ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode4

 

 

 

俺たちの放送から早くも数日が経過した。あの放送をしてからというものの・・・・・。

 

「おい、女誑しが来たぞ」

 

「『神にも魔王にも人王にも凡人にもなれる男』が女誑しだとはな・・・・・」

 

「この先の世界がどうなっちまうんだろうなぁ?」

 

半分だけ良くなり、半分だけ最悪となった。半分は少しながらも駒王学園の生徒と会話するように

なっているがその反面、俺に対する感情があまりにも良好とはいえない。

しかも、俺と同じ駒王学園の生徒にまでその感情、気持ちだ。

 

「・・・・・なぜこうなった」

 

「・・・・・ごめん、慰める言葉が見つからない」

 

「いや・・・・・傍から見れば俺はそんな奴だろうと思うさ。自覚はしている」

 

苦笑混じりに和樹と喋る。

 

「でも、一誠くんのことを知らないであんまり悪いことを言われると物凄く嫌な気持ちになる」

 

「そうよ!ヤハウェさまに天罰を与えてもらいたいわ!」

 

イリナ・・・流石にそれはダメだぞ。

 

「ありがとうな」

 

「うん、私たちは一誠くんの味方だからね」

 

柔和に笑む彼女に俺は救われた気分がする。

 

「―――やっほー!」

 

その時だった。またしても白い弾丸が―――!

 

「二度も効かん!」

 

青白い翼を展開してその弾丸を受け止めた。

 

「・・・・・翼?」

 

疑問を浮かべる白い弾丸こと榊原小雪。翼から離れ、改めて視線を向けてきた。

 

「言っただろう。抱きついてくるなら頭からじゃないって」

 

バサッと翼を背中に仕舞って榊原小雪に言う。

 

「一誠も神器(セイクリッド・ギア)の所有者だったねー」

 

「・・・も?」

 

「うん、僕も神器(セイクリッド・ギア)を持っているんだよー」

 

ほら、と可愛く俺に見せてくれた力。彼女の手から冷気が漂っている。

 

「雪・・・・・?」

 

「そーだよー♪」

 

・・・・・なるほど、彼女にピッタリな能力かもな。

 

「お?なーに話しているんだお二人さん」

 

「おはようございます」

 

井上準と葵冬馬が現れる。俺も挨拶を返して教室の中へ入る。

 

「なあ、一誠の町ってどんな感じなんだ?」

 

「光陽町のことか?まあ、何時も賑やかで人が溢れているし、家族連れも多いぞ」

 

「その中に悪魔とか天使とか堕天使とか混じっているんだよな?」

 

「見た目は俺たちと変わらない姿でいるから、ただの人間じゃ見分けつかない。

その点で言えば人間と混じりやすい。デイジーだって天使、神族だぞ?」

 

「ああ、シアたちもそうなんだよな。

いやー、初めて異種族と対面したけど俺たち人間とほぼ変わらないんだな。

悪魔の場合はなんつーか、こう・・・頭に角を生やしているのかと思っていたぞ」

 

それはいくらなんでも幻想的じゃないか・・・・・?

 

「一誠、お昼一緒に食べよー?」

 

「ん?別に良いけど・・・・・ここじゃ、狭過ぎるな」

 

「では、屋上に行きましょう。あそこなら広くて良いですよ?」

 

「だな、そうしようぜ」

 

「ウェーイ♪」

 

とんとん拍子で昼食の件は決まった。屋上か、ここでも食えたんだな。

 

「じゃあ、他の奴らも呼ばせてもらうけどいいな?その中にシアたちがいるからいいだろう?」

 

「おっ、そうなんだ?いいぜ」

 

最近、あいつらと食っていないしそろそろ一緒に食べたい。葵冬馬が時刻表に視線を向けた。

 

「・・・一誠くんたちのクラスの授業の予定・・・四限は体育ですか」

 

「それがどうかしたか?」

 

「いえ、私たちもあの時間帯は体育なのでどうなるのかと思いまして」

 

「合同でやるんじゃないか?」

 

