IS〈イノウエ シンカイ〉   作:七思

88 / 122
国家解体戦争をダークファンタジー風(?)にしてみた

 人類は腐敗していた。
 海に毒を垂れ流し、大地を腐肉で埋め尽くし、空に瘴気を撒き散らし。もはや自らの住まう星が死に逝く定めにあることを知り、落胆し、諦観し、絶望し、しかしそれでも争いを続けていた。
 その様はまるで、全てを道連れに自滅への道を歩むかのような、あまりにも滑稽で罪深いモノであった。

 その歩みは、もはや誰にも止められぬ。少なくとも、ヒトという種には不可能である。

 人類は、腐敗していた。しかし彼らには、ただ醜く朽ち果てることすら許されてはいなかった。
 罪には罰を。咎人は裁かれねばならぬ。されど人を裁くは神に非ず、人である。

 人類という、それ自体が罪に等しき存在を裁くのは、人類種の穢れから生れ落ちた大罪そのものであった。

 それは九つの首を持つ、巨大な邪龍。

 傲慢のオーメル

 嫉妬のBFF

 憤怒のイクバール

 怠惰のアスピナ

 強欲のアクアビット

 暴食のGA

 色欲のインテリオル

 虚飾のローゼンタール

 憂鬱のレイレナード



 そして邪龍に付き従う、真祖(オリジナル)と呼ばれしモノども。

 破滅を謳う、二十六の悪魔たち――



 六大企業+α。アスピナはそもそも企業ですらありませんが、まあジョシュアが居たので。ジョシュア参戦してないけど、一応ネクスト乗りとしては最古参ですし。


第73話 空

 レースも中盤に差し掛かり、参加者たちの手札はほぼ出尽くした。度重なる激突、目まぐるしく入れ替わる攻防と順位。観客席は熱狂の渦だ。

 序盤のコースは比較的低高度だったが、少しづつ高度が上がってきている。それにより、初めはラウラが不利になると思っていた。ワイヤーブレードを使った旋回法が不可能になるからだ。

 しかし、それは大きな間違いだった。

 

「くそ、本当に器用なやつだな……!」

 

 ラウラは地面が遠くなりワイヤーブレードを突き刺すことができなくなると、ワイヤーブレードをAICで空中に固定するようにしたのだ。

 

「AICって、集中しなきゃ使えないんじゃないのかよ!?」

「ワイヤーブレードは自分で動かしているんだぞ、敵を狙うほどの集中力は必要あるまい……!」

 

 そりゃそうだ。そしてあのラウラが、高度が上がった程度で使えなくなるような方法に頼るとも思えない。

 

 しかしその移動法も、段々とキレがなくなってきている。それというのも――

 

「そこっ!」

「くっ!」

 

 ワイヤーブレードが、セシリアの狙撃により撃ち切られているからだ。

 

「この段階で、半分も失うとはな……セシリア、甘くみていたか……!」

「あらあら、敵性戦力の分析は基本なのではなくて?」

「……その通り。まさかお前が、これほどの強敵になるとはな。予想だにしていなかったぞ!」

「まったくですわ。確かに以前のわたくしでは、あなたには手も足も出なかったでしょう……でも、今は」

 

 ワイヤーブレードは細く、単純に的として小さい。それに動きが速く、ラウラの意思で自在に操れる。それを線の斬撃ならともかく、点の銃撃で命中させるなんて。

 

「あなたとも十分に、渡り合えましてよっ!!」

「それでこそだ、セシリア・オルコット。それでこそだ!」

 

 シュヴァルツェア・レーゲンの増設スラスター、それが花弁のように大きく広がり、さらに内側の装甲がパージされる。それにより、旋回能力は向上するだろう。もうワイヤーブレードを旋回に使う必要はなくなっただろう。

 けれどあんな、スラスターの接合部が背中の一点に集中していたんじゃ操作は難しくなる。いくらワイヤーブレードの半分を失ったからって、まだそんなリスクを犯すほどではないはず。

 それでも、それを選んだということは――

 

