IS〈イノウエ シンカイ〉   作:七思

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古「「あいむしんか~とぅ~とぅ~とぅ」」の
真「やめい」


第13話 月光

 鈴が己たちの部屋を訪れた翌日、校舎玄関前廊下に〔クラス対抗戦日程表〕が張り出された。一夏の一回戦の相手は二組――つまり、鈴である。

 

「……なんか、波乱の予感がするな……」

「…………」

 

 頬に赤い手形をつけた(昨日鈴に叩かれたのだろう)一夏が不安そうに言う。

 

「昨日、怒らせちまったしなあ……」

「…………」

 

 鈴を怒らせたことは分かっているようだが、しかし怒らせた理由には思い至らない。それが織斑一夏という男なのだ。

 

「……あ、鈴だ」

「…………」

 

 噂をすれば影。一夏がぼやきながら廊下を歩いていると、曲がり角の先から鈴が現れた。

 

「お……おはよう、鈴」

「…………」

 

 一夏の挨拶を完全に無視して通り過ぎる鈴。どうやらかなりご立腹の様子だ。

 

「……はあ、わっかんねぇな。何をあんなに怒ってるんだよ……」

「…………」

 

 鈴が怒っている理由など一夏が鈴との約束を覚えていないから以外になく、鈴の怒りを鎮めるには約束の内容を正確に思い出すのが最も確実だ。

 だがその解決は、おそらく最も有り得ないだろう。

 

「直接聞いたほうが早いか?」

「……馬鹿が……」

「なにぃ!? シンまでそんなことを言うのか!?」

 

 他に何を言えと言うのだ。

 

「決めた。鈴が理由を教えてくれるまで、謝らない」

「…………」

 

 一体どのような思考回路をもってすればそんな解答を導き出せるのか、是非ともご教示願いたいものだ。

 

「だってそうだろ。理由も分からずに頭を下げられるか」

 

 一夏の美徳のひとつ、世の男たちから失われて久しい〔男の意地〕が、今回は悪い方に働いたようだ。

 

「とにかく、俺は謝らない。鈴が理由を言うまではな」

「…………」

 

 そして一夏は、かなり頑固なところがあるのだった。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 そして、クラス対抗戦当日。

 

「調子はどうだ? 一夏」

「バッチリだよ、俺も白式(こいつ)も」

 

 雪片弐型で素振りをしながら、箒の質問に答える一夏。その顔は落ち着いていながら、闘志に満ちている。

 

「う、うむ。私との特訓の成果を、思い切りぶつけてこい」

「特訓、て……お前はセシリアとケンカしてばっかだったじゃないか」

「う……」

「…………」

 

 一夏の言う通り、訓練時間の実に四分の一が箒とセシリアの喧嘩により失われた。いくら月影で脅しても、翌日にはまた同じようなことで喧嘩になるのだ。

 

 ……良く耐えたと自分を褒めてやりたい。

 

「では、一夏さん。わたくしが調べてきた凰さんの情報をお伝えしますわ」

「ああ、頼む」

 

 言って、セシリアは小型の端末を起動し、鈴のデータを呼び出した。

 

「中国製第三世代型、〔甲龍(シェンロン)〕。スペックデータから大まかに分類すると、近距離格闘戦に優れたパワータイプということになりますが――もちろん、それだけの機体ではありませんわ」

「……第三世代型兵器か」

 

 第三世代型兵器とは、文字通り第三世代型のISに搭載されている専用兵装のことだ。というより、この第三世代型兵器を搭載したISのことを第三世代型ISと呼ぶと言っても過言ではない。セシリアのブルー・ティアーズはその典型だ。

 

「さすがにその詳細までは分かりませんでしたわ。一応アラスカ条約では、ISについての技術は全て公開することとなっていますが……」

「ほとんど形骸化しているからな、その条文は。「まだ未完成だ」の一言でいくらでも逃げられる。そしてIS学園内で開発された物については、所有者が卒業するまでは公開の義務がない」

「よく使う手ではありますわね。ほとんど出来上がった物を、IS学園で完成させるというのは。どこの国も同じようなことをしていますから、強く言えませんし」

「まあ、そんな大人の事情はどうでもいいよ。鈴の第三世代型兵器が分からなくても、近距離パワータイプって分かっただけでも大きい。……懐に飛び込んでも、油断するなってことだよな」

「…………」

 

 それだけ分かっているのなら十分だ。元々格上の相手、最後まで気を抜くことなく、全力を出し切ってこい。

 

「……お喋りはそれくらいにしろ。織斑、時間だ」

「はいっ!」

 

 三人の遣り取りを黙って見ていた千冬さんが、手を打ち鳴らして時間をしらせる。

 

 ――いよいよ、だな。

 

「……ところでさ。真改先生は例の如く、アドバイスはなしですか?」

「「「………は?」」」

「…………」

 

 突然気の抜けることを言い出した一夏に、箒、セシリア、山田先生がポカンとする。

 ……なんだ、意味が分かったのは、己と千冬さんだけか?

