ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

78 / 157
新学校のカオスとコスモスのヒューマン
Episode1


()

 

 

サーゼクスから俺たちがしばらく通う学校の話を聞き、早くも一週間が過ぎた。その間の俺は、

何事もなく生活を―――。

 

「うふふ、イッセーくん♪新しい学校に通うのってワクワクしますわね♪」

 

俺の腕にこれでもかと豊満の胸に挟んで満面の笑みを浮かべる朱乃という一部変わった状態で

送っています。―――なので、もうガイアたちから感じる嫉妬が物凄く怖くて、

内心は冷や汗がダラダラ垂れてどうしようもない。

 

「ちょっと朱乃・・・・・少しイッセーとくっつき過ぎないかしら・・・・・?」

 

「あら、可愛い後輩とのスキンシップをしているだけですわ♪」

 

「そのスキンシップはちょっと過激ではなくて?」

 

「うふふ♪これぐらいのスキンシップが過激なら―――ベッドの上で男と女の営みの行為は

軽いということになりますわね?」

 

朱乃の言葉にリアス・グレモリーが体を震わした。ああ、全身から紅のオーラが・・・・・。

幻覚じゃないよなあれ、

 

「私の・・・・・私のイッセーなのに・・・・・!」

 

「違う、いっくんは私と楼羅の夫だよ」

 

「そうです。そこは間違えないでください」

 

悠璃と楼羅が否定の言葉をリアス・グレモリーに突き付けた。

うん、確かに俺は二人の夫だけど・・・。

 

「一誠はまだ十八歳じゃないし、三人とも表上は結婚していないからまだ夫じゃないけどねぇー」

 

和樹が横から口を挟んだ。その結果―――。

 

「ですって、うふふ・・・・・!」

 

リアス・グレモリーが勝ち誇った笑みを浮かべた。

対して悠璃と楼羅はギロリと「余計なことを」とばかり睨んだ。

 

「「口は災いのもとと知らない?」」

 

「ごめんなさいっ!」

 

あーあー、初日でこれって大丈夫かな。

 

「ほら、皆さん。そろそろ行かないと学校に送れますよ。

遅刻してはあちらの皆さまにご迷惑が掛かります」

 

ビシッとしたパンツスーツを着たロスヴァイセが窘める。

セルベリアもそうだ。うーん、やっぱりな。

 

「似合っているな二人とも」

 

「ほ、褒めても何も出ませんよ?」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

俺のヴァルキリーは素材が良いから何でも似合いそうだ。

 

「・・・・・しかし、慣れないなこの制服は」

 

「そう?私はこの制服が好きだわ。特に色が白だし!」

 

ゼノヴィアとイリナの話が聞こえた。ああ、そうだな。―――駒王学園の制服じゃないしな。

 

「郷に入れば郷に従えという言葉があるし、お兄さまはあの学校の制服で登校するようにと

言われたしね」

 

「なんともいえない感じです」

 

「ははは、そうだな。しかも、小猫は不自然すら感じないほど着こなしている。

物凄く似合っているしな」

 

「・・・・・」

 

そうなのだ。塔城小猫は髪が白く体が小さい上に容姿も良いので、

違う学校の制服をいざ着て見れば、駒王学園よりも可愛く似合っていたんだ。

 

「にゃー、似合っているわ。白音」

 

「・・・・・ありがとうございます」

 

銀華に褒められ、照れる妹猫。ここに黒歌がいれば同じことを言っているんだろうな。

 

「それじゃ、新しい学校に赴くとしようか」

 

俺の一言に皆は頷いた。和樹が魔方陣を展開し、俺たちは光に包まれてこの場から姿を消した。

 

―――○●○―――

 

最初は全校集会をしてから俺たちが違う学校に行くことになっている。ので、今現在、

校長の話が終えて次に理事長であるサーゼクス・グレモリーがマイクの前に口を開いた。

 

『私から告げることは特に何もない。ただ、キミたちが違う学校に通ってその学校に在籍している

生徒たちや教師たちにくれぐれも失礼のないようにしてくれたまえ。

キミたちの言動の一つが相手に恐怖心を与えると思って学校生活を送ってほしい。キミたちが行く

学校は四種交流の象徴の学校である駒王学園ではなく、一般の学園だからね。

一般人に正当な理由じゃない限り攻撃もしてはならない』

 

それと―――、とサーゼクス・グレモリーは言い続けた。

 

『可能性の一つだ。またしても違う学校でもテロリストが襲撃してこないとは限らない。

なので、キミたちも襲撃された際にテロリストを迎撃してほしい。

特に力あるものは積極的にお願いしたい』

 

それから理事長は腕に巻いた時計を見て、俺たちに視線を戻した。

 

『では、時間だ。全校生徒の諸君。しばしの間、違う学校で学校生活を満喫してくれ』

 

カッ!

