Infinite possibility world ~ ver Highschool D×D   作:花極四季

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ネタバレ:修行編はリアス成分が八割。残り二割はミッテルト。


第六話

あれから、この世界は概ね平和だった。

ミッテルトとのホームステイな生活も、何の問題もなく続いている。

ミッテルトは僕のように学校に行くわけでもないので、大抵はずっと家に籠もるスタイルを取っているんだけど、本人曰くそれでも楽しいらしいので、一応は納得している。

でも、折角自由になったんだから色んなところに行ってみたいだろう。今度何処かに連れて行くのもいいかもしれない。

とはいえ、僕もこの街の外のことは全く知らないんだけどさ。

 

そんなこんなで、今日も恙なく一日は終わると思っていた矢先――事件が起こった。

 

「零!私の処女を貰ってちょうだい!」

 

突然現れたリアスが、玄関先でそんなことをのたまう。

ソファーに座り、テレビを見ていたミッテルトはあからさまに渋い顔をしている。

 

「……そこで待っていろ」

 

二階から、姫島撃退用ハリセンを持ってくる。

 

「それって、ハリセ――」

 

それをリアスに無言で三発叩き込む。

 

「何するのよ!」

 

「それはひょっとしてギャグで言っているのか?」

 

こんなこと言うのは、姫島だけだと思っていた。

リアス、お前はまともだと信じていたのに……。

 

「グレモリー。アンタ頭おかしくなったッスか?」

 

流石のミッテルトもこれには呆れ顔。

ミッテルト、君は清純なままでいてくれよ。お兄さん一生のお願い。

 

「そうじゃないの!私だって、本当ならこんなことしたくない、けど――」

 

「けど、何だ」

 

「……いえ、なんでもないわ。悪いわね、お邪魔したわ」

 

悲しみに満ちた表情を最後に残し、リアスはこの場から去っていく。

 

「何だったんだ、一体」

 

「さぁ……」

 

騒動だけ巻き起こして、最後には沈んだ表情で去っていくとか、意味が分からない。

取り敢えず、ここにいても無意味なので、リビングに戻る。

――そこには、知らないメイドさんが立っていた。

 

「ここに、リアス・グレモリーがお邪魔していませんでしたか?」

 

いきなり本題に入ったよ、この人。

 

「さっきまでいたが、今出て行った所だ」

 

「そうですか。申し遅れました。私、リアス・グレモリーの兄であるサーゼクス・ルシファーの《女王》を勤めさせてもらっています。グレイフィア・ルキフグスと申します」

 

「グレイフィア・ルキフグスですって……!?」

 

何だか、ミッテルトが凄く驚いているが、実はこの人凄い人?

いや、確かさっきルシファーって言ってたよな。そんな人に仕えているメイドさんだ。凄くない訳がないんだ。

 

「それはいい。だが、その様子だとリアスのあの尋常じゃない様子を知り、理由も把握しているようだが、説明してはくれないのか」

 

「申し訳ありませんが、神器使いとはいえ眷属でさえ無いただの人間に、グレモリー側の事情をお話するわけには参りません」

 

これは、悪魔側の問題。だから、人間には関わりようがない。故に、話せないし、話す必要性も感じない。そんなところか。

まぁ、僕も強く問いただす気は最初からなかったし、いいんだけどね。

 

「まぁいい。ならば、リアスに会ったら伝えてくれ。慎みを持て、とな」

 

「……分かりました。では、失礼させていただきます」

 

グレイフィアさんは魔法陣らしきものを敷き、その中へと消えていく。

それを見送ったミッテルトは、目眩を起こしたかのようにふらつく。

 

「大丈夫か?」

 

「一応……。それにしてもレイはなんで平気なんスか」

 

「平気も何も、敵対意思のない相手に何を怯える必要がある」

 

「……その理屈、レイぐらいしか通らないッスよ」

 

げんなりと肩を落とすミッテルト。

まぁ、ルシファー付きのメイドっていったら、僕達なんか足下にも及ばない実力者であるのは分かるから、彼女の言いたいことも分かるよ。

でも、実際そうとしか思えないんだから、しょうがないじゃないか。感性は人それぞれだし。

 

「今日はもう寝た方がいい」

 

「そうッスね。何か、さっきから色々ありすぎたから疲れた……」

 

ふらふらと自室へと戻っていくミッテルトの背中を見送りながら、僕はこれから起こるであろう波乱を予感していた。

 

 

 

 

 

次の日の放課後。コミュの解放を行うべく適当に学内を歩いていると、リアスと遭遇する。

リアスは僕を捜していたのか、気付いた途端早足で近づいてくる。

 

「今日は何の用だ?」

 

「零、明日から始めるオカルト研究部の修行に貴方も参加しなさい」

 

……why?

