僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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男二人の任務

明久達が男子を止めに向かっている時、須川はどう足止めしようか考えていた

 

(力ずくか? こいつらなら、バカ正直に俺に向かってくるかもしれないが、数に押されて突破される可能性が高すぎる……)

 

須川はどうすれば足止め出きるか、自分なりに考えていた

その時、一瞬ノイズが走ってから

 

『須川! 聞こえるか!?』

 

と別ルートで先生を呼びに向かった横溝から、通信が入った

 

「横溝か!」

 

『今、高橋女史と一緒に、一階のエントランスに居る!』

 

横溝からの通信を聞いて、須川は横溝の考えに気づいた

横溝は、数の差を試召戦闘を使って補う気なのだと

確かに、それならば圧倒的数に対抗して、時間稼ぎが出きるかもしれなかった

自分達は時間稼ぎ

本命は、動いてるだろう明久だ

明久が来るまで時間を稼ぐために、横溝は試験召喚獣を使って戦う気なのだ

しかし、この二人もFクラスだ

悲しい事実だが、点数は似たり寄ったりだ

そんな点数では、大した時間稼ぎは出来ないだろう

須川が悩んでる間にも、Fクラス男子達は階段を駆け降りていた

そして一階に到達し、須川の視界に高橋女史の姿が見えた

その時、須川と横溝の脳裏に、ある一つの教科が浮かび上がった

最近になって、うなぎ登りに点数が上がった教科を

二人はアイコンタクトを交わすと、頷いて

 

「高橋女史! Fクラス須川亮と!」

 

「同じくFクラス。横溝真一が、他のFクラス男子達に対して!」

 

「「魔法理論で勝負を挑みます!」」

 

「「「「「な、なに!?」」」」」

 

仲間だと思っていたのか、勝負を挑まれたFクラス男子達は目を見開いて驚愕した

しかし、高橋女史は気にした様子もなく

 

「許可します!」

 

と言うと、フィールドを展開した

高橋女史がフィールドを展開したのを確認すると、二人は

 

「「試獣召喚(サモン)!!」」

 

とお馴染みのキーワードを唱えた

すると、二人の足下に魔法陣が現れて、軽い爆発音がした

そして、二人の召喚獣が召喚された

二人は現れた自身の召喚獣を見て、目を見開いた

なにせ、二人の召喚獣の服装と武装が変わっていたからだ

須川は胴着と長い棒から、白地に緑色、黄色、赤色の混じった近衛隊服と支給された魔力杖

横溝は学生服と鉄パイプから、須川と同じデザインの近衛隊服と二挺の魔力銃だった

本来だったら、学期毎やクラス変更時にしか変わらないはずなのだ

二人は知らなかったが、この変更は明久からの入隊祝いだった

無理を承知で学園長に頼み、変えてもらったのだ

そして勿論だが、交換条件があった

それは、試験召喚獣システムに使われている生徒と召喚獣のシンクロ魔法の改良のための魔法技術の技術提供だった

これに対して明久は、明久が知る限りの知識でもって応じた

それにより、操作性の向上が出来たらしい(学園長曰く、軽く1、5倍近くらしい)

二人は召喚獣の服装と武装が変わっていることは頭の角に置いて、眼前のFクラス男子達を睨んだ

すると

 

「須川! 横溝! お前ら、どういうことだ!」

 

「裏切ったのか!!」

 

と男子達は怒鳴った

すると、二人は

 

「裏切ったんじゃない!」

 

「俺達は、俺達の任務をこなすだけだ!」

 

と返した

二人の言葉が理解出来ないのか、Fクラス男子達は舌打ちすると無視して地下浴場に向かおうとした

しかしそれを見て、高橋女史がメガネを上げながら

 

「戦闘を挑まれて召喚しないのは、敵前逃亡とみなし、即補習室送りとなりますが?」

 

と言うと、再び舌打ちしてから構えて

 

「「「「「試獣召喚(サモン)!」」」」」

 

とキーワードを唱えて、召喚獣を召喚した

 

魔法理論

Fクラス男子達 平均55点

 

VS

 

Fクラス須川亮 178点

Fクラス横溝真一 164点

 

「「「「「なんじゃそりゃー!?」」」」」

 

表示された二人の点数を見て、Fクラス男子達は驚愕の声を上げた

須川と横溝の二人も同じFクラス

点数の差はないと思っていたのだ

だが、彼らの考えは外れた

選択科目、魔法理論

神族と魔族が使う魔法をあらゆる視点から解析し、それを理解するための科目である

なぜ、Fクラスのはずの須川と横溝が三倍近い点数を獲得しているのか

それは一重に、彼らの努力である

近衛部隊では、神族と魔族が大半を占めている

だから、対魔法訓練は日常的に行われている

しかし、魔法を理解せずに魔法には勝てるわけがない

だから二人は、暇さえあれば、魔法を知るために魔法理論を学んだ

分からないところは先達達に学んだ

そして、たった二週間足らずで、二人はBクラス並へと至った

しかし、普通に勉強していたのでは間に合わない

だから二人は、《死に物狂いで勉強した》

既に、その体現者が居る

死に物狂いで勉強し、血ヘドを吐く思いで修行した人物が

努力して、人族でありながらも、栄光ある合同近衛部隊の隊長となった人間が

 

((だから努力すれば、あの領域に至れる筈だ!))

 

二人はそう意気込むと、眼前のFクラス男子達を睨んで

 

「近衛部隊仮隊員、須川亮!」

 

「同じく、横溝真一!」

 

「「参る!」」

 

と言うと、たった二人で切り込んだ

自分達の責務を果たすために


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