「迎撃するつもりか!」

 

 ワイヤーブレードの動きが変わる。進行方向に向かっていた刃が後方を向き、レールカノンもぐるりと回転する。

 

「けれど」

「私たちを忘れてもらっては」

「困るねっ!」

 

 鈴が、箒が、シャルが前に出る。そしてラウラとセシリアを射程に捉えた瞬間から猛攻を始めた。

 

「いいだろう、まとめて」

「お相手いたしますわ!」

 

 あっという間に、コース内に砲火の嵐が吹き荒れた。爆撃機の編隊が有りっ丈の爆弾を投下しているかのようだ。

 そんな中で、みんながみんな、全力を出し合っている。温存(出し惜しみ)なんてまるで考えていないかのような、無茶な戦い。先に根を上げた者が負けという、我慢比べに等しい勝負。

 いや、これはそんなに単純(複雑)なもんじゃない。

 

 ただ誰が強いか、誰が速いか。それだけの――

 

「……へへ」

「…………」

 

 それを見ていると、前に構えていた雪片弐型が、自然と高く持ち上がっていく。

 防御の構えから、攻撃の構えへ。

 

「楽しそうじゃないか、俺も混ぜろよっ!!」

「……っ!」

 

 横を見れば、シンが目を見開き犬歯を剥き出しにした獰猛な笑みを浮かべていた。そして機種を大きく下げ、猛禽のように襲いかかる。

 

「おおおおおらああああああああああっ!!!」

「疾っ……!」

 

 螺旋を描くように高度を下げながら、シンと激突する。その瞬間に放った袈裟切りを月輪で打ち落とし、返しの横薙ぎを膝で蹴り上げ、唐竹の一撃を三日月で受け止め。

 同時に繰り出した蹴りがぶつかり合い、弾かれて大きく離れる。もう一度ぶつかり合いたいところだが、そうもいかない。なぜなら、今まさに――

 

「ちぃっ、来るだろうと思っていたが……!」

「二人同時とはね!」

 

 俺は箒に、シンは鈴に斬りかかる。銃撃戦のど真ん中に剣士が飛び込めば、なす術無く射殺されるか、徹底的に引っ掻き回すかのどちらかだ。今回は当然、後者だった。

 

「ふん、いい度胸だ。返り討ちにしてやろう!」

「やってみな!」

「そんな小回りの利かない装備で、僕の戦術(ミラージュ・デ・デザート)に対応できる!?」

「……無論……!」

 

 まだ先が残っている以上、ここで零落白夜を使うわけにはいかない。既に一度使っているからなおさらだ。だが零落白夜がなくても、雪片弐型の鋭さと白式のパワーなら威力は十分だ。

 そしてシンも、三日月のブレードを一瞬だけ発動させることで対応している。なにより月輪と両膝の小型ブレードは健在なんだ、それだけでもシンの脅威は計り知れない。

 

「あたしを無視すんなって」

 

 高速移動しながら切り結ぶ俺たちを、無色の衝撃が襲う。威力はそれほどでもないが、全身が痺れるようなダメージを与えてくる。

 

「言ってんでしょうがっ!!」

 

 そこへ追撃、さらなる砲撃。言うまでもなく、鈴の龍咆だ。怒っているのか笑っているのか、恐らくその両方だろう凄絶な形相で撃ちまくってくる。

 

「無視しているつもりはないさ!」

「ちゃんと射程内だよ!」

「隙を見せれば、一撃で墜としてやったものを!」

「やってみなさいっての!」

「……では……!」

 

 ……馬鹿め、シンがそばにいるのにそんなこと言えばどうなるか、火を見るより明らかだろうに。案の定、嬉しそうな――そりゃもうホント、怖いくらいに嬉しそうな顔で、鈴の方に向かって行った。

 

 ……ご愁傷様。

 

「き、来なさい!」

「……応……!」

(……涙目だ……)

 

 まあ、気持ちはわかる。戦ってる時のシンの笑顔は、本当に怖いんだよなあ。あれを向けられたら、ビビったって仕方ない。俺も多分ビビる。

 とにかく鈴がシンを相手にしてくれているおかげで、俺たちは平穏無事に撃ち合い斬り合いながら、和気藹々とバトルレースを進めていった。

 

(!? 機首が下がった!?)

