ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode8

 

「一誠・・・!」

 

「イッセーッ!!!!!」

 

アザゼルが叫んだ。彼に庇われているリーラが目を大きくして

信じられないものを見る目で見詰めている。

 

「ぐ、がはっ」

 

彼が吐血した。そんな彼に私たちはただ、見ているだけしかできなかった。

 

ズボッ・・・・・。

 

腹から突き出ていた剣が抜かれ、鎧が解除され、イッセーが体勢を崩しそうになった。

 

「はは・・・・・お前をこうやって守ったのは・・・・・十年前以来だな・・・・・・」

 

「一誠さま!」

 

慌ててリーラがイッセーに駆け寄る。だが、無情にも彼の父親が再び水平に剣を振るった―――!

 

ガキンッ!

 

「そうは・・・・・させない!」

 

龍牙が大剣で剣を受け止めた。その顔には涙で濡れていた。

 

「アーシアさん!すぐにイッセーくんに治療を!」

 

「は、はい!」

 

祐斗の的確な指示にアーシアは淡い光をイッセーが貫かれた胸に当てた。―――でも、

 

「え・・・・・治らない・・・・・」

 

「な、なんですって・・・・・?」

 

「も、もう一度!」

 

アーシアが再びイッセーの胸に淡い光を当てた。それでも―――一向に治る気配がない。

 

「ど、どうしてですか・・・・・?ちゃんと能力が発動しているのに・・・・・」

 

当惑するアーシア。彼女だけじゃなく、この場にいる皆も驚きを隠せない。

そんな私たちに龍牙と鍔迫り合いしているイッセーの父親が説明してくれた。

 

「この剣はね?サマエルの血で固形化された呪いの剣だ。ドラゴンスレイヤーより

よっぽど強力で、かすり傷でも致命傷だ。特にドラゴンに属する種族はね」

 

「なんですって・・・・・!?」

 

「だから、呪いの方が強くて彼女の治癒は効かないんだ。だから、一誠の命はもうあと僅かだ」

 

な・・・・・そんな・・・・・!

 

「誠・・・・・お前、自分の息子を殺して何とも思わないのか・・・・・!?」

 

「アザゼル、今の俺はテロリストだ。

だったら、悪は正義に勝たないと悪らしくないじゃないか」

 

「っ!?お前・・・・・!」

 

「さて、今度こそ終わらせようか」

 

龍牙を蹴り飛ばして三度リーラに剣を振り下ろした―――その直後。彼が勝手に吹っ飛んだ。

 

「させ・・・・・るか・・・・・!」

 

イッセーがフラフラと起き上がった。そんな・・・・・イッセー・・・・・!

 

「俺の命があと僅か・・・・・なら、悔いのない事をして・・・・・死ぬしかないだろうが」

 

彼が渇いた笑みを浮かべる。

 

「お前ら・・・・・悪い、俺と一緒に地獄まで付き合う形になる」

 

内にいるドラゴンたちに話をしている?彼は本当に自分の死を悟って・・・・・。

 

「和樹・・・・・早く、ここから逃げろ。そろそろ・・・・・フィールドが保たない・・・・・」

 

「一誠、ダメだ・・・・・キミも一緒に・・・・・!」

 

「俺は無理だ・・・・・もう・・・・・視界が見えなくなっている。

サマエルの毒、どうやら体の各機能を奪われていくようだ」

 

いや・・・・・嫌よ・・・・・そんなの・・・・・こんな別れ方・・・・・嫌よ・・・・・・!

 

「・・・・・ああ、そうだ。密かに作っていた物を渡すか。こんな時に何なんだけど・・・・・」

 

そう言った彼の言葉に呼応して、私や他の皆の前に小型の魔方陣が出現した。

 

「これは・・・・・」

 

「俺が人王になったら・・・・・お前らに渡そうと思っていたものだ・・・・・ここにいない

他の奴らにも渡してほしい」

 

「それと」とイッセーが振り向いた。目を閉じている。本当に見えなくなっているの・・・・・。

 

「イリナ・・・・・来てくれ」

 

イリナがイッセーに近寄る。すると、彼が徐にイリナの胸元に手の平を押し付けた。―――その時。

 

バサッ!

 

彼女の背中から、青白い六対十二枚の翼が生え出した。あれは―――!

 

「お前にこれを渡す。お前なら使いこなせるはずだ・・・・・・」

 

「そんな、こんなのって・・・・・!」

 

「後もう一つ・・・・・イリナ、ヴァーリ・・・・・悪い。

どうやらあの約束が果たせそうにない。昔交わしたあの約束・・・・・守りたかった」

 

イッセーが踵を返して歩を進め出した。

 

「がはっ!」

 

赤黒い血を吐きだした。歩くだけでももう・・・・・辛いはずなのに!