「うわー、波乱の予感が感じるぜ」

 

・・・・・否定できない自分がいる・・・・・。

 

「まあ、もしも敵対するような授業だったら手加減よろしく」

 

「あれ、そこは『正々堂々よろしくな』―――ってそんな感じじゃないのか?」

 

「いや、お前の強さは次期人王決定戦で見てたし、俺たちより強いだろ」

 

そりゃ、そうだけどさ。そこは嘘でも言って欲しかったかも。

 

―――数時間後―――

 

体育館に俺たち駒王と川神の二年S組は対峙していた。体育の授業の内容はバスケットだ。

お互い数名の代表選手(男子)と勝負を競い合う形だ。

 

『・・・・・』

 

だが、川神側の二年S組の男子生徒たちからは―――まったくやる気力が感じない!

 

「では、これより試合を始めるネ」

 

緑のジャージ姿の・・・・・中国人?体育教師が俺たちの中央に立って試合の合図を構える。

 

「それでハ―――始メ!」

 

最初は俺たちが先攻。クラスメートにボールを渡せば、

相手ゴールへとボールをバウンドさせながら進んでいく。・・・・・だが、

 

『・・・・・』

 

川神側の奴らが俺たちを妨害するどころか、身動きもしない。

その間に、クラスメートが難なくボールをゴールの中へと入れた。

 

「・・・・・こんなお遊びに勝っても―――って感じだな」

 

「うん、そんな感じだろうね」

 

「キミたち。どうして動こうとしないんダ。ちゃんと授業を、

体育をして相手と切磋琢磨をしなきゃダメじゃないカ」

 

体育教師が窘める。対してあいつらは―――。

 

「俺たちより強い奴と戦っても勝てるわけがない」

 

―――初めから弱気というか、勝つ気さえもなかったのか。

そんな意見を言う奴らに流石の俺たちも溜息を吐いて授業をする気力もなくなる。

 

「キミたち。最初からやる気がないというのかイ」

 

「だって先生。相手は次期人王決定戦で優勝した『女誑し』なんですよ?

一般人の俺たちに勝ち目なんてないですって」

 

「そうそう、やるだけ無駄、体力の無駄」

 

「だよなー」

 

『・・・・・』

 

川神側の二年S組の態度に心底呆れた。

 

「―――一誠くん、皆」

 

不意に、見学していた女子陣、清楚が声を掛けてきた。

 

「教室に戻りましょ?相手がやる気ないらな授業なんてままならないし」

 

「ちょっとキミ!?」

 

「先生、身勝手な言動をお許しください。でも、流石にこれはあんまりだと思います」

 

体育教師にお辞儀をすれば、清楚が筆頭に見学していたクラスメートたちが各々と

体育館から出ていく。俺たちも顔を見合わせて彼女についていく。

―――背後で教師が何を言おうが耳を傾けず。

 

―――昼休み―――

 

「あー、すまんな。ウチのクラスがあんなんでよ」

 

「別に、お前らが謝るようなことじゃないから気にするなよ」

 

昼休みになるや否や、葵冬馬たちが謝罪をしてきた。

 

「だけど、流石にあんな態度で接せられると、こっちの気分がね・・・・・」

 

「ああ、仲良くなろうとしているこっちが怒りを感じてしまう」

 

珍しくゼノヴィアが苛立ちしていた。目を細めて声音を低くして・・・・・。

 

「ホント、すまんな」

 

「気にすんなって、そんじゃ・・・食べよう」

 

―――○●○―――

 

―――教師side

 

「学長、彼ら駒王学園の生徒たちが編入して数日が経ちましたが・・・あまり良い感じでは

ございませン」

 

「ふむ・・・・・」

 

「両学校と混合で行う体育の授業では我が校の生徒たちが意気消沈、やる気を見せない始末デス」

 

「ふむ・・・・・」

 

「あの放送以来、数は少ないものの生徒たちは駒王学園の生徒と交流するように

なっておりますが・・・」

 

「ふむ・・・・・」

 

「・・・・・」

 

