した

それは、須川が魔法理論で高い点数を取ったが故に出来たこと

召喚獣というのは、点数がそのまま強さになる

つまり、点数が高いほうが必然的に召喚獣の身体能力が高い

そして、須川達の点数は他のFクラス男子達の約二倍だった

つまり、須川達の召喚獣は他のFクラス男子達の召喚獣の約二倍の身体能力を有しているということ

須川の召喚獣はその身体能力を活かして、数人分の召喚獣を押して壁に押し付けた

 

「須川、テメェ!」

 

「この、裏切り者が!!」

 

と喚いて、須川を睨んだ

しかし、須川は笑みを浮かべて

 

「余所見してて、いいのかな!?」

 

と言った

その直後、須川の召喚獣の背後から横溝の召喚獣が姿を現した

そして、両手の魔力銃を構えると

 

()ぇ!」

 

気合いと共に銃撃

的確に、召喚獣の頭と胸部を撃ち抜いた

しかし、その隙を突こうと横溝の背後に二人の召喚獣が現れた

 

「横溝、しゃがめ!」

 

須川のその言葉を聞いて、横溝は条件反射の域でしゃがんだ

そして、横溝の召喚獣の頭上を須川がフルスイングした魔力杖が通過

身体能力と遠心力がタップリ籠った一撃が、二人の召喚獣の首に直撃

その二人の召喚獣は、首を折られて戦死した

そして気付けば、Fクラスは全滅していた

 

「っしゃあ!」

 

「やったぜ!」

 

勝ったことが嬉しくて、須川と横溝はハイタッチした

すると、明久が近寄って

 

「お前達、よく保たせてくれた」

 

と、二人を誉めた

すると、それに続くように稟と興平が

 

「本当だな」

 

「よくやったな」

 

と言って、手を差し出した

 

「え?」

 

いきなりの事に、二人が驚いていると

 

「握手だよ」

 

「見直したよ、お前ら」

 

と稟と興平が言った

それを聞いて、須川と横溝は顔を見合わせてから

 

「よろしくな!」

 

と握手に応じた

こうして、第一次女子浴場覗き防衛戦は終結

敵約四十人をたった五人で殲滅という、大戦果を上げた

その立役者として、須川亮と横溝慎一の名前が教師に広がった

そして、この時を境に、二人の評価が少しずつ変わっていく………

 


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