ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Life4

 

 

―――停止教室のヴァンパイア終了後―――

 

終業式は午前で終え、カリンも誘って俺たちは家に戻り、平穏に過ごそ―――。

 

「一誠殿ぉっ!」

 

「一誠ちゃん!」

 

「「海に行こうじゃないか!」」

 

いま学校から帰って来たばかりの俺たちは、

二人の王の提案によっていきなり海に行くことになった。

 

―――数十分後―――

 

「今度はどこの海に行くか決まっているんだろうな?」

 

前回の件もあるため、訝しがる。

 

「ああ、勿論だぜ!ちゃーんと調べてきた!」

 

「私もだよ。失敗は成功のもとだって言うしね。きちんと調べてきたよ」

 

以前と同じ、家族ぐるみで海に行く。今回は―――オーフィスとクラスメートの式森和樹と神城龍牙、

葉桜清楚、カリン、ゼノヴィア、幼馴染の紫藤イリナも含めて海に行くこととなった。

銀華は留守番だ。見たいテレビがあるからそれを見ていると、断わられた。

 

「で、場所は?」

 

そう問うと、二人は笑みを浮かべ―――、

 

「「沖縄!」」

 

二人同時に発した。うん、今回は喧嘩もしなさそうで安心した。

ウキウキと早く行こうと、この日を楽しみに待っていたと、

伝わってくるほど笑顔を浮かべていた。

 

「あ、あの・・・・・神王さまと魔王さま」

 

「ん?なんでぇ、嬢ちゃん」

 

「もう一人、誘いたい子がいるんですがよろしいでしょうか?」

 

「あっ、私もです」

 

清楚とカリンが恐縮とばかりに言った。

 

「なんだ、別に良いぞ?大勢で行った方が楽しいからな!」

 

「では、すぐに声を掛けてきなさい。ああ、迎えは私も一緒に行くからね」

 

「その間は俺の家で待っていれば?ここじゃ、熱くてしょーもない」

 

ユーストマ、フォーベシイ、俺の提案にしばらく待つことになった。

 

―――十数分後―――

 

カッ!

 

リビングキッチンの中央に魔方陣が浮かんだ。帰って来たか、と思って魔方陣を見ると、

清楚とカリン、フォーベシイが姿を現す。そして、二人が誘ったと思しき人物も姿を現す。

―――その人物たちは俺が知っている人物たちだった。

 

「一誠くん、お久しぶりです♪」

 

「カリンに誘われて家族共々喜んでお供させてもらいますわ」

 

一人は俺と清楚の友達。―――八重桜だ。清楚が誘った子は彼女のことか。

そして、カリンが誘ったという人物たちは―――カリンの家族だ。

父親と母親カリンの姉のカトレアと・・・・・ルイズまでもがいた。あと見知らぬ少年。

 

「・・・・・すまん、ルイズ姉も来てしまった」

 

「大丈夫だ。ユーストマが言ってたように大勢で行った方が賑やかだろ?」

 

「・・・・・そう言ってくれると助かる」

 

安堵の胸を撫で下ろすカリン。きっと、カトレアだけ誘うつもりだったろうけど、

父親かルイズ辺りに見聞されて自分もとついてきたんだろう。

 

「神王さま、魔王さま。

図々しいながらも私たちまでも一緒に御同行させてもらい誠に感謝の言葉が尽きません」

 

「いいってことよ!娘と義息子と一緒に楽しみたいのが親としての本望だからな!」

 

「沖縄についたらどうだい?一緒に娘のことで酒を飲みながら交わそうじゃないか」

 

カリンの父親、サンドリオンとユーストマとフォーベシイが会話の花を咲かせる最中、

 

「へぇ、清楚さん。学校外のお友だちもいたんですかぁ」

 

「うん、一誠くんと一緒に出かけと時にね」

 

「初めまして、八重桜です。二人と出会ったキッカケは、

一誠くんと清楚ちゃんにナンパから助けてもらったの」

 

「そうだったんだ。良かったね。助けてもらって」

 

「はい」

 

