ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode9

 

 

榊原小雪に疑似空間に召喚されて翌日。俺は今、清楚のギルドの家に昨日の内にクエストで

入手したベッドから起き上がることができないでいた。

 

「ふにゅぅ・・・・・」

 

「「・・・・・」」

 

「ル、ルイズ姉ぇ・・・・・爆発は・・・・・!」

 

何故か、小雪と清楚、カリン、イリナにしがみ付かれていたからだ。ていうか、カリンよ。

お前は何の夢を見ている?

 

「よいしょっと」

 

半ば強引に体を起こした。それでも、俺の首に腕を回してしがみ付いている小雪は夢の中だった。

 

「ん・・・・・」

 

だが、清楚が目を覚ました。ゆっくりと体を起こして寝ぼけ眼で俺を見詰めた。

 

「おはよう」

 

「おはよぉ・・・・・」

 

「珍しいな。添い寝なんて」

 

そう言うと、清楚は眠気がまだ覚めないのか、ボーとしたまま俺に寄り掛かった。

 

「だってぇ・・・・・こんなこと、このゲームの中でしかできないし現実じゃガイアさんや

オーフィスさんがいっつも一誠くんと寝ているんだよ?私だって一誠くんと一緒に寝たいもん」

 

「・・・・もしかして、カリンやイリナもそうなのか?」

 

「・・・・・え?」

 

そこで、清楚が目を開けた。自分以外にもいるのかと俺から視線を外して辺りを見渡した。

 

「あれ・・・・・何時の間に?」

 

「俺が起き上がったことからいた。もしかしたら、清楚が寝ている間に来ていたのかもな」

 

「・・・・・そっか。でも、一誠くんと寝れたから良いや」

 

「これから一週間は清楚と寝れるな」

 

そう言うと清楚が朗らかに笑みを浮かべた。幸せそうな笑みだな。

 

「うん、私にとって幸せな一週間が過ごせれるんだね」

 

「そうだな。その通りだ」

 

徐に俺は清楚に顔を近づけて、彼女の額に唇を押し付けた。

 

「むぅ・・・」

 

「何故に不満な顔をする?」

 

「キス、するならこっちでしょう?」

 

そう言って今度は清楚が顔を近づけて、俺の唇に自分の唇を押し付けてきた。

ディープじゃなく、ソフトなキスだった。

 

「えへへ・・・・・おはようのキス・・・・・なんか、いいね♪」

 

「新鮮さを感じる」

 

「じゃあ・・・・・今度は深い方、してみる?」

 

唐突に恍惚な表情になった彼女は、ゆっくりと俺に顔を近づけた―――。

 

「―――そこまでだ」

 

俺と清楚の間に枕で遮られた。横を見れば・・・・・カリンが起きていた。

 

「ひ、ひひひ人が寝ている間にキスなんて・・・・・っ!清楚、破廉恥過ぎるぞ!」

 

「・・・・・カリンちゃん、一誠くんと一緒に寝ている時点で説得力はないよ?」

 

「―――っ!?」

 

図星を突かれて、返す言葉が見つからないでいるカリンであった。

清楚は俺から離れて、カリンに顔を寄せる。

 

「ねぇ、カリンちゃん。私は知っているんだよ?」

 

「な、ななななにを・・・・・!?」

 

「カリンちゃんの部屋に一誠くんの―――」

 

「うわああああああああああああああああ!?」

 

なんだ・・・・・?カリンの部屋に俺の何があるんだ?

ちょっと気になる発言をした清楚の口を両手で塞いだカリンの顔は真っ赤に染まっていた。

常にポニーテールに結んだ髪が寝間着姿のカリンの腰まで伸びていて、

彼女の姿も新鮮さを覚える。

 

「うーん・・・・・なんなのぉ・・・・・?」

 

「うるさいなぁ・・・・・」

 

と―――、二人も起きたか。

 

「おはよう。俺を抱き枕にして良く寝れたか?」

 

「―――――っ」

 

「うん、気持ち良く寝れたよー」

 

イリナが顔を真っ赤にして、小雪は満面の笑みを浮かべた。

 

「イリナ、一緒に寝たいなら一言言ってくれ。幼馴染が俺の傍で寝ていたなんて驚いたぞ」

 

「・・・それって、言えば一緒に寝ても良いってこと?」

 

「断わる理由もないが?」

 

「・・・・・うん、分かった」

 