 

 僅かに出来た余裕に、周囲の状況を確認する。するとちょうど、ラウラとセシリアが高度を下げ始めたところだった。

 今回のコースは比較的単純だ。半分は上り、半分は降り。だから今まで、多少の上下はあれど基本的には上り続けていた。それが急に、降り始めたということは――

 

(折り返しか!)

 

 正直、緊迫した状況が続いていたので、今コースのどの辺りにいるのかを確認する余裕すらなかった。なので当然、消耗も激しいわけで。

 

(ようやくか……保つか、最後までっ!)

 

 レースは残り半分。だがシールドエネルギーもスラスターエネルギーも、4割を切ってる。ただ飛ぶだけなら十分だが、勝てるだけの飛行をしようと思えばギリギリ……足りない。

 

(でも、それはみんなも同じはず)

 

 なにせ、これだけの激戦だ。温存なんかできているとは思えない。そんなことをしているなら、とっくに遅れをとっている。

 苦しいのはみんな同じ、それでも歯を食いしばり、限界を見極め、そして超えようとしているのだ。俺一人、ここで引き下がれるかよ――!

 

「気合入れろよ、白式っ!!」

 

 そして二人に一瞬遅れて、俺たちも下り道へと入って行った。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 それは偶然でも奇跡でもなく、必然であり当然であった。

 

(……?)

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒと並び先頭を飛んでいたセシリア・オルコットが、ほんの些細な違和感に気づいたのは。

 

(今、なにか……)

 

 それは、本当に一瞬のことだった。ブルー・ティアーズのハイパーセンサーに表示される情報、その内の一つ。

 セシリアをロックオンしている反応が、一つ増えたのだ。

 

 それは、何もおかしなことではなかった。これほど激しいバトルロイヤルだ、ロックオンが安定している方が異常と言える。

 

 そう、それは異常なのだ。この状況で増えた、ロックオン反応。

 

 それが常に、セシリアを捕捉し続けているのは。

 

(……今まで、ここまでロックを続けている人はいなかった)

 

 数秒に一度、誰からもロックされていない瞬間はあった。なのに今は、その瞬間がない。

 たとえどれほど僅かでも、確かに存在していた筈の一瞬。それが今、この段階になって、突如として消える。

 それが有り得ないとは言わない。確率は低くとも、そんなことがあっても不思議ではない。それはセシリアにも分かっている。

 

 だが、それでもセシリアは思ったのだ。

 

(……この状況……)

 

 つい先ほど、コースの折り返し地点である降りに入ったところ。後続の者たちもそこに辿り着いた頃だろう。

 

 全員の機首が、視線が、意識が、同時に下を向く頃だろう。誰も、そのさらに上のことなど見てはいないだろう。

 

 ――そう、誰も注意を向けていない方向がある、この状況。

 

 それは、まさに。

 

(これは、まさに)

 

 狙撃には、絶好の状況――

 

「皆さん!! 上ですっ!!」

 

 そう。これは必然であり、当然なのだ。この状況でただ一人、セシリア・オルコットだけが、それを事前に察知したのは。

 

 優れた狙撃主(スナイパー)であるセシリアは、優れた対狙撃主(カウンター・スナイパー)でもあるのだから――

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「「「「「な、ぁ……!?」」」」」

 

 セシリアの警告は、しかし僅かに遅かった。突如空に閃いた光の槍、その数七。それが一夏、真改、箒、鈴、シャルロット、ラウラのメインスラスターを貫く。警告を発した本人であるセシリアだけが、なんとか回避した。

 皆が大きくバランスを崩したが、特にスラスターの配置が集中していたシャルロットとラウラは致命的だった。

 

「メインスラスターが完全にイカレてる……狙われた!?」

「よりによって降下中にっ……く、ダメだ、飛べん!」

 