早速、桜が和樹たちと話をしていた。

 

「ナイトさん」

 

「ん?」

 

カリンの姉に、声を掛けられた。振り向けば柔和な笑みを浮かべている。

 

「妹共々よろしくお願いします。あなたのおかげで病も治り、

たくさん楽しめることができるようになりましたから」

 

「ああ、あん時もそうだけど、俺も新しい能力が使えるようになったから気にしないで。

それに元気になって良かった」

 

「うふふ♪はい、今では動物たちと家を一周するようになっているんですよ」

 

「そうか、体力作りも兼ねていいんじゃないか?」

 

カトレアは笑みを浮かべたままコクリと頷いた。

 

「さぁーて、そろそろ沖縄に行こうぜ!転移式魔方陣であっという間に着くからよ!」

 

「では、皆。一ヶ所に集まってくれ」

 

フォーベシイの促しに俺たちは一ヶ所に集い―――足元に展開された魔方陣の光に

包まれたのだった。

 

―――○●○―――

 

白一色に染まった視界が回復する。俺の目に飛び込んだ光景は―――穏やかに波を生じる青い海、

雨雲が一切ない、青い空に白い雲。そして―――。

 

「おら、まー坊!捕まえられるもんなら、捕まえてみろ!」

 

「あははは、待ってよ神ちゃーん!」

 

砂浜で王道的なことをする神王と魔王の光景。

 

「・・・・・あの二人を放っておいて、私たちは私たちで楽しみましょう」

 

サイネリアの一言で俺たちは文句なしと頷いた。

下に置かれた巨大なパラソルとブルーシートを掴んで先頭に歩くサイネリアの後に続いて歩く。

 

「うーん、この辺りでいいじゃないかな?」

 

砂浜にある大きな崖の傍で彼女は立ち止った。

 

「あっちは大勢の人間たちがいるし、静かに楽しみたいからね」

 

「そうですね。それに光陽町とは違い、

ここに住んでいる人たちは私たち異種族に慣れていませんですしね」

 

「余計な刺激を与えないためにも静かにってことですか。

そこまで気を配らないといけないなんて大変ですね」

 

龍牙の言葉には俺も同意だ。あの町は四種交流の象徴の町だ。

でも、他の地域、県はそうじゃない。テレビや雑誌ぐらいしか知らない人間が多い。

実際に自分とは違う種族と力を持つ者と対面すれば、

どんな反応をするのか当事者たちしかわからない。反って恐怖心を抱かせてしまったらダメだ。

 

「さてと、私たちは水着に着替えましょうか。一誠くん、この崖に空洞を作ってもらえる?」

 

「空洞?まあ、分かった」

 

幻想殺しの籠手(イマジンブレイカー)』を装着し、滅びの魔力を崖の表面に放った。表面は抉れ続け、

何時しか数人が入れる巨大な暗い空間ができた。こうしていると洞窟の中にいるようだ。

横にも広げておくか。滅びの魔力で空間を作ったら、表に出た。

 

「終わったぞ」

 

「ありがとう、偉い偉い」

 

アイリスに頭を撫でられた。それから見張りを頼まれ、女性陣が洞窟の中に入って行った。

 

「イッセーくん」

 

サンドリオンに声をかけられる。なんだ?と顔を上げると、何故か頭を下げられる。

 

「娘の病を治してくれて心から感謝する。本当にありがとう」

 

「ん、どういたしまして」

 

「カトレアの病を治してくれた礼に何かしてやりたい。

それとも欲しいものはあるか?今ではなくてもいい。

わしに何かできることがあればいつでも言ってくれ」

 

「分かった。今はないから保留で良いかな?」

 

「勿論だ」とサンドリオンは頷いた。

それから和樹と龍牙と雑談しているとユーストマとフォーベシイが現れた。

 

「なんだ、こんなところにいたのか。探したぞ」

 

「おや、セージたちがいないね。その洞窟の中かな?」

 

そうだと、肯定する。すると、洞窟の中から女性陣たちが現れる。

 

「えへへ♪イッセーくん、どうかな?」

 