「他の皆もな。俺が寝る前に言ってくれ」

 

三人にも言うとコクリと頷いた。さて、今日もクエストを頑張ってもらおうか。

 

―――ギルド会館―――

 

朝食を食べ終えた俺たちは、ギルド会館の受付前に集合していた。

目の前のNPC(ノンプレイヤーキャラクター)からクエストを受けるためじゃない。

その場で集合していただけだ。

 

「一誠さん、私たちの他にクエストを受けてクリアしているチームもいるはずですが、

そのクリアしたクエストの情報をどうすれば分かるのですか?」

 

「ガイドブックで『クエスト覧』を押せばすぐに分かる。

赤く光っているならそれはクリアしているクエスト、点滅している光があればクエストを

受けているチームがいる。特に変化がなければ、誰もクエストを受理していない。

ああ、クリアしたクエストは何度もできるからな」

 

「・・・・・なるほど、分かりました。ありがとうございます」

 

「ざっと数えて・・・・・数十のクエストが赤く光っているぜ。

これがクエストをクリアしたってことか」

 

「でも、まだまだ多いですね」

 

皆が中に展開しているだろう『クエスト覧』を見て、雑談する。

 

「清楚さん。今日はどんなクエストをしますか?」

 

「うーんとね・・・・・」

 

と、そんな時だった。最初にするクエストを何にするか悩んだ清楚に声を掛ける人物がいた。

 

「清楚。おはよう」

 

「あっ、リアス先輩」

 

「・・・・・って、あなた・・・・・」

 

リアス・グレモリーそのヒトだった。俺の存在に気付いて目を丸くした―――。

 

「なぜ学校を休んだあなたがここにいるの?」

 

「小雪に召喚されたんだよ・・・・・」

 

「榊原さんに?」

 

「うん、僕が召喚したんだよー」

 

ニンマリと笑みを浮かべて俺の背後から抱きついてくる小雪に、

「なるほどね」と何故かリアス・グレモリーが納得した。

 

「私もそんな願いにすれば良かったかもしれないわね・・・・・」

 

「おい、俺は使い魔じゃない」

 

「・・・・・いいわね、イッセーが使い魔なんて」

 

本気か!?いや、こいつは真剣(マジ)でしそうだ!だって、目を怪しく煌めかしたんだから!

 

「えっと、先輩。このゲームにそんなシステムが無いのでできませんよ?」

 

「えっ?そうなの?」

 

「はい。ところで先輩は一人なんですか?他のチームメンバーは?」

 

そう、リアス・グレモリーは一人でギルド会館のホールにいる。どうしたんだ?

 

「仲間は部屋の中にいるわ。これからの計画を立ててね。私はあなたたちに用があったの。

これからどうするのか、尋ねたいの」

 

「私たちもどうしようか考えていたところですよ」

 

「そうなの?」

 

「千もクエストがあるので候。だから、最初はどこからしていこうか悩んでいたで候」

 

矢場先輩がそう言うと、顎に手をやって悩むリアス・グレモリー。内心溜息を吐き、

俺はフォローする。

 

「だったら、集団戦闘クエストをしたらどうだ」

 

『集団戦闘クエスト?』

 

異口同音、声を揃えて俺の言葉に反応する面々だった。首を縦に振って肯定と頷き、

宙にスライドしてとある立体映像の表示画面を展開した。

 

「ここだけの話しだ。空・海・地で大型モンスターと戦うクエストがある。

一つのチーム、またはギルドでは勝てない狩りのクエストが存在する。

このクエストは時間制で時間内にクエストを受理しないと、二日後にならないと受けれないんだ」

 

「そんなクエストがあったんですね・・・・・」

 

「ちょっと待って、どうしてイッセーがそんな事を知っているの?昨日いなかったのに・・・」

 

リアス・グレモリーの指摘に思わず沈黙してしまった。そんな俺に和樹が言う。

 

「今回のこのゲームを企画したのは一誠なんですよ先輩」

 

「・・・・・えっ!?」

 

―――○●○―――

 

―――燕side―――

 

はい、初めまして私は松永燕です!現在、一誠くんに教えてもらったクエストを受けて

私たちはいま―――地の集団戦闘クエスト、北の地域に存在する砂漠にいます。

 

ザザザザザザザザザザザッ!

 

しかも、木造の船に乗っていどうしているんだよん!

いやー、凄いねぇー、まるで海にいるかのように船が風に乗って進んでいるんだよ?