 

俺たちの足元に光り輝く魔方陣が出現した。

 

―――川神学園―――

 

「なぁなぁ!まだこねぇーかな!駒王学園の生徒たち!」

 

「キャップ、ちょっとは落ち着きなさいって」

 

「だってよ!悪魔と天使、堕天使の生徒もいるんだろ!?

俺、ファンタジーな存在は大好きなんだ!」

 

「俺は魅惑的な上級生の女子生徒と彼女ができればそれでいいぜ!」

 

「はは、欲望丸出し。悪魔に魂を売っちゃダメだよ?」

 

「わかってら。流石に俺さまはそこまでする気はないぜ」

 

「一体どこまでする気なのか敢えて聞かないよ・・・・・」

 

体育館に集まる白い制服を身に包む生徒たち。一部は私服の生徒もいるが、

この学園、駒王学園は学園に多額の寄付をすれば成績を変えれないが、

制服ではなくとも私服での登校が許可されるのである。

 

「だけど、ものの見事にこの学校も変わったよね」

 

「ああ、学校が三倍も大きくなっているだけかと思えば、奨学生が住む寮も増築されていたしな」

 

「しかも、クラスが二つも存在するなんてね」

 

「向こうの学校も実力主義のようだってね」

 

「げぇ・・・じゃあ、Sクラスみたいな奴らもいるってことか」

 

嫌そうな顔を浮かべる長身でガタイのいい男子生徒、島津岳人。

 

「うーん、もしそうならちょっと接し辛いね」

 

内気な雰囲気を感じさせる男子生徒、師岡卓也。

 

「おいワン子。確か川神ってあの兵藤の遠い親戚なんだろ?」

 

「って、言われても私は川神家の養女よ。だから私自身はそんな関係じゃないわよ」

 

頭に赤いバンダナを巻いた茶髪に長身な男子生徒、風間翔一と

赤毛のポニーテールの女子生徒、川神一子が話せば、

 

「・・・・・」

 

紫の髪に黙々と静かに本を呼んでいる椎名京。

 

「京は他校の生徒たちに興味はないのか?」

 

「・・・・・ない」

 

「そうか」

 

金髪に赤いリボンを結んだ女子生徒、クリスティアーネ・フリードリヒ。

彼女は椎名京の返答を聞き、別の男子生徒に問う。

 

「大和、お前はどうなんだ?」

 

「ああ、興味はあるよ。できれば、悪魔と天使、堕天使と繋がりを得たい」

 

知的な男子生徒、直江大和が首を縦に振ってそう言う。

 

「おいおい大和。間違っても悪魔に変な要求をすんなよ?魂を取られちまうからな」

 

「そのままそっくりガクトに返すぜ」

 

カッ!

 

不意に、横に光が生じた。体育館にいる生徒たちは光の原因へ視線を向けると、

そこには巨大な魔方陣が浮かんでいて―――光と共に大勢の少年少女、

駒王学園の生徒たちが姿を現したのだった。

 

「・・・・・奴さん、来たようだぜ」

 

「みたいだな」

 

川神学園の生徒たちの間に緊張が走った。相手は自分たちとは違う力を持つ存在が交っている。

人間の姿をしていて、誰が悪魔で、どれが天使、堕天使なのか見分けがつかない。

―――心に畏怖の念を抱く者は少なくない。

 

「ふぉっふぉっふぉっ。ようこそ、川神学園へ。歓迎するぞい、駒王学園の全校生徒諸君」

 

体育館のステージから声が聞こえた。全員の視線がそちらに向けると、

白い袴を着た長い白いヒゲを生やす老人。川神学園の学長である川神鉄心その人である。

 