 

「イッセー!戻って来て、現実世界ならあなたの呪いをなんとか治せれるはずだわ!」

 

「・・・・・」

 

彼は無言になる。それは無理だと暗に言われた気がした。

 

「あのサマエルをどうにかしないとこの先、大変なことになる。だから・・・・・!」

 

右手に魔力、左手に気を出し始めた。

 

「感卦法!?」

 

和樹がイッセーがすることに気付いた。まさか・・・・・その体で戦おうとするの・・・・・?

 

「俺が何とかする。だから、和樹・・・・・皆を頼む」

 

「一誠・・・・・!」

 

「お願いだ。これももう、そう長くは保てない」

 

彼の全身を覆う光。本人次第で長時間保ち続けれると聞いたけれど、彼はそこまで保つほどの

力がないということ・・・・・。

 

「もっと・・・・・お前らと一緒に楽しく生きたかった」

 

「イッセー・・・・・!」

 

「リアス・・・・・ソーナ・・・・・」

 

何・・・・・?

 

「今までずっと・・・・・こんな俺を好きでいてくれてありがとう・・・・・」

 

「「・・・・・っ!?」」

 

そう言ったイッセーは、真っ直ぐ両親の方へと駆けだした。

 

「そんな、いっくん!待ってよ!いっくんが残るなら私も!」

 

「ダメです!行ってはなりません!あのヒトの決意を無駄にできません・・・・・っ!」

 

「楼羅、お願い・・・・・放してよ・・・・・!お願いだから・・・・・!」

 

涙を流しイッセーのもとへ行こうとする彼女を姉も涙を流しながら必死に引き止める。

 

ドッゴオオオオオオオォオオン!ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!

 

向こうから轟く轟音。もう彼の最期の戦いなのだと誰でも分かってしまう。

 

「・・・・・式森、頼む」

 

「・・・・・・・・・はい」

 

カッ!

 

和樹が転移用魔方陣を発動させた。

 

グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

巨大な三頭龍が姿を現した。その龍は真っ直ぐサマエルに向かったのを最後に―――私たちは

魔方陣の光に包まれて崩壊するフィールドから転移したのだった―――。

 

―――一誠side―――

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

「うひゃひゃひゃ、坊ちゃん。やっぱ坊ちゃんは凄いねぇ?

毒を盛られているのにまだ戦えるなんて本当に人間?」

 

皆がいなくなった後、俺は体が動かなくなるまで戦い続けた。

でも、結局・・・・・サマエルをどうにかすることもできなかった。

 

「坊ちゃんごとオーフィスの力を殆ど奪ったし、もう坊ちゃんには用が無いんだよねぇ?」

 

「では、戻りましょうか。当初の予定通り、サマエルを放っておいて」

 

「ん、そうだね!そんじゃ、帰ろうっか!」

 

「うひゃひゃひゃっ!それでは坊ちゃん。また来世でも会おうぜ?

そん時坊ちゃんが俺のことを覚えていたらだけどな?うひゃひゃひゃひゃっ!」

 

あのヒトを含め、サマエルを残して皆いなくなった。

 

「・・・・・」

 

サマエルは動かない。暴れ出すのかと思ったけどな・・・・・・ああ・・・・・静かだ。

 

『たくっ、こっちまであのサマエルの毒が届いているぞ。意識が切れそうだ』

 

本当に悪いな・・・・・お前ら。

 

『私はお前の傍にいるさ』

 

『我も・・・・・何時までもイッセーと傍にいる』

 

『お前の使い魔なんだ。一蓮托生だろう?』

 

『主・・・・・』

 

『お疲れさまでした・・・・・』

 

皆・・・・・今までありがとうな。

 

―――ザッ!