「・・・・・」

 

リコリスの水着姿。水玉模様がある水着でとても可愛かった。

ネリネは紫のビキニだ。恥ずかしげに顔を羞恥に染めて胸を腕で

覆い隠すが・・・・・胸が強調しているぞ。男を誘っている風にしか見えないって。

リシアンサスはフリルが着いたビキニだ。

 

「ちょっと、恥ずかしいかな・・・・・」

 

清楚は花柄模様の水着。腰に同じ花柄があるスカーフを巻いていた。

ゼノヴィアは青いボンデージだった。

・・・・・何故にそれを着るのだお前は。イリナは白が基調のビキニだった。

カリンは桃色のビキニ。オーフィスとプリムラは同じだが黒と紫と色違いのフリルが着いた水着を

身に包んでいる。ガイアとリーラは―――。

 

「ふふっ、どうだ?」

 

真紅の髪をポニーテールに結んでいて、赤いビキニを纏っていた。対してリーラは・・・・・。

 

「メイド服?」

 

いや、それどころか着替えていない?どういうことだ?

 

「リーラ、着替えなかったのか?」

 

「私は荷物番をしております」

 

などと、可笑しなことを言う。おや、俺の耳は可笑しくなったかな?

 

「俺がそれを許すとでも思ったかな?」

 

ガシッ!と彼女の両肩を掴んで笑んだ。今日は楽しむために海へきたんだ。

一人だけポツンといさせるわけがない

 

「リーラ、主として命令するよ。今日一日メイドOFFだ」

 

「・・・・・」

 

「命令に逆らったらリーラ。永遠にキミとは見向きもしない。それどころか話をしない―――」

 

「水着に着替えてきます」

 

シュバッ!

 

一瞬で俺から姿を消した彼女だった。・・・・・うん、効果抜群だな。

一拍して、黒いビキニのリーラが姿を現した。頭にはカチューシャを付けたままだが。

 

「これでよろしいでしょうか」

 

「あと、呼び捨てな?」

 

「・・・・・分かりました。一誠」

 

そんな渋々と言った顔で言わないでくれって。苦笑を浮かべていると、

何時の間にか和樹と龍牙、サンドリオンが着替え終えていた。そこへ、サイネリアが言った。

 

「それじゃ、思いっきり楽しみましょう!ラブ♪」

 

・・・・・ラブ♪?

 

―――○●○―――

 

 

「ふふふっ、一誠。我とオーフィスに勝てるか?」

 

「か、勝つ・・・・・!」

 

「一誠・・・・・気持ちは分かるけど、これ、絶対に負けるって」

 

隣で和樹が溜息を吐く。俺だって負けるって分かっているよ!

―――ガイアとオーフィス、俺と和樹のコンビでビーチバレーをするんだからさ!

 

「一誠くん!頑張ってぇっ!」

 

「一誠殿っ!気張っていこー!」

 

周りから応援される。だが、考えてみろよ。

相手は不動と最強だぞ?―――勝てるわけがないってば!なに、あの無敵のコンビは!?

 

「では、試合開始!」

 

カリンが審判を買って出た。彼女の開始宣言と共にビーチバレーは始まった。

 

「オーフィス、やれ」

 

「ん」

 

ボールを持つオーフィスが頷く。そして―――、

 

「えい」

 

やる前に練習した通りにオーフィスは握り拳で下から振り上げ、

ボールをこっちに打ち上げてきた。和樹が落下地点に移動し、トスした。

次は俺だ。トスされたボールを更に高く上げて打ちやすくする。

 

「いけ!」

 

「うん!」

 

砂場にも拘わらず、物凄い跳躍力を見せてくれる。

和樹はボールの前に飛んで腕を思いっきり振りおろし、

ガイアとオーフィスがいるコートへと打った。―――しかし、壁は不動だった。

 

「ふっ!」

 

ズバンッ!