 

「……無い……」

「了解。……ありがとな、シン」

「「「??」」」

 

 一夏なりに、緊張しているのだろう。

 一年ぶりに会った幼なじみが、どれほど強くなったのか。自分との間に、とれほどの差があるのか。相手が親しき者だからこそ、これは単なる試合ではないのだ。

 

 ――空白の一年間。二人がそれぞれ歩んで来た道を、ぶつけ合う。

 

「……井上、あまり甘やかすな」

「…………」

「「「???」」」

 

 やはり千冬さんは、分かっているようだ。

 

 ……そう。己が一夏に教えることなど、何もない。たとえあったとしても、それを語れるほど滑らかに動く舌を持ち合わせていない。

 

 だからこそ、その身に叩き込んで来た。皮膚に、筋肉に、骨に、神経に、刻み込んで来た。

 

 そんな己のやり方を、一夏は見て来たのだ。

 

 ――存分に、語り合ってこい。その拳で、その剣で。

 

「うし、それじゃあ――行くぜっ!!」

 

 重々しい駆動音を響かせて開いたカタパルトから。

 

 気合いと共に、純白の機体が飛び立った。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 いよいよ始まった、クラス対抗戦。場所は第一アリーナ。客席は超満員で、通路まで立ち見の生徒に埋め尽くされ、会場入りできなかった生徒や関係者は、リアルタイムモニターで鑑賞するらしい。

 

 ――まあ今の俺には、そんなことを気にしている余裕はないが。

 

『両者、規定の位置まで移動してください』

 

 アナウンスに従い、俺と鈴は空中で向かい合う。距離は五メートル。ISにとってはあってないような距離だ。

 

「覚悟はできたかしら? 一夏」

 

 開放回線(オープン・チャネル)で鈴が話しかけてくる。その鈴の専用機、〔甲龍〕は、肩の横に浮いた非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)と、赤と黒を主としたカラーリングが特徴的な機体だ。

 ……なるほど、確かに見た目の印象からして、力は強そうだ。

 

「ああ、決めてきたぜ――お前を叩きのめす、覚悟をな」

 

 たったの一年で国家代表候補生になった鈴は、優れた才能があり、血の滲むような努力をしてきたんだろう。間違いなく、俺よりも強い。

 だからと言って、負けるつもりなんか微塵もない。全力でぶつかって――勝ってみせる。

 

「……ふふん、言うじゃない。やっぱり変わってないわね、アンタ」

 

 ニヤリと不敵に笑う鈴。お前こそ、全然変わってないじゃねえか。

 

「……胸とか「なんか言った?」イエナニモ」

 

 ……かなり小さい声だったはずなんだが、バッチリ聞こえたみたいだ。さすがISのハイパーセンサー、感度抜群である。

 思わず漏れたセリフにより鈴が殺人鬼みたいな目つきになったので、慌てて口を噤む。

 

「……ふ……ふふ、ふっふっふ。いいわ、やってやろうじゃない。そこまで言うなら、お望み通りぶちのめしてあげるわよ――徹底的にねっ!!」

「へっ、何を今さら。俺は元から、そのつもりだっての!」

 

 雪片弐型を構え、その切っ先を鈴に向ける。

 ――これから始まるのは、戦いだ。ならまずは、宣戦布告をしないとな。

 

「戦場で、敵同士が、甲冑着込んで武器持って向き合ってるんだ。ならやることは、一つだけだろうがっ!!」

 

 手加減無用、情け無用、問答無用。それだけが、「戦の礼儀」だ。

 

「全力で行くぜ、鈴! お前も、手加減なんかするんじねえぞ――!」

「上等よ! 泣いて謝ったって、絶対に許さないから――!」

 

 そして。

 

 開戦の狼煙が上がる。

 

『それでは、試合を開始してください』

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「おおおおおおおっ!!」

「はああああああっ!!」

 ガギィンッ!!

 

 雪片弐型と、鈴が持つ巨大な青竜刀がぶつかり合う。明らかに質量で負けているその重厚な刃を相手に、白式も雪片弐型も一歩も退かない。

 

(頼もしいぜ、相棒っ!)