「わしは川神学園の学長の川神鉄心じゃ。駒王学園の生徒諸君よ、よろしく頼むぞぃ」

 

『・・・・・』

 

静かに川神鉄心の言葉は体育館に響き渡る。

駒王学園の全校生徒はただ川神天心の言葉に耳を傾けるだけで、反応はいま一つ。

 

「うむ?緊張しておるのかの?では、わしがその緊張をほぐそう」

 

『・・・・・?』

 

何をするつもりだ?と駒王学園の全校生徒は怪訝な面持であったり、訝しんだり、

眉間にしわを寄せて川神鉄心の次の瞬間を待った―――。

 

「喝ァッ!!!!!」

 

ドオオオッ!

 

川神鉄心の短い声の上に気合の籠った声が体育館中の空気を激しく振動させ響き渡った。

 

『―――ッ!?』

 

ある者は目を見開き、ある者は空いた口が塞がらなかったり、ある者はいきなりの怒声とも

叫びともいえる声に耳を塞いだり、ある者は思わず足が竦んでその場で座り込んだりした。

 

『・・・・・』

 

が、中には平然と腕を組んでいたり、佇んでいたりしている者もいた。

その者たちに川神鉄心は笑みを浮かべる。

 

「(ふむふむ。そうでなくては心意気の教育のし甲斐がないというものじゃな)」

 

この学校の教育方針は『切磋琢磨』。お互い競争し合いながら高め合い、

後悔のない学校生活を送らすこと。

そこへ悪魔と天使、堕天使という人間とは全く別の存在がこの学校に通ってくる。

この機にさらなる切磋琢磨ができるというもの。

 

「(さてはて、残る不安の種は)」

 

両者が互いに認め合い、接すれるか・・・・・と川神鉄心は髭を擦りながらそう心の中で呟く。

 

「では、そろそろ自分たちの教室に戻るがいい。授業が始まるからのぉ」

 

川神鉄心の言葉によって全校集会は終了した。最初は川神学園の生徒が体育館からいなくなり、

次に駒王学園の生徒たちがいなくなった。

 

―――○●○―――

 

二年S組

 

「そんじゃ、何時もと変わらず授業をするぞー!」

 

『ウェーイッ!』

 

違う学校で授業が行う初日。俺たち二年S組は何時もと変わらない態度と授業をする。

 

「このクラスの長所というべきですかね」

 

龍牙が言う。逆に騒々しいから短所とも言えるけどな。

 

ブーッ!ブーッ!

 

・・・?誰からだ?ポケットに鳴り響く携帯を先生の目を盗んで取り出して操作する。メールだ。

相手は・・・・・川神百代、松永燕・・・・・?メールを開いて見れば―――。

 

『一誠、昼休みになったらそっちに行くからな』

 

『やっほー、一誠くん。お久しぶりだよん。隣で百代ちゃんがメールしているのを見たから

私もメールしたけど大丈夫かな?お昼休みになったらそっちに行くね』

 

二人がこのクラスに来る内容だった。先生にバレないように携帯を操作し返信した。

 

『楽しみにしている』―――と。

 

―――数時間後―――

 

午前の授業は終わり、違う学校の初日の昼食の時間と成った。

クラスメートたちは・・・教室から出ようとしない。各々と弁当を取り出しては一人で食べる者が

いれば、グループで食べる者もいる。俺たちは当然、グループで食べる側だ。

 

ガラッ。

 

扉が勝手に開く音。俺は視線を扉の方に向けた。来たか、と瞳に籠めて。

扉を開けた人物はこのクラスに入ってくる。黒い長髪に赤い瞳の女子生徒、

同じく黒い長髪に腰に装備品を巻き付けている女子生徒が。

 

「よっ、一誠。久し振りだな」

 

「久し振りだねん、一誠くん」

 

―――川神百代と松永燕。次期人王決定戦で戦った少女たちだ。

 

「久し振りだな。二人とも元気そうでなによりだ」

 

「お互いそうじゃなくちゃ困るさ」

 

俺に腕を回してくる百代。相変わらず力強く、女の香りがする。

彼女の顔を見れば、嬉しそうに口元を緩ましていた。

 

「はい、一誠くん。久し振りの松永納豆ー♪」

 

「おっ、サンキュー。ありがとうな」

 

久々の松永納豆。燕から受け取って、納豆を混ぜて―――。

 

「おい、納豆いるやつはいるか?半分やるぞ」

 

「よし、俺がもらってやる!」

 

嬉々としてクラスメートの男子の一人が白いご飯が入った弁当を持って近づいてきた。

その男子生徒のご飯に半分だけ納豆をあげると食べ始めた。―――お味は?