現実世界だってできるかどうかわからないのに、流石はゲームの世界!

しかも、船には砲弾やバリスタまで設置してあるんだけど・・・・・どれだけ一チームじゃ

勝てないモンスターが現れるのか、ちょっぴりワクワクしています。

 

「・・・・・そう、そう言う事だったのね。彼らしいというかなんというか・・・・・」

 

「杉並の主にも伝えた方が」

 

「ええ、そうするわ。彼女と出会ったら必ず」

 

あっちはあっちで何か話しこんでいるけど大方、一誠くんことだかもね。

 

「しっかし、どこ見ても砂漠・・・・・見飽きたし、海の方がいいぞ」

 

「砂が掛かってしょうがないで候・・・・・」

 

百代ちゃんやユミちゃんがちょっと不満そうに呟いた。まあ、分からなくはないけど―――。

 

「ハンターの皆さん!今日はよろしく頼むよぉ!」

 

私たちに話しかけるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)

・・・・・でも、なんでだろうか・・・・・あのヒト、私のおとんとそっくりなんだけど・・・。

着てる服が違うだけで・・・・・。

 

「ねぇ、百代ちゃん。あのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)から、気を感じない?」

 

「いや、感じないが?それがどうかしたのか?」

 

感じないならあのヒトは本物じゃないってことね。

もし本物だったら問い詰めているところだったよん。

 

「それにしても・・・・・未だにモンスターが出ないねぇー」

 

「ああ、実際どんなモンスターなのか一誠は教えてくれなかったし」

 

「『教えたらつまらないだろう』と言って彼はどこかに言ってしまったで候」

 

しかも、自分は『ゲームマスターとしてチームには入れない』と言っていた。

本当、今回の主役は私たち川神と駒王学園の全校生徒なのね?

一誠くんは多分そう言いたいんだと―――。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・ッ!

 

不意に砂漠の海を進んでいた船から振動が伝わってきた。地震・・・・・?

 

「来たなッ!?ハンターの皆さん!何とか迎撃して追っ払ってください!」

 

NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の言葉で場に緊張が走った。

いよいよモンスターのお出ましってことですか!

 

「ははは、楽しみだなー!アジ・ダハーカみたいなモンスターだったらいいな!」

 

「油断せずに行くで候」

 

「うん、一誠くんが教えてくれたクエストだもん。絶対に簡単じゃクリアできないよ」

 

そう思って私は拳を構えた。さぁ、ドンときなさい!

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

そう思った直後だった。私の目の前に影が生まれた。―――私だけじゃない。

この船全体に影に覆われた。その影を生んでいる原因は―――!

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

巨大なモンスターの体!全長百メートルはあろうかと思しき巨躯のモンスターが咆哮と共に

砂漠の砂から突然飛び出してきたんだよん!

 

『デ、デッケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッッッ!?』

 

影の正体が巨大なモンスターだと知り皆が叫んだのを余所に、

体をねじらせながら船の反対側へとモンスターはまるで海のように潜った!

 

「・・・・・流石の私も言葉を失ったぞ」

 

「・・・・・うん、私も」

 

百代ちゃんに同意する。確かに・・・・・あんなモンスターは私たちだけじゃ

倒せないのも頷ける。だから集団戦闘クエストなんだね、一誠くん。

 

「ハンターの皆さん!奴を追っ払ってくれ!」

 

あ、あれを追っ払うのね・・・・・骨が砕け散っちゃいそうだよん・・・・・・。

 

―――一誠side―――

 

皆があのクエストに行った頃、俺はゲームマスターとして変装した状態で町中を歩いている。

 

「杉並。そっちはどうだ?」

 

『特に問題ない。現在正常に進行している』

 

特殊な通信で現実世界にいる杉並と連絡し合う。

 

『リアス・グレモリーたちは現在、モンスターと戦闘中だ。苦戦を強いられているがな』

 

「そうか、少し失敗だったかもな。あの装備じゃあとてもキツイだろう」

 

『だから援軍を送ったのだろう?』

 

まあな。ちょうど見掛けたし、ゲームマスターとしてちょっとぐらい手助けても問題ないだろう。

 

『・・・・・』

 

不意に杉並が沈黙した。どうしたんだ?

 

『緊急事態が発生した。―――そっちに侵入した集団がいる』

 

―――――っ!?