 

 スラスターを全開に噴かしギチギチと鍔迫り合いをしながら、お互いに犬歯を剥き出して笑う。

 

「へえ。甲龍のパワーと双天牙月を正面から受けきるなんて、やるじゃないっ!!」

「はっ! 機体は互角って訳だ、なら負けたら操縦者のせいだよなあっ!!」

 

 闘争心に火がつき、心が高ぶる。

 一合で分かった。鈴は強い。少なくとも接近戦は互角以上、そしてまだ、第三世代型兵器を使っていない。

 

「なら、これでどう!?」

 

 鈴は雪片弐型を大きく弾き飛ばし、次の瞬間、柄の両端に巨大な刃が付いた青竜刀を、バトンのように振り回してきた。ただでさえ重い得物に遠心力が加わり、手数も増えた。縦横斜めから襲ってくる刃を一度でも捌き損ねれば、そのまま押し潰されるだろう。

 

「ぐうっ、器用なことしやがって……!」

 

 尚も回転を上げ続ける青竜刀を必死に受けながら、勝機を探る。一眼二足三胆四力。全てを見切る眼こそがもっとも大事だと、昔の人も言っているんだ。

 

(見極めろ……!)

 

 完璧な技など存在しない。鈴の連撃にも、どこかに付け入る隙があるはずだ。

 厄介なのはあの回転。あれを崩さなきゃ、最後の一歩が踏み込めない。

 

(力ずくじゃだめだ)

 

 重さに加え、今や速度でもこちらを上回っている。今真っ正面からぶつかったところで、あっさり弾かれるだけだ。

 

 ――なら。

 

(押して、ダメなら――!)

「引いてみろ、てなぁ!」

「うわっ!?」

 

 回転の勢いが乗った袈裟切りに合わせ、逆袈裟を放つ。狙いは青竜刀の背の部分。

 

 ――打ち落とし。

 

 崩せないなら、自分で崩れてもらう。ただでさえ大きな力が加わり続けているところに新たな力が加わったことで、鈴が前につんのめるようによろめいた。

 

(取った!)

 

 逆袈裟からの切り上げ。雪片弐型の刃が、隙だらけの鈴に迫り――

 

 ――鈴が、笑っていることに気付いた。

 

「残念でした♪」

 

 見れば、甲龍の肩アーマーが開き、中心の球体が光っている。

 

 ……まずい。何かは分からないが、これはまずい。

 慌てて回避しようとするが、しかし間に合わず、見えない拳に殴り飛ばされた。

 

「ぐあっ!?」

 

 骨の軋む音が聞こえた。シールドバリアーを貫くほどの衝撃。

 弾き飛ばされ、せっかく詰めた距離が開く。

 

「ほら、もう一発行くわよ!」

「くっ!」

 

 再び肩の球体から「何か」が放たれるが、何も見えない。デタラメに動き回って、なんとか避ける。

 

(白式! なんだこれは!?)

 ――解析。武装の正体は〔衝撃砲〕と判明しました。空間に圧力をかけ砲身を形成し、余剰で生じる圧力自体を砲弾として撃ち出す、第三世代型兵器です――

 

「よくかわしたわね。〔龍咆〕はISのハイパーセンサーにもひっかからないのに」

 

 ……これは厄介だ。

 砲弾が見えないのはまだいい。だが砲身が見えなければ、鈴がどこを狙っているのか、いつ撃ってくるのかが分からない。

 

「けど、いつまでそれが続くかしらね?」

「ちぃっ!」

 

 再び放たれた衝撃砲を避ける。勿論見えているわけではなく、言わば当てずっぽうの回避行動。

 そんなもので避けきれはせず、数発の直撃を受ける。

 

「ぐうっ……!」

 

 避けにくさもそうだが、威力も相当なものだ。このまま直撃を受け続ければ、数分と保たず敗北する。

 

(どうする? 砲弾は見えない、砲身も見えない、そんな物をどうやってかわす?)

 

 ひたすらランダムな三次元機動を繰り返す。攻撃をかわすためはなく、狙いを付けさせないための機動。

 それなりに効果はあり、直撃を受けることはなくなったが、体力とスラスターエネルギーの消耗がかなり激しい。このままでは次第に動きが鈍くなり、いずれは捉えられる。

 

(……集中しろ。砲弾が見えないのなら、砲身が見えないのなら、それ以外を全部視ろ)

 

 鈴は衝撃砲を撃ち続けている。あれだけの性能を持っていながら、燃費まで優れているらしい。エネルギー切れになる様子はない。

 

(鈴の目線は? 甲龍の姿勢は? 球体の光は? 周りの空間は? ――見切るんだ。一つ残らず、一つも余さず、見極めろ)

 

 少しずつ慣れてきて、無駄な動きをしなくても被弾しなくなってきた。

 けどまだ足りない。このままではまだ、近付けない。

 

 もっと正確に、的確に見極めないと。

 

(タイミングだ。狙いは大分視えるようになって来た。あとは、いつ撃って来るかだ)

 

 鈴の余裕は崩れない。俺があと一歩を踏み込めないことに気付いているんだろう。

 近接武器しか持たない俺が近付けないということは、つまりは絶対に勝てないということだ。

 

(視ろ、視ろ、視ろ。目を逸らすな顔を背けるな、まだなにか、在るはずだ――)

 

 何十度目かの砲撃。鈴の眼が俺を捉え、肩の球体が光る。

 あの光は衝撃砲のチャージ状況の現れで、発射タイミングと直接関係はない。鈴の意志で好きな威力で撃ち出せるし、チャージ速度も調整できる。

 

(――意志?)