 空気抵抗により減速しつつあるが、それでも音に近い速さで高度が落ちていく。このまま地面に激突すれば相当な衝撃を受ける。衝突自体のダメージは防げても、速度が一瞬でゼロになるのだ。消耗もしており、死ぬ可能性も高い。

 

「シャル!!」

「ラウラさん!!」

 

 その緊急事態に、真改が真っ先に反応した。それと同時に、無事だったセシリアが。

 セシリアは、ラウラのそばに居たためすぐに助けられた。問題は真改の方だ。

 

「……くっ……!」

 

 先の一撃で、メインスラスターと三日月の左の翼をやられた。右の翼を最大推力で噴かし、月輪でバランスを取る。本来の使い方とは明らかに違うそれでは満足に速度を出せないが、それでも墜落までには追いつけるだろう。

 

「シン!」

「……っ!」

 

 実際に、シャルロットを抱えることは出来た。だが減速が出来なければ、死体が二つに増えるだけだ。

 

「ちょっと、そんなスラスターで……!」

「舌を噛むぞ!」

「っ!」

 

 ぐるんと仰向けになり、水月の状況を素早く確認する。スラスターの噴射口は潰されているが、カートリッジはどうにか無事だ。それを装填し、撃発。

 

 ――ゴウンッ!!――

「……っ!」

「シンっ!」

 

 一発では足りない。多少は減速したがまだ不十分、危険な速度。

 

 ならば、もう一発。

 

 ――ゴウンッ!!――

「ぐっ……!」

「無理しないで!」

 

 まだ足りない。ならばさらに一発。二発、三発――!

 

「がは……!」

「シン、もう止めてっ!!」

 

 地面はもう目の前。だがまだ、減速は十分ではない。

 このままでは、シャルロットが怪我を負う。衝撃で骨を折るかもしれない。地面や装甲の破片に、肉を引き裂かれるかもしれない。それらは一生、肌に刻まれるかもしれない。

 

 許せるか、そんなことが。

 

 この美しい少女に、そのような傷をつけるなど――!

 

 ――コード認証。月渡(つきわたり)、起動――

「がっ……!」

 

 残ったカートリッジを一斉に起爆し、最後の減速を行う。そして、墜落。

 

 ズドォォォン!!

「ぐ……か、は、ぁ……!」

「シ、シン、大丈夫!?」

「…………応…………」

 

 背中からみしりと不穏な音がしたが、折れてはいない。シャルロットもどうやら無傷のようだ。それを確認し、真改はほっと一息つい――

「バカぁっ!!」

「……!?」

 

 キィィィン……と、耳鳴りがするほどの大声だった。墜落の衝撃がまだ抜けていなかった真改には結構効いた。

 

「シンのバカ、馬鹿、莫迦ぁ!! 無茶しないでっていつも言ってるでしょ!?」

「……すまん……」

 

 別に大した怪我はしていない――なんて言えばもっと怒られるだろう。それを悟った真改は何も言わないことにした。

 それよりも今は、優先すべきことがある。

 

 突然の襲撃者を追って飛び立っていったセシリアの姿を、真改は鋭い眼で見ていた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「長々距離から、高速飛行する六機に対する、同時精密狙撃……さすがね、エム。素晴らしいポテンシャルだわ」

 

 緊急事態に騒然とする観客席の一角、普通の席とは違うテーブル付きの高価な席で、高級なスーツに身を包んだブロンドの女性が優雅にワインを楽しんでいた。その姿は美しく妖艶で、こんな状況でなければ誰もが目を奪われたことだろう。

 

「一人撃ちもらしたわね。勘がいいのかしら? けど、かえって好都合ね」

 

 エムを追って競技場を飛び立つ青い装甲を、嬉しそうに眺める女性。それを見送ってグラスに残った最後のワインを飲み干す。そうして、席を立とうとして――

 

「ここ、いいかな?」

「!?」

 

 直前に、一人の男に止められた。

 