 

「理由を二つ問おう。まず、何故修行をするんだ。そして、何故私まで参加せねばならんのだ」

 

「一つ目の理由は、一ヶ月後に行われる《レーティングゲーム》に向けた修行よ。二つ目は、この周囲一帯を管理する者として、貴方の身を案じてのことよ」

 

「私の身を?」

 

「貴方は、《神器》を持っているという、他の人間とは異なる特性を秘めているわ。故に、以前堕天使から狙われてしまった。それは変えられない事実よ。そして、もうこれ以上狙われなくなるという保証は一切無い」

 

「そうだな」

 

「貴方の《神器》が持つポテンシャルは相当なものだわ。貴方が廃屋で倒れていたところを見つけたあの日、貴方の《神器》の解放された力の余波だけで、私は動けなくなったわ。それ程の力を秘めた貴方の《神器》をこのまま何もせず放置するというのは、決して貴方の為にはならないわ。暴走の可能性もあるし、《神器》の力を制御出来るようになれば貴方の《神器》を狙う輩からの自衛も出来るようになる」

 

なんやかんや言ってるけど、詰まるところ、お前の《神器》狙って襲ってくる奴らがいると、管理者からすれば迷惑だから自分で何とか出来るようにしろ、ってことだろう。

アヴァターラは確かに中々強力だったけど、身体が動けなくなるってのは流石に有り得ないし、誇張してまで同意して欲しいんだろうさ。

 

「だから、どう?貴方にも悪い話ではないと思うんだけど」

 

「そうだな。別にいいぞ」

 

「……私が言える立場ではないんだけど、いやにあっさりと同意したわね」

 

「私としても、この力を上手く扱えるようになりたいと思っていたからな。修業の場を提供してくれるというのであれば、願ったり叶ったりだ」

 

「そう。まぁ、貴方がそれでいいというのであれば、私からこれ以上何も言うことは無いわ。じゃあ、明日迎えに行くから、よろしくね」

 

手を振り、リアスは立ち去っていく。

修業かぁ……。取り敢えず、帰ったらミッテルトには事後報告になっちゃったけど、説明しないとね。

 

 

 

 

 

修業一日目。

まずは目的地まで荷物を背負って移動から始まる。

ミッテルトは、僕がいくならついていくということで、修業に同行している。

とはいえ、やはりアーシア以外の悪魔との接触には抵抗があるのか、基本的には僕とアーシアぐらいとしか話はしない。

それは追々解決していくとして、問題は今だ。

僕は、自分のとミッテルトの荷物が入ったリュックサックを背負い、山道を歩いている。

兵藤と木場は僕よりも大きなバッグを。さらに塔城さんはその三倍はあるバッグを背負っている。どういうことなの……。

何でも、塔城さんは眷属の特性である《戦車》に該当するらしく、その恩恵で圧倒的な怪力を誇るんだとか。

小さな身体に大きなパワー、か。悪魔としての恩恵は凄まじいな。

タルカジャを使えば余裕なんだけど、使わなければ登れないようではこの先やっていけないだろうと自らに鞭を打つ。

それに、これぐらいの苦行なら他の世界でも経験しているしね。

 

そんなこんなで辿りつき、修行に入る。

修行とはいえ、僕は悪魔ではないので、《神器》の扱い方を理解する必要がある。

当然、オカルト研究部の修行ということなので、独断で勝手にやる訳にもいかず、リアスが僕の修行に付き合うことになった。

因みに、この修行にはミッテルトも同伴している。

曰く、修行をネタにリアスが僕に変なことをしないように監視するとのこと。

心配してくれるのは嬉しい。でも、どうせ見てたってつまらないだろうしアーシアの方に行ってもいいんだよ?と言ったらやんわりと断られた。

 

「じゃあ、修行に入るわよ」

 