 

 ……そうか。こんなに簡単な答えだったのか。

 

 砲弾が見えないのなら。

 

 砲身が見えないのなら。

 

 ――見えないものを、視ればいい。

 

「――視えた」

「なっ……!?」

 

 ただ半身になるだけで、衝撃砲をかわす。無駄な動きが一切ない、理想的な回避。

 鈴が攻撃の瞬間に放った気配――〔殺気〕を感じとったからできた反応。

 

(実戦以上の訓練はないってか。確かにこの感覚は、練習じゃ味わえないな)

 

 状況は依然俺の不利。なにせたった一発避けただけだ。だがそれだけで、俺に不敵な笑みを浮かべさせるには十分だった。

 そして、それを見た鈴の表情が変わる。

 

「ふ、ふん! まぐれで一回かわしたくらいで、いい気にならないでよね!」

「ああ、今のはただのまぐれさ。けどな、どれだけ馴染んだ技も、最初の成功はまぐれなもんだろ?」

 

 今はまぐれでも、その内そうじゃなくなる。それが分かっているのだろう、鈴の顔に焦りが浮かんだ。

 

「感謝するぜ、鈴。お前のおかげで、俺は一歩、目標に近付けた」

「……このあたしを踏み台呼ばわり? 上等じゃない。今のセリフ、すぐに後悔させてあげる!」

「やってみろよ。俺も、とっておきを見せてやるぜ!」

 

 ここ数日練習していた技能、瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 ISが持つ慣性を無効化する機能、PIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)を最大限に使って一瞬で最大速度に到達するこれは、使い方次第で代表候補生とも戦える技だ。

 事実千冬姉は、この瞬時加速と零落白夜を極めて世界一の座についていた。

 

(仕掛けるなら、今しかない!)

 

 瞬時加速の発動タイミングを図る俺に、鈴が衝撃砲を向ける。

 意識を集中。もう一度見切ってかわし、瞬時加速で接近、今度こそ反撃する。

 

(……来るっ!)

 

 鈴の衝撃砲が不可視の砲弾を放ち、俺が雪片弐型を振り上げつつ回避しようとした、その瞬間。

 

 眼を焼くほどの閃光が、俺たちの戦いに割って入った。

 

 ズドオオオオンッ!!!

「きゃああああっ!?」

「な、なんだ!?」

 

 突然の出来事に混乱する。そんな俺に、鈴からの怒号が飛んできた。

 

「一夏、試合は中止よ! それと気をつけなさい、アイツ、アンタを狙ってる!」

 

 ――ステージ中央に熱源を感知しました。所属不明のISと断定。……警告。ロックされています――

 

 白式からの警告。どうやら鈴の言葉は事実らしい。

 

「マジかよ……!」

 

 IS学園に殴り込みをかけてくるなんて、度胸があるどころの話じゃない。

 

 しかもコイツは、アリーナを覆う遮断シールドをぶち抜いてきやがった――!

 

「とんでもないわね……! 遮断シールドはISのシールドバリア以上の強度があるのに、一体どんな威力よ!?」

「目的はなんだ!? なんだってこんな――」

「そんなもん、あたしが知るわけないでしょうが!!」

 

 混乱する俺に鈴が怒鳴り返す。状況は全くの不明だが、一つだけ分かることがある。

 

 このままじゃ、観客席のみんなが危ない――!

 

「みんな逃げろ! 遮断シールドじゃコイツの攻撃は防げないぞっ!!」

 

 相手の正体も目的も分からないが、いきなり乱入してくるようなヤツだ。友好的な相手とは考えにくい。

 俺の声を聞いて、観客のみんなが避難を始める。

 

「一夏、こんなことになった以上、学園の先生たちが応援に来るわ。それまであたしが時間を稼ぐから、アンタは逃げなさい」

 

 ……逃げろ? 今逃げろって言ったか? 選りに選って、この俺に?