 

やはり、来たか・・・・・!場所を杉並から聞いて、すぐさまそのその場所へと赴いた。

まったく、今時になってまで襲撃してくるなんて面倒くさい奴らだ!

 

『どうする?あのシステムはいつでも起動できるぞ』

 

「俺が合図を出す。それまで待ってくれ」

 

『了解した。そのまま真っ直ぐ行けば侵入者と出会うぞ』

 

ああ、久しく感じる気だ。町を囲む外壁に向かって駆け走る。

そのまま壁に穴を広げて潜って掛け続ければ、町の外に出た。

 

ザザッ!

 

足を止めて目の前を睨んだ。―――どいつもこいつも同じ服を身に包んだ招かざる客が勢揃いだ。

 

「よぉー、夏休み以来だが、この疑似空間に侵入して何を企んでいる?」

 

目の前に佇む集団の一人に問うた。その人物は槍の柄を肩にトントンと叩いて、口を開いた。

 

「なに、キミが何やら企んでいると情報を聞いてね。

何をしているのかとテロリストらしく乱入した訳だ」

 

「なるほど・・・でも、お前が思っているようなことを俺はしていないぞ。

俺はいま、あいつらにゲームを体験させているところだからな」

 

「ゲーム?」

 

「ちょっとした体感ゲームって奴さ。分かったなら大人しく帰ってくれるか?」

 

と、心から願っていることを述べた。対してあいつ―――曹操は槍を俺に突き付けた。

 

「悪いが、俺たちは川神の学生に用があるんだ」

 

「・・・・・どういうことだ?」

 

「俺たち英雄の子孫と末裔、魂を受け継いだ存在と昔存在していた武家の末裔や子孫たちと

戦ってみたいんだ。どちらが上なのか、知りたくなってね」

 

あー、そういうことかよ。・・・・・なんとまぁ、単純なことだ。

 

「気持ちは分からなくはない。でも―――俺がそれを見逃すとでも?」

 

「思わないさ。だから―――こっちも兵藤一誠に対抗するために用意した」

 

曹操は俺から視線を外して、背後に顔を向けた。

―――その時、集団の名から出てくる数人の人物の内の一人に思わず目を見開いた。

 

「なんで・・・・・アンタがそこにいる」

 

「・・・・・」

 

その人物は―――龍牙の剣術の師匠の・・・・・烏間翔、そのヒトだった。

 

「彼ら―――『九十九屋』は金を払えばどんな仕事でも引き受けてくれるそうじゃないか。

俺たちも彼らを雇ってみたんだ。そう、キミを・・・・・兵藤一誠を倒してもらうために」

 

―――っ!?マジかよ・・・・・龍牙の家族と戦わないといけないなんて・・・・・っ!

 

「これも仕事だ。兵藤一誠、若の友人であるが依頼を受けたからには

仕事を務めないといけない。―――恨むなよ?」

 

烏間翔がそう言う・・・・・はぁ・・・・・残念だ。

 

「・・・・・」

 

徐に腕を上げた。

 

「―――やれ、杉並」

 

「・・・・・なにを?」

 

怪訝に曹操が問いかけてくる。が―――、あいつらの足元に魔方陣が展開した。

 

「俺が何もしていないと思ったら大間違いだ」

 

「―――っ!」

 

「お前らは特別な異空間に転送される。精々、気をしっかり持てよ?」

 

くくく、と意地の悪い笑みを浮かべる最中・・・・・一人の女性が動きだした。

 

「やれやれ・・・・・」

 

呆れ顔になった彼女は―――金色の九本の狐の尾を生やしたかと思えば、

足元に展開していた魔方陣はガラスが砕け散ったかのように消失した。

 

「・・・・・なんだと」

 

「―――我が九尾の恥さらしが憑いた人間の実力はこんなものか?」

 

九尾の恥さらし?憑いた人間?―――まさか、羽衣狐のことを言っているのか?

 

『兵藤一誠。大丈夫か?』

 

「(・・・・・かなりヤバいかも。杉並、町の方に結界を張ってくれ)」

 

『了解した。無茶はするなよ。こちらも援軍を出す』

 

杉並の言葉に「分かった」と頷く。尻目で背後を見れば金色の結界が町を覆い始めた。

 

「烏間さん。退いてくれないのか?正直、龍牙の家族とは戦いたくないんだが」

 

「悪いが仕事だ。身内のことで情を掛けることは一切ない」

 

「・・・・・そうか」

 

―――バサッ!