 

「うおおおっ!?この納豆、納豆特有の臭みもないどころか甘みがあって食いやすいぞ!」

 

と、松永納豆を絶賛する。

まあ、当然だろうけど、そんなに美味しいのか?と興味を持つ者が現れ―――。

 

「なあ、兵藤。俺もその納豆をくれるか?」

 

こう尋ねてくる。俺はニヤリと口元を吊り上げて燕に視線を向けた。

燕も俺の意図に気付いたようで、

 

「じゃじゃーん!松永納豆!興味のある人は私に言ってくれれば無料で提供しちゃうよーん」

 

腰の装備品から新たな松永納豆が入ったカップを取り出して見せびらかした。

 

「じゃあ、貰って良いかな?」

 

「どうぞどうぞ♪駒王学園の人と仲良くしたいからね。

前もって大量に準備してきたんだよん。あっ、生でも食べれるから試しに食べてみてねん」

 

そう言って男子生徒に渡せば、自分もと挙手してから近づいてくるクラスメートたち。

 

『う、うまいっ!』

 

―――このクラスは一つの納豆に心を開いた瞬間であったかもしれない。

 

「因みに、松永納豆は販売されているから買いたい奴は彼女かパソコンで注文できるぞ。

一つ百円だ」

 

「じゃあ、俺は十パック!この納豆は他の納豆より良い味がする!」

 

「私は三パックでお願いするね!」

 

「僕も三パック!」

 

クラスメートたちは笑顔で注文し始める。燕はペンとメモを取り出して注文票を記していく。

 

「一誠、上手いことをするね」

 

「何がだ?」

 

和樹の問いに敢えてはぐらかしてみたら、和樹は肩を竦め「分かっているくせに」と言われる。

 

「彼女を使ってこの学校の生徒と交流を持たせることだよ。

このクラスメートたちの性格はアレだから、

すぐに馴染むよ」

 

「とは言っても、今は一人だけだけどな。これからさ、大変なことがあるのは」

 

「そうだな。この学校でも風紀員の仕事を機能させないといけない。

まずはメンバーと会談しないと」

 

「生徒会も多分、同じことを考えていると思うよ」

 

それだけじゃない。駒王学園に在籍していた生徒たちがしていた部活もそうだ。

しばらくは線を引いて互いの部活と部活が分かれて行う日が続くはずだ。

それをどうにかするのは自分たちの意思次第だがな。

 

「そう言えば一誠。お前たちはどこに住むんだ?お前たちが通っていた学校と

この学校とかなり離れているだろう?だから、家もかなり遠くなっていると思うんだが?」

 

「ああ、俺たちは引っ越しなんてしていないから今の家に暮らし続けるつもりだ。

こっちは魔力、魔法があるしさ」

 

「なんだ、この辺りに引っ越ししているなら遊びに行こうと思ったのにー」

 

なんだ、そうだったのか。そいつは残念だったな。

 

「まあ、いいさ。こうしてしばらくの間はお前と接することができる。

この間は楽しくお前と過ごさせてもらうさ」

 

「そいつは俺も同じ気持ちだ。どうせ、俺と戦いたいんだろう?」

 

「はは、気付いていたか。だが、お前だけじゃない。

お前たち駒王学園の生徒たちと戦ってみたいな。神器(セイクリッド・ギア)の所有者も多くいそうだしさ」

 

ヴァーリと同じ戦闘狂め。

 

「悪魔と天使、堕天使と戦うのは控えておけ、

特にお前みたいな逸脱した力の実力者以外は手も足も出ない」

 

「このクラスにそういった奴らはいないのか?」

 

「全員、人間だ。しかも、実力と戦闘能力が人並みしか無い」

 

「ん?じゃあ、どうしてSなんだ?」

 

どうしてお前は俺が座っている椅子を半分占領するんだ?と、言い返しても良いかな?