 

「ふざけろ、大事な幼なじみを置いて逃げられるか。そんなことしたら、たとえ命が助かっても、俺の魂はそこで死ぬ。

 ――逃げるくらいなら、腹切ったほうが万倍マシだ」

「……アンタなら、そう言うと思ってたわよ、バカ一夏」

 

 ニヤリとお互いに不敵な笑みを浮かべる。万全とはとても言えないが、戦意は微塵も衰えていない。

 

「っ! 来るぞ!」

 

 最初の攻撃で巻き上げられた煙の中から、熱線が放たれる。左右に散開して回避。

 

「ビーム兵器かよ……しかも威力が半端じゃない」

「そりゃ遮断シールドを紙みたいに破るくらいだからね。直撃したら、絶対防御があってもタダじゃ済まないわよ。最悪――」

 

 ――死ぬ。

 

「なら尚更、逃げる訳には行かねえな」

 

 死ぬのは怖い。それは人間として当然の感情であり、恥ずべきことじゃない。

 だが大事な幼なじみに死なれるのはもっと怖いと思うところが、感情の難しいところだ。

 

「また来た!」

 

 煙を晴らすかのようにビームの連射が放たれる。それをどうにかかわすと、その射手たるISがふわりと浮かび上がってきた。

 

「……なんなんだ、コイツ……」

 

 姿からして異形だった。

 つま先よりも下まで伸びている、異常に長く、ビーム砲口が左右二門ずつある腕。

 首のない、肩と一体化したような、センサーレンズが不規則に並んだ頭。

 そして全身を隙間なく覆う、灰色の装甲。

 

全身装甲(フル・スキン)……随分珍しいわね」

「誰だお前。何が目的だ」

「……………………」

 

 返事はない。こちらの問い掛けに応えるつもりはないらしい。まあ予想通りだけどな。

 

『織斑君! 凰さん! 聞こえてますか!? 今すぐアリーナから脱出してください! すぐに先生たちがISで制圧に行きます!』

 

 山田先生からの通信。いつもと違って先生らしい威厳のある声だが、その言葉には頷けない。

 

「それまで俺たちで食い止めます。こいつを放っておいたら、観客席に被害がでるかもしれない」

『織斑君!? だ、ダメですよ! 生徒さんにもしものことがあったら――』

「だからそのもしもが、観客席のみんなにもあるかもしれないでしょうが!」

『そ、それは……けど、だからって――』

 

 それ以上を聞いている余裕はなかった。正体不明のISが、体を傾けて突進して来たからだ。

 

「おっと!」

 

 避け様に雪片弐型を振る。完璧なタイミングの筈だったカウンターだが、敵はスラスターを噴かして避けた。

 

「ちょっ……なんだよ今の動き!?」

「スラスターの出力までとんでもないわね……」

 

 攻撃力、機動力、どちらも尋常じゃない。あの全身装甲だ、おそらく防御力も相当なものだろう。

 

 ――それでも、負ける訳にはいかない。

 

「剣だけじゃ追い付けないでしょ!? あたしが援護するわ、突っ込みなさい、一夏!」

「了解だ! 俺に当てんじゃねえぞ、鈴!」

「はん! 誰に言ってんのよ!」

 

 覇気に満ちた鈴の言葉。恐ろしい強敵も、味方になればこんなに頼もしいことはない。

 俺は万の援軍を得たような気持ちで、突撃を仕掛けた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「くっ……!」

 

 零落白夜の斬撃が空を切る。必殺の間合いから放たれた一撃は、しかし敵に届かなかった。

 

「離れて!」

 

 鈴の警告に反応し、即座に離脱。

 その瞬間、敵がコマのように回転しながらビーム砲撃をしてくる。桁違いの威力を持つ熱線が、俺を捉えようとしていた。

 

「やらせないわよ!」

 

 鈴が衝撃砲を放つ。敵は回転を止め、その長い腕で不可視の砲撃を叩き落とした。

 

「ふう……助かったぜ」

「貸しにしとくわ。……それより、どうするの? これじゃ埒が開かないわよ」

「ああ、しかも観客席のみんなが避難できてない。先生たちも、もうとっくに来てたっていいはずだ」

「……扉がロックされてる? これもアイツの仕業ってわけ?」

「さあな。だけどそうだとしたら、俺たちだけでやらなきゃならない。……鈴、あとエネルギーはどのくらい残ってる?」

「180ってとこね。一夏は?」

「60切ったよ」

 

 文句を言うわけじゃないが、さっきまでの鈴との試合が響いている。零落白夜を使えるのは、よくてあと一回だろう。

 

 ――だが。

 

「ふうん。そんだけあれば――」

「ああ、十分だ」

 

 零落白夜の威力は絶大だ。一撃あればこと足りる。だからあとは、当てるだけだ。

 

「もっとも、その一撃が当たらないんだけどね。まさか龍咆があんなに簡単に防がれるだなんて、結構ショックだわ」

「それなんだけどさ……アイツの動き、なんか違和感があると思わないか?」

「違和感? ……て、どんな?」

「なんて言うのかな。……まるで、人間じゃないみたいだ」

 