 

「なら、アンタを敵と見做すしかないんだな」

 

天使化になって戦闘態勢になる。曹操たちも攻撃態勢に入った。

 

「ああ、それでいい。お前とは一度、勝負をしてみたかった」

 

小太刀を手にして構える烏間翔。だが、あいつよりも九尾の女性が厄介かもしれない。

何かしらの力で魔方陣を消したんだ。能力を無効化できるのかもしれない。―――要注意だ。

 

―――龍牙side―――

 

ドォンッ!ドォンッ!ドォンッ!

 

「ドンドン大砲を撃ち続けろぉっ!」

 

「くそっ、こんなんであんなデカイモンスターを撃退できるのか!?」

 

「―――ヤバい!こっちに突っ込んでくるぞ!退避ぃっ!」

 

ドッオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

はい、僕こと神城龍牙は巨大なモンスターと戦闘中です。

未だに一誠さんから教えてくれたクエストが終えそうにもありません。

なんたって、相手は鯨のようなフォルムのモンスターで背中から複数の岩を放ってきたり、

体を接触して船を壊そうとしてくるんです。

 

「今よ!あのモンスターに乗り移って攻撃をしなさい!」

 

『はいっ!』

 

勇ましく、グレモリー眷属の皆が船の横にピッタリ泳ぐモンスターの体に乗り始めると、

背中に登って打撃や斬撃、魔法の力で奮闘する。勿論、僕たちも何もしないわけじゃない。

グレモリー眷属のように、モンスターの背に上がって、各々と攻撃をし続ける。

船に視線を向ければ、砲弾を撃ち続ける仲間たちの姿。

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

巨大なモンスターが咆哮を上げて、体を弓のように逸らした!

その結果、僕たちは砂漠に放り出されてしまった!―――でも、何時の間にかロープが船と

繋がっていて、僕たちは何とかロープで掴みながら進んで何とか船内へ帰還した。

 

「ぜぇ・・・・・ぜぇ・・・・・マジ・・・・・あのモンスター強過ぎだろ」

 

「・・・・・全身砂だらけです」

 

「あはは、そうだね」

 

でも、歯応えは十分あって楽しいのは確かです。一方的な狩りじゃなく、

自分にも攻撃されるのですから命の奪い合いをしていて油断ができません。

 

「そんじゃ、もう一回行くとしようか」

 

「うん、部長を待たせたら大変だしね」

 

グレモリー眷属は甲板に上がる階段へと足を運んだ。僕もそうしようとしたら―――。

 

ピピッ!ピピッ!

 

目の前に着信音の画面が表示した。誰だろう?そう思いながらも通信を入れた。

えっと、耳を抑えて会話をするんでしたっけ。

 

「はい?」

 

『やあ、ゲームマスターの杉並だ』

 

「杉並さん?どうして僕に連絡を?」

 

一誠さんと一緒にこのゲームを企画した一人がどうして直接僕に連絡なんて・・・・・?

 

『キミ自身の情報と家族構成、それと『九十九屋』に関する情報を俺の手元にあってね。

それに関する事でキミに伝えておきたいことが起きてしまった』

 

・・・・・兄の仕事を知っているなんて、流石と言うべきかやっぱりと言うべきか・・・・・。

 

『―――今現在、キミの兄の同業者が同士である兵藤一誠に襲撃している』

 

「・・・・・なんですって?」

 

『どうやら、「禍の団(カオス・ブリゲード)」に雇われたようで、兵藤一誠を倒そうとしている。

しかも九龍(クーロン)の秘書官もいる』

 

―――あのヒトまでですかっ!?だとしたら、かなりヤバい状況になっているはずです!

 

『まだ、そちらはクエストを終えなさそうだな』

 

「ええ、ですがそんなことより彼は大丈夫なんですか?」

 

『・・・・・数の暴力に押されているとはいえ、何とか耐えている』

 

彼女の能力は一誠さんと同様厄介です。

それぐらい持ち堪えているなら本当に耐えているんでしょう。

 

『取り敢えず、そのことだけ伝えた。早く同士を助けたくばクエストをクリアし、

東の方向に進んで壁を乗り越えろ』

 

それだけ言い残して杉並さんとの通話は終了した。

 

「兄さん・・・・・あなたはどうして・・・・・っ!」

 

いま、何もできない自分に歯痒い思いをする。一誠さん、もう少しだけ待っていてください。

いま、そちらに何とか向かいますから!

 


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