「それはいいが……本来君達は目的があってこの修行を提案したのだろう?部外者である私に現を抜かしていていいのか?」

 

「私が誘った側なのに、連れてくるだけ連れてきて放置なんて無責任なことはしないわよ」

 

「無責任だとか言ってるけど、どうせレイの《神器》に興味があるから、理由付けしてこんな所に連れてきたんでしょうが」

 

ミッテルトがリアスに意見する。

 

「……そうね、それは否定しないわ。本音を言えば、貴方の《神器》の力は未だ不確定要素が多すぎる。悪く言えば、貴方は毒にも薬にもなる立場にあるの。言わばイレギュラー。特定の陣営に属していない時点で、他の人からすればそれだけで不穏分子と捉えられても仕方のないことなの、分かる?」

 

「分からないでもない。組織による隷属がない私は、独断であらゆる行動を選べる権利がある。それこそ、今日は悪魔側に手を貸しても、明日は天使側に手を貸すかも知れない。そんな定まらない生き方をされては、組織の長である君にとっては警戒されて当然だろうな」

 

「……別に、私の眷属になれとも言わないし、協力関係を結ぼうとも言わない。ただ、私は納得したいの。貴方を信用するに値する納得の理由が欲しいの。そうしなければ、私達はいつまで経っても前に進めない。貴方に対する身の振り方を選択することが出来ない」

 

「ならば、どうすればいい?言葉だけで敵意が無いと信用出来るなら、最初からこのようなまだるっこしい手段には出ていない筈だ」

 

「そうね。だから、《神器》を私の前で扱い、その特性を説明することで信用の証とするわ」

 

「……反吐が出るッスね。レイが断れないのを分かっていて、脅迫するッスか」

 

「どう捉えてくれても構わない。でも、グレモリーの名に賭けて、貴方の信用を裏切るようなことは絶対にしない。それだけは、信じて欲しい」

 

「ハッ、どうだか――」

 

リアスとミッテルトの間で、剣呑な空気が巻き起こる。

修行は始まったばかりなのに、こんなんでやっていけるのやら。

 

「別にいいぞ。減るものではないしな」

 

「ちょっ――レイ!そんな簡単に」

 

「そもそも、この修行に参加した時点でその覚悟はあった。それに、隠す理由もない」

 

掌にタロットを顕現。それを握りつぶす。

僕の傍らに、ウルスラグナが立つ。

 

「――これが、貴方の《神器》?朱乃から聞いてたけど、召喚の類かしら」

 

この反応からして、リアスはペルソナを知らないようだ。

まぁ、有名と言えば有名だけど、だからといってドラクエとかFFほどでもないし、分からなくても無理はない。

 

「この力は、私の内に秘められたもう一人の自分を表に出したに過ぎない」

 

「それって、どういう――」

 

「これは、表面には現れていない、もう一人の自分を引き摺り出す為の、言わば《鍵》だ」

 

「……つまり、この騎士のような生物は、もう一人の貴方だとでもいうの?」

 

「そうだ。言い換えれば、可能性のひとつと言ってもいいだろう」

 

普通はペルソナは一人ひとつが常だけど、ワイルドは無数にペルソナを所有できるからね。

ウルスラグナもそのひとつに過ぎないし、これもあくまで可能性のひとつに過ぎないのだ。

そう考えると、ワイルドってどういう理屈で成り立っているんだろうね。

 

「……よく、分からないわ」

 

「別に全てを理解する必要はない。これは私の分身であり、私自身でもあり、敵を切り裂く刃でもあり、身を護る盾でもあるということを理解しておけばいい」

 

それっきり、リアスは黙り込んでしまう。

まぁ、説明されただけじゃ良く分からんわな。

というかミッテルト。いつの間にウルスラグナの背に乗っているんですか。あ、散歩しに行った。

……ていうか、触れるんだ。知らなかった。

いや、物理攻撃とかも出来るんだから触れるって考えるのが自然なんだろうけど、僕のイメージだと攻撃時だけ実体があるって感じだったから、少し意外だった。

 

「まぁ、いいわ。取り敢えず、今の貴方に出来ることを見せて頂戴」

 

「分かった。ミッテルト、そろそろ遊ぶのはやめて戻ってこい」

 

「はーい」

 