 人間じゃない。その言葉に、鈴が目を丸くする。

 

「どういうことよ?」

「攻撃しても、対応が毎回同じだ。それに死角からの攻撃にもかなり正確に反応してくる。なのに向こうから仕掛けて来る時は工夫がない。あれじゃまるで、決められたことしか出来ない――」

 

 ――機械みたいだ。

 

「……確かに、言われてみればそうね。けどISは人が乗らないと絶対に動かないのよ。無人機なんて聞いたこともないわ」

 

 それは俺も教科書で読んだ。「ISは女性にしか動かせない」。それは文字通り、機械にすらも動かせないことを示している。だが千冬姉はこうも言っていた。

 

 「ISは未完成の兵器だ」と。

 

「つまり、どこかの誰かが極秘裏に無人機の開発に成功してても、不思議じゃないってこと?」

「まあ、そういうことだな。俺みたいなのもいるくらいだし、有り得ない話じゃないだろ」

「……仮に、あれが無人機だとして。だからどうなるってのよ?」

「決まってるだろ。やり過ぎる心配はないってことさ」

 

 零落白夜は相手のバリアーを無効化し、強制的に絶対防御を発動させるものだ。その威力は全IS中トップクラスで、操縦者にまで致命傷を与えかねないほど。

 しかし相手が無人機なら、遠慮する必要は全くない。

 

「思いっきり振り抜いてやるぜ。シン流に言うなら、寄って斬る、だ。あの機動力でも避けられないくらい、深く踏み込んでやる」

「……面白いじゃない。疲れを知らない、プレッシャーも感じない、動きはまさに精密機械でミスもしない――そんな無敵の無人機様に、人間の発想力ってヤツを教えてやろうじゃない。それで、有りっ丈の授業料をぼったくってやるわ」

 

 そう言って浮かべる笑みが頼もしい。これから挑むのは分の悪い賭けだが、賭ける価値は十分だ。

 

「そこで、だ。鈴、衝撃砲を最大までチャージして、いつでも撃てるようにしといてくれ」

「いいけど、どこを狙うのよ?」

「もちろん、アイツさ。それで、俺の合図で――」

「一夏ぁっ!」

「「……え?」」

 

 突然の大声。アリーナのスピーカーから響いた、ハウリングが尾を引くほどのその声は――

 

「な、なにしてるんだよ……箒っ!」

 

 中継室を見る。審判もナレーターも避難したそこで、箒は肩で息をしながら、不安げに揺れる目線で俺を見ている。

 怒っているような、焦っているような、そんな不思議な表情で、もう一度、叫ぶように声をあげた。

 

「男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとするっ!!」

 

 ――それは、箒なりの、箒に出来る、精一杯の応援だった。

 

 セシリアと戦うシンに、俺が送ったように。

 

「っ! 一夏!!」

 

 鈴の声で視線を戻す。敵ISが、今の館内放送の発信者である箒に興味を持ったように、じっと箒を見つめている。

 

「逃げ――」

 

 ――ダメだ、間に合わない。

 

 敵ISはすでに、腕のビーム砲口を箒に向けていた。あれを生身で受ければ、一瞬で蒸発するのは目に見えている。

 

「やめろぉぉぉっ!!!」

 

 喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。しかし当然、そんなものに意味はない。

 

「ほ――」

 

 

 

 熱線が放たれる。それが、ひどくゆっくりに見えた。

 

 ――ふざけるな。

 

 守るって、誓ったのに。

 

 俺は、また――

 

 

 

「――箒ぃぃぃぃっ!!!」

 

 箒は茫然と、自分に迫る「死」を見ている。

 

 逃げても間に合わない。たとえ今この瞬間に敵を倒したところで、それはもう意味がない。

 

 そして禍々しい閃光が、為す術なく立ち尽くす箒を飲み込む――

 

 ――その、直前に。

 

 箒を守るように。

 

 三年前、攫われた俺を、助けたように。

 

 銀色の装甲と、紫色の極光が。

 

 箒の前に立ちふさがった。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 ……箒がいない。

 ピットからリアルタイムモニターで敵と戦う一夏と鈴を見ていた己がそれに気付いたのは、正体不明のISが二人の試合に乱入し戦闘を始めてから、数分が経ってからだった。

 

(……どこへ……?)