 

相手コートに向かうはずのボールがこっちに物凄い勢いで戻ってきた。

反応するが、一歩届かず、相手の点数になってしまった。

 

「ふははは、まだまだ甘いわ!」

 

「ん、まだ勝てない」

 

くそ・・・・・!強過ぎるにもほどがある!一矢報いたい方だなぁっ!

 

「一誠・・・・・やり初めてなんだけど、僕・・・負けている気分が凄く感じるよ」

 

「大丈夫だ和樹。俺もそうだから」

 

「どうする?油断しないどころか、隙さえ見つからない」

 

「・・・・・今は、やり続けるしかない」

 

―――と、言ったものの23対0という点数差まで一点も奪えず、相手側のリーチが掛かった。

 

「中々粘るが・・・まだまだだな」

 

「イッセーと和樹。頑張る」

 

「「・・・・・」」

 

おのれ・・・・・俺ら人間とお前らドラゴンのステータスが違い過ぎるんだ!

 

「・・・・・なぁ、和樹。人間がドラゴンに勝てる方法って

なにも生身で戦っているだけじゃないよな」

 

「うん、そうだね」

 

俺と和樹からユラリと闘気と魔力が滲み出てくる。

 

「―――こっからは全力で行こうか」

 

「最初から全力出せばよかったんだよね」

 

ふふふ、と暗い笑みを浮かべる俺たち。ガイアたちは腕を組んで不敵の笑みを浮かべる。

オーフィスはただ腕を組んでいるだけだがな。

 

「最後の悪あがきか。だが、それでも我らには勝てん」

 

「―――そいつはどうかな?」

 

左手に気を集めれば、和樹は右手に魔力を集め出した。

 

「さぁーて、和樹。兵藤家と式森家の合体技をお披露目して盛り上げようか」

 

「そして、密かに修行した成果を見せようね」

 

笑みを浮かべる和樹の右手と俺の左手を合わせる。―――気と魔力が合わさり―――。

 

「「感卦法っ!」」

 

カッ!

 

相反するはずの二つの力が合一し、和樹と共に魔力と気を外側と内側に纏って爆発的な力を得た。

 

「ほう、凄まじい力を感じるな」

 

「でも、負けない」

 

オーフィスがボールを打ち上げた。こっちにボールが飛来してきた。

そのボールを和樹がアンダーでまた打ち上げ―――俺がガイアとオーフィスのコートに打ち上げた。

 

ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!

 

「「・・・・・」」

 

俺が打ち返したボールは虚空に消えたかと思えば、

二人の後ろに砂を弾き飛ばしながら見事に入った。

 

「どーん」

 

指を鉄砲のように打つ仕草をした。すると―――、

 

「オーフィス、我らも全力で相手しようか。奴らはさっきまでの奴らだと思うな」

 

「ん、分かった」

 

物凄く警戒される。が、それでも俺たちは負ける気はないぞ。

 

「和樹、どんどん行こう」

 

「オーケー、一誠。僕たち人間の底力と言うものを見せてやろうじゃないか」

 

ははっ、そうだな!それじゃ、勝負だ!不動と最強!

 

―――○●○―――

 

結果、俺たちは負けてしまった。でも、皆が『凄い!』『よく頑張った』と励ましてくれた。

ビーチバレーは他の皆もしばらくやっていると、昼食の時間となった。

昼食は―――。

 

「現地で獲れるもんで食おうぜ!」

 

と、ユーストマの提案により、現地・・・海に住む魚貝類を調達する必要となった。

メンバーは釣りや素潜り、また野菜を買ってくるチームとガイアとオーフィスはこの場に

残ってもらい、俺たちは別れて行動を開始した。

 

買い物チーム。サイネリア、ライラック、アイリス、セージ、リーラ、カリーヌ、

 

「そう言えば、沖縄って来たことがないからどこにスーパーがあるのか分からないわね」

 

「そうね。ちょっと困ったわね・・・・・」

 

「人に訊いて見ると良いかもしれません。・・・・・あの子ならどうでしょうか?」

 

セージがとある金髪の少女に指した。他の皆は頷き、セージの提案に乗ったので早速声を掛けた。

 

「ねえ、そこのお嬢ちゃん」

 