ウルスラグナからミッテルトが降り、スキルを適当な所に発動させる。

 

ジオ、ジオンガはただの電撃だ。一応感電属性はあるけど、この世界で適応されているかは分かんない。

実験の為に電撃浴びせたいとか言えるほど、Sじゃないです。

 

「……結構強力な電撃ね。下級の敵なら充分通用するでしょうね。朱乃も電撃で攻撃出来るけど、流石に威力はあっちの方が上ね」

 

姫島も電撃が使えるのか。ということは、ジオダインクラスを使えるってことでいいのかな?つええ。

んで、次に疾風斬を発動する。あ、目の前にあった木がばっさばっさ切れていく。

 

「あまり強力とは言えないわね。これも下級クラスになら通用するでしょうけれど、それ以上となると難しいでしょうね」

 

まぁ、疾風斬はダメージ小だからね。仕方ないね。

 

「他にはあるかしら?」

 

「あとひとつあるが……これは君自身が体験した方が実感出来るだろう。――タルカジャ!」

 

リアスに向けてタルカジャを発動させると、その性能に驚いたらしく身体を動かし始める。

 

「……これは、凄いわね。見違えるぐらいに身体能力が上がったわ。正確には、筋力がだけど」

 

「実際の差異を比較出来るか?」

 

「そうね、比率で言えば1.5倍ぐらいかしら。それでも、あるとないとでは全然違うわね。これ、何回でも使えるのかしら?」

 

「制限はある。今の私ではすぐに限界が来るだろうが、経験を積めば無尽蔵に等しい回数使えるようにもなるだろう」

 

「そう……これは予想外の掘り出し物になるのかしら」

 

なんかぶつぶつ言ってるけど、さっきのスキルを見てメニューでも考えているんだろう。

そんなことを考えていると、ミッテルトが話しかけてくる。

 

「レイ、あんまり悪魔を信用しない方がいいよ。何を考えているか分かったものじゃないんだから」

 

「そう言うな。君だって、悪魔だという理由でアーシアを貶められても不愉快なだけだろう?」

 

「そ、それは……」

 

「別に誰に対しても優しくしろとは言わないが、種族という色眼鏡で個人を測るのはやめるといい」

 

「……うん」

 

ちょっと説教臭くなっちゃったけど、これも必要なことなんだと自分に言い聞かせる。

偏見や差別意識を持つことは、決して彼女の為にはならないのだから。

 

「零。取り敢えず、その《神器》を手足のように扱えるようにしましょう。それと、どれぐらいの時間出していられるのか、そういった部分を測っていきましょう」

 

「分かった」

 

「正直、貴方の《神器》は未知数な部分がまだまだあるから、貴方に見合った修行方法を模索していく必要があるわ。だから、色々と試していく必要があるから、しばらくは効率の悪い修行になってしまうけれど、先に謝っておくわ」

 

「気にするな。むしろ感謝したいぐらいだ。自分のこともあるだろうに、私まで気に掛けてくれて、逆に申し訳ないぐらいだ」

 

「さっきも言ったけど、誘った私の責任よ。気にする必要はないわ」

 

なんていうか、リアスって面倒見が良いなぁと思う。

リーダーなんてものをやれるぐらいだから、それも当然か。

 

「そうね、ついでに貴方も修行する?ミッテルト」

 

「え?ウチ?」

 

「折角相応しい場所を用意したんだから、貴方もこの状況を有効活用すればいいわ。以前の遺恨はオカ研にはもうないから、壁を作らず気軽にメンバーに接していっても私は気にしないわ」

 

「……考えておくわ」

 

リアスの言葉に、曖昧な返事を返す。

でも、頑なに拒むよりは全然進歩していると言える。

やっぱり、言っておいて良かった。

 

こうして、修行は始まった。

 

 

 

 

 

一日目の修行を終え、自室で今日の事を整理する。

オカルト研究部のメンバーのメニュー考案を終え、最後に有斗零について着手する。

 

有斗零の《神器》は、彼の言葉を鵜呑みにするのであれば、《鍵》としての役割しかない。

彼に潜在するもう一人の自分を引き摺り出す為の《鍵》。

《神器》には色々な特性がある。それこそ、数え切れないほどに。

しかし、今回のように《神器》そのものは明確な力を持たないケースは初めて聞く。

そもそも、何故彼は自身の《神器》にそこまで精通しているのかという疑問はあるが、あの時の彼は嘘を言っているようにはとても思えなかった。

故に、彼の言葉が正しいという前提で考察をしようと思う。

 