 

 ……なにか、ひどく嫌な予感がする。

 

 鈴と戦う一夏の姿を不安げに見ていた箒が、試合ではなく、本物の戦いに巻き込まれた一夏に何を思ったのか。

 

 ――決まっている。自分にも何か出来ないかと、そう思ったに違いない。

 

「…………」

 

 駆け出す。箒のことだ、居ても立ってもいられず、きっと無茶なことをするだろう。そしてその行動は、最悪の事態を招く恐れがある。

 

 あのISは、恐らく無人機だ。ただプログラムに従って動くだけの特徴的な行動パターンは、昔良く見たものに酷似していた。

 そしてあのISには、高度なAIが搭載されている可能性が高い。ただ戦うだけでなく、一夏と鈴の遣り取りを邪魔することなく見ていたことから、それが伺える。

 だがAIは所詮AIだ。人間とは考え方が違う。プログラム外の事態に対しどういった行動に出るか、分かったものではない。

 

「一夏ぁっ!」

「……っ!」

 

 箒の声。アリーナ全体に響き渡るそれは――

 

(……中継室か……!)

 

 幸運にも、そこならば近い。すぐそこだ。

 全力で、駆ける。最悪の想像はいよいよ己の思考を埋め尽くしていた。

 

「男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとするっ!!」

 

 叫ぶようなその声は、箒から一夏への声援だった。彼女らしい、叱責のような言葉だが、その声に込められた想いは一夏の身を案じるものだ。

 そして中継室に飛び込んだ己の目に映ったのは、肩で息をする箒の姿と、今まさに箒に向け熱線を放たんとする、異形のISの砲口だった。

 

 

 

 ――首から提げられた指輪を掴む。

 

 

 この瞬間、己の心を満たしていたのは、幼なじみの命を害そうとする敵への怒り――では、なかった。

 

 

 ――己の意志に応じ、己の専用機、朧月が展開される。

 

 

 大切な幼なじみを、目の前で失ってしまうかも知れないという恐怖――でも、なかった。

 

 

 ――右腕を振り上げ、そこに取り付けられた月光を起動。

 

 

 不謹慎なことに。この瞬間、己の心を満たしていたのは――歓喜だった。

 

 

 ――拡張領域(バススロット)の八割を食い潰している二つの装置、膨大なエネルギーを貯め込むコンデンサー、神無月(かんなづき)と、そのエネルギーを一気に送り込む供給ライン、神在月(かみありづき)が、月光に有りっ丈のエネルギーを叩き込む。

 

 

 ただ奪い、壊し、殺すことしかしてこなかった、この己が。

 

 

 ――溢れ出る、紫色の光の粒子。それが一瞬で、ニメートルを超える極光の剣と成る。

 

 

 おびただしい量の血に濡れ、おぞましいほどの業にまみれた、この腕で。

 

 

 ――箒の前に躍り出る。眼前に迫った「死」を切り払うべく、渾身の力を込めて、月光を振り下ろした。

 

 

 誰かを、守れるなどと。

 

 願ったことすら、なかったのだから。

 

 

 

「オオオオオォォォォァァアアァァァッ!!!」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 朧月を装着したシンが、普段の彼女からは想像も付かないような咆哮をあげて、熱線と真っ向からぶつかり合う。

 あの紫色の光の剣はおそらく、朧月の初期装備(プリセット)、月光だろう。あれだけの熱量を持つビームを切り裂くその威力は凄まじく、俺の零落白夜と比べても遜色ない。

 

 だが数秒も続いた砲撃は、朧月に大きなダメージを与えた。ビームが止むと同時にISが解除され、力尽きたように、シンが崩れ落ちる。

 

「「――ぶっ潰す」」

 

 殺意を剥き出しにした俺の声に、鈴の絶対零度の声が重なる。もはや言葉を交わすまでもなく、二人の思いは一つになった。

 

「鈴、撃てぇ!!」

 

 衝撃砲を構える鈴の前に躍り出る。俺の意図を一瞬で読み取った鈴が、獰猛な笑みを浮かべて吼えた。

 

「あたしの分まで、痛めつけてきなさいっ!!」

「言われるまでもねぇ!!」

 

 背中に巨大なエネルギーの塊――最大威力の衝撃砲の砲弾を受ける。

 その直前に、千冬姉から教え込まれた技術――瞬時加速(イグニッション・ブースト)を発動した。

 

「う、お、おおおおおおおぉぉぉぉっ!!!」

 

 その加速は今までの機動とは比べ物にならず、一気に景色が吹っ飛んで行く。

 

 ……思った通りだ。これなら――!

 

「なるほど……やっぱりアンタ、大バカだわっ!」

 

 衝撃砲の砲弾は、圧縮された空間そのものだ。その空気の密度はもはや個体と呼べるだろう。

 そんな物を叩き付けられれば、そりゃ効く。なにせ本物の砲弾と変わりないんだから。

 

 ……そう、本物の砲弾と変わらない。まともに食らえば大ダメージだが、瞬時加速した直後の背中から撃たれれば、相対的な速度で考えれば。

 

 なんとか、乗れる――!

