ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode7

 

 

「父さん・・・・・?母さん・・・・・?」

 

十年振りの再会・・・・・。でも、あそこにいるということは―――。

 

「ヴァーリの話しは本当になっちまったか・・・・・・っ!」

 

そう、父さんと母さんがテロリストだということ。その上―――、

 

「リゼヴィム、お前も『禍の団(カオス・ブリゲード)』ってことなんだな・・・・・」

 

「ユーグリットくんに誘われてねぇ―?今現在、『真魔王派』は僕ちゃんが仕切っている状態だ。

みーんな、俺たちの話を聞いて一部以外の奴以外は賛同してくれたぜぃ?」

 

「その一部とやらは誰なのか知りたいが・・・・・それよりも知りたいことがある」

 

アザゼルは俺たちと対峙する父さんと母さんに目を向ける。

 

「どうやってそいつらを甦らせた?殺させた本人がまた甦らすなんて生気の沙汰じゃねぇ」

 

「うひゃひゃひゃ、別に俺が甦らせたわけじゃないんだぜ?

ユーグリットくんが坊ちゃんのパパンとママンを甦らせたのさ!魔法の道具でね?」

 

「魔法の道具だと?生命を司る道具といやぁ、『神滅具(ロンギヌス)』以外なかったはずだ。

―――いや、待て。まさか・・・・・!?」

 

何かに察したのか、アザゼルが目を見開いた。しかし、それは否定された。

 

「いやいや、違うよん。アザゼルくん。確かに、聖杯の情報は得ているけど、

まだ、手にしちゃいねぇ。本当に魔法の道具で甦らせたのさ。ユーグリットくんはよ」

 

聖杯?何のことだ?訝しんでいるとあのヒトは言い続けた。

 

「坊ちゃんのパパンとママン。久々に会う自分の息子と話したらどうだい?」

 

『・・・・・っ!』

 

この場に緊張が走った。アザゼルと五大魔王、神と神王を相手に互角の戦いをした。

ここにいる全員が勝てるかどうか危うい。

 

「久し振りね、一誠。見ない間に随分と大きくなって・・・・・」

 

「―――っ!?」

 

母さんの声だ。聞き間違うはずがない・・・・・。

 

「イリナちゃんとヴァーリちゃん、それに和樹くんと悠璃ちゃんと楼羅ちゃんも。

立派に成長していたのね。私、嬉しいわ」

 

イリナたちにまで話しかける。話しかけられた本人たちは戸惑いの色を窺える。

本当に甦ったのか、判断ができないようだ。

 

「一誠、こっちに来て良く顔を見せて?」

 

「・・・・・っ!」

 

そう言われ、俺は戸惑った。相手は敵だ。でも、その相手が俺の両親だ。

死んだとはいえ、何も変わらない姿で俺の目の前にいる。

 

「どうした?一誠。お母さんが呼んでいるんだぞ?

何時も笑顔で駆け寄ってくるのに・・・・・もしや、反抗期か?」

 

「まあ・・・・・そうなの?あの可愛い私の子が親に反抗する時期になるなんて。

・・・・・私、悲しいわ!」

 

いや、反抗期もなにも、反抗する機会もなかったからな!?相手も相手だしできない!

 

「しょうがない。俺たちの方から近づこうか」

 

「それじゃ、誰が一番早く抱きしられるか競争しましょう?」

 

「いいのか?俺の方が速いぞ?」

 

「なに言っているの。愛の力で私が勝つわ!」

 

刹那―――。皆に囲まれているにも拘らず、

 

「はっ?」

 

俺は何時の間にか、皆から離れていた。―――両親に肩を掴まれている状態で。

皆の顔が呆然としている。あいつらでも見えなかった速度で連れ去られたのか俺は。

 

「ははっ、オーフィス。久し振りだな。元気にしていたか?」

 

「まさか、一誠と一緒にいるなんてね。物凄い偶然だわ」

 

「・・・・・」

 

俺の肩にいるオーフィスが無言で貫いた。

 

「・・・・・誠と一香?」

 

「おいおい、なに言っているんだ?」

 

「私たちのことを忘れちゃったの?

もう、長い間会っていないからしょうがないかもしれないわねぇ」

 

苦笑を浮かべるお母さん。二人から感じる温もりは・・・・・本物だった。

 

「本当に・・・・・甦ったの?」

 

「当然だ。ユーグリットくんのおかげでな」

 

「だからこうしてこうやっているのよ?」

 

俺を抱きしめる。でも、それなら・・・・・。

 

「どうして二人はあのヒトに殺されたにも拘わらず、一緒にいるんだよ。

どうして、すぐに会いに来てくれなかったんだよ?」

 

疑問をぶつけた。どう答える。二人とも―――。

 

「―――どうしてって、俺たちはリゼヴィムさまに従っているしな?」

 

「それに異世界に行けれるのよ?行きたいじゃない」

 

「―――――っ!?」

 

その答えを聞いた瞬間に。俺は二人から遠ざかった。

 

「俺の知っている父さんと母さんじゃない!」

 

二人に向かって告げた。有り得ない。絶対にそうだ。

だって、二人が俺より大事なものはないって何時も言っていた!