 

「・・・・・まだいたのか」

 

「・・・・・当たり前だ。バカ野郎」

 

ヴァン・・・・・。

 

「お前も今までゴメンな。俺の勘違いで傷つけた」

 

「ふざけんなよ・・・・・どうしてお前が死ななきゃならないんだよ・・・・・!」

 

・・・・・頭の後ろから温かい温もりが感じる・・・・・。

 

「他の奴らは?」

 

「現実世界だ。先に帰らせた」

 

「・・・・・そうか。謝りたかったな」

 

あ、感卦方が切れた。一気に毒と呪いが回り始める。もう、体の感覚すらなくなりつつある。

 

「・・・・・死ぬのか、一体どんな気分で死ぬんだろう」

 

「そんなの、孤独に決まっているじゃないか」

 

孤独か・・・・・でも、俺は皆がいるから決して孤独じゃないや。

 

「―――お前だけ死なせるわけにはいかない」

 

「ヴァン・・・?何を言って―――」

 

「私も色々とやらかしてきた。さっきタンニーンも解放した。後は―――罪滅ぼしだ。

死ぬんなら一緒に死のうぜ?」

 

・・・・・そう言うことかよ。

 

「死ぬ前に私も一人の女だ。・・・・・その、キス・・・・・していいか?

最期に女の喜びを感じたい」

 

「・・・・・毒の味しかしないぞ」

 

「お前の味だと思えば問題ない」

 

―――俺の唇に柔らかいものが触れた。俺の口はこじ開けられて、

彼女の舌が激しく口内を蹂躙する。それがしばらく続いたが、

 

ドスッ!

 

衝撃が襲った。目が見れないから分からないが貫かれた感触は覚えた。

 

「ありがとうな・・・・・ヴァン」

 

「ふん・・・・・今まで悪かったな」

 

意識がゆっくりと落ちていくのが分かった。ヴァンも話をしなくなり、気も感じなくなった。

―――そして、俺は深い闇に沈んだのだった。

 

 

 

―――???―――

 

「そうはさせない。その命、散らすのは惜しい。だから、こっちに来なさい・・・・・」

 

 

 

 

―――川神学園―――

 

―――アザゼルside――――

 

僅かな希望に縋り龍門(ドラゴン・ゲート)を展開した。

・・・・・だが・・・・・結果は・・・・・!

 

「くそぉっ!」

 

反応がない・・・・・・あいつが、イッセーが死んだって意味に繋がった・・・・・!

 

「一誠さん・・・・・!」

 

「くっ・・・・・!」

 

「イッセー・・・・・ッ!」

 

「そんな、どうしてあなたが死んじゃうの・・・・・?」

 

あいつを慕うリアスたちが涙を流し、頭を垂らす。

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー・・・・・」

 

ヴァーリが怨恨が籠った声音を涙流しながら呟いた。

 

「あの男だけは・・・・・私の命に懸けて殺す・・・・・絶対に・・・・・!」

 

「・・・・・ふふふふふふ・・・・・・いっくんを殺したあの悪魔たち・・・・・絶対に殺す」

 

「もう、あの人たちは誠さんと一香さんじゃないよね・・・・・・」

 

対してこいつらは禍々しいオーラを隠さず滲み出した。

 

「・・・・・」

 

神城がどこかへと行こうとする。

 

「おい、神城?」

 

「九十九屋・・・・・家に戻ります。―――絶縁をしに」

 

・・・・・マジかよ。呆然としている俺を余所に、

ドラゴンの翼を展開して本当に行ってしまった。

 

ガチャ。

 

「あっ、こんなところにいたのかお前ら!」

 

間の悪い時に・・・・・川神百代が現れた。

 

「・・・・・何だ、この感じは・・・・・何が遭ったのか?」

 

「・・・・・ええ・・・・・遭ったわよ・・・・・」

 

破れかぶれと言った感じでリアスは言ってしまった。

 

「イッセーが・・・・・テロリストに、実の親に殺されたわよ!」

 

「―――――っ!?」

 

「私たちを庇って、強大な敵に立ち向かって死んだわ!

どうして、どうして彼が死ななきゃならないの!?彼が一体何をしたというのよ!」

 

「こんなことあんまりです・・・・・っ。イッセーくん、イッセーくん・・・・・!」

 

リアスとソーナが泣き崩れ、

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、私の力がもっと強かったら・・・・・!」

 

「アーシアのせいじゃない!アーシアは頑張った!だから、だから・・・・・!」

 

イッセーに治癒をしていたアーシアが自分の力の不甲斐なさに自分を責め、

赤龍帝のイッセーが必死にフォローする。

 

「・・・・・」

 

朱乃が呆然と空を見上げるだけ・・・・・。

 

「・・・・・先輩・・・・・」

 

小猫が悲しみの色を浮かべポツリと言う。

 

「・・・・・」

 

拳から血が出るぐらい握る木場。葉桜たちも同じ気持ちで涙を流している様子を窺わせる。

 

「・・・・・本当なのか・・・・・あいつが死んだって・・・・・そんな・・・・・」

 

少なからずショックを受ける川神百代がフラリと踵を返した。

 

