明久と桜の二人は、如月グランドパークの夜のパレードを見ていた
煌びやかな装飾が施された山車とダンサーが中央道を練り歩き、華やかな印象を見てる人達に与えてくる
そんなパレードを見ながら、桜は
(どうしよう……言おうかな……)
と迷っていた
すると、明久が
「桜ちゃん」
と桜に声を掛けた
告白しようかしないか考えていた桜にとっては突然で、桜は慌てた様子で
「な、なにかな?」
と明久に問い掛けた
すると明久は、穏やかな表情で
「俺はまだ、桜ちゃんの想いに答えることは出来ない……まだ、大事な約束を思い出してないから」
と言った
明久のその言葉を聞いて、桜は目を見開いた
稟と楓の二人が、ずっと一緒に居る。という約束をしていたように、明久と桜の二人も幼い頃に大事な約束をしていたのだ
「アキ君……記憶が……」
桜が驚いていると、明久は頷いて
「少しずつだけど、戻ってきてはいる……だけど、肝心な約束の内容を思い出せないんだ……」
と寂しそうな表情を浮かべながら、そう言った
それを聞いて、桜は
「私とアキ君の約束は……」
と言おうとした
だがそれを、明久は片手を上げて制して
「ありがたいけど、桜ちゃん……そういうのは、自分で思い出すべきなんだと思う……だから……」
一旦そこで止めてから、一回深呼吸して
「だから……思い出すまで待っててね? 何時になるかは分からないけど、絶対に返事はするから……」
と言った
すると、桜が目尻に涙を浮かべながら
「うん……待ってるね……」
と言うと、明久に抱き付いて、明久も桜を優しく抱き締めた
その後、明久と桜の二人はパレードが終わると帰路に付いた
もちろんのこと、桜は明久からの返事を待つことを胸の内に秘めて……
そして翌日
如月グランドパークは、文月学園に対して正式に抗議文と損害賠償を要求した
内容としては
《此度、バイトとして赴いた其方の学園の生徒達が起こした、度重なる営業妨害により、此方は以下に記載した金額を損害賠償として要求する》
という文章であった
これを受けて、文月学園学園長の藤堂カヲルは誠心誠意込めて謝罪
それと同時に、損害額を全額支払った
それだけでなく、今回問題を起こした生徒達に対して
1、近く建設する寮に強制入寮させて、許可を得ない限り外出を禁止
2、週二日間の無償奉仕の義務付け(サボった場合、警察による監視の義務化)
3、召喚獣の観察処分者仕様化
4、教室設備の最下位での固定
5、クラス替えの禁止
6、私物の持ち込み禁止(持ってきた場合、重い罰則を科す)
等々といった事が決まった
尚、召喚獣の観察処分者仕様化だが、等級式に変更
等級式といっても二段階だけだが、下級が通常の観察処分者仕様
上級だと、痛覚及びフィードバックが70%で固定されている
そして、この上級仕様には、全男子が主犯格として名を上げた島田美波がなることになった
そして、学園長たる藤堂カヲルは、自ら引責辞任を発表
これに関しては、今のところストップが掛かっている
理由としては、適任者が見つからないのである
召喚獣システムに関しては、そのまま藤堂カヲルが引き受けることになっている
だが、文月学園がかなり特殊な学園であるために、引き受けてくれる人物が現れないのだ
結果、藤堂カヲルはしばらくの間、続投が決定
半年間適任者が見つからない場合、再度話し合って決めることになった
こうして、如月グランドパークでのデートと、騒動は幕を下ろした