学長室に体育教師の男がこの川神学園の長を務める川神鉄心に状況を報告する。

ルーは川神鉄心、川神百代および川神一子が住まう川神院の武の師範代であり、

川神鉄心のサポートに徹している実力者でもある。当の川神鉄心はルーに椅子ごと背を向け、

相槌を打ち反応するが・・・・。

 

「学長、聞いておりますカ?」

 

「聞いておるわい。しかし・・・・・ふむ・・・・・」

 

「何か問題でも?」

 

「―――この写真のねぇーちゃんの乳はたまらんのぉー」

 

「・・・・・」

 

一拍して、学長室から鈍い音が激しく聞こえたのは必然的だったかもしれない。

 

―――放課後―――

 

「悪いな、呼び出しておいて」

 

「ふむ、お前直々の呼び出しだからな。断わることなんてできないさ」

 

放課後、屋上にとある男子学生を呼びだした。

 

「別に強制じゃないってことぐらい知っているだろう?まあいい、本題に入る」

 

「俺を呼んだ理由はなんだ?」

 

「まあ、今後についての相談だ。このままじゃ、絶対にろくなことが起きないからな」

 

「ふっ、俺とお前のことか?」

 

男子学生は不敵な笑みを浮かべる。ああ、本音で言えばお前が一番そうだ。だが―――、

 

「俺たち駒王とこの川神の生徒たちのことだ。あんまり、良い感情ではなさそうだし、

この川神学園の生徒たちは」

 

「理解できないわけじゃないがな。人間とは違う種族もいることだ、

異種族同士が同じ場にいれば最初は警戒するようなものだ」

 

「その警戒を解く方法って何だともう?」

 

そう問えば、男子学生は顎に手をやって口を開いた。

 

「道理的に言えば、共に行動をし、何かを共に成し遂げることだろう」

 

「やっぱ、そう思うか」

 

「で、それがどうかしたか?駒王と川神の全校生徒と仲を深めるつもりか?」

 

いきなり確信を突かれたよ。まっ、隠すことでもないがな。その上―――。

 

「いや、お前のことだ。―――これから俺が独断で考える特大なイベントに

乗らずにはいられないだろう?だったらこっちからお前を誘おうと思っただけさ」

 

「―――ほう?」

 

一瞬だけ瞳が煌めいた。―――興味が湧いたようだな。

 

「まだ、準備の段階だけど絶対に面白いイベントにするつもりだ。

どうだ?お前の能力とその行動力を買って誘っている」

 

俺の誘いに男子学生―――いや、杉並は―――。

 

「ふっ、勿論。その話に乗らないでいる俺ではない」

 

俺に手を差し伸べてきた。その手を当然、俺は掴んだ。

 

「それじゃ、これからよろしくな相棒」

 

「こちらもな同士よ」

 

ある意味、俺は最強の相棒を手に入れた。

 

「では、どんな企画にするか始めに考えようか」

 

「だな。でも、それは明日の放課後にしよう。誰にも邪魔されない場所で」

 

「いいだろう。ならば、その二人だけの秘密の場所を俺が確保する。

準備ができ次第、こちらからメールをする」

 

ヒュンッ!

 

杉並が風の如く、一瞬で姿を消した。・・・・・あいつ、

何時の間に俺のメールアドレスを知ったんだ。

 

「さーてと、俺は帰りながら考えるとしようかな」

 

「―――何を考えるの?」

 

「ん・・・・・?」

 

俺がいる空間に別の存在・・・・・。女の声だが・・・・・誰だ?

 

「久し振り、十年振りだね」

 

「・・・・・その声は」

 

懐かしく聞き覚えがある声。後に振り返ると―――、

 

「やっと二人きりになれた」

 

妖艶に笑みを浮かべ俺の背後に佇んでいる紫の髪の少女。

 

「やっと会えた」

 

その少女を見て脳裏に過去の記憶が過った。

 

「・・・・・京・・・・・か?」

 

「うん、そうだよ」

 

少女―――京は笑みを浮かべた。最後に別れた時に見せてくれたあの時と変わらない笑みを―――。

 


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