「テロリスト・・・・・一誠を殺したやつらの名前は何だって言うんだ?」

 

「『禍の団(カオス・ブリゲード)』」

 

「カオス・ブリゲード・・・・・分かった。私も協力する。いいよな?」

 

「ああ、構わん」

 

承諾すれば、川神百代がいなくなった。

 

 

―――龍牙side―――

 

 

久々に訪れた京都の町にある一見普通の家に見える建造物。

手に大剣を持ち、金色の鎧を纏って中に入る。

 

カランカラン・・・・・。

 

「・・・・・」

 

店の中は昭和の駄菓子屋みたいに色々な品が置かれている。

だが、それは裏の本業を偽るための置物に過ぎない。

 

「はぁーい・・・・・って、もしかして・・・・・龍牙さん?」

 

「拓斗か。久し振りだね」

 

「は、はい・・・・・でも、どうして禁手(バランス・ブレイカー)になっているんですか?」

 

「・・・・・兄さんはいるかい」

 

用があるのは目の前の少年じゃない。僕の兄だ。

 

「総大将ですか?ええ・・・・・何時もの部屋にいますが」

 

「そう・・・・・」

 

話は済んだとばかり、何時もの部屋にいる兄に訪れる。

 

「ま、待って下さい!どうしてそんなに怒った声を発しているのですか!?」

 

「・・・・・」

 

足を停め、振り向く。

 

「またなんだよ」

 

「え・・・・・?」

 

「僕の大切な友人を悲しませたんだよ。いくら仕事だからといって、あんまりだ・・・・・!」

 

だから、と言った。

 

「兄さんに会わないといけない。今回起きた事の本末を伝えて、―――家族の縁を切るって」

 

「なっ・・・・・!」

 

「邪魔しないでくれよ拓斗。もし邪魔をするなら―――容赦しない」

 

それだけ言い残して、足を動かす。古ぼけたこの家の中とは思えないほど真新しい構造の空間、

廊下、扉と部屋。廊下を真っ直ぐ突き進んで、曲がり角に歩を進め―――大剣を振り下ろした。

 

ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 

手加減なしで扉を両断した。真っ二つになった扉が中にいる人物に向かって吹き飛ぶけど、

 

「久し振りに帰ってきた家族にしちゃ、荒々しい帰宅だな」

 

容易く防がれた。

 

「家族・・・・・誰のことですか」

 

「・・・・・なに?」

 

「もう、お前なんて僕の兄ではありません」

 

「・・・・・」

 

『九十九屋』の総大将、間神龍斗が怪訝な顔になった。

 

「知りませんでしたよ・・・・・あなたが一誠さんのご両親を殺す依頼を引き受けていたとはね」

 

「・・・・・知ったのか」

 

ええ・・・・・知りましたよ。そのおかげで、

あのヒトが死んでしまいましたしね・・・・・・!

 

「総大将、どうした・・・・・若か?」

 

「え、若なの?」

 

師匠とイズナさんか・・・・・。丁度良いです。

 

「僕、神城龍牙は『九十九屋』を抜けさせてもらいます」

 

「「―――っ!?」」

 

「・・・・・」

 

「それを言いに帰ってきたようなものです。

ですので、あなたとの家族の縁を絶縁させてもらいます」

 

大剣を突き付けてそう言うと背後から焦った声が聞こえた。

 

「ちょ、若!一体どうしたのじゃ!?総大将との縁を切るって正気なのか!?」

 

「ええ、至って冷静に言っているんです」

 

「・・・・・お前がそこまで言うほど、向こうで何か遭ったのか?」

 

師匠が尋ねてくる。ええ、あるからここに戻っているんですよ。

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファーが現れました」

 

「なに・・・・・?」

 

「そして、兄さんが殺した一誠さんのご両親を甦らせ―――一誠さんを殺したんですよ!」

 

「・・・・・っ!?」

 

初めて兄さんが驚愕の色を浮かばせた。僕は鎧の中で涙を流す。

 

「十年前とは言え、あなたは僕の友人の家族を殺した!

それが敵となって甦り、自分の息子を殺した!

どうして、どうしていつもこうなんだ!僕が誰かと関わる度に兄さんたちが奪う!

もう、こんなのたくさんだ!あの人なら、一誠さんなら僕の友達でいられると思っていたのに!