「な……あ、なたは……」

「やあ、久しぶり。こうして会ったのは……ええと、何年ぶりだっけ?」

「……さあ……どれくらいだったかしらね」

 

 親しげに――というよりも馴れ馴れしく話しかける男に対し、女性は見るからに警戒している。なぜなら、この女性は知っているからだ。今目の前に居る男は、あらゆる意味で、何をするか分からないということを。

 

「さて。……僕は君のことを、なんとお呼びすればいいのかな? お嬢さん」

「……スコール・ミューゼル。今はそう名乗っているわ、如月重工の社長さん」

 

 男――如月社長はそう言われ、笑う。悪の秘密結社、その幹部と対面するという状況を、心底から楽しんでいるのだろう――スコールはそう考え、そしてそれは正しかった。

 

「いやいや、驚いたよ。まさか君が、ファントム・タスクに居るとはね。それに随分と若々しい、とても――」

「女性に年齢の話をするのはマナー違反よ」

「おっと、これは失礼」

 

 そう言って、また笑う。

 

(ああ、本当に――変わっていないわね、この人は)

 

 如月社長の姿を見て、スコールは思う。まさか自分は、懐かしんでいるのか、と。

 

「……あなたたちが介入してくることは予想してたわ。以前会社を狙ったし、それに学園にはあなたのお気に入りがいるもの」

「うん、井上君も布仏君も、素晴らしい逸材だよ。片や才能、片や――執念、かな」

「執念、ね」

 

 どちらがどちらを指しているのか、スコールにはすぐに分かった。確かに彼女の戦い方には、執念じみた何かを感じた。それが才能よりもよほど恐ろしいモノであると、スコールは知っている。

 

「どうせあなたは、こういうことが好きだから、わざわざ姿を見せたのでしょうけど。殺されるかもしれないとか考えなかったのかしら?」

「つい最近、同じようなことを訊かれた気がするけど。それに対する僕の答えは決まっている。

 ――それはまさか、脅しか何かのつもりなのかな?」

「……そうね。あなたはそういう人。生きることより楽しむことを優先する……ただ結果として、運よく今まで生き残っているだけ」

「僕に言わせれば、楽しくない人生なんて死んでるのと同じだと思うけどねえ。まあそこは、個人個人の考え方の違いかな」

 

 そしてこの男の恐ろしいところがこれだ。この男は楽しみのためなら、自らの命すら平気で投げ出す。それに巻き込まれれば、破滅する。

 

「……あなたの会社に手を出したのだから、敵対するのは当然だけれど。あなたがそれを楽しんでいるのはどうして?」

「うん? さっき言っただろう? 僕はこういうことが――」

「あなたと私が向かい合って話してる、今のこの状況のことを言っているんじゃないわ。如月重工(あなたたち)ファントム・タスク(私たち)の、戦争のことよ」

「ああ、そっちか」

 

 問われて、如月社長は満面の笑みを浮かべる。楽しくて仕方がない、誰が見てもそう分かる、子供のような――それでいて、どこか不気味な、そんな笑顔で。

 

「僕はね、大好きなのさ。手間をかけ金を注ぎ込み情熱を傾け長年を費やして、コツコツコツコツコツコツコツコツ、一生懸命に、真面目に、慎重に、大事に、丁寧に、積み上げてきた計画。それをあと一歩、あとほんの少しというところで――

 

 

 

 ――台無しにしてやることが、ね」

 

 それは、本心からの言葉。この男は本当に、そんな理由で命を懸けている――

 

「……本当に。変わらないわね、あなたは」

 

 言いたいことを言って席を立つ如月社長を眺めながら、スコールは呟く。

 

 そこに込められた感情は――

 

「けれど私もね、変わったわけじゃないのよ。変わってしまったのは……世界の方よ」

 

 ――誰にも、推し測ることは出来ない。

 

 

 

「……さようなら、如月。今度会ったら……きっと、殺し合いになるわね」

 

 

 




千冬さんはなぜ現役を引退したのか?

千「私も昔はお前のようにIS乗りだったが、膝に矢を受けてしまってな……」

これで行こう(嘘)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。