「はい?」

 

「この辺りにスーパーなんてあるかしら。私たち沖縄に来るのが初めてだから、

どこに何があるのか分からないの」

 

「ああ、そうなんですか。では、案内しましょうか?」

 

「ありがとう。助かるわ。えっと、名前は?私はサイネリアって言うの。

もしよければ名前を教えてくれないかしら」

 

少女の名を問うたサイネリア。腰辺りまで金髪が伸び、

意思が強いと思わせる青い瞳の少女は口を開いた。

 

「私は―――」

 

釣りチーム。清楚、桜、カリン、イリナ、ルイズ、プリムラ、α。

 

「神王さま、よく釣り道具なんて持っていたね」

 

「最初から釣りをする気だったかもね」

 

「・・・・・しかし、釣れないな」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

堤防で釣りをするメンバー。

だが、釣り初めて数分が経過しても一行に魚が針にかかった気配無しの状態が続いていた。

 

「そーいえば、キミって名前は何なのかしら?」

 

「へ?俺か?」

 

「うん、ずっとルイズの傍にいるから」

 

「ああ、俺は平賀才人って言うんだ。ルイズの・・・使い魔だ」

 

一見、どこにでもいそうな少年。黒い髪に黒い瞳の少年が自己紹介をすれば、

ルイズが不機嫌そうに鼻を鳴らす。

 

「こいつは犬で十分よ」

 

「俺、犬じゃなくて人間なんだけどルイズ」

 

「うっさいわね!あんたは『ワン!』って鳴いていればいいのよっ!」

 

「うわ、ひでぇ・・・・・勝手に召喚して、

人の意見を無視して使い魔にした御主人さまがそう言うか?」

 

「私だってどうして使い魔を召喚する儀式にあんたが出てきたのか聞きたいぐらいだわ!」

 

「そんなこと知るかよ。目が覚めたと思えば、お前が俺の唇を強引に奪われたんだぞ!

俺のファーストキスを返せ!」

 

「なによ!私だってファーストキスだったのよ!?

何が悲しくて犬に私の始めてをあげなきゃなんなかったのよ!」

 

ギャーッ!ギャーッ!

 

「・・・・・カリン。あの二人は何時もああなの?」

 

「お父さまとお母さまの前じゃしないけど、二人きりになるとそうだな」

 

「使い魔を召喚する儀式ってなに?」

 

「そのままの通りだ。

『我、五つの力を司るペンダゴン。我に応じて、我の運命に従い『使い魔』を召喚せよ』と

地面に描いた魔方陣の前で呪文を唱えて自分の使い魔を召喚するんだ。

でも、使い魔が召喚されるまでどんな生物が出てくるのかは分からない。

まあ、自分の属性魔法の相性が良い使い魔が召喚されるけど」

 

「へぇ、そうなんだ?例えばどんなの?」

 

「例えるなら風なら翼をもつ生物。火なら火を吐く生き物。水なら水に住む生き物。

土なら土に住む生き物。他にも色々といるけど、

それは私たちの生まれ故郷であるハルケギニア式の使い魔召喚儀式なんだ。

ルイズ姉はそっちの方で使い魔を召喚したんだ」

 

長々とカリンは説明した。カリン以外の皆がルイズと平賀才人に顔を向ける。

 

「じゃあ、彼女の得意な魔法の属性は?」

 

「・・・・・分からない。属性魔法に『爆発』なんて魔法はない。だから―――」

 

「―――大量―――」

 

『・・・・・え?』

 

プリムラが不意に呟いた。皆がプリムラの方に視線を向ければ―――、

バケツ一杯にピチピチと大小の魚たちが入っていた。

 

 

素潜りチーム。一誠、龍牙、和樹、ゼノヴィア、カトレア、サンドリオン、

ユーストマ、フォーベシイ。

 

ゴポゴポ・・・・・。

 

海中の中を泳ぎ進む一誠たち。

カトレアとサンドリオンは魔法で水中でも呼吸ができるようにして魚貝類の捕獲をしていた。

 