まず、彼が召還した騎士を象った人馬。あれから放たれる気は、どちらかと言えば天使寄りだった。

しかし、攻撃そのものに神性は感じられず、単純に魔力を行使するそれと同等の力を感じた。

それと、彼がタルカジャと呼んだ力は、私に不思議な感覚が纏わりつくように展開し、筋力を著しく強化した。

アーシアの《聖母の微笑》に似た感覚だが、あれは患部に継続的に発動しなければ効果を発揮しないのに対し、こちらは一度発動すれば一定時間経つまで、独立して効果を発揮し続けるという高性能なものだ。

1.5倍の上昇率に加え、一回の発動でだいたい三十分は保つと考えると、その凄さが分かるだろう。

 

……それに、廃屋で感じたあの圧倒的な力の波動もある。

潜在能力だけで言えば、イッセーの《赤龍帝の篭手》と同等か、それ以上か。

私自身、《赤龍帝の篭手》の方も把握しきれていない部分が多いという意味では、比較対象としては間違っていない、筈。

あれが《禁手》によるものなのか、あれさえも彼の《神器》としての域を出ていないのか。

後者は考えたくもないが、あらゆることを想定しておかないと、いざというときに対処できなくなる。

 

「……本当、心配だわ。このままじゃ、彼は――」

 

もし、彼の《神器》が《神滅具》クラスのものだとすれば、彼は間違いなくあらゆる勢力から注目されることになる。

そうでなくとも、彼の《神器》の特殊性は、神器コレクターと名高いアザゼルの関心の的になるのは明白。

そうなれば例え私達が全力で彼を護ることに力を注いでも、護りきれないかもしれない。

……だからこそ、彼には強くなってもらわないといけない。

それが彼を更なる戦渦に巻き込む結果になろうとも、そうしなければ、彼は死ぬ。

死んでも《悪魔の駒》さえあれば蘇生させることは可能だろうけど……そういう考え方はしたくない。

 

とはいえ、彼ばかりにかまけていられないのも事実。

この修行の目的は、ライザー・フェニックスを《レーティングゲーム》で下し、婚約をご破算にする。その為のものなのだから。

私の人生は私のもの。あんな奴に嫁ぐぐらいなら、死んだ方がマシだ。

でも、眷属がいる以上、それさえも許されない。

だから、勝たなくてはならない。

 

もし、このことを零に告げたら、彼は何て言うだろうか。

同情してくれるだろうか。私を助けようとしてくれるだろうか。それとも、どうでもいいと切り捨てるだろうか。

……駄目ね、私は。精神的不安から、こんな馬鹿なことを考えてしまう。

彼を巻き込もうとしない為に、詳しい事情は伏せたままでここに連れてきたというのに、そんなことをすれば計画が丸つぶれだ。

彼はあくまで、私達の事情とは関係なく、ただ修行の為についてきた。それだけの関係。それで、いいのだ。

 

「リアス、そろそろお風呂にしましょう」

 

部屋の外から、朱乃の声が聞こえる。

 

「ええ、わかったわ」

 

両頬を叩き、自らを矯正する。

これで私は、いつものリアス・グレモリーでいられる。

グレモリー眷属の主として、情けない姿は見せられない。

だから、強くならないと。弱い自分を覆い隠せるぐらい、強く。




Q:遅くなるって言ってたよね?
A:やるべきことやんなかった結果です。死ねばいいと思う。

Q:話の持って行き方下手ですね。
A:許して下さい!何でも(ry

Q:姫島のコミュ解放はいつですか?
A:コミュは相互意思がひとつに絡み合って初めて成立するので、今の姫島の一方通行な立ち回りでは、普通のやり口では逆にコミュ成立が遠いっていうね。その代わり、成立したらその後は早いかも。

Q:なんでリアス推し?
A:気付いたらこうなってた。

Q:俺の小猫のコミュはどうした。
A:自分でもどのタイミングで解放させようか悩んでる。木場はエクスカリバー編で勝手に解放されるだろ(適当)

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