 

「「行っけええええええぇぇぇぇっ!!!」」

 

 よくも箒を狙いやがったな。

 よくもシンを傷つけやがったな。

 お前が無人機であることを心から願うぜ。

 

 でないと、本当にやり過ぎちまいそうだ———!

 

 ――エネルギー変換率、100%。零落白夜、発動――

 

 敵ISが眼前に迫る。眩い光を放つ剣を、大上段から振り下ろした。

 

「おおぉぉらあああぁぁっ!!」

 

 正中線を狙った一撃は、反応した敵ISが振り上げた右腕を切り落とした。即座に刃を翻し二撃目を叩き込もうとしたが、敵のほうが一瞬速い。左拳に殴られ、さらに接触面から熱源反応。

 零距離からのビーム砲撃。

 

 零落白夜を使ったことで、白式のシールドエネルギーはほとんど空だ。これを受ければ、まず間違いなく死ぬだろう。

 

 ――撃てれば、の話だが。

 

「真改さんは――」

 

 よく通る声。同時に、零落白夜によって破壊された遮断シールドの隙間から、六機のビットが飛び出してくる。

 

「あなた如きが傷つけていい方では、なくってよ!!」

 

 ブルー・ティアーズ全機による、レーザーとミサイルの一斉射撃。零落白夜でシールドエネルギーを失ったところにそれを受け、敵ISはひとたまりもなく墜落していく。

 

 だが、まだだ。

 

 ――敵ISの再起動を確認。警告。ロックされています――

 

「悪いがさっきのは、鈴に頼まれた分だ」

 

 白式の警告通り、片方だけ残った左腕を最大出力形態(バースト・モード)に変形させたISが、地上から俺を狙っていた。

 

「そして、これが」

 

 今までと比べても圧倒的な熱量を持つビームが迫る。

 

 俺はその光の中に、ためらいなく飛び込んで――

 

「俺の、分だああぁぁぁっ!!」

 

 ――今度こそ。

 

 敵ISを、真っ二つに切り裂いた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「よう。目、覚めたか?」

「…………」

 

 幼なじみの声。顔を横に向ければ、三人の幼なじみと、セシリア、本音の姿があった。

 

「なかなか起きないから心配したわよ、シン」

「具合はいかがですか? 真改さん」

「お疲れさま〜、いのっち~」

 

 口々にかけられる、労りの言葉。己は、どうにか生き残ったらしい。

 

「……真改」

「…………」

 

 俯いた箒の声。それを聞き、安堵と喜びに心を満たされる。

 

 ――守れた。

 

「……済まなかった。私のせいで、お前は、危うく……」

「……怪我は……?」

「え……?」

 

 箒は一度、キョトンとして。

 

「あ、ああ。真改のおかげで、怪我はない」

「……なら、いい……」

「……ありがとう」

 

 箒の声が震えている。

 

 ……また、泣かせてしまったか。

 

「ありがとう、真改っ……!」

 

 再び俯き、泣き始めた箒の顔に手を伸ばし、その眼から流れる涙を拭う。

 

「……無事で、良かった……」

「それは、私の台詞だ……!」

 

 箒は己の手を取って、さらに泣き出してしまった。震える箒の肩を、慰めるように一夏が優しく叩く。

 

「それで、大丈夫か? どこか痛むとこないか?」

「…………」

 

 朧月が守ってくれたのだろう。疲労はあるが、体に怪我はない。

 

 ……ああ。そういえば、一つだけ。

 

「……喉……」

「「「「「は?」」」」」

「……喉が痛い……」

「「「「「………………」」」」」

 

 一瞬の静寂。

 

「……ぷ、あはははは!」

「た、確かに、あははっ、すごい声出してたもんねぇアンタ! あはははは!」

「し、真改さん、ふふふ、ここは、笑いをとる場面ではありませんわ!」

「ふふ、真改、お前というやつは、くふふふ……!」

「あはは〜、いのっち、普段喋んないからだよ〜」

「…………」

 

 ……納得がいかない。痛む所はないかと訊かれたから、正直に答えたというのに。

 

 ……だが、まあ。

 重くなった雰囲気も和らぎ、なにより箒も笑っているので、善しとしよう――

 

 

 

 




さーて、来週のイノウエシンカイはっ!

乙「ランク1、オッツダルヴァだ。
最近更新速度が遅いな。作者め、空気にもなれんか。所詮は素人、戦場に迷い込んだだけか、無様な。
とにかく、どうにか第一巻分が終わりだ。応援してくれる者たちには……そうだな、オーメル社の実験兵装、コジマブレードをくれてやろう。
……さて、これ以上は時間の無駄か。来週は「ヴァオー、入学する」、「ハッハー!リメイク版だぜ、メルツェェェェル!」、「貧乳!!貧乳ゥ!!」をお送りする」

来週もまた、見てくださいね!

それ、ジャ(ry

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