『―――――っ!』

 

ユーストマが海底に何かを発見した。

嬉しそうな顔を浮かべ、物凄い勢いで海底に進んで泳いで、素手で何かを掴んだ。

 

『がぼがぼがぼがぼ―――っ!』

 

『・・・・・』

 

一誠が何を言っているのか分からないから上に行けと、顔と指で促した。

その通りに動いて、海面から顔を出したユーストマは―――。

 

「タコ、獲ったどぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

獲物を捕獲して雄叫びを上げたのだった。一方、海中にいる一誠たちの耳にも届いたが、

気にせず得物を探して見つけては捕獲し、着々と昼食の準備を進めていた。

 

『・・・・・』

 

チョンチョン。

 

『・・・・・?』

 

自分の体に突かれる感触がし、顔を横に向けると―――カトレアが楽しそうに笑っていた。

白いビキニに白いスカーフを腰に巻いている彼女が海中で自由に泳いでいる姿は、

まるで人魚のようだった。一誠はカトレアの頭に手を伸ばし、泳ぎながら頭を撫でたら、

その手を掴み、カトレアは一誠と一緒に泳ぎ始めた。

言葉を発しなくても全身から気持ちが伝わり、何時しか一誠は笑みを零した。

 

チョンチョン。

 

また、自分の体に突かれる感触がした。一誠が後ろに振り返ったら―――。

 

『・・・・・』

 

ゼノヴィアが素手で捕えたウツボが口を大きく開けて迫った光景が目に飛び込んできたのだった。

 

―――一時間後―――

 

バーベキューで使われる道具で魚貝類を焼くフォーベシイの顔はとても楽しそうだった。

本当、魔王なのかと怪訝に思ってしまう。

 

「さぁ、ドンドン食べておくれ!今日は私が焼いてあげるからね!」

 

「おう!ドンドン俺は食べるぜ!サンドリオン、

今日はとことん酒を飲んで話をしようじゃねぇか!」

 

「ははは、お手柔らかに頼みますぞ」

 

三人の父親たちが笑みを浮かべる。

 

「もう、ユーくんったら大はしゃぎすると大変なんですよ」

 

「それぐらい元気が有り余っているということでしょう」

 

「それもパパなんて娘たちに間違った知識や情報を教えて困ってしまいます」

 

「娘のことに関しては同情します。

夫も娘のことになると即断即決で私の言葉なんて耳を傾けてくれません。

ですが・・・・・今回だけはあの人の言う通りでした」

 

「ええ、聞いております。一誠さまが病を患っていた娘を治したとか」

 

「はい、本当に感謝しております。ハルケギニアではお手上げだと、

病の進行の速度を抑えるだけでが精一杯でこのままでは数年の命だと言われたほどでしたから。

ですから、本当にあの子には感謝の念を抱いています」

 

母親+リーラが話しこんでいて、料理よりも会話のほうに集中しちゃっている。まあ、

 

「・・・・・」

 

パクパク。

 

オーフィスが胡坐掻いた俺の脚の上で座っては、

大量に焼いた魚貝類を食べ続けているから残らないだろう。

 

「終業式が終わった直後でこんな楽しい思い出が早速できたな」

 

「はい。私もいい思い出ができて嬉しいです」

 

桜が笑みを浮かべる。隣に座っている清楚も「そうだね」と言い、首を縦に振った。

 

「ナイトさん」

 

「カトレア?というか、俺は兵藤一誠という名前があるから名前で呼んでくれ」

 

「では、イッセーくんとお呼びしますね。

イッセーくん、今日は楽しかったですわ。海なんて小さい頃以来だから、物凄く楽しかった」

 

「俺も似たようなもんだよ。最後に行ったのは海の神ポセイドンが住んでいる宮殿だったからな」

 

そう言うと、皆が静かになった。・・・・・何故に?