なのに、あんな返事をするなんて・・・・・!

 

「おやおや?自分の肉親にそんなこと言っちゃダメじゃないか坊ちゃん」

 

「お前は黙っていろ!」

 

「はい!ごめんなさい!」

 

激怒すれば、あのヒトはユーグリット・ルキフグスの影に隠れた。

 

「一誠、俺たちは俺たちだぞ?」

 

「だったら、今すぐヴァーリのお爺さんを倒してよ!父さんと母さんを殺させた元凶だぞ!」

 

「それはできないわよ。だって、私たちの主だもの」

 

主!?二人が持っていた異世界の宝石を殺して奪ったあの悪魔に主と言うのかよ!?

やっぱり、この人たちは違う!

 

「俺は・・・・・俺はバカだよ。

復讐する相手が違うのに、何にも気付かないで今の今まで生きていたんだからな・・・・・」

 

「一誠、復讐なんて虚しいだけよ」

 

・・・・・ああ、そうだろうな。それに皮肉にも、

あのヒトのおかげでヴァンたちじゃないってことがハッキリした。

 

「・・・・・今さら、復讐の対象者を変えてまた復讐なんて馬鹿げているよな・・・・・」

 

「うんうん、そうだぞ」

 

「だけど・・・・・復讐よりやりたいことができたよ」

 

ヴァーリの祖父に睨んだ。

 

「俺たちを歪ませた元凶を・・・・・俺の手で倒して終止符を打つ!

復讐じゃない。これは―――粛清だ!」

 

ドンッ!と俺は全身から闘気を迸らせた。

 

「オーフィス。お前も狙われているけど。一緒に戦ってくれるか」

 

「ん、我はイッセーを守る。誠と一香、目を覚まさせる」

 

オーフィスからも無限の魔力を体から放出し始めた。

そして―――俺とオーフィスは光に包まれた。

 

「我、無限を司る龍神なり」

 

「我、無限を司る龍神に認められし者」

 

「我は無限の力を認めし者のために振るい」

 

「我は愛しい者たちのために力を振るい」

 

「我らは共に一つとなりて―――」

 

「我らの敵を嗤い、我らの敵を憂い」

 

「「汝らを無限に葬り去ろう!」」

 

インフィニティ・ジャガーノート・ドラゴン・ドライブ!

 

互いに呪文を言い合い、オーフィスの力を鎧に具現化して装着した。

 

「こいつが俺のもう一つの鎧だ!」

 

龍を模した全身鎧が常闇と思わせるほど真っ暗。宝玉も真っ黒で翼も尾も黒い。

 

「・・・・・オーフィスの力を鎧に具現化にするなんてな・・・・・」

 

「本当に、立派に成長したのね。嬉しいわ一誠」

 

父さんと母さんが笑う。例え、この鎧を着込んでも

俺の実力じゃ二人に勝てるとは思えない。だけど、

 

「俺は一人じゃない」

 

そう、皆がいる。俺は皆が見ている限り―――。

 

「全然、負ける気はしない!」

 

―――リアスside―――

 

一誠が実の両親と戦い始めた。その拳の勢いに揺るぎがない。

本当に倒そうとしているのが分かる。

 

「お前ら、手を出すなよ。今のあいつに援護をしたら邪魔になるだけだ」

 

「じゃあ、俺たちは何もしないでいろって言うんですか?」

 

「あの二人が全然本気も出しちゃいねぇんだ。ヴァーリでも俺でも勝てやしねぇ」

 

本気も出していないって・・・・・そんな、絶望的じゃない!