 

「まあ、俺たちの学校は実力主義だから、期末試験も実力次第でクラスが変わるんだ」

 

「この学校と大して変わらないシステムだな」

 

そうだろうな。お前の学校も聞いた時は俺もそう思った。

 

「そう言えば、百代と燕ってどこのクラスだ?因みにこのクラスは元Fクラスだった」

 

「なんだ、一誠はFクラスだったのか?私たちもFクラスだぞ」

 

「・・・・・頭が悪い?」

 

「うるさい」

 

指摘したらデコピンが返ってきた。・・・・・痛い。

 

「そういうお前も元はFクラスだったんだから頭が悪いんだろ?」

 

「はっ、残念。俺はできる方なんだよ。Fクラスになったのは駒王学園に編入したからだ」

 

「どうして編入したら、Fになるんだ?」

 

「そこは―――清楚先生、説明をお願いします」

 

面倒なので他人を押し付けてみた。俺が押し付けた清楚は苦笑交じりで快く引き受けてくれた。

 

「川神さん、それはね―――?」

 

―――○●○―――

 

キーンコーンカーンコーン・・・・・。

 

午後の授業はあっという間に終わった。クラスメートたちは各々と席から立ち上がって鞄を持ち、

家へと帰宅する。

 

「そういや、カリン。お前は神奈川県に引っ越しているのか?」

 

「いや、引っ越していないぞ。私は魔方陣で転移して通っているからな」

 

・・・・・もしかして、ルイズも一緒か?と彼女に訊くと、

 

「ルイズ姉は家から迎えに来る車に乗って帰る。私は風紀員の仕事があるし、

ルイズ姉を先に帰ってもらっている」

 

「そっか。それで今日は?」

 

「川神学園の風紀員と会談しようと思っている。

私たち駒王学園の生徒たちのことを知ってもらうために伝えないといけないし」

 

「・・・・・すまん、迷惑掛けるかもしれない」

 

主に俺を追いかけてくる嫉妬集団の奴らがな。と暗に謝罪した。

カリンも俺の気持ちに気付き、苦笑した。

 

「イッセーはイッセーのままでいればいいさ。お前を守ってこそ風紀員があるようなものだ」

 

「・・・・・やっぱり、カリンは恰好いいなぁ」

 

「そ、そんな・・・・・恰好良いだなんて・・・・・バカ・・・・・」

 

ふふっ、久々に照れたなカリン。可愛いぞ。

 

「ねぇ、一誠。帰る前にちょっとだけこの学校を探検してみない?」

 

「ん?それは―――面白そうだな」

 

和樹の提案に笑みを浮かべた。俺は探検は大好きだ。勿論、しようじゃないか。

 

「じゃあ、カリンが風紀員の会談が終わるまで学校を見て回るか」

 

「え?私のことは気にせず帰って良いんだが?」

 

「俺がそうしたいんだ。お前は気にせず、仕事を務めていればいいさ」

 

ポンとカリンの頭に手を置いて撫でた。

 

「それじゃあな」

 

「あ・・・うん、終わったらメールする」

 

「分かった。んじゃ、探検しよう。プリムラと合流してな」

 

皆は頷き、俺と一緒に教室を後にした。

それから一階にいるプリムラと合流をし、この学校を把握するかのように歩き続ける。

途中、リアス・グレモリーたちとも合流して共に学校を見て回ることになってしばらくすると、

 

「ふーん、やっぱり私たちの学校と違うわね」

 

イリナが駒王学園と川神学園の構図を比較する話をした。

 

「そうだね。一人で歩いたら迷っちゃうかも」

 

清楚も肯定と首を縦に振る。だが、ある程度はこの学校の構図は理解できた。

 

「次は外に行ってみるか」

 

「外に?なにかあるのか?」

 

「グラウンドとかテニスコートとか、体育倉庫とかあるだろう?そこも確認するんだ」

 

というか、冒険をするんなら隅々まで見て回るもんじゃないか?