 

「やっぱり・・・・・一誠はサプライズの塊だ」

 

「ポセイドンの宮殿って海の中じゃありませんでしたか?」

 

「ああ、そうだったな。それと他にも竜宮城にも行ったことがあるぞ」

 

言った途端に、皆が目を丸くした。

 

「それ・・・・・本気で?」

 

「そうだけど?玉手箱ももらったし・・・・・」

 

「あの・・・・・玉手箱の中身ってなんでしたか?おとぎ話では老体になる話でしたが・・・・・」

 

「うーん・・・・・空だったな。煙が出てきたかと思えば、何にも入っていなかったんだよ。

あのヒト、何を渡したかったんだろう?」

 

『・・・・・』

 

告げたら、皆が固まりだした。・・・・・解せん。

 

―――○●○―――

 

それからというものの。夕方になるまで思いっきり満喫した。フォーベシイの転移式魔方陣で

兵藤家の家の前に辿り着くと、カリンたちヴァリエール家は足元に転移式魔方陣を展開しだした。

 

「今日は神王さまと魔王さまと御話ができて光栄でした。

また何時か御話ができる機会を楽しみにしております」

 

「ああ、俺たちも楽しかったぜ。また何時でもここに来いよ。俺たちは基本的、家にいるからよ」

 

「来た時は私の自慢のワインでも飲みながら語り合おう」

 

サンドリオンは首を縦に振った。そして、視線を俺に向けてくる。

 

「イッセーくん。今日は楽しかった。家族と共に楽しく過ごせたのは久しぶりだった。

また、一緒に参加してもいいかね?」

 

「そっちの都合が良ければ」

 

「そうか、ありがとう」

 

感謝の言葉を言い残し、ヴァリエール家は魔方陣の光に包まれ、一瞬の閃光と共に姿を消した。

 

「さて、俺たちも家に帰ってグッスリ寝るとしようかな」

 

「そうだね。今日は楽しすぎて疲れてしまったよ」

 

魔王家と神王家もそれぞれの家に戻った。リシアンサスとネリネたちが別れる際に、挨拶をし、

家の中へと入って行った。

 

「桜を送らないといけないな。それとも、家に泊るか?」

 

「ううん、家に帰らないと。両親が心配しちゃうから」

 

「そんじゃ、俺の背中に。送ってやるから」

 

「ありがとう」

 

青白い六対十二枚の翼を展開して桜に背を向ける。俺の背中に重みを感じ、

尻目で見れば桜が俺の首に両腕を巻きついてしがみついていた。

それを確認して翼を羽ばたかせて宙に浮く。

 

「すぐに戻る」

 

皆にそう伝えて、俺は桜の家へと向かった。

 

「一誠くん、今日はありがとうね」

 

「俺じゃなくて清楚に礼を言うべきだ。清楚が誘わなければ桜を呼ばなかっただろうし」

 

「うん、そうだろうけど一誠くんにお礼が言いたいの。ありがとうって」

 

「・・・そうか。なら、どういたしましてだな」

 

「はい♪」

 

バサッ!と翼を羽ばたかせ桜の家に向かう俺と背にいる桜。確かにな。今日は楽しかった。

またいつか、皆と海に行きたいもんだよ。

―――と、あっという間に彼女の家に辿り着いた時にそう思った。

桜を背から下ろし、また宙に浮く。

 

「―――一誠くん」

 

「ん?」

 

「―――――」

 

少し宙に浮く俺に桜が前から抱きついてきた。

そして・・・・・俺の唇に柔らかい弾力と温もりが同時に感じた。

 

「ま、またねっ!?」

 

自分がしたことに恥ずかしくなったようで、

慌てて顔を羞恥に赤く染めながら俺から逃げるように家の中へと姿を暗ました。

 

「・・・・・」

 

今のは・・・・・キスだよな・・・・・?間違いなく・・・・・・。

唖然としてしまったが正気に戻り、自分の家へと向かって飛行したのだった―――。

 

 

 

 

 

 

「わ、私・・・・・一誠くんとキ、キス・・・・・しちゃった・・・・・っ!」

 

自分の部屋で顔を赤く染め、瞳を潤わせ、蕩けた表情を浮かばせていた桜に気付かないで。

 

 

 

 


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