 

「それにあの野郎の背後にいる存在が厄介だ」

 

「・・・・・・先生、なんですか、あれ・・・・・。俺でもヤバいって見ただけでも

分かるんですけど」

 

赤龍帝のイッセーがアザゼルに質問した。

 

「アダムとイヴの話を知っているか?」

 

「え、ええ。それぐらいは」

 

その答えにアザゼルが説明する。

 

「蛇に化け、エデンの園にいた始まりの男女―――アダムとイヴに知恵の実を食べさせるように

仕向けたのがあれだ。それが『聖書に記されし神』の怒りを触れて神は極度の蛇―――ドラゴン

嫌いになった。教会の書物の数々でドラゴンが悪として描かれた由縁だよ。奴はドラゴンを

憎悪した神の悪意、毒、呪いというものをその身に全て受け止めた存在だ。神聖であるはずの

神の悪意は本来あり得ない。ゆえにそれだけの猛毒。ドラゴン以外にも影響が出る上、

ドラゴンを絶滅しかねない理由から、コキュートスの深奥に封じられていたハズだ。

あいつにかけられた神の呪いは究極の龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)

それだけにこいつの存在自体が凶悪な龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)なんだよ・・・・・ッ!」

 

『っ!?』

 

「―――曰く、『神の毒』。―――曰く、『神の悪意』。エデンにいたものに知恵の実を食わせた

禁忌の存在。聖書の神の呪いが未だ渦巻く原初の罪―――。『龍喰者(ドラゴン・イーター)』、サマエル。

蛇とドラゴンを嫌った神の呪いを一身に受けた天使であり、ドラゴンだ。

そう、存在を抹消されたドラゴン―――」

 

そんな・・・・・それじゃ、イッセーでもただでは済まないわ!?いえ、勝ち目なんてない!

 

「―――そう、本来ならば俺たちがアレを召喚するはずだった」

 

背後から曹操が声を掛けてきた。

 

「まいったな。これじゃ、作戦もなにもなくなった。撤退せざるしかないじゃないか」

 

「そう易々と撤退させるとでも思ったか?」

 

「サマエルをどうにかしたいならば、ユーグリット・ルキフグスをどうにかしないとだめだぞ?まあ、難しいことだろうがな」

 

曹操たちの足元に霧が発生した。

 

「そうそう、俺たちがいなくなることでこのフィールドは崩壊する。

キミたちも早く離れた方が良い」

 

『なっ!?』

 

ちょっと待ちなさい!いま、そんなことされたらサマエルがどうなるのか

知れたもんじゃないわ!

何人かが曹操たちを捕まえようとするものの、霧が完全に曹操たちを包んで姿を消した。

―――その直後。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 

この空間自体が揺らぎ始めた!良く見れば、空に断裂が生まれ、

学校などのた建造物も崩壊していく!

 

「ヤバい・・・・・本当に崩壊している!式森、お前の転移魔法で現実世界に戻るぞ!」

 

「ですが、一誠は!」

 

そうだ、彼を残して帰れない。それはここにいる全員がそう思っている。のに――、

 

「―――お前ら、先に戻れ!」

 

イッセーから声を掛けてきた。な、なんですって!?

 

「イッセー!?」

 

「俺なら大丈夫だ!次元の狭間に落ちても活動ができる!」

 

ドオオオオオオオオオオン!ドオオオオオオオオオオオオオオオォォン!

 

激しい攻防が繰り広げられる光景。リゼヴィムがいまだにサマエルを使役しないのは

不気味だけれど、イッセーの両親を倒さない限り、彼に近づくことが難しいかもしれない。

 

「和樹!行け!」

 

「一誠・・・・・!」

 

苦渋に満ちた表情をした和樹。足元に転移式の魔方陣を展開した。

 

「イッセー!戻ったら龍門(ドラゴン・ゲート)でお前を召喚する!それでいいな!?」

 

「ああ、分かった!」

 

アザゼルの問いに一誠は叫んで肯定した。私たちの足元に輝く光がより一層に増す。

 

「―――えー?帰っちゃうの?」

 

リゼヴィムが嫌な笑みを浮かべる。アザゼルが言う。

 

「てめぇのことはルシファーたちに報告する」

 

「うひゃひゃひゃ!別に良いぜ?未練も後悔もないしねぇー?」

 

「・・・・・いつか絶対に捕まえてやる」

 

「そぉ?じゃあ、―――こうしてやるよ」

 

指をパチンと弾いたリゼヴィム。それに呼応して―――。

 

「了解だ。リゼヴィムさま」

 

『っ!?』

 

何時の間にか私たちの目の前にイッセーの父親が移動していた!不味い、次の動きが―――!

 

「誠さま・・・・・っ!」

 

「リーラ、今までご苦労だった。もう、休んでいいぞ」

 

手に持っていた禍々しい剣を彼は、一誠のメイドであるリーラに突き付ける!

 

「さようならだ」

 

「―――っ!」

 

刹那―――。

 

「リーラァッ!」

 

―――ドッ!

 

リーラに刺さるはずの剣が彼女の鼻先で止まった。

 

『―――――っ!?』

 

一瞬、時が停まったかのように思えた。

私も含め、皆がリーラが殺されてしまうと思って体を硬直してしまった。

でも、そんな彼女を守った―――一誠がリーラを庇うように彼女の前に立っていた。

 


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