また、また失ってしまった!」

 

「わ、若・・・・・」

 

「九十九屋が一誠さんのご両親を殺したということはすでに冥界と天界の上層部に

知れ渡っている頃だと思います。いくら仕事を依頼したからといって、

して良いこととやっていけないことがある!あなたはやっていけないことをしてしまったんだ!」

 

「・・・・・」

 

どれだけ喚こうが兄は僕を見詰めるだけだった。

 

「もう・・・・・僕の大切なモノを奪わないでください・・・・・」

 

足元に転移用魔方陣を展開した。

 

「さようならです」

 

この場から逃げるように僕は姿を暗ました。

・・・・・僕はもう、一誠さんに合わす顔がありません。

 

―――数日後―――

 

兵藤一誠の葬式が開かれた。大勢の悪魔、天使、堕天使、人間が大振りの雨の中を訪れ、

死体無き棺桶に最後の別れをするのだった。その中に神話体系の神々も交じっていた。

全員、一度は涙を流し、死んだ兵藤一誠に祈りを捧げる。現五大魔王、神、神王、堕天使の総督も

当然のように訪れていた。

 

「すまねぇ・・・・・俺がいながら何て様だよ」

 

「それを言うなら私のそうよ。

リゼヴィムがあんな凶行するなんて姉の私が気付きもしなかった・・・・・」

 

「次期人王を殺したのは悪魔。悪魔側が人王、人族に宣戦布告と受け取られるのは

もはや時間の問題だろう」

 

「魔王辞任だけで済む問題じゃないわね・・・・・」

 

「私たちが死んでも同じよ」

 

「ならば・・・・・やることはただ一つ。私たちも禍の団(カオス・ブリゲード)を殲滅する。

魔王の地位を捨て、テロリストを滅ぼすために身を投じる。それしかないだろう」

 

「・・・・・ええ、その通りね」

 

「なら、次代の魔王を決めないといけないわ」

 

「―――ここにいたか、魔王ども」

 

「「「「「っ!」」」」」

 

「悠璃と楼羅から話しを全て聞かせてもらった。次期人王を殺したのはそちら側の者だと」

 

「源氏殿・・・・・」

 

「テロリストの中に悪魔がいることは知っていた。それならまだましも、

ルシファーの者が誠と一香を操って次期人王を殺したとは・・・・・そちらの意思で

起こしたことであるのか?」

 

「ち、違います源氏殿。弟が独断で起こしたことのようです。

弟、リゼヴィムの姿はもう見当たらなくなっていて―――」

 

「言い訳に聞く耳は持たん。現魔王ルシファーの弟が、悪魔が次期人王を殺害したという決して

変えられない事実。お前は、お前たちは人間界の平和を脅かすようなことをしてしまったのだ。

悪魔を束ねる?悪魔を統べる王だと?―――笑わせてくれるわ!」

 

「「「「っ・・・・・」」」」

 

「全ての悪魔を束ねきれないからこのようなことが起きたのだ!

お前たちに魔王を名乗る資格など無い!」

 

「返す・・・・・言葉もございません・・・・・」

 

ルシファー・・・・・。

 

「・・・・・今回の件でお前たちとの和平の同盟を解消させてもらう。

三大勢力だけで和平を説けばよい」

 

「なっ・・・・・!?」

 

「悪魔は悪魔だ。我ら人間の敵だ。―――我が一族者を殺したその罪。

決して死んでも許しはしない」

 

踵を返して人混みの中へと姿を消す―――兵藤源氏。

 

「・・・・・わかって、おります」

 

「「「「・・・・・」」」」」

 

 

 

―――Heros.―――

 

「兵藤一誠が死んだか」

 

「世界中の神々が集まっている。まず間違いないよ」

 

「オーフィスはどうなっている?」

 

「彼と共に」

 

「無限が死んだか・・・・・」

 

「それで、これからどうするつもりなんだい?ルシファーの弟が

『真魔王派』に正式な形で君臨した。僕たちの相手は悪魔とドラゴンだったはずだ」

 

「そうだな・・・・・兵藤一誠の両親の実力も知れたが・・・・・。

俺たちでは敵いそうにもない感じだ」

 

「じゃあ、野放しするのか?」

 

「ああ、だが・・・いずれはルシファーの弟、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーを倒す。

あの男こそが悪魔の中の悪魔だと俺は断定する」

 

―――devil―――

 

「さぁーて、どんなマスコットができるのか、楽しみだぜぃ!」

 

「リゼヴィムさま。次の計画に移行したいのですが、よろしいですね?」

 

「おう、んじゃ、ドンドン力を集めて成功させちゃおうっか!」

 

「では―――参りましょう」

 

「うひゃひゃひゃっ!うーん、テロリストって自由気ままで動けれるから楽しいなぁっ!」

 

 


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