ノートにこの学校の構図を記しながら、

そう思いながら歩を進め続ける。玄関に置いた靴と履き変えて色んな場所へと探検していると、

とある建物を見つけた。そこへ近づいて中を覗いて見ると―――。

 

「ああ・・・・・ここは弓道部ですね」

 

ポツリと龍牙が呟いた。弓道部専用の制服に着替えて、

遠くにある的を狙って女子部員が矢を射っていた。

 

「駒王学園には無い部活ね」

 

「というか、私たちに不必要なものでしたからね」

 

深く同意と首を縦に振った俺だった。

 

「お前ら、悪魔だもんな。格闘技なんてする奴もあんまりいないし」

 

「殆ど魔力で戦うウィザードよりだからね」

 

和樹も肯定と俺の話に乗ってきた。―――と、そんな俺たちに

 

「お前たち、なにをしている?」

 

声を掛けてきた女の声が聞こえた。後ろに振り返れば、小豆色の髪の女性が立っていた。

 

「あー、すいません。探検という名目で川神学園を見て回っていたんですよ」

 

「・・・お前たち、駒王学園の生徒だな?」

 

「ええ、そうですよ。もしかして、見学しちゃダメでしたか?」

 

龍牙が女生と会話する。・・・胴着を見る限り、弓道部の顧問の先生か?

 

「いや、ダメというわけではないが、見覚えのない顔が揃ってこちらを見ていたからな。

声を掛けてみただけだ」

 

「すいません。お邪魔でしたら退散します」

 

和樹が俺に視線を向ける。「離れよう」と視線で伝えてくるので俺は肯定と短く頷く。

 

「―――次期人王の兵藤一誠」

 

「ん?」

 

「お前は弓道をできるか?」

 

・・・・・弓道?弓を射れることができるかってことだよな?

 

「やらせてくれるんですか?」

 

「できるならば、弓道部の部員たちに射る姿勢を見せてほしいと思っている。どうだ?」

 

「・・・・・」

 

皆に視線を向けた。「どうすればいい?」と。皆の返事は―――。

 

「大丈夫です。一誠さまならできますよ」

 

「うん、できる。信じているよ」

 

「うふふ♪恰好良いところ、見せてくださいな♪」

 

と、弓を射ってみてと風に言われてしまい―――初めて俺は弓を射ることとなった。

俺たちは女性に弓道部の建物の中へ案内され、

 

「ああ、自己紹介していなかったな。私は小島梅子だ。

担当教科は歴史で担当クラスは二年Fクラスだ」

 

「俺は兵藤一誠・・・って知っているか」

 

「お前のことはテレビで知っている。次期人王だからといって、特別扱いをする気はないからな」

 

「寧ろ、そのつもりで接してくれるとこっちも助かるよ」

 

彼女と話しをしていると、弓矢を手渡される。

 

「さて、見せて貰おう。お前の弓の腕前を」

 

俺、初めてなんだけどな。ここで外したら恥掻きそうだ。―――絶対に外せれない!

 

「・・・・・」

 

弓を握り矢を弦に番えて引っ張る。

俺の眼は―――真っ直ぐ遠くにある的の中央部分へ狙いを定めた!―――当たれッ!

 

ヒュンッ!

 

矢を放した時に生じる風を切る音。その矢は風を切り裂きながら真っ直ぐ的の方へ狙いを違わず

突き進む。俺の放った矢は・・・・・ど真ん中に命中した。

その結果に体の力を抜いて疲れた風に溜息を一つ。

 

「・・・・・良かった。初めてだけど真ん中に当たったよ」

 

『初めてだったぁっ!?』

 

と、周りから驚愕された。―――当たり前じゃん!弓すら触ったことないんだぞ!?

 

「お見事です。一誠さま」

 

リーラが笑みを浮かべて労ってくれる。ああ、ありがとう。

 

「初めてで中央の的に当てるとは・・・偶然か奇跡に近いものだな」

 

「練習と経験していくうちに中央の的に当てれそうだ」

 

小島梅子に弓を返して弓道部から去ろうとする。

 

「兵藤」

 

「はい?」

 

「弓道に興味あればいつでも来い。歓迎するからな」

 

「・・・・・まあ、部活に入らないつもりで遊びに来ますよ」

 

それだけ言い残して、皆と共に弓道部を後にした。その直後、携帯が震えだした。―――カリンか。

 

「カリンを迎えに行く。あっちも終わったようだ」

 

皆にそう言い、皆は頷いた。カリンを迎えに行くべく、再び校舎の方へ足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・兵藤一誠・・・・・また、会えたね・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。